説明

表面被覆切削工具

【課題】本発明の目的は、高度な耐摩耗性を付与することができる被膜を備えた表面被覆切削工具を提供することにある。
【解決手段】本発明の表面被覆切削工具は、基材と該基材上に形成された被膜とを備えるものであって、該被膜は、1以上の層を含み、該層のうち少なくとも1の層は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で示される第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材と該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の被削材を切削加工するのに用いられる表面被覆切削工具は、WC基超硬合金、サーメット、高速度鋼等の硬質の基材に対してその表面の耐摩耗性を改善したり表面保護機能を改善したりすることを目的として、TiN、TiCN、TiAlN等の硬質被膜でその表面を被覆することが行なわれてきた。
【0003】
しかしながら、被削材が多様化していることおよび加工効率を向上させるために高速の切削加工が求められることなどの理由から、以前に比し切削工具の寿命は非常に短くなっている。さらに、最近の切削工具の動向として、地球環境保全の観点から切削油剤を用いない乾式の加工(ドライ加工)が求められる傾向にある。したがって、表面被覆切削工具には従来にも増して諸特性の向上が求められており、特に耐摩耗性を向上させることが強く求められている。
【0004】
このような状況下、基材に対してTi、Zr、Hf、Ta、Nb、V、Cr、Mo等の改質物質を添加する試みが提案されているが(特許文献1)、この提案により基材自体の耐摩耗性が向上したとしてもそれを被覆する被膜の耐摩耗性が十分でないと全体としての耐摩耗性の向上が図れないものと考えられる。
【0005】
これに対して、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Al、Si等の金属の窒化物または炭窒化物からなる層を含む被膜により基材を被覆する試みが提案されているが(特許文献2)、当該被膜は表面に非晶質炭素膜を形成することを前提としており、この非晶質炭素膜が剥離することによる耐摩耗性の低下が危惧される。また、V、Nb、Ta、Cr、Mo等の金属からなる中間層を含む被膜により基材を被覆する試みも提案されているが(特許文献3)、このような中間層はその上に形成される酸化アルミニウム被膜のエピタキシャル成長を促進させるために形成されるものであって、そのような中間層自体が耐摩耗性の向上した被膜となるものではなかった。
【0006】
一方、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W等の金属でダイヤモンド粒子の表面を被覆し、この被覆粒子を切削工具に用いることが提案されているが(特許文献4)、このような被覆粒子を用いたとしても基材上に形成される被膜自体の耐摩耗性を向上させることにはならない。
【特許文献1】特開2000−336451号公報
【特許文献2】特開2007−291484号公報
【特許文献3】特開平07−216559号公報
【特許文献4】特開平11−189492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、高度な耐摩耗性を付与することができる被膜を備えた表面被覆切削工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の表面被覆切削工具は、基材と該基材上に形成された被膜とを備えるものであって、該被膜は、1以上の層を含み、該層のうち少なくとも1の層は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で示される第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層であることを特徴とする。
【0009】
ここで、上記バナジウム含有ニオブ層は、0.1μm以上20μm以下の厚みを有することが好ましい。また、上記バナジウム含有ニオブ層は、上記第1化合物を含む第1層と、第2化合物を含む第2層とが各々1層以上積層されて形成されており、該第2化合物は、Si、Cr、Al、Ti、Hf、Ta、Nb、およびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む化合物であることが好ましい。この場合、該第1層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下であり、該第2層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0010】
また、上記被膜は、上記バナジウム含有ニオブ層以外に、さらに周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される1層以上の硬質被膜層を含むことが好ましい。
【0011】
この硬質被膜層は、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される層であることが好ましい。また、この硬質被膜層は、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の層が、各層の厚みを1nm以上100nm以下の厚みとして周期的に積層される超多層であることが好ましい。
【0012】
また、上記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかにより構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表面被覆切削工具は、上記のような構成を有することにより、高度な耐摩耗性を付与することができる被膜を備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<表面被覆切削工具>
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成された被膜とを備えるものである。このような構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。
【0015】
<基材>
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。このような基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
【0016】
なお、これらの基材は、その表面が改質されたものであっても差し支えない。たとえば、超硬合金の場合はその表面に脱β層が形成されていたり、サーメットの場合には表面硬化層が形成されていても良く、このように表面が改質されていても本発明の効果は示される。
【0017】
<被膜>
本発明の表面被覆切削工具の上記基材上に形成される被膜は、1以上の層を含むものである。そして、それらの層のうち少なくとも1の層は、以下で詳述する第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層である。本発明の被膜は、このバナジウム含有ニオブ層を含む限り、さらに他の層を含んでいても差し支えない。なお、本発明の被膜は、基材上の全面を被覆するもののみに限られるものではなく、部分的に被膜が形成されていない態様をも含む。
【0018】
このような被膜の合計厚み(2以上の層が形成される場合はその総膜厚)は、0.1μm以上30μm以下とすることが好ましく、より好ましくはその上限が25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、その下限が0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。その厚みが0.1μm未満の場合、耐摩耗性等の諸特性の向上作用が十分に示されない場合があり、30μmを超えると残留応力が大きくなり基材との密着性が低下する場合がある。なお、膜厚の測定方法としては、切削工具を切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察することにより求めることができる。以下、該被膜についてさらに詳細に説明する。
【0019】
<バナジウム含有ニオブ層>
本発明のバナジウム含有ニオブ層は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で示される第1化合物を含むものである。このような第1化合物は、極めて高い硬度を有しており、このためバナジウム含有ニオブ層は極めて耐摩耗性に優れたものとなり、被膜全体の耐摩耗性が飛躍的に向上したものとなる。
【0020】
本発明のバナジウム含有ニオブ層は、不可避不純物を除き第1化合物のみによって構成することができる。しかし、後述のような他の成分(元素)を含むことができるとともに、同じく後述のような第1化合物を含む層と他の化合物を含む層とが積層されて形成されたものであっても良い。
【0021】
なお、このようなバナジウム含有ニオブ層は、第1化合物とともに、その第1化合物に起因する(第1化合物の形成時に同時に形成されたり、その形成後に経時的に形成される)副次的化合物を含んでいても差し支えない。そのような副次的化合物は第1化合物に対し少量含まれるものであり、たとえばNbと上記化学式中のZとからなる化合物や、Vと上記化学式中のZとからなる化合物が挙げられる他、Nb単体やV単体も挙げることができる。
【0022】
このような本発明のバナジウム含有ニオブ層は、0.1μm以上20μm以下の厚みを有することが好ましい。より好ましくは、その上限が15μm、さらに好ましくは10μmであり、その下限が0.3μm、さらに好ましくは0.5μmである。
【0023】
上記厚みが0.1μm未満の場合、高度な耐摩耗性を付与するという本発明の効果が示されない場合があるとともに、20μmを超えると、該効果が低減される場合がある。
【0024】
なお、このようなバナジウム含有ニオブ層の組成は、RBS(ラザフォード後方散乱分析)法により同定することができる。
【0025】
<第1化合物>
上記バナジウム含有ニオブ層に含まれる第1化合物は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で示される化合物である。上記化学式中、原子比Xが0.15≦X≦0.3の範囲となる限り、結晶構造が正方晶型を示し極めて高い硬度を示す。
【0026】
ここで、上記化学式中、原子比Xは、より好ましくは0.17≦X≦0.28であり、その上限がさらに好ましくは0.25、その下限がさらに好ましくは0.20である。この原子比Xが0.15未満の場合、結晶構造が六方晶型(六方晶窒化ニオブ型)を主体とするものとなり硬度が低下するため耐摩耗性を向上することができない。また、この原始比Xが0.3を超えると結晶構造は正方晶型を維持するものの硬度が低下し、これまた耐摩耗性を向上させることができなくなる。
【0027】
なお、上記の化学式中、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。すなわち、Zは、これらの元素が各単独で構成されていても良いし、2以上の元素が組み合わされて構成されていても良い。2以上の元素が組み合わされて構成される場合、各元素の原子比は特に限定されるものではないが、窒素が含まれる場合はこれらの構成元素に占める(すなわち上記化学式中のYに対する)窒素の原子比を50%以上とすることが好適である。
【0028】
また、原子比Yは、0.1≦Y≦2である限り特に限定されないが、より好ましくは0.4≦Y≦1.8である。Yが0.1未満の場合、耐摩耗性が低下するため好ましくない。またYが2を超えると、やはり耐摩耗性が低下するため好ましくない。なお、上記のようにZが2種以上の元素で構成される場合は、原子比Yはそれらの元素の合計量を示すものとする。
【0029】
なお、原子比Yは、その測定方法により数値が大きく変動することがあるため、±10%前後の誤差を含み得ることを考慮する必要がある。
【0030】
<バナジウム含有ニオブ層の積層構造>
本発明のバナジウム含有ニオブ層は、上記の第1化合物を含む単一の層で構成することができるが、次のような積層構造とすることもできる。
【0031】
すなわち、本発明のバナジウム含有ニオブ層は、上記第1化合物を含む第1層と、第2化合物を含む第2層とが各々1層以上積層されて形成されているものとすることができ、この第2化合物は、Si、Cr、Al、Ti、Hf、Ta、Nb、およびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含むものとすることができる。このような第1層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下であることが好ましく、また同じく第2層も、その厚みが0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0032】
ここで、この第2化合物は、Si、Cr、Al、Ti、Hf、Ta、Nb、およびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素に対して、硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を原子比で0.1以上2以下含むことが好ましい。原子比をこの範囲のものとすることにより、以下のような優れた効果が示される。なお、Si、Cr、Al、Ti、Hf、Ta、Nb、およびVのうち異なった元素が2種以上含まれる場合、その合計量が上記範囲の原子比を満たす限り、各元素間の原子比は特に制限されない。同様にして、硼素、酸素、炭素、および窒素のうち異なった元素が2種以上含まれる場合も、各元素間の原子比は特に制限されない。
【0033】
上記のような積層構造を採用することにより、次のような優れた効果が示される。すなわち、上記第2化合物は耐酸化性に優れているため、クレーター摩耗の低減作用および耐摩耗性の向上作用に加え、バナジウム含有ニオブ層全体として優れた耐酸化性が示される。また、このように組成の異なる2層を積層させたことにより、被膜の厚み方向に亀裂が進展することを極めて有効に抑制することができ、この亀裂の進展による被膜破壊に起因した摩耗現象を効果的に低減することができることから結果的に耐摩耗性をさらに向上させることができる。
【0034】
ここで、前述のように第1層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下であることが好ましく、また同じく第2層も、その厚みが0.5nm以上200nm以下であることが好ましい。この範囲の厚みを有することにより切削時において特に優れた耐摩耗性が示されるからである。そして、上記第1層および第2層の各厚みは、より好ましくはその上限が100nm、さらに好ましくは50nmであり、その下限はより好ましくは1nmである。0.5nm未満の厚みで各層を形成することは困難であり、その厚みが200nmを超えると上記のような優れた効果が示されない場合がある。そして、特に好ましくは上記第1層のみの加算合計厚みが0.3μm以上10μm以下となる場合であり、より好ましくは0.7μm以上5μm以下となる場合である。第1層のみの合計厚みをこれらの範囲とすることにより、上記の効果が最も効果的に発現する。なお、第1層のみの合計厚みがこのような範囲となる限り、第2層のみの合計厚みは特に限定されないが、1μm以上10μm以下の厚みとすれば通常は十分である。このように積層される第1層と第2層との各厚みは、概ね等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0035】
なお、積層構造とは、上記第1層と第2層とが各々1層以上積層されて形成されていることを示すものであるが、より好ましくは上記第1層と第2層とが各々上下交互に複数積層されることが好適である。なお、このような積層構造において最下層および最上層は第1層または第2層のいずれの層によって形成されていても差し支えない。また、積層数は特に限定されるものではないが、各層それぞれ1層以上8000層以下、より好ましくは20層以上5000層以下とすることができる。
【0036】
<硬質被膜層>
本発明の被膜は、上記バナジウム含有ニオブ層以外に、さらに周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hf等)、Va族元素(V、Nb、Ta等)、VIa族元素(Cr、Mo、W等)、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される1層以上の硬質被膜層を含むことができる。
【0037】
そして、このような硬質被膜層としては、特にTi、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される層であることが好ましく、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の層が、各層の厚みを1nm以上100nm以下の厚みとして周期的に積層される超多層であることが好ましい。
【0038】
このような硬質被膜層は、高硬度で耐摩耗性に優れるとともに、極めて優れた靭性を示すものが好ましい。特に、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される1層以上の層は、耐酸化性および耐熱性に優れていることから特に優れた耐摩耗性が示されるため極めて有効である。なお、該硬質被膜層は、物理蒸着法により形成されることが好ましく、圧縮応力を有していることが好ましい。
【0039】
このような硬質被膜層を物理蒸着法により形成することが好適である理由は、第一に硬質被膜層に圧縮応力を付与するためであり、第二にバナジウム含有ニオブ層が物理蒸着法により形成される場合においてこれらの被膜と同じ成膜方法を採用することにより製造効率を向上させるためである。このような物理蒸着法の詳細は後述する。
【0040】
そして、このような硬質被膜層を構成する元素または化合物としては、たとえば、Cr、Ti、Al、Si、V、Zr、Hf、TiAl、TiSi、AlCr、TiN、TiON、TiCN、TiCNO、TiBN、TiCBN、TiAlCN、AlN、AlCN、AlCrCN、AlON、CrN、CrCN、TiSiN、TiSiCN、Ti23、TiAlON、ZrN、ZrCN、AlZrN、TiAlN、TiAlSiN、TiAlCrSiN、AlCrN、AlCrSiN、TiZrN、TiAlMoN、TiAlNbN、TiSiN、TiSiCN、AlCrTaN、AlTiVN、TiB2、TiCrHfN、CrSiWN、TiAlCN、TiSiCN、AlZrON、AlCrCN、AlHfN、CrSiBON、TiAlWN、AlCrMoCN、TiAlBN、TiAlCrSiBCNO等を挙げることができる。
【0041】
とりわけ、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物としては、Ti、Cr、Al、Si、TiAlN、TiAlNO、TiAlCNO、Al23、TiBN、TiCBN、TiSiN、TiSiNO、TiSiCNO、CrTiN、CrTiNO、CrTiCNO、SiAlN、SiAlNO、SiAlCNO、CrSiN、CrSiNO、CrSiCNO、SiAlN、SiAlNO、SiAlCNO、CrSiN、CrSiNO、CrSiCNO、TiAlSiN、TiAlSiNO、TiAlSiCNO、TiAlCrN、TiAlCrNO、TiAlCrCNO、TiCrSiN、TiCrSiNO、TiCrSiCNO、AlCrN、AlCrNO、AlCrSiNO、AlCrCNO、AlCrSiBNO等を挙げることができ、特にAlCrN、AlCrNO、AlCrSiNO、AlCrSiBNO、AlCrCNO等が好適である。
【0042】
なお、上記の化学式において、各元素の原子比が特に記載されていないものは必ずしも等比となるものではなく、従来公知の原子比が全て含まれるものとする。たとえば単にTiNと記す場合、TiとNとの原子比は1:1が含まれる他、2:1、1:0.95、1:0.9等が含まれる(特に断りのない限り、以下において同じ)。
【0043】
なお、この硬質被膜層は、これらの元素または化合物を単層または多層として形成することができ、多層の場合はこれらの元素または化合物からなる層を4nm〜5μmの厚みで積層する場合も含む。そして、特にTi、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の層が、各層の厚みを1nm以上100nm以下の厚みとして周期的に積層される超多層を1以上含むことが好ましい。このように上記各層を周期的に積層させることにより、耐酸化性および耐熱性がさらに向上し極めて優れた耐摩耗性が示される。ここで、周期的に積層させるとは、たとえば2種の層を上下交互に積層させるなど、一定の周期性をもって積層させることをいう。なお、各層の厚みが1nm未満となる場合や100nmを超える場合には積層による耐摩耗性の向上効果が示されない場合があるが、その場合であってもこれらの元素や化合物によってもたらされる固有の耐摩耗性の向上効果は示される。各層の厚みはより好ましくは4nm以上60nm以下である。
【0044】
また、このような硬質被膜層は、0.3μm以上10μm以下の厚み(超多層で形成される場合はその全体の厚み)を有することが好ましく、より好ましくはその上限が7μm以下、さらに好ましくは5μm以下、その下限が0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。その厚みが0.3μm未満の場合には、十分な耐摩耗性が示されなくなるとともに十分な靭性を示さなくなる場合があり、10μmを超えると耐欠損性が低下することがあるため好ましくない。
【0045】
なお、このような硬質被膜層は、基材とバナジウム含有ニオブ層との間に形成することができるとともに、バナジウム含有ニオブ層上に形成することもでき、その積層配置は特に限定されない。
【0046】
<製造方法>
本発明の被膜とりわけバナジウム含有ニオブ層は、上記の通り結晶性の高い化合物で構成されている必要があるため、本発明の被膜はそのような結晶性の高い化合物で構成されるような成膜プロセスにより形成されていることが好ましい。したがって、本発明の被膜は特に物理蒸着法(PVD法)により形成されることが望ましい。このような物理蒸着法としては、たとえばバランストマグネトロンスパッタリング法、アンバランストマグネトロンスパッタリング法、アークイオンプレーティング法、これらを各組み合せた方法等を挙げることができる。なお、バナジウム含有ニオブ層や硬質被膜層が上記のような積層構造(超多層)で形成されている場合であっても、これらの物理蒸着法の下、従来公知の手法により形成することができる。
【0047】
そして、特に上記のようなバナジウム含有ニオブ層を好適に形成する具体的な条件を挙げると以下の通りとなる。すなわち、アークイオンプレーティング法を採用する場合、所望の構造の第1化合物が得られるように適切な配合比で各対応する元素を含んだターゲット(焼結ターゲットまたは溶成ターゲット)をアーク式蒸発源にセットし、基板(基材)温度を400〜700℃および該装置内の反応ガス圧を2.0〜6.0Paに設定し、反応ガスとしてたとえば窒素、メタン、酸素等のうちから1以上のガスを選択することによりこれを導入する。そして、基板(負)バイアス電圧を−60V〜−200Vに維持したまま、カソード電極に50〜120Aのアーク電流を供給し、アーク式蒸発源から金属イオン等を発生させることによりクロム含有チタン層を形成することができる。なお、上記基板温度を高くする程、第1化合物の結晶性が高くなる傾向を示す。
【0048】
また、アンバランストマグネトロンスパッタリング法を採用する場合、基板(基材)温度を400〜700℃および該装置内の反応ガス圧を300mPa〜800mPaに設定し、所望の第1化合物に対応する反応ガスとしてたとえば窒素、アセチレン、酸素のうちから1以上のガスを選択することによりこれを導入する(なお、反応ガスの導入に際しては、希ガス/反応ガスの比を1〜5に設定することが好ましい)。そして、基板温度を高くする程、第1化合物の結晶性は高くなる傾向を示し、ターゲットに0.12〜0.3W/mm2の電力密度を発生させることによりバナジウム含有ニオブ層を形成することができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の各被膜を構成する各層の化学組成(化合物の組成)はRBSにより確認し、各層の厚みは被膜の断面を二次電子顕微鏡(SEM)により観察することにより確認し、また結晶構造はXRD(X線回折)θ/2θ法により確認した。
【0050】
本実施例において基材上に形成される被膜の構成を以下の表1に示す。被膜(その合計厚みを表1の最右欄に記載した)は、第1層、第2層および第3層を含み、基材上に第1層から順に形成した。ただし、表1中空欄になっている層は形成されなかったことを示す。たとえば実施例1〜16は被膜として第1層のみを形成したことを示す。
【0051】
また、表1中、「NbV層」という表記はバナジウム含有ニオブ層を示し、「NbV層(積)」という表記はバナジウム含有ニオブ層が第1層と第2層とを積層した構造であることを示している。表1中、「NbV層」および「NbV層(積)」以外に記載されている化学式は、硬質被膜層がその化学式で示される化合物によって構成されていることを示す。ただし、実施例19のように「TiAlN(5nm)/AlCrN(4nm)」という表記は、硬質被膜層が厚み5nmのTiAlN層と厚み4nmのAlCrN層とを上下交互に積層した超多層(合計厚み2.0μm)により構成されることを示している。ここで、TiとAlとNの原子比は0.44/0.56/1.0であり、AlとCrとNの原子比は0.68/0.32/1.0である。なお、実施例18の「TiSiN」の原子比は0.82/0.18/1.0であり、実施例20の「AlCrNO」の原子比は0.68/0.32/0.74/0.26であり、実施例23の「TiAlN」の原子比は0.42/0.6/0.98である。また、実施例17の「TiN」の原子比は1.0/1.0であり、実施例21、22の「TiCN」の原子比は1.0/0.15/0.85である。
【0052】
一方、表2は、表1に示されたバナジウム含有ニオブ層に含まれる第1化合物の組成を示している。すなわち、表2中「X」、「Y」、「Z」とは第1化合物である化学式Nb1-XXY中のX、Y、Zをそれぞれ示す(「Z」の項に記載されている数値は原子比を示す(それらの数値の合計は「Y」に記載された数値となる)。なお、表2に示された第1化合物の結晶構造が正方晶型であることはXRD θ/2θ法により確認した。
【0053】
また、表3は、表1において「NbV層(積)」と示されたものについて、その第2化合物の組成(第1化合物の組成は上記の表2に示されている)と、第1層および第2層の1層当りの厚みを示している。たとえば、実施例11のバナジウム含有ニオブ層は、第1化合物として「Nb0.770.231.0」を含む第1層(厚み6nm)と第2化合物としてAlCrN(原子比は0.7/0.3/1.0)を含む第2層(厚み8nm)とを合計厚みが4.0μmとなるように上下交互に積層した構造を有していることを示している。
【0054】
また、表4は、比較例を示しており、本発明の規定範囲外となる第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層のみが基材上に形成されたことを示している。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
なお、上記のような各被膜は、全て以下の陰極式アークイオンプレーティング法により形成した。
【0060】
<陰極式アークイオンプレーティング(AIP)法>
まず、基材として、グレードがP30(JIS B 4053−1998)の超硬合金であり、形状がSNGN120408(JIS B 4121−1998)である切削チップを準備し、これを洗浄した後、陰極式アークイオンプレーティング装置(成膜装置)内の基板取り付け位置にセットした。なお、このような成膜装置としては従来公知の構成のものを特に制限なく使用することができる。
【0061】
そして、真空ポンプにより該装置内を1×10-4Pa以下に減圧するとともに、該装置内に設置されたヒーターにより上記基材の温度を650℃に加熱し、1時間保持した。
【0062】
次に、アルゴンガスを導入して該装置内の圧力を3.0Paに保持し、基板(基材)バイアス電圧を徐々に上げながら−1500Vとし、基材の表面のクリーニングを15分間行なった。その後、アルゴンガスを排気した。
【0063】
次いで、上記基材表面に形成される被膜を、その化学組成が表1および表2に示したものとなるように各対応する元素を含んだ各ターゲットを原料蒸発源(アーク式蒸発源)にセットした(ただし積層構造を有する層の形成については後述する)。基板(基材)温度を550〜650℃および該装置内の反応ガス圧を4.0Paに設定し、表1および表2に示した化学組成に対応する反応ガスとして、窒素、メタン、酸素のうちから1以上のガスを選択することによりこれを導入した。そして、基板バイアス電圧を−80Vに維持したまま、カソード電極に50〜120Aのアーク電流を供給し、アーク式蒸発源から金属イオン等を発生させることにより被膜(第1層〜第3層)を形成した。
【0064】
すなわち、アーク式蒸発源から発生した金属イオン、金属元素、またはクラスター等がプラズマ雰囲気中で上記反応ガスと反応することにより、基材上に被膜(第1層〜第3層)が形成(析出)されることになる。なお、反応ガスとしては、最終生成物が窒化物の場合は窒素を選択し、その他の炭窒化物や窒酸化物等の場合は、2種以上の反応ガスを選択して用いた(適宜アルゴン等の雰囲気ガスを併用した)。化学組成に硼素が含まれる場合はターゲットに予め硼素元素を所望量含有させたものを用いた。
【0065】
そして、表1に記載した厚みとなったところでアーク式蒸発源に供給する電流を停止し(2以上の層を形成する場合は順次次の層を形成した後に停止させ)、冷却後該装置内を大気に開放した後、被膜が基材上に形成された表面被覆切削工具を装置から取り出すことにより、本発明の表面被覆切削工具を製造した。
【0066】
<積層構造>
表1において「NbV層(積)」と記載されている層も、上記と同様に陰極式アークイオンプレーティング法により形成した。すなわち、第1層を形成するためのターゲット1(組成は表2記載の第1化合物が得られる組成とした)と第2層を形成するためのターゲット2(組成は表3記載の第2化合物が得られる組成とした)とを装置内側壁に同じ高さでセットし、両ターゲットの中間点(装置のほぼ中心部)に基材をセットした。そして、これらのターゲット1とターゲット2とをともに蒸発させながら基材を回転させることにより、基材がターゲット1の正面に位置するときには第1層が形成され、ターゲット2の正面に位置するときには第2層が形成されるようにした。このようにして積層構造を形成することができるが、ターゲットを蒸発させる条件は上記で既に記載した条件と同様の条件を採用した。
【0067】
なお、表1において硬質被膜層として「TiAlN(5nm)/AlCrN(4nm)」と記載されている層も、上記と同様の条件を採用することにより形成することができる。
【0068】
以上のようにして、表1〜表3に記載した構成の実施例1〜23の表面被覆切削工具を製造した。これらの実施例の表面被覆切削工具は、基材と該基材上に形成された被膜とを備えるものであって、この被膜は1以上の層を含み、該層のうち少なくとも1の層は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す)で示される第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層であることを特徴とする。なお、上記の実施例の表面被覆切削工具と同様にして比較例1〜3の表面被覆切削工具も製造した。
【0069】
<耐摩耗性試験>
上記のようにして製造された実施例1〜23の表面被覆切削工具および比較例1〜3の表面被覆切削工具について、以下の切削条件により耐摩耗性試験を実施し、逃げ面摩耗量が0.15mmとなる時間を測定した。その時間が長いもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。その結果を以下の表5に示す。
【0070】
(切削条件−旋削)
被削材:SCM435丸棒
切削速度:250m/min
切込み:2.0mm
送り:0.3mm/rev.
乾式/湿式:乾式
【0071】
【表5】

【0072】
表5より明らかなように、本発明の実施例の表面被覆切削工具は、比較例の表面被覆切削工具に比し、優れた耐摩耗性を示した。
【0073】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0074】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
前記被膜は、1以上の層を含み、
前記層のうち少なくとも1の層は、結晶構造が正方晶型である化学式Nb1-XXY(ただし、X、Yはそれぞれ原子比を示し、Xは0.15≦X≦0.3であり、Yは0.1≦Y≦2である。また、Zは硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)で示される第1化合物を含むバナジウム含有ニオブ層である表面被覆切削工具。
【請求項2】
前記バナジウム含有ニオブ層は、0.1μm以上20μm以下の厚みを有する請求項1記載の表面被覆切削工具。
【請求項3】
前記バナジウム含有ニオブ層は、前記第1化合物を含む第1層と、第2化合物を含む第2層とが各々1層以上積層されて形成されており、
前記第2化合物は、Si、Cr、Al、Ti、Hf、Ta、Nb、およびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、硼素、酸素、炭素、および窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。
【請求項4】
前記第1層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下であり、
前記第2層は、その厚みが0.5nm以上200nm以下である請求項3記載の表面被覆切削工具。
【請求項5】
前記被膜は、前記バナジウム含有ニオブ層以外に、さらに周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される1層以上の硬質被膜層を含む請求項1〜4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
【請求項6】
前記硬質被膜層は、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される層である請求項5記載の表面被覆切削工具。
【請求項7】
前記硬質被膜層は、Ti、Cr、Al、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、または該元素の少なくとも1種と、炭素、窒素、酸素、および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物によって構成される2種以上の層が、各層の厚みを1nm以上100nm以下の厚みとして周期的に積層される超多層である請求項5または6に記載の表面被覆切削工具。
【請求項8】
前記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかにより構成される請求項1〜7のいずれかに記載の表面被覆切削工具。

【公開番号】特開2009−208155(P2009−208155A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50489(P2008−50489)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(503212652)住友電工ハードメタル株式会社 (390)
【Fターム(参考)】