表面分析装置
【課題】試料ホルダの形状や搭載状態を、ステージマップ上に表示できる表面分析装置を提供する。
【解決手段】複数の試料ホルダを搭載可能な試料ステージ19、試料ステージ19を駆動するステージ駆動手段11、複数の試料ホルダにそれぞれ収納された試料に対して、逐次測定をする測定手段12を有する測定ユニット1と、ホルダベース、複数の試料ホルダの装着位置座標及び複数の試料ホルダの形状に関する表示情報を生成するマップ表示情報生成手段231、複数の試料ホルダの装着位置及び複数の試料ホルダの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段222、配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段223、ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段226を有する演算処理装置22aと、ステージマップ図を表示する表示装置26とを備える。
【解決手段】複数の試料ホルダを搭載可能な試料ステージ19、試料ステージ19を駆動するステージ駆動手段11、複数の試料ホルダにそれぞれ収納された試料に対して、逐次測定をする測定手段12を有する測定ユニット1と、ホルダベース、複数の試料ホルダの装着位置座標及び複数の試料ホルダの形状に関する表示情報を生成するマップ表示情報生成手段231、複数の試料ホルダの装着位置及び複数の試料ホルダの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段222、配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段223、ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段226を有する演算処理装置22aと、ステージマップ図を表示する表示装置26とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)や電子顕微鏡等の表面分析装置に係り、特に分析の際に用いる試料ホルダの配置を示すステージマップ図の生成・表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
EPMAや電子顕微鏡等の表面分析装置は、測定ユニットを構成する鏡筒の内部に収容された被測定試料(分析試料)に電子ビームなどの励起源を照射し、励起源により照射された被測定試料から放出される二次電子線、反射電子線、特性X線等を検出し、この検出信号によって画像を形成し、被測定試料の表面分析や元素分析を行う。
【0003】
一般に、表面分析装置において表面分析を行う場合、被測定試料を固定した試料ホルダをホルダベースに装着し、ホルダベースを真空排気可能な鏡筒の内部の試料ステージ上に搭載し、ステージ座標を制御することにより、被測定試料上の目的位置を測定ユニットの分析位置に移動して、この分析位置において検出信号を取り出し、表面分析を行う。そのため、表面分析の際、被測定試料上の目的位置を、測定ユニットの内部の分析位置に正確に反映させる手法が待望されている。
【0004】
このため、同一形状・同一寸法の複数の試料穴を備えた多試料ホルダに、ホルダ種類を表すホルダ端子を固定することにより、試料ステージに取付られた試料ホルダの種類を判定し、ホルダ形状データを画像として自動的に表示する発明が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明によれば、これまで分析者がマニュアル操作で行っていた、試料穴の数等によって異なる試料ホルダの形状を識別するホルダ種類の入力等の操作を省略することができるため、人為的なミス無く、表面分析装置の表示装置の画面上に搭載試料ホルダの図形が表示されるため、表示された図形を用いて試料分析が正確且つ迅速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−76661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明は、単一の多試料ホルダを試料ステージに搭載するタイプの表面分析装置に関するものであり、試料ホルダに同一形状・同一寸法の複数の試料穴を設けて、形状を揃えた複数の被測定試料を、試料ホルダの試料穴に試料取付台等を介してそれぞれ固定し、被測定試料の分析位置を表示装置の画面で表示しているに過ぎない。即ち、大きさや形状が異なる被測定試料を試料ホルダに固定する場合や、異なる形状や寸法の複数の試料ホルダを試料ステージに搭載する場合の技術を提案するものではない。
【0007】
このように、従来の表面分析装置では、大きさや形状の異なる複数の被測定試料を種々の試料ホルダに固定する場合において、それらの大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをステージマップ上で表示することは難しく、そのため、ステージマップ上で被測定試料の目的の位置を分析位置として表示することが困難であるという不具合がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをホルダベースを介して試料ステージに搭載した場合において、多様な試料ホルダの形状や搭載状態及び被測定試料の現在位置を、ステージマップ上に表示し、表面分析の進行を容易にする表面分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、(イ)複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ、この試料ステージを駆動するステージ駆動手段、複数の試料ホルダにそれぞれ収納された試料に対して、逐次測定をする測定手段を有する測定ユニットと、(ロ)ホルダベース、複数の試料ホルダ、複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置座標、複数の試料ホルダのそれぞれの形状の表示情報を生成するマップ表示情報生成手段、ホルダベース上の複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置及び複数の試料ホルダのそれぞれの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段、配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段、ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段を有する演算処理装置と、(ハ)ステージマップ図を表示する表示装置とを備える表面分析装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをホルダベースを介して試料ステージに搭載した場合において、多様な試料ホルダの形状や搭載状態及び被測定試料の現在位置を、ステージマップ上に表示し、表面分析の進行を容易にする表面分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ装着位置情報の一例である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ表示情報の一例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るホルダベース上におけるホルダの選択方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ配置情報の一例である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るホルダベースID情報の表示の一例である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ装着位置情報の他の例である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ形状情報の一例として円形の試料ホルダを示す模式図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ形状情報の一例として矩形の試料ホルダを示す模式図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ配置図の一例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るホルダ配置図の一例である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その1)。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その2)。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その3)。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その4)。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その5)。
【図23】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その6)。
【図24】本発明のその他の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図25】本発明のその他の実施の形態に係る標準試料配置情報を示すステージマップ図の一例である(その1)。
【図26】本発明のその他の実施の形態に係る標準試料配置情報を示すステージマップ図の一例である(その2)。
【図27】従来のホルダ配置図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、縦横の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
又、以下に示す第1〜第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成物品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置は、図1に示すように、測定ユニット1と、測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2aとを備える。測定ユニット1は、真空排気可能な鏡筒(図示省略)と、この鏡筒の試料室の内部に配置された、複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ19、試料ステージ19を駆動するステージ駆動手段11及び複数の試料ホルダにそれぞれ収納された被測定試料に対して、逐次測定をする測定手段12等を備える。図示を省略しているが、鏡筒の試料室には、ゲートバルブを介してロードロック室(試料準備室)が接続され、ロードロック機構を構成している。
【0015】
ステージ駆動手段11は、コントローラ2aから送信されてくる測定領域座標の情報(ステージ駆動信号)を受信し、座標情報に基づいて試料ステージ19をモータドライブ等により、例えば、水平移動(X,Y)、上下運動(Z)、傾斜(T)、回転(R)の5軸に沿って駆動する。測定手段12は、電子線を発生する電子銃と、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射するように調整する電子レンズと、電子線を試料表面に走査させる偏向器と、試料から放出される二次電子線、反射電子線、特性X線等を検出する検出器等を備える。ステージ駆動手段11が、試料ステージ19を予め定めた分析位置の座標まで移動すると、測定手段12が分析位置において、試料ホルダに収納された被測定試料を測定する。
【0016】
一方、コントローラ2aは、表面分析装置の使用者(分析者)がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2aと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、マイクロプロセッサ等の演算制御装置(CPU)22aと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、試料ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、試料ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39とを備える。更に、コントローラ2aは、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22aとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23等を備えてノイマン型コンピュータシステムと同様な構造をなす。
【0017】
コントローラ2aの一部をなす演算制御装置(CPU)22aは、論理構造として、ステージマップ図切換手段221、ホルダ配置情報生成手段222、ホルダ配置図生成手段223、マップ座標/ステージ座標変換手段224、ステージ座標/マップ座標変換手段225、ステージマップ表示手段226、ステージ制御手段227、マップ表示情報生成手段231とを有する。物理的には、CPU22aは演算をする演算論理装置(ALU)、データを一時記憶するレジスタ(置数器)やバッファ(緩衝用記憶装置)、データや命令等の情報を伝達するバス(情報運搬路)、外部記憶装置(メモリ)や周辺機器との入出力を行うインターフェース、CPU全体を制御する制御部分、この制御に必要なクロック信号を生成するクロック(時計)回路などで構成される中央処理装置であることは周知のコンピュータシステムと同様である。
【0018】
CPU22aの一部をなすステージマップ図切換手段221は、分析者が測定条件等を考慮して、入力装置24を介して選択したステージマップ図選択条件を取得し、取得した選択条件に対応するステージマップ図を、ステージマップ図記憶装置27から読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する。CPU22aの一部をなすマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報と、試料ホルダの種類の識別情報と、ホルダ装着位置情報とを取得する。更に、マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、ホルダベース種類毎にファイルされたホルダ装着位置座標情報を記憶している装着位置座標記憶装置28から、入力されたホルダベースの識別情報に対応するホルダ装着位置座標を読み出し、試料ホルダの種類毎の形状情報を記憶している形状記憶装置29から、入力された試料ホルダの種類の識別情報に対応する試料ホルダの形状を読み出し、試料ホルダの配置情報をそれぞれ読み出すことにより、マップ表示情報(図4参照。)を生成した後、マップ表示情報記憶装置33に格納する。CPU22aの一部をなすホルダ配置情報生成手段222は、ホルダベースの装着位置及び試料ホルダの形状に関する情報をそれぞれ読み出すことにより、ホルダベース上の試料ホルダの配置情報をデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報として生成し、ホルダ配置情報記憶装置30に格納する。
【0019】
CPU22aの一部をなすホルダ配置図生成手段223は、ホルダ配置情報生成手段222が生成した試料ホルダの配置情報に基づいてホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。又、マップ座標/ステージ座標変換手段224は、分析者が入力装置24に、移動先ステージ座標をマップ座標(マップウィンドウ)指定により入力する場合に、入力されたマップ座標をステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。ステージ座標/マップ座標変換手段225は、測定領域のステージ座標をマップ座標へと変換し、現在位置のマーカーをマップ座標のデータに変換する。CPU22aの一部をなすステージマップ表示手段226は、ステージマップ図切換手段221から送信されるステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されるホルダ配置図と、ステージ座標/マップ座標変換手段225から送信される現在位置のマーカーが表現されたマップ座標とをそれぞれ受信して合成し、合成されたステージマップ図を表示装置26の画面において表示する。
【0020】
又、CPU22aの一部をなすステージ制御手段227は、移動先ステージ座標記憶装置39から、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標を読み出し、入出力インターフェース21を介して、測定ユニット1のステージ駆動手段11に、移動先のステージ座標と共に、移動先のステージ座標への移動命令(ステージ駆動信号)を送信する。なお、図1は論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33及び移動先ステージ座標記憶装置39は、物理的には演算制御装置(CPU)22aの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22aの外部に接続されていても構わない。又、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33及び移動先ステージ座標記憶装置39は、ハードウェア資源として個別にそれぞれ存在してもよく、単一ハードウェア資源の内部のセグメントをそれぞれ利用したファイルとして存在してもよい。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、ホルダ配置情報生成手段222と、ホルダ配置図生成手段223と、ステージマップ表示手段226と、マップ表示情報生成手段231と、装着位置座標記憶装置28と、形状記憶装置29と、ホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報記憶装置33とを含むことにより、測定時に試料ホルダの形状を含めて、試料ホルダのホルダベース上における搭載状態をステージマップに表示させることができるので、それぞれの被測定試料の現在位置、試料ホルダの形状、分析の進行状況等を簡単に画面上で把握することが可能となる。
【0022】
次に、図2のフローチャートを用いて、本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0023】
(イ)まず、分析者が、ステップS101において、被測定試料を、例えば、図9、10に示す試料ホルダ81、83に固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、鏡筒(図示省略)の真空状態と鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)の真空状態とを分離するゲートバルブを介して、ホルダベース44を鏡筒からロードロック室に移動する。鏡筒の試料室からロードロック室へのホルダベース44の移動は、例えば、鏡筒の試料室及びロードロック室に、それぞれ設けられた2本のレール等を介して行うことが可能である。その後、ゲートバルブを閉じ、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44をロードロック室から取り出す。ステップS102において、試料ホルダ81、83を、ホルダベース44に装着する。
【0024】
(ロ)次に、分析者は、ステップS121において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2aの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、ロードロック室の内部が予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。ロードロック室の内部が到達圧力に到達したら、ステップS103において、ゲートバルブを開け、ホルダベース44を鏡筒の試料室の試料ステージ19上に、ロードロック室から移動する。ステップS131において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応した試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成した後、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS132において、演算制御装置(CPU)22aのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。例えば図3(c)に示すように、試料ホルダの装着位置g11であれば、ネジ穴座標X=20,Y=20から、ステージ座標X'=20−5=15,Y'=20−5=15となる。次に、ステップS133において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0025】
(ハ)次に、ステップS122において、分析者が電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2aの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS134で、演算制御装置(CPU)22aのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS135において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0026】
(ニ)次に、ステップS123aにおいて、分析者が、コントローラ2aの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22aのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS123bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2aの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS136において、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0027】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS137において、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS104において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2aのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。この後、ステップS105において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0028】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS138において、演算制御装置(CPU)22aのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS105での測定に対応する現在のステージ座標をマップ座標へと変換する。更に、ステップS138では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し現在位置のマーカーを、ステージマップ図上で合成する。その後、ステップS139において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。その後、ステップS140において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS137に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS137〜S140までの処理手順を繰り返す。
【0029】
図3に、ホルダ装着位置情報の一例を示す。図3(a)は、破線(かくれ線)で示した試料ステージ19の上にホルダベース44を搭載した状態を示している。試料ステージ19は、ステージ基準位置(原点)(x=0,y=0)41から、試料交換位置(x=90,y=0付近)42まで、X軸方向に90mm、及び図3(a)に示したY軸方向に90mm移動可能である。図3(a)に示した例では、ホルダベース44上に18個の試料ホルダの装着位置g11〜g28が割り振ってある。
【0030】
図3(b)には、図3(a)に示したホルダベース44の情報として、ホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)、ホルダベースサイズX、ホルダベースサイズY、原点座標X及び原点座標Yが示されている。即ち、図3(a)で用いられているホルダベース43のホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)は、標準ホルダベースであり、ホルダベースサイズはX=100mm、Y=100mmで、又、ステージ基準位置(原点)41に対するホルダベース基準位置49の座標はX=−5、Y=−5であることが示されている。
【0031】
加えて、図3(c)には、図3(a)で示しているホルダの装着位置g11〜g28のネジ穴座標(装着位置座標)に対応したステージ座標値が表で示してあり、分析位置がマトリクス上にそれぞれ定義されている。例えば、装着位置g11のネジ穴座標(装着位置座標)(X=20,Y=20)は、ステージ座標(X'=15,Y'=15)に対応することが分かる。同様に、装着位置g12〜g28のネジ穴座標(装着位置座標)の値から、X座標、Y座標ともに5ずつ差し引いた値がステージ座標となる。図3(a),(b),(c)に示すホルダ装着位置情報は、ホルダベースの種類毎に装着位置座標記憶装置28に格納されており、対象となるホルダベースの識別情報(ホルダベース名)を入力すれば、表示装置26に表示させることができる。
【0032】
図4に、ステージマップ表示情報の一例を示す。図4(a)には、図3(b)においても示したように、ホルダベースの情報として、ホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)、ホルダベースサイズX、ホルダベースサイズY、原点座標X及び原点座標Yに関する情報が表示されている。即ち、ホルダベースのホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)が、標準ホルダベースであり、ホルダベースサイズがX=100mm、Y=100mmで、又、ステージ基準位置(原点)41に対するホルダベース基準位置49の座標がX=−5、Y=−5である。又、図4(b)には、試料ホルダの装着位置情報として、装着位置g11における試料ホルダの種類(ID)、ネジ穴座標(装着位置座標)(X,Y)、ステージ座標(X’,Y’)の情報がそれぞれ表示されている。図4(c)には、図4(b)で示した試料ホルダに固定されている被測定試料の名前(サンプル名)や形状等に関する情報が表示されている。図4(d)は、ホルダの装着位置情報として、装着位置g12において試料ホルダが装着されていないことを示している。即ち、この場合は、”ホルダなし”と表示され、ネジ穴座標及びステージ座標は表示されない。図4(e)には、試料ホルダの装着位置情報として、装着位置g13における試料ホルダの種類(ID)、ネジ穴座標(装着位置座標)(X,Y)、ステージ座標(X’,Y’)の情報がそれぞれ表示されている。図4(f)には、図4(e)で示した試料ホルダに固定されている被測定試料の名前や形状等に関する情報が表示されている。
【0033】
次に、図5のフローチャートを用いて、ホルダベース上におけるホルダの選択方法の一例を説明する。
【0034】
(イ)まず、分析者は、ステップS11において、ホルダベースとして、例えば図3(b),(c)に示した標準ホルダベースを選択する。
【0035】
(ロ)次に、分析者は、ステップS12において、ホルダベースの装着位置として、例えば、図3(a),(c)に示した装着位置g11を選択する。
【0036】
(ハ)更に、分析者は、ステップS13において、選択されたホルダベースに装着するホルダとして、例えばサンプルホルダ10−Bを選択(図6参照。)し、その後は、図2に示したステップS131へと進む。
【0037】
図6には、図5で示した方法によって表示されるホルダ配置情報の一例を示している。ホルダベース名として標準ホルダベースが示され、装着位置として、装着位置g11,g12,g13…が示されている。更に、各装着位置g11,g12,g13において、装着位置g11,g13にはサンプルホルダ10−B,サンプルホルダ32がそれぞれ装着されていて、装着位置g12にはホルダが装着されていないことが示されている。
【0038】
図7には、ホルダベースにおける各装着位置g11,g12,g13…でのホルダ装着状態の有無を表記する方法の一例を示している。ホルダベースの種類(ID)毎に、各装着位置でのホルダ装着状態の有無を一覧として表示することができる。
【0039】
図8(a),(b)は、横軸をX、縦軸をYとしたときの、ホルダ装着位置情報の他の例を示し、このホルダ装着位置情報を基礎に、ホルダベース44にどの試料ホルダをどこの装着位置座標に装着しているのかを示す試料ホルダの配置情報が作成される。図8(a)に示すホルダ装着位置情報おいては、ホルダベース44はm11〜m21の11箇所のホルダ装着位置に、試料ホルダが配置可能であることが示されている。m11,m12,m13は、等間隔で順番に並んでおり、X軸に対して並行である。同様に、m15,m16,m17も、等間隔で順番に並んでおり、X軸に対して並行である。又、m19,m20,m21も同様の条件で並んでいる。加えて、m11とm15とm19はY軸方向にも順番に並んでおり、m12とm16とm20、及びm13とm17とm21もそれぞれ同様の条件で並んでいる。更に、m14は、m11とm16を直線で結び、m12とm15を直線で結んだときにできる直線と直線の交点の付近に位置している。又、同様に、m18も、m16とm17を直線で結び、m20とm21を直線で結んだときの直線と直線の交点の付近に位置している。
【0040】
図8(b)に示すホルダ装着位置情報においては、ホルダベース44はn11〜n15の5箇所のホルダ装着位置に試料ホルダが配置可能であることが示されている。n11とn12はX軸と並行に順番に並んでおり、同様にn14とn15もX軸と並行に順番に並んでいる。加えて、n11とn14はY軸方向に順番に並んでおり、同様に、n12とn15もY軸方向に順番に並んでいる。又、n13は、n11とn15を結んだ直線と、n12とn14を結んだ直線との交点付近に位置している。図8(a),(b)に示すホルダ装着位置情報は、ホルダベースの種類毎に分類して装着位置座標記憶装置28に格納されており、対象となるホルダベースの識別情報を入力すれば、表示装置26に表示させることができる。又、表示装置26上で画面をクリックして選択することも可能である。
【0041】
図9は、試料ホルダの種類毎の形状情報の一例として、円形の試料ホルダ81を示す。図9(a)は、試料ホルダ81の斜視図であり、図9(b)は試料ホルダ81の上面図である。試料ホルダ81は、円形の底面63と、内側に被測定試料を収納できる空間を形成する円筒形状の側壁61と、ホルダベースに試料ホルダを固定するための押しネジ62等を備える。
【0042】
図10は、試料ホルダの種類毎の形状情報の他の例として、矩形の試料ホルダ83を示す。図10(a)は試料ホルダ83の斜視図であり、図10(b)は試料ホルダ83の上面図である。試料ホルダ83は、四角形の底面73と、内側に被測定試料78を固定できる空間を形成する1対の側壁71とによりコの字形状をなし、底面73にホルダベースに試料ホルダを固定するための押しネジ72等を備える。
【0043】
図11においては、ホルダ配置図の表示例の一例を示している。11箇所のホルダ装着位置q11〜q21を有するホルダベース44上において、ホルダ装着位置q11,q12,q15及びq16に、円形の試料ホルダ81,82,84及び85がそれぞれ固定されており、ホルダ装着位置q13とq17には、矩形の試料ホルダ83と86がそれぞれ固定されている。又、他のホルダ装着位置q14,q18,q19,q20,q21には試料ホルダは装着されていないことも確認できる。図27に示した従来のホルダ配置図では、形状が不明の試料ホルダ201〜209が、マトリクス状に分割されたステージマップ内において均等に表示されているのみであるが、図11では、ホルダ装着位置、固定されている試料ホルダの位置及び形状等を示す試料ホルダの配置情報(ホルダ配置図)が、ステージマップ図上においてより詳しく表示されていることが分かる。又、ステージマップ図を切り換えることにより、現在測定中の試料ホルダの拡大図や、被測定試料の拡大図を得ることも可能である。
【0044】
上記のように、本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの形状を含めた、被測定試料の配置状態が表示されたステージマップ図を得ることができるので、従来の方法に比べて、それぞれの被測定試料の現在位置、試料ホルダの形状、分析の進行状況等を簡単に画面上で把握することが容易になる。
【0045】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置の基本構成は、概略としては第1の実施の形態と基本的に同様であり、図12に示すように、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射して、被測定試料の表面分析を実施する測定ユニット1と、測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2bとを備える。ここで、測定ユニット1に関しては第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0046】
コントローラ2bは、分析者がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2bと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、演算制御装置(CPU)22bと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、試料ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、試料ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39と、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22bとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23とを備える点では第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0047】
しかし、本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置は、図12に示すように、コントローラ2bにおいて、演算制御装置(CPU)22bが、論理構造として、現在のステージ座標と配置情報に基づいて、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段228と、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26に表示させる該当ホルダ登録情報表示手段229とを含んでいる点で、第1の実施の形態に係る表面分析装置とは異なる。
【0048】
該当ホルダ判定手段228は、現在のステージ座標と配置情報に基づいて、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定し、その結果を該当ホルダ登録情報表示手段229に送信する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26の画面において表示する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込む機能を有するようにしてもよい。なお、該当ホルダ判定手段228が、ホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と、移動先ステージ座標記憶装置39から読み出した移動先のステージ座標とを基に、それぞれの試料ホルダの占有する領域が、複数の分析位置を含む大きさを有する大型試料ホルダの存在を判定した場合、該当ホルダ登録情報表示手段229は、複数の分析位置を含む大型試料ホルダを該当ホルダとして表示装置26の画面に表示する。
【0049】
なお、第1の実施の形態に係る表面分析装置で説明したのと同様に、図12は、論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33、移動先ステージ座標記憶装置39は、物理的には演算制御装置(CPU)22bの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22bの外部に接続されていても構わない。他は、第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0050】
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、該当ホルダ判定手段228と、該当ホルダ登録情報表示手段229とを含むことにより、表面分析装置は、現在の分析位置がどの試料ホルダに含まれているかを判定することが可能となり、現在の分析位置を含む該当ホルダの構造情報を容易に得ることが可能になる。
【0051】
次に、図13のフローチャートを用いて、本発明の第2の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0052】
(イ)第1の実施の形態と同様に、表面分析装置の使用者が、ステップS201において、被測定試料を、例えば、図14に示す試料ホルダ111〜116にそれぞれ固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、ロードロック機構等を利用して、鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)に、鏡筒からホルダベース44を移動し、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から取り出す。ステップS202において、試料ホルダ111〜116を、図14に示すようにホルダベース44に装着する。
【0053】
(ロ)次に、分析者は、ステップS221において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2bの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、ロードロック室の内部が予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。ロードロック室の内部が到達圧力に到達したら、ロードロック機構等を利用して、ステップS203で、ホルダベース44を鏡筒の試料ステージ19上に移動する。ステップS231において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応して試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成し、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS232において、演算制御装置(CPU)22bのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置、及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。次に、ステップS233において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0054】
(ハ)次に、ステップS222において、分析者が電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2bの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS234で、演算制御装置(CPU)22bのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS235において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0055】
(ニ)次に、ステップS223aにおいて、分析者が、コントローラ2bの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22bのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS223bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2bの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS236において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0056】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS237において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS204において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2bのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。その後、ステップS205において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0057】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS238において、演算制御装置(CPU)22bのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS205での測定に対応する現在のステージ座標(分析位置)をマップ座標へと変換する。更に、ステップS238では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し、現在位置のマーカーをステージマップ図上で合成する。その後、ステップS239において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。
【0058】
(ト)更に、ステップS240において、演算制御装置(CPU)22bの該当ホルダ判定手段228は、移動先ステージ座標記憶装置39から、測定領域の現在のステージ座標(分析位置)を読み出し、ステップS232でホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と比較することにより、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する。現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在する場合は、ステップS241において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、該当ホルダの構造情報を、表示装置26の画面に表示する。ステップS240において、該当ホルダ判定手段228が、複数の分析位置を含む大型試料ホルダが存在すると判定した場合、ステップS241において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、複数の分析位置を含む大型試料ホルダの構造情報を、ホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26の画面に該当ホルダの情報として表示する。その後、ステップS242において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS237に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS237〜S242までの処理手順を繰り返す。
【0059】
図14では、11箇所のホルダ装着位置r11〜r21を有するホルダベース44上において、矩形の試料ホルダ112と113は、ホルダ装着位置r13とr17にそれぞれ固定されており、円形の試料ホルダ114,115,116は、ホルダ装着位置r19,r20,r21にそれぞれ固定され、ホルダ装着位置r18には試料ホルダは装着されていない。
【0060】
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、図14に示すように、円形の大型試料ホルダ111が、5箇所のホルダ装着位置r11,r12,r14,r15,r16を内包した状態で固定されていることが示され、大きさが異なる試料ホルダを同じホルダベース上に装着した場合であっても、試料ホルダの配置情報を認識し、複数の分析位置を含む大型試料ホルダを該当ホルダとして表示することが可能となる。又、ステージマップ図を切り換えることにより、現在測定中の試料ホルダの拡大図や、被測定試料の拡大図を得ることも可能である。
【0061】
上記のように、本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、現在のホルダ装着位置の座標を含む(即ち、現在の分析位置を含む)該当ホルダの存在を検知して、この該当ホルダの構造情報を表示することが可能であるので、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの大きさ及び構造を含めた、被測定試料の配置情報が表示されたステージマップ図を得ることができ、それぞれの試料ホルダの現在位置、形状、大きさ、構造、分析の進行状況等の、第1の実施の形態に比し、より複雑な情報に関しても、画面上で把握することが容易になる。
【0062】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態に係る表面分析装置においては、現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在する場合、その該当ホルダの構造を示す構造情報を表示する例を説明した。本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置においては、試料ホルダの単なる構造情報だけでなく、試料ホルダに収納された被測定試料の固有情報までを含む、その試料ホルダが関与する包括的な固有情報であるホルダ登録情報を表示する場合を説明する。
【0063】
図15(a)には、複数の分析位置を含む大型試料ホルダの形状(構造情報)の一例として、ホルダベース44への装着部位である押しネジ126を備える矩形の大型試料ホルダ121の上に、大型試料ホルダ121と比較してサイズの小さい4つの矩形の試料ホルダ122〜125が、均等に装着された2重構造をしている複数の分析位置を含む大型試料ホルダを示している。ここで、押しネジ126の中心部分は、中心位置座標(15,15)と設定されている。矩形の大型試料ホルダ121上の試料ホルダ122〜125の取付け座標は、中心位置座標(15,15)からの距離で定義される。例えば、矩形の試料ホルダ122の取付け位置(8,8)は、中心位置座標(15,15)からの距離で取付け座標(−7,−7)と示される。
【0064】
図15(c)には、矩形の試料ホルダ122〜125の内、例として、試料ホルダ122の形状を示している。試料ホルダ122は、縦10mm、横10mmの正方形の形状をとっている。又、その他の試料ホルダ123〜125も試料ホルダ122と同様の形状をとる。
【0065】
図15(b)は、図15(a)に示した大型試料ホルダ121のホルダ登録情報の一例を示す。図15(b)の最上欄には、ホルダ登録情報の一つとしてのホルダタイプ名をサンプルホルダ10−Bとして表示している。又、4つの矩形の試料ホルダ122〜125に固定されているサンプル(被測定試料)に関する情報もそれぞれホルダ登録情報として表示している。矩形の試料ホルダ122のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(左上)、サンプル形状として矩形、取付け座標Xとして”−7”、取付け座標Yとして”−7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ123のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(右上)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”7”、取付座標Yとして”−7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ124のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(左下)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”−7”、取付座標Yとして”7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ125のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(右下)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”7”、取付座標Yとして”7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。
【0066】
本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、図16に示すように、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射して、被測定試料の表面分析を実施する測定ユニット1と測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2cとを備える。ここで、測定ユニット1に関しては第1及び第2の実施の形態と同様であるので、重複した記載を省略する。
【0067】
コントローラ2cは、分析者がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2cと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、演算制御装置(CPU)22bと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39と、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22bとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23とを備える点では第2の実施の形態とほぼ同様である。
【0068】
しかし、本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、図16に示すように、コントローラ2cにおいて、演算制御装置(CPU)22bが、論理構造として、ホルダベース44上での試料ホルダの配置情報と、測定領域のステージ座標に基づいて、現在の分析位置を内包する試料ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段228と、現在の分析位置を内包する該当ホルダがある場合に、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を表示する該当ホルダ登録情報表示手段229とを含む点で第1の実施の形態に係る表面分析装置と異なる。更に、それに加えて、試料ホルダの固有情報と、試料ホルダに収納されている被測定試料の名前等の被測定試料の固有情報を含むホルダ登録情報を記憶しているホルダ登録情報記憶装置31を含んでいる点で、第2の実施の形態に係る表面分析装置とも異なる。
【0069】
該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を表示する際に、現在の分析位置を内包する該当ホルダに固定されている被測定試料の固有情報もホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出して、表示装置26の画面において表示する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込む機能を有するようにしてもよい。なお、第1及び第2の実施の形態に係る表面分析装置で説明したのと同様に、図16は、論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33、移動先ステージ座標記憶装置39、ホルダ登録情報記憶装置31は、物理的には演算制御装置(CPU)22bの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22bの外部に接続されていても構わない。他は、第1及び第2の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0070】
本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、該当ホルダ判定手段228と、該当ホルダ登録情報表示手段229とを含むことにより、表面分析装置は、現在の分析位置が試料ホルダに含まれているかを判定することが可能となり、測定領域座標から、分析位置に配置されているホルダの登録情報を容易に得ることが可能になる。更に、それに加えて、ホルダ登録情報記憶装置31を含むことにより、試料ホルダに収納されている被測定試料の名前等の被測定試料の固有情報をも、ホルダ登録情報の一部として容易に得ることが可能となる。
【0071】
次に、図17のフローチャートを用いて、本発明の第3の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0072】
(イ)第1及び第2の実施の形態と同様に、表面分析装置の使用者が、ステップS301において、被測定試料を、例えば、図15,18〜23に示す試料ホルダ121,141,151,161,171,181,191の内の一つあるいは複数に固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、ロードロック機構等を利用して、鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)にホルダベース44を移動し、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から取り出す。ステップS302において、試料ホルダ121,141,151,161,171,181,191の内の一つあるいは複数を、ホルダベース44に装着する。
【0073】
(ロ)次に、分析者は、ステップS321において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2cの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。到達圧力に到達したら、ロードロック機構等を利用して、ステップS303で、ホルダベース44を鏡筒の試料ステージ19上に移動する。ステップS331において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応して試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成し、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS332において、演算制御装置(CPU)22bのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置、及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。次に、ステップS333において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0074】
(ハ)次に、ステップS322において、分析者が、電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2cの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS334で、演算制御装置(CPU)22bのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS335において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0075】
(ニ)次に、ステップS323aにおいて、分析者が、コントローラ2cの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22bのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS323bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2cの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS336において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0076】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS337において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS304において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2cのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。その後、ステップS305において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0077】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS338において、演算制御装置(CPU)22bのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS305での測定に対応する現在のステージ座標(分析位置)をマップ座標へと変換する。更に、ステップS338では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し現在位置のマーカーをステージマップ図上で合成する。その後、ステップS339において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。
【0078】
(ト)更に、ステップS340において、演算制御装置(CPU)22bの該当ホルダ判定手段228は、移動先ステージ座標記憶装置39から、測定領域の現在のステージ座標(分析位置)を読み出し、ステップS332でホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と比較することにより、現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在するかどうかを判定する。現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在する場合は、ステップS341において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を、表示装置26の画面に表示する。更に、ステップS342において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダに収納されている被測定試料の固有情報を、ホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、被測定試料の固有情報も表示装置26の画面に合わせて表示する。このとき、該当ホルダ登録情報表示手段229が、分析実行時に生成される分析データの情報の一部に、ホルダ登録情報を自動的に取り込むようにしてもよい。その後、ステップS343において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS337に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS337〜S343までの処理手順を繰り返す。
【0079】
図18〜図23には、図18(a)〜図23(a)に試料ホルダの形状の一例を示しており、図18(b)〜図23(b)に、ホルダ登録情報として、図18(a)〜図23(a)に示した試料ホルダのホルダタイプ名、試料ホルダに固定されている被測定試料(サンプル)名、試料(サンプル)形状、試料ホルダの取付座標X及びY、被測定試料(サンプル)の横幅及び縦幅等のホルダ登録情報の一例をそれぞれ示している。又、前述したように、図15(b)にも、図15(a)に示している大型試料ホルダ121に関するサンプル名等のホルダ登録情報を示している。
【0080】
図18(a)には、ホルダベース44への装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ141の構造が示されている。図18(b)には、試料ホルダ141固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名として包埋用ホルダ25、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"18"、サンプルの縦幅として"18"がそれぞれ表示されている。
【0081】
図19(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ151の構造が示されている。図19(b)には、試料ホルダ151固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ25、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"26"、サンプルの縦幅として"26"がそれぞれ表示されている。
【0082】
図20(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ161の構造が示されている。図20(b)には、試料ホルダ161固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ32、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"32.5"、サンプルの縦幅として"32.5"がそれぞれ表示されている。
【0083】
図21(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ171の構造が示されている。図21(b)には、試料ホルダ171固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ38、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"39"、サンプルの縦幅として"39"がそれぞれ表示されている。
【0084】
図22(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ181の構造が示されている。図22(b)には、試料ホルダ181固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ40、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"41"、サンプルの縦幅として"41"がそれぞれ表示されている。
【0085】
図23(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、矩形の試料ホルダ191の構造が示されている。図23(b)には、試料ホルダ191固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ10−A、サンプル名として未設定、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"10.5"、サンプルの縦幅として"10.5"がそれぞれ表示されている。
【0086】
上記のように、本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの現在位置、形状、大きさ、構造、分析の進行状況等の情報を容易に得られるのに加えて、図18(b)〜図23(b)あるいは図15(b)に示すように、試料ホルダに固定されている被測定試料の固有情報に関しても、容易に得ることが可能となる。図18(b)〜図23(b)、図15(b)に示すホルダ登録情報は、分析実行時に生成される分析データの情報の一部として、自動的に取り込むようにすれば、分析データに関する情報の入力作業を簡略化することができる。
【0087】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
既に述べた実施の形態の説明において、定量分析等をする際に用いられる標準試料に関しても、被測定試料と同様にステージマップ図に表示することが可能である。この場合、実施の形態に係る表面分析装置は、図24に示すように、第3の実施の形態に係る表面分析装置に加えて、コントローラ2dが、標準試料の配置情報を記憶する標準試料配置情報記憶装置32を備え、コントローラ2dにおける演算制御装置(CPU)22cが、標準試料の配置情報を表示する標準試料配置情報表示手段230を更に備える。分析者は、被測定試料を測定する際と同様の方法で、使用する標準試料を試料ホルダに固定し、試料ホルダに固定した標準試料の配置情報をコントローラ2dの入力装置24に入力する。入力された標準試料の配置情報は、標準試料配置情報記憶装置32に収納され、その後、標準試料配置情報表示手段230によって標準試料配置情報記憶装置32から読み出され、表示装置26にステージマップ図として表示される。
【0089】
図25には、標準試料のステージマップ図における表示の一例を示している。図25では、Fe、Cr、Ni、Al等の標準試料407及び408を、被測定試料401〜406及び409と同じホルダベース上に装着された試料ホルダにそれぞれ固定し、測定する場合のステージマップ図の一例である。図25に示されるような場合は、標準試料配置情報記憶装置32に収納される内容をホルダ登録情報記憶装置31に記憶させ、Fe、Cr、Ni、Al等の標準試料407及び408の固有情報を、被測定試料401〜406及び409の固有情報と同様に、ホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、標準試料名及び被測定試料名を表示装置26の画面に表示するようにしてもよく、標準試料407及び408の固有情報は、標準試料配置情報記憶装置32から読み出し、被測定試料401〜406及び409の固有情報をホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、標準試料名及び被測定試料名を表示装置26の画面に表示するようにしてもよい。
【0090】
又、図26には、標準試料301〜309をホルダベース上のすべての試料ホルダにそれぞれ固定し、標準試料のみをまとめて測定する場合のステージマップ図の一例を示している。
【0091】
ここで、標準試料が固定されるホルダの形状、ホルダの装着位置座標、ホルダベースの種類を含む試料ホルダの配置情報は、図25及び図26に表示している試料ホルダの配置情報のみに限定されるものではない。更に、一つのホルダ内に複数の標準試料を固定し、ホルダ登録情報の一部として標準試料名を表示するようにして、ステージマップ図上で表示することも可能である。
【0092】
又、第1〜第3の実施の形態においては、鏡筒の試料室にゲートバルブを介してロードロック室(試料準備室)が接続された場合を例示的に説明したが、試料交換の時間等を問題としない場合であれば、ロードロック機構は省略可能である。この場合、図2のフローチャートのステップS101において、被測定試料を試料ホルダ81、83に固定した後、試料ステージ19を鏡筒内の試料交換位置まで移動し、鏡筒の試料室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から直接取り出すことになる。そして、ステップS102において、試料ホルダ81、83を、ホルダベース44に装着し、ステップS103において、ホルダベース44を試料ステージ19上に搭載し、試料室のドアを閉めて、試料室を真空排気し、予め規定した到達圧力に到達するまで待機する手順となることは勿論である。
【0093】
更に、本発明の測定システムとしては、EPMA、電子顕微鏡、電子分光装置等の種々の表面分析装置に適用可能である。
【0094】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…測定ユニット
2a,2b,2c,2d…コントローラ
11…ステージ駆動手段
12…測定手段
19…試料ステージ
21,23…入出力インターフェース
22a,22b,22c…演算制御装置(CPU)
24…入力装置
25…出力装置
26…表示装置
27…ステージマップ図記憶装置
28…装着位置座標記憶装置
29…形状記憶装置
30…ホルダ配置情報記憶装置
31…ホルダ登録情報記憶装置
32…標準試料配置情報記憶装置
33…マップ表示情報記憶装置
39…移動先ステージ座標記憶装置
41…ステージ基準位置(原点)
42…試料交換位置
44…標準ホルダベース
49…ホルダベース基準位置
61…円形の試料ホルダ側面
62,72,126…押しネジ
63…円形の試料ホルダ底面
71…矩形の試料ホルダ側面
73…矩形の試料ホルダ底面
78,401,402,403,404,405,406,409…試料
81,82,84,85,111,114,115,116,141,151,161,171,181…円形の試料ホルダ
83,86,112,113,121,122,123,124,125,191…矩形の試料ホルダ
201,202,203,204,205,206,207,208,209…試料ホルダ
221…ステージマップ図切換手段
222…ホルダ配置情報生成手段
223…ホルダ配置図生成手段
224…マップ座標/ステージ座標変換手段
225…ステージ座標/マップ座標変換手段
226…ステージマップ表示手段
227…ステージ制御手段
228…該当ホルダ判定手段
229…該当ホルダ登録情報表示手段
230…標準試料配置情報表示手段
231…マップ表示情報生成手段
301,302,303,304,305,306,307,308,309,407,408…標準試料
g11〜g28…試料ホルダ装着位置番号
m11〜m21,n11〜n15,q11〜q21,r11〜r21…試料ホルダ装着位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)や電子顕微鏡等の表面分析装置に係り、特に分析の際に用いる試料ホルダの配置を示すステージマップ図の生成・表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
EPMAや電子顕微鏡等の表面分析装置は、測定ユニットを構成する鏡筒の内部に収容された被測定試料(分析試料)に電子ビームなどの励起源を照射し、励起源により照射された被測定試料から放出される二次電子線、反射電子線、特性X線等を検出し、この検出信号によって画像を形成し、被測定試料の表面分析や元素分析を行う。
【0003】
一般に、表面分析装置において表面分析を行う場合、被測定試料を固定した試料ホルダをホルダベースに装着し、ホルダベースを真空排気可能な鏡筒の内部の試料ステージ上に搭載し、ステージ座標を制御することにより、被測定試料上の目的位置を測定ユニットの分析位置に移動して、この分析位置において検出信号を取り出し、表面分析を行う。そのため、表面分析の際、被測定試料上の目的位置を、測定ユニットの内部の分析位置に正確に反映させる手法が待望されている。
【0004】
このため、同一形状・同一寸法の複数の試料穴を備えた多試料ホルダに、ホルダ種類を表すホルダ端子を固定することにより、試料ステージに取付られた試料ホルダの種類を判定し、ホルダ形状データを画像として自動的に表示する発明が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明によれば、これまで分析者がマニュアル操作で行っていた、試料穴の数等によって異なる試料ホルダの形状を識別するホルダ種類の入力等の操作を省略することができるため、人為的なミス無く、表面分析装置の表示装置の画面上に搭載試料ホルダの図形が表示されるため、表示された図形を用いて試料分析が正確且つ迅速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−76661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明は、単一の多試料ホルダを試料ステージに搭載するタイプの表面分析装置に関するものであり、試料ホルダに同一形状・同一寸法の複数の試料穴を設けて、形状を揃えた複数の被測定試料を、試料ホルダの試料穴に試料取付台等を介してそれぞれ固定し、被測定試料の分析位置を表示装置の画面で表示しているに過ぎない。即ち、大きさや形状が異なる被測定試料を試料ホルダに固定する場合や、異なる形状や寸法の複数の試料ホルダを試料ステージに搭載する場合の技術を提案するものではない。
【0007】
このように、従来の表面分析装置では、大きさや形状の異なる複数の被測定試料を種々の試料ホルダに固定する場合において、それらの大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをステージマップ上で表示することは難しく、そのため、ステージマップ上で被測定試料の目的の位置を分析位置として表示することが困難であるという不具合がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをホルダベースを介して試料ステージに搭載した場合において、多様な試料ホルダの形状や搭載状態及び被測定試料の現在位置を、ステージマップ上に表示し、表面分析の進行を容易にする表面分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、(イ)複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ、この試料ステージを駆動するステージ駆動手段、複数の試料ホルダにそれぞれ収納された試料に対して、逐次測定をする測定手段を有する測定ユニットと、(ロ)ホルダベース、複数の試料ホルダ、複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置座標、複数の試料ホルダのそれぞれの形状の表示情報を生成するマップ表示情報生成手段、ホルダベース上の複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置及び複数の試料ホルダのそれぞれの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段、配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段、ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段を有する演算処理装置と、(ハ)ステージマップ図を表示する表示装置とを備える表面分析装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大きさや形状の異なる複数の試料ホルダをホルダベースを介して試料ステージに搭載した場合において、多様な試料ホルダの形状や搭載状態及び被測定試料の現在位置を、ステージマップ上に表示し、表面分析の進行を容易にする表面分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ装着位置情報の一例である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ表示情報の一例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るホルダベース上におけるホルダの選択方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ配置情報の一例である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るホルダベースID情報の表示の一例である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ装着位置情報の他の例である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ形状情報の一例として円形の試料ホルダを示す模式図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ形状情報の一例として矩形の試料ホルダを示す模式図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るホルダ配置図の一例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るホルダ配置図の一例である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その1)。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その2)。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その3)。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その4)。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その5)。
【図23】本発明の第3の実施の形態に係る試料ホルダの構造及びホルダ登録情報の一例である(その6)。
【図24】本発明のその他の実施の形態に係る表面分析装置の論理構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図25】本発明のその他の実施の形態に係る標準試料配置情報を示すステージマップ図の一例である(その1)。
【図26】本発明のその他の実施の形態に係る標準試料配置情報を示すステージマップ図の一例である(その2)。
【図27】従来のホルダ配置図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、縦横の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
又、以下に示す第1〜第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成物品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置は、図1に示すように、測定ユニット1と、測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2aとを備える。測定ユニット1は、真空排気可能な鏡筒(図示省略)と、この鏡筒の試料室の内部に配置された、複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ19、試料ステージ19を駆動するステージ駆動手段11及び複数の試料ホルダにそれぞれ収納された被測定試料に対して、逐次測定をする測定手段12等を備える。図示を省略しているが、鏡筒の試料室には、ゲートバルブを介してロードロック室(試料準備室)が接続され、ロードロック機構を構成している。
【0015】
ステージ駆動手段11は、コントローラ2aから送信されてくる測定領域座標の情報(ステージ駆動信号)を受信し、座標情報に基づいて試料ステージ19をモータドライブ等により、例えば、水平移動(X,Y)、上下運動(Z)、傾斜(T)、回転(R)の5軸に沿って駆動する。測定手段12は、電子線を発生する電子銃と、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射するように調整する電子レンズと、電子線を試料表面に走査させる偏向器と、試料から放出される二次電子線、反射電子線、特性X線等を検出する検出器等を備える。ステージ駆動手段11が、試料ステージ19を予め定めた分析位置の座標まで移動すると、測定手段12が分析位置において、試料ホルダに収納された被測定試料を測定する。
【0016】
一方、コントローラ2aは、表面分析装置の使用者(分析者)がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2aと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、マイクロプロセッサ等の演算制御装置(CPU)22aと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、試料ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、試料ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39とを備える。更に、コントローラ2aは、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22aとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23等を備えてノイマン型コンピュータシステムと同様な構造をなす。
【0017】
コントローラ2aの一部をなす演算制御装置(CPU)22aは、論理構造として、ステージマップ図切換手段221、ホルダ配置情報生成手段222、ホルダ配置図生成手段223、マップ座標/ステージ座標変換手段224、ステージ座標/マップ座標変換手段225、ステージマップ表示手段226、ステージ制御手段227、マップ表示情報生成手段231とを有する。物理的には、CPU22aは演算をする演算論理装置(ALU)、データを一時記憶するレジスタ(置数器)やバッファ(緩衝用記憶装置)、データや命令等の情報を伝達するバス(情報運搬路)、外部記憶装置(メモリ)や周辺機器との入出力を行うインターフェース、CPU全体を制御する制御部分、この制御に必要なクロック信号を生成するクロック(時計)回路などで構成される中央処理装置であることは周知のコンピュータシステムと同様である。
【0018】
CPU22aの一部をなすステージマップ図切換手段221は、分析者が測定条件等を考慮して、入力装置24を介して選択したステージマップ図選択条件を取得し、取得した選択条件に対応するステージマップ図を、ステージマップ図記憶装置27から読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する。CPU22aの一部をなすマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報と、試料ホルダの種類の識別情報と、ホルダ装着位置情報とを取得する。更に、マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、ホルダベース種類毎にファイルされたホルダ装着位置座標情報を記憶している装着位置座標記憶装置28から、入力されたホルダベースの識別情報に対応するホルダ装着位置座標を読み出し、試料ホルダの種類毎の形状情報を記憶している形状記憶装置29から、入力された試料ホルダの種類の識別情報に対応する試料ホルダの形状を読み出し、試料ホルダの配置情報をそれぞれ読み出すことにより、マップ表示情報(図4参照。)を生成した後、マップ表示情報記憶装置33に格納する。CPU22aの一部をなすホルダ配置情報生成手段222は、ホルダベースの装着位置及び試料ホルダの形状に関する情報をそれぞれ読み出すことにより、ホルダベース上の試料ホルダの配置情報をデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報として生成し、ホルダ配置情報記憶装置30に格納する。
【0019】
CPU22aの一部をなすホルダ配置図生成手段223は、ホルダ配置情報生成手段222が生成した試料ホルダの配置情報に基づいてホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。又、マップ座標/ステージ座標変換手段224は、分析者が入力装置24に、移動先ステージ座標をマップ座標(マップウィンドウ)指定により入力する場合に、入力されたマップ座標をステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。ステージ座標/マップ座標変換手段225は、測定領域のステージ座標をマップ座標へと変換し、現在位置のマーカーをマップ座標のデータに変換する。CPU22aの一部をなすステージマップ表示手段226は、ステージマップ図切換手段221から送信されるステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されるホルダ配置図と、ステージ座標/マップ座標変換手段225から送信される現在位置のマーカーが表現されたマップ座標とをそれぞれ受信して合成し、合成されたステージマップ図を表示装置26の画面において表示する。
【0020】
又、CPU22aの一部をなすステージ制御手段227は、移動先ステージ座標記憶装置39から、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標を読み出し、入出力インターフェース21を介して、測定ユニット1のステージ駆動手段11に、移動先のステージ座標と共に、移動先のステージ座標への移動命令(ステージ駆動信号)を送信する。なお、図1は論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33及び移動先ステージ座標記憶装置39は、物理的には演算制御装置(CPU)22aの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22aの外部に接続されていても構わない。又、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33及び移動先ステージ座標記憶装置39は、ハードウェア資源として個別にそれぞれ存在してもよく、単一ハードウェア資源の内部のセグメントをそれぞれ利用したファイルとして存在してもよい。
【0021】
本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、ホルダ配置情報生成手段222と、ホルダ配置図生成手段223と、ステージマップ表示手段226と、マップ表示情報生成手段231と、装着位置座標記憶装置28と、形状記憶装置29と、ホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報記憶装置33とを含むことにより、測定時に試料ホルダの形状を含めて、試料ホルダのホルダベース上における搭載状態をステージマップに表示させることができるので、それぞれの被測定試料の現在位置、試料ホルダの形状、分析の進行状況等を簡単に画面上で把握することが可能となる。
【0022】
次に、図2のフローチャートを用いて、本発明の第1の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0023】
(イ)まず、分析者が、ステップS101において、被測定試料を、例えば、図9、10に示す試料ホルダ81、83に固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、鏡筒(図示省略)の真空状態と鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)の真空状態とを分離するゲートバルブを介して、ホルダベース44を鏡筒からロードロック室に移動する。鏡筒の試料室からロードロック室へのホルダベース44の移動は、例えば、鏡筒の試料室及びロードロック室に、それぞれ設けられた2本のレール等を介して行うことが可能である。その後、ゲートバルブを閉じ、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44をロードロック室から取り出す。ステップS102において、試料ホルダ81、83を、ホルダベース44に装着する。
【0024】
(ロ)次に、分析者は、ステップS121において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2aの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、ロードロック室の内部が予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。ロードロック室の内部が到達圧力に到達したら、ステップS103において、ゲートバルブを開け、ホルダベース44を鏡筒の試料室の試料ステージ19上に、ロードロック室から移動する。ステップS131において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応した試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成した後、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS132において、演算制御装置(CPU)22aのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。例えば図3(c)に示すように、試料ホルダの装着位置g11であれば、ネジ穴座標X=20,Y=20から、ステージ座標X'=20−5=15,Y'=20−5=15となる。次に、ステップS133において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0025】
(ハ)次に、ステップS122において、分析者が電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2aの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS134で、演算制御装置(CPU)22aのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS135において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0026】
(ニ)次に、ステップS123aにおいて、分析者が、コントローラ2aの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22aのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS123bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2aの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS136において、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0027】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS137において、演算制御装置(CPU)22aのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS104において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2aのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。この後、ステップS105において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0028】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS138において、演算制御装置(CPU)22aのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS105での測定に対応する現在のステージ座標をマップ座標へと変換する。更に、ステップS138では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し現在位置のマーカーを、ステージマップ図上で合成する。その後、ステップS139において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。その後、ステップS140において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS137に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS137〜S140までの処理手順を繰り返す。
【0029】
図3に、ホルダ装着位置情報の一例を示す。図3(a)は、破線(かくれ線)で示した試料ステージ19の上にホルダベース44を搭載した状態を示している。試料ステージ19は、ステージ基準位置(原点)(x=0,y=0)41から、試料交換位置(x=90,y=0付近)42まで、X軸方向に90mm、及び図3(a)に示したY軸方向に90mm移動可能である。図3(a)に示した例では、ホルダベース44上に18個の試料ホルダの装着位置g11〜g28が割り振ってある。
【0030】
図3(b)には、図3(a)に示したホルダベース44の情報として、ホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)、ホルダベースサイズX、ホルダベースサイズY、原点座標X及び原点座標Yが示されている。即ち、図3(a)で用いられているホルダベース43のホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)は、標準ホルダベースであり、ホルダベースサイズはX=100mm、Y=100mmで、又、ステージ基準位置(原点)41に対するホルダベース基準位置49の座標はX=−5、Y=−5であることが示されている。
【0031】
加えて、図3(c)には、図3(a)で示しているホルダの装着位置g11〜g28のネジ穴座標(装着位置座標)に対応したステージ座標値が表で示してあり、分析位置がマトリクス上にそれぞれ定義されている。例えば、装着位置g11のネジ穴座標(装着位置座標)(X=20,Y=20)は、ステージ座標(X'=15,Y'=15)に対応することが分かる。同様に、装着位置g12〜g28のネジ穴座標(装着位置座標)の値から、X座標、Y座標ともに5ずつ差し引いた値がステージ座標となる。図3(a),(b),(c)に示すホルダ装着位置情報は、ホルダベースの種類毎に装着位置座標記憶装置28に格納されており、対象となるホルダベースの識別情報(ホルダベース名)を入力すれば、表示装置26に表示させることができる。
【0032】
図4に、ステージマップ表示情報の一例を示す。図4(a)には、図3(b)においても示したように、ホルダベースの情報として、ホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)、ホルダベースサイズX、ホルダベースサイズY、原点座標X及び原点座標Yに関する情報が表示されている。即ち、ホルダベースのホルダベース名(ホルダベース種類の識別情報)が、標準ホルダベースであり、ホルダベースサイズがX=100mm、Y=100mmで、又、ステージ基準位置(原点)41に対するホルダベース基準位置49の座標がX=−5、Y=−5である。又、図4(b)には、試料ホルダの装着位置情報として、装着位置g11における試料ホルダの種類(ID)、ネジ穴座標(装着位置座標)(X,Y)、ステージ座標(X’,Y’)の情報がそれぞれ表示されている。図4(c)には、図4(b)で示した試料ホルダに固定されている被測定試料の名前(サンプル名)や形状等に関する情報が表示されている。図4(d)は、ホルダの装着位置情報として、装着位置g12において試料ホルダが装着されていないことを示している。即ち、この場合は、”ホルダなし”と表示され、ネジ穴座標及びステージ座標は表示されない。図4(e)には、試料ホルダの装着位置情報として、装着位置g13における試料ホルダの種類(ID)、ネジ穴座標(装着位置座標)(X,Y)、ステージ座標(X’,Y’)の情報がそれぞれ表示されている。図4(f)には、図4(e)で示した試料ホルダに固定されている被測定試料の名前や形状等に関する情報が表示されている。
【0033】
次に、図5のフローチャートを用いて、ホルダベース上におけるホルダの選択方法の一例を説明する。
【0034】
(イ)まず、分析者は、ステップS11において、ホルダベースとして、例えば図3(b),(c)に示した標準ホルダベースを選択する。
【0035】
(ロ)次に、分析者は、ステップS12において、ホルダベースの装着位置として、例えば、図3(a),(c)に示した装着位置g11を選択する。
【0036】
(ハ)更に、分析者は、ステップS13において、選択されたホルダベースに装着するホルダとして、例えばサンプルホルダ10−Bを選択(図6参照。)し、その後は、図2に示したステップS131へと進む。
【0037】
図6には、図5で示した方法によって表示されるホルダ配置情報の一例を示している。ホルダベース名として標準ホルダベースが示され、装着位置として、装着位置g11,g12,g13…が示されている。更に、各装着位置g11,g12,g13において、装着位置g11,g13にはサンプルホルダ10−B,サンプルホルダ32がそれぞれ装着されていて、装着位置g12にはホルダが装着されていないことが示されている。
【0038】
図7には、ホルダベースにおける各装着位置g11,g12,g13…でのホルダ装着状態の有無を表記する方法の一例を示している。ホルダベースの種類(ID)毎に、各装着位置でのホルダ装着状態の有無を一覧として表示することができる。
【0039】
図8(a),(b)は、横軸をX、縦軸をYとしたときの、ホルダ装着位置情報の他の例を示し、このホルダ装着位置情報を基礎に、ホルダベース44にどの試料ホルダをどこの装着位置座標に装着しているのかを示す試料ホルダの配置情報が作成される。図8(a)に示すホルダ装着位置情報おいては、ホルダベース44はm11〜m21の11箇所のホルダ装着位置に、試料ホルダが配置可能であることが示されている。m11,m12,m13は、等間隔で順番に並んでおり、X軸に対して並行である。同様に、m15,m16,m17も、等間隔で順番に並んでおり、X軸に対して並行である。又、m19,m20,m21も同様の条件で並んでいる。加えて、m11とm15とm19はY軸方向にも順番に並んでおり、m12とm16とm20、及びm13とm17とm21もそれぞれ同様の条件で並んでいる。更に、m14は、m11とm16を直線で結び、m12とm15を直線で結んだときにできる直線と直線の交点の付近に位置している。又、同様に、m18も、m16とm17を直線で結び、m20とm21を直線で結んだときの直線と直線の交点の付近に位置している。
【0040】
図8(b)に示すホルダ装着位置情報においては、ホルダベース44はn11〜n15の5箇所のホルダ装着位置に試料ホルダが配置可能であることが示されている。n11とn12はX軸と並行に順番に並んでおり、同様にn14とn15もX軸と並行に順番に並んでいる。加えて、n11とn14はY軸方向に順番に並んでおり、同様に、n12とn15もY軸方向に順番に並んでいる。又、n13は、n11とn15を結んだ直線と、n12とn14を結んだ直線との交点付近に位置している。図8(a),(b)に示すホルダ装着位置情報は、ホルダベースの種類毎に分類して装着位置座標記憶装置28に格納されており、対象となるホルダベースの識別情報を入力すれば、表示装置26に表示させることができる。又、表示装置26上で画面をクリックして選択することも可能である。
【0041】
図9は、試料ホルダの種類毎の形状情報の一例として、円形の試料ホルダ81を示す。図9(a)は、試料ホルダ81の斜視図であり、図9(b)は試料ホルダ81の上面図である。試料ホルダ81は、円形の底面63と、内側に被測定試料を収納できる空間を形成する円筒形状の側壁61と、ホルダベースに試料ホルダを固定するための押しネジ62等を備える。
【0042】
図10は、試料ホルダの種類毎の形状情報の他の例として、矩形の試料ホルダ83を示す。図10(a)は試料ホルダ83の斜視図であり、図10(b)は試料ホルダ83の上面図である。試料ホルダ83は、四角形の底面73と、内側に被測定試料78を固定できる空間を形成する1対の側壁71とによりコの字形状をなし、底面73にホルダベースに試料ホルダを固定するための押しネジ72等を備える。
【0043】
図11においては、ホルダ配置図の表示例の一例を示している。11箇所のホルダ装着位置q11〜q21を有するホルダベース44上において、ホルダ装着位置q11,q12,q15及びq16に、円形の試料ホルダ81,82,84及び85がそれぞれ固定されており、ホルダ装着位置q13とq17には、矩形の試料ホルダ83と86がそれぞれ固定されている。又、他のホルダ装着位置q14,q18,q19,q20,q21には試料ホルダは装着されていないことも確認できる。図27に示した従来のホルダ配置図では、形状が不明の試料ホルダ201〜209が、マトリクス状に分割されたステージマップ内において均等に表示されているのみであるが、図11では、ホルダ装着位置、固定されている試料ホルダの位置及び形状等を示す試料ホルダの配置情報(ホルダ配置図)が、ステージマップ図上においてより詳しく表示されていることが分かる。又、ステージマップ図を切り換えることにより、現在測定中の試料ホルダの拡大図や、被測定試料の拡大図を得ることも可能である。
【0044】
上記のように、本発明の第1の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの形状を含めた、被測定試料の配置状態が表示されたステージマップ図を得ることができるので、従来の方法に比べて、それぞれの被測定試料の現在位置、試料ホルダの形状、分析の進行状況等を簡単に画面上で把握することが容易になる。
【0045】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置の基本構成は、概略としては第1の実施の形態と基本的に同様であり、図12に示すように、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射して、被測定試料の表面分析を実施する測定ユニット1と、測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2bとを備える。ここで、測定ユニット1に関しては第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0046】
コントローラ2bは、分析者がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2bと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、演算制御装置(CPU)22bと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、試料ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、試料ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39と、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22bとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23とを備える点では第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0047】
しかし、本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置は、図12に示すように、コントローラ2bにおいて、演算制御装置(CPU)22bが、論理構造として、現在のステージ座標と配置情報に基づいて、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段228と、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26に表示させる該当ホルダ登録情報表示手段229とを含んでいる点で、第1の実施の形態に係る表面分析装置とは異なる。
【0048】
該当ホルダ判定手段228は、現在のステージ座標と配置情報に基づいて、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定し、その結果を該当ホルダ登録情報表示手段229に送信する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26の画面において表示する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込む機能を有するようにしてもよい。なお、該当ホルダ判定手段228が、ホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と、移動先ステージ座標記憶装置39から読み出した移動先のステージ座標とを基に、それぞれの試料ホルダの占有する領域が、複数の分析位置を含む大きさを有する大型試料ホルダの存在を判定した場合、該当ホルダ登録情報表示手段229は、複数の分析位置を含む大型試料ホルダを該当ホルダとして表示装置26の画面に表示する。
【0049】
なお、第1の実施の形態に係る表面分析装置で説明したのと同様に、図12は、論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33、移動先ステージ座標記憶装置39は、物理的には演算制御装置(CPU)22bの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22bの外部に接続されていても構わない。他は、第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0050】
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、該当ホルダ判定手段228と、該当ホルダ登録情報表示手段229とを含むことにより、表面分析装置は、現在の分析位置がどの試料ホルダに含まれているかを判定することが可能となり、現在の分析位置を含む該当ホルダの構造情報を容易に得ることが可能になる。
【0051】
次に、図13のフローチャートを用いて、本発明の第2の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0052】
(イ)第1の実施の形態と同様に、表面分析装置の使用者が、ステップS201において、被測定試料を、例えば、図14に示す試料ホルダ111〜116にそれぞれ固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、ロードロック機構等を利用して、鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)に、鏡筒からホルダベース44を移動し、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から取り出す。ステップS202において、試料ホルダ111〜116を、図14に示すようにホルダベース44に装着する。
【0053】
(ロ)次に、分析者は、ステップS221において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2bの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、ロードロック室の内部が予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。ロードロック室の内部が到達圧力に到達したら、ロードロック機構等を利用して、ステップS203で、ホルダベース44を鏡筒の試料ステージ19上に移動する。ステップS231において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応して試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成し、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS232において、演算制御装置(CPU)22bのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置、及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。次に、ステップS233において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0054】
(ハ)次に、ステップS222において、分析者が電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2bの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS234で、演算制御装置(CPU)22bのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS235において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0055】
(ニ)次に、ステップS223aにおいて、分析者が、コントローラ2bの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22bのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS223bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2bの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS236において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0056】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS237において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS204において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2bのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。その後、ステップS205において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0057】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS238において、演算制御装置(CPU)22bのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS205での測定に対応する現在のステージ座標(分析位置)をマップ座標へと変換する。更に、ステップS238では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し、現在位置のマーカーをステージマップ図上で合成する。その後、ステップS239において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。
【0058】
(ト)更に、ステップS240において、演算制御装置(CPU)22bの該当ホルダ判定手段228は、移動先ステージ座標記憶装置39から、測定領域の現在のステージ座標(分析位置)を読み出し、ステップS232でホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と比較することにより、現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する。現在のステージ座標(分析位置)を内包する該当ホルダが存在する場合は、ステップS241において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、該当ホルダの構造情報を、表示装置26の画面に表示する。ステップS240において、該当ホルダ判定手段228が、複数の分析位置を含む大型試料ホルダが存在すると判定した場合、ステップS241において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、複数の分析位置を含む大型試料ホルダの構造情報を、ホルダ配置情報記憶装置30から読み出し、表示装置26の画面に該当ホルダの情報として表示する。その後、ステップS242において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS237に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS237〜S242までの処理手順を繰り返す。
【0059】
図14では、11箇所のホルダ装着位置r11〜r21を有するホルダベース44上において、矩形の試料ホルダ112と113は、ホルダ装着位置r13とr17にそれぞれ固定されており、円形の試料ホルダ114,115,116は、ホルダ装着位置r19,r20,r21にそれぞれ固定され、ホルダ装着位置r18には試料ホルダは装着されていない。
【0060】
本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、図14に示すように、円形の大型試料ホルダ111が、5箇所のホルダ装着位置r11,r12,r14,r15,r16を内包した状態で固定されていることが示され、大きさが異なる試料ホルダを同じホルダベース上に装着した場合であっても、試料ホルダの配置情報を認識し、複数の分析位置を含む大型試料ホルダを該当ホルダとして表示することが可能となる。又、ステージマップ図を切り換えることにより、現在測定中の試料ホルダの拡大図や、被測定試料の拡大図を得ることも可能である。
【0061】
上記のように、本発明の第2の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、現在のホルダ装着位置の座標を含む(即ち、現在の分析位置を含む)該当ホルダの存在を検知して、この該当ホルダの構造情報を表示することが可能であるので、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの大きさ及び構造を含めた、被測定試料の配置情報が表示されたステージマップ図を得ることができ、それぞれの試料ホルダの現在位置、形状、大きさ、構造、分析の進行状況等の、第1の実施の形態に比し、より複雑な情報に関しても、画面上で把握することが容易になる。
【0062】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態に係る表面分析装置においては、現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在する場合、その該当ホルダの構造を示す構造情報を表示する例を説明した。本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置においては、試料ホルダの単なる構造情報だけでなく、試料ホルダに収納された被測定試料の固有情報までを含む、その試料ホルダが関与する包括的な固有情報であるホルダ登録情報を表示する場合を説明する。
【0063】
図15(a)には、複数の分析位置を含む大型試料ホルダの形状(構造情報)の一例として、ホルダベース44への装着部位である押しネジ126を備える矩形の大型試料ホルダ121の上に、大型試料ホルダ121と比較してサイズの小さい4つの矩形の試料ホルダ122〜125が、均等に装着された2重構造をしている複数の分析位置を含む大型試料ホルダを示している。ここで、押しネジ126の中心部分は、中心位置座標(15,15)と設定されている。矩形の大型試料ホルダ121上の試料ホルダ122〜125の取付け座標は、中心位置座標(15,15)からの距離で定義される。例えば、矩形の試料ホルダ122の取付け位置(8,8)は、中心位置座標(15,15)からの距離で取付け座標(−7,−7)と示される。
【0064】
図15(c)には、矩形の試料ホルダ122〜125の内、例として、試料ホルダ122の形状を示している。試料ホルダ122は、縦10mm、横10mmの正方形の形状をとっている。又、その他の試料ホルダ123〜125も試料ホルダ122と同様の形状をとる。
【0065】
図15(b)は、図15(a)に示した大型試料ホルダ121のホルダ登録情報の一例を示す。図15(b)の最上欄には、ホルダ登録情報の一つとしてのホルダタイプ名をサンプルホルダ10−Bとして表示している。又、4つの矩形の試料ホルダ122〜125に固定されているサンプル(被測定試料)に関する情報もそれぞれホルダ登録情報として表示している。矩形の試料ホルダ122のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(左上)、サンプル形状として矩形、取付け座標Xとして”−7”、取付け座標Yとして”−7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ123のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(右上)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”7”、取付座標Yとして”−7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ124のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(左下)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”−7”、取付座標Yとして”7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。矩形の試料ホルダ125のホルダ登録情報は、サンプル名として未設定(右下)、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして”7”、取付座標Yとして”7”、サンプルの横幅として”10”、サンプルの縦幅として”10”をそれぞれ表示している。
【0066】
本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、図16に示すように、電子線を試料ホルダに収納された被測定試料に照射して、被測定試料の表面分析を実施する測定ユニット1と測定ユニット1に接続され、測定ユニット1を制御し、且つ分析結果やステージマップ図等の必要な情報を表示させる演算処理を実行するコントローラ2cとを備える。ここで、測定ユニット1に関しては第1及び第2の実施の形態と同様であるので、重複した記載を省略する。
【0067】
コントローラ2cは、分析者がデータや必要な指示を入力する入力装置24と、分析結果やステージマップ図等を出力する出力装置25及び分析結果やステージマップ図等を表示する表示装置26と、コントローラ2cと測定ユニット1との間のデータのやりとりを仲介する入出力インターフェース21と、演算制御装置(CPU)22bと、ステージマップ図を記憶するステージマップ図記憶装置27と、ホルダの装着位置座標を記憶する装着位置座標記憶装置28と、ホルダの形状を記憶する形状記憶装置29と、試料ホルダの配置情報を記憶するホルダ配置情報記憶装置30と、マップ表示情報を記憶するマップ表示情報記憶装置33と、移動先のステージ座標を記憶する移動先ステージ座標記憶装置39と、入力装置24、出力装置25及び表示装置26が、それぞれ演算制御装置(CPU)22bとデータの送受信をする際に仲介する入出力インターフェース23とを備える点では第2の実施の形態とほぼ同様である。
【0068】
しかし、本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、図16に示すように、コントローラ2cにおいて、演算制御装置(CPU)22bが、論理構造として、ホルダベース44上での試料ホルダの配置情報と、測定領域のステージ座標に基づいて、現在の分析位置を内包する試料ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段228と、現在の分析位置を内包する該当ホルダがある場合に、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を表示する該当ホルダ登録情報表示手段229とを含む点で第1の実施の形態に係る表面分析装置と異なる。更に、それに加えて、試料ホルダの固有情報と、試料ホルダに収納されている被測定試料の名前等の被測定試料の固有情報を含むホルダ登録情報を記憶しているホルダ登録情報記憶装置31を含んでいる点で、第2の実施の形態に係る表面分析装置とも異なる。
【0069】
該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を表示する際に、現在の分析位置を内包する該当ホルダに固定されている被測定試料の固有情報もホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出して、表示装置26の画面において表示する。該当ホルダ登録情報表示手段229は、ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込む機能を有するようにしてもよい。なお、第1及び第2の実施の形態に係る表面分析装置で説明したのと同様に、図16は、論理的な構成を示すブロック図であるので、ステージマップ図記憶装置27、装着位置座標記憶装置28、形状記憶装置29、ホルダ配置情報記憶装置30、マップ表示情報記憶装置33、移動先ステージ座標記憶装置39、ホルダ登録情報記憶装置31は、物理的には演算制御装置(CPU)22bの内部に内蔵されていても、演算制御装置(CPU)22bの外部に接続されていても構わない。他は、第1及び第2の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
【0070】
本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置は、上記のように構成されており、該当ホルダ判定手段228と、該当ホルダ登録情報表示手段229とを含むことにより、表面分析装置は、現在の分析位置が試料ホルダに含まれているかを判定することが可能となり、測定領域座標から、分析位置に配置されているホルダの登録情報を容易に得ることが可能になる。更に、それに加えて、ホルダ登録情報記憶装置31を含むことにより、試料ホルダに収納されている被測定試料の名前等の被測定試料の固有情報をも、ホルダ登録情報の一部として容易に得ることが可能となる。
【0071】
次に、図17のフローチャートを用いて、本発明の第3の実施の形態に係るステージマップ図の表示方法の一例について説明する。
【0072】
(イ)第1及び第2の実施の形態と同様に、表面分析装置の使用者が、ステップS301において、被測定試料を、例えば、図15,18〜23に示す試料ホルダ121,141,151,161,171,181,191の内の一つあるいは複数に固定する。試料ステージ19をホルダベース交換位置まで移動し、ロードロック機構等を利用して、鏡筒に接続されたロードロック室(試料準備室)にホルダベース44を移動し、ロードロック室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から取り出す。ステップS302において、試料ホルダ121,141,151,161,171,181,191の内の一つあるいは複数を、ホルダベース44に装着する。
【0073】
(ロ)次に、分析者は、ステップS321において、ホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を、コントローラ2cの入力装置24を介して入力する。ロードロック室のドアを閉めて、ロードロック室を真空排気し、予め規定した到達圧力に到達するまで待機する。到達圧力に到達したら、ロードロック機構等を利用して、ステップS303で、ホルダベース44を鏡筒の試料ステージ19上に移動する。ステップS331において、演算制御装置(CPU)22aのマップ表示情報生成手段231は、入力装置24を介して入力されたホルダベース種類の識別情報、試料ホルダの種類の識別情報、及びホルダ装着位置に関する情報を取得する。マップ表示情報生成手段231は、取得した情報を基に、装着位置座標記憶装置28から、取得したホルダベースの識別情報に対応するホルダベース44を検索し、試料ステージ19に搭載されている現在のホルダベース44のホルダ装着位置座標を読み出す。加えて、マップ表示情報生成手段231は、形状記憶装置29から、取得した試料ホルダの種類の識別情報に対応して試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、マップ表示情報(図4参照。)を生成し、マップ表示情報記憶装置33に格納する。次に、ステップS332において、演算制御装置(CPU)22bのホルダ配置情報生成手段222は、マップ表示情報記憶装置33から、ホルダベース、ホルダベースの装着位置、及び試料ホルダの形状情報をそれぞれ読み出し、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報を生成する。次に、ステップS333において、ホルダ配置図生成手段223は、データ(数字)としての試料ホルダの配置情報からホルダ配置図を画像として生成し、ステージマップ表示手段226に送信する。
【0074】
(ハ)次に、ステップS322において、分析者が、電子顕微鏡の倍率や測定領域の大きさ等を考慮して、コントローラ2cの入力装置24を介して、適切なマトリクスサイズのステージマップ図を選択する。ステップS334で、演算制御装置(CPU)22bのステージマップ図切換手段221は、入力装置24を介して選択されたステージマップ図の識別情報を取得する。ステップS335において、ステージマップ図切換手段221は、取得したステージマップ図の識別情報を基に、ステージマップ図記憶装置27から選択されたステージマップ図を読み出し、ステージマップ表示手段226に送信する(なお、必要に応じて、この段階でステージマップ表示手段226が、受信したステージマップ図を、表示装置26の画面において表示させるようにしてもよい)。
【0075】
(ニ)次に、ステップS323aにおいて、分析者が、コントローラ2cの入力装置24を介して、マップ座標(マップウィンドウ)を指定すると、演算制御装置(CPU)22bのマップ座標/ステージ座標変換手段224は、入力されたマップ座標を、マッピングにより走査される範囲(領域)のステージ座標に変換し、ステージ制御手段227に送信する。又は、ステップS323bにおいて、分析者が、マップ座標を用いずに、コントローラ2cの入力装置24を介して、移動先ステージ座標を直接入力すれば、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、入力された移動先ステージ座標を直接取得する。ステップS336において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は取得した移動先ステージ座標を、移動先ステージ座標記憶装置39に格納する。
【0076】
(ホ)鏡筒の試料室の内部が規定の到達圧力に到達したら、測定手段12の電子銃を起動し、所望の加速電圧に設定する。次に、ステップS337において、演算制御装置(CPU)22bのステージ制御手段227は、ステージ駆動プログラムに従い、移動先ステージ座標記憶装置39から、最初に移動する移動先ステージ座標を読み出し、読み出した移動先ステージ座標と共に、ステージの移動命令(ステージ駆動信号)を測定ユニット1のステージ駆動手段11に送信する。測定ユニット1では、ステップS304において、ステージ駆動手段11が、コントローラ2cのステージ制御手段227から送信される移動先ステージ座標と、この移動先ステージ座標への移動命令に基づいて、試料ステージ19を移動先ステージ座標ヘ移動する。その後、ステップS305において、ステージ駆動手段11が移動した試料ステージ19の移動先ステージ座標を分析位置として、測定手段12が試料ホルダに収納された被測定試料に対して電子ビームを走査し、測定(マッピング分析)を実施する。
【0077】
(ヘ)この測定と同時、もしくは対象としたマップ座標の測定の終了後に、ステップS338において、演算制御装置(CPU)22bのステージ座標/マップ座標変換手段225は、ステップS305での測定に対応する現在のステージ座標(分析位置)をマップ座標へと変換する。更に、ステップS338では、ステージマップ表示手段226が、ステージマップ図切換手段221から送信されたステージマップ図と、ホルダ配置図生成手段223から送信されたホルダ配置図とを合成し、更に、現在の測定領域に対し現在位置のマーカーをステージマップ図上で合成する。その後、ステップS339において、ステージマップ表示手段226は、合成したステージマップ図を表示装置26の画面に表示させる。この際、表面形状像や元素分析像等の2次元画像とステージマップ図とを重ね合わせて表示装置26に表示してもよく、測定された2次元画像とステージマップ図とを、上下、又は左右に並べて表示してもよい。
【0078】
(ト)更に、ステップS340において、演算制御装置(CPU)22bの該当ホルダ判定手段228は、移動先ステージ座標記憶装置39から、測定領域の現在のステージ座標(分析位置)を読み出し、ステップS332でホルダ配置情報生成手段222が生成したデータ(数字)としての試料ホルダの配置情報と比較することにより、現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在するかどうかを判定する。現在の分析位置を内包する該当ホルダが存在する場合は、ステップS341において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダのホルダ登録情報を、表示装置26の画面に表示する。更に、ステップS342において、該当ホルダ登録情報表示手段229は、現在の分析位置を内包する該当ホルダに収納されている被測定試料の固有情報を、ホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、被測定試料の固有情報も表示装置26の画面に合わせて表示する。このとき、該当ホルダ登録情報表示手段229が、分析実行時に生成される分析データの情報の一部に、ホルダ登録情報を自動的に取り込むようにしてもよい。その後、ステップS343において、分析者は、指定されたすべてのステージ座標で測定が実行されたかどうかを確認し、すべてのステージ座標で測定が実行されていなければ、ステップS337に戻り、次の移動先ステージ座標に移動して、ステップS337〜S343までの処理手順を繰り返す。
【0079】
図18〜図23には、図18(a)〜図23(a)に試料ホルダの形状の一例を示しており、図18(b)〜図23(b)に、ホルダ登録情報として、図18(a)〜図23(a)に示した試料ホルダのホルダタイプ名、試料ホルダに固定されている被測定試料(サンプル)名、試料(サンプル)形状、試料ホルダの取付座標X及びY、被測定試料(サンプル)の横幅及び縦幅等のホルダ登録情報の一例をそれぞれ示している。又、前述したように、図15(b)にも、図15(a)に示している大型試料ホルダ121に関するサンプル名等のホルダ登録情報を示している。
【0080】
図18(a)には、ホルダベース44への装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ141の構造が示されている。図18(b)には、試料ホルダ141固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名として包埋用ホルダ25、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"18"、サンプルの縦幅として"18"がそれぞれ表示されている。
【0081】
図19(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ151の構造が示されている。図19(b)には、試料ホルダ151固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ25、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"26"、サンプルの縦幅として"26"がそれぞれ表示されている。
【0082】
図20(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ161の構造が示されている。図20(b)には、試料ホルダ161固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ32、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"32.5"、サンプルの縦幅として"32.5"がそれぞれ表示されている。
【0083】
図21(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ171の構造が示されている。図21(b)には、試料ホルダ171固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ38、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"39"、サンプルの縦幅として"39"がそれぞれ表示されている。
【0084】
図22(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、円形の試料ホルダ181の構造が示されている。図22(b)には、試料ホルダ181固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ40、サンプル名として未設定、サンプル形状として円形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"41"、サンプルの縦幅として"41"がそれぞれ表示されている。
【0085】
図23(a)には、ホルダベースへの装着部位である押しネジ126を備える、矩形の試料ホルダ191の構造が示されている。図23(b)には、試料ホルダ191固有のホルダ登録情報が、ホルダタイプ名としてサンプルホルダ10−A、サンプル名として未設定、サンプル形状として矩形、取付座標Xとして"0"、取付座標Yとして"0"、サンプルの横幅として"10.5"、サンプルの縦幅として"10.5"がそれぞれ表示されている。
【0086】
上記のように、本発明の第3の実施の形態に係る表面分析装置及びステージマップ図の表示方法によれば、分析者は、ホルダベース上における異なる種類の複数の試料ホルダの現在位置、形状、大きさ、構造、分析の進行状況等の情報を容易に得られるのに加えて、図18(b)〜図23(b)あるいは図15(b)に示すように、試料ホルダに固定されている被測定試料の固有情報に関しても、容易に得ることが可能となる。図18(b)〜図23(b)、図15(b)に示すホルダ登録情報は、分析実行時に生成される分析データの情報の一部として、自動的に取り込むようにすれば、分析データに関する情報の入力作業を簡略化することができる。
【0087】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
既に述べた実施の形態の説明において、定量分析等をする際に用いられる標準試料に関しても、被測定試料と同様にステージマップ図に表示することが可能である。この場合、実施の形態に係る表面分析装置は、図24に示すように、第3の実施の形態に係る表面分析装置に加えて、コントローラ2dが、標準試料の配置情報を記憶する標準試料配置情報記憶装置32を備え、コントローラ2dにおける演算制御装置(CPU)22cが、標準試料の配置情報を表示する標準試料配置情報表示手段230を更に備える。分析者は、被測定試料を測定する際と同様の方法で、使用する標準試料を試料ホルダに固定し、試料ホルダに固定した標準試料の配置情報をコントローラ2dの入力装置24に入力する。入力された標準試料の配置情報は、標準試料配置情報記憶装置32に収納され、その後、標準試料配置情報表示手段230によって標準試料配置情報記憶装置32から読み出され、表示装置26にステージマップ図として表示される。
【0089】
図25には、標準試料のステージマップ図における表示の一例を示している。図25では、Fe、Cr、Ni、Al等の標準試料407及び408を、被測定試料401〜406及び409と同じホルダベース上に装着された試料ホルダにそれぞれ固定し、測定する場合のステージマップ図の一例である。図25に示されるような場合は、標準試料配置情報記憶装置32に収納される内容をホルダ登録情報記憶装置31に記憶させ、Fe、Cr、Ni、Al等の標準試料407及び408の固有情報を、被測定試料401〜406及び409の固有情報と同様に、ホルダ登録情報の一部としてホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、標準試料名及び被測定試料名を表示装置26の画面に表示するようにしてもよく、標準試料407及び408の固有情報は、標準試料配置情報記憶装置32から読み出し、被測定試料401〜406及び409の固有情報をホルダ登録情報記憶装置31から読み出し、標準試料名及び被測定試料名を表示装置26の画面に表示するようにしてもよい。
【0090】
又、図26には、標準試料301〜309をホルダベース上のすべての試料ホルダにそれぞれ固定し、標準試料のみをまとめて測定する場合のステージマップ図の一例を示している。
【0091】
ここで、標準試料が固定されるホルダの形状、ホルダの装着位置座標、ホルダベースの種類を含む試料ホルダの配置情報は、図25及び図26に表示している試料ホルダの配置情報のみに限定されるものではない。更に、一つのホルダ内に複数の標準試料を固定し、ホルダ登録情報の一部として標準試料名を表示するようにして、ステージマップ図上で表示することも可能である。
【0092】
又、第1〜第3の実施の形態においては、鏡筒の試料室にゲートバルブを介してロードロック室(試料準備室)が接続された場合を例示的に説明したが、試料交換の時間等を問題としない場合であれば、ロードロック機構は省略可能である。この場合、図2のフローチャートのステップS101において、被測定試料を試料ホルダ81、83に固定した後、試料ステージ19を鏡筒内の試料交換位置まで移動し、鏡筒の試料室の内部を大気開放して、ホルダベース44を試料室から直接取り出すことになる。そして、ステップS102において、試料ホルダ81、83を、ホルダベース44に装着し、ステップS103において、ホルダベース44を試料ステージ19上に搭載し、試料室のドアを閉めて、試料室を真空排気し、予め規定した到達圧力に到達するまで待機する手順となることは勿論である。
【0093】
更に、本発明の測定システムとしては、EPMA、電子顕微鏡、電子分光装置等の種々の表面分析装置に適用可能である。
【0094】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0095】
1…測定ユニット
2a,2b,2c,2d…コントローラ
11…ステージ駆動手段
12…測定手段
19…試料ステージ
21,23…入出力インターフェース
22a,22b,22c…演算制御装置(CPU)
24…入力装置
25…出力装置
26…表示装置
27…ステージマップ図記憶装置
28…装着位置座標記憶装置
29…形状記憶装置
30…ホルダ配置情報記憶装置
31…ホルダ登録情報記憶装置
32…標準試料配置情報記憶装置
33…マップ表示情報記憶装置
39…移動先ステージ座標記憶装置
41…ステージ基準位置(原点)
42…試料交換位置
44…標準ホルダベース
49…ホルダベース基準位置
61…円形の試料ホルダ側面
62,72,126…押しネジ
63…円形の試料ホルダ底面
71…矩形の試料ホルダ側面
73…矩形の試料ホルダ底面
78,401,402,403,404,405,406,409…試料
81,82,84,85,111,114,115,116,141,151,161,171,181…円形の試料ホルダ
83,86,112,113,121,122,123,124,125,191…矩形の試料ホルダ
201,202,203,204,205,206,207,208,209…試料ホルダ
221…ステージマップ図切換手段
222…ホルダ配置情報生成手段
223…ホルダ配置図生成手段
224…マップ座標/ステージ座標変換手段
225…ステージ座標/マップ座標変換手段
226…ステージマップ表示手段
227…ステージ制御手段
228…該当ホルダ判定手段
229…該当ホルダ登録情報表示手段
230…標準試料配置情報表示手段
231…マップ表示情報生成手段
301,302,303,304,305,306,307,308,309,407,408…標準試料
g11〜g28…試料ホルダ装着位置番号
m11〜m21,n11〜n15,q11〜q21,r11〜r21…試料ホルダ装着位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ、該試料ステージを駆動するステージ駆動手段、前記複数の試料ホルダにそれぞれ収納された被測定試料に対して、逐次測定をする測定手段を有する測定ユニットと、
前記ホルダベース、前記複数の試料ホルダ、前記複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置座標、前記複数の試料ホルダのそれぞれの形状の表示情報を生成するマップ表示情報生成手段、前記ホルダベース上の前記複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置及び前記複数の試料ホルダのそれぞれの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段、前記配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段、前記ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段を有する演算処理装置と、
前記ステージマップ図を表示する表示装置
とを備えることを特徴とする表面分析装置。
【請求項2】
前記演算処理装置が、現在のステージ座標と前記配置情報に基づいて、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表面分析装置。
【請求項3】
試料ホルダの固有情報と、該試料ホルダに収納されている被測定試料の固有情報を含む試料ホルダのホルダ登録情報を記憶するホルダ登録情報記憶装置を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の表面分析装置。
【請求項4】
現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、前記該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ登録情報記憶装置から読み出し、前記表示装置に表示させる該当ホルダ登録情報表示手段を、前記演算処理装置が更に備えることを特徴とする請求項3に記載の表面分析装置。
【請求項5】
前記該当ホルダ登録情報表示手段が、前記ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込むことを特徴とする請求項4に記載の表面分析装置。
【請求項1】
複数の試料ホルダをホルダベースを介して搭載可能な試料ステージ、該試料ステージを駆動するステージ駆動手段、前記複数の試料ホルダにそれぞれ収納された被測定試料に対して、逐次測定をする測定手段を有する測定ユニットと、
前記ホルダベース、前記複数の試料ホルダ、前記複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置座標、前記複数の試料ホルダのそれぞれの形状の表示情報を生成するマップ表示情報生成手段、前記ホルダベース上の前記複数の試料ホルダのそれぞれの装着位置及び前記複数の試料ホルダのそれぞれの種類の情報を含む配置情報を生成するホルダ配置情報生成手段、前記配置情報からホルダ配置図を生成するホルダ配置図生成手段、前記ホルダ配置図をステージマップ図に合成するステージマップ表示手段を有する演算処理装置と、
前記ステージマップ図を表示する表示装置
とを備えることを特徴とする表面分析装置。
【請求項2】
前記演算処理装置が、現在のステージ座標と前記配置情報に基づいて、現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在するか否かを判定する該当ホルダ判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の表面分析装置。
【請求項3】
試料ホルダの固有情報と、該試料ホルダに収納されている被測定試料の固有情報を含む試料ホルダのホルダ登録情報を記憶するホルダ登録情報記憶装置を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の表面分析装置。
【請求項4】
現在のステージ座標を内包する該当ホルダが存在すると判定された場合、前記該当ホルダのホルダ登録情報をホルダ登録情報記憶装置から読み出し、前記表示装置に表示させる該当ホルダ登録情報表示手段を、前記演算処理装置が更に備えることを特徴とする請求項3に記載の表面分析装置。
【請求項5】
前記該当ホルダ登録情報表示手段が、前記ホルダ登録情報を分析実行時に生成される分析データの情報の一部に自動的に取り込むことを特徴とする請求項4に記載の表面分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−267456(P2010−267456A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116995(P2009−116995)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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