視認用窓を有するハンドリングウェハー
【課題】ハンドリング部材に載置される基板の熱膨張係数と違いすぎる熱膨張係数を有する物質からなるハンドリング部材の使用を避けることができる技術を提供することを目的として、マイクロエレクトロニクス用機能ウェハーのためのハンドリングウェハーを作成する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るハンドリングウェハーは、厚みを貫通する1つ以上の視認用の透明な窓を含んでおり、このハンドリングウェハーを作成する方法は、a)ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部を形成するステップと、b)位置合わせ表面又は受け取り表面上であって、かつ形成された少なくとも1つの空洞部中に、少なくとも1つの視認用窓を形成するステップと、を含んでいる。
【解決手段】本発明に係るハンドリングウェハーは、厚みを貫通する1つ以上の視認用の透明な窓を含んでおり、このハンドリングウェハーを作成する方法は、a)ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部を形成するステップと、b)位置合わせ表面又は受け取り表面上であって、かつ形成された少なくとも1つの空洞部中に、少なくとも1つの視認用窓を形成するステップと、を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ電子工学の方法又はマイクロシステムの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法においては、位置合わせが、例えば一時的な支持部材(いわゆるハンドリング部材(handle))又はケーシングによって遮蔽されてしまうパターンによって行わなければならない場合がある。
【0003】
このような場合は例えば、半導体物質からなる薄化されたウェハーが300μm未満の厚みで使用される場合に生じる。このようなウェハーはこの薄さによって非常に壊れやすく、既存のマイクロエレクトロニクス装置においては取り扱うことができない。
【0004】
位置合わせを必要とする典型例の方法は、フォトリソグラフィーである。フォトリソグラフィー用マスクによる位置合わせは、半導体ウェハーに刻まれたパターンによって達成される。ここでもまた、一時的な支持部材(ハンドリング部材)はこれら位置あわせ用目印を遮蔽する。
【0005】
図1Aは、その表面4に位置合わせ領域6、6’を含むウェハー2を図示している。
【0006】
これら領域は、位置合わせ用目印又はパターンを含み、部品、及び/又は例えば別のウェハーのような別の半導体要素の、基板2の表面4に対する所定の位置への位置決めを可能にする。このウェハー2は、ハンドリングウェハー8の上にその前面が載るように移送される(図1B)。しかし、これによってハンドリングウェハーは位置決め用目印又はパターン6、6’を遮蔽し、望ましい位置決めの達成を妨げる。図1Cは、薄化工程後の同じウェハー2を図示しており、目印は常に視認できない。
【0007】
生じ得る別の場合は図2に図示されているものであり、ケーシング12が、保護されるべき機能領域(例えば、MEMS、又はNEMS、又はMOEMS等)を含むウェハー10の表面に移送される。
【0008】
この場合、前述の場合と同様に、位置合わせ領域6、6’はケーシング12によって遮蔽されて、もはや視認できない状態にある。
【0009】
今日に至るまで、提供された解決法は透明なハンドリングウェハー8又は透明なケーシング12の使用を提案している。
【0010】
しかし、異なる性質のウェハーが高温で組み立てられる場合には、2つのウェハーの熱膨張差によって、室温に戻された際に組立体の変形がもたらされてしまう。これは、透明な物質からなるウェハーを使用する場合である。
【0011】
図3Aは、高温における透明なハンドリングウェハー16のウェハー18との組立をまさしく図示している。
【0012】
室温に戻った後の状況が図3Bに図示されており、そこには変形が現れている。
【0013】
この変形は、マイクロエレクトロニクス装置における取り扱いの問題を生じさせる。さらに、変形はフォトリソグラフィーによって得られるパターンの解像度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって課題は、ハンドリング部材に載置される基板の熱膨張係数と違いすぎる熱膨張係数を有する物質からなるハンドリング部材の使用を避けることができる、別の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は第一に、基板、マイクロエレクトロニクス部品、又はマイクロエレクトロニクス機能ウェハーのためのハンドリングウェハーを作成する方法に関し、このハンドリングウェハーは、厚みを貫通する少なくとも1つの視認用窓を含んでおり、この方法は、
a)ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部を形成するステップと、
b)位置合わせ表面又は受け取り表面上に、若しくはこの表面に面するこの空洞中に少なくとも1つの視認用窓を形成するステップと、
を含んでいる。
【0016】
「機能ウェハー」は、微小寸法を有する部品を含む例えばウェハーのような、いずれかのマイクロエレクトロニック構造を意味している。
【0017】
さらに、「視認用窓」は、位置合わせ領域における目印を認識させるように、殆どの場合に可視領域において使用される波長に対して透明である物質からなるいずれかの要素として理解される。この物質は、例えば空気又は液体、さらには固体とすることができる。結局、位置合わせ領域は1つ以上の位置合わせ用目印を含むことができる。
【0018】
ウェハーの平面における空洞部の区画は任意の区画とすることができ、空洞部は円形状又は多角形状の区画を有することができる。
【0019】
この区画は、数平方ミリメータ〜数平方センチメータ、例えば5mm2〜10cm2とすることができる表面領域を有することができる。
【0020】
空洞部のそれぞれは、ハンドリングウェハーの第1の面に孔(aperture)を有し、この孔を通じて透明な窓の材料が導入され、空洞部の底部は閉じられているとともに好ましくは平坦であるか、又は好ましくは平坦であり、かつハンドリングウェハーの第2の面に一致するとともに、第1の面に実質的に平行な表面上にある。したがってそこには、空洞部それぞれに配置することができる窓若しくはその物質との位置合わせ表面がある。
【0021】
1つの実施形態においては、貫通空洞部がステップa)の間であってステップb)の前に形成され、ハンドリングウェハーが支持基板と組み立てられ、この基板がステップb)の後に除去される。この支持基板は次いで位置合わせ若しくは受け入れ表面、又はこの位置合わせ若しくは受け入れ表面に平行な表面を提供する。ウェハーと支持基板とは両面接着結合剤の手段によって組み立てることができ、この場合、位置合わせ若しくは受け入れ表面を形成するのは接着結合剤層である。
【0022】
支持基板はステップb)の後に、ハンドリングウェハーのせん断方向の動きと支持基板のせん断方向の動きとによって除去することができる。この目的のために、熱可溶性ポリマータイプの接着結合剤が好都合に使用される。
【0023】
代替的に、非貫通空洞部をステップa)の間に形成することができる。したがって位置合わせ若しくは受け入れ表面を形成するのは空洞部の底面である。この場合、ウェハーの厚み部分はステップb)の後に除去されて、少なくとも1つの空洞部は薄化されたウェハーにおける貫通空洞部となる。
【0024】
ステップb)の間に、透明若しくは視認用の液体物質をこの空洞部の中に挿入することができ、この物質は次いで固化される。
【0025】
代替的に、ステップb)の間に、固体物質からなる少なくとも1つの透明窓部若しくは視認用窓部がこの空洞部の深さの全体又は一部分に挿入される。
【0026】
また、本発明はマイクエレクトロニクス用基板又はマイクロエレクトロニクス用機能ウェハーのためのハンドリングウェハーに関し、このハンドリングウェハーは、少なくとも1つの透明窓部若しくは視認用窓部及び/又はこのハンドリングウェハーの厚みを貫通する空洞部を含んでいる。
【0027】
本発明による方法又は装置においては、
‐窓部は、ほう珪酸ガラス、ソドカルシックガラス、溶融ガラス、フューズドシリカ、シリコーン、又はポリマー物質から形成することができ、及び/又は、
‐ウェハーは、半導体物質、又はセラミック若しくはポリマー物質とすることができる。
【0028】
また本発明は、少なくとも1つのアラインメント用マーク若しくは領域を含むウェハー、又は機能ウェハーを処理する若しくはハンドリングするための方法に関し、この方法は、このウェハーの、本発明に係る若しくは本発明による方法によって得られるハンドリングウェハーとのアセンブリーを含み、ハンドリングウェハーの窓部によって、ハンドリングウェハーを貫通する少なくとも1つのアラインメントマークの全て又は一部を視認することができ、したがって、前記ウェハー又は機能ウェハーの処理を可能にする。この処理は例えば少なくとも薄化及び/又は別のウェハーとのアセンブリーを含むことができる。機能ウェハーを処理した後、ハンドリングウェハーは除去されるか又はそのまま残される。ハンドリングウェハーがそのまま残された場合には、このハンドリングウェハーは次いでケーシングの役目を果たす。
【0029】
ウェハーは、少なくとも1つの部品、例えばMEMS、NEMS、又はMOEMSタイプをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】従来技術による方法を示す図である。
【図1B】従来技術による方法を示す図である。
【図1C】従来技術による方法を示す図である。
【図2】MEMSを支持する基板によるケーシングのアセンブリーを示す図である。
【図3A】TEC(熱膨張係数)の差による問題を示す図である。
【図3B】TECの差による問題を示す図である。
【図4A】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4B】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4C】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4D】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図5A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5E】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5F】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5G】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図6A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図7A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7E】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7F】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図8】本発明によるハンドリング装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明によるハンドリングウェハー20’の第1の例示的な使用が図4A〜4Dに図示されている。
【0032】
ウェハー2は、図1Aにおけるアラインメントマークと同様のアラインメントマーク6,6’をその表面4に含んでいる。このウェハーは、その表面を通じて、いわゆるハンドリングウェハーと称されるウェハー20に接続されているが、ウェハー20には窓部22,24が設けられており、この窓部によってアラインメントパターン6,6’の視認が可能とされている。
【0033】
図4Bは代替例を図示しており、この図において基板は図2に図示したタイプであり、この基板の表面はアラインメントマーク6,6’だけでなく、例えばMEMS、NEMS、MOEMSなどの構成部品をも組み込んでいる。このウェハーは、その表面を通じて、いわゆるハンドリングウェハーと称されるウェハー20’に接続されており、この場合もまたウェハー20’には窓部22,24が設けられており、この窓部によってアラインメントパターン6,6’の視認が可能とされている。
【0034】
図4Aの場合には、ウェハー2は次いで薄化することができ、次いで図4Cの構造を形成するように背面2’を処理される。同じ結果を図4Bのウェハー10によって得ることができる。ウェハー2の別の処理を、代替的に又は薄化と組み合わせて、例えば図4Bの基板のような別の基板100にアセンブリーすることによって行うことができる。
【0035】
図4A〜4Cにおいては、窓部と、窓部が形成されるウェハーに形成された穴部21,23の端部との間の空隙は、コーティング22’、24’によって充填される。
【0036】
図4Dにおいて検討される代替例においては、窓部の導入又は形成、特にこれら穴における固体の窓部は除外されている。
【0037】
本発明によるハンドリングウェハーのいくつかの例示的な実施形態が、以下に記載される。これら全ての例の最初に、例えばシリコン又はAsGaのような別の半導体物質、又はセラミック又はポリマーからなる当初のウェハー20(図5A,6A,7A)が検討される。よって、窓部が一体化されるウェハーは、処理されるウェハー(又はさらなる機能ウェハー)の熱膨張係数(TEC)と同等の又はそれに近い熱膨張係数を有し、処理されるウェハーは次いで窓を設けられたウェハー上に移動される。通常は、処理されるウェハーは例えばシリコンのような半導体物質からなる。
【0038】
ハンドリングウェハーの形成が可能であるウェハーは、xy平面に拡がりを有している。このxy平面に垂直な方向zに沿って測定された厚みIは小さく、例えば数百マイクロメータ〜数ミリメータ、例えば100μm〜1mm又は5mmである。
【0039】
空洞部21,23,41,43,61,63がエッチングによってウェハー20に形成される(図5B,6B,7B)。このエッチングに使用することができる技術の中には、レーザー技術又は超音波機械加工によるもの、又は研磨(sanding)によるもの、又はプラズマ技術若しくは化学的技術(とりわけKOH、TMAH、又はフッ化キセノンによるエッチング)によるものが挙げられる。
【0040】
多岐に亘る所与の例においては、窓部は例えば固体又は固体化された物質、例えばホウ珪酸ガラス、ソドカルシックガラス、可溶ガラス、フューズドシリカ、シリコーン、又はエポキシからなっていても良い。
【0041】
第1の例が図5A〜5Fに関連して記載される。
【0042】
上述のように、空洞部21、23はハンドリングウェハー20にエッチングによって形成されている(図5B)。得られた空洞部部21、23は貫通していて、したがって実際のウェハーの厚みEと同一の厚みを有している。
【0043】
空洞部を設けられたこのウェハーは、接着剤層32を設けられた平らな表面を有する支持部材30上に一時的に移動される(図5C)。この接着剤層は例えば熱可溶タイプであって、その接着力は加熱によって抑制される。
【0044】
空洞部それぞれは、当初はハンドリングウェハーの第1の主面201にアパーチャー21’、23’を含んでおり、このアパーチャー21’、23’を通じて透明な窓部の材料が次いで導入される。支持ウェハー30上への移送によって、空洞部それぞれの第2のアパーチャー21”、 23”が閉じられる。したがって、空洞部の底は、ハンドリングウェハー20の第2面202に位置合わせされた、第1面201にほぼ平行な平面上にある。
【0045】
例えばガラス、石英、又はポリマーの透明な窓部は、次いで空洞部部21、23の中に配置されるか又は導入することができる(図5D)。支持部材30又は支持部材30の接着層の支持部材上に存在しているのとは反対側の面は、窓部を、ウェハー20のxy平面に垂直な垂直方向zにある空洞部の中に適切に位置付けするための平坦な受け入れ面若しくは位置合わせ面を提供している。しかし、窓部は空洞部部を充填することなく、特に、この受け入れ面に対して後退させることができる。
【0046】
次いで、窓部をこれら空洞部部中にシールする。シール材は図5Eにおいて参照符号31’、 33’によって示されている。
【0047】
次いで、接着剤層を取り除くことによって支持部材30(図5F)を除去することができ、ウェハーの第2面202を解放する。窓部31、33は次いで、2つの面201、202それぞれに露出される。
【0048】
また、得られたウェハー20’の表面及び背面の研磨を行い、光学的特性を持たせることができる。
【0049】
窓部31、33を有するウェハー20’は次いで、既知の技術、例えば樹脂35の手段によるウェハーボンディングのタイプ、共晶タイプの溶融材料、又は陽極シーリングによって別のウェハー40上に移送することができる。このウェハー40は、それぞれ図1A及び2に関して上述された、既に説明したようにアラインメントパターン又はマークを含むウェハー2又はウェハー10のタイプとすることができる。表面に配置されたこれらパターン又はマークは、ハンドリングウェハーの窓部を通して視認することができ、よって背面の位置合わせを可能とするように使用される。
【0050】
別の典型的な実施形態が図6A〜6Dに図示されている。
【0051】
当初のウェハー20(図6A)においては、空洞部41、43もまたこのウェハーにエッチングすることによって形成される。上述の実施形態とは異なり、得られた空洞部部41、43はここでは貫通しておらず、したがって実際のウェハーの厚みEよりも小さい深さeを有している。
【0052】
次いで、透明な物質51、53によってこれら空洞部を充填するが、前述の例における窓部31、33は固体状態で空洞部部21、23に導入されていたのに対し、この場合には透明な物質は液体又はペーストタイプである。ここでは例えば溶融ガラス又は溶融シリカ又はUVポリマー若しくは熱ポリマーを選択することができる。この物質は次いで、固化を可能とする温度条件下に置いて固化される。
【0053】
空洞部のそれぞれは、ハンドリングウェハー20の第1主面201にアパーチャー41’、43 ’を含み、これらアパーチャー41’、43 ’を通じて透明な窓部の材料が導入される。空洞部41、43それぞれのエッチングされていない底部41”、 43”は、窓部それぞれの材料を、ウェハー20のxy平面に平行な平面内の、ウェハー20のxy平面に垂直な垂直方向zに沿って、対応する空洞部部中に適切に配置するための平坦な面を形成する。
【0054】
次いで、ウェハーの薄化が少なくとも空洞部それぞれの底部41”、 43”まで行われて、ウェハーの2つの主面201、202のそれぞれ上に露出させ、よって透明な窓部を生成する。ここでは透明な物質は固体である。これによって、ウェハーと空洞部41、43との間の厚みの違いはほぼ無くなる。薄化されたウェハーの表面及び背面の研磨をさらに行うことができ、よって光学的特性を得ることができる。
【0055】
この実施形態は、前述の実施形態のウェハー30のようなバックアップ(又は支持用)ウェハーの使用を必要としない。ハンドリングウェハーの第2面における窓部の位置合わせは、空洞部それぞれの底部41”、43”によって好都合に達成される。この実施形態によれば、当初は液体である物質を使用することが特に可能となる。
【0056】
別の例示の実施形態は、図7A〜7Fに示されている。
【0057】
ここでもまた、当初のウェハー20から始まり、空洞部61、63がこのウェハーにエッチングによって形成される。前述の実施形態とは異なり、得られた空洞部61、63はここでも貫通しており、したがって実際のウェハーの厚みEと同じ深さeを有している。
【0058】
空洞部を有するこのウェハーは、接着剤32’(図7C)を有する支持ウェハー上に移送されて、平坦な位置合わせ表面又は受け入れ表面を形成する。例えば接着剤は熱可溶タイプであり、その接着力は加熱によって抑制することができ、例えば一時的なウェハー接着ボンディング用にBreewer Scienceによって開発されたタイプとすることができる。
【0059】
支持ウェハーに垂直な軸zに沿って窓部を位置合わせするか又は位置決めするための、この支持ウェハー30及び/又は接着剤32’の役割は、図5A〜5Gに関連して上述された実施形態の場合と同じである。
【0060】
次いで、例えばエポキシ又はシリコーンのタイプの透明なポリマーのような液体状態の透明な物質71、73によってこれら空洞部が充填される。この物質は次いで、この物質を固化する温度条件下に置いて固化される。
【0061】
次いで、層32’の高温でのせん断によって、支持ウェハー30を取り除くことができる(図7E)。
【0062】
また、こうして得られたウェハー20’の表面及び背面の洗浄及び/又は研磨を行って、光学的特性を有させることが可能である。
【0063】
いずれの実施形態を選択しても、窓部はいずれのタイプの位置合わせ装置、その他の用途専用の装置、又は特定の装置の部分によって視認することができるように十分に広くすることができる。例えば、窓部は、基板20の表面に平行な方向に沿って測定された場合に、数十マイクロメータ〜数百マイクロメータ若しくは数ミリメータ、例えば100μm〜3mm若しくは5mmの幅又は最大サイズを有する。
【0064】
有利には、本発明によるハンドリングウェハーの窓部は研磨された表面を有し、分解能を悪化させることが無い。
【0065】
本発明によるハンドリング基板の視認用窓部は、視認用スペクトルの範囲における照射に対する透明度を有し、このスペクトルは少なくとも可視スペクトル(可視光の範囲にある高感度カメラを含むフォトリソグラフィーの殆どの装置部分)の一部、又は例えば、400nm、450nm、又は500nm〜600nm、700nm、又は750nmを含む。透明な窓部の物質は例えばガラス又はポリマーとすることができる。
【0066】
本発明は、上述した実施形態の例えば少なくとも1つのような視認用装置若しくは画像化装置を有するか、又は少なくとも1つのスペクトル範囲に敏感なカメラを有する、例えば上述に開示されたような少なくとも1つの基板又はウェハーを備える、特にフォトリソグラフィー用の装置にさらに関しており、基板又はウェハーの窓部のうちの少なくとも1つは少なくとも部分的に透明とされている。
【符号の説明】
【0067】
2・・・機能ウェハー
6、6’・・・アラインメント用領域
14・・・部品
20’・・・ハンドリングウェハー
21、31、41、43、61、63・・・空洞部
21、23、63・・・貫通空洞部
31、33、51、53、61、63・・・窓部
31、33、51、53、71、73・・・視認用窓部
32、41”、43”、32’・・・位置合わせ又は受け取り表面
30・・・支持基板
32、32’・・・両面接着結合剤
51、53、71、73・・・視認用物質
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ電子工学の方法又はマイクロシステムの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法においては、位置合わせが、例えば一時的な支持部材(いわゆるハンドリング部材(handle))又はケーシングによって遮蔽されてしまうパターンによって行わなければならない場合がある。
【0003】
このような場合は例えば、半導体物質からなる薄化されたウェハーが300μm未満の厚みで使用される場合に生じる。このようなウェハーはこの薄さによって非常に壊れやすく、既存のマイクロエレクトロニクス装置においては取り扱うことができない。
【0004】
位置合わせを必要とする典型例の方法は、フォトリソグラフィーである。フォトリソグラフィー用マスクによる位置合わせは、半導体ウェハーに刻まれたパターンによって達成される。ここでもまた、一時的な支持部材(ハンドリング部材)はこれら位置あわせ用目印を遮蔽する。
【0005】
図1Aは、その表面4に位置合わせ領域6、6’を含むウェハー2を図示している。
【0006】
これら領域は、位置合わせ用目印又はパターンを含み、部品、及び/又は例えば別のウェハーのような別の半導体要素の、基板2の表面4に対する所定の位置への位置決めを可能にする。このウェハー2は、ハンドリングウェハー8の上にその前面が載るように移送される(図1B)。しかし、これによってハンドリングウェハーは位置決め用目印又はパターン6、6’を遮蔽し、望ましい位置決めの達成を妨げる。図1Cは、薄化工程後の同じウェハー2を図示しており、目印は常に視認できない。
【0007】
生じ得る別の場合は図2に図示されているものであり、ケーシング12が、保護されるべき機能領域(例えば、MEMS、又はNEMS、又はMOEMS等)を含むウェハー10の表面に移送される。
【0008】
この場合、前述の場合と同様に、位置合わせ領域6、6’はケーシング12によって遮蔽されて、もはや視認できない状態にある。
【0009】
今日に至るまで、提供された解決法は透明なハンドリングウェハー8又は透明なケーシング12の使用を提案している。
【0010】
しかし、異なる性質のウェハーが高温で組み立てられる場合には、2つのウェハーの熱膨張差によって、室温に戻された際に組立体の変形がもたらされてしまう。これは、透明な物質からなるウェハーを使用する場合である。
【0011】
図3Aは、高温における透明なハンドリングウェハー16のウェハー18との組立をまさしく図示している。
【0012】
室温に戻った後の状況が図3Bに図示されており、そこには変形が現れている。
【0013】
この変形は、マイクロエレクトロニクス装置における取り扱いの問題を生じさせる。さらに、変形はフォトリソグラフィーによって得られるパターンの解像度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって課題は、ハンドリング部材に載置される基板の熱膨張係数と違いすぎる熱膨張係数を有する物質からなるハンドリング部材の使用を避けることができる、別の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は第一に、基板、マイクロエレクトロニクス部品、又はマイクロエレクトロニクス機能ウェハーのためのハンドリングウェハーを作成する方法に関し、このハンドリングウェハーは、厚みを貫通する少なくとも1つの視認用窓を含んでおり、この方法は、
a)ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部を形成するステップと、
b)位置合わせ表面又は受け取り表面上に、若しくはこの表面に面するこの空洞中に少なくとも1つの視認用窓を形成するステップと、
を含んでいる。
【0016】
「機能ウェハー」は、微小寸法を有する部品を含む例えばウェハーのような、いずれかのマイクロエレクトロニック構造を意味している。
【0017】
さらに、「視認用窓」は、位置合わせ領域における目印を認識させるように、殆どの場合に可視領域において使用される波長に対して透明である物質からなるいずれかの要素として理解される。この物質は、例えば空気又は液体、さらには固体とすることができる。結局、位置合わせ領域は1つ以上の位置合わせ用目印を含むことができる。
【0018】
ウェハーの平面における空洞部の区画は任意の区画とすることができ、空洞部は円形状又は多角形状の区画を有することができる。
【0019】
この区画は、数平方ミリメータ〜数平方センチメータ、例えば5mm2〜10cm2とすることができる表面領域を有することができる。
【0020】
空洞部のそれぞれは、ハンドリングウェハーの第1の面に孔(aperture)を有し、この孔を通じて透明な窓の材料が導入され、空洞部の底部は閉じられているとともに好ましくは平坦であるか、又は好ましくは平坦であり、かつハンドリングウェハーの第2の面に一致するとともに、第1の面に実質的に平行な表面上にある。したがってそこには、空洞部それぞれに配置することができる窓若しくはその物質との位置合わせ表面がある。
【0021】
1つの実施形態においては、貫通空洞部がステップa)の間であってステップb)の前に形成され、ハンドリングウェハーが支持基板と組み立てられ、この基板がステップb)の後に除去される。この支持基板は次いで位置合わせ若しくは受け入れ表面、又はこの位置合わせ若しくは受け入れ表面に平行な表面を提供する。ウェハーと支持基板とは両面接着結合剤の手段によって組み立てることができ、この場合、位置合わせ若しくは受け入れ表面を形成するのは接着結合剤層である。
【0022】
支持基板はステップb)の後に、ハンドリングウェハーのせん断方向の動きと支持基板のせん断方向の動きとによって除去することができる。この目的のために、熱可溶性ポリマータイプの接着結合剤が好都合に使用される。
【0023】
代替的に、非貫通空洞部をステップa)の間に形成することができる。したがって位置合わせ若しくは受け入れ表面を形成するのは空洞部の底面である。この場合、ウェハーの厚み部分はステップb)の後に除去されて、少なくとも1つの空洞部は薄化されたウェハーにおける貫通空洞部となる。
【0024】
ステップb)の間に、透明若しくは視認用の液体物質をこの空洞部の中に挿入することができ、この物質は次いで固化される。
【0025】
代替的に、ステップb)の間に、固体物質からなる少なくとも1つの透明窓部若しくは視認用窓部がこの空洞部の深さの全体又は一部分に挿入される。
【0026】
また、本発明はマイクエレクトロニクス用基板又はマイクロエレクトロニクス用機能ウェハーのためのハンドリングウェハーに関し、このハンドリングウェハーは、少なくとも1つの透明窓部若しくは視認用窓部及び/又はこのハンドリングウェハーの厚みを貫通する空洞部を含んでいる。
【0027】
本発明による方法又は装置においては、
‐窓部は、ほう珪酸ガラス、ソドカルシックガラス、溶融ガラス、フューズドシリカ、シリコーン、又はポリマー物質から形成することができ、及び/又は、
‐ウェハーは、半導体物質、又はセラミック若しくはポリマー物質とすることができる。
【0028】
また本発明は、少なくとも1つのアラインメント用マーク若しくは領域を含むウェハー、又は機能ウェハーを処理する若しくはハンドリングするための方法に関し、この方法は、このウェハーの、本発明に係る若しくは本発明による方法によって得られるハンドリングウェハーとのアセンブリーを含み、ハンドリングウェハーの窓部によって、ハンドリングウェハーを貫通する少なくとも1つのアラインメントマークの全て又は一部を視認することができ、したがって、前記ウェハー又は機能ウェハーの処理を可能にする。この処理は例えば少なくとも薄化及び/又は別のウェハーとのアセンブリーを含むことができる。機能ウェハーを処理した後、ハンドリングウェハーは除去されるか又はそのまま残される。ハンドリングウェハーがそのまま残された場合には、このハンドリングウェハーは次いでケーシングの役目を果たす。
【0029】
ウェハーは、少なくとも1つの部品、例えばMEMS、NEMS、又はMOEMSタイプをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】従来技術による方法を示す図である。
【図1B】従来技術による方法を示す図である。
【図1C】従来技術による方法を示す図である。
【図2】MEMSを支持する基板によるケーシングのアセンブリーを示す図である。
【図3A】TEC(熱膨張係数)の差による問題を示す図である。
【図3B】TECの差による問題を示す図である。
【図4A】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4B】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4C】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図4D】本発明による基板のアセンブリー及びハンドリングウェハーのアセンブリーを示す図である。
【図5A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5E】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5F】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図5G】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第1の方法を示す図である。
【図6A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図6D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第2の方法を示す図である。
【図7A】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7B】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7C】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7D】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7E】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図7F】本発明によるハンドリングウェハーを作成する第3の方法を示す図である。
【図8】本発明によるハンドリング装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明によるハンドリングウェハー20’の第1の例示的な使用が図4A〜4Dに図示されている。
【0032】
ウェハー2は、図1Aにおけるアラインメントマークと同様のアラインメントマーク6,6’をその表面4に含んでいる。このウェハーは、その表面を通じて、いわゆるハンドリングウェハーと称されるウェハー20に接続されているが、ウェハー20には窓部22,24が設けられており、この窓部によってアラインメントパターン6,6’の視認が可能とされている。
【0033】
図4Bは代替例を図示しており、この図において基板は図2に図示したタイプであり、この基板の表面はアラインメントマーク6,6’だけでなく、例えばMEMS、NEMS、MOEMSなどの構成部品をも組み込んでいる。このウェハーは、その表面を通じて、いわゆるハンドリングウェハーと称されるウェハー20’に接続されており、この場合もまたウェハー20’には窓部22,24が設けられており、この窓部によってアラインメントパターン6,6’の視認が可能とされている。
【0034】
図4Aの場合には、ウェハー2は次いで薄化することができ、次いで図4Cの構造を形成するように背面2’を処理される。同じ結果を図4Bのウェハー10によって得ることができる。ウェハー2の別の処理を、代替的に又は薄化と組み合わせて、例えば図4Bの基板のような別の基板100にアセンブリーすることによって行うことができる。
【0035】
図4A〜4Cにおいては、窓部と、窓部が形成されるウェハーに形成された穴部21,23の端部との間の空隙は、コーティング22’、24’によって充填される。
【0036】
図4Dにおいて検討される代替例においては、窓部の導入又は形成、特にこれら穴における固体の窓部は除外されている。
【0037】
本発明によるハンドリングウェハーのいくつかの例示的な実施形態が、以下に記載される。これら全ての例の最初に、例えばシリコン又はAsGaのような別の半導体物質、又はセラミック又はポリマーからなる当初のウェハー20(図5A,6A,7A)が検討される。よって、窓部が一体化されるウェハーは、処理されるウェハー(又はさらなる機能ウェハー)の熱膨張係数(TEC)と同等の又はそれに近い熱膨張係数を有し、処理されるウェハーは次いで窓を設けられたウェハー上に移動される。通常は、処理されるウェハーは例えばシリコンのような半導体物質からなる。
【0038】
ハンドリングウェハーの形成が可能であるウェハーは、xy平面に拡がりを有している。このxy平面に垂直な方向zに沿って測定された厚みIは小さく、例えば数百マイクロメータ〜数ミリメータ、例えば100μm〜1mm又は5mmである。
【0039】
空洞部21,23,41,43,61,63がエッチングによってウェハー20に形成される(図5B,6B,7B)。このエッチングに使用することができる技術の中には、レーザー技術又は超音波機械加工によるもの、又は研磨(sanding)によるもの、又はプラズマ技術若しくは化学的技術(とりわけKOH、TMAH、又はフッ化キセノンによるエッチング)によるものが挙げられる。
【0040】
多岐に亘る所与の例においては、窓部は例えば固体又は固体化された物質、例えばホウ珪酸ガラス、ソドカルシックガラス、可溶ガラス、フューズドシリカ、シリコーン、又はエポキシからなっていても良い。
【0041】
第1の例が図5A〜5Fに関連して記載される。
【0042】
上述のように、空洞部21、23はハンドリングウェハー20にエッチングによって形成されている(図5B)。得られた空洞部部21、23は貫通していて、したがって実際のウェハーの厚みEと同一の厚みを有している。
【0043】
空洞部を設けられたこのウェハーは、接着剤層32を設けられた平らな表面を有する支持部材30上に一時的に移動される(図5C)。この接着剤層は例えば熱可溶タイプであって、その接着力は加熱によって抑制される。
【0044】
空洞部それぞれは、当初はハンドリングウェハーの第1の主面201にアパーチャー21’、23’を含んでおり、このアパーチャー21’、23’を通じて透明な窓部の材料が次いで導入される。支持ウェハー30上への移送によって、空洞部それぞれの第2のアパーチャー21”、 23”が閉じられる。したがって、空洞部の底は、ハンドリングウェハー20の第2面202に位置合わせされた、第1面201にほぼ平行な平面上にある。
【0045】
例えばガラス、石英、又はポリマーの透明な窓部は、次いで空洞部部21、23の中に配置されるか又は導入することができる(図5D)。支持部材30又は支持部材30の接着層の支持部材上に存在しているのとは反対側の面は、窓部を、ウェハー20のxy平面に垂直な垂直方向zにある空洞部の中に適切に位置付けするための平坦な受け入れ面若しくは位置合わせ面を提供している。しかし、窓部は空洞部部を充填することなく、特に、この受け入れ面に対して後退させることができる。
【0046】
次いで、窓部をこれら空洞部部中にシールする。シール材は図5Eにおいて参照符号31’、 33’によって示されている。
【0047】
次いで、接着剤層を取り除くことによって支持部材30(図5F)を除去することができ、ウェハーの第2面202を解放する。窓部31、33は次いで、2つの面201、202それぞれに露出される。
【0048】
また、得られたウェハー20’の表面及び背面の研磨を行い、光学的特性を持たせることができる。
【0049】
窓部31、33を有するウェハー20’は次いで、既知の技術、例えば樹脂35の手段によるウェハーボンディングのタイプ、共晶タイプの溶融材料、又は陽極シーリングによって別のウェハー40上に移送することができる。このウェハー40は、それぞれ図1A及び2に関して上述された、既に説明したようにアラインメントパターン又はマークを含むウェハー2又はウェハー10のタイプとすることができる。表面に配置されたこれらパターン又はマークは、ハンドリングウェハーの窓部を通して視認することができ、よって背面の位置合わせを可能とするように使用される。
【0050】
別の典型的な実施形態が図6A〜6Dに図示されている。
【0051】
当初のウェハー20(図6A)においては、空洞部41、43もまたこのウェハーにエッチングすることによって形成される。上述の実施形態とは異なり、得られた空洞部部41、43はここでは貫通しておらず、したがって実際のウェハーの厚みEよりも小さい深さeを有している。
【0052】
次いで、透明な物質51、53によってこれら空洞部を充填するが、前述の例における窓部31、33は固体状態で空洞部部21、23に導入されていたのに対し、この場合には透明な物質は液体又はペーストタイプである。ここでは例えば溶融ガラス又は溶融シリカ又はUVポリマー若しくは熱ポリマーを選択することができる。この物質は次いで、固化を可能とする温度条件下に置いて固化される。
【0053】
空洞部のそれぞれは、ハンドリングウェハー20の第1主面201にアパーチャー41’、43 ’を含み、これらアパーチャー41’、43 ’を通じて透明な窓部の材料が導入される。空洞部41、43それぞれのエッチングされていない底部41”、 43”は、窓部それぞれの材料を、ウェハー20のxy平面に平行な平面内の、ウェハー20のxy平面に垂直な垂直方向zに沿って、対応する空洞部部中に適切に配置するための平坦な面を形成する。
【0054】
次いで、ウェハーの薄化が少なくとも空洞部それぞれの底部41”、 43”まで行われて、ウェハーの2つの主面201、202のそれぞれ上に露出させ、よって透明な窓部を生成する。ここでは透明な物質は固体である。これによって、ウェハーと空洞部41、43との間の厚みの違いはほぼ無くなる。薄化されたウェハーの表面及び背面の研磨をさらに行うことができ、よって光学的特性を得ることができる。
【0055】
この実施形態は、前述の実施形態のウェハー30のようなバックアップ(又は支持用)ウェハーの使用を必要としない。ハンドリングウェハーの第2面における窓部の位置合わせは、空洞部それぞれの底部41”、43”によって好都合に達成される。この実施形態によれば、当初は液体である物質を使用することが特に可能となる。
【0056】
別の例示の実施形態は、図7A〜7Fに示されている。
【0057】
ここでもまた、当初のウェハー20から始まり、空洞部61、63がこのウェハーにエッチングによって形成される。前述の実施形態とは異なり、得られた空洞部61、63はここでも貫通しており、したがって実際のウェハーの厚みEと同じ深さeを有している。
【0058】
空洞部を有するこのウェハーは、接着剤32’(図7C)を有する支持ウェハー上に移送されて、平坦な位置合わせ表面又は受け入れ表面を形成する。例えば接着剤は熱可溶タイプであり、その接着力は加熱によって抑制することができ、例えば一時的なウェハー接着ボンディング用にBreewer Scienceによって開発されたタイプとすることができる。
【0059】
支持ウェハーに垂直な軸zに沿って窓部を位置合わせするか又は位置決めするための、この支持ウェハー30及び/又は接着剤32’の役割は、図5A〜5Gに関連して上述された実施形態の場合と同じである。
【0060】
次いで、例えばエポキシ又はシリコーンのタイプの透明なポリマーのような液体状態の透明な物質71、73によってこれら空洞部が充填される。この物質は次いで、この物質を固化する温度条件下に置いて固化される。
【0061】
次いで、層32’の高温でのせん断によって、支持ウェハー30を取り除くことができる(図7E)。
【0062】
また、こうして得られたウェハー20’の表面及び背面の洗浄及び/又は研磨を行って、光学的特性を有させることが可能である。
【0063】
いずれの実施形態を選択しても、窓部はいずれのタイプの位置合わせ装置、その他の用途専用の装置、又は特定の装置の部分によって視認することができるように十分に広くすることができる。例えば、窓部は、基板20の表面に平行な方向に沿って測定された場合に、数十マイクロメータ〜数百マイクロメータ若しくは数ミリメータ、例えば100μm〜3mm若しくは5mmの幅又は最大サイズを有する。
【0064】
有利には、本発明によるハンドリングウェハーの窓部は研磨された表面を有し、分解能を悪化させることが無い。
【0065】
本発明によるハンドリング基板の視認用窓部は、視認用スペクトルの範囲における照射に対する透明度を有し、このスペクトルは少なくとも可視スペクトル(可視光の範囲にある高感度カメラを含むフォトリソグラフィーの殆どの装置部分)の一部、又は例えば、400nm、450nm、又は500nm〜600nm、700nm、又は750nmを含む。透明な窓部の物質は例えばガラス又はポリマーとすることができる。
【0066】
本発明は、上述した実施形態の例えば少なくとも1つのような視認用装置若しくは画像化装置を有するか、又は少なくとも1つのスペクトル範囲に敏感なカメラを有する、例えば上述に開示されたような少なくとも1つの基板又はウェハーを備える、特にフォトリソグラフィー用の装置にさらに関しており、基板又はウェハーの窓部のうちの少なくとも1つは少なくとも部分的に透明とされている。
【符号の説明】
【0067】
2・・・機能ウェハー
6、6’・・・アラインメント用領域
14・・・部品
20’・・・ハンドリングウェハー
21、31、41、43、61、63・・・空洞部
21、23、63・・・貫通空洞部
31、33、51、53、61、63・・・窓部
31、33、51、53、71、73・・・視認用窓部
32、41”、43”、32’・・・位置合わせ又は受け取り表面
30・・・支持基板
32、32’・・・両面接着結合剤
51、53、71、73・・・視認用物質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス部品のためのハンドリングウェハーを作成する方法であって、
前記ハンドリングウェハーが、該ハンドリングウェハーの厚みを通して視認するための、固体物質又は固化された物質からなる少なくとも1つの窓部(31、33、51、53、61、63)を含む方法において、
a)前記ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部(21、31、41、43、61、63)を形成するステップと、
b)この空洞部中であって、かつ位置合わせ又は受け取り表面(32、41”、43”、32’)上に、少なくとも1つの視認用窓(31、33、51、53、71、73)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)の間に貫通空洞部(21、23、63)が形成され、
ステップb)の前に、前記ハンドリングウェハーが、前記位置合わせ又は受け入れ表面、又は前記位置合わせ又は受け入れ表面に平行な表面を形成する支持基板(30)と組み立てられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持基板(30)はステップ(b)の後に取り除かれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ハンドリングウェハー及び前記支持基板(30)は、前記位置合わせ又は受け入れ表面を形成する両面接着結合剤(32、32’)の手段によって組み立てられることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記支持基板(30)は、ステップb)の後に、前記ハンドリングウェハーと前記支持基板とのせん断動作によって取り除かれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)の間に、前記受け入れ表面を形成する平坦な底(41”、43”)を有する非貫通空洞部(41、43)が形成され、
ステップb)の後に、ウェハーの厚みの所定の部分が除去されて、前記少なくとも1つの空洞部は薄化されたウェハー(20’)における貫通空洞部となることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)の間に、液体状の視認用物質(51、53、71、73)が前記空洞部に挿入され、次いで固化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)の間に、固体物質の少なくとも1つの視認用窓部(31、33)が前記空洞部の全体又は一部分に挿入されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
マイクロエレクトロニクス用機能ウェハーのためのハンドリングウェハー(20’)であって、
該ウェハーの厚みを貫通する少なくとも1つの空洞部を含み、該空洞部は固体物質又は固化された物質からなる視認用窓部を含んでいることを特徴とするハンドリングウェハー(20’)。
【請求項10】
前記窓部はホウ酸ガラス、ソドカルシックガラス、溶融ガラス、溶融シリカ、シリコーン、又はポリマーであることを特徴とする請求項9に記載のウェハー(20’)。
【請求項11】
前記ウェハーは、半導体物質、セラミック、又はポリマー物質であることを特徴とする請求項9又は10に記載のウェハー(20’)。
【請求項12】
少なくとも1つのアラインメント用領域(6、6’)を含む機能ウェハー(2)を処理する方法であって、前記機能ウェハー(2)を請求項9〜11のいずれか一項に記載のハンドリングウェハー(20’)と組み立てて、窓部によって前記少なくとも1つのアラインメント用領域の全て又は一部を、前記ハンドリングウェハーを通じて視認し、よって前記機能ウェハーの処理を可能にするステップを含む方法。
【請求項13】
前記機能ウェハー(2)は少なくとも1つの部品(14)をさらに含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部品(14)は、MEMS、NEMS、又はMOEMSであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記機能ウェハーの処理の後、前記ハンドリングウェハーが取り除かれることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス部品のためのハンドリングウェハーを作成する方法であって、
前記ハンドリングウェハーが、該ハンドリングウェハーの厚みを通して視認するための、固体物質又は固化された物質からなる少なくとも1つの窓部(31、33、51、53、61、63)を含む方法において、
a)前記ハンドリングウェハーに少なくとも1つの空洞部(21、31、41、43、61、63)を形成するステップと、
b)この空洞部中であって、かつ位置合わせ又は受け取り表面(32、41”、43”、32’)上に、少なくとも1つの視認用窓(31、33、51、53、71、73)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)の間に貫通空洞部(21、23、63)が形成され、
ステップb)の前に、前記ハンドリングウェハーが、前記位置合わせ又は受け入れ表面、又は前記位置合わせ又は受け入れ表面に平行な表面を形成する支持基板(30)と組み立てられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持基板(30)はステップ(b)の後に取り除かれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ハンドリングウェハー及び前記支持基板(30)は、前記位置合わせ又は受け入れ表面を形成する両面接着結合剤(32、32’)の手段によって組み立てられることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記支持基板(30)は、ステップb)の後に、前記ハンドリングウェハーと前記支持基板とのせん断動作によって取り除かれることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)の間に、前記受け入れ表面を形成する平坦な底(41”、43”)を有する非貫通空洞部(41、43)が形成され、
ステップb)の後に、ウェハーの厚みの所定の部分が除去されて、前記少なくとも1つの空洞部は薄化されたウェハー(20’)における貫通空洞部となることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)の間に、液体状の視認用物質(51、53、71、73)が前記空洞部に挿入され、次いで固化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップb)の間に、固体物質の少なくとも1つの視認用窓部(31、33)が前記空洞部の全体又は一部分に挿入されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
マイクロエレクトロニクス用機能ウェハーのためのハンドリングウェハー(20’)であって、
該ウェハーの厚みを貫通する少なくとも1つの空洞部を含み、該空洞部は固体物質又は固化された物質からなる視認用窓部を含んでいることを特徴とするハンドリングウェハー(20’)。
【請求項10】
前記窓部はホウ酸ガラス、ソドカルシックガラス、溶融ガラス、溶融シリカ、シリコーン、又はポリマーであることを特徴とする請求項9に記載のウェハー(20’)。
【請求項11】
前記ウェハーは、半導体物質、セラミック、又はポリマー物質であることを特徴とする請求項9又は10に記載のウェハー(20’)。
【請求項12】
少なくとも1つのアラインメント用領域(6、6’)を含む機能ウェハー(2)を処理する方法であって、前記機能ウェハー(2)を請求項9〜11のいずれか一項に記載のハンドリングウェハー(20’)と組み立てて、窓部によって前記少なくとも1つのアラインメント用領域の全て又は一部を、前記ハンドリングウェハーを通じて視認し、よって前記機能ウェハーの処理を可能にするステップを含む方法。
【請求項13】
前記機能ウェハー(2)は少なくとも1つの部品(14)をさらに含んでいることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部品(14)は、MEMS、NEMS、又はMOEMSであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記機能ウェハーの処理の後、前記ハンドリングウェハーが取り除かれることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【公開番号】特開2011−18907(P2011−18907A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−155684(P2010−155684)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155684(P2010−155684)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】
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