説明

複合粒子、これを用いた複合材および複合粒子の製造方法

【課題】樹脂等との接着性を向上させうる複合粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明方法は、カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に、硫酸イオン源、およびアンモニアもしくはアンモニウムイオン源、および硝酸イオン源から選ばれる1種以上を添加することにより、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に、一部がニッケル粉から突出する微細繊維を取り込ませることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子、これを用いた複合材および複合粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性フィラーとして主にカーボニル法又はアトマイズ法で製造された数μmの球状ニッケルが用いられている。
ニッケル粉の製造方法としてはカーボニル法、アトマイズ法、CVD法、湿式還元法などがある。近年、湿式還元法でニッケル粉を製造する際に、アルカリ水溶液中でニッケル塩を加熱しながらヒドラジン水和物を加え還元することにより、サブμm〜数μmの球状または球状に近い還元ニッケル粉が得られることがわかっている(特開平9−291318号公報)。
【特許文献1】特開平9−291318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に用いられているカーボニル法、アトマイズ法、湿式還元法などの球状ニッケル粉はいずれも表面が滑らかであるため、樹脂の接着性は悪い。また、金属同士の接触点が1点であるため導電性の向上に限界があるという課題がある。
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、樹脂等との接着性を向上させうる複合粒子、これを用いた複合材および複合粒子の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。
すなわち、本発明に係る複合粒子は、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉中に多数の微細繊維が取り込まれていることを特徴とする。
上記ニッケル粉中に取り込まれた微細繊維の一部がニッケル粉から突出していることを特徴とする。
上記ニッケル粉の粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする。
また、微細繊維がカーボンナノチューブや金属繊維等の導電性微細繊維であることを特徴とする。
ニッケル粉の外表面に金属膜を被覆すると好適である。
上記いずれかの複合粒子をマトリクス樹脂中に混入して複合材に形成することができる。
【0005】
また、本発明方法では、カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に対して湿式還元法により、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に、微細繊維を取り込ませることを特徴とする。
【0006】
またさらに本発明方法では、カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に、硫酸イオン源、およびアンモニアもしくはアンモニウムイオン源、および硝酸イオン源から選ばれる1種以上を添加することにより、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に微細繊維を取り込ませることを特徴とする。
【0007】
前記アルカリ溶液に、金属粉もしくはセラミックス粉末を混入することを特徴とする。
前記アルカリ溶液に炭酸イオン源を添加すると好適である。
微細繊維にカーボンナノチューブや金属繊維等の導電性微細繊維を用いることを特徴とする。
カーボンナノチューブの分散にゼラチンを用いることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉中に多数の微細繊維が取り込まれている複合粒子を提供できる。
また本発明によれば、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉中に多数の微細繊維が取り込まれ、該微細繊維の一部がニッケル粉から突出している複合粒子を提供できる。 この複合粒子は、マトリクス樹脂中に配合して複合材を形成した際、錐状突起および微細繊維同士が複数個所で接触することが可能となり、良好な電気伝導性を有する複合材となすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る複合粒子の製造方法では、上記のように、カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に、硫酸イオン源、およびアンモニアもしくはアンモニウムイオン源、および硝酸イオン源から選ばれる1種以上を添加することにより、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に、微細繊維を取り込ませることを特徴とする。
【0010】
ニッケル源としては、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル塩の他、下記化1の化学式を有する塩基性炭酸ニッケルなどのニッケル化合物を用いることができる。
これらニッケル化合物は単独でも併用して用いてもよい。
【0011】
【化1】

【0012】
また、還元反応液はアルカリによってpHが調整される。アルカリとしてはNaOHが好ましいが、これに限定されるものではない。ヒドラジンによるニッケルの還元過程において、水酸化物イオンの供給源としてアルカリが一定濃度以上である必要があり、アルカリ水溶液のpHが10以上であることが好ましい。また溶液のpHによってニッケル粉の粒径を制御することが可能である。したがって、目的の粒径に合わせてpHを決めることができる。
【0013】
また微細繊維としては、直径が1μm以下で且つ直径に対する長さの比(アスペクト比)が2以上の微細繊維を用いることができる。具体的には、カーボンナノチューブや金属繊維等の微細導電性繊維、微細シリカ繊維、微細樹脂繊維を挙げることができる。
【0014】
また、かかる微細繊維の分散は、硝酸,硫酸,塩酸のいずれか1種類以上により酸処理を行うこと、或いは水溶液に超音波による衝撃を与えること、或いは撹拌機等による機械的撹拌によって水溶液を撹拌しつつ、分散剤を添加することによっても行うことができる。この分散剤としては、界面活性剤としてのオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ゼラチンを挙げることができる。
かかる微細繊維の分散を更に容易に行うには、上記分散剤を添加した水溶液に超音波による衝撃を与えることが好ましい。
【0015】
ヒドラジンの還元反応ではアルカリを消費するため、液中の水酸化物イオンは減少する。液中の水酸化物イオンが激減すると液中のpHを維持できなくなる。そこで、適宜アルカリを追加しつつ反応を行わせるようにしてもよい。
反応させるヒドラジン水和物の量は、溶液中のニッケル1molに対し含有ヒドラジン分として1mol〜20molであることが好ましい。
【0016】
また反応温度は、ヒドラジン水和物が効率よく反応する50〜70℃に保つとよい。
上記のように、還元反応液中に、硫酸イオン、アンモニアもしくはアンモニウムイオン、および硝酸イオンの1種以上を存在させ、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物を添加し還元することにより、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有するニッケル粒子中に、カーボンナノチューブ等の微細繊維を取り込ませることができる。
【0017】
なお、前記還元反応液中に、既存のニッケル粉やパラジウム粉等の金属粉、金属イオン、金属酸化物粉、セラミックス粉末、有機物粉、無機物粉をあらかじめ微量混入させると好適である。これら金属粉等が、還元反応液中のニッケルイオンが還元されてニッケル粉となる還元反応の触媒、核または種となり、反応が促進されると考えられる。
【0018】
硫酸イオン源としては硫酸のほかに、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩を用いることができる。硫酸イオンの存在下では、還元反応が比較的安定に進行する。この硫酸イオン源の添加量は、濃硫酸の場合、ニッケル1molに対し濃硫酸10mol以下、好ましくは6mol以下が好適である。濃硫酸の添加量が10molよりも多いと大量のアルカリが必要となり好ましくない。
【0019】
アンモニアもしくはアンモニウムイオン源としては、アンモニア水や、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を用いることができる。このアンモニアもしくはアンモニウムイオン源の添加量は、濃アンモニア水の場合、ニッケル1molに対し20mol以下、好ましくは10mol以下が好適である。添加量が20molよりも多いと、ニッケル粉同士がくっついた状態、あるいは板状に析出する傾向にあるため、粉体を得るには好ましくない。
【0020】
また硝酸イオン源としては硝酸のほかに、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩を用いることができる。硝酸イオンの存在下では、還元反応の反応時間が長くなり、一定量以上添加することは好ましくない。この意味から硝酸イオン源の添加量は、濃硝酸の場合、ニッケル1molに対し濃硝酸10mol以下、好ましくは6mol以下が好適である。濃硝酸の添加量が10molよりも多いと大量のアルカリが必要となり好ましくない。
【0021】
還元反応液中に、硫酸イオン、アンモニアもしくはアンモニウムイオンをそれぞれ添加されている場合、得られるニッケル粉はより微粒子化する傾向が見られ、粒径の揃ったサブμmの粒径の粒子となる。一方、硝酸イオンの存在下では、得られるニッケル粉は粗粒子化(粒子径が比較的大きい)する傾向が見られ、数μmの直径の粒子が確認できるが、同時に粒径のばらつきも大きい。
したがって、硫酸イオン、アンモニアもしくはアンモニウムイオン、硝酸イオンの存在量、およびpHを調整することによって目的とする粒径、かつ、粒度のばらつきの少ないニッケル粉を得ることができる。
【0022】
硫酸イオン、アンモニアもしくはアンモニウムイオン、硝酸イオンの存在量を調整することによって、粒径中心が、0.1μm〜10μmの範囲となる粒径のニッケル粉を得ることができた。
また、錐状突起の大きさは、高さが粒径(錐状突起の長さを含む)の1/4以下の小さなもので、形状はほぼ四角錐、円錐等の錐状をなしている。この錐状突起がほぼ球状をなすニッケル粉本体の外表面に密に多数、一体に成長したニッケル粉となっている。このように錐状突起が微細であることから、ニッケル粉の表面積は極めて大きなものとなっている。
【0023】
上記イオン源のほかに、還元反応を安定、かつ促進させる添加剤を添加すると好適である。
これら添加剤として、炭酸ナトリウム等の炭酸化合物が好適である。また、ニッケル粉の錐状突起形成に寄与する前記イオン源のうち、アンモニウムイオンが多量に存在するときは、このアンモニウムイオンが炭酸イオンとの共存下でpH緩衝作用をも発揮すると考えられる。なお、炭酸イオンは、ニッケル粉の粒径のばらつきを小さくし、均一な錐状突起の成長にも作用すると考えられる。
その他の添加剤として、酢酸化合物、グリシン、クエン酸化合物、琥珀酸ナトリウム、リンゴ酸等を用いることができる。
【0024】
上記のようにして得られたニッケル粉を、マトリクス樹脂中に配合して、導電性樹脂等の複合材に形成することができる。マトリクス樹脂は特に限定されない。本実施の形態のニッケル―微細繊維複合粉は、その外表面に多数の密な錐状突起を有するので、複合材中で錐状突起同士が複数個所で接触することが可能となり、これにより良好な導電性が得られる。また錐状突起を有することにより当該複合粉とマトリクス樹脂との密着性も良好となり、強度的に優れた複合材料を得ることができる。
その他、上記複合粒子は、導電性ペースト等の導電性材料、電気接点材料、電池の電極材料、電子放出材等の用途に用いることができる。
【0025】
さらにより良好な電気伝導性をうるため、当該複合粉の表面に、めっき、スパッタリング、CVD法等により、銀、金、白金等の貴金属皮膜をコーティングするようにすると好適である。
【実施例】
【0026】
実施例1

イオン交換水 80ml
塩化ニッケル6水和物 8g
炭酸ナトリウム 14g
濃硫酸 0.25ml
濃硝酸 0.25ml
水酸化ナトリウム水溶液
濃アンモニア水 0.25ml
ヒドラジン水和物 6ml
カーボンナノチューブ
ゼラチン

イオン交換水 80mlにカーボンナノチューブとゼラチンを溶解させ、超音波ホモジナイザーで分散させた溶液を作った。これに濃硫酸 0.25ml、濃硝酸 0.25mlおよび、4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えアルカリとし、さらに塩化ニッケル6水和物 8g、炭酸ナトリウム 14gを加え、再度4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えpH試験紙(DUOTEST pH9.5−14)にて約pH12に調整した。さらに濃アンモニア水0.25mlを加えた。この液をオイルバス中で60℃の温度に保持し、ヒドラジン水和物を6ml加え反応させた。6時間以内に反応が終了し、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有し、カーボンナノチューブの端部が外表面から突出するようにして粒子中に取り込まれた複合粒子を得た。この複合粒子の倍率を変えたSEM写真を図1、図2、図3に示す。
【0027】
実施例2

イオン交換水 80ml
塩化ニッケル6水和物 8g
炭酸ナトリウム 14g
濃硫酸 0.25ml
濃硝酸 0.25ml
水酸化ナトリウム水溶液
濃アンモニア水 0.25ml
ヒドラジン水和物 6ml
カーボンナノチューブ

濃硫酸、濃硝酸(体積比50:50)でカーボンナノチューブの酸処理を行った後、カーボンナノチューブをろ過洗浄した。
イオン交換水 80mlに上述のカーボンナノチューブを添加し、超音波ホモジナイザーで分散させた溶液を作った。これに濃硫酸 0.25ml、濃硝酸 0.25mlおよび、4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えアルカリとし、さらに塩化ニッケル6水和物 8g、炭酸ナトリウム 14gを加え、再度4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えpH試験紙(DUOTEST pH9.5−14)にて約pH12に調整した。さらに濃アンモニア水0.25mlを加えた。この液をオイルバス中で60℃の温度に保持し、ヒドラジン水和物を6ml加え反応させた。6時間以内に反応が終了し、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有し、カーボンナノチューブの端部が外表面から突出するようにして粒子中に取り込まれた複合粒子を得た。この複合粒子の倍率を変えたSEM写真を図4、図5に示す。
【0028】
実施例3

イオン交換水 80ml
塩化ニッケル6水和物 8g
濃硫酸 0.2ml
水酸化ナトリウム水溶液
ヒドラジン水和物 6ml
カーボンナノチューブ
ゼラチン

イオン交換水 80mlにカーボンナノチューブとゼラチンを溶解させ、超音波ホモジナイザーで分散させた溶液を作った。これに濃硫酸 0.2mlおよび、4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリとし、さらに塩化ニッケル6水和物 8gを加え、再度4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液をpH試験紙(DUOTEST pH9.5−14)にて約pH12に調整した。この液をオイルバス中で60℃の温度に保持し、ヒドラジン水和物を6ml加え反応させた。6時間以内に反応が終了し、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有し、カーボンナノチューブの微細繊維が端部が外表面から突出するようにして粒子中に取り込まれた複合粒子を得た。この複合粒子のSEM写真を図6に示す。
【0029】
実施例4

イオン交換水 80ml
塩化ニッケル6水和物 8g
濃アンモニア水 0.1ml
水酸化ナトリウム水溶液
ヒドラジン水和物 6ml
カーボンナノチューブ
ゼラチン

イオン交換水 80mlにカーボンナノチューブとゼラチンを溶解させ、超音波ホモジナイザーで分散させた溶液を作った。これに4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリとし、さらに塩化ニッケル6水和物 8gを加え、再度4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液をpH試験紙(DUOTEST pH9.5−14)にて約pH12に調整した。さらに濃アンモニア水0.1mlを加えた。この液をオイルバス中で60℃の温度に保持し、ヒドラジン水和物を6ml加え反応させた。6時間以内に反応が終了し、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有し、カーボンナノチューブの端部が外表面から突出するようにして粒子中に取り込まれた複合粒子を得た。この複合粒子のSEM写真を図7に示す。
【0030】
実施例5

イオン交換水 80ml
塩化ニッケル6水和物 8g
濃硝酸 0.25ml
炭酸ナトリウム 14g
水酸化ナトリウム水溶液
濃アンモニア水 0.25ml
ヒドラジン水和物 6ml
カーボンナノチューブ
ゼラチン

イオン交換水 80mlにカーボンナノチューブとゼラチンを溶解させ、超音波ホモジナイザーで分散させた溶液を作った。これに濃硝酸 0.25mlおよび、4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリとし、さらに塩化ニッケル6水和物 8g、炭酸ナトリウム 14gを加え、再度4.17mol/lの水酸化ナトリウム水溶液をpH試験紙(DUOTEST pH9.5−14)にて約pH12に調整した。さらに濃アンモニア0.25mlを加えた。この液をオイルバス中で60℃の温度に保持し、ヒドラジン水和物を6ml加え反応させた。15時間以内に反応が終了し、外表面にニッケルより成る多数の錐状突起を有し、カーボンナノチューブの端部が外表面から突出するようにして粒子中に取り込まれた複合粒子を得た。この複合粒子のSEM写真を図8に示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1で得られた複合粒子のSEM写真である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】図1のさらなる拡大図である。
【図4】実施例2で得られた複合粒子のSEM写真である。
【図5】図4の拡大図である。
【図6】実施例3で得られた複合粒子のSEM写真である。
【図7】実施例4で得られた複合粒子のSEM写真である。
【図8】実施例5で得られた複合粒子のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉中に多数の微細繊維が取り込まれていることを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
ニッケル粉中に取り込まれた微細繊維の一部がニッケル粉から突出していることを特徴とする請求項1記載の複合粒子。
【請求項3】
ニッケル粉の粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1または2記載の複合粒子。
【請求項4】
微細繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項記載の複合粒子。
【請求項5】
ニッケル粉の外表面に金属膜が被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項記載の複合粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の複合粒子がマトリクス樹脂中に混入されていることを特徴とする複合材。
【請求項7】
カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に対して湿式還元法により、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に、微細繊維を取り込ませることを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項8】
カーボンナノチューブ等の微細繊維を分散させた溶液にニッケル源たるニッケル化合物を添加し、さらにアルカリを加えてアルカリ溶液とし、該アルカリ溶液を加温しながらヒドラジンまたはヒドラジン水和物からなる還元剤を添加してニッケルを還元することで得られる複合粒子の製造方法であって、前記アルカリ溶液に、硫酸イオン源、およびアンモニアもしくはアンモニウムイオン源、および硝酸イオン源から選ばれる1種以上を添加することにより、外表面に多数の錐状突起を有するニッケル粉を析出させると共に、該ニッケル粉中に微細繊維を取り込ませることを特徴とする複合粒子の製造方法。
【請求項9】
前記アルカリ溶液に、金属粉もしくはセラミックス粉末を混入することを特徴とする請求項7または8記載の複合粒子の製造方法。
【請求項10】
前記アルカリ溶液に炭酸イオン源を添加することを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか1項記載の複合粒子の製造方法。
【請求項11】
微細繊維にカーボンナノチューブを用いることを特徴とする請求項7〜10のうちのいずれか1項記載の複合粒子の製造方法。
【請求項12】
カーボンナノチューブの分散にゼラチンを用いることを特徴とする請求項7〜11のうちのいずれか1項記載の復号粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−247056(P2007−247056A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15389(P2007−15389)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】