説明

複合構造体

本発明は、複合構造体、特に、構造層C1と、硬質フォーム又は半硬質フォームの重量軽減用及び随意として補強用の層C2と、随意としての構造層C3とを含むサンドイッチ構造体に関するものである。本発明は、特に、ポリアミドを基材とするフォーム層C2、その製造方法及びその使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合構造体、特に、構造層C1と、硬質フォーム又は半硬質フォームからなる重量軽減用及び可能ならば補強用の層C2と、随意としての構造層C3とを含むサンドイッチ構造体に関する。さらに具体的には、本発明は、ポリアミドを基材とするフォームの層C2を含む複合構造体、該構造の製造方法及び該構造の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体、特にサンドイッチ構造体は、航空機産業、自動車産業並びにスポーツ及びレジャー産業のような多くの分野において使用されている。これらの構造体は、スキーのようなスポーツ物品を製造するために、又は特別な床、仕切、車体、広告板などのような様々な表面を製造するために使用されている。また、複合構造体は、ベランダの屋根、テラス、屋根葺き材料、バルコニー、回廊、壁(外装仕上げ)などを製造するためにも使用できる。航空機産業では、これらの構造体は、特に、フェアリング(胴体、翼、水平尾翼)のために使用されている。自動車産業では、これらのものは、例えば、フロアのために及び後部手荷物棚のような支持材のために使用されている。
【0003】
高性能複合構造体は、様々な用途のために必要とされている。特に剛性、明るさ及びリサイクルの容易さという良好な特性を有する複合構造体を開発することが必要である。
【0004】
ハニカム構造を有する内部重量軽減層を持つ複合構造体の製法はすでに知られている。例えば、六角形形状のセルを有するハニカム構造体が知られている。該構造体は、特に、次の欠点を有する:この複合構造体の製造コストが高いこと、さらに、この構造体の性質そのものによる望ましくない影響、特に水が浸入する場合にはセルの充填という影響及び「電信の影響」が観察され得ることである。
【0005】
また、ウレタンフォームの内部重量軽減層を有する複合構造体も知られている。しかしながら、硬質ウレタンフォームは、硬化性の傾向を有し、そしてさらに低い衝撃強度及び疲労強度を有する。また、それらの使用温度範囲も制限される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、これらの欠点がなく、しかも特に剛性、明るさ及びリサイクルの容易さという良好な特性を示す複合構造体を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、複合構造体、特にサンドイッチ構造体であって、少なくとも
・構造層C1と、
・硬質フォーム又は半硬質フォームであってポリアミドを基材とするフォームであるものからなる重量軽減用及び可能ならば補強用の層C2と、
・随意としての構造層C3と
を含む複合構造体に関する。
【0008】
本発明の特定の具体例によれば、複合構造体は、2つの外部構造層C1及びC3と、内部重量軽減層C2とを含むサンドイッチ構造体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
該複合材料の構造層は、好ましくはプレート又はシートの形である。プレートは、良好な機械的性質を示すプレートを得るために、互いに異なる方向を有するいくつかのシートから形成できる。これらのプレート又はシートは、調節可能な寸法を有することができる。例として、本発明者は、本発明の範囲内で好適であり得るプレートの寸法として、2.5mの長さ及び1mの幅を有するプレートを挙げることができる。
【0010】
構造層は、アルミニウムのような金属、鋼などのような金属合金であることができる。これらのプレートに任意の好適な塗料を塗布又は被覆できる。
【0011】
本発明の複合構造体の構造層の厚さは、好ましくは0.2〜3mmである。
【0012】
本発明の複合構造体の外部層は、いくつかの層を含むことができる。
【0013】
本発明の複合構造体の全厚さは、好ましくは3〜50mmである。
【0014】
本発明の構造体のフォームの密度は、好ましくは、300kg/m3以下、好ましくは30〜200kg/m3である。フォームのさらに低い密度とは、複合構造体がさらに軽いことを意味する(これは多くの利点を与える)。
【0015】
本発明の複合構造体のフォームを圧縮する際のヤング率、即ち弾性率は、好ましくは30Mpa以上である。該弾性率は、以下の実験部分に記載する方法によって測定できる。本発明の構造体のフォームは、好ましくは良好な圧縮強度を有するため、見込まれる該構造の圧潰中にその完全性及びその特性を維持することを可能にする。このような圧潰は、該構造体のある種の適用分野では、例えば特に強烈な衝撃中に生じ得る。
【0016】
本発明のポリアミドは、ジカルボン酸及びジアミンから重縮合によって得られるようなタイプのポリアミド或いはラクタム及び/又はアミノ酸の重縮合によって得られるようなタイプのポリアミドである。本発明のポリアミドは、異なるタイプのポリアミド及び/又は同一のタイプのポリアミドのブレンドであることができ、及び/又は同一のタイプ及び/又は異なるタイプのポリアミドに相当する異なる単量体から得られる共重合体であることができる。
【0017】
ポリアミドは、好ましくは、PA4.6、PA6、PA6.6、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.36、PA11、PA12又はポリフタルアミドよりなる群から選択される半芳香族半結晶質ポリアミド若しくはコポリアミド並びにこれらの重合体及びこれらの共重合体のブレンドよりなる群から選択される。
【0018】
本発明の好ましい具体例によれば、ポリアミドは、ナイロン6、ナイロン6,6、それらのブレンド及び共重合体から選択される。
【0019】
本発明の硬質又は半硬質ポリアミドフォームは、当業者に知られている任意の方法によって得られ得る。このものは、溶融状態のポリアミドに加圧下でガスを注入することによって得られ得る。また、このフォームは、発泡剤(熱に不安定な充填剤)を溶融状態のポリアミドに取り入れることによっても得られ得る(該発泡剤はそれらの分解中にガスを放出する)。また、溶融状態のポリアミドに、該溶融物に溶解する化合物を添加することによって、本発明のポリアミドフォームを得ることも可能である(該フォームは、これらの化合物の揮発によって得られる)。また、フォームは、例えば、イソシアネート及びラクタム並びに陰イオン重合を活性化させるための塩基を接触させることによって二酸化炭素のようなガスを放出させる化学反応の手段により得ることもできる。
【0020】
本発明のポリアミドフォームは、好ましくは、ポリアミドとポリカーボネートの混合物から得られる。該フォームは、化学的経路、即ち、特にポリアミドとポリカーボネートとの間の化学反応によって得られる。
【0021】
該ブレンドのポリカーボネートは、好ましくは、次式:
【化1】

(式中、R1及びR2は同一又は異なるものであり、そして水素原子、ハロゲン原子又はアルキル若しくはハロアルキル基であって1〜5個の炭素原子を含有するものであり、そしてそれぞれの芳香環は、アルキル又はハロアルキル基であって1〜5個の炭素原子を有するものによって置換されていてよい。)
の芳香環を含むポリカーボネートである。nは40〜300、好ましくは20〜300の整数である。
【0022】
本発明のポリカーボネートの分子量は、好ましくは、5000〜80000、より好ましくは10000〜40000である。有利には、ブレンドは、該ポリアミドに対して0.5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%のポリカーボネートを有する。また、本発明のポリアミドとポリカーボネートとのブレンドは、ポリアミド及びポリカーボネートのほかに、該ブレンドからフォームを製造する間に発泡を増幅させるのを可能にするであろう発泡剤を含むこともできる。該発泡剤は、当業者には周知である。また、該ブレンドは、さらなるフォームの処理加工に好適なその他の添加剤、例えば、界面活性剤、タルクのような核剤、可塑剤などをも含むことができる。これらの添加剤は当業者に周知である。また、該ブレンドは、ガラス繊維又はカーボネート繊維のような補強充填剤、二酸化チタン又は硫化亜鉛のような艶消し剤、顔料、着色剤、熱又は光安定剤、生物活性剤、防汚剤、静電防止剤、防火剤、高密度又は低密度充填剤なども含むことができる。このリストは網羅的であることを意図しない。
【0023】
ポリアミドとポリカーボネートのブレンドは、ポリアミドの粉末とポリカーボネートの粉末とを混合させることによって、又はポリアミドの顆粒とポリカーボネートの顆粒とを混合させることによってブレンドを製造するために当業者に知られている任意の方法によって行われる。該ブレンドは、例えば押出装置内で溶融状態で製造できる。
【0024】
本発明の特定の具体例によれば、該フォームは、ポリアミド/ポリカーボネートブレンドを加熱することによって得られる。加熱によって達する温度は、特に、ポリアミドとポリカーボネートとの反応並びフォームの形成に至るガスの放出を生じさせるのに十分なものでなければならない。加熱によって達する温度は、好ましくは、該ポリアミドの融点以上である。加熱中にはスクリューミキサーが使用できる。好ましくは、二軸押出器を混合及び加熱のため使用する。
【0025】
フォームから作られる層C2は、一般に、プレートの形である。該プレートは、当業者に知られている任意の方法によって製造できる。例えば、該フォームを押出器内で混合及び加熱することによって製造するときに、該プレートの形状は、レイフラット装置の手段によって押出器ヘッドの出口で生じ得る。
【0026】
本発明の特定の具体例によれば、構造層は、一般にガラス、炭素、アラミド、ポリイミド、クオーツ、サイザル麻、大麻、亜麻などの繊維のような補強用繊維で補強された熱可塑性又は熱硬化性重合体マトリックスを含むことができる。該マトリックスは、好ましくは、熱可塑性重合体である。
【0027】
好ましくは、該マトリックスは、好ましくはPA4.6、PA6、PA6.6、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.36、PA11、PA12又はポリフタルアミドよりなる群から選択される半芳香族半結晶質ポリアミド又はコポリアミド並びにこれらの重合体及びこれらの共重合体のブレンドよりなる群から選択される脂肪族及び/又は半結晶質ポリアミド又はコポリアミドを含む熱可塑性重合体である。
【0028】
従って、この具体例によれば、本発明の複合構造体の構造層及び重量軽減層はポリアミドであるが、これは、特に、このタイプの構造体のリサイクルについて利益を与える。
【0029】
本発明の構造体の好ましい具体例によれば、該構造層のマトリックスは、
・1個以上のコアと、コアに結合した少なくとも3個の腕又は3個のポリアミドセグメントとを含む星型分岐マクロ分子鎖、
・必要ならば線状マクロ分子ポリアミド鎖
を含む星型構造を有するポリアミドを含む。
【0030】
星型構造重合体は、マクロ分子星型鎖と、必要ならば線状マクロ分子鎖とを含む重合体である。該星型構造マクロ分子鎖を含む重合体は、例えば、特許文献FR2743077号、FR2779730号、EP0682057号及びEP0832149号に記載されている。これらの化合物は、線状ポリアミドに対して改善された流動性を示すことが知られている。
【0031】
有利には、星型構造ポリアミドは、少なくとも、
(a)次の一般式(I):
【化2】

の単量体、
(b)次の一般式(IIa)及び(IIb):
【化3】

の単量体、
(c)随意として次の一般式(III):
Z−R3−Z (III)
の単量体
(これらの式において、
・R1は、少なくとも2個の炭素原子を有する線状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素基であってヘテロ原子を含有してよいものであり、
・Aは、共有結合又は脂肪族炭化水素基であってヘテロ原子を含有してよく且つ1〜20個の炭素原子を有するものであり、
・Zは、第一アミン官能基又はカルボン酸官能基を表し、
・Yは、Xがカルボン酸官能基を表すときには第一アミン官能基であり、又は
・Yは、Xが第一アミン官能基を表すときにはカルボン酸官能基であり、
・R2及びR3は同一又は異なっていてよく、そして置換又は非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基であって2〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含有してよいものを表し、
・mは3〜8の整数を表す。)
を含む単量体の混合物の共重合によって得られるポリアミドのタイプである。
【0032】
好ましくは、式(I)の化合物は、2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン及び4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択される。
【0033】
また、本発明は、上記の複合構造体の製造方法に関するものでもある。この方法は、少なくとも次の要素:
・(C1'):構造層又は該層の先駆体、
・(C2'):ポリアミドを基材とするフォーム又は該フォームの先駆体からなる重量軽減用及び随意として補強用の層、
・(C3'):随意として構造層又は該層の先駆体
を組み立てる工程を含む。
【0034】
このフォーム先駆体は、発泡性ポリアミド組成物、例えば、上記のようなポリアミドとポリカーボネートのブレンドであることができる。発泡性ポリアミド組成物とは、ある種の温度及び/又は圧力条件下でフォームを形成し得るポリアミド組成物を意味する。一般に、発泡性ポリアミド組成物は、ポリアミド及び発泡剤を含む。該発泡剤は、溶融状態のポリアミドに分散され又は溶解し得るガスであることができる。ポリアミドに分散され又は溶解し得る当業者に周知の任意のガスが使用できる。このガスは、好ましくは不活性である。本発明の範囲内にある好適なガスの例としては、窒素、二酸化炭素、ブタンなどが挙げられる。
【0035】
また、発泡剤は、膨張剤であることもできる。当業者に周知の任意の膨張剤が使用できる。このものは、当業者に知られている方法に従って導入される。膨張剤の例としてはジアゾカルボナミドが挙げられる。
【0036】
また、発泡剤は、溶融状態のポリアミドに溶解し得る揮発性化合物であることもできる。ポリアミドに溶解し得る当業者に周知の任意の揮発性化合物が使用できる。本発明の範囲内にある好適な揮発性化合物の例としては、ブタノールが挙げられる。
【0037】
最後に、発泡剤は、加熱中にポリアミドと化学的に反応することができる化学化合物であることができる。通常、この反応中にガスが発生し、そしてこのガスは、該混合物の膨張を引き起こす。該発泡剤は、例えば、ポリカーボネートであることができる。
【0038】
発泡性ポリアミド組成物は、粉末か、例えばフォームの形成を回避する制御された射出成形によって得られる物品(プレート)か、又は溶融状態の混合物などの形態であることができる。
【0039】
構造層の先駆体は、補強用繊維を含有する物品であることができる。この物品は、連続する又は切断された糸、ストリップ、マットの形態、編組、織物若しくは編物、フリース、多軸型材料、不織布の形態及び/又は前記形態のうちのいくつかを含む複合形態であることができる。
【0040】
補強用繊維のほかに、該構造層の先駆体は、好ましくは、例えば、粉末、薄膜などの形態の重合体マトリックスを含む。該構造層の先駆体は、予備含浸された物品、即ち、樹脂を含浸した布であることができる(この樹脂は、その後加熱によって硬化させる目的の硬化剤を含有する)。
【0041】
本発明の特定の具体例によれば、構造層の先駆体は、補強用の糸及び/又は繊維並びに重合体マトリックスの糸及び/又は繊維を含む物品である。本発明の複合構造体の重合体マトリックスに関して先に記載した全てのこと、特にマトリックスの性質に関する全てのことがこの先駆体にも当てはまる。
【0042】
糸とは、単一の繊維から又は数種類の繊維から均質な混合物で得られる、モノフィラメント糸、連続マルチフィラメント糸又は繊維の編糸を意味する。また、連続糸は、数種のマルチフィラメント糸を組むことによっても得られ得る。
【0043】
繊維とは、フィラメント又は切断され、分解され若しくは転換されたフィラメントの集合体を意味する。
【0044】
補強用糸及び/又は繊維並びに重合体マトリックスの糸及び/又は繊維は、連続する若しくは切断された糸、ストリップ、マットの形態、編組、織物若しくは編物、フリース、多軸型材料、不織布の形態及び/又は前記形態のうちのいくつかを含む複合形態であることができる。
【0045】
これら様々な層を組み立てる任意の方法を本発明の方法の範囲内で使用できる。様々な要素(C1')、(C2')及び随意としての(C3')は、例えば接着によって同時に又は連続的に組み立てられ得る。この接着は、多層複合構造体の要素を組み立てるために当業者に周知の任意の方法によって実行される。例えば、これらの様々な要素は、これらの要素の材料と相溶性がある接着フィルムで接着できる。
【0046】
本発明の方法の特定の具体例によれば、組み立ては、上記の様々な要素(C1')、(C2')及び随意としての(C3')の熱成形又は圧延によって実施される。これらの様々な要素は、同時に又は連続的に熱成形又は圧延される。例えば、層(C1')、層(C3')及び随意としての層(C2')の組立体は、同時に熱成形又は圧延できる。また、層(C1')及び層(C2')の組立体を熱成形又は圧延し、次いで層(C3')と層(C1')及び層(C2')の組立体とを熱成形又は圧延することも可能である。
【0047】
この工程は、これら様々な要素を加熱し、次いで冷却圧縮(深絞り)することによって実施できる。一般に、この工程は、加熱しながら且つ加圧下で実施される。
【0048】
使用されている熱成形方法は、一般に、低圧(20bar以下及び随意として真空下)、270℃以下の温度及び短時間(15分以内)を採用する。この工程は、特に、重量軽減層と構造層との間に良好な接着を与える。
【0049】
本発明の方法の特定の具体例によれば、熱成形中又は圧延中の温度は、該構造層の先駆体が補強用繊維及び重合体マトリックスを含むときには、該先駆体の重合体マトリックスの融点以上である。
【0050】
フォームのポリアミドの比較的高い融点とは、複合構造体の製造中に、既知のフォームでは不可能な高温を使用できることを意味する。事実、ポリアミドフォームは、ウレタンフォームのような従来技術のフォームよりも高い温度で溶融する。
【0051】
熱成形中又は圧延中の温度は、好ましくは、構造層が熱可塑性マトリックスを含むときに、該構造層の熱可塑性重合体マトリックスの融点以上である。
【0052】
複合構造体の構造層が熱可塑性重合体マトリックスを含むプレート又はシートであるときに、該構造層を有するフォームの組み立ては、熱成形又は圧延中にマトリックスが溶融し、これが該フォームの表面細孔に浸透し、次いでこれが凝固するときに接着剤としての役割を果たすため、達成できる。さらに、熱成形又は圧延の温度がフォームのポリアミドの該温度にほぼ等しい場合には、該フォームと構造層との接触点で該フォームの部分的な溶融が生じ、そしてこのフォームの溶融部分は、凝固するときに接着剤の役割をも果たし得る。
【0053】
また、本発明は、自動車又は航空機の部品の製造のために、又はスキーのようなスポーツ物品を製造するために、又は羽目の製造のために、上記の複合構造体を使用することに関するものでもある。
【0054】
本発明の他の詳細又は利点は、単なる手引きとして以下に与える実施例から明らかになるであろう。
【0055】
フォームのヤング率を測定するための試験
この試験は、20mmの直径及び25mmの厚さのフォーム試料について、INSTRON 1185試験機を使用して、23℃の温度及び50%の相対湿度の条件で実施する。ヤング率は、20mm/分の歪速度で稼働させた試験機を使用して記録された応力/歪曲線から決定される。
【0056】
フォームの密度を測定するための試験
密度は、100×100×15mmの寸法に機械加工された試料について測定する。次いで、これらの試料を、基準法ASTM D 3748−98に従って、精密天秤上で秤量する。
【実施例】
【0057】

例1:ポリアミドフォームの層C2の製造
整理番号A216 Naturel(商標)の下にロディア・エンジニアリング・プラスチック社によって販売されているPA66顆粒(90%w/w)を、商品名Makrolon2205(商標)の下にバイエル社によって販売されているポリカーボネート顆粒(10%w/w)と混合する。この混合物を一晩部分真空下で窒素掃去しつつ暖める。この混合物を、リップダイを備えた二軸押出器用の供給物として使用する。該二軸押出器の温度プロフィールは次の通りである(℃で表す):270−280−280−280−280−280。該二軸押出器の回転速度を250回転/分に設定する。押出物をレイフラット装置で成形し、次いで運搬ベンチ上で冷却させてから切断し、そして、例えば10cmの幅及び1cmの厚さのプレートとして成形する。押出器の供給速度は15kg/時間である。該プレートは、0.15の平均密度である。該プレートは43.3MPaのヤング率を有する。図1は、例1のポリアミドフォームの応力/歪曲線(曲線A)及び比較のための商品名Rohacell 71 IG(商標)の下にデグッサ社によって販売されているポリメタクリルイミドフォームPMI(ヤング率:57.9MPa、密度d=0.08)の応力/歪曲線(曲線B)を示している。このグラフについて、横座標は歪み(%)に対応し、そして縦座標は応力(mPa)に対応する。ポリアミドフォームとは対照的に、ポリメタクリルイミドフォームPMIは、27%の歪を超えて破断する。
【0058】
例2及び3:構造層の製造:星型構造のナイロン6及び補強用糸の半仕上げプレート
使用するマトリックス:0.5モル%の2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノンの存在下でカプロラクタムから、特許文献FR2743077号に記載された方法によって共重合により得られた星型構造のナイロン6であって、約80%の星型構造マクロ分子鎖及び20%の線状マクロ分子鎖を含み、55g/10分のメルトフローインデックス(1000g下で275℃で測定される)を有するもの。
一連の試験を、3〜8dtexの密度及びほぼ15〜20cN/texの強度を有する星型構造ナイロン6のマルチフィラメント糸で実施した。多軸製織の操作で、高性能連続炭素補強用糸と共に12000本のフィラメントを含むマルチフィラメント糸を組み(例2)、又はガラス製の補強用糸と共に、600texのカウントを有するマルチフィラメント糸を組む(例3)。溶融状態でのマトリックスの高い流動性を確かめるために、多軸織物を、次のように定義される単位層から作製する:
単位層
層番号1:補強用糸−方向:−45°、
層番号2:補強用糸−方向:+45°、
層番号3:星型構造ナイロン6糸(マトリックス)−方向:90°。
次いで、層状複合材を、円盤状の型中に、1〜20barの圧力及び星型構造ナイロン6の融点以上の温度(230〜260℃)での1〜3分間の加熱圧板プレス下で得られたいくつかの織物単位層(2〜10層)を置くことによって作製する。50〜60℃の温度にまで冷却した後に、該複合材を型から取り外す。このときに、重量による補強の割合は、60〜70%である。
【0059】
例4:2つの外部構造層C1及びC3と、重量軽減内部層C2とを有するサンドイッチ複合構造体の製造
例2に従う2層複合材(層C1及びC3)を例1に従って製造されたフォームの層C2の両側に置く。この組立体を、270mm×270mmの寸法の加熱圧板プレスの圧板間に240℃で10分間15bar下で置き、次いで加圧下で130℃にまで冷却し、そして型から取り外す。フォームの非常に良好な完全性及び良好な層間結合を有するサンドイッチ構造体が得られる。
【0060】
例5:2つの外部構造層C1及びC3と、重量軽減内部層C2とを有するサンドイッチ複合構造体の製造
例3に従う2層構造材(層C1及びC3)を、例1に従って製造されたフォームの層C2の両側に置く。この組立体を、270mm×270mmの寸法の加熱圧板プレスの圧板間に240℃で10分間15bar下で置き、次いで加圧下で130℃にまで冷却し、そして型から取り外す。フォームの非常に良好な完全性及び良好な層間結合を有するサンドイッチ構造体が得られる。
【0061】
例6:2つの外部構造層C1及びC3と、重量軽減内部層C2とを有するサンドイッチ複合構造体の製造
270×270mmの寸法及び1mmの厚さの2つのアルミニウムプレートであってそれらから保護層を除去したもの(層C1及びC3)を、例1に従って製造されたフォームのC2層の両側に置く。この組立体を、270mm×270mmの寸法の加熱圧板プレスの圧板間に240℃で10分間15bar下で置き、次いで加圧下で130℃にまで冷却し、そして型から取り外す。フォームの非常に良好な完全性及び良好な層間結合を有するサンドイッチ構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ポリアミドフォームの応力/歪曲線(曲線A)及び比較のためのポリメタクリルイミドフォームPMIの応力/歪曲線(曲線B)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
・構造層C1と、
・硬質又は半硬質フォームの重量軽減層C2と、
・随意としての構造層C3と
を含む複合構造体において、
該フォームがポリアミドを基材とするフォームであることを特徴とする、複合構造体。
【請求項2】
2つの外部構造層C1及びC3と、重量軽減内部層C2とを含むサンドイッチ構造体であることを特徴とする、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
少なくとも1つの構造層がプレート又はシートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合構造体。
【請求項4】
少なくとも1つの構造層が金属又は鋼のような金属合金のプレート又はシートであることを特徴とする、請求項3に記載の複合構造体。
【請求項5】
構造層の厚さが0.2〜3mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項6】
その厚さが3〜50mmであることを特徴とする、請求項5に記載の複合構造体。
【請求項7】
フォームの密度が300kg/m3以下、好ましくは30〜200kg/m3であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項8】
フォームのヤング率(圧縮状態での弾性率)が30MPa以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項9】
ポリアミドフォームが、該ポリアミドにガスを注入することによって、及び/又は該ポリアミド中に揮発性化合物、発泡剤及び/又は該ポリアミドと反応してガスを形成し得る化合物を取り入れることによって得られたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項10】
フォームがポリアミドとポリカーボネートの混合物から得られたことを特徴とする、請求項9に記載の複合構造体。
【請求項11】
ポリカーボネートが、次式:
【化1】

(式中、R1及びR2は同一又は異なっていてよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル若しくはハロアルキル基であって1〜5個の炭素原子を含有するものであり、そしてそれぞれの芳香環は、アルキル又はハロアルキル基であって1〜5個の炭素原子を含有するものによって置換されていてよく、nは40〜300の整数である)
の芳香環を含むポリカーボネートであることを特徴とする、請求項10に記載の複合構造体。
【請求項12】
ポリカーボネートの分子量が5000〜80000であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の複合構造体。
【請求項13】
混合物がポリアミドに対して0.5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%のポリカーボネートを含有することを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項14】
フォームが、ポリアミドとポリカーボネートの混合物を該ポリアミドの融点以上の温度で加熱することによって得られたことを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項15】
少なくとも1つの構造層が熱可塑性又は熱硬化性重合体マトリックスを含むプレート又はシートであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の複合構造体。
【請求項16】
少なくとも1つの構造層が、熱可塑性又は熱硬化性重合体マトリックスと、ガラス、炭素、アラミド、ポリイミド、クオーツ、サイザル麻、大麻、亜麻などの繊維のような補強用繊維とを含むプレート又はシートであることを特徴する、請求項15に記載の複合構造体。
【請求項17】
マトリックスが、
・1個以上のコアと、該コアに結合した少なくとも3個の腕又は3個のポリアミドセグメントとを含む星型構造マクロ分子鎖、
・必要ならば、線状マクロ分子ポリアミド鎖
を含む星型構造ポリアミドを含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載の複合構造体。
【請求項18】
星型構造ポリアミドが、少なくとも
(a)次の一般式(I):
【化2】

の単量体、
(b)次の一般式(IIa)及び(IIb):
【化3】

の単量体、
(c)随意として次の一般式(III):
Z−R3−Z (III)
の単量体
(これらの式において、
・R1は、少なくとも2個の炭素原子を有する線状又は環状の芳香族又は脂肪族炭化水素であってヘテロ原子を含有してよいものであり、
・Aは、共有結合又は脂肪族炭化水素基であってヘテロ原子を含有してよく且つ1〜20個の炭素原子を有するものであり、
・Zは、第一アミン官能基又はカルボン酸官能基を表し、
・Yは、Xがカルボン酸官能基を表すときには第一アミン官能基であり、又は
・Yは、Xが第一アミン官能基を表すときにはカルボン酸官能基であり、
・R2及びR3は同一又は異なっていてよく、そして置換又は非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基であって2〜20個の炭素原子を有し且つヘテロ原子を含有してよいものを表し、
・mは3〜8の整数を表す)
を含む単量体の混合物の共重合によって得られるポリアミドのタイプであることを特徴とする、請求項17に記載の複合構造体。
【請求項19】
少なくとも次の要素:
・(C1'):構造層又は該層の先駆体、
・(C2'):ポリアミドを基材とするフォーム又は該フォームの先駆体の重量軽減層、
・(C3'):随意として構造層又は該層の先駆体
を組み立てる工程を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の複合構造体の製造方法。
【請求項20】
フォームの先駆体が、ポリアミド及び発泡剤を含有する発泡性ポリアミド組成物を含む粉末又は物品であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
発泡剤がポリカーボネートであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの構造層の先駆体が補強用繊維を含有する物品であることを特徴とする、請求項19〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの構造層の先駆体が、
・補強用繊維を含有する物品、
・重合体マトリックス
を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1つの構造層の先駆体が補強用糸及び/又は繊維並びに重合体マトリックスの糸及び/又は繊維を含有する物品であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
物品が、連続する又は切断された糸、ストリップ、マットの形態、編組、織物若しくは編物、フリース、多軸型材料、不織布の形態及び/又は前記形態のうちのいくつかを含む複合形態であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
組み立てを、同時に又は連続的に熱成形又は圧延された様々な要素(C1')及び(C2')並びに随意としての(C3')を熱成形又は圧延させることによって実施することを特徴とする、請求項19〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの構造層の先駆体の熱可塑性重合体マトリックスが熱可塑性マトリックスであり、しかも熱成形又は圧延中の温度が該熱可塑性マトリックスの融点以上であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれかに記載の複合構造体の、自動車又は航空機の部品を製造するための、又はスキーのようなスポーツ物品を製造するための、又は羽目を製造するための使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−505772(P2007−505772A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527441(P2006−527441)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002357
【国際公開番号】WO2005/030477
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(504128460)ロディア インダストリアル ヤーンズ アーゲー (4)
【Fターム(参考)】