説明

被検査体の検査装置

【課題】様々な大きさの基板を検査可能な低コストの被検査体の検査装置を提供する。
【解決手段】基板検査システム10において、第1ラインセンサユニット50は、第1走査ライン16aと第2走査ライン18aとが一直線上に並ぶように並設された第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18を有する。第2ラインセンサユニット52は、第3走査ライン20aと第4走査ライン22aとが一直線上に並ぶよう並設された第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22を有する。第3X線ラインセンサ20は、第1X線ラインセンサ16の第1走査ライン16aおよび第2X線ラインセンサ18の第2走査ライン18aとの間に存在する撮像不能領域2aにおける基板2の透過像を補完して撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の検査装置に関し、特にX線を照射することにより得られる被検査体の透過像を利用して被検査体を検査する被検査体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる機器にプリント基板(以下「基板」という)が実装されるようになってきており、信頼性の高いプリント基板を提供するため、プリント基板における部品の実装状態の検査はますます重要なものとなってきている。ここで、例えばBGA(Ball Grid Array)など、光学的に実装状態を検査することが困難な部品が実装される場合があることを考慮して、X線を基板に照射することにより得られるX線透過画像を利用する検査技術の開発が進められている。
【0003】
このようなX線画像を利用する検査技術として、例えば、電気接続部である端子などに複数の位置からX線を放出して透過画像を得るX線検出器システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、X線の透過画像を撮像した後、基板を水平面上で所定角度回転させ、回転させた基板のX線の透過画像を再び撮像する基板のX線検査方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−104174号公報
【特許文献2】特開2002−162370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象となる基板にも様々な大きさのものがあり、通常使用されるX線ラインセンサが1つでは基板の幅すべてを撮像することができないことがある。一方、大きな基板も撮像することができるような走査範囲の大きいX線ラインセンサはコストが高くなる可能性がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な大きさの基板を検査可能な低コストの被検査体の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の被検査体の検査装置は、各々のライン状の撮像領域が一直線上に並ぶよう並設された第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサを含むラインセンサユニットと、第1X線ラインセンサの撮像領域と第2X線ラインセンサの撮像領域との間に存在する撮像不能領域における被検査体の透過像を補完して撮像する第3X線ラインセンサと、を備える。
【0007】
この態様によれば、第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサの間の撮像不能領域を、第3X線ラインセンサによって補完することができる。このため、一つのX線ラインセンサでは撮像することができない広い幅を有する被検査体の撮像を可能としつつ、複数のラインセンサを使うことにより撮像できない範囲が生じることを回避することができる。
【0008】
第3X線ラインセンサは、第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサが撮像する透過像が得られるときと異なる角度でX線が被検査体を透過して得られる透過像を撮像してもよい。
【0009】
X線は被検査体を透過するので、得られる透過像は被検査体の表面および裏面の透過像が重なったものとなる。1列のラインセンサで被検査体の透過像を撮像した場合、例えば透過像に映し出された構成要素が被検査体の表面に実装されたものか裏面に実装されたものかを判別することは困難である。この態様によれば、第1X線ラインセンサまたは第2X線ラインセンサによって撮像された透過像を利用して、被検査体の構成要素の高さ方向の位置を把握することが可能となる。このため、例えば被検査体の構成要素が被検査体の表面または裏面のどちらに実装されているかなどを容易に判別することができる。
【0010】
ライン状の撮像領域が第3X線ラインセンサの撮像領域と一直線上に並ぶよう配置された第4X線ラインセンサをさらに備えてもよい。第1X線ラインセンサと第2X線ラインセンサとの組み合わせ、および第3X線ラインセンサと第4X線ラインセンサとの組み合わせは、互いに各々の組み合わせの撮像不能領域を補完して被検査体の透過像を撮像するよう、各々のライン状の撮像領域の延在方向にずらして配置されてもよい。
【0011】
この態様によれば、第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサと、第2X線ラインセンサおよび第3X線ラインセンサとの2列のラインセンサを構成して、異なる角度で被検査体を透過した透過像を広い範囲で撮像することができる。このため、被検査体の構成要素の高さ方向の位置を広い範囲で把握することが可能となる。
【0012】
本発明のある態様の被検査体の検査装置は、第1X線ラインセンサまたは第2X線ラインセンサによって撮像された被検査体の透過像と、第3X線ラインセンサによって撮像された被検査体の透過像とを利用して、各々の透過像に表された被検査体の構成要素が被検査体の表面と裏面のどちらに実装されたものかを判別する判別部をさらに備えていてもよい。
【0013】
この態様によれば、判別結果を利用して、被検査体の表面の実装状態および裏面の実装状態を容易に検査することが可能となる。
【0014】
第1X線ラインセンサ、第2X線ラインセンサ、および第3X線ラインセンサは、単一のX線照射源から照射されたX線による被検査体の透過像を撮像してもよい。この態様によれば、第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサ用と、第3X線ラインセンサおよび第4X線ラインセンサ用とに別々のX線照射源を設ける場合に比べ、X線照射源の数を低減させることができ、装置の構成を簡素なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、様々な大きさの基板を検査可能な低コストの被検査体の検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る基板検査システム10の正面図であり、図2は、基板検査システム10の上面図である。以下、図1および図2の双方に関連して基板検査システム10の構成について説明する。
【0018】
基板検査システム10は、基板搬送テーブル12、X線照射装置14、第1X線ラインセンサ16、第2X線ラインセンサ18、第3X線ラインセンサ20、および第4X線ラインセンサ22を有する。基板搬送テーブル12は、後述する搬送モータが作動することにより、上面に基板2を載置した状態で、ボールネジ機構を介して基板検査システム10の左右方向、すなわち図1および図2において左右方向に移動する。本実施形態では、基板2はまず右から左へと搬送され、このときX線による基板2の透過像が撮像される。基板2の長さ全体にわたってX線による基板2の透過像が撮像されると、次に基板2は左から右へと搬送される。以下、基板2の搬送方向を単に「搬送方向」という。
【0019】
X線照射装置14は、基板搬送テーブル12上に載置された基板2が搬送されてきた場合に基板2の下方に配置され、X線を上方、すなわち基板2に向かって照射することができるよう設けられる。X線照射装置14は移動しないよう、基板検査システム10の筐体に固定されている。
【0020】
第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々は、細長い四角柱状に形成される。第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々は、外面のうち一つの面にX線による透過像が照射されるシンチレータから成る被照射面が形成され、また、内部にCCDラインセンサを有する。第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22は、被照射面に映し出されたX線による透過像を内部から延在方向に走査することによりライン状の画像データを生成する。以下、被照射面において走査される撮像範囲である直線部分を走査ラインといい、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22のそれぞれの走査ラインを第1走査ライン16a〜第4走査ライン22aとする。
【0021】
第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18の各々は、基板搬送テーブル12上に載置された基板2が搬送されてきた場合の基板2の上方に配置され、互いに端部で結合され第1ラインセンサユニット50を構成する。ここで、X線照射装置14によって照射されたX線が基板2を透過して鉛直下方から照射される空間において、基板2と平行且つ搬送方向と垂直な方向に延在する仮想的な直線を第1ラインAとする。第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18の各々は、被照射面が下方の基板2に対向すると共に、第1走査ライン16aおよび第2走査ライン18aが一直線上に並んで第1ラインAと重なるよう並設される。以下、第1ラインAの延在方向、すなわち第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18の各々の走査方向を、単に「走査方向」という。
【0022】
X線ラインセンサを走査方向に2つ並設することにより、一つのX線ラインセンサでは撮像することができない大きな基板も撮像することが可能となる。しかし、X線ラインセンサは、内部のCCDラインセンサのX線による被爆を抑制するため、CCDラインセンサの走査方向端部にガラスファイバーが通常挿入される。このため、通常のX線ラインセンサは走査範囲よりも筐体の長さが長くなり、X線ラインセンサを走査方向に2つ並設しても各々の走査ラインの端と端とを繋げて連続した走査ラインを形成させることは困難である。したがって、本実施形態においても、第1X線ラインセンサ16と第2X線ラインセンサ18とを繋げて第1ラインセンサユニット50を構成した場合においても、第1走査ライン16aと第2走査ライン18aとの間に、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18によって撮像することができない撮像不能領域2aが形成されることとなる。
【0023】
このため、本実施形態では第2ラインセンサユニット52が設けられている。第2ラインセンサユニット52は、第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22が互いの端部で結合されて構成される。第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22の各々は、基板搬送テーブル12上に載置された基板2が搬送されてきた場合の基板2の上方、且つ、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18よりも、透過像の撮像時における基板2の搬送方向下流側、すなわち装置左側に配置される。
【0024】
ここで、X線照射装置14によって照射されたX線が基板2を透過して斜め下方から照射される空間において、基板2と平行且つ搬送方向と垂直な方向に延在する仮想的な直線を第2ラインBとする。第2ラインBは、第1ラインAと平行且つ第1ラインAから搬送方向に所定の距離を隔てて延在する。第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22の各々は、被照射面が下方の基板2に対向すると共に、第3走査ライン20aおよび第4走査ライン22aが一直線上に並んで第2ラインBと重なるように並設される。
【0025】
第3X線ラインセンサ20は、撮像不能領域2aを撮像することができるよう、基板2の撮像不能領域2aを透過したX線が自身の走査ラインの範囲に入る位置に配置される。これによって、撮像不能領域2aに実装された部品の実装状態も検査することが可能となる。なお、本実施形態では、第2X線ラインセンサ18は、第3X線ラインセンサ20の第3走査ライン20a、および第4X線ラインセンサ22の第4走査ライン22aとの間に存在する撮像不能領域を第2走査ライン18a撮像することができるよう配置される。このため、第1X線ラインセンサ16と第2X線ラインセンサ18との組み合わせ、および第3X線ラインセンサ20と第4X線ラインセンサ22との組み合わせは、互いに各々の組み合わせの撮像不能領域を補完して基板2の透過像を撮像するよう走査方向にずらして配置される。
【0026】
第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22は、単一のX線照射装置14から照射されたX線による基板2の透過像を撮像する。第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22は、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18が撮像する透過像が得られるときと異なる角度でX線が基板2を透過して得られる透過像を撮像する。具体的には、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18は、基板2の面に対して垂直に透過したX線の透過像を撮像し、第3X線ラインセンサ20および第4X線ラインセンサ22は、基板2の面に対して90度よりも小さい所定の角度を成して基板2を透過したX線の透過像を撮像する。これにより、基板2の部品の高さ方向の位置を把握することが可能となり、例えば透過像の表された部品が基板2の表面または裏面のどちらに実装されているかを容易に判別することが可能となる。
【0027】
図3は、本実施形態に係る基板検査システム10の機能ブロック図である。基板検査システム10は、さらにスレーブPC(personal computer)26およびマスターPC38を有する。なお、図3においてスレーブPC26およびマスターPC38は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。
【0028】
スレーブPC26は、メモリ28、記憶部30、透過画像検査部32、及び送受信部34を有する。スレーブPC26は、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々に接続されており、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々によって撮像され生成された画像データを受信する。
【0029】
メモリ28は、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22から入力された画像データを格納する。なお、検査精度を高めるために第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22は高精細なものが採用されているため、メモリ28に格納される画像データの容量は大きなものとなる。このため、メモリ28には容量が大きいものが採用される。記憶部30はハードディスクによって構成され、検査対象となる基板の透過像に関する透過像基準データが予め格納されている。
【0030】
透過画像検査部32は、メモリ28に格納された画像データを解析して、基板の透過像検査に利用する透過像検査情報を取得する。具体的には、透過画像検査部32は、検査対象となる基板の透過像の画像データを解析することにより、基板に設けられた基準マークの位置を示す基板位置情報、基板に実装される各部品の位置を示す部品位置情報、基板に実装される各部品や基板自体の形状を示す形状情報、基板に実装されるべき部品が基板上に存在するか否かを示す欠品情報などを透過像検査情報として取得する。
【0031】
このうち例えば部品位置情報については、透過画像検査部32は、まず検査対象となる基板の透過像の画像データを解析することにより、基板に実装される各部品の位置を暫定的に特定し、次に、暫定的に特定した各部品の位置に対して、取得した基板位置情報を利用して検査対象となる基板の基準位置からのずれや傾きに応じた補正を施して、各部品の位置を最終的に特定して部品位置情報を取得する。画像データを解析してこれらの透過像検査情報を取得する技術は周知であるため、画像データの解析方法に関する説明は省略する。
【0032】
透過画像検査部32は、取得した透過像検査情報と記憶部30に格納された透過像基準データとを比較することにより、基板の実装状態を検査する。なお基板の実装状態には、基板に実装される様々な素子などの部品の有無、位置、適正な部品か等だけではなく、ハンダの有無、ハンダの量、ブリッジの有無等が含まれる。
【0033】
スレーブPC26とマスターPC38とはハブ36を介して相互にデータの送受信可能に接続されている。送受信部34は、マスターPC38にデータを送信し、また、マスターPC38から送信されたデータを受信する。
【0034】
マスターPC38は、ディスプレイ48に接続されている。また、マスターPC38は、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22、X線照射装置14、および搬送モータ24にも接続されている。
【0035】
マスターPC38は、撮像制御部40、搬送制御部42、表示制御部44、および送受信部46を有する。撮像制御部40は、X線照射装置14をオンにしてX線の照射を開始し、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々に撮像開始信号を供給して、各々の被撮像面に映し出されたX線による基板2の透過像を走査させて基板2の透過像を撮像させる。搬送制御部42は、搬送モータ24に入力する搬送モータ24に入力するパルス信号を制御することにより搬送モータ24の作動を制御し、基板の搬送速度や搬送距離を制御する。表示制御部44は、ディスプレイ48に様々な情報を表示させる。送受信部46は、スレーブPC26にデータを送信し、スレーブPC26から送信された情報を受信する。
【0036】
図4は、本実施形態に係る基板検査システム10による基板検査工程を示すフローチャートである。マスターPC38の表示制御部44は基板検査画面(図示せず)をディスプレイ48に表示し、この基板検査画面にはスタートボタンが表示されている。ユーザによりこのスタートボタンがマウス(図示せず)でクリックされることにより、基板検査処理が開始される。本フローチャートにおける処理は、基板検査処理が開始されたときに開始する。
【0037】
ユーザによってスタートボタンがクリックされると、撮像制御部40は撮像処理を開始する(S10)。具体的には、撮像制御部40は、撮像処理においてまずX線照射装置14をオンにしてX線の照射を開始する。次に、撮像制御部40は、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22を走査させて基板2の透過像を撮像させる。1ラインの撮像が終了すると、搬送制御部42は、搬送モータ24に駆動信号を供給して1ラインの幅の分だけ基板2を上流側に搬送する。撮像制御部40および搬送制御部42は、このように第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22による撮像と搬送モータ24による基板2の搬送とを繰り返すことにより、基板2全体の透過像を撮像する。第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22による撮像で取得された画像データはスレーブPC26に出力され、メモリ28に蓄積される。
【0038】
基板2全体の透過像の撮像が終了すると、透過画像検査部32は、撮像によって生成されメモリ28に蓄積された画像データのうち、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18によって撮像された画像データを解析し、まず第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18の撮像範囲の透過像検査情報を取得する(S12)。次に透過画像検査部32は、同様にメモリ28に蓄積された画像データのうち第3X線ラインセンサ20によって撮像された画像データを解析し、第1X線ラインセンサ16および第2X線ラインセンサ18の撮像不能領域2aの透過像検査情報を取得する(S14)。
【0039】
こうして基板2全体についての透過像検査情報を取得すると、透過画像検査部32は、まず第1X線ラインセンサ16または第2X線ラインセンサ18によって撮像された基板2の透過像と、第3X線ラインセンサ20または第4X線ラインセンサ22によって撮像された基板2の透過像とを利用して、各々の透過像に表された部品が基板2の表面と裏面のどちらに実装されたものかを判別する。
【0040】
上記判別を終了すると、透過画像検査部32は、表面の部品の位置などを示す透過像検査情報と、裏面の部品の位置などを示す透過像検査情報を取得する。透過画像検査部32は、基板2の表面の透過像検査情報と、記憶部30に格納された透過像基準データのうち基板2の表面に関するデータとを比較することにより、基板2の表面の部品の実装状態に異常があるか否かを判定する。同様に、透過画像検査部32は、基板2の裏面の透過像検査情報と、記憶部30に格納された透過像基準データのうち基板2の裏面に関するデータとを比較することにより、基板2の裏面の部品の実装状態に異常があるか否かを判定する(S16)。
【0041】
透過画像検査部32は、基板2に異常があるか否かなどの透過像検査の結果を示す透過像検査結果データを生成し、送受信部34は、透過像検査結果データをマスターPC38に送信する(S18)。このとき、送受信部34は、基板2の透過像を示す圧縮した画像データも一緒にマスターPC38に送信する。
【0042】
透過像検査結果データ受信すると、表示制御部44は、受信した透過像検査結果データに基づいて、基板2に異常があるか否かを判定する(S20)。異常があると判定した場合(S20のY)、表示制御部44は、一緒に受信した基板2の透過像の画像データを利用して異常と判定した箇所をディスプレイ48に表示する(S22)。異常はないと判定した場合(S20のN)、表示制御部44は、異常ない旨をディスプレイ48に表示する(S24)。
【0043】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
【0044】
ある変形例において、透過画像検査部32は、第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22により撮像され生成された画像データを解析することにより、透過像に表された部品が表面、裏面のどちらに実装されているものかを判別するだけでなく、表面および裏面の各々に実装された部品などの構成要素の高さを算出する。このように基板2の構成要素の高さを算出することにより、例えば部品の浮きや異物の存在などを検出することが可能となる。
【0045】
ある別の変形例では、基板検査システム10に、外観検査装置が設けられる。外観検査装置は、光学画像を撮像するラインセンサまたはエリアセンサを有し、これによって撮像された光学画像の画像データをスレーブPC26に出力する。スレーブPC26は入力した光学画像の画像データを解析して外観検査情報を取得する。スレーブPC26に構成された外観検査部は、取得した外観検査情報と、記憶部30に格納された外観検査の基準となる外観基準データとを比較することにより、基板2に異常があるか否かを判定する。スレーブPC26は判定結果を示す外観検査結果データをマスターPC38に送信する。マスターPC38の表示制御部44は、受信した外観検査結果データを利用して基板2に異常があるか否かを判定し、異常がある場合にはディスプレイ48に異常がある箇所を表示する。
【0046】
このとき、基板検査システム10は、外観検査で検査可能な部品の実装状態に関しては、外観検査によって部品の実装状態を検査し、例えばBGAの実装状態など外観検査で検査が困難な箇所については、X線による透過像検査を実施する。このように外観検査とX線による透過像検査を併用することにより、より精度の高い基板の実装状態の検査を実施することができる。
【0047】
ある別の変形例では、スレーブPCが、X線ラインセンサの数と同数、すなわち4つ設けられる。第1X線ラインセンサ16〜第4X線ラインセンサ22の各々は、4つのスレーブPCの各々に接続され、撮像して生成した画像データをそれぞれ接続されたスレーブPCに出力する。このように複数のスレーブPCを設けることにより、画像データの解析や透過像検査における負担を軽減することができ、迅速な透過像検査を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る基板検査システムの正面図である。
【図2】本実施形態に係る基板検査システムの上面図である。
【図3】本実施形態に係る基板検査システムの機能ブロック図である。
【図4】本実施形態に係る基板検査システムによる基板検査工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
10 基板検査システム、 14 X線照射装置、 16 第1X線ラインセンサ、 18 第2X線ラインセンサ、 20 第3X線ラインセンサ、 22 第4X線ラインセンサ、 24 搬送モータ、 26 スレーブPC、 28 メモリ、 30 記憶部、 32 透過画像検査部、 38 マスターPC、 40 撮像制御部、 42 搬送制御部、 44 表示制御部、 48 ディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々のライン状の撮像領域が一直線上に並ぶよう並設された第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサを含むラインセンサユニットと、
第1X線ラインセンサの撮像領域と第2X線ラインセンサの撮像領域との間に存在する撮像不能領域における被検査体の透過像を補完して撮像する第3X線ラインセンサと、
を備えることを特徴とする被検査体の検査装置。
【請求項2】
第3X線ラインセンサは、第1X線ラインセンサおよび第2X線ラインセンサが撮像する透過像が得られるときと異なる角度でX線が被検査体を透過して得られる透過像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の被検査体の検査装置。
【請求項3】
ライン状の撮像領域が第3X線ラインセンサの撮像領域と一直線上に並ぶよう配置された第4X線ラインセンサをさらに備え、
第1X線ラインセンサと第2X線ラインセンサとの組み合わせ、および第3X線ラインセンサと第4X線ラインセンサとの組み合わせは、互いに各々の組み合わせの撮像不能領域を補完して被検査体の透過像を撮像するよう、各々のライン状の撮像領域の延在方向にずらして配置されることを特徴とする請求項2に記載の被検査体の検査装置。
【請求項4】
第1X線ラインセンサまたは第2X線ラインセンサによって撮像された被検査体の透過像と、第3X線ラインセンサによって撮像された被検査体の透過像とを利用して、各々の透過像に表された被検査体の構成要素が被検査体の表面と裏面のどちらに実装されたものかを判別する判別部をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の被検査体の検査装置。
【請求項5】
第1X線ラインセンサ、第2X線ラインセンサ、および第3X線ラインセンサは、単一のX線照射源から照射されたX線による被検査体の透過像を撮像することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の被検査体の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−150782(P2009−150782A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329233(P2007−329233)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(595039014)株式会社サキコーポレーション (31)
【Fターム(参考)】