説明

表面不動態化コーティングを有するフィラーを含有する誘電性組成物

【課題】本発明は、樹脂とフィラーとを含む誘電性組成物に関する。
【解決手段】フィラーは、誘電性を上昇させるために使用され、その上に表面不動態化コーティングを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に、高誘電定数(「高k」とも呼ばれる)フィラーを含む誘電性組成物に関する。より詳細には、本発明の誘電体組成物は、少なくとも部分的には、高kフィラーに施用された不動態化コーティングのためにコンデンサ型の用途で有利には低い漏洩電流をもたらす。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス業界では、性能を落とさずにコンデンサをより小さくする必要性が存在する。コンデンサは電気的エネルギーを貯蔵する。同じ量の電気的エネルギーを貯蔵できるより小さいコンデンサを実現する1つの方法は、高誘電定数を有するフィラーを加えることである。通常、コンデンサの誘電層中に高誘電定数フィラーを使用することによって、フィラーを含有しない誘電体よりも面積が減少したコンデンサ中において誘電層の所与の厚さに対して同じ量の電荷を貯蔵することが可能になる。
【0003】
望ましくない漏洩電流は、高誘電定数フィラーの共通の欠点である。また、誘電性フィルムの厚さが減少するにつれて、漏洩電流が一般に増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンデンサの大きさを増加させることなくコンデンサ中に貯蔵される電気的エネルギーの量を増加させつつ、漏洩電流をも低減させる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、i.少なくとも1つの表面不動態化コーティングを含む10から65体積%のフィラーと、ii.35から90体積%の樹脂とを含む誘電性組成物を対象とする。フィラーは、常誘電性フィラー、強誘電性フィラーなどの任意の誘電性フィラーとすることができる。表面不動態化コーティングは、酸化物などとすることができ、一般に、フィラーの約0.1から最高約20重量%で存在させることができる。誘電性組成物は、フィルム、厚いフィルムペースト、ラミネートなどになるように作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書によって本発明の好ましい実施形態(複数可)がこれから説明されることになるが、本発明は、開示された任意の実施形態に本発明を限定するものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるところの本発明の趣旨および範囲内に含めることができる代替形態、改変形態および均等物のすべてをカバーするものである。
【0007】
一実施形態では、本発明の誘電性組成物は、i.少なくとも1つの表面不動態化コーティングを含む10から65体積%のフィラーと、ii.35から90体積%のポリマー型樹脂とを含む。
【0008】
本発明のフィラーは、任意の絶縁型材料、すなわち、10、50、100、500、1000、5000、または10,000オームを超える電子流に対する抵抗性を有する材料とすることができる。一実施形態では、フィラーは、セラミックの粒子、プレートレット、またはファイバを含む。有用なセラミックフィラーとして、アルミナ、シリカ、チタニアなどの金属酸化物が挙げられる。一実施形態では、フィラーは、最終組成物の誘電特性を向上させるものである。
【0009】
「誘電定数」という用語は、単位電位勾配に対して単位体積当り貯蔵される静電エネルギーを意味するものであり、材料のキャパシタンスと、該材料が空気または真空で置換された場合にもたらされるキャパシタンスとの比である。キャパシタンスは、所与の電位に対して貯蔵される電荷の量の目安である。キャパシタンスは、導電体の幾何学的な形状、および導電体間の誘電体の誘電特性が既知である場合、計算することができる。キャパシタンスは、導電体の表面積に比例し、導電体間の距離に反比例する。
【0010】
一部の実施形態では、フィラーは、有機材料、無機材料、またはそれらの混合物から選択される。一部の実施形態では、フィラーは、少なくとも50の誘電定数を有する。一部の実施形態では、フィラーは、少なくとも75の誘電定数を有する。一部の実施形態では、フィラーは、少なくとも150の誘電定数を有する。一部の実施形態では、フィラーは、50と10,000間の誘電定数を有するものから選択される。一部の実施形態では、フィラーは、50と150間の誘電定数を有するものから選択される。一部の実施形態では、フィラーは、70と150間の誘電定数を有する。一部の実施形態では、フィラーは、150と10,000間の誘電定数を有する。一部の実施形態では、フィラーは、300と10,000間の誘電定数を有するものから選択される。したがって、「高誘電定数」という用語は、少なくとも50の誘電定数を意味するものである。
【0011】
フィラーは、規則的または不規則的な形状を含めて任意の形状とすることができ、平滑な表面組織でも粗な表面組織でもよい。一部の実施形態では、多様な形状のフィラーが使用される。一部の実施形態では、フィラーは、粒子状である。一部の実施形態では、多様な組織を有するフィラーが使用される。一部の実施形態では、フィラー粒子は、平滑な表面の部分、および粗な他の部分を有する。一部の実施形態では、フィラーは、粒子の50%が1ミクロン未満である平均粒径分布を有する。一部の実施形態では、フィラーは、粒子の50%が0.75ミクロン未満である平均粒径分布を有する。一部の実施形態では、フィラーは、粒子の50%が0.5ミクロン未満である平均粒径分布を有する。一部の実施形態では、フィラーは、粒子の50%が0.4ミクロン未満である平均粒径分布を有する。粒径分布測定は、堀場LA−930分析計を用いて行われる。
【0012】
一部の実施形態では、フィラーは、以下の数値の任意の2つの間の量、および任意選択でそれらを含む量で存在する:組成物の10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、および65体積%。一部の実施形態では、フィラーは、組成物の10から65体積%の量で存在する。一部の実施形態では、フィラーは、組成物の15から50体積%の量で存在する。一部の実施形態では、フィラーは、組成物の20から40体積%の量で存在する。
【0013】
一部の実施形態では、フィラーは、少なくとも1つの常磁性フィラー、少なくとも1つの強磁性フィラー、または2つ以上のそうしたフィラーの混合物から選択される。有用な常磁性フィラーは、TiO、Ta、Hf、Nb、A1、ステアタイト、およびそれらの混合物である。有用な強磁性フィラーは、BaTiO、BaSrTi0、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、CaCuTiO、およびそれらの混合物である。
【0014】
常磁性フィラーは、電圧に対して電荷または分極が直線応答を示すセラミック粒子であり、印加電場を除去した後、フィラー構造内に電荷の全体的な可逆分極を示す。一部の実施形態では、常磁性フィラーは、50と150間の誘電定数を有するものから選択される。一部の実施形態では、常磁性フィラーは、そのバルク形態において、約1000ボルト/ミル以上の高い絶縁破壊電圧、および1012ohm−cm以上の体積抵抗率を示す。一部の実施形態では、常磁性フィラーは、温度の変化に伴う誘電定数の変化が非常に小さい。
【0015】
強磁性フィラーは、電圧に対して電荷および分極が非直線応答を示すセラミック粒子である。従来、強磁性フィラーが、誘電体の誘電定数を増加させるために使用されるのは、強磁性フィラーは、常磁性フィラーに比較してより大きい誘電定数を通常有するからである。強磁性フィラーは、150と10,000間の誘電定数を有する。強磁性材料のより大きい誘電定数は、電圧に対して電荷および分極が非直線応答をすることに起因する。こうした非直線応答は、強磁性材料の重要な特性である。強磁性フィラーは、結晶構造が非可逆変化を行うために、印加電場による分極のヒステリシス効果をも示す。強磁性フィラーに対する誘電定数は、温度と共に大きく変わることができる。強磁性フィラーはキュリー温度を有する。キュリー温度とは、強磁性フィラーが自発分極および強磁性特性を失う温度である。キュリー温度を超えた強磁性フィラーは、常磁性体のような挙動を示す。強磁性フィラーは、より大きい誘電定数を有するが、強磁性材料は、常磁性材料より漏洩電流が大きい傾向を有する。強磁性材料は、より低い誘電性保持電圧、およびキャパシタンスのより大きい温度による変化を示す傾向をも有する。
【0016】
フィラーは、表面不動態化コーティングを有する。本明細書では、「不動態化」という用語は、表面を処理することによって表面の活性を小さくすることを指す。表面不動態化コーティングとは、フィラーの外表面に施用した場合、コンデンサ中の誘電フィルムの漏洩電流を減少させる材料を指す。本明細書では、「コンデンサ」という用語は、その機能が電気的エネルギーを貯蔵することであるデバイスを指す。それは、絶縁または誘電材料によって分離された2つの導電層から作製されている。それは、直流電流の流れを遮断し、交流電流の流れを可能にする。本明細書では、「導電層」という用語は、金属層または金属ホイルを指す。導電層は、純粋な形態の元素として用いられる必要はなく;ニッケル、クロム、鉄、および他の金属を含有する銅合金などの金属ホイル合金として用いられてもよい。
【0017】
漏洩電流は、2つの電極間の絶縁体(誘電体)を通って流れる望ましくない量の電流である。絶縁体を通ってのこうした望ましくない電流の流れは、コンデンサ上の電荷を排出する。通常、誘電フィルムは、コンデンサからの電流の流れを防止することになると仮定されている。誘電フィルムの抵抗は、非常に大きいけれども、微小な量の電流が実際は流れる。一般に無視されているこうした少量の電流が漏出する。しかし、漏洩電流が異常に大きい場合、電荷の損失、およびコンデンサの過熱が起ることになる。漏洩電流は、時間、温度、および電圧と共に変わることができる。漏洩電流は、使用されるフィラーの量、および誘電層の厚さにも依存することになる。誘電層の厚さを減少させると、漏洩電流は増加することになる。漏洩電流は、2つの電極間に、および誘電層をまたいで電位を印加することによって測定される。2つの電極間の電流が測定される。測定された電流が、漏洩電流となることになろう。
【0018】
一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、有機材料、無機材料、およびそれらの混合物から選択される。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、50未満の誘電定数を有する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、30未満の誘電定数を有する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、10未満の誘電定数を有する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、酸化物である。本明細書では、「酸化物」という用語は、少なくとも1つの酸素原子と、他の元素を含有するが、炭素を含有しない化合物を指す。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、少なくとも2つの酸化物の混合物である。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、およびそれらの混合物からなる群から選択される酸化物である。
【0019】
一部の実施形態では、存在する表面不動態化コーティングの量に対して実用上の上限が存在する。表面不動態化コーティングの量が、フィラーに対して厚すぎる場合、誘電性組成物の誘電定数の所望の増加は、一般に実現されないことになる。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、以下の数値の任意の2つの間の量、および任意選択でそれらを含む量で存在する:フィラーの全重量の0.1、0.5、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および20重量%。表面不動態化コーティングは、フィラーの全重量の0.1から20重量%の量で存在する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、フィラーの全重量の0.5から15重量%の量で存在する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、フィラーの全重量の1から10重量%の量で存在する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、フィラーの全重量の3から9重量%の量で存在する。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、フィラーの表面上の、連続または非連続の単一層または1を超える層とすることができる。一部の実施形態では、連続均一コーティングが所望される。
【0020】
一実施形態では、表面不動態化コーティングは、フィラー上に溶液から任意の数の溶液成分からの酸化物材料を沈殿させることによって形成することができ、したがって、「湿式処理」と呼ばれる。一部の実施形態では、溶液のpHを制御することを必要とすることができる。一部の実施形態では、表面不動態化コーティングは、蒸気相堆積によって形成することができる。当業者であれば、フィラー上に表面不動態化コーティングを形成するための他の方法も知っているはずである。
【0021】
一部の実施形態では、DC500ボルトにおける漏洩電流は、以下の数値の任意の2つの間であり、および任意選択でそれらを含む:0.04、0.05、0.06、0.1、0.2、0.3、0.4、0.42、0.5、0.8、1.0、1.5、2.0、2.2、2.4、3、6、10、20、30、40、50、60、70、80、90、94、および100マイクロアンペア/cm。一部の実施形態では、本発明の組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC500ボルトにおいて0.04から94マイクロアンペア/cmである。一部の実施形態では、本発明の誘電性組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC500ボルトにおいて0.42から50マイクロアンペア/cmである。一部の実施形態では、本発明の誘電性組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC500ボルトにおいて2.4から32マイクロアンペア/cmである。
【0022】
一部の実施形態では、DC250ボルトにおける漏洩電流は、以下の数値の任意の2つの間であり、および任意選択でそれらを含む:0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.42、0.5、0.55、および0.6マイクロアンペア/cm。一部の実施形態では、本発明の誘電性組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC250ボルトにおいて0.001から0.6マイクロアンペア/cmである。一部の実施形態では、本発明の誘電性組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC250ボルトにおいて0.002から0.25マイクロアンペア/cmである。一部の実施形態では、本発明の誘電性組成物を含有するコンデンサの漏洩電流は、DC250ボルトにおいて0.002から0.04マイクロアンペア/cmである。
【0023】
本発明の樹脂とは、少なくとも1つの重合可能な化合物、少なくとも1つのポリマー、またはそれぞれの少なくとも1つを含む材料を指す。重合可能な化合物とは、それ自体または別の化合物と反応することによって反復構造単位からなる大分子を形成できる任意の化合物を意味する。構造単位とは、特定の三次元配置において共有結合によって結合した原子の比較的簡単な群を意味する。一部の実施形態では、重合可能な化合物は、モノマー、またはモノマーの組合せとすることができる。一部の実施形態では、重合可能な化合物は、低分子量ポリマーの前駆体とすることができる。本発明では、樹脂およびポリマーは、同じ意味で使用することができる。
【0024】
一部の実施形態では、樹脂は、コポリマーである。「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる反復単位を有するポリマーを意味するものである。一部の実施形態では、樹脂は、熱硬化性樹脂である。他の実施形態では、樹脂は、熱可塑性である。別の実施形態では、樹脂は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物でもよい。一部の実施形態では、重合可能な化合物は、限定されないが、放射線(例えば、マイクロウエーブ、紫外、赤外)への曝露を含めての熱、または他の手段を介して養生または硬化させることができる。一部の実施形態では、樹脂は、ポリアミン酸(ポリイミド前駆体)である。
【0025】
有用な樹脂として、エポキシ、アクリル酸、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルアミドイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ビスマレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン、液晶ポリマー、シアネートエステル、フルオロポリマー、および2つ以上の混合物が挙げられる。樹脂は市販されているか、または当技術分野でよく知られた技法によって作製することができる。
【0026】
一部の実施形態では、樹脂は、ポリイミドである。本発明のポリイミド樹脂を製造するのに有用な二無水物の一部の例として、限定されないが、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、およびチオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
本発明のポリイミド樹脂を製造するのに有用なジアミンの一部の例として、限定されないが、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3−アミノフェニル)ジエチルシラン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)−n−ブチルアミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、m−アミノベンゾイル−p−アミノアニリド、4−アミノフェニル−3−アミノ安息香酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)アニリン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス−2−(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、上記の位置異性体、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
一部の実施形態では、樹脂は、以下の数値の任意の2つの間であり、および任意選択でそれらを含む:35、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、および90体積%。一部の実施形態では、樹脂は、誘電性組成物の35から90体積%の量で存在する。一部の実施形態では、樹脂は、誘電性組成物の50から85体積%の量で存在する。一部の実施形態では、樹脂は、誘電性組成物の60から80体積%の量で存在する。
【0029】
一部の実施形態では、本明細書で記載のフィラーを含まない樹脂は、2から6の誘電定数を有する。一部の実施形態では、本明細書で記載のフィラーを含まない樹脂は、3から5の誘電定数を有する。誘電性組成物の誘電定数の樹脂単独と比較しての増加は、フィラーの体積分率、および使用したフィラーの誘電定数によって決定される。一部の実施形態では、誘電性組成物の誘電定数の増加は、50から90%である。一部の実施形態では、誘電性組成物の誘電定数の増加は、60から80%である。樹脂に添加できるフィラーの量に対する実用上の上限が存在する。高添加量では、誘電性組成物の物理的特性は、有害な影響を受けることができる。例えば、誘電性組成物は、脆くなることになる。こうした上限は、組成物が使用されることになる用途によって決定されることになる。
【0030】
溶媒を誘電性組成物に添加することによって樹脂内へのフィラーの分散を助けることができる。溶媒がポリマーと相容性であり、誘電性組成物の所望の特性に有害な影響を与えない限り、それは重要ではない。典型的な溶媒の例として、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール、かかるアルコールのエステル、例えば、アセテートおよびプロピオネート;松根油およびα−もしくはβ−テルピネオール、またはそれらの混合物などのテルペン、エチレングリコール、およびエチレングリコールモノブチルエーテルおよびブチルセロソルブアセテートなどのそのエステル;ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートおよびカルビトールアセテートなどのカルビトールエステル、ならびに他の適切な溶媒が挙げられる。
【0031】
誘電性組成物は、分散剤、接着剤、安定剤、酸化防止剤、均展剤、レオロジー性制御剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、静的制御剤、加工助剤、および誘電性組成物の所望の特性に有害な影響を与えないという条件で当技術分野で通常使用される任意の他の添加剤などの他の添加剤も含むことができる。
【0032】
誘電性組成物は、多様な形態で使用することができる。一部の実施形態では、組成物は、フィルムの形態である。本明細書では、「フィルム」という用語は、基材上の自立性フィルムまたはコーティングを指す。「フィルム」という用語は、「層」という用語と同じ意味で使用され、所望の区域を被覆することを指す。フィルムおよび層は、通常の任意の堆積技法、すなわち、蒸気堆積、液体堆積(連続および不連続技法)、および熱移動によって形成することができる。連続堆積技法として、限定されないが、スピンコーティング、グラビヤコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられる。不連続堆積技法として、限定されないが、インクジェット印刷、グラビヤ印刷、およびスクリーン印刷が挙げられる。本発明では、有用なフィルムの厚さは、2から50ミクロンの厚さである。一部の実施形態では、フィルムの厚さは、4から35ミクロンである。別の実施形態では、フィルムの厚さは、8から25ミクロンである。他の実施形態では、フィルムの厚さは、12から15ミルである。
【0033】
一部の実施形態では、組成物は、厚いフィルムペーストの形態とすることができる。本明細書では、「厚いフィルムペースト」という用語は、スクリーンを通して表面上に圧縮することによって層を形成できる材料を指す。材料は、導電性、抵抗性、または誘電性とすることができ、それらは、加熱されると、導電体、抵抗体、およびコンデンサを形成する。材料、または「ペースト」は、溶媒中に懸濁した固体からなる。
【0034】
一部の実施形態では、組成物は、ラミネートの形態である。本明細書では、「ラミネート」という用語は、材料の2つ以上の層を一緒に結合することによって構築される材料を指す。材料は、同じでも異なっていることもできる。一実施形態では、ラミネートは、少なくとも1つの金属層と、少なくとも1つの誘電層とを含む。別の実施形態では、ラミネートは、1つを超える金属層と、少なくとも1つの誘電層とを含む。別の実施形態では、ラミネートは、1つを超える金属層と、1つを超える誘電層とを含む。一部の実施形態では、金属層は、誘電層の一方の側の上に存在する。他の実施形態では、金属層は、誘電層の両方の側の上に存在する。一部の実施形態では、金属は、導電体として存在する。一部の実施形態では、金属は、金、チタン、銀、およびそれらの合金とすることができる。他の実施形態では、金属は、銅である。一部の実施形態では、金属層は、一方の側につや消し表面を有することによって、金属と誘電層間の接着が促進される。一部の実施形態では、金属層は、両方の側につや消し表面を有する。一部の実施形態では、ラミネートは、積層され、相互連結されることによって層のより複雑な配置をもたらすことができ、層は、多様な誘電定数および多様な厚さを有することができる。一部の実施形態では、誘電層は、金属層に加熱で結合させられる。一部の実施形態では、接着剤を使用することによって金属層と誘電層をラミネートさせることができる。一部の実施形態では、金属層は、10から40ミクロンの厚さを有する。一部の実施形態では、金属層は、18から35ミクロンの厚さを有する。一部の実施形態では、金属層は、20から30ミクロンの厚さを有する。
【0035】
ラミネートは、限定されないが:
溶融物または溶液を押出しまたは共押出しした後、金型中への流延。溶融物または溶液は、導電性金属ホイル上に直接流延することができる。あるいは、溶融物または溶液は、ドラム、ベルト、離型性フィルム、ガラスプレート、または適切な基材上に流延した後、次いで、導電性金属ホイルにラミネートまたは結合させることによって自立性フィルムとして流延することができる;
湿式コーティング法:導電性金属ホイル上への、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、グラビヤコーティング、「ドクターブレード」、ドローダウンロッド、ワイアワウンドロッド、流延ナイフ、空気ナイフ、ロール、ブラシ、スクイーズロール、キスロール、など;
カレンダリング、粉末流延、静電コーティング、蒸気堆積、またはスパッタリングを含めての当業者によって使用される任意の通常の方法によって製造することができる。
【0036】
溶液からの流延またはコーティングは、凝固または蒸発プロセスを使用することによって溶媒を除去することができる。ポリアミン酸またはエポキシなどの一部のポリマーは、最終化学成分を実現、または望ましい水準の物理的特性に到達する目的で、養生を必要とすることができる。養生は、コーティング/流延操作に続いて行うこともでき、または別の段階で行うこともできる。後者では、いわゆる「生の」または「B段階の」フィルム/コーティングが最初、調製される。フィルムは、限定されないが、延伸、ブロー、テンタリングなどの通常の方法を使用して一軸または二軸配向させることができる。
【0037】
一部の実施形態では、フィルムは、コンデンサ中の誘電層として使用することができる。本発明のフィルムを利用するコンデンサは、プリント配線板用として有用である。プリント配線板は、共通基板上の所定の配置において、プリントコンポーネントではなくて点−点結合を提供する構造体である。これは、剛性または可撓性いずれかの複合材料の片面もしくは両面、または多層構造とすることができる。他の有用な用途は、電子回路、リードフレームパッケージ、チップオンフレックスパッケージ、リードオンチップパッケージ、マルチチップモジュールパッケージ、ボールグリッドアレイパッケージ、チップスケールパッケージ、テープ自動化ボンディングパッケージ、またはビルドアップ多層パッケージ向けのパッケージである。多層パッケージング、プリント回路基板、BUM多層回路基板。
【0038】
本明細書では、「パッケージ」という用語は、電気的接続を可能にし、機械的および環境的な保護を提供する、1つまたは複数の半導体チップ用の筺体を指す。
【0039】
本明細書では、「リードオンチップパッケージ」という用語は、集積回路チップ面に位置する集積回路接続パッドと提携し、それに接続するように設計されたリードフレームを指す。こうした接続パッドは、集積回路が設計通りに機能するように、入力および出力信号のすべて、ならびに電源および接地用の接続がなされる点である。リードフレームの導電体は、ボンディングに適した任意の金属であってよく、選択的または非選択的に、当技術分野でよく知られたのと同じようにメッキされていてもよい。集積回路のそれぞれの種類は、特定のパターンの導電体を有するリードフレームを必要とする。このパターンは、半導体材料の技術分野でよく知られたエッチングまたはスタンピング原理を使用して作製することができる。特定の集積回路に対して正確なパターンを有することに加えて、リードフレームは、集積回路接続パッドと提携して、適切に配列、および保持されなければならない。いったん配列されると、リードフレームは、ワイヤボンディング、テープ自動化ボンディング(「TAB」)、ウエッジボンディング、または当技術分野でよく知られた他の方法によって集積回路接続パッドに接続することができる。
【0040】
本明細書では、「マルチチップモジュールパッケージ」という用語は、基材上に1つを超えるチップを含有するパッケージを指す。基材は、ケイ素、セラミックまたは金属の、高密度ラミネート化またはビルドアッププリント配線基材とすることができる。
【0041】
本明細書では、「ボールグリッドアレイパッケージ」という用語は、パッケージに対する外部接続が、すべて共通の平面上にある、ボール型接続、通常、ハンダのアレイを介して行われるパッケージを指す。
【0042】
本明細書では、「チップスケールパッケージ」という用語は、ピンまたはワイヤの代わりに、全体の大きさがチップより10から20%大きい接触パッドを使用する集積回路チップキャリアを指す。
【0043】
本明細書では、「テープ自動化ボンディングパッケージ」という用語は、可撓性テープまたはプラスチックキャリア上に支持された厳密にエッチングしたリードが、チップ上のボンディングパッド上に自動的に位置決めされるプロセスを指す。次いで、加熱された圧力ヘッドが、アッセンブリ上に降ろされ、それによって、チップ上のパッドにリードを同時に加熱−圧縮−ボンディングする。次いで、チップは、エポキシまたはプラスチックを用いて封止(「グロブトップド(glob topped)」)される。
【0044】
本明細書では、「ビルドアップ多層パッケージ」という用語は、PWBラミネートコアの一方または両方側に有機誘電層およびパターン付銅層を加えることによってビルドアップされたプリント配線板の層を指す。
【0045】
「リードフレームパッケージ」という用語は、リードを備えた長方形の金属フレームを指す。フレームは、半導体ダイに接続されるリードを含有する。パッケージを封止したまたは蓋をした後で、フレームを切断除去し、パッケージから延伸するリードを残す。
【0046】
本明細書では、「チップオンフレックスパッケージ」という用語は、可撓性基材上に直接チップを載せ、続いて、電気的に相互を接続するために、ワイヤボンディング、自動化テープボンディング、またはフリップチップボンディングを行うことを指す。次いで、チップは、エポキシまたはプラスチックを用いて封止(「グロブトップド(glob topped)」)される。
【0047】
本明細書では、「フリップチップ」という用語は、一方の側に、ハンダパッドまたはバンプ接触体の形態のすべての端部を有する半導体ダイを指す。チップの表面を不動態化した後、それは、マッチングする基材に取り付けるためにフリップされる。
【0048】
本明細書では、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語またはそれらの任意の他の変形は、非排他的含有を意味するものとする。例えば、一連の要素を含む方法、プロセス、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されることなく、明確に列挙されていない、または、かかる方法、プロセス、物品、または装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、明確にそうではないと言明されていない限り、「または」は、包括的なまたはであり、排他的なまたはではない。例えば、条件AまたはBは、以下の任意の1つに当てはまる:Aが真実(または存在する)であり、Bが虚偽(または存在しない)である、Aが虚偽(または存在しない)であり、Bが真実(または存在する)である、および、AもBも共に真実(または存在する)である。
【0049】
また、「a」、「an」、または「the」の使用は、本発明の要素およびコンポーネントを記載するために用いられる。これは、便宜上のためにのみ、および本発明の一般性を示すために行われる。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数は、複数をも含む。
【0050】
[実施例]
本発明を以下の実施例においてさらに説明することにするが、該実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
誘電定数を求めるための方法は、ASTM D150「固体電気絶縁体のAC損失特性および誘電率(誘電定数)のための標準試験方法」において記載されている。複合フィルムの誘電定数を、直径2.5cmのコンデンサのキャパシタンス測定値に基づいて計算した。
【0052】
漏洩電流を、室温で、Hipotronics H300B Series HiPotおよびMegohmmeterを用いて測定する。250および500ボルトDC電位を2つの銅ホイル電極の間に、および誘電層をまたいで印加する。この電位において、2つの電極間の電流を測定し、コンデンサ電極の単位面積当りの電流に換算する。
R−101 コーティングを含む粒子の全重量に対して、1.7重量%のアルミナをTiO粒子表面上に含有する二酸化チタン。DuPontから市販されている。
R−706 コーティングを含む粒子の全重量に対して、2.4重量%のアルミナおよび3重量%のシリカをTiO粒子表面上に含有する二酸化チタン。DuPontから市販されている。
R−960 コーティングを含む粒子の全重量に対して、3.3重量%のアルミナおよび5.5重量%のシリカをTiO粒子表面上に含有する二酸化チタン。DuPontから市販されている。
R−350 コーティングを含む粒子の全重量に対して、1.7重量%のアルミナおよび3.0重量%のシリカをTiO粒子表面上に含有する二酸化チタン。DuPontから市販されている。
JEC RA ロールアニールされた厚さ35ミクロンの銅ホイル。
実施例で使用されるポリアミン酸は、ガラス転移温度が約250℃である、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、および1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−134)のコポリマーである。
【実施例1】
【0053】
スラリー2バッチを調製する。1つのバッチは、R−101を含有し、第2のバッチは、R−706を含有する。窒素パージされた混合タンク内でCowlesブレード分散器を使用して以下の調合に従ってスラリーを調製する:
DMAC(ジメチルアセトアミド)溶媒 5534グラム
TiOフィラー 2903グラム
19重量%ポリアミン酸DMAC溶液 635グラム
DMACおよびTiOを約30分間最初に分散させる。次いで、ポリアミン酸溶液を加えて、15分間分散させる。0.6〜0.8mmケイ酸ジルコニウム媒体を用いて、PremierモデルHM1.5(1.5リットル)媒体ミル(Premier Mill Co.、Reading、ペンシルバニア)を使用して再循環モードでスラリーを粉砕する。再循環レートは、10〜20GPHである;チップ速度は、2200〜2400FPMであった。狭い滞留時間分布を実現することを目的として、>10バッチ回転を保障するのに十分な長さでスラリーを粉砕する。
【0054】
スラリー384.3グラムを、追加のポリアミン酸溶液608.3グラムと共に混合する。PMDA仕上げ溶液(6重量%DMAC溶液)を攪拌しながら分割して加えることによって混合物の粘度を50PaSまで上昇させる。
【0055】
ステンレス鋼製流延ロッドを使用して、JEC RA銅ホイルの処理側上にできあがった分散液を手で流延する。流延物をまず150℃で乾燥させることによって大部分の溶媒を除去し、次いで355℃の空気強制循環オーブン中で養生する。養生されたコーティングは、厚さ公称12ミクロンであり、51重量%のTiO(26体積%)を含有していた。
【0056】
次いで、銅ホイルの1つのシート上にコートされた二酸化チタン充填養生フィルムを銅ホイルの別のシートにラミネートする。各銅シートは、厚さ35ミクロンである。真空下、250℃1.5時間シートを保持することによってラミネーション圧縮サイクルを開始する。最後の1/2時間、0.70kg/cmの圧力をシートにかける。次いで、追加の1時間、温度を350℃まで上昇させる。この高温が30分経過した後、圧力を24.7kg/cmまで上昇させる。次いで、加熱を停止し、冷却後、試料を取り出す。
【0057】
乾燥フィルムフォトレジストイメージングおよび銅エッチングを使用して、直径1インチのコンデンサを、試験のために銅ホイルの1つの中にイメージする。イメージコンデンサを電気的に試験した後、銅ホイルをエッチングによって除去し、誘電厚さを測定する。誘電厚さは、厚さ12から30ミクロンの範囲である。
【0058】
TiOフィラーは、ポリマーの誘電定数3.4と比較して、複合材の誘電定数を約7から8まで上昇させる。複合材の誘電定数は、両方の型のTiOに対して同じであり、その定数は、ルチル型結晶構造を有するTiO粒子の誘電定数と一致する。より大きい充填率が可能であることは明らかであり、より大きい充填率によって、より大きい複合材の誘電定数がもたらされるであろう。
【0059】
厚さ15ミクロンでは、R−101に対する漏洩電流は、それぞれ、250および500ボルトDCで0.6および94.0マイクロアンペア/cmである。同じ厚さで、R−706に対する漏洩電流は、それぞれ、250および500ボルトDCで0.05および0.42マイクロアンペア/cmである。
【実施例2】
【0060】
スラリー3バッチを調製する。1つのバッチは、R−706を含有し、第2のバッチは、R−960を含有し、第3のバッチは、R−350を含有する。窒素パージされた混合タンク内でCowlesブレード分散器を使用して以下の調合に従ってスラリーを調製する:
DMAC 443.5グラム
TiO 600.0グラム
23重量%ポリアミン酸DMAC溶液 156.5グラム
窒素パージされた容器中でプロペラ型の攪拌器を用いてスラリーを混合する。ポリアミン酸溶液をDMAC中に溶解させ、次いで、TiO粉末を加えて十分分散するまで混合する。2800RPMの軸速度で、0.8mm酸化ジルコニウム媒体を用いて、Netzsch MiniZETA媒体ミル(Netzsch Inc.,Exton、ペンシルバニア)中で、再循環モードで30分間スラリーを粉砕する。
【0061】
各スラリー346.0グラムを追加のポリアミン酸溶液645.8グラムとブレンドする。PMDA仕上げ溶液(6%DMAC溶液)を攪拌しながら分割して加えることによって混合物の粘度を50PaSまで上昇させる。
【0062】
ステンレス鋼製流延ロッドを使用して、JEC RA銅ホイルの処理側上にできあがった分散液を手で流延する。流延物をまず150℃で乾燥させることによって大部分の溶媒を除去し、次いで355℃で空気強制循環オーブン中で養生する。養生されたコーティングは、厚さ公称12ミクロンであり、58重量%のTiO(31体積%)を含有していた。
【0063】
次いで、銅ホイルの1つのシート上にコートされた二酸化チタン充填養生フィルムを銅ホイルの別のシート上にラミネートする。各銅シートは、厚さ35ミクロンである。真空下、250℃で1.5時間シートを保持することによってラミネーション圧縮サイクルを開始する。最後の1/2時間、0.70kg/cmの圧力をシートにかける。次いで、追加の1時間、温度を350℃まで上昇させる。この高温が30分経過した後、圧力を24.7kg/cmまで上昇させる。次いで、加熱を停止し、冷却後、試料を取り出す。
【0064】
乾燥フィルムフォトレジストイメージングおよび銅エッチングを使用して、直径1インチのコンデンサを、試験のために銅ホイルの1つの中にイメージする。イメージコンデンサを電気的に試験した後、銅ホイルをエッチングによって除去し、誘電厚さを測定する。誘電厚さは、厚さ7から29ミクロンの範囲である。
【0065】
TiOフィラーは、ポリマーの誘電定数3.4と比較して、複合材の誘電定数を9に上昇させる。複合材の誘電定数は、そらぞれの型のTiO重量%に基づいてすべての型のTiOに対して同じである。複合材の誘電定数は、ルチル型結晶構造を有するTiO粒子の誘電定数と一致する。より大きい充填率が可能であり、より大きい充填率によって、より大きい複合材の誘電定数がもたらされるであろう。
【0066】
厚さ12ミクロンでは、R−960、R−706、およびR−350に対する漏洩電流は、それぞれ、500ボルトDCで0.04、2.4、および32マイクロアンペア/cmである。250ボルトDCでは、漏洩電流は、それぞれ、0.002、0.02、および0.04マイクロアンペア/cmであった。実施例1からの外挿によると、R101 TiOに対する漏洩電流は、添加率58重量%、厚さ12ミクロンで2および200マイクロアンペア/cmを超えたであろうことが示唆される。実施例では、表面不動態化コーティングの重量%が増加するにつれて、漏洩電流が減少することが示される。
【0067】
一般的な記述または実施例において上記された働きのすべては、必ずしも必要ではなく、特定の働きの一部分は、必要としなくてもよく、および、上記の働きに加えてさらなる働きをすることもできることに留意されたい。さらに、それぞれの働きが列挙されている順序は、必ずしもそれぞれの働きが行われる順序ではない。本明細書を読んだ後、当業者は、どの働きが彼らの特定の必要性または希望のために使用できるかを決定できることになる。
【0068】
前記明細書では、本発明は、特定の実施形態を参照して説明された。しかし、当業者には、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、多様な改変および変更を行うことができることが理解されよう。したがって、明細書および図は、限定的ではなく例示的であると見なすべきであり、そうした改変形態は、本発明の範囲内に含まれるものである。
【0069】
特定の実施形態によって、利益、他の利点、および課題に対する解決策が上述された。しかし、利益、他の利点、課題に対する解決策、および、任意の利益、利点、解決策を生起させる、またはより顕著にさせることができる任意の要素(複数可)は、任意のまたはすべての特許請求の範囲の重要な、必要な、または基本的な特徴もしくは要素と見なされるべきではない。
【0070】
量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、上限値および下限値の範囲、好ましい範囲、またはリストとして与えられた場合、範囲が別個に開示されているかいないかに拘らず、任意の範囲上限値もしくは好ましい値、および任意の範囲下限値もしくは好ましい値の任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものであると理解されるべきである。数値の範囲が本明細書で示される場合、別段の指示がない限り、該範囲は、その終点および、範囲内のすべての整数と端数を含むものとする。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙される特定値に限られると理解されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電性組成物であって、
A.少なくとも1つの表面不動態化コーティングを含む10から65体積%のフィラーと、
B.35から90体積%の樹脂と、
を含むことを特徴とする誘電性組成物。
【請求項2】
フィラーは、常誘電性フィラー、強誘電性フィラー、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項3】
フィラーは、TiO、Ta、Hf、Nb、A1、ステアタイト、およびそれらの混合物からなる群から選択される常誘電性フィラーであることを特徴とする請求項2に記載の誘電性組成物。
【請求項4】
フィラーは、BaTiO、BaSrTi0、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、CaCuTiO、およびそれらの混合物からなる群から選択される強誘電性フィラーであることを特徴とする請求項2に記載の誘電性組成物。
【請求項5】
表面不動態化コーティングは、酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項6】
酸化物は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、または他の不動態化無機酸化物、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の誘電性組成物。
【請求項7】
表面不動態化コーティングは、フィラーの0.1から最高20重量%存在することを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項8】
樹脂は、エポキシ、アクリル酸、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルアミドイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ビスマレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン、液晶ポリマー、シアネートエステル、フルオロポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項9】
フィルムの形態であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項10】
厚いフィルムペーストの形態であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項11】
ラミネートの形態であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物。
【請求項12】
漏洩電流は、100から500ボルトDCで0.5マイクロアンペア/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物を含むコンデンサ。
【請求項13】
漏洩電流は、100から500ボルトDCで0.2マイクロアンペア/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の誘電性組成物を含むコンデンサ。
【請求項14】
請求項12に記載のコンデンサを含むことを特徴とするプリント配線板。
【請求項15】
電子回路をパッケージするために使用され、リードフレームパッケージ、チップオンフレックスパッケージ、リードオンチップパッケージ、マルチチップモジュールパッケージ、ボールグリッドアレイパッケージ、チップスケールパッケージ、テープ自動化ボンディングパッケージ、またはビルドアップ多層パッケージ、およびチップのみならず回路基板でのより大きな用途において使用されることを特徴とする請求項11に記載のラミネート。

【公開番号】特開2009−117836(P2009−117836A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284723(P2008−284723)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】