説明

複合材料の目標エッチングプロセス特性を達成するためのガスクラスタイオンビームエッチングプロセス

【課題】種々の材料のガスクラスタイオンのビーム(GCIB)エッチングプロセスを実行するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】第1の材料、第2の材料及び前記第1の材料及び/又は第2の材料を曝露する表面を持つ基板を保持するための基板ホルダ回りを減圧環境に維持し、1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を選択し、少なくとも1つのエッチングガスを含む加圧ガスからガスクラスタイオンビーム(GCIB)を形成し;前記1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成するために前記GCIBについてのGCIBプロセス条件の1又はそれ以上のGCIB性質を設定し;前記減圧環境を通じて前記GCIBを加速し;及び前記基板の前記表面の少なくとも1部分に前記GCIBを照射して、前記第1の材料及び前記第2の材料の少なくとも1部分をエッチングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常集積回路(IC)の製造において、半導体装置製造装置は、半導体装置基板上にパターン化された微細ラインに沿った材料や又はビアやコンタクト内の材料を(乾式)プラズマエッチングプロセスを用いて除去するかエッチングする。前記プラズマエッチングを成功させるためには、前記エッチング化学反応は、1つの材料を選択的にエッチングし、かつ他方で他の材料を実質的により遅い速度でエッチングするように適切な化学反応物を含むことが要求される。さらに、前記プラズマエッチングプロセスを成功させるためには、前記エッチングプロセスを前記基板に均一に適用する一方で、許容可能なプロフィル制御が達成されることが要求される。
【0003】
現在のIC装置では、Si−含有及びGe−含有材料が半導体装置プロセスでは主流となっている。しかし、前記IC装置の種々の電気特性を改良するために、よりめずらしい材料もまた半導体装置プロセスに導入されている。例えば、フロントエンド・オブ・ライン(FEOL)半導体装置プロセスにおいては、高誘電率(high−k)材料がトランジスタゲート誘電体として使用されることが望ましい。この目的で使用された初期のhigh−k材料は、タンタル酸化物及びアルミニウム酸化物材料であった。現在、ハフニウム系誘電体及び多分ランタン系誘電体がゲート誘電体として導入されることが予想されている。さらに、FEOL半導体装置プロセスでは、金属−含有材料が、電子装置の次の世代のトランジスタゲート電極として使用するために望ましい。現在、Ti、Ta及び/又はAl(例えばTiN、TaN、Al及びTiAl)が金属電極として製造導入されることが予想されている。もちろん新材料を半導体装置プロセスに導入することは、FEOL工程のみではなく、バックエンド・オブ・ライン(BEOL)工程のための金属化プロセスにおける1つの流れとなっている。さらに、最先端のメモリ装置では、貴金属同様、Fe、Co、Ni及びそれらの合金を含むに新規なかつめずらしい材料が使用され、導入されている。
【0004】
電子装置プロセスにおける現在使用されている現材料及びこれらの新たな材料の出現に伴い、すでに存在する層及び構造の状態は維持してこれらの新しい材料をエッチングすることができるということは、大きな課題である。従来のエッチングプロセスでは、これらの材料を実用的エッチング速度で達成することができず、又はそれらの材料の上又下に存在する材料と比較して許容されるエッチング選択性を達成することができない。さらには従来のエッチングプロセスでは、前記基板にわたり均一に適用される許容されるプロフィル制御を達成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7115511号明細書
【特許文献2】米国特許第7759251号明細書
【特許文献3】米国特許第6812147号明細書
【特許文献4】米国特許第7977239号明細書
【特許文献5】米国特許第7709344号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第20100101940号明細書
【特許文献7】米国特許第7071122号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第20040060899号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第20090305507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施態様はガスクラスタイオンビームGCIBプロセスに関する。特に本発明の実施態様はGCIBエッチングプロセスに関する。
さらに、本発明の実施態様は、目標エッチングプロセス特性(target etch process metrics)を達成するための種々の材料のエッチングプロセスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様により、基板上の材料をエッチングするための方法が記載される。前記方法は、表面を有する基板を保持するための基板ホルダ回りに減圧環境を維持し、前記基板を前記減圧環境内に確実に保持することを含む。前記方法はさらに:1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を選択することを含み、前記目標エッチングプロセス特性には前記第1の材料のエッチング速度、前記第2の材料のエッチング速度、前記第1及び第2の材料間のエッチング選択性、前記第2の材料の表面粗度、前記第1の材料のエッチングプロフィル及び前記第2の材料のエッチングプロフィルが含まれ;少なくとも1つのエッチングガスを含む加圧ガスからガスクラスタイオンビーム(BCIB)を形成し;前記1つ又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成するための前記GCIBについてGCIBプロセス条件の1つ又はそれ以上のBCIB性質を設定し;前記GCIBを前記減圧環境を通じて加速し;及び前記GCIBを前記基板の表面の少なくとも1部分に照射して、前記第1及び第2の材料の少なくとも1部分をエッチングすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、1つの実施態様による基板をエッチングする方法を示すフローチャートである。
【図2A】図2AからCは、他の実施態様による基板をエッチングする方法を模式的に示す。
【図2B】図2AからCは、他の実施態様による基板をエッチングする方法を模式的に示す。
【図2C】図2AからCは、他の実施態様による基板をエッチングする方法を模式的に示す。
【図3A】図3Aは、GCIBのためのビームエネルギー分布関数を模式図を与える。
【図3B】図3Bは、GCIBのためのビームエネルギー分布関数を模式図を与える。
【図4A】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4B】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4C】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4D】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4E】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4F】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4G】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4H】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4I】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4J】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4K】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図4L】図4Aから4Lは、基板上のエッチング材料のための例示データをグラフ化して示す。
【図5】図5は、1つのGCIBプロセスシステムを示す。
【図6】図6は、他のGCIBプロセスシステムを示す。
【図7】図7は、他のGCIBプロセスシステムを示す。
【図8】図8は、GCIBプロセスシステムのための1つのイオン化源を示す。
【図9】図9は、GCIBプロセスシステムのための他のイオン化源を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
基板上のシリコン−含有、Ge−含有、金属−含有及び半導体層を含む層を、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)を用いてエッチングする方法が種々の実施態様において記載される。当業者が認識するべきことは、種々の実施態様は、1つ又はそれ以上の具体的な詳細な説明がなくても実施され得るということ、又は他の置換及び/又は追加の方法、材料又はコンポーネントを用いても実施され得る、ということである。他の例では、よく知られた構成、材料又は操作は、本発明の種々の実施態様の側面が曖昧になることを避けるために、示されず又は詳細には記載されない場合がある。同様に、説明を目的として、具体的な数、材料及び構造が本発明の完全な理解を与えるために記載される。にもかかわらず本発明は具体的な詳細な説明なしで実施され得る。さらに、理解されるべきことは、図面に示される種々の実施態様は例示表現されているものであり、必ずしも寸法通りに描かれているものではない、ということである。
【0010】
本明細書を通じて「1つの実施態様」又は「1実施態様」とは、前記実施態様との関連で記載される特定の構成、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれるものであることを意味するが、それらが全ての実施態様に含まれるということを意味するものではない。従って、本明細書を通じて種々の場所で「1つの実施態様は」又は「1実施態様で」なる句が現れることは、必ずしも本発明の同じ実施態様を意味するものではない。さらに、特定の構成、構造、材料又は特性は、1つ又はそれ以上の実施態様で全ての方法で組み合わせることができるものである。種々の追加の層及び/又は構成が他の実施態様に含まれ、及び/又は記載された構成は他の実施態様では省かれ得る。
【0011】
ここで使用される「基板」とは、本発明により処理される対象物を意味する。前記基板は、装置、特に半導体装置又は他の電子装置の全ての材料部分又は構成部分を含み、及び例えば半導体ウェハなどのベース基板構造又は薄膜などのベース基板構造の上又はそれを覆う層であり得る。従って基板は特定のベース構造、上層又は下層、パターン化されているかされていないかなどに限定されるものではなく、むしろ全てのかかる層又はベース構造を含み、層及び/又はベース構造の全ての組合せを含むものである。以下の説明では、特定のタイプの基板を参照しているが、このことは例示を目的とするものでなんらを制限することを目的とするものではない。
【0012】
上で部分的に説明されたように、エッチング速度、エッチング選択性、CD(限界寸法)を含むプロフィル制御及び表面粗度は、他のプロセスの結果でもとりわけ、パターンエッチングの成功を決定するための本質的な条件を与える。一例として、構造パターンを基板上の材料層に転写する場合、重要なことは、前記パターンプロフィルとパターン表面の表面粗度を隣接する表面と同様制御しつつ、1つの材料を適切なプロセススループットのために十分な速度で選択的エッチングする、ということである。さらに、重要なことは、前記基板上の材料層に形成される全ての構造パターンについて前記エッチング速度、エッチング選択性及びエッチングプロフィルを均一に制御することであり、及び/又は前記基板上の材料層に形成される構造パターンについてのこれらのパラメータ制御を空間的に調節することである。
【0013】
従って、種々の実施態様により、Si−含有材料、Ge−含有材料、金属−含有材料、半導体材料及び/又はカルコゲニド材料などの基板上の材料をエッチングするための方法が記載される。以下図面を参照するが、類似する参照番号はいくつかの図面を通じて対応する部品を示すものである。図1は、1つの実施態様による基板上の種々の材料をエッチングするための方法を例示する。さらに基板をエッチングする例示的方法が図2A及び2Bに図示される。
【0014】
フローチャート1で例示される方法は、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)プロセスシステムでの基板22を保持する基板ホルダ回りに減圧環境を維持する10で開始される。基板22は、第1の材料、第2の材料及び前記第1及び/又は前記第2の材料を暴露する表面を含む。前記GCIBプロセスシステムは、以下図5、6又は7で記載されるGCIBプロセスシステム(100、100’又は100’’)又はこれらの全ての組合せの1つを含み得る。
【0015】
図2Aで例示されるように、基板22の少なくとも1部分20を覆う材料層24がGCIB25を用いてエッチングされ得る。一例として、前記第1の材料は、材料層24を含み、前記第2の材料は、基板22を含み得る。前記第1の材料及び/又は前記第2の材料を暴露する表面は、材料層24のエッチングの際に前記材料層24の上部表面を含み、又は材料層24のエッチングプロセスが進行する際に材料層24と基板22の前記境界を含む。
【0016】
又は、図2Bに例示されるように、基板22の少なくとも1部分20’を覆う材料層24’は、GCIB25’を用いてエッチングされマスク層26内に形成された第1のパターン27を材料層24’へ転写してそこに第2のパターン28を生成する。一例として、前記第1の材料は、マスク層26を含み、前記第2の材料が材料層24’を含み得る。前記第1の材料及び/又は前記第2の材料を暴露する表面は、マスク層26の暴露された表面及び材料層24’の暴露された表面を含み得る。
【0017】
図2Bに例示されるように、そこに形成された第1のパターン27を有するマスク層26は材料層24’上又はその上に用意される。前記マスク層26は、フォトレジストなどの放射感受性材料で基板22をコーティングすることで形成され得る。例えば、フォトレジストは、トラックシステムを用いて容易に実施されるプロセスであるスピンコーティング技術などを用いて前記基板に適用され得る。加えて、例えば、前記フォトレジスト層はリソグラフィを用いてイメージパターンに曝露させ、その後前記イメージパターンを現像液で現像してフォトレジスト層内にパターンを形成する。
【0018】
フォトレジスト層は、248nm(ナノメートル)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト又はEUV(極端紫外線)を含み得る。前記フォトレジスト層はトラックシステムを用いて形成され得る。例えば、前記トラックシステムには、東京エレクトロン株式会社(TEL)から入手可能な、CLEAN TRACK ACT8、ACT12、又はLITHIUSレジストコーティング及び現像システムが含まれる。基板上にフォトレジスト膜を形成する他のシステム及び方法は、スピン・オン・レジスト技術における当業者によく知られている。
【0019】
電磁(EM)放射線のパターンへの曝露は、乾式又は湿式フォトリソグラフィシステムで実行され得る。前記イメージパターンは、全ての適切な従来のステッピングリソグラフィシステム又はスキャニングリソグラフィシステムを用いて形成され得る。例えば、前記フォトリソグラフィシステムは、ASML Netherlands B.V.(De Run 6501、5504 DR Veldhoven、The Netherlands)又はCanon USA、Inc.、Semiconductor Equipment Division(3300 North First Street、San Jose、CA 95134)から市販品が入手可能である。
【0020】
前記現像プロセスは、前記基板を、トラックシステムなどの現像システム中の現像液に曝露することを含み得る。例えば、前記トラックシステムには、東京エレクトロン株式会社(TEL)から入手可能な CLEAN TRACK ACT8、ACT12、又はLITHIUSレジストコーティング及び現像システムが含まれる。
【0021】
前記フォトレジスト層は、湿式ストリッププロセス、乾式プラズマアッシングプロセス又は乾式非プラズマアッシングプロセスを用いて除去され得る。
【0022】
前記マスク層26は多層を含み、前記マスク層26に形成される前記第1のパターン27は湿式プロセス技術、乾式プロセス技術又はそれらの技術の組合せを用いて形成され得る。単層又は多層のマスク層26の形成技術は、リソグラフィ及びパターンエッチング技術の当業者には理解される技術である。前記第1のパターン27がマスク層26中に形成されると、前記マスク層26は下層をパターン化するために利用され得る。
【0023】
又は、図2Cに例示されるように、基板22の少なくとも1部分20’’を覆う第1の材料層24’’及び第2の材料層24’’’は、GCIB25’’を用いてエッチングされ得る。例えば前記第1の材料層24’’及び前記第2の材料層24’’’を平坦化することが可能である。一例として、前記第1の材料は、第1の材料層24’’含み及び前記第2の材料層は第2の材料層24’’’を含み得る。前記第1の材料及び/又は前記第2の材料を曝露する表面は、第1の材料層24’’及び前記第2の材料層24’’’の曝露された表面を含み得る。
【0024】
前記方法は11に進み、基板22を、前記GCIBプロセスシステムの減圧環境内に確実に保持する。基板の温度は、制御されてもよく、されなくてもよい。例えば、基板22はGCIBプロセスの際に加熱又は冷却され得る。加えて、前記基板22は、導電性材料、半導体材料又は誘電性材料又はこれらの2以上の組合せを含み得る。例えば、基板22には、シリコン、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)、ゲルマニウム又はこれらの組み合わせなどの半導体材料が含まれる。
【0025】
さらに基板22には、基板22の部分(20、20’、20’’)上に第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)が含まれ得る。前記第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)には、Si−含有材料及び/又はGe−含有材料が含まれる。前記Si−含有材料には、Si及び、O、N、C及びGeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。前記Ge−含有材料には、Ge及び、O、N、C及びSiからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含み得る。
【0026】
例えば、前記第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)には、シリコン、ドープシリコン、非ドープシリコン、アモルファスシリコン、モノ結晶性シリコン、多結晶性シリコン、シリコン酸化物(SiO、ここで、x>0;例えばSiO)、シリコン窒化物(SiN、ここでy>0;例えばSiN1.33、又はSi)、シリコン炭化物(SiC、ここでz>0)、シリコン酸化窒化物(SiO、ここでx、y>0)、シリコン酸化炭化物(SiO、ここでx、y>0)、シリコン炭化窒化物(SiC、ここでx、y>0)、又はシリコン−ゲルマニウム(SiGe1−x、ここでxはSiの原子比、1−xはGeの原子比、及び0<1−x<1)が含まれ得る。上記挙げられた全ての材料の1つは、B、C、H、N、P、As、Sb、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択される元素でドープされ、又は注入され得る。さらに、上記挙げられた全ての材料の1つは、金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属又は後周期遷移金属でドープされ、又は注入され得る。さらになお、上記挙げられた全ての材料の1つは、アモルファス相又は結晶相であり得る。
【0027】
加えて、前記第1及び/又は第2の材料相(24、24’24’’24’’’、26)には金属−含有材料が含まれる。前記金属−含有材料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、後周期遷移金属、貴金属又は希土類金属が含まれる。前記金属−含有材料には、Sc、Y、Zr、Hf、Nb、Ta、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、及びSnからなる群から選択される遷移金属又は後周期遷移金属が含まれる。前記金属−含有材料には、金属、金属合金、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属シリサイド、金属ゲルマニド、金属硫化物などが含まれる。
【0028】
さらに、前記第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)はまた、半導体材料を含むことができる。前記半導体材料には、III−V族化合物(例えば、GaAs、GaN、GaP、InAs、InN、InPなど)又はII−V族化合物(例えばCd、など)、II−VI族化合物(例えばZnO、ZnSe、ZnSなど)(ここで、II、III、V、VI族は、周期律表の古典的又は古い表記によるものであり、新しいIUPAC表記によると、これらの族はグループ2、13、15、16のそれぞれ対応する)などの化合物半導体を含み得る。材料層(24、24’)はまた、カルコゲニド(例えば硫化物、セレン化物、テルル化物)を含み得る。
【0029】
さらに、前記第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)には、フォトレジスト(例えば上で列記したレジスト材料の1つ)、ソフトマスク層、ハードマスク層、反射防止コーティング(ARC)層、有機平坦層(OPL)又は有機誘電体層(ODL)又はそれらの2以上の組合せが挙げられる。
【0030】
1例では、前記第1の材料がフォトレジストを含み、及び第2の材料がSi−含有材料、Ge−含有材料、金属−含有材料、半導体材料又はカルコゲニド材料を含む。他の例では、前記第1の材料がシリコンを含み、前記第2の材料が、Si及びO、N、C及びGeからなる群から選択される1つ又はそれ以上の元素を持つSi−含有材料を含む。シリコンには、ドープシリコン、非ドープシリコン、p−ドープSi、n−ドープSi、結晶性Si、アモルファスSi、モノ結晶性Si(又は単結晶性Si)、多結晶性Siなどが挙げられる。他の例では、前記第1の材料がSi−含有材料を含み、前記第2の材料がGe−含有材料を含む。他の例では、前記第1の材料はSi−含有材料を含み、前記第2の材料が金属−含有材料を含む。
【0031】
12では、1又はそれ以上のエッチングプロセス特性が選択される。上述され、かつ以下より詳細に説明されるように、前記目標エッチングプロセス特性には、前記第1の材料のエッチング速度、前記第2の材料のエッチング速度、前記第1及び第2の材料間のエッチング選択性、前記第1の材料の表面粗度、前記第2の材料の表面粗度、前記第1の材料のエッチングプロフィル及び前記第2の材料のエッチングプロフィルが含まれる。
【0032】
13で、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)が、少なくとも1つのエッチングガスを含む加圧ガス混合物から形成される。前記少なくとも1つのエッチングガスにはハロゲン元素が含まれ得る。前記少なくとも1つのエッチングガスには、ハロゲン元素及びC、H、N及びSからなる群から選択される1又はそれ以上の元素を含み得る。
【0033】
例えば、前記少なくとも1つのエッチングガスには、F、Cl、Br、NF、又はSFが含まれ得る。加えて、例えば前記少なくとも1つのエッチングガスには、HF、HCl、HBr、又はHIなどのハロゲン化物を含み得る。さらに、例えば前記少なくとも1つのエッチングガスには、モノ置換ハロメタン(例えばCHF、CHCl、CHBr、CHI)、ジ置換ハロメタン(例えば、CH、CHClF、CHBrF、CHFI、CHCl、CHBrCl、CHClI、CHBr、CHBrI、CHI2)、トリ置換ハロメタン(例えば、CHF、CHClF、CHBrF、CHFI、CHClF、CHBrClF、CHClFI、CHBrF、CHBrFI、CHFI、CHCl、CHBrCl、CHClI、CHBrCl、CHBrClI、CHClI、CHBr、CHBrI、CHBrI、CHI)、テトラ置換ハロメタン(例えば、CF、CClF、CBrF、CFI、CCl、CBrClF、CClFI、CBr、CBrFI、CF、CClF、CBrClF、CClFI、CBrClF、CBrClFI、CClFI、CBrF、CBrFI、CBrFI、CFI、CCl、CBrCl、CClI、CBrCl、CBrClI、CCl、CBrCl、CBrClI、CBrClI、CClI、CBr、CBrI、CBr、CBrI、Cl)などのハロメタンが含まれ得る。
【0034】
GCIBを形成するためには、エッチングガスは、ガス相で単独又はキャリアガスと組合せて相対的に高圧(例えば圧力が1気圧以上)で存在するように選択されるべきである。
【0035】
1つの実施態様で、Si−含有及び/又はGe−含有材料のエッチングの場合には、前記少なくとも1つのエッチングガスはF、Cl、及びBrからなる群から選択されるハロゲン元素を含む。前記少なくとも1つのエッチングガスはさらに、C又はH又はCとHの両方を含み得る。例えば、前記少なくとも1つのエッチングガスはハロゲン化物又はハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記少なくとも1つのエッチングガスは、SF、NF、F、Cl、Br、HF、HCl、HBr、CClF、CBrF、CHClF、又はCClF又はこれらの2又はそれ以上の組合せを含み得る。
【0036】
他の実施態様では、Si−含有及び/又はGe−含有材料がエッチングされる場合には、前記少なくとも1つのエッチングガスが2つの異なるハロゲン元素を含む。第1のハロゲン元素は、Cl及びBrからなる群から選択され得るものであり、前記第2のハロゲン元素がFを含み得る。前記少なくとも1つのエッチングガスはさらに、C又はH、又はCとHの両方を含み得る。例えば、少なくとも1つのエッチングガスは、ハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記少なくとも1つのエッチングガスは、CClF、CBrF、CHClF、又はCClF、又はこれらの2又はそれ以上の全ての組合せを含み得る。
【0037】
他の実施態様では、SiとO、C、N及びGeからなる1又はそれ以上の元素を持つSi−含有材料がエッチングされる場合には、前記少なくとも1つのエッチングガスはC、H及びハロゲン元素を含む。例えば、前記エッチングガスはハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記エッチングガスは、CHF、CHCl、CHBr、CHF、CHClF、CHBrF、CH、CHClF、CHBrF、CHClF、CHBrF、CHCl、CHBrCl、CHBrCl、又はCHBr、又はこれらの2又はそれ以上の全ての組合せを含み得る。
【0038】
他の実施態様では、金属−含有材料をエッチングする場合には、前記エッチングガスは、F、Cl、及びBrからなる群から選択されるハロゲン元素を含む。前記エッチングガスはさらに、C又はH、又はCとHの両方を含み得る。例えば、前記エッチングガスは、ハロゲン化物又はハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記エッチングガスは、SF、NF、F、Cl、Br、HF、HCl、HBr、CClF、CBrF、CHClF、又はCClF、又はそれらの2つ又はそれ以上の全ての組合せを含み得る。
【0039】
他の実施態様では、金属−含有材料をエッチングする場合には、前記エッチングガスは2つの異なるハロゲン元素を含み。第1のハロゲン元素は、Cl及びBrからなる群から選択され、前記第2のハロゲン元素がFを含み得る。前記エッチングガスはさらに、C又はH、又はCとHとの両方を含む。例えば、前記エッチングガスはハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記エッチングガスは、CClF、CBrF、CHClF、又はCClF、又はこれらの2又はそれ以上の全ての組合せを含む。
【0040】
他の実施態様では、カルコゲニド材料をエッチングする場合には、前記エッチングガスはハロゲン元素を含む。例えば前記エッチングガスはハロゲン化物又はハロメタンを含み得る。加えて、例えば前記エッチングガスは、F、Cl、Br、HF、HCl、HBr、NF、SF、CHF、CHCl、CHBr、CHF、CHClF、CHBrF、CH、CHClF、CHBrF、CHClF、CHBrF、CHCl、CHBrCl、CHBrCl、又はCHBr、又はこれらの2又はそれ以上の全ての組合せを含む。
【0041】
前記少なくとも1つのエッチングガスは、第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスを含み得る。1つの実施態様で、前記第1のエッチングガスはCl又はBrを含み、前記第2のエッチングガスはFを含む。例えば、前記第1のエッチングガスは、Clを含み、前記第2のエッチングガスはNFを含み得る。他の実施態様では、前記第1のエッチングガスがハロメタン又はハロゲン化物を含み、前記第2のエッチングガスがF、Cl、又はBrを含む。他の実施態様で、前記第1のエッチングガスがC、H及びハロゲン元素を含み、前記第2のエッチングガスがF、Cl、又はBrを含む。例えば、前記第1のエッチングガスは、CHF、CHCl、又はCHBrを含み、前記第2のエッチングガスがNF又はClを含み得る。前記第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスは、連続的に前記GCIBに導入され得る。又は、前記第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスが、交互及び順番に前記GCIBに導入され得る。
【0042】
前記加圧ガス混合物はさらにハロゲン元素を含む化合物、F及びCを含む化合物、H及びCを含む化合物、又はC、H、及びFを含む化合物、又はそれらの2又はそれ以上の混合物を含むことができる。加えて前記加圧ガスはさらに、塩素−含有化合物、フッ素−含有化合物又は臭素−含有化合物を含み得る。さらに、前記加圧ガス混合物はさらに、C、F、H、Cl及びBrからなる群から選択される1又はそれ以上の元素を含有する化合物を含み得る。さらに前記加圧ガス混合物はさらに、シリコン−含有化合物、ゲルマニウム−含有化合物、窒素−含有化合物、酸素−含有化合物、又は炭素−含有化合物、又はこれらの2又はそれ以上の組み合わせを含み得る。さらに、前記加圧ガス混合物はさらに、B、C、H、Si、Ge、N、P、As、O、S、F、Cl、及びBrからなる群から選択される1又はそれ以上の元素を含み得る。さらに、前記加圧ガス混合物はさらに、He、Ne、Ar、Kr、Xe、O、CO、CO、N、NO、NO、NO、NH、F、HF、SF、又はNF、又はそれらの2又はそれ以上の混合物を含み得る。
【0043】
さらに、前記GCIBは、少なくとも1つのドーパント又は、薄膜堆積又は成長のための膜形成成分、又はそれらの1又はそれ以上の全ての組み合わせを含む加圧ガス混合物から生成され得る。
【0044】
他の実施態様では、前記GCIBは、1つのエッチングガスを含む第1の加圧ガス混合物及び1つの膜形成ガスを含む第2の加圧ガス混合物を、交互にかつ順に用いて生成され得る。他の実施態様では、前記GCIBの組成及び/又はよどみ点圧力が前記エッチングの際に調節され得る。
【0045】
14で、前記GCIBのためのGCIBプロセス条件の1つ又はそれ以上の性質が、目標エッチング特性の1つ又はそれ以上を達成するために設定される。エッチング速度、エッチング選択性、表面粗度制御、プロフィル制御などの前記目標エッチングプロセス特性を達成するために、前記GCIBは次のことを実行することで生成され得る:即ち、ビーム加速電位、1つ又はそれ以上のフォーカシング電位、及びビーム照射量を選択すること;前記ビーム加速電位に従って前記GCIBを加速すること;前記1つ又はそれ以上のフォーカシング電位に従って前記GCIBをフォーカシングすること;及び前記ビーム照射量に従い前記基板の少なくとも1部分の上を前記加速GCIBで照射すること、である。
【0046】
さらに、これらのGCIB性質に加えて、ビームエネルギー、ビームエネルギー分布、ビーム角度分布、ビーム拡散角度、よどみ点圧力、よどみ点温度、質量流速、クラスタサイズ分布、ビームサイズ、ビーム組成、ビーム電極電位、又はガスノズル設計(ノズルスロート直径、ノズル長さ及び/又はノズル拡散部分半角など)が選択され得る。前記GCIB性質の1つ又はそれ以上が、上述のGCIBエッチングプロセス特性の制御を達成するために選択され得る。さらに、前記GCIB性質の1つ又はそれ以上は、上述の目標エッチングプロセス特性の制御を達成するために変更され得る。
【0047】
図3Aには、1つのGCIBのためのビームエネルギー分布関数が模式的に示される。例えば、図3Aは、いくつかのビームエネルギー分布(30A、30B、30C、30C)を示し、ここでは、分布が方向35に進むにつれてピークビームエネルギーが減少し及びエネルギー分布が広がる。
【0048】
前記GCIBのためのビームエネルギー分布関数は、前記それぞれのGCIBを1つの加圧領域を通る1つのGCIB経路に沿って方向付けるようにして、それにより前記GCIBの少なくとも1部分が前記加圧領域を横切るように変更され得る。前記ビームエネルギー分布の変更の程度は、前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って圧力−距離(d)積分により特徴付けされ得る。前記圧力−距離積分値が増加する場合(前記圧力の増加及び/又は経路長さ(d)の増加のいずれか)、前記ビームエネルギー分布は広がりかつ前記ピークエネルギーは減少する。前記圧力−距離積分値が減少する場合(前記圧力の増加及び/又は経路長さ(d)の減少のいずれか)、前記ビームエネルギー分布は狭くなりかつ前記ピークエネルギーは増加する。一例として、前記ビーム発散を増加させるために前記ビームエネルギー分布を広げることができ、又は前記ビーム発散を減少させるために前記ビームエネルギー分布を狭めることができる。
【0049】
前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って前記圧力−距離積分は、約0.0001トール−cm以上であり得る。又は、前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って前記圧力−距離積分は、約0.001トール−cm以上であり得る。前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って前記圧力−距離積分は、約0.01トール−cm以上であり得る。一例として、前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って前記圧力−距離積分は、0.0001トール−cmから0.01トール−cmであり得る。他の例として、前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿って前記圧力−距離積分は、0.001トール−cmから0.01トール−cmであり得る。
【0050】
又はGCIBのための前記ビームエネルギー分布関数は、前記それぞれのGCIBの荷電状態を変更又は修正することで変更され得る。例えば、前記荷電状態は、ガスクラスタの電子衝撃−誘導イオン化で利用される電子フラックス、電子エネルギー又は電子エネルギー分布を調節することで変更され得る。
【0051】
図3Bには、1つのGCIBのためのビーム角度分布関数が模式的に示される。例えば、図3Bは、入射45(即ち相対角度0°)での第1のピーク42及び第1の幅44(即ち最大値半値幅(FWHM))で特徴付けられる第1のビーム角度分布関数を模式的に図示する。さらに例えば、図3Bは、入射45(即ち相対角度0°)での第1のピーク42’及び第1の幅44’(即ち最大値半値幅(FWHM))で特徴付けられる第2のビーム角度分布関数を模式的に図示する。前記第1のビーム角度分布関数40は狭い分布(又は相対的に狭いビーム拡散角度)を表し、一方前記第2のビーム角度分布関数40’は相対的に広い分布(又は相対的に広いビーム拡散角度)を表す。従って、前記基板上への垂直入射に対しての前記GCIBの方向性は前記ビーム角度分布関数を変更することで調節され得る(例えば角度分布を、前記第1のビーム角度分布関数40と前記第2ビーム角度分布関数40’との間に変更することで)。前記ビーム角度分布関数又はビーム拡散角度は、前記ビームエネルギー分布関数を変更するために説明した上述の技術を用いて変更され得る。
【0052】
1つの実施態様では、前記GCIBプロセス条件の1つ又はそれ以上の性質には、GCIB電位、ビーム照射量、ビーム加速電位、ビームフォーカシング電位、ビームエネルギー、ビームエネルギー分布、ビーム角度分布、ビーム拡散角度、前記GCIB組成の流速、よどみ点圧力、よどみ点温度、前記GCIBが通過する増加圧力領域のためのバックグラウンドガス圧力、又は前記GCIBが通過する増加圧力領域のためのバックグラウンドガス流速(例えば以下詳細に説明されるP−セル(P−Cell)値)が含まれる。
【0053】
他の実施態様では、前記1つ又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成するための1つ又はそれ以上のGCIB性質の設定には、前記第1の材料及び/又は前記第2の材料のための目標エッチング速度、前記第1の材料及び/又は前記第2の材料のための目標エッチング選択性、及び前記第1の材料及び/又は前記第2の材料のための目標表面粗度の2つ又はそれ以上を達成するために、GCIB組成、ビーム加速電位、GCIB組成の流速及び前記GCIBが通過する増加圧力領域のためのバックグラウンドガス流速を設定することを含む。
【0054】
以下説明されるように、前記1つ又はそれ以上のGCIB性質は、前記第1及び第2の材料間の前記目標エッチング選択性を、1未満、実質的に1、及び1を超える値に調節され得る。さらに、以下説明されるように、前記1つ又はそれ以上のGCIB性質は、前記第1及び/又は第2の材料の目標表面粗度を、5オングストローム以下の値に変更するように調節され得る。さらに、前記1つ又はそれ以上のGCIB性質は、前記第1及び/又は第2の材料の相対的高エッチング速度条件又は前記第1及び/又は第2の材料の相対的低エッチング速度を達成するように調節され得る。
【0055】
15で、前記GCIBは減圧環境を通じて、ビーム加速電位に従い基板22へ加速される。前記GCIBについて、前記ビーム加速電位は100kVまでの範囲、前記ビームエネルギーは100eVまでの範囲、前記クラスタサイズは数万原子までの範囲、及び前記ビーム照射量は約1x1017クラスタ/cmの範囲であり得る。例えば、前記GCIBのビーム加速電位は約1kVから約70kVであり得る(即ち、平均クラスタ荷電状態が1と仮定すると、前記ビームエネルギーは約1keVから約70keVとなる)。さらに例えば、前記GCIBのビーム照射量は約1x1012クラスタ/cmから約1x1014クラスタ/cmであり得る。
【0056】
前記GCIBは、原子当たりのエネルギー比率が約0.25eV/原子から約100eV/原子の範囲を持つように確定され得る。又は前記GCIBは、原子当たりのエネルギー比率が約0.25eV/原子から約10eV/原子の範囲を持つように確定され得る。又は前記GCIBは、原子当たりのエネルギー比率が約1eV/原子から約10eV/原子の範囲を持つように確定され得る。
【0057】
望ましい原子当たりのエネルギーを持つGCIBの確定には、ビーム加速電位、前記GCIB形成のよどみ点圧力又はガス流速、又はそれらの全ての組み合わせの選択を含む。前記ビーム加速電位は、前記ビームエネルギー又はイオンクラスタ当たりのエネルギーを増減させるために使用され得る。例えば、前記ビーム加速電位の増加により前記最大ビームエネルギーを増加させ、それにより所定のクラスタサイズについての原子当たりのエネルギー比率が増加する。さらに、前記よどみ点圧力は前記所定のクラスタサイズを増減させるために使用され得る。例えば、CGIBの形成の際に前記よどみ点圧力を増加させることは前記クラスタサイズ(即ち、クラスタ当たりの原子数)を増加させることになり、従って所定のビーム加速電位のための原子当たりのエネルギーが減少する。
【0058】
ここでビーム照射量は、単位面積当たりのクラスタ数の単位で与えられる。しかしビーム照射量はまた電流及び/又は時間(即ちGCIB滞留時間)を含む。例えば前記ビーム電流は測定されて一定に維持される一方で、時間は前記ビーム照射量を変えるために変更され得る。又は例えば、クラスタが前記基板の単位面積当たりの表面に衝突する割合(即ち、単位時間当たりの単位面積当たりのクラスタの数)は一定に維持される一方で、前記時間は前記ビーム照射量を変えるために変更され得る。
【0059】
16で、前記GCIBは前記基板22の表面の少なくとも1部分を照射して前記第1の材料及び前記第2の材料の少なくとも1部分をエッチングする。
【0060】
図1に記載された方法はさらに、1つ又はそれ以上の新たな目標エッチングプロセス特性を作るため前記1つ又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を変更すること、及び前記1つ又はそれ以上の新たな目標エッチングプロセス特性のための追加のGCIBプロセス条件の1つ又はそれ以上の追加のGCIB性質を設定することを含む。
【0061】
他の実施態様によると、基板22を前記GCIBで照射することに加えて、他のGCIBが追加の制御及び/又は作用のために使用され得る。第2のGCIBなどの他のGCIBによる基板22の照射は、前記GCIBの使用前、使用中又は使用後に行うことができる。例えば、他のGCIBは前記基板22の1部分を不純物でドープするために使用され得る。さらに例えば、他のGCIBは、基板22の性質を変えるために前記基板の1部分を変更するために使用され得る。さらに例えば、他のGCIBは、基板22から追加の材料除去のために基板22の1部分をエッチングするために使用され得る。さらに例えば、他のGCIBは、基板22から、ハロゲン−含有残渣などの材料除去のために基板22の1部分を洗浄するために使用され得る。さらに例えば、他のGCIBは前記基板22の1部分上に材料を成長又は堆積させるために使用され得る。前記ドーピング、変更、エッチング、洗浄、成長又は堆積には、He、Ne、Ar、Xe、Kr、B、C、Se、Te、Si、Ge、N、P、As、O、S、F、Cl、及びBrからなる群から選択される1又はそれ以上の元素を導入することが含まれる。
【0062】
他の実施態様によると、GCIB照射の対象となる基板22の前記少なくとも1部分(20、20’、20’’)は前記GCIBでの照射の前又は後で洗浄され得る。例えば、前記洗浄プロセスには、乾式洗浄プロセス及び/又は湿式洗浄プロセが含まれる。さらに、基板22の前記少なくとも1部分(20、20’、20’’)は前記GCIBでの照射の後にアニーリングされ得る。
【0063】
他の実施態様によると、基板22を用意し及び/又はエッチングする場合に、基板22の全ての部分又は構造パターン28が修正プロセスの対象とされ得る。修正プロセスの間、GCIBプロセスシステムに結合された計測システムを用いて、その場(in−situ)で又はその場以外(ex−situ)のいずれかで計測データが取得される。前記計測システムには、全ての種類の基板診断システムが含まれ、例えば限定されるものではないが、光学的診断システム、X線蛍光分光システム、4点プローブシステム、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査電子顕微鏡(SEM)などが含まれる。さらに、前記測定システムには、オプティカル・デジタル・プロフィル(ODP)、散乱計、エリプソメータ、反射計、干渉計又はこれらの2つ又はそれ以上の組み合わせが含まれる。
【0064】
例えば、前記測定システムは光学散乱測定システムを含む。
前記散乱測定システムには、ビームプロフィルエリプソメトリ(エリプソメーター)及びビームプロフィル反射計(反射計)が組み込まれた散乱計が含まれ、これは、Therma−Wave、Inc.(1250 Reliance Way、Fremont、CA 94539)又はNanometrics、Inc.(1550 Buckeye Drive、Milpitas、CA 95035)から市販されているものが入手できる。さらに例えば、その場測定システムには、基板上を測定するように構成される集積化オプティカル・デジタル・プロフィル(ODO)モジュールが含まれ得る。
【0065】
前記測定データには、前記基板、前記基板上に形成される全ての層及びサブ層及び/又は前記基板上の装置の全ての部分に関する、幾何学的、機械的、電子的及び/又は光学的パラメータなどのパラメータデータが含まれ得る。例えば、測定データには、上述した測定システムで測定可能な全てのパラメータが含まれ得る。さらに例えば、測定データには、膜厚、表面及び/又は境界面粗度、表面汚染、構造深さ、トレンチ深さ、ビア深さ、構造幅、トレンチ幅、ビア幅、限界寸法(CD)、電気抵抗又はこれらの2又はそれ以上の全ての組み合わせを含み得る。
【0066】
前記測定データは、前記基板の2つ又はそれ以上の位置での測定がなされ得る。さらに、このデータは1つ又はそれ以上の基板について取得され収集され得る。前記1つ又はそれ以上の基板は、例えば基板のカセットを含み得る。前記測定データは、1つ又はそれ以上の基板の少なくとも2つ又はそれ以上の位置で測定され、かつ例えば前記1つ又はそれ以上の基板のそれぞれの複数の位置で取得され得る。その後、前記複数の基板のそれぞれの上の複数の位置は、測定された場所から測定されていない場所にデータフィッティングアルゴリズムを用いて拡張され得る。例えば、前記データフィッティングアルゴリズムは、内挿(直線又は非直線)又は外挿(直線又は非直線)又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0067】
前記測定システムを用いて前記1つ又はそれ以上の基板について測定データ収集されると、前記測定データは制御装置に送られて修正データを計算する。測定データは、物理的接続(例えばケーブル)又は無線接続又はそれらの組み合わせにより前記測定システムと前記制御装置との間を交信可能となる。さらに、前記測定データは、イントラネット又はインターネを介して交信され得る。又は、測定データは、前記測定システムと制御装置の間を、コンピュータ読取可能媒体を介して交信され得る。
【0068】
修正データは、前記基板の位置に特異的な処理のために計算され得る。所定の基板についての前記修正データは、前記入力される測定データに関する前記パラメータデータと前記所定の基板について前記目標パラメータデータとの間で変更を達成するために前記基板上の位置の関数として前記GCIB照射量を変調するためのプロセス条件を含む。例えば所定の基板についての修正データは、前記所定の基板についての前記パラメータデータの非均一性を修正するために前記GCIBを用いるためのプロセス条件を決定することを含む。又は例えば、前記所定の基板についての修正データは、前記所定の基板について前記パラメータデータの特に意図された非均一性を作るために前記GCIBを用いるためのプロセス条件を決定することを含む。
【0069】
前記パラメータデータ及び前記GCIB照射量の望ましい変更の間の関係、及び前記GCIB照射量と1セットのGCIBプロセスパラメータを持つGCIBプロセス条件との間の確立された関係を用いて、前記制御装置はそれぞれの基板について修正データを決定する。例えば、1つの数学的アルゴリズムが採用され、前記入力される測定データに伴う前記パラメータデータに基づき、入力パラメータデータと前記目標パラメータデータとの差を計算し、前記GCIBプロセスパターン(即ち、エッチングパターン又は堆積パターン又はこれらの両方)をこの差に適合させるように変換し、かつパラメータデータと前記GCIB照射量での変更の間の前記関係を用いて前記GCIBプロセスパターンが達成されるようにビーム照射等高線を作る。その後例えば、GCIBプロセスパラメータは、前記ビーム照射量及びGCIBプロセス条件の間の関係を用いて前記計算されたビーム照射等高線に合わせるように決定され得る。前記GCIBプロセスパラメータには、ビーム照射量、ビーム領域、ビームプロフィル、ビーム強度、ビームスキャン速度、又は曝露時間(又はビーム滞留時間)、又はそれらの2又はそれ以上の全ての組合せが含まれる。
【0070】
この実施態様には、数学的アルゴリズムの選択による多くの異なる対応方法が適切に適用され得る。他の実施態様では、前記ビーム照射等高線は、パラメータデータの望ましい変更を達成するために追加の材料を選択的に堆積することができる。
【0071】
前記修正データは、GCIBを用いて前記基板へ適用され得る。修正プロセスの際に、前記GCIBは、平滑化、アモルファス化、変更、ドーピング、エッチング、成長又は堆積、又はこれらの2つ又はそれ以上の全ての組合せの少なくとも1つを実行するように構成され得る。前記基板への修正データの適用は、基板欠陥の修正、基板表面平坦性の修正、層厚さの修正又は層接着性の改善を容易にすることができる。基板がGCIB特徴で処理されると、基板の均一性又は基板についてパラメータデータの分布は、その場で又はその他の場で検査され、前記プロセスは終了するか、又は適切に微調節され得る。
【0072】
【表1】

図4Aから4Lを参照する。ここには基板の材料をエッチングするための例示データが図示されている。図4Aは、12のGCIBプロセス条件の関数としてシリコン酸化物(SiO)の基準化エッチング速度の棒グラフである。前記12のGCIBエッチングプロセスの前記GCIBプロセス条件は表1に与えられている。それぞれGCIBプロセス条件のエッチング速度は、アルゴンGCIBを用いたエッチング速度で基準化されている。これは表1では1つのGCIB条件「A」として挙げられている。
【0073】
表1で、それぞれのGCIBプロセス条件は、GCIB組成、ビーム加速電位(kV)及び前記ビームエネルギー分布関数の修正に関係するP−セル値が与えられている。GXIB組成に関して、用語「5%NF/N」とは、NFとNとの相対的量(mol/mol%)を表す。P−セル値に関して、上述のように、前記P−セル値は、バックグラウンドガスの流速(標準立法センチメートル/分、sccmで)に関し、バックグラウンドガスは圧力増加領域に導入されて、前記GCIB及び前記バックグラウンドガスとの間の衝突を起こさせて前記ビームエネルギー分布関数を広げさせる。例えば、前記GCIBが通過する前記圧力セルでの圧力は、バックグラウンドガス40sccm(P−セル値「40」)(又は圧力−距離積分が約0.005トール−cm)を前記圧力セル中に導入することで上昇する。
【0074】
図4Aに示されるように、前記シリコン酸化物(SiO)のエッチング速度は、広い範囲のGCIBプロセス条件につき決定された。前記GCIBがArのみを含む場合、即ちGCIBプロセス条件「A」の場合は、前記エッチング速度は、純粋に物理的に、例えばスパッタリングにより駆動される。しかし、図4A及び表1には、前記GCIB組成は前記エッチングプロセスに化学成分を加えてエッチング速度を増加させることが提案されている。
【0075】
図4Bで示されるように、棒グラフは、表1のGCIBプロセス条件の1つの関数として、シリコン酸化物(SiO)及びフォトレジスト間のエッチング選択性を示す。前記エッチング選択性は、シリコン酸化物(SiO)のエッチング速度に対するフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関連する(即ち、E/RSiO/E/RP.R.)。図4Bから、CHF系GCIB組成及びCl系GCIB組成は、1を超えるエッチング選択性を与えることを示す。
【0076】
図4Cは、GCIBプロセス条件とP−セル値の関数として、シリコン酸化物(SiO)とフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度のデータを図示する。3つのGCIBプロセスについてGCIBプロセス条件は表2に与えられている。表2では、それぞれのエッチングプロセス条件は、GCIB組成、ビーム加速電位(kV)及び前記それぞれのGCIB組成中のそれぞれの化学成分についての流速(sccm)が与えられている。図4Cから分かるように、3つのGCIBプロセス条件の全てを用いるシリコン酸化物及びフォトレジストのエッチング速度は、P−セル値の減少に伴い減少する。
【0077】
【表2】

図4Dに示されるように、表2のGCIBプロセス条件の関数として、シリコン酸化物(SiO)とフォトレジストのエッチング選択性が棒グラフで示される。前記エッチング選択性は、シリコン酸化物(SiO)のエッチング速度に対するフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関係する(即ち、E/R SiO/E/R P.R.)。図4Dから次のことが分かる:(1)SiOとP.R.間のエッチング選択性はP−セル値の増加と共に増加すること;(2)SiOとP.R.間のエッチング選択性は、特により高いP−セル値においてハロメタン組成に酸素添加することでやや増加すること;及び(3)CHF系GCIB組成は、Cl系GCIB組成と比較して高いSiO及びP.R.間の選択性を与えること、である。
【0078】
図4Eに示されるように、シリコン酸化物(SiO)のエッチング表面の表面粗度のデータグラフが、表2のGCIBプロセス条件及びP−セル値の関数としてプロットされている。前記表面粗度(オングストローム(A)で測定される、Ra)は平均粗度を表す。粗度の程度は、境界面及び/又は表面不均一性の尺度である。例えば、表面粗度などの粗度の程度は、最大粗度(Rmax)、平均粗度(Ra)(図4Eに示されるように)又は二乗平均平方根粗度(Rq)として数学的に特徴付けられ得る。図4Eから次のことが分かる:(1)SiOの平均粗度はP−セル値の減少に伴い減少すること;(2)CHF系GCIB組成は、Cl系GCIB組成に比較してSiO上やや高い平均粗度を与える、ということである。
【0079】
図4Fに、表3のGCIBプロセス条件の関数としてシリコン酸化物(SiO)のエッチング速度及びシリコン酸化物及びフォトレジスト間のエッチング選択性が棒グラフで示される。前記エッチング選択性は、シリコン酸化物(SiO)のエッチング速度に対するフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関する(即ち、E/R SiO/E/R P.R.)。表3の前記3つのGCIBプロセス条件についてGCIB組成は同じく表2に示される。しかしいくつかのGCIBプロセス条件は、相対的に低い表面粗度(3オングストローム以下の程度)を達成するために調節されている。
【0080】
【表3】

表3には、ビーム加速電位、P−セル値、GCIB組成中のそれぞれの加圧ガスの流速、及び得られるエッチング選択性と平均粗度が与えられている。図4Fは、対応する相対的エッチング速度及びエッチング選択性が示される。明らかに、CHF系GCIB組成は高いエッチング選択性と共に相対的に低い表面粗度を達成する。
【0081】
図4Gは、20%CHF/HeのGCIB組成についての流速の関数として、多結晶性シリコン(Si)に対するフォトレジスト(P.R.)、シリコン酸化物(SiO)及びシリコン窒化物(SiN)のエッチング選択性を表す棒グラフである。前記GCIBプロセス条件はさらに、60kVのビーム加速電位及び0のP−セル値を含む。前記流速が350sccmから550sccmへ増加すると、Siに対するP.R.、SiO及びSiNのエッチング選択性は1を超える値から1未満の値へ下がる。
【0082】
図4Hは、10%CHF/HeのGCIB組成についてのGCIBプロセス条件を関数とする、シリコン酸化物(SiO)及び多結晶性シリコン(Si)の間のエッチング選択性を示す棒グラフである。図4Hに示されるように、P−セル値の増加は、SiOとSi間のエッチング選択性を増加させ、一方で流速の増加はSiOとSi間のエッチング選択性を減少させる。
【0083】
【表4】

表4には、いくつかのGCIBプロセス条件、及び得られるエッチング選択性(SiOとSi間の)及び平均粗度が与えられる。前記エッチング選択性は、約1から約12の値に変動し、一方で約1A(オングストローム)から約4Aの範囲の平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。
【0084】
図4Iは、10%CHF/OのGCIB組成に加えられるHeの流速を関数とした、SiOのエッチング速度、多結晶性Si(Si)のエッチング速度、及びSiOとSiの間のエッチング選択性を示すデータグラフである。それぞれの選択性のピーク値(約12.2)についてのGCIBプロセス条件は表4に与えられる(第6列参照)。He流速の変更の際には、GCIBプロセス条件での残りのパラメータは一定に維持された。
【0085】
図4Jは、10%CClF/HeのGCIB組成についてP−セル値の関数として、多結晶性シリコン(Si)に対してフォトレジスト(P.R.)、シリコン酸化物(SiO)及びシリコン窒化物(SiN)のエッチング選択性を示す棒グラフである。前記GCIBプロセス条件はさらに、60kVのビーム加速電位及び450sccmの流速を含む。P−セル値が0から40へ増加すると、Siに対するSiO及びSiNのエッチング選択性は増加し、一方でSiに対するP.R.のエッチング選択性は減少する。
【0086】
【表5】

図4Kは、10%CClF/HeのGCIB組成についてビーム加速電位を関数として、多結晶性シリコン(Si)に対してフォトレジスト(P.R.)、シリコン酸化物(SiO)及びシリコン窒化物(SiN)についてエッチング選択性を示す棒グラフである。前記GCIBプロセス条件はさらに、0のP−セル値及び450sccmの流速が含まれる。ビーム加速電位が60kVから10kVへ減少すると、P.R.、SiO及びSiNのSiに対するエッチング選択性が減少する。
【0087】
表5には、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(SiとSiO間の)及びSiでの平均粗度が与えられる。それぞれのGCIBプロセス条件は、He中10%のCBrFを含むGCIB組成である。いくつかの場合には、Nが前記GCIBに添加される。前記エッチング選択性は、約0.3から約2.5の値を変動する。一方約3Aから約30Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。例えば、ビーム加速電位の増加、P−セル値の増加、及びエッチング化合物の流速の減少と共にNを添加することで、最小の平均粗度が得られる。
【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

表6で、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(SiとSiO間の)及びSiでの平均粗度が与えられる。それぞれのGCIBプロセス条件は、He中の20%CFを含むGCIBを組成である。前記エッチング選択性は、約0.32から約0.54の値で変動し、一方約2Aから約19Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。
【0090】
【表8】

表7には、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(Si及びSiO間の)及びSiでの平均粗度が与えられている。それぞれのGCIBプロセス条件は、N中に20%NFを含む組成GCIB組成である。前記エッチング選択性は、約1から4の値を変動し、一方約2Aから約60Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。高いエッチング速度及びエッチング選択性が、平均粗度を犠牲にすると達成され得る。さらに、SiとSiN間のエッチング選択性は、p−ドープSiとSiN間のエッチング選択性と類似しているように見える。
【0091】
表8では、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(SiとSiN間の)及びSiの平均粗度が与えられる。それぞれのGCIBプロセス条件は、N中に2%から6%のClを含むGCIB組成である。いくつかの場合には、He、Ar又はNが前記GCIBへ添加される。前記エッチング選択性は、約1から11の値を変動し、一方約12Aから約105Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。
【0092】
表9には、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(SiとSiN間の)及びSiの平均粗度が与えられる。それぞれのGCIBプロセス条件は、He中に4%から6%のClを含むGCIB組成である。前記エッチング選択性は、約1.4から6の値を変動し、一方約5Aから約40Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。ClのためのキャリアとしてHeを用いることは、ClのキャリアとしてNを用いる場合よりもより低い平均粗度を与えるように見える。
【0093】
【表9】

表10では、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られるエッチング選択性(SiとSiN間の)及びSiの平均粗度が与えられる。それぞれのGCIBプロセス条件は、He中に35%HClを含むGCIB組成である。前記エッチング選択性は、約2から7の値を変動し、一方約15Aから約25Aの平均粗度が、GCIB組成、ビーム加速電位、P−セル値及び流速を含む種々のGCIBプロセス条件を調節することで達成される。
【0094】
【表10】

図4Lでは、基板上の材料のエッチングのための例示的データが示される。図4Lは、3つのGCIBエッチングプロセスのために、NiFe、Cu、CoFe、Al、Al、Ru、W、Mo、TaN、Ta、AlN、SiO、SiN、Si、SiC、フォトレジスト(P.R.)、及びSiCOHを含む、いくつかの材料のエッチング速度を示す棒グラフである。前記GCIBプロセスは:(A)Ar;(B)5% NF/N;及び(C)4%Cl/Heを含む。前記3つのGCIBエッチングプロセスのためのプロセス条件は表11に与えられる。
【0095】
【表11】

表11で、それぞれのGCIBプロセス条件は、GCIB組成、ビーム加速電位(kV)、前記ビームエネルギー分布の修正に関するP−セル値、及び前記GCIB組成の流速を含む。
【0096】
図4Lに示されるように、CoFe、NiFe、及びAlなどのいくつかの金属−含有材料のエッチング速度は、F系GCIB化学反応系とは逆に、Cl系GCIB化学反応系を用いる場合に改善される傾向がある。また、GCIBプロセス条件で「A」とされる、GCIBがArのみを含有する場合には、エッチング速度は、純粋に物理的、例えばスパッタリングにより駆動される。しかし図4L及び表11により、前記GCIB組成が、前記エッチングプロセスへ化学成分を与えるように選択され、エッチング速度を増加させることができることが示唆される。
【0097】
図5を参照して、上述の基板処理のためのGCIBプロセスシステム100が、本発明の1つに実施例により示されている。
前記GCIBプロセスシステム100は、真空容器102、基板ホルダ150、その上に処理される基板152が固定される。前記GCIBプロセスシステム100はさらに真空ポンプシステム170A、170B及び170Cを含む。基板152は半導体基板、ウェハ、フラットパネルディスプレイ(FPD)、液晶ディスプレイ(LCD)、又はその他のワークピースであり得る。GCIBプロセスシステム100は基板152を処理するためにGCIBを生成するように構成される。
【0098】
図5のGCIBプロセスシステムを参照して、前記真空容器102は、3つの流通チャンバ、即ちソースチャンバ104、イオン化/加速チャンバ106及び減圧筺体を与えるためのプロセスチャンバ108を含む。前記3つのチャンバは適切な操作圧力に真空ポンプシステム170A、170B及び170Cによりそれぞれ減圧される。3つの流通チャンバ104、106、108において、ガスクラタスタビームは前記第1のチャンバ(ソースチャンバ104)で形成され得る。一方、GCIBは前記第2のチャンバ(イオン化/加速チャンバ106)で生成されることができ、ここで前記ガスクラスタビームはイオン化され加速される。その後前記第3のチャンバ(プロセスチャンバ108)で、加速されたGCIBが基板152を処理するために利用され得る。
【0099】
図5に示されるように、GCIBプロセスシステム100は、1又はそれ以上のガス源を有し、1又はそれ以上のガス又はガス混合物を真空容器102へ導入するように構成される。例えば、第1のガス源111に貯蔵された第1のガス組成が、第1のガス制御バルブ113Aを通じて圧力下でガス測定バルブ113へ送られる。さらに、例えば第2のガス源112に貯蔵される第2のガス組成が第2のガス制御バルブ113Bを通じて圧力下ガス測定バルブ113へ送られる。さらに、例えば前記第1のガス組成又は第2のガス組成又はそれらの両方は凝縮可能な不活性ガス、キャリアガス又は希釈ガスを含み得る。例えば、前記不活性ガス、キャリアガス又は希釈ガスには、He、Ne、Ar、Kr、Xe、又はRnなどの希ガスが含まれる。
【0100】
さらに、前記第1のガス源111及び第2のガス源112はいずれかのみ又はお互いに組み合わせてイオン化クラスタを生成するために利用され得る。前記材料組成には、前記材料層と反応又は導入されることが望まれる前記元素の前記主原子又は分子種を含み得る。
【0101】
前記第1のガス組成又は第2のガス組成又はそれらの両方を含む高圧、凝縮可能なガスは、ガス供給チューブ114を通じてよどみチャンバ(stagnation chamber)116に導入され、適切な形状のノズル110を通じて実質的に低圧真空内に噴射される。前記高圧凝縮可能なガスが前記よどみチャンバ116からより低圧領域に前記ソースチャンバ104へ膨張する結果として、前記ガス速度は超音波速度に加速され、ガスクラスタビーム118がノズル110から噴射される。
【0102】
前記ジェット内で膨張することによる静的エンタルピーとして前記ジェットの固有冷却は運動エネルギーと交換され、これにより前記ガスジェットの1部分が濃縮され、クラスタを含むガスクラスタビーム118を形成し、それぞれのクラスタは数個又は数千個の弱く結合された原子又は分子からなる。ガススキマ−120は、前記ノズル110の出口から下流の、前記ソースチャンバ104とイオン化/加速チャンバ106の間に設けられる。これは、前記ガスクラスタビーム118の周辺端部にあるクラスタに凝縮されない可能性のあるガス分子を、クラスタが形成され得る前記ガスクラスタビーム118のコア部分でのガス分子と分離するためである。とりわけ、ガスクラスタビーム118の1部分のこの選択は、前記下流の圧力を低減させ得るからである。というのは前記下流では高圧が有害となり得るからである(例えばイオン化装置122及びプロセスチャンバ108)。さらに、ガススキマー120は、前記イオン化/加速チャンバ106に導入されるガスクラスタビームの初期寸法を決める。
【0103】
前記GCIBプロセスシステム100はまた、1又はそれ以上のスキマー開口部を持つ多重ノズルを含み得る。多重のガスクラスタイオンビームの設計に関連するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2010/0193701A1(発明の名称「Multiple Nozzle Gas Cluster Ion Beam System」(2009年4月23日出願);及び米国特許出願公開第2010/0193472A1(発明の名称「Multiple Nozzle Gas Cluster Ion Beam Processing System and Method of Operating」(2010年3月26日出願)に記載され、これらの内容は参照されて本明細書の援用される。
【0104】
前記ガスクラスタビーム118が前記ソースチャンバ104で形成された後、前記ガスクラスタビーム118中の構成ガスクラスタはイオン化装置122でイオン化されGCIB128を形成する。前記イオン化装置122は、1又はそれ以上のフィラメント124から電子を生成する電子衝突イオン化装置を含み、これらの電子は加速されて、前記イオン化/加速チャンバ106内部で前記ガスクラスタビーム118内の前記ガスクラスタと衝突するように方向付けられる。ガスクラスタとの衝突衝撃で、十分なエネルギーの電子が、前記ガスクラスタ内の分子から電子を放出させてイオン化分子を生成させる。前記ガスクラスタのイオン化は、通常は正味正電荷を持つ荷電ガスクラスタの集団を生成する。
【0105】
図5に示されるように、ビーム電子回路130が、イオン化、抽出、加速及びGCIB128のフォーカシングに利用される。前記ビーム電子回路130は、フィラメント電力供給136を含み、これは前記イオン化装置フィラメント124を加熱するための電圧Vを提供する。
【0106】
さらに、前記ビーム電子回路130は、前記イオン化/加速チャンバ106内で一組の適切にバイアスされた高電圧電極126を含み、これは前記イオン化装置122から前記クラスタイオンを抽出する。前記高電圧電極126はその後前記抽出されたクラスタイオンを加速して望ましいエネルギーとしそれらをフォーカシングしてGCIB128を定める。前記GCIB128中のクラスタイオンの運動エネルギーは、通常は約1000電子ボルト(1keV)から数十keVの範囲である。例えばGCIB128は、1から100keVへ加速され得る。
【0107】
図5に示されるように、前記ビーム電子回路130はさらに、アノード電力供給134を含み、これは、イオン化装置フィラメント124から放出された電子を加速するためにイオン化装置122のアノードに電圧Vを与え、前記電子をガスクラスタビーム118中のガスクラスタへ衝突させてクラスタイオンを生成させる。
【0108】
さらに、図5に示されるように、前記ビーム電子回路130は、抽出電力供給138を含みこれは前記イオン化装置122のイオン化領域からイオンを抽出しGCIB128を生成させるために少なくとも1つの高電圧電極126をバイアスするための電圧VEEを与える。例えば抽出電力供給138は、イオン化装置122のアノード電圧以下の高電圧電極126の第1の電極へ電圧を供給する。
【0109】
さらに、前記ビーム電子回路130は、加速装置電力供給140を含み、これは前記イオン化装置122に関して前記高電圧電極126の1つをバイアスするために電圧VACCを与え、その結果全GCIB加速エネルギーを約VACC電圧(eV)にする。例えば、加速装置電力供給140は、前記高電圧電極126の第2の電極へ前記イオン化装置122のアノード電圧以下でありかつ前記第1の電極の前記抽出電圧以下である電圧を与える。
【0110】
さらに、前記ビーム電子回路130はレンズ電力供給142、144を含み、これらは、前記GCIB128をフォーカシングするための電位(例えばVL1及びVL2)を持ついくつかの高電圧電極をバイアスするために設けられ得る。例えば、レンズ電力供給142は、前記高電圧電極126の第3の電極へ電圧を供給することができ、それは前記イオン化装置122のアノード電圧、前記第1の電極の抽出電圧、及び前記第2の電極の加速装置電圧以下であり、かつレンズ電力供給144は前記高電圧電極126の第4の電極へ電圧を供給することができ、それは前記イオン化装置122のアノード電圧、前記第1の電極の抽出電圧、及び前記第2の電極の加速装置電圧及び前記第3の電極の第1のレンズ電圧以下である。
【0111】
留意すべきは、イオン化及び抽出方法の両方に多くに変法が使用され得る、ということである。ここで記載される方法は教示目的で有用であり、他の抽出方法にはVACCでの前記イオン化装置及び前記抽出電極(又は抽出光学系)の前記第1の要素を設けることを含む。このことは通常、前記イオン化装置電力供給のために電圧制御のための光ファイバプログラミングを必要とするが、より簡単な光学経路を生成する。ここで記載れた発明は、イオン化装置及び抽出レンズのバイアス化にも拘わらず有用である。
【0112】
前記高電圧電極126の下流の前記イオン化/加速チャンバ106のビームフィルタ146が、GCIB128からモノマー及び軽いクラスタイオンを除去するために利用され、前記プロセスチャンバ108へ入るフィルタされたプロセスGCIB128Aを定める。1つの実施態様では、前記ビームフィルタ146は実質的に、クラスタの数を100以下の原子又は分子又はその両方に低減する。前記ビームフィルタは、フィルタプロセスを支援するために前記GCIB128を超えて磁場を付加するために磁石アセンブリを含む。
【0113】
図5を参照して、ビームゲート148は、イオン化装置/加速チャンバ106のGCIB128の経路内に設けられる。ビームゲート148は、開口状態を有し、そこでは前記GCIB128が前記イオン化装置/加速チャンバ106から前記プロセスチャンバ108へ通過しGCIB128Aを定めることを許容し、かつ閉口状態を有し、そこではGCIB128は前記プロセスチャンバ108に入ることがブロックされる。制御ケーブルが、制御システム190からビームゲート148へのシグナル制御を行う。前記制御シグナルは、前記開口及び閉口状態との間でビームゲート148の切り替えの制御を可能とする。
【0114】
基板152は、ウェハ又は半導体ウェハ、フラットパネルディスプレイ(FPD)、液晶ディスプレイ(LCD)又は他のGCIBプロセスで処理される基板であり得る。基板152は前記プロセスチャンバ108内のプロセスGCIB128Aの経路内に設けられる。大部分の応用が、空間的に均一結果となる大型基板のプロセスを含むことから、スキャンシステムは、前記プロセスGCIB128Aが広い領域にわたり均一にスキャンして空間的に同一の結果を得ることが望まれる。
【0115】
X−スキャン駆動装置160は、基板ホルダ150をX−スキャン移動の方向に直線移動させる(紙面内及び紙面の外)。Yスキャン駆動装置162は、基板ホルダ150をY−スキャン移動164の方向、通常はX−スキャン移動に直行する方向に直線移動させる。X−スキャン及びY−スキャン移動の組合せが基板ホルダ150で保持された基板152を移動させ、ラスタ様スキャン移動でプロセスGCIB128Aを通過させ、前記基板152のプロセスのためのプロセスGCIB128Aにより基板152の表面を均一(又はプログラムされたように)に照射させる。
【0116】
基板ホルダ150は、前記基板152を前記プロセスGCIB128Aの前記軸に関してある角度で設け、それによりプロセスGCIB128Aは、基板152表面に関してある角度のビーム入射166を有する。前記ビーム入射166の角度は、90度又はその他の角度であり得る。しかし通常は90度又はそれに近い角度である。Y−スキャンの際に、基板152及び基板ホルダ150は、前記示された位置から152A及び150Aでそれぞれ示される他の位置「A」へ移動する。前記2つの位置の間を移動する際に、基板152はプロセスGCIB128Aを通じてスキャンされ、かつ両方の端部に移動してプロセスGCIB128Aの経路から完全に外れる(オーバースキャン)。図5では明確に示されていないが、同様のスキャン及びオーバースキャンが、(通常)直行するX−スキャン移動方向(紙面内及び外)で実行される。
【0117】
ビーム電流センサ180は、基板ホルダ150を超えて、プロセスGCIB128Aの経路中に設けられ、前記基板ホルダ150がプロセスGCIB128Aの経路の外をスキャンされる際にプロセスGCIB128Aのサンプルを捕集する。ビーム電流センサ180は通常はファラディカップなどであり、ビーム入射開口部を除いて閉鎖され、通常は電気絶縁性の台182を有する真空容器102の壁部に固定されている。
【0118】
図5に示されるように、制御システム190は、X−スキャン駆動装置160、Y−スキャン駆動装置162に電気ケーブルを通じて接続され、X−スキャン駆動装置160、Y−スキャン駆動装置162を制御して、基板152をプロセスGCIB128Aの中又は外に配置するようにして前記プロセスGCIB128Aによる基板152の望ましい処理が達成されるように制御する。制御システム190は、ビーム電流センサ180で集められたサンプルビーム電流を、電気ケーブルの手段により受け取り、それによりGCIBをモニタし、かつ、所定の照射量が伝達された場合にプロセスGCIB128Aから基板152を移動させることで基板152により受け取られるGCIB照射量を制御する。
【0119】
図6に示されるように、GCIBプロセスシステム100’は、図5の実施態様と類似し、さらにX−Y位置決めテーブル253を含み、これは基板252を2軸で動かすことができ、基板252をプロセスGCIB128Aに対して効果的にスキャンすることができる。例えば、前記X−移動は、紙面の内及び外への動きを含み、Y−移動は方向264に沿った動きを含む。
【0120】
前記プロセスGCIB128Aは、基板252の表面上に関してビーム入射266の角度で、前記基板の表面の予定された衝突領域286で基板と衝突する。X−Y移動により、X−Y位置決めテーブル253は、基板252の表面のそれぞれの部分をプロセスGCIB128Aの経路内に位置させることができ、それにより前記表面の全ての領域がプロセスGCIB128Aにより処理されるために前記予定された衝突領域286と一致させるようにすることができる。X−Y制御装置262は、電位シグナルを前記X−Y位置決めテーブル253に電気ケーブルを通じて送り、X軸及びY軸方向のそれぞれの位置と速度を制御することができる。前記X−Y制御装置262は、電気ケーブルを介して制御システム190から制御シグナルを受け取り、それにより操作可能となる。X−Y位置決めテーブル253は、従来のX−Yテーブル位置わせ技術により連続的移動又はステップ移動で、基板252の異なる領域を前記予定される衝突領域286内に移動させる。1つの実施態様では、X−Y位置決めテーブル253は制御装置190により、プログラムされた速度で、基板252の全ての部分が、プロセスGCIB128Aにより処理するGCIBのために予定された衝突領域286を通ってスキャン操作されるようにプログラム化可能である。
【0121】
位置決めテーブル253の基板保持表面254は導電性であり、制御装置190で操作される照射量測定プロセッサに接続される。位置決めテーブル253の電気絶縁性層255が、基板252と基板保持表面254とを前記位置決めテーブル253の基台部260から分離する。プロセスGCIB128Aの衝突により基板252内に誘導される電荷は、基板252、基板ホルダ表面254を伝わり、シグナルが照射量測定のための制御装置190へ位置決めテーブル253を通じて結合される。照射量測定は、GCIBプロセッサ照射量を決定するためにGCIB電流を積算するために積算手段を持つ。特定の条件下で、電子のターゲット−中和ソース(図示されない)(電子フラッドと参照される場合がある)が、プロセスGCIB128Aを中和するために使用され得る。そのような場合には、ファラディカップ(図示されていないが、図5のビーム電流センサ180に類似する)が、電荷ソースが追加されても正確な照射量を保証するために使用され得る。その理由は、通常ファラディカップは高エネルギー正イオンが入射された場合のみ測定されるからである。
【0122】
操作では、制御システム190はシグナルを出して前記ビームゲート148を開口させ、基板252をプロセスGCIB128Aで照射させる。前記制御装置190は、基板252により集められたGCIB電流を、基板252により受けられた積算照射量を計算するためにモニタする。基板252で受けられた照射量が既定の照射量に到達すると、制御装置190はビームゲート148を閉じ、基板252の処理は終了する。基板252の所定の領域につき受けたGCIB照射量の測定に基づき、制御装置190は、基板252の異なる領域を処理する適切なビーム滞留時間を達成するためにスキャン速度を調節することができる。
【0123】
又は、プロセスGCIB128Aは固定パターンで一定の速度で、基板252表面をスキャンされ得るが、しかしGCIB強度は、意図的に前記サンプルへの非均一な照射量を与えるために変調され得る(これはZ軸変調と参照され得る)。前記GCIB強度は、GCIBプロセスシステム100’で、種々の方法で変調され得る。これには、GCIB供給源からのガス流量の変更、フィラメントV又はアノードVの変更のいずれかによりイオン化装置122の変調、レンズ電圧VL1及び/又はVL2を変更することでレンズフォーカシングを変調、又は種々のビームブロック、調節シャッタ又は種々の開口部でGCIBの一部分を機械的にブロックすることが含まれる。前記変調変更は、連続的に類似する変更、又は時間変調される切り替え又はゲート開閉であり得る。
【0124】
プロセスチャンバ108はさらに、その場測定システムを含む。例えば、前記その場測定システムには、光学送信装置280及び光学受信装置282を持ち、基板252を入射光学シグナル284で照射し、それに対応する基板252からの散乱光学シグナル288を受け取るように構成される光学診断システムを含む。前記光学診断システムは、入射光学シグナル284と及び前記プロセスチャンバ108の内へ及び外へ前記散乱光学シグナルを通過可能とする光学窓を含む。さらに、前記光学送信装置280及び光学受信装置282は、それぞれ送信光学系及び受信光学系を含み得る。前記光学送信装置280は、前記制御システム190から制御電気シグナルを受け取り、それに応じる。
前記光学受信装置282は、前記制御装置190へ測定値を返す。
【0125】
その場測定システムは、GCIB処理の進展をモニタするように構成される全ての装置を含み得る。1つの実施態様では、前記その場測定システムは光学散乱計測システムを含む。前記散乱計測システムには、ビームプロフィルエリプソメトリー(エリプソメータ)及びビームプロフィル反射測定(反射計)を組み込んだ散乱計が含まれ、市販ではTherma−Wave、Inc.(1250 Reliance Way、Fremont、CA 94539)又はNanometrics、Inc.(1550 Buckeye Drive、Milpitas、CA 95035)から入手できる。
【0126】
例えば、前記その場測定システムは、統合オプチカルデジタルプロフィルメトリ(iODP)スキャトロメトリモジュールが含まれ、これは前記GCIBプロセスシステム100’での処理プロセスの実行から得られるプロセス成績データを測定するように構成される。前記測定システムは、例えば前記処理プロセスから得られる測定データを測定又はモニタすることができる。前記測定データは、例えばプロセス成績データを決めるために利用でき、このデータは、プロセス速度、相対プロセス速度、構造プロフィル角度、限界寸法、構造厚さ又は深さ、構造形状などの前記処理プロセスを特徴付けることができる。例えば、基板上に方向性の堆積材料をプロセスする際のプロセス成績データには、構造中(即ちビア、ラインなどの)の頂部、中間部又は底部CDなどの限界寸法(CD)、構造深さ、材料厚さ、側壁角度、側壁形状、堆積速度、相対堆積速度、全てのパラメータの空間分布、全ての空間分布の均一性を特徴付けるパラメータが含まれる。制御システム190からの制御シグナルを介して前記X−Y位置決めテーブル253を操作に際しては、その場測定システムは基板252の1又はそれ以上の特徴をマッピングすることができる。
【0127】
図7に示される実施態様では、GCIBプロセスシステム100’’は図5の実施態様と類似するがさらに、例えば前記イオン化/加速チャンバ106の外側に、又はその近くに配置される圧力セルチャンバ350を含む。前記圧力セルチャンバ350は、不活性ガス源352を含み、これはバックグラウンドガスを前記圧力セルチャンバ350へ、前記圧力セルチャンバ350内の圧力を増加させるために供給するように構成され、かつ圧力センサ354を含み、これは前記圧力セルチャンバ350内の増加した圧力を測定するように構成される。
【0128】
前記圧力セルチャンバ350は、前記GCIB128のビームエネルギー分布を修正して修正されたプロセスGCIB128Aを生成するように構成され得る。前記ビームエネルギー分布のこの修正は、前記GCIBの少なくとも1部分が前記増加圧力領域を横切るように、前記圧力セルチャンバ350内の増加圧力領域を通過するGCIB経路に沿ってGCIB128を方向付けることで達成される。前記ビームエネルギー分布の修正の程度は、前記GCIB経路の少なくとも1部分に沿った圧力−距離積分により特徴付けられ、ここで距離(又は圧力セルチャンバ350の長さ)は経路長(d)で示される。前記圧力−距離積分値が増加する場合(圧力及び/又は経路長(d)のいずれかが増加することで)、前記ビームエネルギー分布は広がりかつピークエネルギーが減少する。前記圧力−距離積分値が減少する場合(圧力及び/又は経路長(d)のいずれかが減少することで)、前記ビームエネルギー分布は狭くなりかつピークエネルギーが増加する。圧力セルの設計のためのさらなる詳細は、米国特許第7、060、989号(発明の名称「Method and apparatus for improved processing with a gas−cluster ion beam」)から決めることができ、この内容は参照されて本明細書の援用される。
【0129】
制御システム190は、マイクロプロセッサー、メモリ及びデジタルI/Oポートを含み、これはGCIBプロセスシステム100(又は100’、100’’)へ交信し、かつGCIBプロセスシステム100(又は100’、100’’)からの出力同様にGCIBプロセスシステム100(又は100’、100’’)への入力を行うために十分な制御電圧を生成することができる。さらに、制御システム190は、真空ポンプシステム170A、170B及び170C、第1のガス源111、第2のガス源112、第1のガス制御バルブ113A、第2のガス制御バルブ113B、ビーム電子化回路130、ビームフィルタ146、ビームゲート148、X−スキャン駆動装置160、Y−スキャン駆動装置162及びビーム電流センサ180に接続され情報を交換し得る。例えば、前記メモリに貯蔵されたプログラムは、基板152上でGCIBプロセスを実行するためのプロセス条件によりGCIBプロセスシステム100の前記コンポーネントへの入力を開始させるために利用され得る。
【0130】
しかし、前記制御システム190は、メモリに含まれる1又はそれ以上の命令の1又はそれ以上の順序を実行するプロセッサに応じて本発明のマイクロプロセッサーに基づくプロセスステップの一部又は全てを実行する汎用目的コンピュータシステムとして実装され得る。かかる命令は、ハードディスク又は移動可能な媒体ドライブなどの他のコンピュータ読み取り可能な媒体から前記制御装置メモリへ読み込まれ得る。多重プロセス配置での1又はそれ以上のプロセッサはまた、主メモリに含まれる一連の命令を実行するために前記制御マイクロプロセッサーとして適用され得る。他の実施態様では、実線回路がソフトウェア命令の代わりに又はそれと組み合わせて使用され得る。従って、実施態様はハードウェア回路及びソフトウェアの全ての特定の組合せに限定されるものではない。
【0131】
前記制御システム190は、上述のように全ての数の処理要素を構成するために使用可能であり、前記制御システム190は、処理要素からデータを収集し、提供し、処理し、記憶し及び表示することができる。前記制御システム190は1又はそれ以上の前記処理要素を制御するために、いくつかの制御装置同様、いくつかのアプリケーションを含むことができる。例えば、制御システム190は、グラフィカルユーザーインタフェース(GUI)要素(図示されていない)を含みことができ、これはユーザが1又はそれ以上の処理要素をモニタ及び/又は制御することを可能とする。
【0132】
制御システム190はGCIBプロセスシステム100(又は100’、100’’)に相対して近くに位置され得るか、又はGCIBプロセスシステム100(又は100’、100’’)の相対して遠隔的に位置され得る。例えば、制御システム190は、直接接続、イントラネット及び/又はインターネットを介してGCIBプロセスシステム100とデータ交換し得る。制御システム190は、イントラネットへ例えば顧客サイト(即ち、装置製造者など)で接続され得るか、又はイントラネットへ、例えば購入者サイト(即ち製造者)で接続され得る。これに加えて又はこれに代えて、制御システム190はインターネットへ接続され得る。さらに、他のコンピュータ(即ち制御装置、サーバなど)が制御システム190にアクセスして直接接続、イントラネット及び/又はインターネットを介してデータを交換することができる。
【0133】
基板152(又は252)は基板ホルダ150(又は基板ホルダ250)へ、機械的クランプシステム又は電気的クランプシステム(例えば静電クランプシステム)などのクランプシステム(図示されていない)により固定され得る。さらに、基板ホルダ150(又は250)は、加熱システム(図示されていない)又は冷却システム(図示されていない)を含み、これは基板ホルダ150(又は250)及び基板152(又は252)の温度を調節し及び/又は制御するように構成されている。
【0134】
真空ポンプシステム170A、170B、及び170Cは、ターブ分子真空ポンプ(TMO)を含みことができ、これは約5000リットル/秒(及びそれ以上)のポンプ速度を有し、さらに真空ポンプシステム170A、170B、及び170Cは前記チャンバ圧力を作動させるためのゲートバルブを含むことができる。従来の真空プロセス装置では、1000から3000リットル/秒(TMP)が適用され得る。TMPは低圧プロセスにおいて有用であり、通常は約50mTorr(トール)未満である。図示されていないが、理解されるべきことは、圧力セルチャンバ350はまた、真空ポンプシステムを含み得る、ということである。さらに、チャンバ圧力をモニタする装置(図示されていない)が、前記真空容器102と、又は前記3つの真空チャンバ104、106、108の全てと接続され得る。前記圧力測定装置が、例えばキャパシタンスマノメータ又はイオン化ゲージであり得る。
【0135】
図8を参照して、ガスクラスタジェット(図5、6及び7のガスクラスタビーム118)のイオン化装置(図5、6及び7の122)の断面300が示されている。断面300はGCIB128の軸に垂直である。通常のガスクラスタサイズ(2000から15000原子)について、ガススキマー(図5、6及び7の120)を出てイオン化装置(図5、6及び7の122)に入るクラスタは、約130から1000電子ボルト(eV)の運動エネルギーで飛行する。この低いエネルギーで、前記イオン化装置122内の空間電荷中和から離れることは、ビーム電流の相当な損失を伴って前記ジェットの急激な分散を起こす結果となり得る。図8には自己中和イオン化装置が示されている。他のイオン化装置と同じく、ガスクラスタは電子衝撃によりイオン化される。この設計では、熱電子(310で示される7つの例)が、多重直線熱電子フィラメント302a、302b、及び302c(通常はタングステン)から放出され、電子反発電極306a、306b及び306c及びビーム形成電極304a、304b及び304cにより与えられる適切な電場の作用により抽出されフォーカシングされる。熱電子310は前記ガスクラスタジェット及び前記ジェット軸を通過しその後逆側のビーム形成電極304bに衝突して低エネルギー第2電子(例えば、312、314及び316で示される)を生成する。
【0136】
図示されていないが、直線熱電子フィラメント302b及び302cもまた、熱電子を生成しそれにより低エネルギー第2電子を生成する。全ての第2電子は、空間電荷中性を維持することが要求される前記正に荷電されたガスクラスタジェット内に引かれ得る低エネルギー電子を与えることで、前記イオン化されたクラスタジェットが空間電荷中性を維持することを保証する助けとなる。ビーム形成電極304a、304b、及び304cは、直線熱電子フィラメント302a、302b及び302cに関して正にバイアスされており、電子反発電極306a、306b及び306cは、直線熱電子フィラメント302a、302b及び302cに関して負にバイアスされている。絶縁体308a、308b308c、308d、308e及び308fは、電極304a、304b、304c306a、306b及び306cを電気的に絶縁し支持する。例えばこの自己中和イオン化装置は、1000マイクロアンペア(Amp)アルゴンGCIBで効果的に達成され得る。
【0137】
又はイオン化装置はプラズマからイオン化クラスタへ電子抽出を用いることも可能である。このイオン化装置の形状は上で記載された3つのフィラメントイオン化装置とは大きく異なるが、操作原理及びイオン化装置の制御は類似している。図9を参照して、ガスクラスタジェット(図5、6および7のガスクラスタジェット118)をイオン化するためのイオン化装置(図5、6及び7の122)の断面400が示されている。断面400はGCIB128の軸に垂直である。通常のガスクラスタサイズ(2000から15000原子)について、ガススキマー(図5、6及び7の120)から出てイオン化装置(図5、6及び7の122)に入るクラスタは、約130から1000電子ボルト(eV)の運動エネルギーを持って飛行する。この低エネルギーでは、前記イオン化装置122内の空間電荷中和から離れることは、ビーム電流の大きな損失を伴って前記ジェットの迅速な分散を起こす結果となり得る。図9は、自己中和イオン化装置を示す。他のイオン化装置装と同様に、ガスクラスタは電子衝撃によりイオン化される。
【0138】
前記イオン化装置は、細いロッドアノード電極452の配列を含み、これは支持プレート(図示されていない)により支持され電気的に接続されている。この細いロッドアノード電極の配列452は、前記ガスクラスタビーム(例えば図5、6及び7のガスクラスタビーム118)の軸に関して実質的に共中心である。前記イオン化装置はまた、細いロッド電子反発電極458の配列を含み、これは他の支持プレート(図示されていない)で支持され電気的に接続されている。細いロッド電子反発電極458の配列は、前記ガスクラスタビーム(例えば、図5、6及び7の118)の軸と実質的に共中心である。前記イオン化装置はさらに、細いロッド電子反発電極464の配列を含み、これは他の支持プレート(図示されていない)で支持され電気的に接続されている。細いロッド電子反発電極464の配列は、前記ガスクラスタビーム(例えば、図5、6及び7の118)の軸と実質的に共中心である。
【0139】
高エネルギー電子は、プラズマ電子源470からビーム領域444へ供給される。前記プラズマ電子源470は、プラズマ領域442でプラズマが形成されるプラズマチャンバ472を含む。前記プラズマ電子源470はさらに、熱電子フィラメント476、ガス入口開口部426及び複数の抽出開口部480を含む。前記熱電子フィラメント476は、前記プラズマチャンバ470から絶縁体477を介して絶縁されている。一例として、前記熱電子フィラメント476は、1回半巻の「ピッグテール」構造を持つタングステンフィラメントを含み得る。
【0140】
前記ガスクラスタイオン化装置の断面400は、複数の開口部482を持つ電子加速電極488を含む。さらに、前記断面400は、複数の開口部484を持つ電子減速電極490を含む。前記複数の開口部482、複数の開口部484及び複数の抽出開口部480は全て、前記プラズマ領域442からビーム領域444へ整列されている。
【0141】
希ガスなどのプラズマ形成ガスが、ガス入口開口部426を通じてプラズマチャンバ472に導入される。絶縁ガス供給ライン422により、加圧されたプラズマ形成ガスが遠隔制御可能なガスバルブ424へ送られる。前記遠隔制御可能なガスバルブ424は、プラズマ形成ガスのプラズマチャンバ472導入を制御する。
【0142】
フィラメント電力供給408は、熱電子放出を起こすため熱電子フィラメント476を通じる電流を駆動するためのフィラメント電圧(V)を与える。フィラメント電力供給408は、制御可能に、3から5V(ボルト)で約140から200A(アンペア)を与える。アーク電力供給410は、制御可能に、前記熱電子フィラメント476に関して正にプラズマ形成チャンバ472をバイアスするためのアーク電圧(V)を与える。アーク電力供給410が通常は固定電圧で操作され、通常約35Vである。またアーク電力供給410は、プラズマを生成するためにプラズマチャンバ472内で電子を加速する手段を与える。前記フィラメント電流は、前記アーク電力供給410により供給されるアーク電流を規制するように制御される。アーク電力供給410は、プラズマアークへ5Aまでのアーク電流を与えることが可能である。
【0143】
電子減速電極490は、電子バイアス電力供給412によりプラズマチャンバ472に関して正にバイアスされている。電子バイアス電力供給412は、30から400Vの範囲にわたり制御可能に調節できるバイス電圧(V)を与える。電子加速電極488は電子抽出電力供給416により電子減速電極490に関して正にバイアスされている。電子抽出電力供給416は、20から250Vの範囲にわたり制御可能な電子抽出電圧(VEE)を与える。加速電力供給420は、細いロッドアノード電極452及び電子減速電極490を接地電位に関して正にバイアスするために加速電圧(VACC)を提供する。VACCは、断面400で示されるガスイオン化装置により生成されるガスクラスタイオンのための加速電位であり、1から100kVの範囲で調節可能に制御可能である。電子反発電力供給414は、前記細いロッド電子反発電極458の配列をVACCに関してバイアスするための電子反発バイアス電圧(VER)を与える。VERは、50から100Vの範囲で制御可能である。イオン反発電力供給418は、細いロッドイオン反発電極464の配列をVACCに関してバイアスするためにイオン反発バイアス電圧(VIR)を与える。VIRは50から150Vの範囲で制御可能である。
【0144】
光学ファイバ制御装置430は、ケーブル434で電気制御シグナルを受け取り、それを、接地された制御システムからのシグナルを用いて高電位で操作するコンポーネントを制御するために制御リンク432の光学シグナルへ変換する。光学ファイバ制御リンク432は、制御シグナルを遠隔操作で制御可能に、ガスバルブ424、フィラメント電力供給408、アーク電力供給410、電子バイアス電力供給412、電子反発電力供給414、電子抽出電力供給416及びイオン反発電力供給418へ送る。
【0145】
例えば、前記イオン化装置設計は、米国特許第7173252(発明の名称「Ionizer and method for gas−cluster ion−beam formation」)に記載されたイオン化装置と類似したものであり、この全内容は参照されて本明細書に援用される。
【0146】
前記イオン化装置(図5、6及び7の122)は、GCIB前記128のビームエネルギー分布をGCIB128の荷電状態を変更することで修正するように構成され得る。例えば、前記荷電状態は、ガスクラスタの電子衝撃誘導イオン化で利用される電子の、電子フラックス、電子エネルギー又は分布を調節することで修正され得る。
【0147】
ここまで本発明のいくつかの実施態様が詳細に説明されたが、当業者は、本発明の新規な教示及び利点から実質的に離れることなく、前記実施態様の多くの修正・変更が可能である、ということを理解するであろう。従ってこれら全ての修正・変更は本発明の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の材料をエッチングする方法であり、前記方法は:
第1の材料、第2の材料、及び前記第1の材料及び/又は第2の材料を曝露する表面を持つ基板を保持するための基板ホルダ回りを減圧環境に維持し;
前記基板を前記減圧環境内に確実に保持し;
1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を選択し、
前記目標エッチングプロセス特性が、前記第1の材料のエッチング速度、前記第2の材料のエッチング速度、前記第1の材料と第2の材料との間のエッチング選択性、前記第1の材料の表面粗度、前記第2の材料の表面粗度、前記第1の材料のエッチングプロフィル及び前記第2の材料のエッチングプロフィルを含み;
少なくとも1つのエッチングガスを含む加圧ガスからガスクラスタイオンビーム(GCIB)を形成し;
前記1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成するために前記GCIBについてのGCIBプロセス特性の1又はそれ以上のGCIB性質を設定し;
前記減圧環境を通じて前記GCIBを加速し;及び
前記基板の前記表面の少なくとも1部分に前記GCIBを照射して、前記第1の材料及び前記第2の材料の少なくとも1部分をエッチングする、ことを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、前記GCIBプロセス条件の前記1又はそれ以上のGCIB前記性質が、GCIB組成、ビーム照射量、ビーム加速電位、ビームフォーカシング電位、ビームエネルギー、ビームエネルギー分布、ビーム角度分布、ビーム拡散角度、前記GCIB組成の流速、よどみ点圧力、よどみ点温度、前記GCIBが通過する増加圧力領域のためのバックグラウンドガス圧力、又は前記GCIBが通過する増加圧力領域のためのバックグラウンドガス流速を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であり、前記GCIBプロセス条件の前記1又はそれ以上のGCIB性質が、GCIB組成を含み、かる前記GCIB組成が第1のエッチングガス及び第2のエッチングを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガスがCl又はBrを含み、かつ前記第2のエッチングガスがFを含む、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガスがClを含み、かつ前記第2のエッチングガスがNFを含む、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガスがハロメタン又はハロゲン化物を含み、かつ前記第2のエッチングガスがF、Cl、又はBrを含む、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガスがC、H及びハロゲン元素を含み、かつ前記第2のエッチングガスがF、Cl、又はBrを含む、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガスがCHF、CHCl、又はCHBrを含み、かつ前記第2のエッチングガスがNF又はClを含む、方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスが、前記照射の間に前記GCIBに連続的に導入される、方法。
【請求項10】
請求項3に記載の方法であり、前記第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスが、前記照射の間に前記GCIBに交互に順番に導入される、方法。
【請求項11】
請求項2に記載の方法であり、さらに:追加のガスを前記GCIBへ導入して前記GCIB前記組成を変化させ、前記1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であり、前記1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を達成するための前記1又はそれ以上のGCIB性質が、
前記第1の材料及び/又は第2の材料のための2又はそれ以上の目標エッチング速度、前記第1の材料及び第2の材料との間の目標エッチング選択性及び前記第1の材料及び/又は第2の材料の目標表面粗度を達成するために、GCIB組成、ビーム加速電位、前記GCIB前記組成の流速及び前記GCIBが通過する上昇圧力領域のためのバックグラウンドガス流速を設定することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であり、さらに:
前記目標エッチング選択性を1未満の値から1近く又はそれ以上に変更するように前記1又はそれ以上のGCIB性質を調節することを含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であり、前記第1の材料及び/又は第2の材料の前記目標表面粗度が5オングストローム以下である、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であり、さらに:
前記基板の上部表面を平坦化することを含む、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であり、さらに:
前記1又はそれ以上の目標エッチングプロセス特性を変更して1又はそれ以上の新たな目標エッチングプロセス特性を生成し;及び
前記GCIBについて追加のGCIB前記プロセス条件の1又はそれ以上の追加のGCIB性質を設定して前記1又はそれ以上の新たな目標エッチングプロセス特性を達成する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の材料がフォトレジストを含み、前記第2の材料が、Si−含有材料、Ge−含有材料、金属−含有材料、半導体材料又はカルコゲニド材料を含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の材料がシリコンを含み、前記第2の材料が、Si及びO、N、C、及びGeからなる群から選択される1又はそれ以上の元素を含むSi−含有材料を含む方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の材料がSi−含有材料を含み、前記第2の材料がGe−含有材料を含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であり、前記第1の材料がSi−含有材料を含み、前記第2の材料が金属−含有材料を含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図4F】
image rotate

【図4G】
image rotate

【図4H】
image rotate

【図4I】
image rotate

【図4J】
image rotate

【図4K】
image rotate

【図4L】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−55336(P2013−55336A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180127(P2012−180127)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(508233445)ティーイーエル エピオン インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】