説明

表示装置

【課題】 表示品位が良好な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示素子21は、所定領域Aに配設された複数の画素を有し表示光Lを発する。光学素子22は、表示素子21が発した表示光Lを屈折させるマイクロレンズ群22a,22bを有する。光学素子22のマイクロレンズ群22a,22bは、所定領域Aよりも広い領域に配設されている。光学素子22から出射した表示光Lが通過する窓部23aを備える。光学素子22のマイクロレンズ群22a,22bは、窓部23aよりも広い領域に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の表示素子を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のフロントガラス或いはコンバイナと称される半透過板に表示光を投影し、虚像を表示する車両用ヘッドアップディスプレイ装置が種々提案されており、例えば、特許文献1に開示されている。車両用ヘッドアップディスプレイ装置1は、透明な出光部2を備えたハウジング3に表示器4及び反射鏡5を収容したものであり、車両のダッシュボード内に配設される(図5参照)。
【0003】
表示器4は、発光ダイオード表示パネル6と、この発光ダイオード表示パネル6が発した表示光を出射範囲Sに広げるマイクロレンズ群7aを有する光学素子7と、表示光が通過する窓部8aを有するカバー8と、発光ダイオード表示パネル6が搭載されるベース部9とを有している(図6及び図7参照)。発光ダイオード表示パネル6は、矩形の表示領域Aを有しており、この表示領域Aに種々の図形や文字を表示することができる。光学素子7のマイクロレンズ群7aは、発光ダイオード表示パネル6の表示領域Aと同形状の領域に配設されている。カバー8の窓部8aは、表示光の出射範囲Sに対応するように、発光ダイオード表示パネル6の表示領域Aよりも大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−11168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、反射鏡5を介して太陽光が表示器4に入射したとき、マイクロレンズ群7aの周辺部が視認されてしまう虞があった。つまり、マイクロレンズ群7aが配設された所定範囲(即ち、表示領域A)と、カバー8の窓部8aとの間の領域Dが額縁のように見えてしまうため、表示品位が低くなるという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、表示品位が良好な表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定領域Aに配設された複数の画素を有し表示光Lを発する表示素子21と、前記表示素子21が発した前記表示光Lを屈折させる光学素子22と、を備えた表示装置であって、前記光学素子22は、前記画素が配設された前記所定領域Aよりも広い領域に配設されたマイクロレンズ群22a,22bを有するものである。
【0007】
また、本発明は、前記光学素子22から出射した前記表示光Lが通過する窓部23aを備えているものである。
【0008】
また、本発明は、前記光学素子22の前記マイクロレンズ群22a,22bは、前記窓部23aよりも広い領域に配設されているものである。
【発明の効果】
【0009】
マイクロレンズ群の周辺部が目立たなくなり、表示品位が低くなる虞がすくない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図。
【図2】同上実施形態を示す概観図。
【図3】同上実施形態を示す発光ダイオード表示パネルの正面図。
【図4】同上実施形態を示す発光ダイオード表示パネルの断面図。
【図5】従来例を示す断面図。
【図6】同上従来例を示す発光ダイオード表示パネルの正面図。
【図7】同上従来例を示す発光ダイオード表示パネルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づいて、本発明を車両用ヘッドアップディスプレイ装置11に適用した一実施形態について説明する。
車両用ヘッドアップディスプレイ装置11は車両のダッシュボード12内に配設されている(図2参照)。ヘッドアップディスプレイ装置11が投射する表示光Lはフロントガラス13により車両ドライバー14に反射される。車両ドライバー14は虚像Vを風景と重畳させて視認することができる。
【0012】
車両用ヘッドアップディスプレイ装置11は、表示器15,ミラーユニット16等をハウジング17に収容したものである。表示器15は、略角筒形状のケース体18内に配置されている。ケース体18の前端部には透光性カバー19が保持されている。透光性カバー19は、透光性樹脂からなるものであり、光軸に対して傾斜配置されている。ミラーユニット16を介して表示器15に入射した太陽光Mは、透光性カバー19によって下方に反射されるため、反射光が凹面鏡30に戻って車両ドライバー14に達して、車両ドライバー14が眩しさを感じることがない。ケース体18の後端部は、後述する放熱部材に固定されている。
【0013】
ミラーユニット16は、凹面鏡30,保持部材31及びステッピングモータ32を有している。凹面鏡30は、樹脂(例えばポリカーボネート)に金属(例えばアルミニウム)を蒸着させ反射面30aを形成したものである。反射面30aは凹面となっており、表示ユニット15が発した表示光Lが拡大されて虚像Vが表示される。凹面鏡30は保持部材31に両面粘着テープにより接着されている。保持部材31は樹脂(例えばABS)からなるものであり、歯車部34及び軸部35が一体に形成されている。保持部材31の軸部35はハウジング17に軸支されている。
【0014】
ステッピングモータ32の回動軸には歯車37が取付けられており、この歯車37は、保持部材31の歯車部34と噛合されている。凹面鏡30は保持部材31と共に回動可能な状態で支持されており、ステッピングモータ32により凹面鏡30を回動させ、表示光Lの投射方向を調整することができる。車両ドライバー14は、押ボタンスイッチ(図示しない)を操作し表示光Lが目の位置に反射されるように(即ち、虚像Vを視認できるように)凹面鏡30の角度を調整する。
【0015】
40は放熱部材であり、この放熱部材40は、ハウジング17の開口部17aに配設されている。放熱部材40は、図示しないビスによってフランジ部40aでハウジング17に固定されている。放熱部材40は、平板形状の多数の放熱フィン40bを有しており、発光ダイオード22が発した熱をハウジング17の外に放出する。42は長方形環状のパッキング部材であり、このパッキング部材42は、放熱部材40と、ハウジング17の開口部17aの間を塞ぐことによって、ハウジング17の中に塵埃が入ることを防いでいる。
【0016】
ハウジング17には表示器15及びミラーユニット16が収容される。ハウジング17には表示光Lが出射する出光部44が設けられている。この出光部44は透光性樹脂(例えばアクリル)からなるものであり、湾曲形状になっている。ハウジング17には遮光壁17cが設けられており、太陽光等の外光が表示ユニット15に入射し虚像Vが見えにくくなる現象(ウォッシュアウト)を防止している。遮光壁17cは平板形状になっており、ハウジング17の上部から斜めに垂下するように形成されている。
【0017】
次に、図3及び図4に基づいて、表示器15について詳述する。表示器15は、発光ダイオード表示パネル(表示素子)21と、配線部21bの全域に配設されたマイクロレンズ群22a,22bを有する光学素子22と、表示光Lが通過する窓部23aを有するカバー23と、発光ダイオード表示パネル21が搭載されるベース部24とを有している。発光ダイオード表示パネル21は、矩形の表示領域(所定領域)Aを有しており、種々の図形や文字を表示することができる。カバー23の窓部23aは、表示光Lの出射範囲Sに対応するように、表示領域Aよりも大きくなっている。
【0018】
光学素子22のマイクロレンズ群22a,22bは、発光ダイオード表示パネル21の表示領域Aよりも広い領域Cに配設されている。光学素子22のマイクロレンズ群22aは、発光ダイオード表示パネル21が発した表示光Lを屈折させて出射範囲Sに広げるものである。光学素子22のマイクロレンズ群22bはマイクロレンズ群22aの周辺に配設されている。マイクロレンズ群22bはダミーマイクロレンズであり、マイクロレンズ群22bには、発光ダイオード表示パネル21が発した表示光Lは入射しない。
【0019】
本実施形態によれば、光学素子22がマイクロレンズ群22bを有するため、マイクロレンズ群22aの周辺が額縁にように視認されることがなく、表示品位が良好である。なお、光学素子22のマイクロレンズ群22aとマイクロレンズ群22bとは、光線透過率が異なるものであっても良いし、光線透過率が同一であっても良い。また、光学素子22に反射防止コートを施しても良い。
【符号の説明】
【0020】
19 透光性カバー
21 発光ダイオード表示パネル(表示素子)
22a マイクロレンズ群
22b マイクロレンズ群
23a 窓部
A 表示領域(所定領域)
L 表示光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域に配設された複数の画素を有し表示光を発する表示素子と、前記表示素子が発した前記表示光を屈折させる光学素子と、を備えた表示装置であって、
前記光学素子は、前記画素が配設された前記所定領域よりも広い領域に配設されたマイクロレンズ群を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光学素子から出射した前記表示光が通過する窓部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光学素子の前記マイクロレンズ群は、前記窓部よりも広い領域に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−63646(P2012−63646A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208680(P2010−208680)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】