説明

表面処理方法及び成膜方法

【課題】基板の表面にビアが形成された基板を密着促進剤により処理するときに、ビアの底に液溜まりを形成せずに表面処理できる表面処理方法及び成膜方法を提供する。
【解決手段】処理容器20内に搬入されており、表面に穴部が形成されている基板の表面を、密着促進剤を気化させた密着促進剤ガスにより処理する表面処理方法において、基板を加熱するとともに、処理容器20内に密着促進剤ガスと水蒸気とを供給し、供給された密着促進剤ガスと、加熱されている基板とを、水分を含む雰囲気中で反応させることによって、基板の表面を処理する表面処理工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面を処理する表面処理方法、及び、基板に膜を成膜する成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスに用いられる材料は、近年無機材料から有機材料へと幅を広げつつあり、無機材料にはない有機材料の特質等から半導体デバイスの特性や製造プロセスをより最適なものとすることができる。
【0003】
このような有機材料の1つとして、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドは、絶縁性が高い。従って、基板の表面にポリイミドを成膜して得られるポリイミド膜は、絶縁膜として用いることができ、半導体デバイスにおける絶縁膜として用いることも可能である。例えば、基板を貫通する電極、又は、基板の表面から深さ方向に沿って延在する電極を形成するときは、基板を貫通するビアを形成するか、又は、表面から所定の深さまでビアを形成し、形成したビアの側面に絶縁膜を形成することがある。
【0004】
このようなポリイミド膜を成膜する方法としては、原料モノマーとして例えばピロメリット酸二無水物(PMDA)と、例えば4,4'−オキシジアニリン(ODA)を含む4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを用いた蒸着重合による成膜方法が知られている。蒸着重合は、原料モノマーとして用いられるPMDA及びODAを基板の表面で熱重合反応させる方法である(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、PMDA及びODAのモノマーを気化器で蒸発させ、蒸発させたそれぞれの蒸気を蒸着重合室に供給し、基板上で蒸着重合させてポリイミド膜を成膜する成膜方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4283910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなPMDAガスとODAガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する際には、以下のような問題がある。
【0007】
基板に成膜されたポリイミド膜の密着性を向上させるために、成膜前の密着促進剤による表面処理が必要である。密着促進剤による表面処理は、基板表面を、例えばシランカップリング剤等の密着促進剤の液に浸漬させて処理するものである。
【0008】
ところが、基板の表面に、表面から所定の深さまでビアが形成された基板を、密着促進剤の液に浸漬させて表面処理する場合、表面処理の後、密着促進剤が乾燥する際に、乾燥によって濃縮した密着促進剤がビアの底に溜まる液溜まりが形成されることがある。ビアの底に液溜まりが形成されると、ビアの側面のうち、底に近い側と遠い側とでは、表面状態が異なる。そのため、表面処理後、ビアの側面に成膜されるポリイミド膜を均一な膜厚で形成することができない。
【0009】
更に、上記した課題は、PMDAガスよりなる原料ガス、及び、ODAガスよりなる原料ガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する場合に限定されず、各種の原料ガスを基板に供給して各種の膜を成膜する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板の表面にビアが形成された基板を密着促進剤により処理するときに、ビアの底に液溜まりを形成せずに表面処理できる表面処理方法及び成膜方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、処理容器内に搬入されており、表面に穴部が形成されている基板の前記表面を、密着促進剤を気化させた密着促進剤ガスにより処理する表面処理方法において、前記基板を加熱するとともに、前記処理容器内に前記密着促進剤ガスと水蒸気とを供給し、供給された前記密着促進剤ガスと、加熱されている前記基板とを、水分を含む雰囲気中で反応させることによって、前記基板の表面を処理する表面処理工程を有する、表面処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板の表面にビアが形成された基板を密着促進剤により処理するときに、ビアの底に液溜まりを形成せずに表面処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法を行うための成膜装置を概略的に示す平面図である。
【図2】表面処理部の構成を示す正面図である。
【図3】成膜部の構成を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表面処理方法及び成膜処理方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】密着促進剤としてシランカップリング剤を用いたときのウェハの表面における反応を示す図である。
【図6】DHF(希フッ酸)洗浄の後、SC1(アンモニア過水)洗浄して表面をヒドロキシ基で終端するときのウェハの表面の状態を示す図である。
【図7】比較例として表面にビアが形成されたウェハを密着促進剤の液に浸漬させて表面処理した後のビアの周辺の状態を模式的に示す断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法を行うための成膜装置を概略的に示す平面図である。
【図9】ローディングエリアを概略的に示す斜視図である。
【図10】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図11】成膜容器の構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
最初に、図1から図7を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法について説明する。本実施の形態に係る成膜方法は、例えばピロメリット酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride、以下「PMDA」と略す。)を気化させた第1の原料ガスと、例えば4,4'−3オキシジアニリン(4,4'-Oxydianiline、以下「ODA」と略す。)を気化させた第2の原料ガスとを、成膜容器内に供給することによって、基板にポリイミド膜を成膜する成膜方法に適用することができる。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法を行うための成膜装置10を概略的に示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る成膜装置10は、ポート11A〜11C、ローダ12、ロードロック13A、13B、搬送室14、複数の表面処理部15、及び成膜部16を有する。
【0018】
ポート11A〜11Cには、ローダ12が接続されている。ローダ12には、ロードロック13A、13Bが接続されている。ロードロック13A、13Bには、搬送室14が接続されている。搬送室14には、表面処理部15が2つ接続されており、成膜部16が1つ接続されている。また、搬送室14には、ウェハをロードロック13A、13Bと表面処理部15及び成膜部16との間で搬送するための搬送アーム14aが設けられている。
【0019】
なお、表面処理部15と成膜部16の数は、特に限定されるものではなく、スループットを向上させるために、表面処理及び成膜処理の条件に応じて、任意の数に変更可能である。
【0020】
図2は、表面処理部15の構成を示す正面図である。
【0021】
表面処理部15は、処理容器20、密着促進剤供給機構30、水蒸気供給機構40、供給管50及び排気機構55を有する。
【0022】
処理容器20は、処理室21、ヒータ(加熱装置)22及び基板保持部23を有する。ヒータ22は、抵抗体22a及び電源22bを有する。ヒータ(加熱装置)22は、電源22bから抵抗体22aに電力を供給することによって、表面処理の際にウェハWを加熱する。基板保持部23は、ウェハWを保持する。基板保持部23は、ウェハWを1枚保持可能に設けられている。
【0023】
密着促進剤供給機構30は、気化器31及び密着促進剤ガス供給管32を含む。気化器31は、バルブ31aを介し、密着促進剤ガス供給管32に接続されている。密着促進剤ガス供給管32は、合流点Gで後述する水蒸気供給管42と合流し、処理容器20内に設けられた供給管50に接続されている。密着促進剤供給機構30は、水蒸気供給機構40により処理容器20内に水蒸気を供給している状態で、密着促進剤を気化させた密着促進剤ガスを密着促進剤供給機構30により処理容器20内に供給し、水分を含む雰囲気で、ウェハWの表面を密着促進剤ガスにより処理するためのものである。
【0024】
なお、密着促進剤ガス供給管32と水蒸気供給管42とは、処理容器20内で合流してもよい。すなわち、合流点Gは、処理容器20内にあってもよい。
【0025】
気化器31は、保持容器33、ガス導入部34及びガス導出部35を有する。
【0026】
保持容器33の内部には、例えばシランカップリング剤等の密着促進剤SCが充填可能に設けられている。保持容器33の内部には、加熱機構36が設けられており、保持容器33の内部に充填された密着促進剤SCを、加熱機構36により加熱して気化することができる。なお、加熱機構36としてヒータ等を用いることができる。また、保持容器33を加熱することができればよく、加熱機構36は、保持容器33の任意の場所に設けることができる。
【0027】
ガス導入部34は、保持容器33に、保持容器33で気化した密着促進剤ガスを搬送するための例えば窒素(N)ガス等の不活性ガスよりなる密着促進剤キャリアガスを、密着促進剤キャリアガス供給部37から導入する。ガス導入部34は、ガス導入管34a及びガス導入口34bを有する。ガス導入管34aは、密着促進剤ガスを搬送する密着促進剤キャリアガスを保持容器33の外部から保持容器33の内部へ導入するための配管である。ガス導入管34aは、保持容器33の上面を貫通するように保持容器33の上面に取り付けられるとともに、保持容器33の内部を上方から下方に延在するように設けられている。また、ガス導入管34aは、一端が保持容器33の底部において開口するとともに、他端が保持容器33の外部で密着促進剤キャリアガス供給部37に接続されている。ガス導入口34bは、ガス導入管34aの下端に形成された開口である。
【0028】
図2では、ガス導入口34bが密着促進剤SCの液面よりも下方にあり、ガス導入口34bから供給された密着促進剤キャリアガスが密着促進剤SCをバブリングする場合を例示している。しかし、ガス導入口34bは、密着促進剤SCの液面よりも上方にあってもよく、ガス導入口34bから供給された密着促進剤キャリアガスが密着促進剤SCをバブリングしなくてもよい。
【0029】
ガス導出部35は、保持容器33から、密着促進剤キャリアガスとともに気化した密着促進剤ガスを導出する。ガス導出部35は、ガス導出管35a及びガス導出口35bを有する。ガス導出管35aは、密着促進剤ガスおよび密着促進剤キャリアガスを保持容器33の内部から保持容器33の外部へ導出するための配管である。ガス導出管35aは、保持容器33の上面を貫通するように保持容器33の上面に取り付けられている。また、ガス導出管35aは、一端が保持容器33の内部上方で開口されるように設けられており、他端が保持容器33の外部で密着促進剤ガス供給管32に接続されている。ガス導出口35bは、ガス導出管35aの下端に形成された開口である。
【0030】
水蒸気供給機構40は、気化器41及び水蒸気供給管42を含む。気化器41は、バルブ41aを介し、水蒸気供給管42に接続されている。水蒸気供給管42は、合流点Gで前述した密着促進剤ガス供給管32と合流し、処理容器20内に設けられた供給管50に接続されている。水蒸気供給機構40は、密着促進剤供給機構30により密着促進剤ガスを供給するとともに、水蒸気供給機構40により水蒸気を処理容器20内に供給し、水分を含む雰囲気で、ウェハWの表面を密着促進剤ガスにより処理するためのものである。
【0031】
気化器41は、保持容器43、ガス導入部44及びガス導出部45を有する。
【0032】
保持容器43の内部には、水DIWが充填可能に設けられている。保持容器43の内部には、加熱機構46が設けられており、保持容器43の内部に充填された水DIWを、加熱機構46により加熱して気化することができる。なお、加熱機構46としてヒータ等を用いることができる。また、保持容器43を加熱することができればよく、加熱機構46は、保持容器43の任意の場所に設けることができる。
【0033】
ガス導入部44は、保持容器43に、保持容器43で気化した水蒸気を搬送するための例えば窒素(N)ガス等の不活性ガスよりなる水蒸気キャリアガスを、水蒸気キャリアガス供給部47から導入する。ガス導入部44は、ガス導入管44a及びガス導入口44bを有する。ガス導入管44aは、水蒸気を搬送する水蒸気キャリアガスを保持容器43の外部から保持容器43の内部へ導入するための配管である。ガス導入管44aは、保持容器43の上面を貫通するように保持容器43の上面に取り付けられるとともに、保持容器43の内部を上方から下方に延在するように設けられている。また、ガス導入管44aは、一端が保持容器43の底部において開口するとともに、他端が保持容器43の外部で水蒸気キャリアガス供給部47に接続されている。ガス導入口44bは、ガス導入管44aの下端に形成された開口である。
【0034】
図2では、ガス導入口44bが水DIWの液面よりも下方にあり、ガス導入口44bから供給された水蒸気キャリアガスが水DIWをバブリングする場合を例示している。しかし、ガス導入口44bは、水DIWの液面よりも上方にあってもよく、ガス導入口44bから供給された水蒸気キャリアガスが水DIWをバブリングしなくてもよい。
【0035】
ガス導出部45は、保持容器43から、水蒸気キャリアガスとともに気化した水蒸気を導出する。ガス導出部45は、ガス導出管45a及びガス導出口45bを有する。ガス導出管45aは、水蒸気および水蒸気キャリアガスを保持容器43の内部から保持容器43の外部へ導出するための配管である。ガス導出管45aは、保持容器43の上面を貫通するように保持容器43の上面に取り付けられている。また、ガス導出管45aは、一端が保持容器43の内部上方で開口されるように設けられており、他端が保持容器43の外部で水蒸気供給管42に接続されている。ガス導出口45bは、ガス導出管45aの下端に形成された開口である。
【0036】
供給管50は、処理室21の上面を貫通して下方向へ延びるように設けられている。供給管50の先端には、処理容器20内に開口する供給孔50aが形成されている。供給管50は、密着促進剤供給機構30及び水蒸気供給機構40から合流して供給管50を流れる気化した密着促進剤ガス及び水蒸気を、供給孔50aを介して処理容器20内に供給する。供給孔50aは、基板保持部23に保持されたウェハWの近傍に、1箇所設けられているのが好ましい。これにより、供給孔50aより吐出された密着促進剤ガス及び水蒸気を、処理容器20内に一様に拡散させることができる。
【0037】
排気機構55は、排気装置56及び排気管57を含む。排気機構55は、処理容器20内から排気管57を介してガスを排気するためのものである。
【0038】
図3は、成膜部16の構成を示す平面図である。
【0039】
成膜部16は、成膜容器60、供給機構70、パージガス供給機構90及び排気機構95を有する。
【0040】
成膜容器60は、反応室61、ヒータ(加熱装置)62及び基板保持部63を有する。基板保持部63は、ウェハWを保持可能であってかつ回転可能に設けられている。ただし、基板保持部63は、ウェハWを1枚保持可能に設けられている。ヒータ(加熱装置)62は、反応室61の周囲を覆うように設けられており、反応室61内を所定の温度例えば50〜1200℃に加熱制御可能である。
【0041】
供給機構70は、原料ガス供給部71、及び、成膜容器60内に設けられたインジェクタ72を含む。インジェクタ72は、供給管73aを含む。原料ガス供給部71は、インジェクタ72の供給管73aに接続されている。
【0042】
本実施の形態では、供給機構70は、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bを有していてもよい。このとき、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bは、それぞれバルブ71c、71dを介し、インジェクタ72(供給管73a)に接続されている。第1の原料ガス供給部71aは、例えばPMDA原料を気化するための第1の気化器74aを有し、PMDAガスを供給することができる。また、第2の原料ガス供給部71bは、例えばODA原料を気化するための第2の気化器74bを有し、ODAガスを供給することができる。
【0043】
供給管73aには成膜容器60内に開口する供給孔75が形成されている。インジェクタ72は、原料ガス供給部71から供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0044】
また、供給管73aは、水平方向に延在するように設けられていてもよい。そして、供給管73aには、複数の供給孔75が形成されていてもよい。なお、供給孔75の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0045】
インジェクタ72は、内側供給管73bを含むことが好ましい。内側供給管73bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも上流側の部分に収容されていてもよい。そして、内側供給管73bの下流側の端部付近には、供給管73aの内部空間に第1の原料ガス及び第2の原料ガスのいずれか一方の原料ガスを供給するための開口76が形成されていてもよい。このような構造を有する内側供給管73bを含むことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを供給孔75から成膜容器60内に供給する前に、予め供給管73aの内部空間において第1の原料ガスと第2の原料ガスとを十分混合させることができる。
【0046】
なお、以下では、供給管73aに第1の原料ガスを供給し、内側供給管73bに第2の原料ガスを供給する場合を例示して、説明する。しかし、内側供給管73bに第1の原料ガスを供給し、供給管73aに第2の原料ガスを供給してもよい。
【0047】
また、開口76の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0048】
供給機構70は、例えば供給管73aに第1の原料ガスを流すとともに、内側供給管73bに第2の原料ガスを流す。そして、内側供給管73bを流れる第2の原料ガスを、開口76を介して供給管73aに合流させ、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを混合させた状態で、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0049】
パージガス供給機構90は、パージガス供給部91、及びパージガス供給管92を含む。パージガス供給部91は、パージガス供給管92を介して成膜容器60に接続されており、成膜容器60内にパージガスを供給する。また、パージガス供給管92の途中には、パージガス供給部91と成膜容器60の内部とを連通又は遮断するためのバルブ93が設けられている。
【0050】
排気機構95は、排気装置96及び排気管97を含む。排気機構95は、成膜容器60内から排気管97を介してガスを排気するためのものである。
【0051】
制御部100は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、成膜装置10を構成する表面処理部15及び成膜部16等の各部に制御信号を送り、後述するような表面処理及び成膜処理を実行する。
【0052】
次に、本実施の形態に係る表面処理方法及び成膜処理方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る表面処理方法及び成膜処理方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0053】
始めに、ステップS11では、表面処理部15の処理容器20に搬入されているウェハWの表面を密着促進剤により処理する(表面処理工程)。なお、表面処理工程は、本発明における処理工程に相当する。
【0054】
図1に示した成膜装置10の例では、予め、表面にビアが形成されたウェハWをポート11A〜11Cに収納しておく。そして、ローダ12に設けられた図示しない搬送アームによりウェハWをロードロック13A、13Bに受け渡す。更に、搬送アーム14aにより、ロードロック13A、13Bに受け渡されたウェハWを受け取る。そして、受け取ったウェハWを搬送アーム14aにより表面処理部15の処理容器20内に設けられた基板保持部23に受け渡すことによって、処理容器20内にウェハWを搬入する。
【0055】
なお、ウェハWの表面に形成されたビアは、本発明における穴部に相当する。
【0056】
次いで、ヒータ22によりウェハWを加熱し、密着促進剤供給機構30により処理容器20内に密着促進剤ガスを供給するとともに、水蒸気供給機構40により処理容器20内に水蒸気を供給する。そして、供給された密着促進剤ガスと、加熱されているウェハWとを、水分を含む雰囲気中で反応させることによって、ウェハWの表面を処理する。
【0057】
図5は、密着促進剤としてシランカップリング剤を用いたときのウェハWの表面における反応を示す図である。
【0058】
シランカップリング剤として、分子中に例えばアルコキシ基(RO−(R;アルキル基))を有するオルガノシランを用いることが好ましい。図5では、分子中に例えばメトキシ基(CHO−)を有するオルガノシランを用いた例を示す。
【0059】
図5(a)に示すように、シランカップリング剤のメトキシ基が、雰囲気中の水蒸気により加水分解することによって、水酸基すなわちヒドロキシ基(−OH)になる。そして、ウェハWとして、表面がヒドロキシ基で終端されたSiウェハを用いるときは、図5(b)に示すように、シランカップリング剤のメトキシ基が、ウェハ表面のヒドロキシ基と脱水縮合することによって、ウェハ表面に吸着する。従って、ウェハWがSiウェハよりなるときは、表面がヒドロキシ基で終端されていることが好ましい。
【0060】
オルガノシランとして、下記式(1)
【0061】
【化1】

に示す、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(以下、「SC剤A」という。)を用いることができる。または、オルガノシランとして、下記式(2)
【0062】
【化2】

に示す、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「SC剤B」という。)を用いることができる。
【0063】
表面処理工程では、気化器31において例えばSC剤A又はSC剤Bよりなる密着促進剤を気化させ、気化した密着促進剤ガスを供給管50に形成された供給孔50aを介して処理容器20内に供給する。
【0064】
なお、図6に示すように、予めSiウェハよりなるウェハWをDHF(希フッ酸)洗浄して表面を水素原子で終端した後、SC1(アンモニア過水)洗浄することによって、ウェハWの表面をヒドロキシ基で終端することができる。
【0065】
ここで、比較例として、ウェハWを密着促進剤の液に浸漬させて表面処理する場合を考える。図7は、比較例として表面にビアVHが形成されたウェハWを密着促進剤の液に浸漬させて表面処理した後のビアVHの周辺の状態を模式的に示す断面図である。
【0066】
図7に示すように、比較例に係る表面処理では、ウェハWを密着促進剤の液に浸漬させて表面処理するため、表面処理の後、密着促進剤が乾燥し、乾燥によって濃縮した密着促進剤SCがビアVHの底に溜まる液溜まりが形成されることがある。例えば54μmの内径を有し、例えば52μmの深さを有するビアVHの場合、底から例えば1μmの高さまで密着促進剤SCの液溜まりが形成されるおそれがある。一方、本実施の形態に係る表面処理では、密着促進剤を気化させた密着促進剤ガスをウェハWに供給するため、密着促進剤SCがビアVHの底に溜まることがなく、ビアVHの底に密着促進剤SCの液溜まりが形成されるおそれがない。
【0067】
次に、ステップS12では、搬送アーム14aにより、成膜容器60内にウェハWを搬入する(搬入工程)。図1に示した成膜装置10の例では、搬送アーム14aにより、処理容器20内に設けられた基板保持部23から表面処理されたウェハWを受け取る。そして、受け取ったウェハWを搬送アーム14aにより成膜容器60内に設けられた基板保持部63に受け渡すことによって、成膜容器60内にウェハWを搬入する。
【0068】
次に、ステップS13では、成膜容器60の内部を減圧する(減圧工程)。排気装置96の排気能力又は排気装置96と排気管97との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、排気管97を介して成膜容器60を排気する排気量を増大させる。そして、成膜容器60の内部を所定圧力例えば大気圧(760Torr)から例えば0.3Torrに減圧する。
【0069】
次に、ステップS14では、ウェハの温度を、ウェハWにポリイミド膜を成膜するときの所定温度(成膜温度)まで上昇させる(リカバリ工程)。ヒータ62に電力を供給することによって、基板保持部63に保持されているウェハWの温度を成膜温度まで上昇させる。
【0070】
次に、ステップS15では、ポリイミド膜を成膜する(成膜工程)。
【0071】
制御部100により、供給管73aに第1の原料ガスを流す第1の流量F1と、内側供給管73bに第2の原料ガスを流す第2の流量F2とを予め設定しておく。そして、設定した第1の流量F1で第1の原料ガス供給部71aから第1の原料ガスを供給管73aに流し、設定した第2の流量F2で第2の原料ガス供給部71bから第2の原料ガスを内側供給管73bに流すことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを所定の混合比で混合させた状態で成膜容器60内に供給する。そして、ウェハWの表面でPMDAとODAを重合反応させ、ポリイミド膜を成膜する。具体的には、例えば第1の流量F1を900sccmとし、第2の流量F2を900sccmとすることができる。
【0072】
このときの、PMDAとODAとの重合反応は、次の式(3)に従う。
【0073】
【化3】

次に、ステップS16では、第1の原料ガス供給部71aからのPMDAガスの供給及び第2の原料ガス供給部71bからのODAガスの供給を停止し、成膜容器60の内部をパージガスによりパージする(パージ工程)。
【0074】
バルブ71cを閉じ、第1の原料ガス供給部71aからの第1の原料ガスの供給を停止する。また、バルブ71dを閉じ、第2の原料ガス供給部71bからの第2の原料ガスの供給を停止する。そして、パージガス供給機構90と排気機構95とを制御することにより、成膜容器60の内部の原料ガスをパージガスに置換する。
【0075】
例えば、排気装置96の排気能力又は排気装置96と排気管97との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整して排気量を増やすことにより、成膜容器60の内部を例えば0.3Torrに減圧する。その後、排気量を減少させるか、又は排気量を0にして排気を停止した状態で、成膜容器60内の内部の圧力が例えば5.0Torrになるまで、バルブ93を開いてパージガス供給機構90によりパージガスを成膜容器60内に供給する。これにより、成膜容器60内の原料ガスをパージガスに置換できる。また、排気機構95による減圧と、パージガス供給機構90によるパージガスの供給とを1回行った後、更に減圧とパージガスの供給を複数回繰り返してもよい。これにより、成膜容器60内の原料ガスを、更に確実にパージガスに置換できる。
【0076】
本実施の形態では、パージ工程において、ウェハW上に成膜されたポリイミド膜をヒータ62により熱処理してもよい。熱処理は、成膜後、膜中のイミド化していない部分をイミド化するために行う。ポリイミドは高い絶縁性を有するため、膜中のポリイミドの割合であるイミド化率を上昇させることによって、成膜したポリイミド膜の絶縁性を向上させることができる。
【0077】
次に、ステップS17では、成膜容器60の内部を大気圧に復圧する(復圧工程)。排気装置96の排気能力又は排気装置96と排気管97との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器60を排気する排気量を減少させ、成膜容器60の内部を例えば0.3Torrから例えば大気圧(760Torr)に復圧する。
【0078】
なお、ポリイミド膜の熱処理は、ポリイミド膜を成膜した後、後述する搬出工程の前に、成膜容器の内部で行えばよく、復圧工程の際、又は、復圧工程の後に行ってもよい。
【0079】
次に、ステップS18では、成膜容器60からウェハWを搬出する(搬出工程)。図1に示した成膜装置10の例では、搬送アーム14aにより、成膜容器60内に設けられた基板保持部63からポリイミド膜が成膜されたウェハWを受け取る。そして、受け取ったウェハWを搬送アーム14aによりロードロック13A、13Bに受け渡す。更に、ローダ12に設けられた図示しない搬送アームによりウェハWをポート11A〜11Cに収納することによって、成膜容器60からウェハWを搬出する。その後、成膜処理を終了する。
【0080】
このようにして成膜したポリイミド膜について、密着性を評価するためのピール試験を行った。粘着テープとして、3.7N/cmの粘着力を有する610−1PK(商品名:3M社製)を用い、ポリイミド膜が成膜されたウェハからポリイミド膜を剥がすピール試験を行った。そして、ピール試験後、ポリイミド膜が残った試験数をn1とし、全試験数をn0とするとき、(n1/n0)×100により、ピール歩留を求めた。その結果を、気化器条件、表面処理条件とともに、表1に示す。
【0081】
【表1】

表1では、水蒸気を供給する場合を上段に示し、水蒸気を供給しない場合を下段に示している。
【0082】
表1に示すように、SC剤の気化量を0.3g/時とし、水蒸気の気化量を1.6g/分として供給し、90℃のウェハ温度で60秒表面処理したときは、ピール歩留は100%であった。一方、SC剤の気化量を0.3g/時とし、水蒸気を供給せず(水蒸気の気化量が0g/分)、90℃のウェハ温度で60秒表面処理したときは、ピール歩留は0%であった。従って、本実施の形態による表面処理を行うことにより、ポリイミド膜の密着性が向上する。
【0083】
以上より、表面に穴部が形成されているウェハを加熱した状態で密着促進剤ガスと水蒸気とを供給し、供給された密着促進剤ガスと加熱されているウェハとを水分を含む雰囲気中で反応させることによって、ビアの底に液溜まりを形成せずに表面処理できる。また、表面処理されたウェハ上に密着促進剤ガスと水蒸気とを供給することによって、密着性に優れたポリイミド膜を成膜することができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、Siウェハの表面を処理する場合について説明した。しかし、本実施の形態に係る表面処理方法は、ガラス等各種の基板の表面を処理する表面処理に適用可能である。
(第2の実施の形態)
次に、図8から図11を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法について説明する。
【0085】
本実施の形態に係る成膜方法を行うための成膜装置は、ウェハの表面処理を行う表面処理装置と別に設けられており、成膜容器がバッチ処理を行うものである点で、第1の実施の形態に係る成膜方法を行うための成膜装置と相違する。
【0086】
なお、本実施の形態においてウェハの表面処理を行う表面処理装置は、枚葉処理を行うものであり、例えば第1の実施の形態における表面処理部と同一とすることができるため、説明を省略する。
【0087】
図8は、本実施の形態に係る表面処理方法及び成膜方法を行うための成膜装置110を概略的に示す縦断面図である。図9は、ローディングエリア140を概略的に示す斜視図である。図10は、ボート144の一例を概略的に示す斜視図である。
【0088】
成膜装置110は、載置台(ロードポート)120、筐体130、及び制御部100を有する。
【0089】
載置台(ロードポート)120は、筐体130の前部に設けられている。筐体130は、ローディングエリア(作業領域)140及び成膜容器60aを有する。ローディングエリア140は、筐体130内の下方に設けられており、成膜容器60aは、筐体130内であってローディングエリア140の上方に設けられている。また、ローディングエリア140と成膜容器60aとの間には、ベースプレート131が設けられている。
【0090】
ベースプレート131は、成膜容器60aの後述する反応管161を設置するための例えばSUS製のベースプレートであり、反応管161を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0091】
載置台(ロードポート)120は、筐体130内へのウェハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)120には、収納容器121、122が載置されている。収納容器121、122は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば50枚程度のウェハWを所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ)である。
【0092】
また、載置台120の下方には、後述する移載機構147により移載されたウェハWの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)123が設けられていてもよい。
【0093】
ローディングエリア(作業領域)140は、収納容器121、122と後述するボート144との間でウェハWの移載を行い、ボート144を成膜容器60a内に搬入(ロード)し、ボート144を成膜容器60aから搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア140には、ドア機構141、シャッター機構142、蓋体143、ボート144、基台145a、145b、昇降機構146、及び移載機構147が設けられている。
【0094】
なお、蓋体143及びボート144は、本発明における基板保持部に相当する。
【0095】
ドア機構141は、収納容器121、122の蓋を取外して収納容器121、122内をローディングエリア140内に連通開放するためのものである。
【0096】
シャッター機構142は、ローディングエリア140の上方に設けられている。シャッター機構142は、蓋体143を開けているときに、後述する成膜容器60aの開口163から高温の炉内の熱がローディングエリア140に放出されるのを抑制ないし防止するために開口163を覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0097】
蓋体143は、保温筒148及び回転機構149を有する。保温筒148は、蓋体143上に設けられている。保温筒148は、ボート144が蓋体143側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート144を保温するためのものである。回転機構149は、蓋体143の下部に取り付けられている。回転機構149は、ボート144を回転するためのものである。回転機構149の回転軸は蓋体143を気密に貫通し、蓋体143上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0098】
昇降機構146は、ボート144のローディングエリア140から成膜容器60aに対する搬入、搬出に際し、蓋体143を昇降駆動する。そして、昇降機構146により上昇させられた蓋体143が成膜容器60a内に搬入されているときに、蓋体143は、後述する開口163に当接して開口163を密閉するように設けられている。そして、蓋体143に載置されているボート144は、成膜容器60a内でウェハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0099】
なお、成膜装置110は、ボート144を複数有していてもよい。以下、本実施の形態では、図8を参照し、ボート144を2つ有する例について説明する。
【0100】
ローディングエリア140には、ボート144a、144bが設けられている。そして、ローディングエリア140には、基台145a、145b及びボート搬送機構145cが設けられている。基台145a、145bは、それぞれボート144a、144bが蓋体143から移載される載置台である。ボート搬送機構145cは、ボート144a、144bを、蓋体143から基台145a、145bに移載するためのものである。
【0101】
ボート144a、144bは、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウェハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート144a、144bは、例えば図10に示すように、天板150と底板151の間に複数本例えば3本の支柱152を介設してなる。支柱152には、ウェハWを保持するための爪部153が設けられている。また、支柱152と共に補助柱154が適宜設けられていてもよい。
【0102】
移載機構147は、収納容器121、122とボート144a、144bの間でウェハWの移載を行うためのものである。移載機構147は、基台157、昇降アーム158、及び、複数のフォーク(移載板)159を有する。基台157は、昇降及び旋回可能に設けられている。昇降アーム158は、ボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられ、基台157は、昇降アーム158に水平旋回可能に設けられている。
【0103】
図11は、成膜容器60aの構成の概略を示す断面図である。
【0104】
成膜容器60aは、例えば、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状のウェハWを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型炉とすることができる。成膜容器60aは、反応管161、ヒータ162、供給機構70、パージガス供給機構90及び排気機構95を有する。
【0105】
反応管161は、例えば石英製であり、縦長の形状を有しており、下端に開口163が形成されている。ヒータ(加熱装置)162は、反応管161の周囲を覆うように設けられており、反応管161内を所定の温度例えば50〜1200℃に加熱制御可能である。
【0106】
供給機構70は、第1の原料ガス供給部71a、第2の原料ガス供給部71b、インジェクタ72を含む。第1の原料ガス供給部71a、第2の原料ガス供給部71bは第1の実施の形態における供給機構70と同様にすることができる。
【0107】
インジェクタ72は、供給管73a及び内側供給管73bを含む。原料ガス供給部71は、インジェクタ72の供給管73aに接続されている。供給管73aと内側供給管73bとは、上下方向に延在するように設けられている点を除き、第1の実施の形態に係るインジェクタ72と同様にすることができる。すなわち、供給管73aには、複数の供給孔75が形成されている。内側供給管73bの下流側の端部付近には、供給管73aの内部空間に第1の原料ガスを供給するための開口76が形成されている。
【0108】
パージガス供給機構90は、パージガス供給部91、パージガス供給管92、及びバルブ93を含み、第1の実施の形態におけるパージガス供給機構90と同様にすることができる。排気機構95は、排気装置96及び排気管97を含み、第1の実施の形態における排気機構95と同様にすることができる。
【0109】
なお、図10では、供給管73aに第1の原料ガス供給部71aから第1の原料ガスを供給し、内側供給管73bに第2の原料ガス供給部71bから第2の原料ガスを供給する例を示している。しかし、内側供給管73bに第1の原料ガスを供給し、供給管73aに第2の原料ガスを供給してもよい。
【0110】
なお、制御部100は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0111】
本実施の形態に係る表面処理及び成膜処理も、図4を用いて説明した第1の実施の形態に係る表面処理及び成膜処理と同様の手順で行うことができる。
【0112】
始めに、成膜装置110により成膜処理を行う前に、例えば第1の実施の形態における表面処理部15と同様に設けられた表面処理装置を用い、第1の実施の形態におけるステップS11と同様に、密着促進剤による表面処理を行う。
【0113】
次に、第1の実施の形態と同様に、ステップS12(搬入工程)を行う。
【0114】
図8に示した成膜装置110の例では、例えばローディングエリア140において、移載機構147により収納容器121からボート144aへウェハWを搭載し、ウェハWを搭載したボート144aをボート搬送機構145cにより蓋体143に載置することができる。そして、ボート144aを載置した蓋体143を昇降機構146により上昇させて成膜容器60a内に挿入することにより、ウェハWを搬入することができる。
【0115】
次に、第1の実施の形態と同様に、ステップS13(減圧工程)、ステップS14(リカバリ工程)、ステップS15(成膜工程)、ステップS16(パージ工程)及びステップS17(復圧工程)を行う。各工程は、成膜処理が枚葉処理に代えバッチ処理である点を除き、第1の実施の形態の成膜処理における各工程と同様にすることができる。
【0116】
次に、第1の実施の形態と同様に、ステップS18(搬出工程)を行う。
【0117】
図8に示した成膜装置110の例では、例えばボート144aを載置した蓋体143を昇降機構146により下降させて成膜容器60a内からローディングエリア140に搬出することができる。そして、移載機構147により、搬出した蓋体143に載置されているボート144aから収納容器121へウェハWを移載することによって、ウェハWを成膜容器60aから搬出することができる。その後、成膜処理を終了する。
【0118】
本実施の形態でも、表面に穴部が形成されているウェハを加熱した状態で密着促進剤ガスと水蒸気とを供給し、供給された密着促進剤ガスと加熱されているウェハとを水分を含む雰囲気中で反応させることによって、ビアの底に液溜まりを形成せずに表面処理できる。また、密着促進剤ガスと水蒸気とを供給することによって、密着性に優れたポリイミド膜を成膜することができる。
【0119】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 成膜装置
20 処理容器
22 ヒータ(加熱装置)
23 基板保持部
30 密着促進剤供給機構
40 水蒸気供給機構
60 成膜容器
70 供給機構
90 パージガス供給機構
95 排気機構
100 制御部
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内に搬入されており、表面に穴部が形成されている基板の前記表面を、密着促進剤を気化させた密着促進剤ガスにより処理する表面処理方法において、
前記基板を加熱するとともに、前記処理容器内に前記密着促進剤ガスと水蒸気とを供給し、供給された前記密着促進剤ガスと、加熱されている前記基板とを、水分を含む雰囲気中で反応させることによって、前記基板の表面を処理する表面処理工程を有する、表面処理方法。
【請求項2】
前記密着促進剤は、シランカップリング剤である、請求項1に記載の表面処理方法。
【請求項3】
前記シランカップリング剤は、オルガノシランを含有するものである、請求項2に記載の表面処理方法。
【請求項4】
前記基板は、シリコン基板である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の表面処理方法。
【請求項5】
前記シリコン基板は、表面が水酸基で終端されたものである、請求項4に記載の表面処理方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の表面処理方法により前記基板を処理する処理工程と、
前記処理工程の後、前記基板を成膜容器内に搬入する搬入工程と、
前記成膜容器内に原料ガスを供給することによって、前記成膜容器内に搬入されている前記基板に膜を成膜する成膜工程を有する、成膜方法。
【請求項7】
前記成膜工程は、前記成膜容器内に、酸二無水物よりなる第1の原料を気化させた第1の原料ガスと、ジアミンよりなる第2の原料を気化させた第2の原料ガスとを供給することによって、前記基板にポリイミド膜を成膜するものである、請求項6に記載の成膜方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−204519(P2012−204519A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66462(P2011−66462)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】