説明

被めっき層形成用組成物、金属膜を有する積層体の製造方法

【課題】本発明は、無電解めっき時におけるめっき速度が向上すると共に、基板に対する密着性がより向上した金属膜を得ることができる被めっき層形成用組成物、および、該組成物を用いて実施される金属膜を有する積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】式(1)で表される化合物と、重合性基を有するポリマーとを含む、被めっき層形成用組成物。


(式(1)中、R10は、水素原子、金属カチオン、または第四級アンモニウムカチオンを表す。L10は、単結合、または、二価の有機基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。nは1または2を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被めっき層形成用組成物、および、該組成物を使用した金属膜を有する積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
【0003】
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属パターン(金属膜)との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンを金属配線として使用する際、金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理する必要があるため、基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
【0004】
この問題を解決する手段として、基板上に基板と高密着性を有するポリマー層を形成し、このポリマー層に対してめっきを施して、得られた金属膜をエッチングする方法が知られている(特許文献1)。該方法によれば、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−248464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、製品コストの削減の観点から、製造プロセスのより一層の短縮化が求められていた。
本発明者らは特許文献1に開示されている金属パターン材料について検討を行ったところ、無電解めっきの析出時間が長く、無電解めっき膜の析出速度のさらなる向上が必要であった。
【0007】
さらに、近年、電子機器の小型化、高機能化の要求に対応するため、プリント配線板などの微細配線のより一層の高集積化が進んでいる。それに伴って、配線(金属パターン)の基板に対する密着性のより一層の向上が要求されている。
本発明者らは特許文献1に開示されている金属パターン材料について検討を行ったところ、得られためっき膜(金属膜)の密着性は、必ずしも昨今要求されるレベルには達していないことが明らかになった。
【0008】
通常、無電解めっき処理の時間を短縮すると、金属膜のアンカー部分の膜厚が薄くなり密着性に劣る傾向にある。また、金属膜の充分な厚みを確保しようとすると、めっき処理の時間が長くなり生産性に劣る。このように、めっき処理時間の短縮化と、金属膜の密着性の向上とはトレードオフの関係にある場合が多い。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、無電解めっき時におけるめっき速度が向上すると共に、基板に対する密着性がより向上した金属膜を得ることができる被めっき層形成用組成物、および、該組成物を用いて実施される金属膜を有する積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、スルホン酸基を有するモノマーを使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0011】
(1) 後述する式(1)で表される化合物と、重合性基を有するポリマーとを含む、被めっき層形成用組成物。
(2) 前記化合物の質量(質量A)と、前記化合物の質量(質量A)および前記ポリマーの質量(質量B)の合計値(質量A+質量B)との質量比{質量A/(質量A+質量B)}が、0.01〜0.25である、(1)に記載の被めっき層形成用組成物。
(3) さらに、重合開始剤を含む、(1)または(2)に記載の被めっき層形成用組成物。
【0012】
(4) 基板上に、(1)〜(3)のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を接触させた後、前記被めっき層形成用組成物にエネルギーを付与して、前記基板上に被めっき層を形成する層形成工程と、
前記被めっき層に無電解めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対して無電解めっきを行い、前記被めっき層上に金属膜を形成するめっき工程と、を備える金属膜を有する積層体の製造方法。
(5) 前記基板表面の水接触角が80°以下である、(4)の記載の金属膜を有する積層体の製造方法。
(6) (1)〜(3)のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を用いて得られる被めっき層。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無電解めっき時におけるめっき速度が向上すると共に、基板に対する密着性がより向上した金属膜を得ることができる被めっき層形成用組成物、および、該組成物を用いて実施される金属膜を有する積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)〜(D)は、それぞれ本発明の積層体およびパターン状金属膜を有する積層体の製造方法における各製造工程を順に示す基板から積層体までの模式的断面図である。
【図2】(A)〜(D)は、本発明の積層体のエッチング工程の一態様を順に示す模式的断面図である。
【図3】(A)〜(E)は、本発明の積層体のエッチング工程の他の態様を順に示す模式的断面図である。
【図4】(A)〜(H)は、多層配線基板の製造工程を順に示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の被めっき層形成用組成物、および、金属膜を有する積層体の製造方法について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明においては、式(1)で表される化合物(以後、適宜スルホン酸基含有モノマーとも称する)を使用している点が挙げられる。該スルホン酸基含有モノマーを使用して被めっき層(ポリマー層)の作製を行った場合、スルホン酸基に無電解めっき触媒(例えば、パラジウム触媒)が吸着した基板表面の電位状態が、無電解めっきを行うのに良好な状態となる。そのため、従来技術と比較して、より優れためっき速度が達成され、製造プロセスの短縮化が図れる。さらに、被めっき層中にスルホン酸基が含まれていると、めっき液の侵入が促進され、結果として密着性により優れた金属膜が形成される。
なお、本発明に被めっき層を使用すると、従来技術より配線のパターニング時のエッチングによって無電解めっき触媒が脱離しやすいためアッシング処理などにより被めっき層を除去する際に、より短時間かつ高精細に被めっき層を除去することができ、結果として配線パターン間の絶縁性をより向上させることができる。
【0016】
まず、本発明の被めっき層形成用組成物の構成成分(式(1)で表される化合物、重合性基を有するポリマーなど)について詳述し、その後該組成物を使用した金属膜を有する積層体の製造方法について詳述する。
【0017】
<式(1)で表される化合物>
本発明の被めっき層形成用組成物には、式(1)で表される化合物が含有される。該化合物が含有されることにより、上述した通り、無電解めっき触媒またはその前駆体が該化合物のスルホン酸基に吸着することで基板電位が無電解めっき液の混成電位と一致しやすいため、めっき析出性の向上、および、金属膜の密着性向上が達成される。
【0018】
【化1】

【0019】
式(1)中、R10は、水素原子、金属カチオン、または第四級アンモニウムカチオンを表す。金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン(ナトリウムイオン、カルシウムイオン)、銅イオン、パラジウムイオン、銀イオンなどが挙げられる。なお、金属カチオンとしては、主に1価または2価のものが使用され、2価のもの(例えば、パラジウムイオン)が使用される場合、後述するnは2を表す。
第四級アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
なかでも、無電解めっき触媒金属の付着、および、パターニング後の金属残渣の点から、水素原子であることが好ましい。
【0020】
10は、単結合、または、二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
【0021】
11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が挙げられる。また、置換アルキル基としては、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R11としては、水素原子、またはメチル基が好ましい。
12としては、水素原子が好ましい。
13としては、水素原子が好ましい。
【0022】
nは、1または2の整数を表す。なかでも、化合物の入手性の観点から、nは1であることが好ましい。
【0023】
(好適態様)
式(1)で表される化合物の好適態様として、式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0024】
【化2】

【0025】
式(2)中、R10、R11およびnは、上記の定義と同じである。
11は、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、またはフェニレン基を表す。なかでも、L11がアミド基であると、得られる被めっき層の重合性、および、耐溶剤性(例えば、アルカリ溶剤耐性)が向上する。
12は、単結合、2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数3〜5)、または2価の芳香族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状であってもよい。
なお、L12が単結合の場合、L11はフェニレン基を表す。
【0026】
式(1)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、揮発性、溶剤への溶解性、成膜性、および、取扱い性などの観点から、100〜1000が好ましく、100〜300がより好ましい。
【0027】
<重合性基を有するポリマー>
本発明で使用されるポリマーは、重合性基を有する。
以下、ポリマーに含まれる官能基や、その特性について詳述する。
【0028】
(重合性基)
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと基板(または、密着補助層)との間に化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基などの不飽和カルボン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基、スチリル基が特に好ましい。
【0029】
(相互作用性基)
上記ポリマーは、後述する無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、適宜相互作用性基とも称する)を有することが好ましい。該基を有することにより、被めっき層に対して無電解めっき触媒またはその前駆体が吸着した基板表面の電位が無電解めっき液の混成電位と一致しやすいため、無電解めっき時のめっき速度の向上、および、得られる金属膜の密着性がより向上する。
相互作用性基は、無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(配位性基、金属イオン吸着性基)であり、無電解めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、あるいは、無電解めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としては、例えば、非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)なども挙げられる。
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、無電解めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、カルボキシル基またはシアノ基がさらに好ましい。
相互作用性基としてのこれら官能基は、ポリマー中に2種以上が含まれていてもよい。
【0030】
なお、上記エーテル基としては、以下の式(X)で表されるポリオキシアルキレン基が好ましい。
式(X) *−(YO)n−Rc
式(X)中、Yはアルキレン基を表し、Rcはアルキル基を表す。nは1〜30の数を表す。*は結合位置を表す。
アルキレン基としては、炭素数1〜3が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基が好ましく挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基が好ましく挙げられる。
nは1〜30の数を表し、好ましくは3〜23である。なお、nは平均値を表し、該数値は公知の方法(NMR)などによって測定できる。
【0031】
ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、20000以上であることが好ましい。
また、ポリマーの重合度は特に制限されないが、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
【0032】
(好適態様1)
ポリマーの第1の好ましい態様として、下記式(a)で表される重合性基を有するユニット(以下、適宜重合性基ユニットとも称する)、及び、下記式(b)で表される相互作用性基を有するユニット(以下、適宜相互作用性基ユニットとも称する)を含む共重合体が挙げられる。なお、ユニットとは繰り返し単位を意味する。
【0033】
【化3】

【0034】
上記式(a)および式(b)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
1〜R5が、置換または無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が挙げられる。また、置換アルキル基としては、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
2としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
3としては、水素原子が好ましい。
4としては、水素原子が好ましい。
5としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
【0035】
上記式(a)および式(b)中、X、Y、およびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
【0036】
X、Y、およびZとしては、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられ、より好ましくは単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)である。
【0037】
上記式(a)および式(b)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義としては、上述したX、Y、およびZで述べた二価の有機基と同義である。
1としては、脂肪族炭化水素基、または、ウレタン結合またはウレア結合を有する二価の有機基(例えば、脂肪族炭化水素基)が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
1の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、または、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
【0038】
【化4】

【0039】
上記式(1−1)および式(1−2)中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる群より選択される2つ以上の原子を用いて形成される二価の有機基である。好ましくは、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、エチレンオキシド基、ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、テトラエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基、テトラプロピレンオキシド基が挙げられる。
【0040】
また、L2は、単結合、または、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、L2は、単結合、または、総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、L2の総炭素数とは、L2で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、およびこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
【0041】
上記式(b)中、Wは、無電解めっき触媒または前駆体と相互作用する官能基を表す。該官能基の定義は、上述の相互作用性基の定義と同じである。
【0042】
上記式(a)で表される重合性基ユニットの好適態様としては、下記式(c)で表されるユニットが挙げられる。
【0043】
【化5】

【0044】
式(c)中、R1、R2、ZおよびL1は、式(a)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。Aは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
【0045】
式(c)で表されるユニットの好適態様として、式(d)で表されるユニットが挙げられる。
【0046】
【化6】

【0047】
式(d)中、R1、R2、およびL1は、式(a)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。AおよびTは、酸素原子、またはNR(Rは、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
【0048】
上記式(d)において、Tは、酸素原子であることが好ましい。
また、上記式(c)および式(d)において、L1は、無置換のアルキレン基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、ウレタン結合を有する二価の有機基がより好ましく、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
【0049】
また、式(b)で表される相互作用性基ユニットの好適態様としては、下記式(e)で表されるユニットが挙げられる。
【0050】
【化7】

【0051】
上記式(e)中、R5およびL2は、式(2)で表されるユニット中の各基の定義と同じである。Qは、酸素原子、またはNR’(R’は、水素原子、またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、または炭素数1〜5の無置換のアルキル基である。)を表す。
また、式(e)におけるL2は、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、または、これらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(e)においては、L2中の相互作用性基との連結部位が、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(e)におけるL2中の相互作用性基との連結部位が、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
【0052】
上記重合性基ユニットは、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40モル%である。5モル%未満では反応性(硬化性、重合性)が落ちる場合があり、50モル%超では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、上記相互作用性基ユニットは、無電解めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜95モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95モル%である。
【0053】
(好適態様2)
ポリマーの第2の好ましい態様としては、下記式(A)、式(B)、および式(C)で表されるユニットを含む共重合体が挙げられる
【0054】
【化8】

【0055】
式(A)で表されるユニットは上記式(a)で表されるユニットと同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)で表されるユニット中のR5、XおよびL2は、上記式(b)で表されるユニット中のR5、XおよびL2と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)中のWaは、後述するVで表される親水性基またはその前駆体基を除く無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を表す。
【0056】
式(C)中、R6は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。アルキル基の定義は、上述したR1〜R5で表されるアルキル基と同義である。
式(C)中、Uは、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したX、YおよびZで表される二価の有機基と同義である。
式(C)中、L3は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したL1およびL2で表される二価の有機基と同義である。
式(C)中、Vは親水性基またはその前駆体基を表す。親水性基とは親水性を示す基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボン酸基などが挙げられる。また、親水性基の前駆体基とは、所定の処理(例えば、酸またはアルカリにより処理)により親水性基を生じる基を意味し、例えば、THP(2−テトラヒドロピラニル基)で保護したカルボキシ基などが挙げられる。
親水性基としては、被めっき層が各種水性処理液やめっき液と濡れ易くなり、イオン性極性基であることが好ましい。イオン性極性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられる。中でも、適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点から、カルボン酸基が好ましい。
【0057】
特に、式(C)で表されるユニットにおいては、適度な酸性(他の官能基を分解しない)、アルカリ水溶液中では親水性を示し、水を乾燥すると環状構造により疎水性を示しやすいという点から、Vがカルボン酸基であり、且つ、L3のVとの連結部に4員〜8員の環構造を有することが好ましい。ここで、4員〜8員の環構造としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、フェニレン基が挙げられ、中でも、シクロヘキシル基、フェニレン基が好ましい。
また、式(C)で表されるユニットにおいては、適度な酸性(他の官能基を分解しない)、アルカリ水溶液中では親水性を示し、水を乾燥すると長鎖アルキル基構造により疎水性を示しやすいという点から、Vがカルボン酸基であり、且つ、L3の鎖長が6〜18原子であることも好ましい。ここで、L3の鎖長とは、式(C)中のUとVとの距離を表し、UとVとの間が6〜18原子の範囲で離間していることが好ましいことを意味する。L3の鎖長として、より好ましくは6〜14原子であり、更に好ましくは6〜12原子である。
【0058】
上記ポリマーの第2の好ましい態様における各ユニットの好ましい含有量は、以下の通りである。
式(A)で表されるユニットは、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜30モル%である。
式(B)で表されるユニットは、無電解めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜75モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜70モル%である。
式(C)で表されるユニットは、水溶液による現像性と耐湿密着性の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、10〜70モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは20〜60モル%であり、特に好ましくは30〜50モル%である。
【0059】
なお、ポリマーの第2の好ましい態様におけるイオン性極性価(イオン性極性基がカルボン酸基の場合は酸価)としては、1.5〜7.0mmol/gが好ましく、1.7〜5.0mmol/gが更に好ましく、特に好ましくは1.9〜4.0mmol/gである。イオン性極性価がこの範囲であることで、水溶液での現像性付与と湿熱経時時の密着力低下の抑制とを両立させることができる。
【0060】
上記ポリマーの具体例としては、ラジカル重合性基と、無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を有するポリマーとしては、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマーが使用できる。また、ラジカル重合性基と、イオン性極性基とを有するポリマーとしては、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマーが使用できる。ラジカル重合性基と、無電解めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基と、イオン性極性基とを有するポリマーとしては、US2010−080964号の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマーが使用できる。
また、以下のようなポリマーも挙げられる。
【0061】
【化9】

【0062】
【化10】

【0063】
(ポリマーの合成方法)
上記ポリマーの合成方法は特に限定されず、使用されるモノマーも市販品または公知の合成方法を組み合わせて合成したものであってもよい。例えば、特許公開2009−7662号の段落[0120]〜[0164]に記載の方法などを参照して、上記ポリマーを合成することができる。
より具体的には、重合性基がラジカル重合性基の場合、ポリマーの合成方法としては以下の方法が好ましく挙げられる。
i)ラジカル重合性基を有するモノマー、相互作用性基を有するモノマーを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーおよびラジカル重合性基前駆体を有するモノマーを共重合させ、次に塩基などの処理によりラジカル重合性基を導入する方法、iii)相互作用性基を有するモノマーおよびラジカル重合性基導入のための反応性基を有するモノマーを共重合させ、ラジカル重合性基を導入する方法が挙げられる。
合成適性の観点から、好ましい方法としては、上記ii)および上記iii)の方法である。合成する際の重合反応の種類は特に限定されず、ラジカル重合で行うこと好ましい。
なお、上述した式(A)、式(B)、および式(C)で表されるユニットを含む共重合体を合成する場合は、親水性基またはその前駆体基を有するモノマー、親水性基またはその前駆体基を除く相互作用性基を有するモノマーを使用して、上記i)〜iii)の方法で所望の共重合体を合成することができる。
【0064】
<被めっき層形成用組成物中の他の任意成分>
(溶剤)
被めっき層形成用組成物には、必要に応じて、溶剤が含まれていてもよい。
使用できる溶剤は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
【0065】
(重合開始剤)
本発明の被めっき層形成用組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、ポリマー間、ポリマーと基板との間、および、ポリマーと式(1)で表される化合物との間の結合がより形成され、結果として密着性により優れた金属膜を得ることができる。
使用される重合開始剤としては特に制限はなく、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、ベンゾイン類、ケトン類、チオキサントン類、ベンジル類、ベンジルケタール類、オキスムエステル類、アンソロン類、テトラメチルチウラムモノサルファイド類、ビスアシルフォスフィノキサイド類、アシルフォスフィンオキサイド類、アントラキノン類、アゾ化合物等及びその誘導体を挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」(1989年、総合技術センター)第63頁〜第147頁等に記載されている。また、開環重合用の重合開始剤として、カチオン重合開始剤も挙げることができる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族オニウム塩、周期表第VIa族元素のスルホニウム塩、およびその誘導体を挙げることができる。
また、熱重合開始剤の例としては、ジアゾ系化合物、または、ペルオキサイド系化合物などが挙げられる。
【0066】
(モノマー)
本発明の被めっき層形成用組成物には、上記式(1)で表される化合物以外のモノマーが含まれていてもよい。該モノマーが含まれることにより、被めっき層中の架橋密度などを適宜制御することができる。
使用されるモノマーは特に制限されず、例えば、付加重合性を有する化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する化合物、開環重合性を有する化合物としてはエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
【0067】
具体的には、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基、エタクリロイル基、アクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基等を含む化合物が例示される。
【0068】
より具体的には、アクリル酸およびその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類およびそれらの誘導体が挙げられる。また、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂も挙げられる。上記化合物は、単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、エポキシ環を1個または2個以上有する化合物、例えばグリシジルアクリレートなどであってもよい。
更には、これらの化合物は単量体もしくはオリゴマー、高分子量体であってもよい。
【0069】
なかでも、被めっき層中の架橋密度を向上し、金属膜の密着性がより向上する点から、多官能モノマーを使用することが好ましい。多官能モノマーとは、重合性基を2個以上有するモノマーを意味する。具体的には、2〜6個の重合性基を有するモノマーを使用することが好ましい。
また、反応性に影響を与える架橋反応中の分子の運動性の観点から、用いる多官能モノマーの分子量としては150〜1000が好ましく、更に好ましくは200〜700である。また、複数存在する重合性基同士の間隔(距離)としては原子数で1〜15であることが好ましく、6以上10以下であることがさらに好ましい。
なお、反応性の観点からだけでなく、併用するバインダー(即ち、主として上記ポリマー)との相溶性の観点で選択することも有用であり、そのような観点からは、沖津法により定められる多官能モノマーのSP値が、併用するバインダーのSP値と近いもの、具体的には、その差が±5Mpa1/2以下の化合物を選択して使用することもできる。
【0070】
(その他添加剤)
本発明の被めっき層形成用組成物には、他の添加剤(例えば、増感剤、硬化剤、重合禁止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、粒子、難燃剤、界面活性剤、滑剤、可塑剤など)を必要に応じて添加してもよい。
【0071】
<被めっき層形成用組成物>
本発明の被めっき層形成用組成物には、上記式(1)で表される化合物、および、上記重合性基を有するポリマーが含まれる。
被めっき層形成用組成物中の式(1)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、得られる金属膜の密着性により優れる。
【0072】
被めっき層形成用組成物中のポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御がしやすい。
【0073】
被めっき層形成用組成物中における、式(1)で表される化合物の質量(質量A)と、該化合物の質量Aおよびポリマーの質量(質量B)の合計量との質量比{質量A/(質量A+質量B)}は特に制限されないが、成膜性の点で、0.01〜0.66であることが好ましく、無電解めっき時のめっき速度がより向上し、得られる金属膜の密着性がより向上する点で、0.01〜0.25であることがより好ましい。
【0074】
被めっき層形成用組成物中に溶剤が含まれる場合、溶剤の含有量は組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御などがしやすい。
【0075】
被めっき層形成用組成物中に重合開始剤が含まれる場合、重合開始剤の含有量は組成物全量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、得られる金属膜の密着性により優れる。
【0076】
被めっき層形成用組成物中に式(1)で表される化合物以外のモノマー(特に、多官能モノマー)が含まれる場合、その含有量は組成物全量に対して、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜1質量%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、得られる金属膜の密着性により優れる。
【0077】
<金属膜を有する積層体の製造方法>
上述した被めっき層形成用組成物を使用することにより、金属膜を有する積層体を製造することができる。その製造方法は、主に、以下の3つの工程を備える。
(層形成工程)基板上に、上記被めっき層形成用組成物を接触させた後、被めっき層形成用組成物にエネルギーを付与して、基板上に被めっき層を形成する工程
(触媒付与工程)被めっき層に無電解めっき触媒またはその前駆体を付与する工程
(めっき工程)めっき触媒またはその前駆体に対して無電解めっきを行い、被めっき層上に金属膜を形成する工程
以下に、各工程で使用する材料、および、その操作方法について詳述する。
【0078】
<層形成工程>
層形成工程は、基板上に、上記被めっき層形成用組成物を接触させた後、基板上の被めっき層形成用組成物にエネルギーを付与して、基板上に被めっき層を形成する工程である。該工程によって形成される被めっき層は、式(1)で表される化合物が有するスルホン酸基、および、ポリマー中に任意に含まれる相互作用性基の機能に応じて、後述する触媒付与工程で無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着(付着)する。つまり、被めっき層は、無電解めっき触媒またはその前駆体の良好な受容層として機能する。また、重合性基は、ポリマー同士の結合や、基板(または、後述する密着補助層)との化学結合に利用される。その結果、被めっき層の表面に形成される金属膜(めっき膜)と、基板との間に優れた密着性が発現する。
より具体的には、該工程において、図1(A)に示されるように基板10を用意し、図1(B)に示すように基板10の上部に被めっき層12が形成される。なお、後述するように基板10はその表面に密着補助層を有してしてもよく、その場合、被めっき層12は密着補助層上に形成される。
まず、本工程で使用される材料(基板、密着補助層など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
【0079】
(基板)
本発明に用いる基板としては、従来知られているいずれの基板も使用することができ、後述する処理条件に耐えることのできるものが好ましい。また、その表面が、後述するポリマーと化学結合しうる機能を有することが好ましい。具体的には、基板自体がエネルギー付与(例えば、露光)によりポリマーと化学結合を形成しうるものであるか、または、基板上に、エネルギー付与により被めっき層と化学結合を形成しうる中間層(例えば、後述する密着補助層)が設けられていてもよい。
【0080】
なかでも、上記被めっき層形成用組成物の成膜性が向上し、金属膜の密着性がより向上する点で、基板表面の水接触角は、80°以下であることが好ましく、60°以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、通常、0°以上である。
接触角の測定方法は、滴下した水の頂点と基板との2点の接点を用いる接線法である。
基板の表面が上記接触角となるように必要に応じて、基板表面に各種表面処理(例えば、アルカリ処理、プラズマ処理、オゾン処理など)を施してもよい。
【0081】
基板の材料は特に制限されないが、例えば、高分子材料(例えば、「プラスチック活用ノート 4訂版」、及び/又は「エンジニアリングプラスチック活用ノート」記載のプラスチック)、金属材料(例えば、金属合金、金属含有材料、純粋金属、またはこれらに類似したもの)、その他の材料(例えば、紙、プラスチックがラミネートされた紙)、これらの組み合わせ、またはこれらに類似したものなどの様々な材料から形成することができる。
【0082】
プラスチック樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを使用することができ、従来公知の汎用プラスチックまたはエンジニアリングプラスチックを使用することができる。
熱可塑性の汎用プラスチックの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂、ポリエーテル、セロファン、アイオノマー、α−オレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体、石油樹脂、石炭樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂)、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール樹脂、ビニル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリエステル樹脂、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂等があげられる。なかでも、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリアルキレンテレフタレートが好ましい。
【0083】
エンジニアリングプラスチックの具体例としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリカプロラクタム、ポリアセタール、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)、ポリアリレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂があげられる。なかでも、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマーが好ましい。
【0084】
更にゴム状重合体としては、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)等のジエン系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ゴム、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマー、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート等のアクリル系ゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、水素添加ゴム等を用いることができる。なかでも、ジエン系ゴム、シリコーンゴムが好ましい。
【0085】
熱硬化性のプラスチックの具体例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、イソシアネート系樹脂等の熱硬化性樹脂があげられる。なかでも、エポキシ樹脂が好ましい。
【0086】
金属材料の具体例としては、アルミニウム、亜鉛、銅等の混合物、合金、及びこれらのアロイ等から適宜選択される。
【0087】
また、原紙(非塗工紙)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、バライタ紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂、エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙、セルロースエステル、アセチルセルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリオレフィンコート紙(特にポリエチレンで両側を被服した紙)等の塗工紙も使用できる。合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の合成紙)や布等も用いることができる。
【0088】
基板には、本発明の効果を損なわない限り、種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、無機粒子等の充填材充填物(例えば、ガラス繊維、シリカ粒子、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、ウォラストナイト)や、シラン系化合物(例えば、シランカップリング剤やシラン接着剤等)、有機フィラー(例えば、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマー等)、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤、着色剤、硬化剤、衝撃強度改質剤、接着性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0089】
基板は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等への用途を考慮すると、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzが500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。下限は特に限定されないが、5nm程度が好ましく、0がより好ましい。
【0090】
また、基板は、その片面または両面に金属配線を有していてもよい。金属配線は、基板の表面に対してパターン状に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。代表的には、エッチング処理を利用したサブストラクティブ法で形成されたものや、電解めっきを利用したセミアディティブ法で形成したものが挙げられ、いずれの工法で形成されたものを用いてもよい。
金属配線を構成する材料としては、例えば、銅、銀、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロム、タングステン、インジウム、亜鉛、またはガリウムなどが挙げられる。
このような金属配線を有する基板としては、例えば、両面または片面の銅張積層板(CCL)や、この銅張積層板の銅膜をパターン状にしたもの等が用いられ、これらはフレキシブル基板であってもよいし、リジット基板であってもよい。
【0091】
また、本発明の積層体は、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、絶縁性樹脂からなる層(絶縁性樹脂層)を表面に有する基板を用いることが好ましい。
なお、絶縁性樹脂としては、公知の材料を使用することができる。
【0092】
(密着補助層)
密着補助層は、上記基板表面上に設けられていてもよい任意の層であり、基板と後述する被めっき層との密着性を補助する役割を果たす。密着補助層は、上記ポリマーにエネルギー付与(例えば、露光)がされた際に、ポリマーと化学結合を生じるものが好ましい。また、密着補助層には、重合開始剤が含まれていてもよい。
【0093】
密着補助層の厚みは、基板の表面平滑性などにより適宜選択する必要があるが、一般的には、0.01〜100μmが好ましく、0.05〜20μmがより好ましく、特に0.05〜10μmが好ましい。
また、密着補助層の表面平滑性は、形成される金属膜の物性を向上させる観点から、JIS B 0601(1994年)、10点平均高さ法で測定した表面粗さRzが3μm以下であるものが好ましく、Rzが1μm以下であることがより好ましい。
【0094】
密着補助層の材料は特に制限されず、基板との密着性が良好な樹脂であることが好ましい。基板が電気的絶縁性の樹脂で構成される場合、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱物性的が近い樹脂を使用することが好ましい。具体的には、例えば、基板を構成する絶縁性樹脂と同じ種類の絶縁性樹脂を使用することが密着の点で好ましい。
【0095】
なお、本発明において、密着補助層に使用される絶縁性樹脂とは、公知の絶縁膜に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂を意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド、ABS樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、シアノ基を含有する樹脂を使用してもよく、具体的には、ABS樹脂や、特開2010−84196号〔0039〕〜〔0063〕記載の「側鎖にシアノ基を有するユニットを含むポリマー」を用いてもよい。
【0096】
また、基板としてエポキシ樹脂やABS樹脂を用いて、密着補助層としてNBRゴムやSBRゴム状重合体を用いると、加熱時に基板や被めっき層に加わる応力を密着補助層が緩和させることができ、好ましい。
【0097】
密着補助層の形成方法は特に制限されず、使用される樹脂を基板上にラミネートする方法や、必要な成分を溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に塗布・乾燥する方法などが挙げられる。
塗布方法における加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適性の点からは、加熱温度200℃以下、時間60分以内の範囲の加熱条件を選択することが好ましく、加熱温度40〜100℃、時間20分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。なお、使用される溶媒は、使用する樹脂に応じて適宜最適な溶媒(例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン)が選択される。
【0098】
(工程(1)の手順)
上述した被めっき層形成用組成物を基板上(または密着補助層上)に接触させる方法は特に限定されず、被めっき層形成用組成物を直接基板上にラミネートする方法や、被めっき層形成用組成物が溶剤を含む液状である場合、組成物を基板上に塗布する方法などが挙げられる。得られる被めっき層の厚みを制御しやすい点から、組成物を基板上に塗布する方法が好ましい。
塗布の方法は特に制限されず、具体的な方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
取り扱い性や製造効率の観点からは、被めっき層形成用組成物を基板(または密着補助層)上に塗布・乾燥させて、含まれる溶剤を除去し、ポリマーを含む組成物層を形成する態様が好ましい。
【0099】
被めっき層形成用組成物を基板と接触させる場合、その塗布量は、後述する無電解めっき触媒またはその前駆体との充分な相互作用形成性の観点から、固形分換算で0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.5g/m2〜5g/m2が好ましい。
なお、本工程において被めっき層を形成するに際しては、塗布と乾燥との間に、20〜40℃で0.5時間〜2時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
【0100】
(エネルギーの付与)
基板上の被めっき層形成用組成物にエネルギー付与方法は特に制限されないが、例えば、光(紫外線、可視光線、X線など)、プラズマ(酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンなど)、熱、電気、湿気硬化、化学硬化(例えば、酸化性の液体(過マンガン酸カリウム溶液)などによって表面を化学的に分解する)などの公知の方法を用いることができる。
また、エネルギー付与の雰囲気は特に制限されず、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気で実施してもよい。
【0101】
露光の場合には、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、Deep−UV光、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等、可視光線などによる光照射等、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。他に、放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用することができる。なかでも、250nm〜450nmの露光波長で露光することが好ましい。
露光エネルギーとしては、10〜8000mJ程度であればよく、好ましくは100〜3000mJの範囲である。
【0102】
熱によって硬化する場合は、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー、送風乾燥機、オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥機、加熱ドラム等を用いることができる。
【0103】
レーザー光としては、例えば、アルゴンやクリプトンのようなイオンガスレーザー、銅、金、およびカドミウムのような金属蒸気レーザー、ルビーやYAGのような固体レーザー、または、750〜870nmの赤外域で放出するガリウム−ヒ素のような半導体レーザー等のレーザーが使用できる。しかしながら実際的には、小型、低コスト、安定性、信頼性、耐久性および変調の容易さの点で、半導体レーザーが有効である。レーザーを用いるシステムでは、レーザー光を強く吸収する材料を含有させてもよい。
これらの方法は、単独であっても併用してもよく、光を用いて活性種を出した後に加熱により促進するなどの公知の方法を用いることができ、特に限定されることはない。
【0104】
得られる被めっき層の厚みは特に制限されないが、金属膜の基板への密着性の点から、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
また、乾燥膜厚で0.05〜20g/m2が好ましく、特に0.1〜6g/m2が好ましい。
さらに、被めっき層の表面粗さ(Ra)は、配線形状および密着強度の点から、0.01〜0.3μmが好ましく、0.02〜0.15μmがより好ましい。なお、表面粗さ(Ra)は、非接触式干渉法により、JIS B 0601(20010120改訂)に記載のRaに基づき、サーフコム3000A(東京精密(株)製)を用いて測定した。
【0105】
なお、被めっき層中におけるポリマーの含有量は、被めっき層全量に対して、2質量%〜100質量%であることが好ましく、更に好ましくは10質量%〜100質量%の範囲である。
【0106】
また、エネルギー付与を行う際に、パターン状にエネルギー付与を行い、その後公知の現像処理によりエネルギー未照射部を除去して、パターン状の被めっき層を形成してもよい。
【0107】
<触媒付与工程>
触媒付与工程では、上記層形成工程で得られた被めっき層に無電解めっき触媒またはその前駆体を付与する。
本工程においては、被めっき層中の式(1)で表される化合物由来のスルホン酸基や、ポリマー由来の相互作用性基が、その機能に応じて、付与された無電解めっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、被めっき層中、および被めっき層表面上に、無電解めっき触媒またはその前駆体を付与する。
まず、本工程で使用される無電解めっき触媒およびその前駆体について詳述し、その後操作手順について説明する。
【0108】
(無電解めっき触媒)
本工程において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられる。具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、触媒能の高さから、Ag、Pdが特に好ましい。
この無電解めっき触媒は、金属コロイドとして用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤または保護剤により調節することができる。
【0109】
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、被めっき層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
【0110】
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて被めっき層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオンが好ましい。
【0111】
本発明で用いられる無電解めっき触媒またはその前駆体の好ましい例の一つとして、パラジウム化合物が挙げられる。このパラジウム化合物は、めっき処理時に活性核となり金属を析出させる役割を果たす、めっき触媒(パラジウム)またはその前駆体(パラジウムイオン)として作用する。パラジウム化合物としては、パラジウムを含み、めっき処理の際に核として作用すれば、特に限定されないが、例えば、パラジウム(II)塩、パラジウム(0)錯体、パラジウムコロイドなどが挙げられる。
【0112】
また、無電解めっき触媒またはその前駆体としては、銀、または銀イオンが好ましい別の例として挙げられる。
銀イオンを用いる場合、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
【0113】
無電解めっき触媒である金属、または、無電解めっき触媒前駆体である金属塩を被めっき層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液若しくは溶液を被めっき層上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中に被めっき層が形成された基板を浸漬すればよい。
【0114】
上記のように無電解めっき触媒またはその前駆体を接触させることで、被めっき層中のスルホン酸基または相互作用性基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、または、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用して、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、分散液または溶液中の金属濃度または金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0115】
(有機溶剤および水)
上記のような無電解めっき触媒またはその前駆体は、前述のように、分散液や溶液(触媒液)として被めっき層に付与されることが好ましい。
分散液や溶液には、有機溶剤や水が用いられる。有機溶剤を含有することで、被めっき層に対する無電解めっき触媒またはその前駆体の浸透性が向上し、スルホン酸基または相互作用性基に効率よく無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
【0116】
分散液や溶液には、水を用いてもよく、この水としては、不純物を含まないことが好ましく、そのような観点からは、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などを用いるのが好ましく、脱イオン水や蒸留水を用いるのが特に好ましい。
【0117】
分散液や溶液の調製に用いられる有機溶剤としては、被めっき層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、具体的には、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
【0118】
特に、無電解めっき触媒またはその前駆体との相溶性、および被めっき層への浸透性の観点では水溶性の有機溶剤が好ましく、アセトン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブ、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
【0119】
更に、分散液や溶液には、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、膨潤剤や、界面活性剤などが挙げられる。
【0120】
被めっき層の無電解めっき触媒またはその前駆体の吸着量に関しては、使用するめっき浴種、触媒金属種、被めっき層の相互作用性基種、使用方法等により異なるが、めっきの析出性の観点から、5〜1000mg/m2が好ましく、10〜800mg/m2がより好ましく、特に20〜600mg/m2が好ましい。
【0121】
<めっき工程>
めっき工程は、触媒付与工程で得られた無電解めっき触媒またはその前駆体が吸着した被めっき層に対して無電解めっき処理を行い、被めっき層上に金属膜を形成する工程である。
より具体的には、図1(C)に示すように、本工程においては、金属膜14が、被めっき層12上に形成され、積層体16が得られる。なお、所望の膜厚の金属膜16を得るために、無電解めっきの後に、更に電解めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において行われるめっき処理について説明する。
【0122】
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体が被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させる。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
【0123】
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、液全体に対する該還元剤の濃度が0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
浸漬の際には、無電解めっき触媒またはその前駆体が接触する被めっき層表面付近の無電解めっき触媒またはその前駆体の濃度を一定に保つ上で、攪拌または揺動を加えながら浸漬することが好ましい。
【0124】
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
【0125】
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
【0126】
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物が選択される。
【0127】
このようにして形成される無電解めっきによる金属膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2〜2μmであることがより好ましい。
ただし、無電解めっきによる金属膜を導通層として、後述する電解めっきを行う場合は、少なくとも0.1μm以上の膜が均一に付与されていることが好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
【0128】
以上のようにして得られた無電解めっきによる金属膜は、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により、被めっき層中にめっき触媒やめっき金属からなる微粒子が高密度で分散していること、また更に被めっき層上にめっき金属が析出していることが確認される。被めっき層と金属膜との界面は、樹脂複合体と微粒子とのハイブリッド状態であるため、被めっき層と金属膜との界面が平滑であっても、密着性が良好となる。
【0129】
(電解めっき(電気めっき))
本工程おいては、上記無電解めっき処理の後に、必要に応じて、電解めっきを行うことができる。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電解めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
【0130】
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電解めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0131】
また、電解めっきにより得られる金属膜の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。
なお、一般的な電気配線などに適用する場合、金属膜の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
なお、電気配線の厚みは、電気配線の線幅が狭くなる、すなわち微細化するほどアスペクト比を維持するために薄くなる。従って、電解めっきによって形成される金属膜の層厚は、上記に限定されず、任意に設定できる。
【0132】
<積層体>
上記工程を経ることにより、図1(C)に示すように、基板10と、被めっき層12と、金属膜14とをこの順で備える積層体16(金属膜付き積層体)を得ることができる。
得られた積層体16は、様々な分野において使用することができ、例えば、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。
より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務機器、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料、多層配線基板、マザーボード、アンテナ、電磁波防止膜、時計等の電気・電子部品、および、通信機器等の用途に用いられる。
【0133】
特に、金属膜と被めっき層の界面における平滑性が改良されたことから、例えば、装飾品(めがねフレーム、自動車装飾品、宝飾品、遊戯筐体、洋食器、水道金具、照明器具等)や、高周伝送を確保する必要がある用途(例えば、配線基板用、プリント配線基板用)等の種々の用途に適用することができる。
【0134】
<任意工程:パターン形成工程>
必要に応じて、上記で得られた積層体に対して、金属膜をパターン状にエッチングして、パターン状金属膜を形成する工程を実施してもよい。
より具体的には、図1(D)に示すように、本工程においては、金属膜14の不要部を除去することにより、パターン状の金属膜18が、被めっき層12上に形成される。本工程において、基板表面全体に形成された金属膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望のパターン状の金属膜を生成することができる。
このパターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法(金属膜上にパターン状のマスクを設け、マスクの非形成領域をエッチング処理した後、マスクを除去して、パターン状の金属膜を形成する方法)、セミアディティブ法(金属膜上にパターン状のマスクを設け、マスクの非形成領域に金属膜を形成するようにめっき処理を行い、マスクを除去し、エッチング処理して、パターン状の金属膜を形成する方法)が用いられる。
【0135】
サブトラクティブ法とは、具体的には、形成された金属膜上にレジスト層を設けパターン露光、現像により金属膜パターン部と同じパターンを形成し、レジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属膜を除去し、パターン状の金属膜を形成する方法である。
レジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
【0136】
より具体的に、図2にサブトラクティブ法を用いたエッチング工程の態様を示す。
まず、上記工程(4)のめっき工程を行うことにより、図2(A)に示す、基板10と、絶縁性樹脂層22と、密着補助層24と、被めっき層12と、金属膜14とを備える積層体を用意する。なお、図2(A)においては、基板10表面上およびその内部に、金属配線20を備えている。絶縁性樹脂層22、密着補助層12、金属配線20は、必要に応じて追加される構成部材である。また、図2(A)においては、基板10の片面に金属膜14が設けられているが、両面にあってもよい。
次に、図2(B)に示すように、パターン状のマスク26を金属膜14上に設ける。
その後、図2(C)に示すように、マスクが設けられていない領域の金属膜14を、エッチング処理(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング)により除去して、パターン状の金属膜18を得る。最後に、マスク26を取り除き、本発明の積層体を得る(図2(D)参照)。
【0137】
セミアディティブ法とは、具体的には、形成された金属膜上にレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属膜パターン部と同じパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして電解めっきを行い、レジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属膜をパターン状に除去することで、パターン状の金属膜を形成する方法である。
レジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電解めっき手法としては上記記載の手法が使用できる。
【0138】
より具体的に、図3にセミアディティブ法を用いたエッチング工程の態様を示す。
まず、図3(A)に示す、基板10と、絶縁性樹脂層22と、密着補助層24と、被めっき層12と、金属膜14とを備える積層体を用意する。
次に、図3(B)に示すように、パターン状のマスク26を金属膜14上に設ける。
次に、図3(C)に示すように、電解めっきを行い、マスク26が設けられていない領域に金属膜を形成させ、金属膜14bを得る。
その後、図3(D)に示すように、マスク26を取り除き、エッチング処理(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング)を行い、図3(E)に示すようにパターン状の金属膜18を備える積層体を得る。
【0139】
なお、金属膜の除去と同時に、公知の手段(例えば、ドライエッチング)などによって、被めっき層を合わせて除去してもよい。
【0140】
さらに、セミアディティブ法によりエッチング工程を実施する場合は、図4に示すように多層配線基板を得るために該工程を実施してもよい。
図4(A)に示すように、まず、基板10と、絶縁性樹脂層22と、密着補助層24と、被めっき層12と、金属膜14とを備える積層体を用意する。
次に、図4(B)に示すように、レーザー加工またはドリル加工により、金属膜14、被めっき層12、密着補助層24、絶縁性樹脂層22を貫通し、金属配線20に達するようにビアホールを形成する。必要に応じて、その後デスミア処理を行う。
さらに、図4(C)に示すように、形成されたビアホール壁面に対して、めっき触媒を付与して、無電解めっきおよび/または電解めっきを行い、金属配線20と接触する金属膜28を得る。
さらに、図4(D)に示すように、所定のパターン状のマスク26を金属膜28上に設け、電解めっきを行い、金属膜30を得る(図4(E)参照)。
その後、マスク26を除去した後(図4(F)参照)、エッチング処理(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング)を行い、パターン状の金属膜32を得る(図4(G)参照)。その後、必要に応じて、プラズマ処理などによって、被めっき層12および密着補助層24を除去してもよい(図4(H)参照)。
【実施例】
【0141】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0142】
(合成例1:ポリマー1)
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却をした。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1を精製し20g得た。
【0143】
【化11】

【0144】
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、モノマーM1:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、更に反応溶液を3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを追加し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー1を12g得た。
【0145】
得られたポリマー1の同定をIR測定機((株)堀場製作所製)を用いて行った。測定はポリマーをアセトンに溶解させKBr結晶を用いて行った。IR測定の結果、2240cm-1付近にピークが観測されニトリルユニットであるアクリロニトリルがポリマーに導入されている事が分かった。また、酸価測定によりカルボン酸ユニットとしてアクリル酸が導入されている事が分かった。また、重DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、ブルカー製300MHzのNMR(AV−300)にて測定を行った。ニトリル基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが7.8−8.1ppm(1H分)、5.8−5.6ppm(1H分)、5.4−5.2ppm(1H分)、4.2−3.9ppm(2H分)、3.3−3.5ppm(2H分)、2.5−0.7ppm(6H分)にブロードに観察され、カルボン酸含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:ニトリル基含有ユニット:カルボン酸基ユニット=30:30:40(mol%)であることが分かった。
【0146】
【化12】

【0147】
(合成例2:ポリマー2)
500mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、以下のモノマーM2:20.7g、2−シアノエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)20.5g、アクリル酸(東京化成工業(株)製)14.4g、V−65(和光純薬工業(株)製)1.0gのN,N−ジメチルアセトアミド20g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド91gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成工業(株)製)0.17g、トリエチルアミン75.9gを加え、室温で4時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液112g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー2を25g得た。
【0148】
【化13】

【0149】
【化14】

【0150】
(合成例3:ポリマー3)
500ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200g、ポリアクリル酸(和光純薬製、分子量:25000)30g、テトラエチルアンモニウムベンジルクロライド2.4g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン25mg、サイクロマーA(ダイセル化学製)27gを入れ、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。その後、反応液を再沈し、固形物を濾取し、ポリマー3を28g得た。
【0151】
【化15】

【0152】
(合成例4:ポリマー4)
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド24gを入れ、窒素気流下、60℃まで加熱した。そこへ、モノマーM1:25.4g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)26g、V−601(和光純薬製)0.57gのN,N−ジメチルアセトアミド43.6g溶液を、6時間かけて滴下した。
滴下終了後、更に反応溶液を3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド40gを追加し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.15g、DBU33.2gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液24g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー4を20g得た。
【0153】
【化16】

【0154】
<被めっき層形成用組成物の調製>
マグネチックスターラーを入れた100mlビーカーに、水、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリマー1、ヘキサメチレンビスアクリルアミド、IRGACURE2959(CIBA)を表1に従って加え、調液し、組成物1〜5を得た。
なお、表1中、各成分(溶媒、スルホン化合物、ポリマー、多官能モノマー、重合開始剤など)の含有量は、組成物全量に対する質量%として表示される。
【0155】
【表1】

【0156】
【化17】

【0157】
<実施例1〜4、比較例1>
〔被めっき層の作製〕
FR−4基板(日立化成、ガラスエポキシ樹脂基板)上にGX−13(味の素ファインテクノ)を真空ラミネートした基板表面を、5%の水酸化ナトリウム溶液にて60℃で5分間処理した。得られた基板表面の水接触角は、52°であった。
その後、表1に示した被めっき層形成用組成物(組成物1〜5)を基板表面上にそれぞれ滴下し、3000rpmにて20秒スピンコートした。その後、基板を真空下にてUV照射(エネルギー量:2J、10mW、波長:256nm)し、被めっき層の硬化を行った。組成物1〜5を用いて得られた、被めっき層付き基板(被めっき層厚み:250nm)を、それぞれSub1−1〜1−5とした。
【0158】
[触媒の付与、および、無電解めっき]
Sub1−1〜1−5をクリーナーコンディショナー液ACL−009(上村工業)に50℃にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。その後、Pd触媒付与液MAT−2(上村工業)に室温にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。
次に、上記処理が施されたSub1−1〜1−5を還元剤MAB(上村工業)に36℃にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。その後、活性化処理液MEL−3(上村工業)に室温にて5分間浸漬し、洗浄することなく無電解めっき液スルカップPEA(上村工業)に室温にてそれぞれ30分浸漬した。Sub1−1〜1−5を用いて得られた基板を、それぞれELP1−1〜1−5とした。
【0159】
[電解めっき〕
電解めっき液として、水1283g、硫酸銅5水和物135g、98%濃硫酸342g、36%濃塩酸0.25g、ET−901M(ロームアンドハース)39.6gの混合溶液を用い、ホルダーを取り付けたELP1−1〜1−5と銅板を電源に接続し、3A/dm2にて45分間電解銅めっき処理を行い、約18μmの銅めっき膜(金属膜)を得た。ELP1−1〜1−5を用いて得られた基板を、それぞれEP1−1〜1−5とした。
【0160】
<評価>
(ピール強度測定)
EP1−1〜1−5を100℃にて30分加熱後、さらに180℃にて1時間加熱した。得られたサンプルに10mmの間隔を開けて、平行に130mmの切り込みを入れ、その端部をカッターにて切り込みを入れ10mm立ち上げた。剥がした端部をつかんでテンシロン(SHIMAZU)を用いてピール強度を測定した(引張速度50mm/min)。結果を表2に示す。
【0161】
(めっき析出性)
1cm2のELP1−1〜1−5をアクリルブロックに固定し、専用モールドに入れ、アクリル樹脂アクリル・ワン(株式会社マルトー)をモールドに注いだ後、露光装置ONE・LIGHT(株式会社マルトー)にて2時間露光しアクリル樹脂を硬化した。硬化後、アセトンにて洗浄し、研磨装置ML−160A(株式会社マルトー)にて#400の研磨紙を用いて基板表面が現れるまで研磨した後、Baikaloy1.0CR(BAIKOWSK INTERNATIONAL CORPORATION)にて鏡面になるまで研磨した。表面にチャージアップ防止用の金を蒸着した後、Miniscope TM-1000(HITACHI)にて銅の膜厚を観察した。60分あたりの成膜速度に変換した値を表2に示す。
【0162】
【表2】

【0163】
上記表2で表されるように、本発明の被めっき層形成用組成物に該当する組成物2〜5を使用した実施例1〜4においては、優れた無電解めっき速度、および、ピール強度を示すことが確認された。
一方、式(1)で表される化合物を含まない組成物1を使用した比較例1では、無電解めっき速度も劣っており、十分な膜厚を得ることができず、ピール強度の測定を行うことができなかった。
【0164】
<実施例5〜9、比較例2>
上記表1中の組成物3と同様の成分組成で、式(1)で表される化合物、および/または、ポリマーの種類を変更した組成物6〜9を調液した。表3に使用したモノマーを以下に示す。組成物10においては多官能モノマーを使用せず、溶媒1と溶媒2とを等量を加え100質量%となるように調液した。
なお、表3中、組成物7で使用されているモノマーは、式(1)で表される化合物には該当しない。
【0165】
【表3】

【0166】
【化18】

【0167】
【化19】

【0168】
上記組成物6〜10を用いて、上述した〔被めっき層の作製〕、[触媒の付与、および、無電解めっき]、[電解めっき]を実施した。
【0169】
また、FR−4基板上にGX−13を真空ラミネートした基板表面にプライマー層として表4に示す化合物を用いた組成物11を1500rpmにて20秒間スピンコートし170℃にて1時間加熱した後、5%の水酸化ナトリウム溶液にて60℃で5分間処理した。得られた基板表面の水接触角は、48°であった。なお、表4中の数値はg(グラム)を表す。
その後、組成物3を基板表面上にそれぞれ滴下し、3000rpmにて20秒スピンコートした。その後、基板を真空下にてUV照射(エネルギー量:2J、10mW、波長:256nm)し、被めっき層の硬化を行った。続いて、上述した[触媒の付与、および、無電解めっき]、[電解めっき]を実施した。これらの結果を表5に示す。
【0170】
【表4】

【0171】
【表5】

【0172】
上記表5より、スチレンスルホン酸を含む組成物6を使用した実施例5においても、優れた無電解めっき速度、および、ピール強度を示すことが確認された。
一方、式(1)で表される化合物に該当しないN’-ヒドロキシメチルアクリルアミドを含む組成物7を使用した比較例2においては、無電解めっき速度が劣っており、十分な膜厚を得ることができず、ピール強度の測定を行うことができなかった。
【0173】
ポリマーの種類を変更した組成物8〜10をそれぞれ使用した実施例6〜8においても、プライマー層を加えた実施例9においても、優れた無電解めっき速度、および、ピール強度を示すことが確認された。
【0174】
<実施例10>
実施例1で得られた電解銅めっきを施した基板に対し180℃/1時間の熱処理を行なった後、該基板の表面に、ドライレジストフィルム(日立化成(株)製;RY3315、膜厚15μm)を真空ラミネーター((株)名機製作所製:MVLP−600)で70℃、0.2MPaでラミネートした。次いで、ドライレジストフィルムがラミネートされた基板に、JPCA−ET01に定める櫛型配線(JPCA−BU01−2007準拠)が形成できるガラスマスクを密着させ、レジストを中心波長405nmの露光機にて70mJの光エネルギーを照射した。露光後の基板に、1%Na2CO3水溶液を0.2MPaのスプレー圧で噴きつけ、現像を行なった。その後、基板の水洗・乾燥を行い、銅めっき膜上に、サブトラクティブ法用のレジストパターンを形成した。
レジストパターンを形成した基板を、FeCl3/HCl水溶液(エッチング液)に温度40℃で浸漬することによりエッチングを行い、レジストパターンの非形成領域に存在する銅めっき膜を除去した。その後、3%NaOH水溶液を0.2MPaのスプレー圧で基板上に噴き付けることで、レジストパターンを膨潤剥離し、10%硫酸水溶液で中和処理を行い、水洗することで櫛型配線(パターン状銅めっき膜)を得た。得られた配線は、L/S=20μm/75μmであった。
【0175】
<実施例11>
実施例1における被めっき層形成時の全面露光の代わりに、レーザー照射によるパターン露光を行い、その後、1%重曹水で未露光部分を現像・除去して、パターン状の被めっき層を得た。得られたパターン状の被めっき層に対して、実施例1で行った「触媒の付与」、および「めっき」を行い、被めっき層上にパターン状の銅めっき膜を得た。
【符号の説明】
【0176】
10:基板
12:被めっき層
14、14b:金属膜
16:積層体
18:パターン状金属膜
20:金属配線
22:絶縁性樹脂層
24:密着補助層
26:マスク
28、30:金属膜
32:パターン状金属膜



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物と、重合性基を有するポリマーとを含む、被めっき層形成用組成物。
【化1】


(式(1)中、R10は、水素原子、金属カチオン、または第四級アンモニウムカチオンを表す。L10は、単結合、または、二価の有機基を表す。R11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。nは、1または2を表す。)
【請求項2】
前記化合物の質量(質量A)と、前記化合物の質量(質量A)および前記ポリマーの質量(質量B)の合計値(質量A+質量B)との質量比{質量A/(質量A+質量B)}が、0.01〜0.25である、請求項1に記載の被めっき層形成用組成物。
【請求項3】
さらに、重合開始剤を含む、請求項1または2に記載の被めっき層形成用組成物。
【請求項4】
基板上に、請求項1〜3のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を接触させた後、前記被めっき層形成用組成物に対してエネルギーを付与して、前記基板上に被めっき層を形成する層形成工程と、
前記被めっき層に無電解めっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、
前記めっき触媒またはその前駆体に対して無電解めっきを行い、前記被めっき層上に金属膜を形成するめっき工程と、を備える金属膜を有する積層体の製造方法。
【請求項5】
前記基板表面の水接触角が80°以下である、請求項4の記載の金属膜を有する積層体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の被めっき層形成用組成物を用いて得られる被めっき層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−144761(P2012−144761A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2544(P2011−2544)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】