説明

複合処理装置及びその制御方法、並びにPOS端末装置

【課題】 チェック紙を一回投入するだけで、チェック紙の磁気インク文字読取及び両面の画像データ取得をすることを可能にすることで、煩雑な操作が不要であり、誤操作の可能性を抑制できる、複合処理装置及びその制御方法、並びにPOS端末装置を提供する。
【解決手段】 複合処理装置は、印刷媒体を搬送するための搬送経路と、搬送経路の一方の側に沿って配置され、印刷媒体に予め記録された磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッドと、搬送経路の磁気ヘッドが配置された側と同じ側に沿って配置され、印刷媒体の第1の面をスキャンすることで第1の面の画像データを取得するための第1のスキャナと、搬送経路の第1のスキャナが配置された側と反対側に沿って配置され、印刷媒体の第2の面をスキャンすることで第2の面の画像データを取得するための第2のスキャナと、を備える。POS端末装置は、当該複合処理装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手などのチェック紙に対して、磁気インク文字の読み取り処理(MICR:Magnetic Ink Character Recognition)、印刷面のスキャン処理等の複数の種類の処理を複合的に行う小切手処理装置等の複合処理装置及びその制御方法、並びに複合処理装置を備えたPOS端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商取引や店舗での買い物、レストランでの支払い等において、小切手や、パーソナルチェック紙(以下総称して「チェック紙」と表記する。)を用いて決済が行われることがある。特に、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国においては、日常的に広く用いられている。一般に、チェック紙の所定の場所(下欄)には、銀行コードや銀行口座番号などが磁気インク文字により印刷されている。小売り店舗などにおいて、金銭の支払い者は支払い先、数字表記による金額、単語表記による金額とサインとを記入し店舗に支払う。店舗においては、磁気インク文字で印刷された銀行コードや銀行口座番号などを読み取り、読み取りデータを銀行や信用調査機関に照会し、チェック紙の有効性を確認する。有効な場合小売り店舗は、金銭の支払い者からチェック紙を受領し、裏面にエンドースメント(受領承認)を記載又は印刷する。
【0003】
店舗等における処理が終わったチェック紙は、銀行等の決済機関に持ち込まれ、最終的な決済処理が行われる。近年では、実際のチェック紙を移動させることに代えて、取引内容の電子データや、スキャナで読み取ったチェック紙(必要事項を印刷したもの)の画像データ等の電子データを決済機関に送信することにより、決済処理を効率化することが行われている。このような決済処理のための電子データを取得するにあたって、磁気インク文字の読み取り及びチェック紙の画像取得を効率良く実行するために、磁気インク文字の読み取り処理及びチェック紙のスキャン処理を複合的に行う複合処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−6713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、決済機関の間の取引でチェック紙の移動に代えて電子データを送受信させる場合には、より厳密にチェック紙を特定できることが要求されることから、チェック紙の画像データは表と裏の2画像が必要とされることがある。特許文献1に記載の複合処理装置のように、スキャナを1台のみ備えた装置を使用すると、チェック紙の表裏の2画像を得るためには、一度表面をスキャンさせたチェック紙を再び前記装置に投入して、再度チェック紙の裏面をスキャンさせることが必要であって、オペレータの操作が煩雑であるという課題があった。また、2回のスキャン実施の間にオペレータによる作業が介在するため、再投入の作業での不注意により、同一面を2回スキャンさせる場合や、1面のみスキャンさせて、もう1面のスキャンを忘れる場合や、2回目の投入で、1回目とは異なるチェック紙を投入する場合など、誤操作が行われる可能性があった。このような誤操作に起因して、例えば、決済機関の間の取引で使用する画像データに必要とされる、チェック紙の表と裏の2画像が揃っているという要件を満たさない故に、適切でない画像データが作成される可能性があるという課題があった。さらに、2回スキャンすることで処理時間がかかるという課題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、オペレータがチェック紙を一回投入するだけで、チェック紙の磁気インク文字読取及び両面の画像データ取得をすることを可能にすることで、煩雑な操作が不要であり、誤操作の可能性を抑制できる、複合処理装置及びその制御方法、並びにPOS端末装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による複合処理装置は、少なくとも第1の面及び第2の面を有する印刷媒体を搬送するための搬送経路と、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体に予め記録された磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッドと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第1の面をスキャンすることで第1の面の画像データを取得するための第1のスキャナと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第2の面をスキャンすることで第2の面の画像データを取得するための第2のスキャナと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の複合処理装置は、磁気インク文字を読み取る磁気ヘッドと、印刷媒体の面をスキャンするスキャナとを備え、印刷媒体が挿入されると、磁気インク文字の読取と、印刷媒体面のスキャン、とを実行する。これによって、印刷媒体を一回複合処理装置に挿入して処理させることで、再度印刷媒体を複合処理装置に挿入することを必要とせずに、磁気インク文字の読取と、印刷媒体面の画像データの取得とを実行することが可能となり、煩雑な操作を不要とし、誤操作の可能性を抑制することができる。
【0009】
本発明による複合処理装置は、少なくとも第1の面及び第2の面を有する印刷媒体を搬送するための搬送経路と、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体に予め記録された磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッドと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第1の面に印刷するための第1の印刷ヘッドと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第2の面に印刷するための第2の印刷ヘッドと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第1の面をスキャンすることで第1の面の画像データを取得するための第1のスキャナと、搬送経路に沿って配置され、印刷媒体の第2の面をスキャンすることで第2の面の画像データを取得するための第2のスキャナと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の複合処理装置は、磁気インク文字を読み取る磁気ヘッドと、印刷媒体の面に印刷を行う印刷ヘッドと、印刷媒体の面をスキャンするスキャナとを備え、印刷媒体が挿入されると、磁気インク文字の読取と、印刷媒体への印刷と、印刷媒体面のスキャン、とを実行する。これによって、印刷媒体を一回複合処理装置に挿入して処理させることで、磁気インク文字の読取と、印刷媒体への印刷と、印刷媒体面のスキャン、即ち印刷媒体面の画像データの取得とを実行することが可能となり、煩雑な操作を不要とし、誤操作の可能性を抑制することができる。
【0011】
この場合、複合処理装置の第1のスキャナ又は第2のスキャナのいずれか一方は、搬送経路に対して、磁気ヘッドと同じ側に配置されており、第1のスキャナ又は第2のスキャナの他方は、搬送経路に対して、磁気ヘッドと反対側に配置されており、第1のスキャナと第2のスキャナとは、同時に稼動することが可能であり、前記した複合処理装置に印刷媒体が挿入されてから取出し可能となるまでの間に、第1のスキャナによる第1の面のスキャンと、第2のスキャナによる第2の面のスキャンとを実行することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、複合処理装置は、印刷媒体が挿入されると、搬送経路に対して、磁気ヘッドと同じ側に配置されたスキャナで印刷媒体の一方の面をスキャンし、搬送経路に対して、磁気ヘッドと反対側に配置されたスキャナで印刷媒体の他方の面をスキャンして、印刷媒体の両面の画像データを取得する。このことにより、印刷媒体を一回複合処理装置に挿入して処理させることで、印刷媒体を複合処理装置に再度挿入することを必要とせずに、印刷媒体の両面の画像データ取得をすることができる。さらに、印刷媒体を一回挿入して複合処理装置に処理させることで、印刷媒体の両面の画像データ取得をすることができることから、印刷媒体を2回複合処理装置に挿入して、片面毎に個別にスキャンする場合に比べて、スキャンに要する時間を短縮することができる。
【0013】
この場合、複合処理装置は、搬送経路の一端側に形成され、印刷媒体を挿入するための挿入口と、搬送経路の他端側に形成され、印刷媒体を排出するための排出口とを更に備え、磁気ヘッドは、第1および第2のスキャナと挿入口との間に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、磁気ヘッドは、スキャナより挿入口側にあるため、複合処理装置に挿入された印刷媒体に対して実行される磁気ヘッドによる読取とスキャナによる印刷媒体面のスキャンとのうちで、磁気ヘッドによる読取が最初に実施されることが好ましく、磁気ヘッドによる読取は、印刷媒体が複合処理装置内へ搬入されるのに続いて実行される。このことから、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、搬送されている印刷媒体の磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取ることで、磁気ヘッドによる読取処理を実行することができる。印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気ヘッドによる読取処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気ヘッドによる読取処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気ヘッドによる読取処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気ヘッドによる読取処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0015】
一方、スキャナは、磁気ヘッドより排出口側にあるため、複合処理装置に挿入された印刷媒体に対して実行される磁気ヘッドによる読取とスキャナによる印刷媒体面のスキャンとのうちで、スキャナによるスキャンが最後に実施されることが好ましく、スキャナによるスキャンが終了すると、印刷媒体が複合処理装置内から外側へ排出される。このことから、スキャナでスキャンするために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を排出口から排出するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、スキャナでスキャンするために印刷媒体を搬送することによって、印刷媒体を排出口から排出することができる。スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、スキャナでスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0016】
この場合、複合処理装置は、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取る際は、挿入口から挿入された印刷媒体を排出口方向に搬送し、磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送し、第1および第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする際は、印刷媒体をスキャン開始位置から排出口方向に搬送することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、磁気ヘッドによる磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置からスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する。このことから、印刷媒体について、磁気ヘッドによる読み取り終了位置とスキャン開始位置とが一致することが不要となり、読み取り終了位置とスキャン開始位置とを一致させることを考慮して磁気ヘッドとスキャナとを配置することが不要で、磁気ヘッドとスキャナとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、磁気ヘッドによる読み取り終了位置とスキャン開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、磁気ヘッドとスキャナとをより近接させて設置することができ、複合処理装置を小型にすることができる。
【0018】
この場合、複合処理装置は、磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する際の搬送方向は、挿入口方向であることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、読み取り終了位置からスキャン開始位置までは、印刷媒体が挿入口側に搬送される。印刷媒体が排出口側に搬送されると、挿入口からの距離が離反し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さが増加するが、印刷媒体が挿入口側に搬送されると、挿入口からの距離が近接し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さは減少する。このことにより、印刷媒体が排出口側に搬送される磁気ヘッドによる磁気インク文字の読取処理及びスキャナによるスキャン処理に加えて、読み取り終了位置からスキャン開始位置まで印刷媒体を排出口側に搬送する場合に比べて、複合処理装置の搬送経路を短縮することができる。搬送経路を短縮することで、複合処理装置を小型にすることができる。
【0020】
この場合、複合処理装置は、搬送経路の一端側に形成され、印刷媒体を挿入するための挿入口と、搬送経路の他端側に形成され、印刷媒体を排出するための排出口とを更に備え、磁気ヘッドは、第1および第2の印刷ヘッドと挿入口側との間に配置され、第1および第2のスキャナは、第1および第2の印刷ヘッドと排出口側との間に配置されることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、磁気ヘッドは、磁気ヘッドと印刷ヘッドとスキャナとの中で最も挿入口側にあるため、複合処理装置に挿入された印刷媒体に対して実行される磁気ヘッドによる読取と印刷ヘッドによる印刷とスキャナによる印刷媒体面のスキャンとのうちで、磁気ヘッドによる読取が最初に実施されることが好ましく、磁気ヘッドによる読取は、印刷媒体が複合処理装置内へ搬入されるのに続いて実行される。このことから、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、搬送されている印刷媒体の磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取ることで、磁気ヘッドによる読取処理を実行することができる。印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気ヘッドによる読取処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気ヘッドによる読取処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気ヘッドによる読取処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気ヘッドによる読取処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0022】
一方、スキャナは、磁気ヘッドと印刷ヘッドとスキャナとの中で最も排出口側にあるため、複合処理装置に挿入された印刷媒体に対して実行される磁気ヘッドによる読取と印刷ヘッドによる印刷とスキャナによる印刷媒体面のスキャンとのうちで、スキャナによるスキャンが最後に実施されることが好ましく、スキャナによるスキャンが終了すると、印刷媒体が複合処理装置内から排出される。このことから、スキャナでスキャンするために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を排出口から排出するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、スキャナでスキャンするために印刷媒体を搬送することによって、印刷媒体を排出口から排出することができる。スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、スキャナでスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0023】
さらに、第1および第2のスキャナが、第1および第2の印刷ヘッドより排出口側に配置されていることから、第1および第2のスキャナによるスキャンは、第1および第2の印刷ヘッドによる印刷が実施された印刷媒体について実行され、スキャンすることで、印刷が完了した印刷媒体の画像を取得することができる。
【0024】
この場合、複合処理装置は、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取る際は、挿入口から挿入された印刷媒体を排出口方向に搬送し、磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送し、第1の印刷ヘッドによって印刷する際は、印刷媒体を挿入口方向又は排出口方向に搬送し、第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送し、第2の印刷ヘッドによって印刷する際は、印刷媒体を挿入口方向又は排出口方向に搬送し、第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送し、第1および第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする際は、印刷媒体を、スキャン開始位置から排出口方向に搬送することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、磁気ヘッドによる磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する。このことから、印刷媒体について、磁気ヘッドによる読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置とが一致することが不要となり、磁気インク文字の読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドの印刷開始位置とを一致させることを考慮して磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとを配置することが不要で、磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、磁気ヘッドによる読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとをより近接させて設置することでき、複合処理装置を小型にすることができる。
【0026】
同様に、第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、印刷終了位置から第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送し、第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、印刷終了位置からスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送することから、第1の印刷ヘッドと第2の印刷ヘッド及び第2の印刷ヘッドとスキャナとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、印刷媒体について、それぞれの処理の終了位置とそれぞれの処理の開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、各装置間をより近接させて設置することでき、複合処理装置を小型にすることができる。
【0027】
この場合、複合処理装置は、第1の印刷ヘッドで印刷媒体の第1の面に印刷を行う際の搬送方向と、第2の印刷ヘッドで印刷媒体の第2の面に印刷を行う際の搬送方向とは、少なくともどちらか一方の搬送方向が挿入口方向であることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第1の印刷ヘッドで印刷を行う際と、第2の印刷ヘッドで印刷を行う際とのうち少なくとも1回は、印刷媒体が挿入口側に搬送されながら処理される。印刷媒体が排出口側に搬送されると、挿入口からの距離が離反し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さが増加するが、印刷媒体が挿入口側に搬送されると、挿入口からの距離が近接し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さは増加しない。このことにより、印刷媒体が排出口側に搬送される磁気ヘッドによる磁気インク文字の読取処理及びスキャナによるスキャン処理に加えて、第1の印刷ヘッドで印刷を行う際と、第2の印刷ヘッドで印刷を行う際にも印刷媒体を排出口側に搬送しながら実行する場合に比べて、複合処理装置の搬送経路を短縮することができる。搬送経路を短縮することで、複合処理装置を小型にすることができる。
【0029】
この場合、複合処理装置は、磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際の搬送方向と、第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際の搬送方向と、第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する際の搬送方向とは、少なくともいずれかひとつの搬送方向が挿入口方向であることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、磁気インク文字の読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際と、第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際と、第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、スキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する際とのうち少なくとも1回は、印刷媒体が挿入口側に搬送される。印刷媒体が排出口側に搬送されると、挿入口からの距離が離反し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さが増加するが、印刷媒体が挿入口側に搬送されると、挿入口からの距離が近接し、印刷媒体を搬送するための搬送経路の必要な長さは増加しない。このことにより、印刷媒体が排出口側に搬送される磁気ヘッドによる磁気インク文字の読取処理及びスキャナによるスキャン処理に加えて、磁気インク文字の読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際と、第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する際と、第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、スキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する際にも印刷媒体を排出口側に搬送しながら実行する場合に比べて、複合処理装置の搬送経路を短縮することができる。搬送経路を短縮することで、複合処理装置を小型にすることができる。
【0031】
この場合、複合処理装置の搬送経路は、挿入口に連なる第1搬送経路と、第1搬送経路の挿入口と反対側の端に配置される分岐点と、分岐点において第1搬送経路と連通可能な第2搬送経路及び第3搬送経路とを有し、第1のスキャナは、第1搬送経路に沿って配置され、第2のスキャナは、第3搬送経路に沿って配置され、第2のスキャナによるスキャンが実行される場合には、印刷媒体は第1搬送経路及び第3搬送経路を通って搬送され、第2のスキャナによるスキャンが実行されない場合には、印刷媒体は第1搬送経路及び第2搬送経路を通って搬送されることが好ましい。
【0032】
この構成によれば、第2のスキャナによるスキャンが実行されない場合には、印刷媒体は、第2のスキャナが配置された第3搬送経路を通過しない。印刷媒体が、第2のスキャナが配置された第3搬送経路を通過するためには、第2のスキャナによるスキャンが実行される場合と同様に印刷媒体を搬送することが必要であり、第2のスキャナによるスキャンが実行されないにも関らず、印刷媒体の搬送のみを実行する必要が生ずる。第2のスキャナによるスキャンが実行されない場合には、印刷媒体は、第2のスキャナが配置された第3搬送経路を通過しないようにすることで、第2のスキャナによるスキャンが実行されるときに印刷媒体を搬送するための機構の不要な稼動を抑制することができる。
【0033】
この場合、複合処理装置の第2搬送経路の分岐点と反対側の端には、第1排出口が、第3搬送経路の分岐点と反対側の端には、第2排出口が、それぞれ形成されていることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、第2のスキャナによるスキャンが実行される場合の搬送経路である第3搬送経路と、第2のスキャナによるスキャンが実行されない場合の搬送経路である第2搬送経路とで、それぞれ異なる排出口を有する。このことから、印刷媒体が排出される排出口が、第1排出口であるか第2排出口であるかによって、第2のスキャナによるスキャンが実行された印刷媒体であるか否かを判別することができる。また、第2搬送経路及び第3搬送経路を一つに合流させるスペースが不要であり、複合処理装置の大型化を抑制することができる。
【0035】
この場合、複合処理装置は、第2のスキャナの対向位置に配置され、第2のスキャナとの間に印刷媒体を挟持して押圧力を加えることで、印刷媒体を搬送しながらスキャンすることを可能とする押圧送りローラと、第1搬送経路に連通する経路を切換える経路切換えガイドとを更に備え、押圧送りローラの回転方向に従って、経路を分岐する経路切換えガイドが移動することによって、第2搬送経路又は第3搬送経路が選択的に第1搬送経路に連通することが好ましい。
【0036】
この構成によれば、押圧送りローラの回転方向に従って、経路切換えガイドを移動させることから、押圧送りローラ印刷媒体を搬送する方向に回転するときは、印刷媒体を第3搬送経路に導くように経路切換えガイドを移動させることが可能で、第2のスキャナが稼動するときには、より確実に印刷媒体を第2のスキャナが配置された第3搬送経路に導くことができる。
【0037】
この場合、複合処理装置の押圧送りローラが第2のスキャナとの間に印刷媒体を挟持したときに、押圧送りローラが印刷媒体に当接する位置は、第2のスキャナが印刷媒体をスキャンしている位置より排出口側であることが好ましい。
【0038】
この構成によれば、印刷媒体が第2のスキャナに押し当てられて、第2のスキャナに汚れが付着しやすい場所である、押圧送りローラが印刷媒体を押圧して第2のスキャナに押付ける位置が、汚れが付着することでスキャン画像品質に最も影響を及ぼしやすい第2のスキャナが印刷媒体をスキャンしている位置から外れる。これにより、スキャンを実行することによって、汚れが蓄積し、汚れが蓄積することで、スキャン画像品質が低下することを抑制することができる。また、押圧送りローラが、印刷媒体をスキャンしている位置より排出口側にあり、印刷媒体をスキャンしている位置より排出口側で印刷媒体が第2のスキャナに押し当てられることから、排出口から入射する外光が、第2のスキャナと印刷媒体との隙間を通過して、スキャンしている位置に照射することが抑制され、スキャンしている位置に照射した外光が外乱光となって、スキャン画像品質が低下することを抑制することができる。
【0039】
この場合、複合処理装置は、第2のスキャナを押圧送りローラの方向に付勢する付勢手段を更に設け、付勢手段が第2のスキャナを付勢する力で、押圧送りローラと第2のスキャナとの間に印刷媒体を挟持して印刷媒体を搬送するために加える押圧力を発生させることが好ましい。
【0040】
この構成によれば、押圧送りローラの位置は、搬送経路に対して固定される。押圧送りローラで印刷媒体を精度良く搬送するためには、押圧送りローラは、搬送経路を通過する印刷媒体に対して一定の位置関係を保つことで、一定の搬送力を加えることが好ましい。押圧送りローラの位置が、搬送経路に対して固定となることで、搬送経路を通過する印刷媒体に対して押圧送りローラの位置が一定となる。印刷媒体に対する押圧送りローラの位置が一定となることで、押圧送りローラから印刷媒体に一定の搬送力が加えられる。押圧送りローラを付勢することで押圧力を発生させる構成では、押圧送りローラを付勢するために、押圧送りローラの位置が、搬送経路に対して固定ではなくなり、搬送経路を通過する印刷媒体に対して押圧送りローラの位置が一定となり難い。印刷媒体に対して押圧送りローラの位置が一定となり難いことから、押圧送りローラから印刷媒体に加えられる搬送力が変動する可能性がある。したがって、第2のスキャナを付勢する力で押圧力を発生させることで、押圧送りローラを付勢することで押圧力を発生させる構成に比べて、押圧送りローラで印刷媒体を精度良く搬送することができる。
【0041】
この場合、複合処理装置の押圧送りローラ及び経路切換えガイドを含む送りローラユニットは、第2のスキャナのスキャンセンサ面に対して離接可能に軸支されていることが好ましい。
【0042】
この構成によれば、第2のスキャナのスキャンセンサ面を覆う送りローラユニットを、スキャンセンサ面上から離すことが可能である。送りローラユニットを、スキャンセンサ面上から離すことが可能でない構成に比べて、スキャンセンサ面のクリーニングや、第2のスキャナ付近で印刷媒体の詰りなどが発生した場合の印刷媒体の除去が容易に実行できる。
【0043】
本発明による複合処理装置の制御方法は、上記した複合処理装置を制御する制御方法であって、挿入口から挿入された印刷媒体を排出口方向に搬送することで、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取る工程と、印刷媒体を排出口方向に搬送することで第1および第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程と、を有することを特徴とする。
【0044】
この方法によれば、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るときの、印刷媒体を搬送する方向は、排出口方向であって、挿入口から挿入された印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するときの搬送方向と同一である。また、実行される磁気インク文字を読み取る工程と印刷媒体の面をスキャンする工程の中で、磁気インク文字を読み取る工程が最初に実施されるため、磁気インク文字を読み取る工程は、印刷媒体が複合処理装置内へ搬入されるのに続いて実行される。このことから、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、搬送されている印刷媒体の磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取ることで、磁気インク文字の読み取り処理を実行することができる。印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気インク文字の読み取り処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気インク文字の読み取り処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気インク文字の読み取り処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気インク文字の読み取り処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0045】
さらに、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするときの、印刷媒体を搬送する方向は、排出口方向であって、印刷媒体を排出口から排出するときの搬送方向と同一である。また、実行される磁気インク文字を読み取る工程と印刷媒体の面をスキャンする工程の中で、スキャンする工程が最後に実施されるため、スキャンする工程が終了すると、印刷媒体が複合処理装置内から排出される。このことから、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を排出口から排出するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体を搬送することによって、印刷媒体を排出口から排出することができる。スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0046】
この場合、複合処理装置の制御方法は、磁気インク文字を読み取る工程が終了したときの印刷媒体の位置から、第1及び第2のスキャナによるスキャンを開始するときの印刷媒体の位置まで印刷媒体を搬送する工程をさらに有することが好ましい。
【0047】
磁気ヘッドによる磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置からスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送する。このことから、印刷媒体について、磁気ヘッドによる読み取り終了位置とスキャン開始位置とが一致することが不要となり、読み取り終了位置とスキャン開始位置とを一致させることを考慮して磁気ヘッドとスキャナとを配置することが不要で、磁気ヘッドとスキャナとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、磁気ヘッドによる読み取り終了位置とスキャン開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、磁気ヘッドとスキャナとをより近接させて設置することでき、複合処理装置を小型にすることができる。
【0048】
本発明による複合処理装置の制御方法は、上記した複合処理装置を制御する制御方法であって、挿入口から挿入された印刷媒体を、排出口方向に搬送することで磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取る工程と、第1の印刷ヘッドで印刷媒体の第1の面に印刷を行う工程と、第2の印刷ヘッドで印刷媒体の第2の面に印刷を行う工程と、印刷媒体を排出口方向に搬送することで第1および第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程と、を有することを特徴とする。
【0049】
この方法によれば、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るときの、印刷媒体を搬送する方向は、排出口方向であって、挿入口から挿入された印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するときの搬送方向と同一である。また、実行される磁気インク文字を読み取る工程と印刷媒体に印刷する工程と印刷媒体の面をスキャンする工程の中で、磁気インク文字を読み取る工程が最初に実施されるため、磁気インク文字を読み取る工程は、印刷媒体が複合処理装置内へ搬入されるのに続いて実行される。このことから、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取るために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、印刷媒体を複合処理装置内へ搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、搬送されている印刷媒体の磁気インク文字を磁気ヘッドで読み取ることで、磁気インク文字の読み取り処理を実行することができる。印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気インク文字の読み取り処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気インク文字の読み取り処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、印刷媒体を搬入するために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に磁気インク文字の読み取り処理を実行することで、複合処理装置内へ搬入された印刷媒体を、磁気インク文字の読み取り処理のためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0050】
さらに、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするときの、印刷媒体を搬送する方向は、排出口方向であって、印刷媒体を排出口から排出するときの搬送方向と同一である。また、実行される磁気インク文字を読み取る工程と印刷媒体に印刷する工程と印刷媒体の面をスキャンする工程の中で、スキャンする工程が最後に実施されるため、スキャンする工程が終了すると、印刷媒体が複合処理装置内からへ排出される。このことから、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために実施する印刷媒体の搬送と、印刷媒体を排出口から排出するために実施する印刷媒体の搬送とをそれぞれ実施することなく、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体を搬送することによって、印刷媒体を排出口から排出することができる。スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送される距離が短くなる。その結果、搬送経路を短くして装置の小型化が図れる。また、スキャナで印刷媒体の面をスキャンするために印刷媒体が搬送されるときに、ほとんど同時に印刷媒体を排出口から排出することを実行することで、スキャンするために搬送された印刷媒体を、排出口から排出するためにさらに搬送する場合に比べて、印刷媒体が搬送されている時間が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0051】
さらに、第1の印刷ヘッドで印刷媒体の第1の面に印刷を行う工程と、第2の印刷ヘッドで印刷媒体の第2の面に印刷を行う工程との後で、印刷媒体を排出口方向に搬送することで第1および第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程が実行されることから、第1および第2のスキャナによるスキャンは、第1および第2の印刷ヘッドによる印刷が実施された印刷媒体について実行され、スキャンすることで、印刷が完了した印刷媒体の画像を取得することができる。
【0052】
この場合、複合処理装置の制御方法は、磁気インク文字を読み取る工程が終了したときの印刷媒体の位置から、第1の印刷ヘッドによる印刷を開始するときの印刷媒体の位置まで印刷媒体を搬送する工程と、第1の印刷ヘッドによる印刷が終了したときの印刷媒体の位置から、第2の印刷ヘッドによる印刷を開始するときの印刷媒体の位置まで印刷媒体を搬送する工程と、第2の印刷ヘッドによる印刷が終了したときの印刷媒体の位置から、第1及び第2のスキャナによるスキャンを開始するときの印刷媒体の位置まで印刷媒体を搬送する工程と、をさらに有することが好ましい。
【0053】
この方法によれば、磁気ヘッドによる磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送する。このことから、印刷媒体について、磁気ヘッドによる読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置とが一致することが不要となり、磁気インク文字の読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドの印刷開始位置とを一致させることを考慮して磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとを配置することが不要で、磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、磁気ヘッドによる読み取り終了位置と第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、磁気ヘッドと第1の印刷ヘッドとをより近接させて設置することでき、複合処理装置を小型にすることができる。
【0054】
同様に、第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、印刷終了位置から第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで印刷媒体を搬送し、第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、印刷終了位置からスキャナによるスキャン開始位置まで印刷媒体を搬送することから、第1の印刷ヘッドと第2の印刷ヘッドと、及び第2の印刷ヘッドとスキャナとの配置位置の自由度を大きくすることができる。即ち、印刷媒体について、それぞれの処理の終了位置とそれぞれの処理の開始位置とが一致することが必要な構成に比べて、各装置間をより近接させて設置することができ、複合処理装置を小型にすることができる。
【0055】
この場合、複合処理装置の制御方法は、第1及び第2のスキャナによるスキャンの実行又は非実行を選択する工程をさらに有し、印刷媒体を排出口方向に搬送することで第1及び第2のスキャナで印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程では、第1及び第2のスキャナのうち、スキャンの実行が選択されたスキャナによるスキャンを実行することが好ましい。
【0056】
この方法によれば、画像データが必要な面のみを選択して、スキャンを実行させることができる。
【0057】
この場合、複合処理装置の制御方法は、上記した複合処理装置を制御する複合処理装置の制御方法であって、第1及び第2のスキャナによるスキャンの実行又は非実行を選択する工程において、第2のスキャナによるスキャンの実行が選択された場合には、押圧送りローラを印刷媒体が排出口方向に搬送される方向に回転させることで、経路切換えガイドを移動させて、第2のスキャナが配置されている第3搬送経路を、第1搬送経路に連通させる工程をさらに有することが好ましい。
【0058】
この方法によれば、第2のスキャナが配置されている第3搬送経路を第1搬送経路に連通させる位置に経路切換えガイドを移動させるために、押圧送りローラを印刷媒体が排出口方向に搬送される方向に回転させる。この押圧送りローラの回転方向は、第2のスキャナが稼動するときの押圧送りローラの回転方向である。従って、第2のスキャナが稼動するときには、押圧送りローラの回転に連動して、経路切換えガイドは第3搬送経路を第1搬送経路に連通させる位置に移動させられる。故に、第2のスキャナが稼動するときには、確実に印刷媒体を第2のスキャナが配置された第3搬送経路に導くことができる。
【0059】
この場合、複合処理装置の制御方法は、挿入口から挿入された印刷媒体を排出口方向に搬送することで、磁気ヘッドで磁気インク文字を読み取る工程において読み取られたデータから、印刷媒体が有効な印刷媒体であるか否かを判定する工程と、印刷媒体が有効な印刷媒体であるか否かを判定する工程において、印刷媒体が有効な印刷媒体ではないと判定された場合には、以降の処理を中止すると共に、有効な印刷媒体ではないと判定された印刷媒体を排出する工程と、をさらに有することが好ましい。
【0060】
この方法によれば、磁気ヘッドによる読取は、読み取ったデータによってセットされた印刷媒体が処理する対象として適当なものであるか否かを判定するために実行されるものであって、磁気ヘッドによる読取処理を行うことにより、セットされた印刷媒体が処理する対象として適当なものであるか否かを判定できるため、印刷媒体が処理する対象として適当なものでない場合には、その後スキャナによる印刷媒体面のスキャンを実行しないことで、無駄な処理を実行することを回避することができる。
【0061】
本発明に係るPOS端末装置は、前記した複合処理装置を備えることを特徴とする。
【0062】
本発明の構成によれば、POS端末装置に備えられた複合処理装置は、印刷媒体が挿入されると、磁気インク文字の読取と、印刷媒体面のスキャン、とを実行する。これによって、POS端末装置による小切手などのチェック紙による精算において、印刷媒体を一回複合処理装置に挿入し処理させることで、磁気インク文字の読取と、印刷媒体面のスキャン、即ち印刷媒体面の画像データの取得と、を実行することが可能となり、煩雑な操作を不要とし、誤操作の可能性を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る複合処理装置について説明する。図1は、被処理媒体である印刷媒体の一例である小切手の概要を示す平面図である。図1に示した小切手Pの表面には、表書き事項を記入する表書き領域1と、署名をするための署名領域2と、磁気インク文字が印刷されたMICR記録領域3とが設けられている。小切手Pの裏面には、点線で示すように裏書き事項を記入するための裏書き領域4が設けられている。表書き領域1には、支払い先、日付、金額等の表書き事項を記入する。署名領域2には、金銭の支払い者である小切手Pの使用者(買い物客)が自筆で署名を行う。裏書き領域4には、小切手Pの使用者の認証番号、日付、使用金額等の小切手Pの受取り側(店舗側)として必要な裏書き事項を記入する。MICR記録領域3には、小切手Pの使用者の銀行コードや銀行口座番号などが磁気インク文字により印刷されている。
【0064】
複合処理装置10(図2参照)が設置されない小売り店舗などにおいて、金銭の支払い者は、小切手Pを店舗側に渡す。店舗側は、支払い先である店舗名、数字表記による金額、単語による金額を、小切手Pの表面に印刷又は手作業で記入し、小切手Pを支払い者に戻す。支払い者は、小切手Pに印刷された支払い先、数字表記による金額、単語による金額を確認し、サインを記入し店舗側に支払う。店舗においては、磁気インク文字で印刷された銀行コードや銀行口座番号などを読み取り、読み取りデータを銀行や信用調査機関に照会し、小切手Pの有効性を確認する。有効な場合小売り店舗は小切手Pの裏面にエンドースメント(受領承認)を印刷装置で印刷又は手作業で記入した後、小切手Pを支払い者から受領し、小切手Pによる金銭の支払い処理が完了する。
【0065】
複合処理装置10を使用できる小売り店舗などにおいては、金銭の支払い者は、支払い金額を確認した後、小切手Pにサインを記入してその小切手Pを店舗側に渡す。店舗においては、コンピュータなどの複合処理装置10の制御装置から、支払い金額や表書きなどの情報を入力し、小切手Pを複合処理装置10に挿入する。複合処理装置10は、磁気インク文字で印刷された銀行コードや銀行口座番号などを読み取り、複合処理装置10又は複合処理装置10の制御装置が、読み取りデータを銀行や信用調査機関に照会し、小切手Pの有効性を確認する。有効な場合、複合処理装置10は、支払い先である店舗名、数字表記による金額、単語による金額とを表面に、エンドースメント(受領承認)を裏面に、印刷し、さらに、小切手Pの両面をスキャンして、小切手Pの両面の画像データを取得する。
【0066】
小切手Pによる精算では、受領した小切手Pを支払い者の取引銀行などに送付する。実物の小切手Pを移動させることに代えて、小切手Pの電子データを決済機関に送信することにより、決済処理を行う場合には、小切手Pに磁気インク文字で記載された情報と、取引内容の電子データと、スキャナで読み取った小切手Pの画像データとが必要である。取引内容の電子データは、支払い者のサイン以外の表書き及び裏書きの内容の電子データである。小切手Pの画像データは、表書き及び裏書きが全て完了した小切手Pの画像データである。磁気インク文字読取装置に加えて、プリンタ及びスキャナを設けた複合処理装置を使用することにより、小切手Pの精算に伴う磁気インク文字の読取、表書き印刷、裏書印刷、小切手Pの画像データの取得という一連の処理を一台の装置で処理することが可能となる。
【0067】
図2は、本発明の一実施形態に係る複合処理装置の外観斜視図である。図2に示した複合処理装置10は、前面上部側は樹脂製のフロントケース5とカバー6で覆われており、その前面部には、小切手Pを手差しで挿入する挿入口7が形成されている。カバー6の上面部には、小切手Pを排出する第1排出口8及び第2排出口9が形成されている。第1排出口8と第2排出口9との間には、後述するローラユニットカバー6a(図6参照)が位置している。挿入口7から挿入された小切手は、上面部に設けられた第1排出口8又は第2排出口9から排出される。さらに、本実施形態の複合処理装置10は、その後部にレシート発行用のロール紙を収納するロール紙収納部(図示せず)を備えており、該ロール紙収納部に収納されたロール紙が印刷部を経て印刷され、装置上面部の第2排出口9後方にあるロール紙排出口から排出される。複合処理装置10内のロール紙排出口の近傍には不図示のオートカッタ装置があり、印刷したロール紙を切断しレシートとして支払い者に渡す。なお、磁気インク文字は、図1の右側の方から矢印Bの方向に順次読み取られるため、小切手Pは複合処理装置10に図1の矢印Aの方向に挿入される。
【0068】
図3は、複合処理装置の内部構造を示す側断面図である。複合処理装置10の内部には、挿入口7から分岐点11に至る小切手Pの第1搬送経路15と、分岐点11から第1排出口8に至る第2搬送経路12と、分岐点11から第2排出口9に至る第3搬送経路14と、が形成されている。第1搬送経路15は、挿入口7側が水平方向を向く一方、分岐点11側が垂直方向を向いており、側面視においてL字状に曲折している。
【0069】
第1搬送経路15に沿って、挿入口7側から順に、用紙後端検出器16、MICRヘッド17、第1送りローラ対18、用紙先端検出器19、用紙位置決め部材20、裏印刷ヘッド21、第2送りローラ対22、表印刷ヘッド23、用紙排出検出器24および表スキャナ25が配置され、さらに、表スキャナ25の対向位置には、表スキャナ送りローラ26が設けられている。MICRヘッド17が磁気ヘッドに相当し、裏印刷ヘッド21が第2の印刷ヘッドに相当し、表印刷ヘッド23が第1の印刷ヘッドに相当し、表スキャナ25が第1のスキャナに相当し、表スキャナ送りローラ26が押圧送りローラに相当する。
【0070】
第3搬送経路14に臨んで、裏スキャナ27が配置され、裏スキャナ27の対向位置には、裏スキャナ送りローラ(押圧送りローラ)28が設けられている。分岐点11には、揺動自在に軸支され、第2搬送経路12又は第3搬送経路14を選択的に第1搬送経路15に連通させる経路切換えガイド29が設けられている。裏スキャナ27が、第2のスキャナに相当する。
【0071】
用紙後端検出器16、用紙先端検出器19および用紙排出検出器24は、例えば透過型もしくは反射型のフォトセンサで構成されており、第1搬送経路15の各位置で小切手Pの有無を非接触で検出する。用紙位置決め部材20は、挿入口7から挿入された小切手Pを所定の位置で一旦停止させるためのもので、例えばソレノイド等のアクチュエータ駆動に応じて、第1搬送経路15内に突出する姿勢と、第1搬送経路15から退避する姿勢とに変姿動作するように構成されている。第1送りローラ対18および第2送りローラ対22は、それぞれ第1搬送経路15を挟んで対向する一対のローラ部材で構成され、何れか一方のローラ駆動によって小切手Pを正逆両方向に搬送する。さらに、何れかのローラ部材は、他方のローラ部材に対して進退自在に構成されると共に、例えばソレノイド等のアクチュエータ駆動に応じた進退動作によって第1搬送経路15を開閉する。
【0072】
MICRヘッド17は、小切手Pの表面に記録された磁気インク文字を読み取るためのもので、MICRヘッド17の読み取りデータに基づいて磁気インク文字で記載された情報を読み取り小切手Pの有効・無効が判断される。磁気インク文字は、小切手Pの表面におけるMICR記録領域3(図1参照)に記録されており、記録データには、小切手Pの口座番号等が含まれている。尚、MICRヘッド17の対向位置には、読み取り動作時に小切手PをMICRヘッド17に押し付ける押圧部材17aが設けられ、読み取り動作時には押圧部材17aがMICRヘッド17に押し付けられ、常時は押圧部材17aがMICRヘッド17から退避し、第1搬送経路15が開かれる。なお、押圧部材17aはMICRヘッド17対して進退自在に構成されており、例えばソレノイド等のアクチュエータによって駆動されて第1搬送経路15を開閉させる。
【0073】
表印刷ヘッド23は、小切手Pの表面に、支払い先、日付、金額等の表書き事項を印刷するための印刷ヘッドで、この表書き事項は、前記したように表書き領域1(図1参照)に印刷される。表印刷ヘッド23は、キャリッジに支承されたシリアル式の印刷ヘッドであり、小切手Pの幅方向に移動しながら、1又は複数列ずつのドットマトリックス印刷を実現する。表印刷ヘッド23として、不図示のインクリボン上のインクを小切手Pに転写するドットインパクト方式の印刷ヘッドを採用しているが、インクジェット方式など他の方式の印刷ヘッドを採用しても良い。
【0074】
裏印刷ヘッド21は、小切手Pの裏面に買い物客の認証番号、日付、使用金額等の店側として必要な裏書き事項を印刷するための印刷ヘッドで、この裏書き事項は、前記したように、裏書き領域4(図1参照)に印刷される。裏印刷ヘッド21は、狭いスペースに配置できるシャトル式のものであって、小切手Pの幅方向に所定間隔を存して複数のヘッドを備え、該間隔幅内でのヘッド移動によって1又は複数列のドットマトリックス印刷を実現する。裏印刷ヘッド21として、不図示のインクリボン上のインクを小切手Pに転写するドットインパクト方式の印刷ヘッドを採用している。これも他の方式の印刷ヘッドを採用しても良い。
【0075】
表スキャナ25は、印刷された小切手Pの表面をスキャンして画像データを取得する。表面をスキャンして得られた画像データは、圧縮処理された後、複合処理装置10に接続されたホストコンピュータ70(図10参照)に送信して保存され、電子決済に使用される。表スキャナ25として、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を採用しており、その表読取面25aに小切手Pを密着させた状態でスキャン動作が行われる。表スキャナ送りローラ26は、スキャン動作時に小切手Pを搬送する。スキャン動作時には、表スキャナ25の表読取面25aに小切手Pを押し付けつつ、該小切手Pを分岐点11側に搬送する。
【0076】
次に、表スキャナ送りローラ26の退避機構について説明する。図4は、ローラ退避機構を示す側面図、図5は、ローラ退避機構を示す平面図である。図5に示したように、表スキャナ送りローラ26は、ローラ支軸30に所定間隔を存して一対設けられている。ローラ支軸30は、その両端部がガイド溝31に沿って前後移動自在にガイドされ、且つ、中間部がローラ退避機構32によって支持される。ローラ退避機構32は、スキャナ送りローラソレノイド33の駆動に応じてローラ支軸30を後方に引くように構成されており、それに伴って表スキャナ送りローラ26が表スキャナ25から退避し、第1搬送経路15が開かれる。つまり、非スキャン動作時においては、表スキャナ送りローラ26が退避位置にあり、表スキャナ送りローラ26に対する小切手Pの引っ掛かりが回避される。また、スキャン動作時においては、第1送りローラ対18および第2送りローラ対22によって小切手Pがスキャン開始位置まで搬送された後、表スキャナ送りローラ26の退避を解除して小切手Pを表スキャナ25に押し付け、この状態で表スキャナ送りローラ26を駆動させて小切手Pの搬送を行う。
【0077】
図4に示したように、ローラ退避機構32は、ローラ支軸30を、回転自在に支持し、且つ、表スキャナ25に対して進退移動させる押えレバー(回動部材)34と、該押えレバー34を表スキャナ25側に付勢する押えバネ35と、該押えバネ35の付勢力に抗して押えレバー34を退避動作させるスキャナ送りローラソレノイド33とを備えて構成される。押えレバー34は、回動支軸34aを支点として前後回動自在な回動部材であって、該回動部材で表スキャナ送りローラ26のローラ支軸30を進退自在に支持することにより、ローラ退避機構32をコンパクトに構成できると共に、進退動作を円滑にすることが可能になる。また、押えレバー34は、左右一対の表スキャナ送りローラ26間でローラ支軸30を回転自在に支持している。そのため、一対の表スキャナ送りローラ26を単一の押えバネ35で略均等に付勢でき、しかも、退避動作時においては、一対の表スキャナ送りローラ26が略平行状態を保ち、第1搬送経路15を確実に開くことになる。
【0078】
さらに、ローラ退避機構32には、表スキャナ送りローラ26を駆動させる駆動系が設けられている。表スキャナ送りローラ26の駆動系は、一対の表スキャナ送りローラ26間でローラ支軸30に一体的に設けられる第1ギヤ36と、押えレバー34に設けられ、第1ギヤ36に常時噛合する第2ギヤ37と、該第2ギヤ37に表面スキャナ送りモータ38の駆動力を伝動する伝動機構39とを備える。これにより、ローラ支軸30の支持部にローラ駆動力の伝動経路が構成され、表スキャナ送りローラ26に対する動力伝動を確実に行うことができ、しかも、押えバネ35によるローラ支軸30の押圧位置と、ローラ支軸30に対する動力伝動位置とを近付けることにより、押圧バランスを崩すことなく表スキャナ送りローラ26を回転させることが可能になる。
【0079】
次に、裏スキャナユニット50の構成について説明する。裏スキャナユニット50は、裏スキャナ送りローラ28と経路切換えガイド29とを含む送りローラユニット40及び裏スキャナ27を含むスキャナ本体ユニット51とを有している。裏スキャナ27は、印刷された小切手Pの裏面をスキャンして画像データを取得する。裏面をスキャンして得られた画像データは、圧縮処理された後、ホストコンピュータ70(図10参照)に保存され、電子決済に使用される。裏スキャナ27として、密着型イメージセンサを採用しており、その裏読取面27aに小切手Pを密着させた状態でスキャン動作が行われる。
【0080】
図6(a)は、裏スキャナユニットの斜視図であり、図6(b)は、送りローラユニットが裏スキャナから離れた状態の裏スキャナユニットを示す斜視図である。図7は、送りローラユニットが裏スキャナから離れた状態を示す模式断面図である。
【0081】
図6(a),(b)に示したように、送りローラユニット40は、裏読取面27aに対向する裏スキャナ送りローラ28と、裏ローラ軸41と、第1ユニットフレーム42aと、第2ユニットフレーム42bと、ローラギア43と、経路切換えガイド29と、ガイド軸44と、ガイドギア46と、ローラユニットカバー6aとで構成されている。裏スキャナ送りローラ28は、裏ローラ軸41に同軸となるように固定されており、裏ローラ軸41は、その両端部がそれぞれ、第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとに、回動自在かつ軸方向に抜止め状態に軸支されている。裏ローラ軸41の第1ユニットフレーム42a側の端部は、第1ユニットフレーム42aを貫通しており、裏スキャナ送りローラ28が固定された側と反対側に突出した部分にはローラギア43が固定されている。
【0082】
経路切換えガイド29の一端近くに形成された穴には、ガイド軸44が貫通しており、経路切換えガイド29は、ガイド軸44に連れ回り可能に軸支されている。ガイド軸44は、その両端部がそれぞれ、第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとに回動自在かつ軸方向に抜止め状態に軸支されている。ガイド軸44の第1ユニットフレーム42a側の端部は、第1ユニットフレーム42aを貫通しており、経路切換えガイド29が軸支された側と反対側に突出した部分にはガイドギア46が固定されている。ローラギア43とガイドギア46とは互いに噛合っており、回転が伝達可能である。ローラユニットカバー6aは、両端がそれぞれ第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとに固定されている。
【0083】
スキャナ本体ユニット51は、裏スキャナ27と、スキャナユニット基体52と、裏スキャナばね53(図7参照)と、裏スキャナ送りモータ54と、伝達ギア56とを有している。裏スキャナ27は、スキャナユニット基体52に、裏読取面27aの面に垂直な方向に摺動自在にかつ抜止め状態に支持され、裏スキャナばね53によって裏スキャナ送りローラ28の方に付勢されている。裏スキャナ送りモータ54は、スキャナユニット基体52に固定されており、裏スキャナ送りモータ54の出力軸(図示省略)には、出力ギア(図示省略)が固定されている。スキャナユニット基体52にはまた、伝達ギア56が回動自在に軸支されており、伝達ギア56の伝達大ギア56aと出力ギアとが噛合っている。裏スキャナばね53が、付勢手段に相当する。
【0084】
送りローラユニット40が裏スキャナ27に対して離接可能となるように、第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとの一端は、スキャナユニット基体52に、軸支部を中心に揺動自在に軸支されている。裏スキャナ27が稼動可能な状態では、送りローラユニット40が裏スキャナ27に対して図6(a)に示したような位置にあり、伝達ギア56の伝達小ギア56bとガイドギア46とが噛合っている。裏スキャナ送りモータ54の回転が、出力ギアと伝達ギア56とガイドギア46とを介して、ローラギア43に伝達され、ローラギア43と同軸に裏ローラ軸41に固定された裏スキャナ送りローラ28を回転させることができる。
【0085】
第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとの一端は、スキャナユニット基体52に、軸支部を中心に揺動自在に軸支されており、図6(a)に示したような位置関係から、手作業で、図6(b)に示したような位置関係にすることができる。図7の断面図に示すように、第1排出口8と第2排出口9と、及び第2搬送経路12と第3搬送経路14との間にあったローラユニット40が開放されている。裏スキャナ27の裏読取面27aは、複合処理装置10の外部に連通する空間に面するようになり、裏読取面27aのクリーニングなどのメンテナンスができる。また、いわゆる紙ジャムなどで第2搬送経路12や第3搬送経路14に詰まった小切手Pを取り除くこともできる。
【0086】
送りローラユニット40を裏スキャナ27に対して適切な位置に保持するために、例えば第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bの両方、あるいはいずれか一方にコイルバネや板バネからなる付勢手段を設け、ローラユニット40を裏スキャナ27の裏読取面27aに押さえつけるように構成する。さらに、第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bの両方、あるいはいずれか一方に二安定点を設け、ローラユニット40が図6(a)の位置と図6(b)の位置に安定的に固定されるように構成してもよい。これらにより、通常の裏スキャナ27での小切手Pの読み取り時は、図6(a)に示すようにローラユニット40を裏スキャナ27の裏読取面27aに固定された位置に安定的に押さえつけるようにすることができる。またローラユニット40を持ち上げると、図6(b)に示すような位置にローラユニット40を安定的に維持することができ、メンテナンスなどを行い易くすることができる。
【0087】
次に、裏スキャナ送りローラ28と裏スキャナ27の配置について説明する。図8は、裏スキャナ送りローラと裏スキャナ周辺の模式断面図である。
【0088】
裏スキャナ送りローラ28は、スキャン動作時に小切手Pを搬送するためのもので、上記したように、裏スキャナ27が裏スキャナ送りローラ28側に付勢されている力によって、裏スキャナ27の裏読取面27aに小切手Pを押し付けつつ、該小切手Pを分岐点11側から第2排出口9側に搬送する。このとき、裏スキャナ送りローラ28は、図8に示されるように、裏スキャナ27の焦点位置Aに小切手Pを押し付けることなく、スキャナ焦点位置Aから僅かにずれた位置に小切手Pを押し付ける。つまり、スキャナ焦点位置Aは、裏スキャナ送りローラ28のスキャナ接点位置Bに対して搬送上流側もしくは搬送下流側にオフセットされており、例えば、裏スキャナ送りローラ28のスキャナ接点位置Bは、スキャナ焦点位置Aから搬送下流側(第2排出口9側)に0.8mmオフセットした位置に設定している。
【0089】
これにより、スキャナ焦点位置Aに裏スキャナ送りローラ28との押圧力が直接作用することが回避される。従って、裏印刷ヘッド21による印刷直後における小切手Pのスキャンに際し、スキャナ焦点位置Aへのインク付着量を減らすことができ、インクの付着によるスキャン画像の品質低下を可及的に防止することが可能になる。また、上記したように、裏スキャナ27のスキャナ焦点位置Aに対し、裏スキャナ送りローラ28のスキャナ接点位置Bを搬送下流側にオフセットしている。スキャナ接点位置Bでは、小切手Pが裏読取面27aに密着させられるため、第2排出口9から入射する外部光が、小切手Pと裏読取面27aとの隙間を通過して、直接スキャナ焦点位置Aに当ることを抑制することが可能になる。
【0090】
尚、スキャナ焦点位置Aを、表スキャナ送りローラ26のスキャナ接点位置Bに対して大きくオフセットした場合、スキャナ焦点位置Aにおいて小切手Pが裏読取面27aから浮く可能性があるが、上記のように、オフセット量は0.8mm程度であるため、裏読取面27aに対する小切手Pの浮きは0.2mm以下に抑えられ、スキャン画像の品質低下を招く可能性は極めて小さい。
【0091】
上記のスキャン動作においては、裏スキャナ送りローラ28が小切手Pを上方に搬送し、小切手Pをそのまま第2排出口9から排出する。このとき、排出された小切手Pの終端部は、裏スキャナ送りローラ28の下流側の第3搬送経路14で保持される。つまり、第3搬送経路14の終端部(裏スキャナ送りローラ28と第2排出口9との間)は、L/6(L:小切手Pの長さ)程度の長さが確保されるため、排出した小切手Pを保持することが可能になり、排出後の小切手Pが複合処理装置10から落下することはない。なお、第2排出口9近傍に、光センサまたはレバー付きのメカニカルスイッチなどの小切手Pの排出を検出するセンサを設けて小切手Pの位置を検出することで、小切手Pを落下しない程度の保持可能な位置または完全に排出した位置など、オペレータが取り扱い易い位置まで排出することも可能である。
【0092】
次に、第2搬送経路12と第3搬送経路14との切り替えについて説明する。図9(a)は、第3搬送経路が第1搬送経路に連通した状態の模式断面図であり、図9(b)は、第2搬送経路が第1搬送経路に連通した状態の模式断面図である。
【0093】
裏スキャナ27がスキャンを実行する場合は、裏スキャナ送りローラ28が小切手Pを第2排出口9側に搬送するため、図9(a)に示した矢印ccaの方向に回転させられる。裏スキャナ送りローラ28を回転させる力を伝達しているガイドギア46は、矢印caaの方向に回転しており、ガイドギア46が固定されているガイド軸44もまた、矢印caaの方向に回転している。前記したように、経路切換えガイド29の一端近くに形成された穴には、ガイド軸44が貫通しており、経路切換えガイド29は、ガイド軸44に連れ回り可能に軸支されていることから、経路切換えガイド29の第1搬送経路15側が、矢印caの方向に揺動される。矢印caの方向に揺動された経路切換えガイド29は、第2搬送経路と第1搬送経路を遮断するように位置する。
【0094】
第1搬送経路を排出口側に搬送されてきた小切手Pは、図9(a)に二点鎖線で示したように、経路切換えガイド29に当接して、第3搬送経路14の方に導かれる。第3搬送経路14に導かれた小切手Pは、スキャナ送りローラ28で搬送され、裏スキャナ27による小切手Pの裏面のスキャンが実行され、第2排出口9から排出される。なお、経路切換えガイド29とガイド軸44との間の拘束力は、経路切換えガイド29を連れ回り可能な程度の拘束力であって、経路切換えガイド29が停止した状態でガイド軸44が回転していても、両者の間の拘束力が大きな負荷となることはない。なお、クラッチ機構を設け、経路切換えガイド29に伝える力を断続できるようにすることで、経路切換えガイド29が停止した状態でも、ガイド軸44が回転できるようにすることも可能である。
【0095】
裏スキャナ27がスキャンを実行しない場合など、小切手Pを第1排出口8側に搬送する場合には、裏スキャナ送りローラ28が図9(b)に示した矢印cbの方向に回転させられるように、裏スキャナ送りモータ54を回転させる。このとき、ガイド軸44は、矢印cabの方向に回転しており、経路切換えガイド29は、その第1搬送経路15側が、矢印ccbの方向に揺動される。矢印ccbの方向に揺動された経路切換えガイド29は、第3搬送経路と第1搬送経路を遮断するように位置する。経路切換えガイド29の揺動が終了したところで、裏スキャナ送りモータ54を停止させる。裏スキャナ送りモータ54が停止しても、経路切換えガイド29は、経路切換えガイド29を連れ回り可能な拘束力でガイド軸44に拘束されており、第3搬送経路と第1搬送経路を遮断する位置に保持される。第1搬送経路を排出口側に搬送されてきた小切手Pは、そのまま直進して、第2搬送経路12の方に導かれ、第1排出口8から排出される。なお、第1排出口8近傍に、光センサまたはレバー付きのメカニカルスイッチなどの小切手Pの排出を検出するセンサを設けて小切手Pの位置を検出することで、小切手Pを落下しない程度の保持可能な位置または完全に排出した位置など、オペレータが取り扱い易い位置まで排出することも可能である。
【0096】
次に、複合処理装置10を駆動するための電気的構成について説明する。図10は、複合処理装置10のハードウェアの電気的構成を示す電気構成ブロック図である。制御部61は、複合処理装置10の各部材の動作を統括管理するものである。制御部61は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)62や、ホストコンピュータ70から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)63aや各種演算処理を行うためのルーチン等を記録したROM(Read Only Memory)63bを有している。これらはそれぞれバス64を介して互いに電気的に接続されている。なお、ROM63bは、可変データを不揮発に記憶することができるメモリ、例えばフラッシュROMなどでもよい。
【0097】
制御部61には、バス64を介して、用紙後端検出器16、用紙先端検出器19、用紙排出検出器24の各検出器が接続されている。前記した、MICRヘッド17、裏印刷ヘッド21、表印刷ヘッド23、表スキャナ25、表スキャナ送りローラソレノイド33、表スキャナ送りモータ38、裏スキャナ27、裏スキャナ送りモータ54の各装置が、それぞれコントローラを含むドライバを介して、制御部61に接続されている。第1送りローラ対18および第2送りローラ対22を搬送動作させる紙搬送モータ66、第1送りローラ対18を開閉動作させる第1送りローラ対開閉アクチュエータ67、第2送りローラ対22を開閉動作させる第2送りローラ対開閉アクチュエータ68、用紙位置決め部材20を開閉動作させる用紙位置決め部材開閉アクチュエータ69も、それぞれコントローラを含むドライバを介して、制御部61に接続されている。
【0098】
ROM63bに記憶している制御プログラムに基いてCPU62が各部の動作を制御する。各機構にはそれぞれに必要なロジック回路を含んでいる。複合処理装置10は、外部インタフェース71を介して、例えばPOS端末機のホストコンピュータ等のホストコンピュータ70に接続されており、ホストコンピュータ70の制御の下、各処理のための動作を実行する。
【0099】
次に、上記した複合処理装置10を用いて、小切手Pの磁気インク文字の読み取り(MICR読み取り)及び小切手Pの有効性の確認、表書き及び裏書、表面のスキャン及び裏面のスキャン、を実行する過程を説明する。
【0100】
図11及び図12は、複合処理装置において、一連の処理を実行する過程のフローチャートであり、図13は、処理過程における小切手の移動方向及び位置を示す説明図である。丸で囲まれている数字は、各構成要素に付した符号であり、記載した位置が、構成要素の概ねの位置関係を示している。図14は、小切手挿入時を示す複合処理装置の内部概略側面図であり、図15は、MICR読み取り動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図であり、図16は、印刷動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図である。図17は、裏面スキャンを実行しない場合のスキャン動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図であり、図18は、裏面スキャンを実行する場合のスキャン動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図である。
【0101】
図11において、ステップS1では、小切手Pの挿入待ちを行い、小切手Pが挿入されたか否かを判定する。このとき第1送りローラ対18および第2送りローラ対22は開状態を維持し、用紙位置決め部材20および表スキャナ送りローラ26は閉状態を維持する。小切手Pが挿入されない場合(ステップS1でNO)は、小切手Pの挿入待ちの状態を維持する。挿入口7から小切手Pが挿入されると、用紙後端検出器16および用紙先端検出器19の検出信号に基づいて小切手Pが挿入されたと判断する(図13(1)及び図14参照)。小切手Pの挿入は、操作者が手作業で行い、操作者は、小切手Pの先端が閉状態の用紙位置決め部材20に当接したことでそれ以上小切手Pが入っていかないため、挿入が完了したと判断する。複合処理装置10の制御部61は、用紙位置決め部材20の挿入口7側直近に配置されている用紙先端検出器19の検出信号に基づいて小切手Pが挿入されたと判断する。小切手Pが挿入された場合(ステップS1でYES)は、ステップS2に進む。
【0102】
ステップS2では、第1送りローラ対18を閉状態にして、第1送りローラ対18で小切手Pを挟持することで、第1送りローラ対18によって小切手Pに搬送力を加えて搬送できるようにする。
【0103】
次のステップS3では、表スキャナ送りローラ26を開状態にする。なお、表スキャナ送りローラ26の開閉状態を検出する光センサまたはレバー付きのメカニカルスイッチなどのセンサを設けて、閉状態を検出したときのみ、開動作を実行してもよい。
【0104】
次の、ステップS4では、裏スキャナ送りローラ28が小切手Pを挿入口7側に搬送する方向に回転させるように、裏スキャナ送りモータ54を駆動させることで、経路切換えガイド29を揺動させて、経路切換えガイド29で、第3搬送経路14と第1搬送経路15とを遮断し、第2搬送経路12が第1搬送経路15に連通するようにする。なお、第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bのいずれか一方に、光センサまたはレバー付きのメカニカルスイッチなどの経路切換えガイド29の位置を検出するセンサを設けて、第3搬送経路と第1搬送経路の遮断を判断して開状態を検出したときのみ、閉動作を実行してもよい。次のステップS5では、用紙位置決め部材20を開状態にし第1搬送経路15を確保する。これによって、スキャナ送りローラ26及び用紙位置決め部材20が、第1送りローラ対18によって搬送される小切手Pの障害にならないようにする。
【0105】
ステップS6では、紙搬送モータ66の駆動を開始して、小切手Pの排出口方向への搬送を開始する。
【0106】
ステップS7では、MICRヘッド17による磁気インク文字の読み取り(図13(2)、(3)及び図15参照)を実行する。MICR読み取り終了後は、ステップS8で、紙搬送モータ66の駆動を停止すると共に、ステップS9で、第2送りローラ対22を閉状態とする。
【0107】
ステップS10では、小切手Pが有効な小切手であるか否かを判定する。MICRヘッド17による読み取りデータは、ホストコンピュータ70に送信され、ホストコンピュータ70から銀行や信用調査機関に照会し、小切手Pの有効又は無効を確認する。ホストコンピュータ70から判定結果を受信して、受信した判定結果が有効である場合(ステップS10でYES)は、ステップS21に進む。受信した判定結果が有効でない場合(ステップS10でNO)は、ステップS11に進む。
【0108】
ステップS11では、小切手Pを第1排出口8方向へ搬送する無効小切手排出処理を実行して、ステップS31に進む。
【0109】
ステップS10の次に、ステップS21では、紙搬送モータ66を駆動して、小切手Pを排出口方向へ搬送する。次に、ステップS22では、裏印刷位置設定を行う(図13(4)、(5)、及び図16参照)。裏印刷位置設定は、例えば、用紙先端検出器19による検出位置を基準とし、該基準位置から裏印刷開始位置まで小切手Pを搬送するのに必要な搬送ステップ数だけ、紙搬送モータ66を駆動することで、実行される。裏印刷位置設定が終了すると、小切手Pは図13(5)に示すようにその挿入口7側の端が、裏印刷ヘッド21の僅かに挿入口7側に位置する。
【0110】
次に、ステップS23では、紙搬送モータ66の駆動を開始して、小切手Pの挿入口7方向への搬送を開始する。
【0111】
ステップS24では、裏印刷ヘッド21による裏印刷処理を実行する(図13(6)、(7)参照)。
【0112】
次に、ステップS25では、表印刷位置設定を実行する(図13(8)、(9)参照)。表印刷位置設定は、所定の検出器16、19、24による検出位置を基準とし、該基準位置から表印刷開始位置まで小切手Pを搬送するのに必要な搬送ステップ数だけ、紙搬送モータ66を駆動することで、実行される。表印刷位置設定が終了すると、小切手Pは図13(9)に示すようにその第1排出口8側の端が、表印刷ヘッド23の僅かに第1排出口8側に位置する。
【0113】
次に、ステップS26では、紙搬送モータ66の駆動を開始して、小切手Pの第1排出口8方向への搬送を開始する。
【0114】
ステップS27では、表印刷ヘッド23による表印刷処理を実行する(図13(10)、(11)参照)。
【0115】
ステップS27の次に、ステップS28では、スキャンを実行するか否かを判定する。スキャンを実行するか否かは、例えば操作者が、ホストコンピュータ70の操作画面で選択し、ホストコンピュータ70から複合処理装置10にコマンドが送られて指示される。或いは、ホストコンピュータ70のアプリケーションソフトにおいて、処理する内容や小切手Pの種類などに対応して予めプログラムされており、それに従ってコマンドがホストコンピュータ70から複合処理装置10に送られて指示される方法でもよい。スキャンを実行する場合(ステップS28でYES)は、ステップS41に進む。スキャンを実行しない場合(ステップS28でNO)は、ステップS29に進む。
【0116】
ステップS29に進むのは、スキャンを実行しない場合であって既にMICR読み取りと裏印刷と表印刷とが終了しており、実行すべき処理が完了した場合である。ステップS29では、小切手Pを第1排出口8方向へ搬送する小切手排出処理を実行して、ステップS31に進む。
【0117】
ステップS11又はステップS29の次に、ステップS31では、小切手Pの排出が完了したか否かを判定する。例えば、小切手Pの第1排出口8側の端が、用紙排出検出器24で検出されてから、小切手Pの挿入口7側の端が第2送りローラ対22に到達するのに必要なステップ数だけ、紙搬送モータ66を駆動させたか否かで判定する。小切手Pの排出が完了していない場合(ステップS31でNO)は、ステップS11又はステップS29で実行している小切手Pを第1排出口8方向へ搬送する作業を継続する。小切手Pの排出が完了した場合(ステップS31でYES)は、ステップS32に進む。
【0118】
ステップS32では、紙搬送モータ66の駆動を停止する。次の、ステップS33では、用紙位置決め部材20を閉状態にし、次の小切手Pが挿入されてもよい状態にする。
【0119】
次の、ステップS34では、排出処理が為されて、閉じた状態の第2送りローラ対22の上に乗った状態で、その先端が第1排出口8から出ている小切手Pが手作業で除去されたか否かを判定する。除去されたか否かは、例えば、用紙排出検出器24で小切手Pが検出されているか否かで判定する。小切手Pが除去されていない場合(ステップS34でNO)は、同じ状態を維持する。小切手Pが除去された場合(ステップS34でYES)は、ステップS35に進む。
【0120】
ステップS35では、小切手Pに搬送力を加えて搬送できるようにするために閉状態になっていた、第1送りローラ対18及び第2送りローラ対22を開状態にし、第1搬送経路15を確保する。
【0121】
上記のように小切手Pが不良だった場合、又はスキャンを実行しない場合の、小切手Pの処理を終了する。
【0122】
スキャンを実行する場合は、図11のステップS28の次に、図12のステップS41では、紙搬送モータ66を駆動して、小切手Pを挿入口7方向へ搬送する。次に、ステップS42では、スキャン開始位置設定を行う(図13(12)、(13)参照)。スキャン開始位置設定は、所定の検出器16、19、24による検出位置を基準とし、該基準位置からスキャン開始位置まで小切手Pを搬送するのに必要な搬送ステップ数だけ、紙搬送モータ66を駆動することで、実行される。スキャン開始位置設定が終了すると、小切手Pは図13の(13)に示すようにその第1排出口8側の端が、表スキャナ送りローラ26が表スキャナ25に当接する位置の僅かに第1排出口8側に位置する。
【0123】
次の、ステップS43では、表スキャナ送りローラ26を閉状態にする。ステップS42でスキャン開始位置設定されている小切手Pの第1排出口8側の端が、表スキャナ送りローラ26と表スキャナ25の表読取面25aとの間に挟持され、表スキャナ送りローラ26で搬送力を伝達して、小切手Pを搬送することが可能な状態となる。
【0124】
次の、ステップS44では、第1送りローラ対18および第2送りローラ対22を開状態とする。
【0125】
次の、ステップS45では、表面のスキャンを実行するか否かを判定する。表スキャンを実行するか否かは、例えば操作者が、ホストコンピュータ70の操作画面で選択し、ホストコンピュータ70から複合処理装置10にコマンドが送られて指示される。或いは、ホストコンピュータ70のアプリケーションソフトにおいて、処理する内容や小切手Pの種類などに対応して予めプログラムされており、それに従ってコマンドがホストコンピュータ70から複合処理装置10に送られて指示される方法でもよい。表スキャンを実行する場合(ステップS45でYES)は、ステップS46に進む。表スキャンを実行しない場合(ステップS45でNO)は、ステップS57に進む。
【0126】
ステップS45の次に、ステップS46では、裏面のスキャンを実行するか否かを判定する。裏面のスキャンを実行するか否かは、例えば操作者が、ホストコンピュータ70の操作画面で選択し、ホストコンピュータ70から複合処理装置10にコマンドが送られて指示される。或いは、ホストコンピュータ70のアプリケーションソフトにおいて、処理する内容や小切手Pの種類などに対応して予めプログラムされており、それに従って、コマンドがホストコンピュータ70から複合処理装置10に送られて指示される方法でもよい。裏面のスキャンを実行する場合(ステップS46でYES)は、ステップS51に進む。裏面のスキャンを実行しない場合(ステップS46でNO)は、ステップS55に進む。
【0127】
ステップS46の次に、ステップS51では、裏スキャナ送りローラ28が小切手Pを第2排出口9の方に搬送する方向に回転するように、裏スキャナ送りモータ54を駆動させる。このように裏スキャナ送りモータ54を駆動させることで、図9(a)を用いて説明したように、経路切換えガイド29の第1搬送経路15側が揺動され、第2搬送経路と第1搬送経路を遮断するように位置する。ステップS51に進むのは、表面と裏面との両面のスキャンを実行する場合である。なお、ステップS51を実行する時点では、小切手Pは裏スキャナ送りローラ28の位置まで到達しておらず、裏スキャナ送りローラ28によって、小切手Pに搬送する力が加えられることはない。また、揺動される経路切換えガイド29が小切手Pと干渉することで、揺動が妨げられることもない。
【0128】
次の、ステップS52では、表スキャナ送りローラ26が小切手Pを排出口側に搬送するように、表スキャナ送りモータ38の駆動を開始する。
【0129】
次の、ステップS53では、表スキャナ25によって、小切手Pの表面のスキャンを実行する。経路切換えガイド29が、第2搬送経路12と第1搬送経路15とを遮断するように位置することで、表スキャナ25で表面をスキャンされた小切手Pは、経路切換えガイド29に当接して、裏スキャナ27が配置された、第3搬送経路14に導かれる(図9(a)、図13(14)参照)。
【0130】
次の、ステップS54では、小切手Pの第2排出口9側の端が裏スキャナ送りローラ28に到達すると、裏スキャナ送りローラ28よって、小切手Pに搬送する力が加えられ、裏スキャナ27によって、小切手Pの裏面のスキャンが実行される。なお、裏スキャナ27による小切手Pの裏面のスキャンは、小切手Pの第2排出口9側の端が、裏スキャナ送りローラ28と裏読取面27aとの接点であるスキャナ接点位置B(図8参照)に到達した時点で開始され、表スキャナ25による小切手Pの表面のスキャンと一部並行して実行される(図13(16)、図18参照)。ステップS54の次に、ステップS61に進む。
【0131】
ステップS46の次に、ステップS55では、表スキャナ送りローラ26が小切手Pを排出口側に搬送するように、表スキャナ送りモータ38の駆動を開始する(図13(14)参照)。ステップS55に進むのは、表面のスキャンのみを実行する場合であり、裏面のスキャンは実行しない場合である。裏スキャナ送りモータ54は停止したままであって、経路切換えガイド29が、第3搬送経路14と第1搬送経路15とを遮断するように位置する状態が維持される(図9(b)参照)。
【0132】
次の、ステップS56では、表スキャナ25によって、小切手Pの表面のスキャンを実行する。小切手Pは分岐点11を直進して、第2搬送経路12を通って第1排出口8から排出される(図13(15)、図17参照)。ステップS56の次に、ステップS61に進む。
【0133】
ステップS45の次に、ステップS57では、裏スキャナ送りローラ28が小切手Pを第2排出口9の方に搬送する方向に回転するように、裏スキャナ送りモータ54を駆動させる。このように裏スキャナ送りモータ54を駆動させることで、図9(a)を用いて説明したように、経路切換えガイド29の第1搬送経路15側が揺動され、第2搬送経路と第1搬送経路を遮断するように位置する。なお、ステップS57を実行する時点では、小切手Pは裏スキャナ送りローラ28の位置まで到達しておらず、裏スキャナ送りローラ28によって、小切手Pに搬送する力が加えられることはない。また、揺動される経路切換えガイド29が小切手Pと干渉することで、揺動が妨げられることもない。
【0134】
次の、ステップS58では、表スキャナ送りローラ26が小切手Pを排出口側に搬送するように、表スキャナ送りモータ38の駆動を開始する(図13(14)参照)。ステップS45からステップS57に進み、そしてステップS58に進むのは、裏面のスキャンのみを実行する場合であり、表面のスキャンは実行しない場合である。表スキャナ送りローラ26による小切手Pの搬送は実行されるが、表スキャナ25による小切手Pの表面のスキャンは実行されない。第1搬送経路15を搬送されてきた小切手Pは、経路切換えガイド29が、第2搬送経路12と第1搬送経路15とを遮断するように位置していることで、裏スキャナ27が配置された、第3搬送経路14に導かれる(図9(a)、図13(14)参照)。
【0135】
次の、ステップS59では、小切手Pの第2排出口9側の端が裏スキャナ送りローラ28に到達すると、裏スキャナ送りローラ28よって、小切手Pに搬送する力が加えられ、裏スキャナ27によって、小切手Pの裏面のスキャンが実行される(図13(16)、図18参照)。ステップS59の次に、ステップS61に進む。
【0136】
ステップS54又はステップS56又はステップS59の次に、ステップS61では、小切手Pのスキャンが完了したか否かを判定する。例えば、ステップS42でスキャン開始位置設定が実行された結果小切手Pが位置したスキャン開始位置から、小切手Pの挿入口7側の端が、表スキャナ送りローラ26又は裏スキャナ送りローラ28に到達するのに必要なステップ数だけ、表スキャナ送りモータ38、又は表スキャナ送りモータ38及び裏スキャナ送りモータ54を駆動させたか否かで判定する。スキャンが完了していない場合(ステップS61でNO)は、ステップS54又はステップS56又はステップS59のスキャンを継続する。スキャンが完了した場合(ステップS61でYES)は、ステップS62に進む。
【0137】
次の、ステップS62では、その時点で駆動しているモータが表スキャナ送りモータ38であれば、表スキャナ送りモータ38を停止する。その時点で駆動しているモータが表スキャナ送りモータ38及び裏スキャナ送りモータ54であれば、表スキャナ送りモータ38及び裏スキャナ送りモータ54を停止する。
【0138】
次の、ステップS63では、用紙位置決め部材20を閉状態とし、次の小切手Pが挿入されてもよい状態にする。ステップS63を終了して、複合処理装置10を用いて、小切手Pの磁気インク文字の読み取り(MICR読み取り)及び小切手Pの有効性の確認、表書き及び裏書、表面のスキャン及び裏面のスキャン、を実行する小切手Pの処理過程を終了する。
【0139】
この実施形態の複合処理装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)複合処理装置10は、小切手Pの表面をスキャンする表スキャナ25と、裏面をスキャンする裏スキャナ27とを備えることから、表面のスキャンと、裏面のスキャンとを殆ど同時に実行することが可能となり、処理時間を短縮することができる。また、小切手Pを1回だけ複合処理装置10に挿入して処理するだけで、表裏両面をスキャンして両面の画像データを得ることができる。
【0140】
(2)裏印刷処理を実行する際に、小切手Pは、挿入口7方向に搬送され、裏印刷は挿入口7方向の端側から実行される。小切手Pは複合処理装置10に図1の矢印Aの方向に挿入され、裏書き印刷するための裏書き領域4は、小切手Pの挿入口7方向の端近くにあるため、裏印刷処理に伴う搬送距離が短くなり、処理時間を短縮することができる。
【0141】
(3)裏印刷処理を実行した後、小切手Pを挿入口7方向に搬送することで、表印刷位置設定を実行している。小切手Pを挿入口7方向に搬送した位置が表印刷開始位置になるため、裏印刷処理が終了した位置から表印刷を開始する構成に比べて、表印刷ヘッド23を裏印刷ヘッド21により近い位置に設置することが可能となり、搬送経路を短くして複合処理装置を小型化することができる。
【0142】
(4)表印刷処理を実行した後、小切手Pを挿入口7方向に搬送することで、スキャン表開始位置設定を実行する。小切手Pを挿入口7方向に搬送した位置がスキャン開始位置になるため、表印刷処理が終了した位置からスキャンを開始する構成に比べて、表スキャナ25を表印刷ヘッド23により近い位置に設置することが可能となり、搬送経路を短くして複合処理装置を小型化することができる。
【0143】
(5)複合処理装置10は、小切手Pの表面に印刷する表印刷ヘッド23と、裏面に印刷する裏印刷ヘッド21とを備えることから、複合処理装置10で、小切手Pを1回処理するだけで、表面と裏面との表裏両面に印刷することができる。
【0144】
(6)第3搬送経路14に臨んで、裏スキャナ27が配置され、第2搬送経路12と第3搬送経路14との分岐点11には、第2搬送経路12又は第3搬送経路14を選択的に第1搬送経路15に連通させる経路切換えガイド29が、設けられている。裏スキャナ27によるスキャンを実行しない場合は、第2搬送経路12を第1搬送経路15に連通させることで、小切手Pは、裏スキャナ27が設けられた第3搬送経路14を通らないで搬送される。このことから、裏スキャナ27によるスキャンを実行しない場合に、小切手Pが搬送できるように、裏スキャナ送りローラ28を裏スキャナ27の裏読取面27aから退避させる退避機構が不要であり、複合処理装置を小型化することができる。
【0145】
(7)第2搬送経路12又は第3搬送経路14を通過した小切手Pは、それぞれ異なる第1排出口8又は第2排出口9から排出される。第2搬送経路12と第3搬送経路14とを排出口側で合流させるスペースが不要であり、第2搬送経路12と第3搬送経路14とを合流させる構成に比べて、複合処理装置を小型化することができる。また、排出される排出口に拠って、排出された小切手Pの裏面のスキャンが実行されたか否かを確認することができる。
【0146】
(8)経路切換えガイド29は、裏スキャナ送りモータ54の回転を裏スキャナ送りローラ28に伝えるガイドギア46の回転によって、揺動する。経路切換えガイド29を揺動させるための動力源を新に設けることが不要であり、構成を簡単にすることができると共に、複合処理装置を小型化することができる。また、裏スキャナ27の稼動に連動して、経路切換えガイド29を揺動させることが可能となり、裏スキャナ27の稼動に確実に連動して、第2搬送経路12又は第3搬送経路14を第1搬送経路15に連通させることができる。
【0147】
(9)裏スキャナ送りローラ28と裏読取面27aとの間に小切手Pを挟持する力は、裏スキャナばね53によって裏スキャナ27を裏スキャナ送りローラ28の側に付勢することで発生させている。この構成により、裏スキャナ送りローラ28を付勢する構成が不要となり、裏スキャナ送りローラ28を含むローラユニット40の構成が簡単になり、複合処理装置を小型化することができる。また、送りローラユニット40を、裏スキャナ27に対して離接可能な構成にすることが容易になる。
【0148】
(10)第1ユニットフレーム42aと第2ユニットフレーム42bとの一端は、スキャナユニット基体52に、軸支部を中心に揺動自在に軸支されており、送りローラユニット40が裏スキャナ27に対して離接可能となっている。この構成により、送りローラユニット40を裏スキャナ27から容易に離反させて、裏読取面27aのクリーニングをすることができる。また、所謂紙ジャムが生じて、小切手Pが、第2搬送経路12又は第3搬送経路14に詰まった場合には、容易に複合処理装置10の外部から第2搬送経路12又は第3搬送経路14にある小切手Pを取り除くことができる。
【0149】
本発明の実施形態は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0150】
(変形例1)前記実施形態においては、複合処理装置10を制御するホストコンピュータは、POS端末装置などのホストコンピュータであったが、複合処理装置10を制御する専用のホストコンピュータを設けてもよい。また、ホストコンピュータの機能を有する制御装置を複合処理装置10に備える構成であってもよい。
【0151】
(変形例2)前記実施形態においては、印刷ヘッドは、例えばインクリボン上のインクを小切手Pに転写するドットインパクト方式の印刷ヘッドを採用しているが、印刷ヘッドは、ドットインパクト方式に限らない。例えばインクジェットのような他の方式の印刷ヘッドを採用することもできる。
【0152】
(変形例3)前記実施形態においては、取得した各データをホストコンピュータに記憶していたが、複合処理装置に記憶部を設け、記憶する構成であってもよい。
【0153】
(変形例4)前記実施形態においては、複合処理装置10は、小切手Pに印刷を実行するための裏印刷ヘッド21及び表印刷ヘッド23を備えていたが、印刷ヘッドを備えることは必須ではない。表書き及び裏書は手作業で実施してもよい。また、例えば、表印刷ヘッド23のみを備える構成として、裏書は手作業で実施してもよい。
【0154】
(変形例5)前記実施形態においては、裏印刷ヘッド21の方が表印刷ヘッド23よりも挿入口7側に設けられていたが、表印刷ヘッド23を裏印刷ヘッド21よりも挿入口7側に設ける構成でもよい。その場合には、表印刷ヘッド23が第1の印刷ヘッドに相当し、裏印刷ヘッド21が第2の印刷ヘッドに相当する。
【0155】
(変形例6)前記実施形態においては、表スキャナ25を第1搬送経路15に沿って配置し、裏スキャナ27を第3搬送経路14に沿って配置したが、表面をスキャンするスキャナが第3搬送経路14に沿って配置される構成でもよい。
【0156】
(変形例7)前記実施形態においては、各機能をCPU62を用いてソフト的に実現することにしたが、上記の各機能が演算装置を用いない単独の電子回路によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いる。
【0157】
上記した実施の形態および変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(技術的思想1) 前記請求項に記載の複合処理装置であって、前記第1の印刷ヘッド又は前記第2の印刷ヘッドの一方は、前記搬送経路に対して、前記磁気ヘッドと同じ側に配置されており、前記第1の印刷ヘッド又は前記第2の印刷ヘッドの他方は、前記搬送経路に対して、前記磁気ヘッドとは反対側に配置されていることを特徴とする複合処理装置。
【0158】
この構成によれば、搬送経路を挟んだ両側に配置された第1の印刷ヘッド及び第2の印刷ヘッドによって、印刷媒体の両面に印刷することができる。
【0159】
(技術的思想2) 前記請求項に記載の複合処理装置であって、前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とは、前記分岐点において直線状の搬送経路を形成するように構成されており、前記第1搬送経路と前記第3搬送経路とは、前記分岐点において屈曲する搬送経路を形成するように構成されていることを特徴とする複合処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の被処理媒体である印刷媒体の一例としての小切手の概要を示す平面図。
【図2】本発明の複合処理装置の外観斜視図。
【図3】複合処理装置の内部構造を示す側断面図。
【図4】ローラ退避機構を示す側面図。
【図5】ローラ退避機構を示す平面図。
【図6】(a) 裏スキャナユニットの斜視図。(b) 送りローラユニットが裏スキャナから離れた状態の裏スキャナユニットを示す斜視図。
【図7】送りローラユニットが裏スキャナから離れた状態を示す模式断面図。
【図8】裏スキャナ送りローラと裏スキャナ周辺の模式断面図。
【図9】(a)第3搬送経路が第1搬送経路に連通した状態の模式断面図。(b)第2搬送経路が第1搬送経路に連通した状態の模式断面図。
【図10】複合処理装置のハードウェアの電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図11】複合処理装置において、処理を実行する過程のフローチャート。
【図12】複合処理装置において、処理を実行する過程のフローチャート。
【図13】処理過程における小切手の移動方向及び位置を示す説明図。
【図14】小切手挿入時を示す複合処理装置の内部概略側面図。
【図15】MICR読み取り動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図。
【図16】印刷動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図。
【図17】裏面スキャンを実行しない場合のスキャン動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図。
【図18】裏面スキャンを実行する場合のスキャン動作時を示す複合処理装置の内部概略側面図。
【符号の説明】
【0161】
1…表書き領域、2…署名領域、3…MICR記録領域、4…裏書き領域、5…、フロントケース、6…カバー、6a…ローラユニットカバー、7…挿入口、8…第1排出口、9…第2排出口、10…複合処理装置、11…分岐点、12…第2搬送経路、14…第3搬送経路、15…第1搬送経路、16…用紙後端検出器、17…MICRヘッド、21…裏印刷ヘッド、23…表印刷ヘッド、25…表スキャナ、25a…表読取面、26…表スキャナ送りローラ、27…裏スキャナ、27a…裏読取面、28…裏スキャナ送りローラ、35…バネ、39…伝動機構、40…ローラユニット、41…裏ローラ軸、42a…第1ユニットフレーム、42b…第2ユニットフレーム、43…ローラギア、44…ガイド軸、46…ガイドギア、50…裏スキャナユニット、51…スキャナ本体ユニット、54…裏スキャナ送りモータ、56…伝達ギア、61…制御部、66…紙搬送モータ、70…ホストコンピュータ、P…小切手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の面及び第2の面を有する印刷媒体を搬送するための搬送経路と、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体に予め記録された磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッドと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第1の面をスキャンすることで前記第1の面の画像データを取得するための第1のスキャナと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第2の面をスキャンすることで前記第2の面の画像データを取得するための第2のスキャナと、を備えることを特徴とする複合処理装置。
【請求項2】
少なくとも第1の面及び第2の面を有する印刷媒体を搬送するための搬送経路と、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体に予め記録された磁気インク文字を読み取るための磁気ヘッドと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第1の面に印刷するための第1の印刷ヘッドと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第2の面に印刷するための第2の印刷ヘッドと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第1の面をスキャンすることで前記第1の面の画像データを取得するための第1のスキャナと、
前記搬送経路に沿って配置され、前記印刷媒体の第2の面をスキャンすることで前記第2の面の画像データを取得するための第2のスキャナと、を備えることを特徴とする複合処理装置。
【請求項3】
前記第1のスキャナ又は前記第2のスキャナのいずれか一方は、前記搬送経路に対して、前記磁気ヘッドと同じ側に配置されており、
前記第1のスキャナ又は前記第2のスキャナの他方は、前記搬送経路に対して、前記磁気ヘッドと反対側に配置されており、
前記第1のスキャナと前記第2のスキャナとは、同時に稼動することが可能であり、
請求項1又は2に記載の複合処理装置に前記印刷媒体が挿入されてから取出し可能となるまでの間に、前記第1のスキャナによる前記第1の面のスキャンと、前記第2のスキャナによる前記第2の面のスキャンとを実行することを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合処理装置。
【請求項4】
前記搬送経路の一端側に形成され、前記印刷媒体を挿入するための挿入口と、
前記搬送経路の他端側に形成され、前記印刷媒体を排出するための排出口とを更に備え、
前記磁気ヘッドは、前記第1および第2のスキャナと前記挿入口との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の複合処理装置。
【請求項5】
前記磁気ヘッドで前記磁気インク文字を読み取る際は、前記挿入口から挿入された前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送し、
前記磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から前記第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで前記印刷媒体を搬送し、
前記第1および第2のスキャナで前記印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする際は、前記印刷媒体を前記開始位置から前記排出口方向に搬送することを特徴とする請求項4に記載の複合処理装置。
【請求項6】
前記磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から前記第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで前記印刷媒体を搬送する際の搬送方向は、前記挿入口方向であることを特徴とする、請求項5に記載の複合処理装置。
【請求項7】
前記搬送経路の一端側に形成され、前記印刷媒体を挿入するための挿入口と、前記搬送経路の他端側に形成され、前記印刷媒体を排出するための排出口とを更に備え、
前記磁気ヘッドは、前記第1および第2の印刷ヘッドと前記挿入口側との間に配置され、前記第1および第2のスキャナは、前記第1および第2の印刷ヘッドと前記排出口側との間に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の複合処理装置。
【請求項8】
前記磁気ヘッドで前記磁気インク文字を読み取る際は、前記挿入口から挿入された前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送し、
前記磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から前記第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで前記印刷媒体を搬送し、
前記第1の印刷ヘッドによって印刷する際は、前記印刷媒体を前記挿入口方向又は前記排出口方向に搬送し、
前記第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、前記第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、前記第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで前記印刷媒体を搬送し、
前記第2の印刷ヘッドによって印刷する際は、前記印刷媒体を前記挿入口方向又は前記排出口方向に搬送し、
前記第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、前記第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、前記第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで前記印刷媒体を搬送し、
前記第1および第2のスキャナで前記印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする際は、前記印刷媒体を、前記スキャン開始位置から前記排出口方向に搬送することを特徴とする請求項7に記載の複合処理装置。
【請求項9】
前記第1の印刷ヘッドで前記印刷媒体の第1の面に印刷を行う際の搬送方向と、
前記第2の印刷ヘッドで前記印刷媒体の第2の面に印刷を行う際の搬送方向とは、
少なくともどちらか一方の搬送方向が前記挿入口方向である、請求項8に記載の複合処理装置。
【請求項10】
前記磁気インク文字の読み取り終了後、読み取り終了位置から前記第1の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで前記印刷媒体を搬送する際の搬送方向と、
前記第1の印刷ヘッドによる印刷終了後、前記第1の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、前記第2の印刷ヘッドによる印刷開始位置まで前記印刷媒体を搬送する際の搬送方向と、
前記第2の印刷ヘッドによる印刷終了後、前記第2の印刷ヘッドによる印刷終了位置から、前記第1及び第2のスキャナによるスキャン開始位置まで前記印刷媒体を搬送する際の搬送方向とは、
少なくともいずれかひとつの搬送方向が前記挿入口方向である、請求項8又は9に記載の複合処理装置。
【請求項11】
前記搬送経路は、
前記挿入口に連なる第1搬送経路と、
前記第1搬送経路の前記挿入口と反対側の端に配置される分岐点と、
前記分岐点において前記第1搬送経路と連通可能な第2搬送経路及び第3搬送経路とを有し、
前記第1のスキャナは、前記第1搬送経路に沿って配置され、
前記第2のスキャナは、前記第3搬送経路に沿って配置され、
前記第2のスキャナによるスキャンが実行される場合には、前記印刷媒体は前記第1搬送経路及び前記第3搬送経路を通って搬送され、
前記第2のスキャナによるスキャンが実行されない場合には、前記印刷媒体は前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路を通って搬送されることを特徴とする、請求項4乃至10のいずれか1項に記載の複合処理装置。
【請求項12】
前記第2搬送経路の前記分岐点と反対側の端には、第1排出口が、
前記第3搬送経路の前記分岐点と反対側の端には、第2排出口が
それぞれ形成されていることを特徴とする、請求項11に記載の複合処理装置。
【請求項13】
前記第2のスキャナの対向位置に配置され、前記第2のスキャナとの間に前記印刷媒体を挟持して押圧力を加えることで、前記印刷媒体を搬送する押圧送りローラと、
前記第1搬送経路に連通する経路を切換える経路切換えガイドとを更に備え、
前記押圧送りローラの回転方向に従って、前記経路切換えガイドが移動することによって、前記第2搬送経路又は前記第3搬送経路が選択的に前記第1搬送経路に連通することを特徴とする、請求項11又は12に記載の複合処理装置。
【請求項14】
前記押圧送りローラが前記第2のスキャナとの間に前記印刷媒体を挟持したときに、前記押圧送りローラが前記印刷媒体に当接する位置は、前記第2のスキャナが前記印刷媒体をスキャンしている位置より前記排出口側であることを特徴とする、請求項13に記載の複合処理装置。
【請求項15】
前記第2のスキャナを前記押圧送りローラの方向に付勢する付勢手段を更に設け、前記付勢手段が前記第2のスキャナを付勢する力で、前記押圧力を発生させることを特徴とする、請求項13又は14に記載の複合処理装置。
【請求項16】
前記押圧送りローラ及び前記経路切換えガイドを含む送りローラユニットは、前記第2のスキャナのスキャンセンサ面に対して離接可能に軸支されていることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の複合処理装置。
【請求項17】
請求項4に記載の複合処理装置を制御する制御方法であって、
前記挿入口から挿入された前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送することで、前記磁気ヘッドで前記磁気インク文字を読み取る工程と、
前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送することで前記第1および第2のスキャナで前記印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程と、を有することを特徴とする複合処理装置の制御方法。
【請求項18】
前記磁気インク文字を読み取る工程が終了したときの前記印刷媒体の位置から、前記第1及び第2のスキャナによるスキャンを開始するときの前記印刷媒体の位置まで前記印刷媒体を搬送する工程をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の複合処理装置の制御方法。
【請求項19】
請求項7に記載の複合処理装置を制御する複合処理装置の制御方法であって、
前記挿入口から挿入された前記印刷媒体を、前記排出口方向に搬送することで前記磁気ヘッドで前記磁気インク文字を読み取る工程と、
前記第1の印刷ヘッドで前記印刷媒体の第1の面に印刷を行う工程と、
前記第2の印刷ヘッドで前記印刷媒体の第2の面に印刷を行う工程と、
前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送することで前記第1および第2のスキャナで前記印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程と、を有することを特徴とする複合処理装置の制御方法。
【請求項20】
前記磁気インク文字を読み取る工程が終了したときの前記印刷媒体の位置から、前記第1の印刷ヘッドによる印刷を開始するときの前記印刷媒体の位置まで前記印刷媒体を搬送する工程と、
前記第1の印刷ヘッドによる印刷が終了したときの前記印刷媒体の位置から、前記第2の印刷ヘッドによる印刷を開始するときの前記印刷媒体の位置まで前記印刷媒体を搬送する工程と、
前記第2の印刷ヘッドによる印刷が終了したときの前記印刷媒体の位置から、前記第1及び第2のスキャナによるスキャンを開始するときの前記印刷媒体の位置まで前記印刷媒体を搬送する工程と、をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の複合処理装置の制御方法。
【請求項21】
前記第1及び第2のスキャナによるスキャンの実行又は非実行を選択する工程をさらに有し、
前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送することで前記第1及び第2のスキャナで前記印刷媒体の第1及び第2の面をスキャンする工程では、前記第1及び第2のスキャナのうち、スキャンの実行が選択された前記スキャナによるスキャンを実行することを特徴とする、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の複合処理装置の制御方法。
【請求項22】
請求項11に記載の複合処理装置における複合処理装置の制御方法であって、
前記第1及び第2のスキャナによるスキャンの実行又は非実行を選択する工程において、前記第2のスキャナによるスキャンの実行が選択された場合には、
前記押圧送りローラを前記印刷媒体が前記排出口方向に搬送される方向に回転させることで、前記経路切換えガイドを移動させて、前記第2のスキャナが配置されている前記第3搬送経路を、前記第1搬送経路に連通させる工程をさらに有することを特徴とする、請求項21に記載の複合処理装置の制御方法。
【請求項23】
前記挿入口から挿入された前記印刷媒体を前記排出口方向に搬送することで、前記磁気ヘッドで前記磁気インク文字を読み取る工程において読み取られたデータから、前記印刷媒体が有効な前記印刷媒体であるか否かを判定する工程と、
前記印刷媒体が有効な前記印刷媒体であるか否かを判定する工程において、前記印刷媒体が有効な前記印刷媒体ではないと判定された場合には、以降の処理を中止すると共に、有効な前記印刷媒体ではないと判定された前記印刷媒体を排出する工程と、をさらに有することを特徴とする、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の複合処理装置の制御方法。
【請求項24】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の複合処理装置を備えたことを特徴とする、POS端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−155458(P2006−155458A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348231(P2004−348231)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】