説明

複合型電子部品

【課題】複数の電子部品とそれらの操作部とを容易に接近して設置することができる複合型電子部品を提供する。
【解決手段】取付板400の両面に、それぞれ回転式電子部品10と押圧式電子部品200とを重なるように取り付ける。取付板400の外側面400Aを覆って回転式電子部品10と押圧式電子部品200上に屈曲又は湾曲する外装ケース500を設置する。外装ケース500には、回転式電子部品10の回転つまみ50と押圧式電子部品200のキートップ270をそれぞれ露出する第1,第2露出部501,503を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電子部品を集積して設置するのに好適な複合型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つの電子部品を電子機器内で接近して設置する場合、従来は電子機器内に設置した取付板の同一面上にこれら電子部品を並列に接近させて設置し、これら電子部品上を覆う外装ケースに設けた開口から前記各電子部品を操作する操作部(例えばキートップや回転つまみ等)を露出していた。
【0003】
しかしながら前記併設しようとする複数の電子部品が異なる形状・構造・寸法の場合、これら(特にこれらの操作部同士)を接近して設置することが困難な場合があった。例えば一方の電子部品が回転つまみを操作部としてその外周面の一部を操作面とする回転式電子部品であり、他方の電子部品がキートップを操作部としてその上面を操作面とする押釦スイッチであって両者の高さ寸法が大きく異なるような場合は、両者の操作部の位置を接近して配置することは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、複数の電子部品同士及びそれらの操作部同士を容易に接近して設置することができる複合型電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の発明は、取付部材の両面に、それぞれ第1電子部品と第2電子部品とを取り付けるとともに、前記取付部材の外側面を覆って前記第1,第2電子部品上にケースを設置し、さらに前記ケースには、前記第1,第2電子部品の操作部をそれぞれ露出する第1,第2露出部を設けたことを特徴とする複合型電子部品にある。
【0006】
本願請求項2に記載の発明は、前記第1電子部品と第2電子部品は、前記取付部材の対向する両面に重なり合って取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合型電子部品にある。
【0007】
本願請求項3に記載の発明は、前記ケースは屈曲又は湾曲しており、前記第1,第2露出部はこのケースの屈曲面又は湾曲面上にそれぞれ異なる方向を向いて設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合型電子部品にある。
【0008】
本願請求項4に記載の発明は、前記取付部材も前記ケースの屈曲又は湾曲に合わせて屈曲又は湾曲していることを特徴とする請求項3に記載の複合型電子部品にある。
【0009】
本願請求項5に記載の発明は、前記取付部材は取付板であり、前記第1電子部品を取り付ける基台と、前記第2電子部品を取り付ける基台の少なくとも何れか一方から突出する突出部を、前記取付板を介してもう一方の基台に取り付けることで、第1電子部品と第2電子部品とを取付板を介して一体に固定することを特徴とする請求項2に記載の複合型電子部品にある。
【0010】
本願請求項6に記載の発明は、前記取付部材は取付板であり、前記第1電子部品はその操作部を回転つまみとする回転式電子部品であり、この回転式電子部品は回転つまみの回転軸に垂直な面が前記取付板の面に沿う方向を向き、且つ回転つまみの一部が取付板の前記外側面から外方に突出するように設置され、さらに前記回転つまみの外周面を操作面として前記ケースの第1露出部に露出させることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の複合型電子部品にある。
【0011】
本願請求項7に記載の発明は、前記取付板はその外側面が前記回転つまみの回転軸に垂直な面に近づくようにこの回転つまみの面に対して傾斜した状態で取り付けられ、且つこの傾斜面上に前記第2電子部品を取り付けたことを特徴とする請求項6に記載の複合型電子部品にある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,請求項2に記載の発明によれば、取付部材の両面(特に対向する両面)に第1電子部品と第2電子部品を設置したので、取付部材の一方の面に第1,第2電子部品を設置する場合に比べて両電子部品同士及びそれらの操作部同士を取付部材の外側面近傍において容易に接近させて配置させることができる。即ち取付部材の外側面を覆うケースに設けた第1,第2露出部を接近して設けることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、容易に第1,第2露出部を異なる方向を向くように設置できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、異なる方向を向く第1,第2露出部に合わせて容易に第1,第2電子部品を設置できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、第1電子部品と第2電子部品との取付板を介する固定が簡易な構造で容易に行える。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、たとえ第1電子部品が回転つまみを有する回転式電子部品であっても、回転つまみの回転軸に垂直な面を取付板の面に沿う方向(即ちほぼ平行)に向くようにしたので、ケース内での回転式電子部品の収納スペースを小さくでき、電子部品の集積化が図れる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、取付板の外側面を回転つまみの面に接近させるように傾斜させたので、より2つの電子部品を接近して設置でき、集積化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる複合型電子部品1−1の概略側断面図である。同図に示すようにこの複合型電子部品1−1は、取付部材(以下各実施形態では「取付板」という)400の両面に、それぞれ第1電子部品(以下各実施形態では「回転式電子部品」という)10と第2電子部品(以下各実施形態では「押圧式電子部品」という)200とを取り付けるとともに、前記取付板400の外側面400Aを覆って前記回転式電子部品10及び押圧式電子部品200上にケース(以下各実施形態では「外装ケース」という)500を設置し、さらに外装ケース500に回転式電子部品10の操作部(以下各実施形態では「回転つまみ」という)50と押圧式電子部品200の操作部(以下各実施形態では「キートップ」という)270とをそれぞれ露出する第1,第2露出部501,503を設けて構成されている。そして回転式電子部品10と押圧式電子部品200は、取付板400の対向する両面に重なり合って取り付けられている。以下各構成部品について説明する。
【0019】
図2は複合型電子部品1−1(但し外装ケース500とキートップ270を除く)の分解斜視図である。この図では押圧式電子部品200は分解(展開)されている状態を示している。同図に示すように回転式電子部品10と押圧式電子部品200からそれぞれ引き出される引出部69,216はフレキシブル回路基板140に連結されている。フレキシブル回路基板140は1枚の可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム)で構成されている。
【0020】
取付板400は金属板を矩形状に形成し、且つその所定部分(屈曲辺405)を屈曲することで2つの平面状の電子部品取付部401,403を設けている。電子部品取付部401の両面はそれぞれ下記する第1,第2電子部品10,200を取り付ける取付面となっている。一方電子部品取付部403にも前記フレキシブル回路基板140を含む各種電子部品が取り付けられる。屈曲辺405の部分にはスリット状の基板挿通部406が設けられている。また電子部品取付部401の4隅には、貫通孔又は切り欠きからなる開口部409が設けられている。また電子部品取付部401の所定位置には4つの貫通孔からなる係止部411が設けられている。
【0021】
図3,図4は回転式電子部品10をそれぞれ別の角度から見た分解斜視図である。両図に示すように回転式電子部品10は押釦スイッチ付き回転式電子部品であり、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20と基台(以下「第1ケース」という)100とを具備して構成されている。押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20は、回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60とを、下記する取付台40のスリット42を通した帯状の連結部71によって連結して構成されている。回転式電子部品部30は、取付台40の一方の面に回転つまみ50を回転自在に取り付け、回転つまみ50の取付台40側に取り付けた摺動子(図1参照)300を、取付台40の回転つまみ50に対向する面側に取り付けた摺動用基板57(図1参照)の図示しないスイッチパターンや抵抗体パターン等の摺動用パターンに摺接させて構成されている。取付台40の下部には取付台40をL字状に屈曲してなる押圧用基部41を設け、この押圧用基部41の下面中央に柱状に突出する押圧部43を設けている。押圧用基部41の根元部分には貫通するスリット42が設けられている。取付台40の回転つまみ50を取り付けた反対側の面にはその略中央に爪状の係合部45を設け、係合部45の両側にL字状に突出するガイド部47を設け、また係合部45の上部にT字状に突出するガイド係合部49を設けている。一方押釦スイッチ部60は、合成樹脂板製の矩形状の設置台61上にスイッチ63を設けたスイッチ基板65を取り付けて構成されている。スイッチ基板65は設置台61から突出する小突起67をスイッチ基板65に設けた小孔に挿通してその先端を熱カシメすることで設置台61上に固定されている。スイッチ63はスイッチ基板65上に形成した一対のスイッチパターン上に金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)66を取り付けて構成されている。このスイッチ基板65と前記摺動用基板57とは前記連結部71を介して一体に連結されたフレキシブル回路基板であり、スイッチ基板65の外周辺には回転式電子部品部30と押釦スイッチ部60の出力を取り出す帯状の引出部69が一体に取り付けられている。
【0022】
第1ケース100は合成樹脂製であり、その上部と、前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側の側面部分とを開放した箱型に形成され、押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20の取付台40を上下動自在に取り付ける取付面100aには前記取付台40の係合部45を係止して取付台40が上方向に外れるのを防止する上方向に突出する弾性爪状の係止部101と、前記ガイド部47が上下動自在となるように係合する上下に延びる平板状のガイド受け部103と、前記ガイド係合部49が上下動自在となるように係合する切り欠き溝状のガイド係合受け部105とが設けられている。また第1ケース100の下部は前記押釦スイッチ部60を挿入する押釦スイッチ部挿入部107となっている。そして第1ケース100の前記押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入する側を向く両側辺109は下方向に向かって斜め前方に突出していく傾斜面となっている。そして両側辺109の上下には、それぞれ水平方向(図2に示す取付板400方向)に向かって突出する柱状の突出部111が設けられている。なお両側辺109の傾斜角度は前記取付板400の両電子部品取付部401,403間の屈曲する角度と同じである。
【0023】
そして第1ケース100内にその開放された側面側から押釦スイッチ付き回転式電子部品本体20を挿入してゆき、取付台40の面を第1ケース100の取付面100aに当接し、その際取付台40の係合部45を係止部101の上部に、ガイド部47をガイド受け部103の上部に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105の上部に位置し、第1ケース100に対して取付台40を下降することで係合部45を係止部101に、ガイド部47をガイド受け部103に、ガイド係合部49をガイド係合受け部105に係合する。これによって回転式電子部品部30が第1ケース100内で上下動自在に保持される。同時にこのとき押釦スイッチ部60も第1ケース100の下部の押釦スイッチ部挿入部107内に収納され、図2に示す状態になり、回転式電子部品10が完成する。
【0024】
押圧式電子部品200は図2に示すように、電子部品本体部(以下「2段押釦スイッチ本体部」という)210と、基台(以下「第2ケース」という)250と、図1に示すキートップ270とを具備して構成されている。2段押釦スイッチ本体部210はスイッチ基板211と基板取付体240とを具備している。スイッチ基板211は可撓性を有する合成樹脂フイルムを矩形状に形成してなる第1基板部215と、一対の円形の第2基板部217と、第1基板部215と略同一形状の第3基板部261とをそれぞれ連結部219,221,263で連結し、第1基板部215上に設けた図示しない一対のスイッチパターン上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる可動接点板を取り付けてスイッチ235を構成し、また一対の第2基板部217上にそれぞれスイッチパターン227,229を設け、第1基板部215上のスイッチパターンと第2基板部217上のスイッチパターン227,229にそれぞれ接続された図示しない回路パターンを第3基板部261を介して第3基板部261に接続した引出部216から外部に引き出している。なおスイッチパターン227,229の周囲にはリング状のスペーサ層231が形成されている。また第1基板部215と第3基板部261の4隅の前記取付板400の各係止部411に対向する位置にはそれぞれ円形の小孔からなる挿通部239が設けられている。一方基板取付体240は合成樹脂を円形に成形して構成されており、その一方の面に前記一対の第2基板部217を収納・載置する基板取付面241を設け、その他方の面の中央に小突起状の押圧部243を設けて構成されている。
【0025】
第2ケース250は合成樹脂を略矩形状に成形して構成されており、その外形形状寸法は前記取付板400の電子部品取付部401の外形寸法形状と略同一に形成されており、またその4隅の前記取付板400の各開口部409に対向する位置にはそれぞれ貫通孔又は切り欠きからなる開口部251が設けられ、またその中央の取付板400側を向く面には前記基板取付体240を上下動自在に収納する円形凹状の収納部253が設けられている。収納部253の底面には下記するキートップ270の押圧部275を挿入する押圧部挿入部255が設けられている。なお第2ケース250の取付板400側を向く面の収納部253の周囲の前記取付板400の各係止部411に対向する位置には図示はしないがそれぞれ位置決め突起が突設されている。
【0026】
図1に示す外装ケース500は取付板400に取り付ける回転式電子部品10と押圧式電子部品200の設置状態に対応してそれらの外周を覆うように屈曲(又は湾曲)しており、具体的には取付板400の電子部品取付部403に対して略平行に設置される第3面509と、電子部品取付部401に対して略平行に設置されて押圧式電子部品200を覆う第2面507と、回転つまみ50の円形平面状の側面に略垂直に設置されて回転式電子部品10の上部を覆う第1面505(第1面505と第2面507は取付板400の上部外周辺である外側面400Aの上方を覆っている)とを設けており、且つ第1面505と第2面507にそれぞれ異なる方向を向いて開口からなる第1露出部501と第2露出部503とを設けている。第1露出部501は回転つまみ50の外周面である操作面50aの一部を露出するように略矩形状に形成され、また第2露出部503は下記するキートップ270の本体部271の上面を露出するように略円形に形成されている。
【0027】
図1に示すキートップ270は合成樹脂製であり、略円柱状の本体部271の下部外周から円板状のつば部273を突出し、さらに本体部271の下面中央から円柱状の押圧部275を突出して構成されている。つば部273は第2面507の裏面(取付板400に対向する側の面)に設けた収納部209内に上下動自在に収納され、収納部209内に設置した弾発手段(コイルスプリング)211によって上方向(第2面507方向)に向かって弾発されている。
【0028】
複合型電子部品1−1を組み立てるには、まず図2において、取付板400の電子部品取付部401の一方の取付面に回転式電子部品10の第1ケース100の側辺109を当接し、その際第1ケース100の各突出部111を取付板400の各開口部409に挿入する。このとき引出部69を取付板400の基板挿通部406に挿通する。次に一対の第2基板部217,217をスイッチパターン227,229が対向するように重ね合わせたものを図5に示すように基板取付体240の基板取付面241に収納して取り付けることでスイッチ237を構成し、さらにこの第2基板部217を取り付けた基板取付体240を第1基板部215上に折り返して載置して基板取付体240の押圧部243をスイッチ235の上面中央に設置し、さらに図6に示すように連結部263と引出部216とを逆向きに折り返すことで、取付板400の直前に組み立てた2段押釦スイッチ本体部210を設置する。次に第2ケース250の収納部253を設けた側の面に2段押釦スイッチ本体部210を取り付け、その際収納部253内に基板取付体240を収納すると同時に、収納部253の周囲に設けた図示しない位置決め突起を2段押釦スイッチ本体部210の各挿通部239に挿入して第2電子部品200を組み立て、組み立てた第2電子部品200を図7に示すように前記取付板400の電子部品取付部401の取付面に載置し、その際取付板400から突出している前記第1ケース100の突出部111を第2ケース250の各開口部251に挿入し、図7に示すように、各開口部251から突出する各突出部111の先端を熱カシメする。なお回転式電子部品10と押圧式電子部品200とを取付板400に取り付けた際に余って弛んでいる引出部69の部分は、図1に示すように第1ケース100の押釦スイッチ部挿入部107の下部に設けたフレキシブル回路基板収納部113に収納されるので邪魔にならない。なおフレキシブル回路基板収納部113は、取付板400に設けた基板挿通部406に対向して設置されている。
【0029】
そして図1に示すように、回転式電子部品10と押圧式電子部品200とを取り付けた取付板400の上に外装ケース500を設置し、図示しない位置に設けた取付手段によって取付板400と外装ケース500間を固定する。このとき外装ケース500の第1露出部501には回転つまみ50の操作面50aの一部が露出し、第2露出部503にはキートップ270の本体部271が露出する。またキートップ270の押圧部275の先端は第2ケース250の押圧部挿入部255内に挿入される。なお図1において、46は取付台40の面から突出して回転体50を回動自在に軸支する軸であり、51は回転体50の摺動子300を取り付けた面の裏面に設けたリング状の凹凸からなるクリック係合部であり、53はクリック係合部51に弾接する弾性金属板からなるクリック板であり、55はクリック板53及び回転体50の軸46からの抜けを防止する押え板である。
【0030】
なお図1からもわかるように、取付板400は外装ケース500の屈曲又は湾曲に合わせて屈曲又は湾曲している。また回転式電子部品10は回転つまみ50の回転軸に垂直な面(即ち回転つまみ50の円形平面状の側面、以下同じ)が取付板400の面に沿う方向を向き、且つ回転つまみ50の一部が取付板400の外側面(電子部品取付部401の先端側の外周端辺、以下同じ)400Aから外方(上方)に突出している。また取付板400の電子部品取付部401は、取付板400の外側面400Aが回転つまみ50の回転軸に垂直な面に近づくようにこの回転つまみ50の面に対して傾斜した状態で取り付けられ、且つこの傾斜面である電子部品取付部401上に押圧式電子部品200が取り付けられ、さらに回転つまみ50の外周面を操作面50aとして外装ケース500の第1露出部501に露出している。またこの実施形態では回転式電子部品10を取り付ける第1ケース100から突出する突出部111を、前記取付板400を介して、押圧式電子部品200を取り付ける第2ケース250に取り付けることで、回転式電子部品10と押圧式電子部品200とを取付板400を介して一体に固定したが、その代りに、押圧式電子部品200を取り付ける第2ケース250から突出部を突出させてこの突出部を、取付板400を介して、回転式電子部品10を取り付ける第1ケース100に取り付けることで、回転式電子部品10と押圧式電子部品200とを取付板400を介して一体に固定してもよい。何れにしても回転式電子部品10と押圧式電子部品200の取付板400を介する固定が相互の部品を利用して簡易な構造で容易に行える。
【0031】
そして複合型電子部品1−1の回転つまみ50を回転すると、摺動子300が摺動用基板57上に設けた図示しない摺動用パターン上を摺動し、その出力を変化する。一方回転つまみ50をその回転軸に向かって真上から真下に押圧すると、回転式電子部品部30全体が下降してその押圧部43がスイッチ63を押圧して反転板66を反転し、これをオンする。回転体50への押圧を解除すれば、反転板66の弾性復帰力によって回転式電子部品部30全体が元の位置に自動復帰し、スイッチ63はオフする。一方キートップ270を押圧すれば、図2に示す2段押釦スイッチ本体部210の一方の第2基板部217のスイッチパターン227の裏面中央が押圧されてまず一対の第2基板部217,217のスイッチパターン227,229からなるスイッチ237がオンし、さらにキートップ270を押圧すれば、基板取付体240が下降してその押圧部243が第1基板部215の可動接点板を反転しそのスイッチ235をオンする。前記押圧を解除すれば、スイッチ235、スイッチ237がこの順でオフする。
【0032】
以上のようにこの複合型電子部品1−1によれば、取付部材400の両面(特に対向する面)に回転式電子部品10と押圧式電子部品200を設置したので、取付部材400の一方の面に両電子部品10,200を並列に設置する場合に比べて両電子部品10,200の操作部(回転つまみ50の操作面50aとキートップ270)を取付部材400の外側面400A近傍において容易に接近して配置させることができ、取付部材400の外側面400Aを覆う外装ケース500に設けた第1,第2露出部501,503を接近して設けることができる。即ちもし平板状の取付部材400の押圧式電子部品200を設置した側の面に回転式電子部品10を併設しようとした場合は、回転つまみ50の操作面50aの位置がキートップ270の位置から大きく離れることとなる(取付部材400の面に対して回転つまみ50の側面を垂直に設置した場合も、平行に設置した場合も、斜めに設置した場合も同様である)。またこの実施形態によれば、取付部材400の両面(特に対向する両面)に回転式電子部品10と押圧式電子部品200を設置した上で、外装ケース500を屈曲又は湾曲したので、容易に第1,第2露出部501,503を異なる方向を向くように設置できる。またこの実施形態によれば、取付部材400も外装ケース500の屈曲又は湾曲に合わせて屈曲又は湾曲させたので、異なる方向を向く第1,第2露出部501,503に合わせて容易に両電子部品10,200を設置できる。また上記実施形態においては、回転つまみ50の回転軸に垂直な面を取付板400の面に沿う方向(即ちほぼ平行)に向くようにしたので、外装ケース500内での回転式電子部品10の収納スペースを小さくでき、両電子部品10,200の集積化が図れる。また上記実施形態においては、取付板400の外側面400Aを回転つまみ50の面に接近させるように傾斜させたので、より2つの電子部品10,200を接近して設置でき、集積化が図れる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図8は本発明の第2実施形態にかかる複合型電子部品1−2の概略側断面図である。また図9は複合型電子部品1−2(但し外装ケース500−2とキートップ270−2を除く)の斜視図である。これらの図に示す複合型電子部品1−2において、前記複合型電子部品1−1と同一又は相当部分には同一符号(但し各符号には「−2」を付する)を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図7に示す実施形態と同じである。この実施形態において前記複合型電子部品1−1と相違する点は、取付板400−2に屈曲辺405を設けず、2つの平面状の電子部品取付部401−2,403−2を同一平面上に設けた点と、これに合わせて回転式電子部品10−2の形状と押圧式電子部品200−2の形状と外装ケース500−2の形状とを変更した点と、前記回転式電子部品10−2から押釦スイッチの機能を削除した点とである。
【0034】
即ちこの複合型電子部品1−2においても、取付板400−2の両面に、それぞれ回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2とを取り付けるとともに、取付板400−2の外側面400A−2を覆って回転式電子部品10−2及び押圧式電子部品200−2上に外装ケース500−2を設置し、さらに外装ケース500−2に回転式電子部品10−2の回転つまみ50−2と押圧式電子部品200−2のキートップ270−2とをそれぞれ露出する第1,第2露出部501−2,503−2を設けている。そして前記回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2は、取付板400−2の対向する両面に重なり合って取り付けられている。以下各構成部品について説明する。
【0035】
この実施形態においても、回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2からそれぞれ引き出される引出部69−2,216−2はフレキシブル回路基板140−2に連結されている。また取付板400−2には前述のように屈曲辺405−2を設けず、電子部品取付部401−2と電子部品取付部403−2とを同一平面としている。回転式電子部品10−2は第1実施形態のように押釦スイッチを設けていないので、基台(以下「第1ケース」という)100−2が第1実施形態の取付台40と第1ケース100の機能を兼用している。即ちこの実施形態の場合、第1ケース100−2は合成樹脂製であり、その上部と、回転つまみ50−2等を収納する側の側面部分とを開放した箱型に形成され、回転つまみ50−2を取り付ける取付面100a−2の略中央には軸46−2が突設されている。そして第1ケース100−2の回転つまみ50−2を取り付ける面側を向く両側辺109−2の上下には、それぞれ水平方向に向かって突出する柱状の突出部111−2が設けられている。なお両側辺109−2は取付面100a−2に対して平行であり、第1実施形態のようには傾斜していない。
【0036】
そして第1ケース100−2の取付面100a−2の軸46−2に回転つまみ50−2を回転自在に挿入し、更にその上にクリック板53−2と押え板55−2を挿入し、軸46−2の先端をかしめれば、回転式電子部品10−2が完成する。このとき回転つまみ50−2の取付面100a−2側に取り付けた摺動子300−2が、取付面100a−2に取り付けた摺動用基板57−2の図示しないスイッチパターンや抵抗体パターン等の摺動用パターンに当接している。摺動用基板57−2はフレキシブル回路基板であり、その外周辺には回転式電子部品10−2の出力を取り出す帯状の引出部69−2が一体に取り付けられている。押圧式電子部品200−2の内部構造は第1実施形態の押圧式電子部品200の内部構造と同一である。
【0037】
外装ケース500−2は取付板400−2に取り付ける回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2の設置状態に対応してその外周を覆うように屈曲(又は湾曲)しており、具体的には取付板400−2の電子部品取付部403−2,403−1に対して略平行に設置されて押圧式電子部品200−2を覆う第3面509−2と、第3面509−2に対して斜めに傾斜する第2面507−2と、回転つまみ50−2の円形平面状の側面に略垂直に設置されて回転式電子部品10−2の上部を覆う第1面505−2(第2面507−2と第1面505−2は取付板400−2の上部外周辺である外側面400A−2の上方を覆っている)とを設けており、且つ第1面505−2と第3面509−2にそれぞれ異なる方向を向いて開口からなる第1露出部501−2と第2露出部503−2とを設けている。第1,第2露出部501,503の形状は第1実施形態と同様である。またキートップ270−2及びその外装ケース500−2への取付構造も第1実施形態と同様である。
【0038】
複合型電子部品1−2の組み立ては、第1実施形態と同様である。即ち取付板400−2の電子部品取付部401−2の一方の取付面に回転式電子部品10−2の第1ケース100−2の側辺109−2を当接し、その際第1ケース100−2の各突出部111−2を取付板400−2の各開口部409−2に挿入する。このとき引出部69−2を取付板400−2の基板挿通部406−2に挿通する。次に組み立てた第2電子部品200−2を取付板400−2の電子部品取付部401−2の他方の取付面に載置し、その際取付板400−2から突出している前記第1ケース100−2の突出部111−2を第2ケース250−2の各開口部251−2に挿入し、各開口部251−2から突出する各突出部111−2の先端を熱カシメする。そして回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2とを取り付けた取付板400−2の上に外装ケース500−2を設置し、図示しない位置に設けた取付手段によって取付板400−2と外装ケース500−2間を固定する。このとき外装ケース500−2の第1露出部501−2には回転つまみ50−2の外周面の一部(操作面50a−2)が露出し、第2露出部503−2にはキートップ270−2の本体部271−2が露出する。またキートップ270−2の押圧部275−2の先端は第2ケース250−2の押圧部挿入部255−2内に挿入される。なおこの実施形態においても、押圧式電子部品200−2を取り付ける第2ケース250−2から突出部を突出させてこの突出部を、取付板400−2を介して、第1ケース100−2に取り付けることで、回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2とを取付板400−2を介して一体に固定してもよい。
【0039】
そして複合型電子部品1−2の回転つまみ50−2を回転すると、摺動子300−2が摺動用基板57−2上に設けた図示しない摺動用パターン上を摺動し、その出力を変化する。一方キートップ270−2を押圧すれば、第1実施形態と同様に2段階でスイッチがオンする。
【0040】
以上のようにこの複合型電子部品1−2によれば、取付部材400−2の両面(特に対向する面)に回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2を設置したので、取付部材400−2の一方の面に両電子部品10−2,200−2を並列に設置する場合に比べて両電子部品10−2,200−2の操作部(回転つまみ50−2の操作面50a−2とキートップ270−2)を取付部材400−2の外側面400A−2近傍において容易に接近させて配置させることができ、取付部材400−2の外側面400A−2を覆う外装ケース500−2に設けた第1,第2露出部501−2,503−2を接近させて設けることができる。またこの実施形態によれば、取付部材400−2の両面(特に対向する両面)に回転式電子部品10−2と押圧式電子部品200−2を設置した上で、外装ケース500−2を屈曲又は湾曲したので、容易に第1,第2露出部501−2,503−2を異なる方向を向いて設置できる。また上記実施形態においては、回転つまみ50−2の回転軸に垂直な面を取付板400−2の面に沿う方向(即ちほぼ平行)に向くようにしたので、外装ケース500−2内での回転式電子部品10−2の収納スペースを小さくでき、両電子部品10−2,200−2の集積化が図れる。
【0041】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では第1電子部品として回転式電子部品を用い、第2電子部品として押圧式電子部品を用いたが、第1,第2電子部品としてそれぞれ別の機能・構造を有する電子部品を用いても良い。上記実施形態では取付部材として取付板を用いたが、板状でない部材であっても良い。また外装ケースの形状・構造や第1,第2露出部の形状・構造にも種々の変形が可能であることはいうまでもない。上記実施形態では第1電子部品と第2電子部品とを取付部材の対向する両面に重ねて取り付けたが、場合によっては重ならない位置に取り付けても良い。外装ケースや取付部材の屈曲形状にも種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】複合型電子部品1−1の概略側断面図である。
【図2】複合型電子部品1−1(但し外装ケース500とキートップ270を除く)の分解斜視図である。
【図3】回転式電子部品10の分解斜視図である。
【図4】回転式電子部品10の分解斜視図である。
【図5】複合型電子部品1−1の組み立て方法説明図である。
【図6】複合型電子部品1−1の組み立て方法説明図である。
【図7】複合型電子部品1−1の組み立て方法説明図である。
【図8】複合型電子部品1−2の概略側断面図である。
【図9】複合型電子部品1−2(但し外装ケース500−2とキートップ270−2を除く)の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1−1 複合型電子部品
10 回転式電子部品(第1電子部品)
20 押釦スイッチ付き回転式電子部品本体
50 回転つまみ(操作部)
50a 操作面
100 第1ケース(基台)
111 突出部
200 押圧式電子部品(第2電子部品)
210 2段押釦スイッチ本体部(電子部品本体部)
250 第2ケース(基台)
270 キートップ(操作部)
400 取付板(取付部材)
400A 外側面
401 電子部品取付部(傾斜面)
403 電子部品取付部
405 屈曲辺
500 外装ケース(ケース)
501 第1露出部
503 第2露出部
1−2 複合型電子部品
10−2 回転式電子部品
200−2 押圧式電子部品
270−2 キートップ
400−2 取付板
500−2 外装ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材の両面に、それぞれ第1電子部品と第2電子部品とを取り付けるとともに、前記取付部材の外側面を覆って前記第1,第2電子部品上にケースを設置し、さらに前記ケースには、前記第1,第2電子部品の操作部をそれぞれ露出する第1,第2露出部を設けたことを特徴とする複合型電子部品。
【請求項2】
前記第1電子部品と第2電子部品は、前記取付部材の対向する両面に重なり合って取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合型電子部品。
【請求項3】
前記ケースは屈曲又は湾曲しており、前記第1,第2露出部はこのケースの屈曲面又は湾曲面上にそれぞれ異なる方向を向いて設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合型電子部品。
【請求項4】
前記取付部材も前記ケースの屈曲又は湾曲に合わせて屈曲又は湾曲していることを特徴とする請求項3に記載の複合型電子部品。
【請求項5】
前記取付部材は取付板であり、
前記第1電子部品を取り付ける基台と、前記第2電子部品を取り付ける基台の少なくとも何れか一方から突出する突出部を、前記取付板を介してもう一方の基台に取り付けることで、第1電子部品と第2電子部品とを取付板を介して一体に固定することを特徴とする請求項2に記載の複合型電子部品。
【請求項6】
前記取付部材は取付板であり、
前記第1電子部品はその操作部を回転つまみとする回転式電子部品であり、
この回転式電子部品は回転つまみの回転軸に垂直な面が前記取付板の面に沿う方向を向き、且つ回転つまみの一部が取付板の前記外側面から外方に突出するように設置され、
さらに前記回転つまみの外周面を操作面として前記ケースの第1露出部に露出させることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の複合型電子部品。
【請求項7】
前記取付板はその外側面が前記回転つまみの回転軸に垂直な面に近づくようにこの回転つまみの面に対して傾斜した状態で取り付けられ、
且つこの傾斜面上に前記第2電子部品を取り付けたことを特徴とする請求項6に記載の複合型電子部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−141499(P2007−141499A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330025(P2005−330025)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】