説明

角底袋成形方法における折り癖付け方法、角底袋成形装置における折り癖付け装置、角底袋及びそれを用いた袋包装体

【課題】角底部の折り癖を含む帯状の領域を熱変成させることにより、形状保持性と陳列したときの自立性に優れた角底袋成形方法における折り癖付け方法、角底袋成形装置における折り癖付け装置、折り癖の付いた角底袋、及びそれを用いた袋包装体を提供する。
【解決手段】袋の角筒胴部と角底部との境となる予定の線状部分に、成形具40,41の折り癖形成刃44と折り癖形成溝45を備えた成形型42,43で折り目の両側で折れ曲がった状態を維持可能な横断方向に延びる折り癖が包装材62に付けられる。その結果、そうした包装材を成形して角底袋又はそれを用いた袋包装体としたときに、角底袋又は袋包装体が角筒胴部と角底部との境界に明確な折り癖を付け且つその両側で折れ曲がった状態を維持する形状保持性と陳列状態での自立性が極めて高いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自立性のある角底包装袋又はそれを用いた袋包装体を得るため、包装材に折り癖を付ける角底袋成形方法における折り癖付け方法、角底袋成形装置における折り癖付け装置、折り癖の付いた角底袋、及びそれを用いた袋包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋又は袋の内部に製品を包装した袋包装体の一形態として、角底部にガゼットを形成した角底袋又は角底袋包装体が採用されている。角底袋包装体は、底部が比較的平坦に構成されるので、流通段階において、箱内に効率的に箱詰めして集積度を向上することができる。また、角底袋包装体は、店舗の棚に陳列する場合にも、棚上での座りが良好であると共に整列して並べることができるので、管理者側からすれば商品管理がし易くなると共に、消費者に対する店内の整然性・清潔性等のイメージの向上にもつながる。
【0003】
自立性のある包装体を製造する自動包装機において組み込まれ、筒状包装材を挟み込んでシールするエンドシーラにそれぞれ折り癖爪を取り付け、エンドシーラが筒状包装材を挟み込んだ際に、両折り癖爪が筒状包装材のエンドシールされた部位に沿った位置を挟み込んで、折り癖を付けることが提案されている。折り癖が付けられた耳部側を折り曲げることで包装体の底面をほぼ平坦にすることによって包装体を自立させることを図っている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−354212号公報(段落[0009]〜[0010]、[0040]〜[0043];図7、図10、図11)
【0004】
上記自動包装機においては、筒状包装材に形成する手段の上流側に、帯状フィルムの進行方向に沿った所定位置に折り目を付ける第1フィルム折り癖付け装置と帯状フィルムの進行方向と直交方向に折り目を付ける第2フィルム折り癖付け装置とが設けられている。第1フィルム折り癖付け装置によって、包装体の4隅に折り癖を付け、包装体の外形を略矩形状に形成する。更に、ガゼットを形成する場合には、そのガゼットの位置に折り癖を付けることにより、綺麗なガゼットを形成し、耳部が折り曲げ易くしている。また、第2フィルム折り癖付け装置を設けることによって、エンドシール装置に設けた折り癖付け爪により折り癖が付けられる耳部側のフィルムの所定位置に一周にわたって折り癖を付け、その折り癖によりフィルムを綺麗に折り曲げて、包装体の底面をほぼ平坦にしている。第2フィルム折り癖付け装置は、帯状フィルムを挟んで上下に対向配置され且つ帯状フィルムの幅よりも長い円筒状の回転体を有し同期回転する第1と第2の折り癖付けローラを備えている。第1折り癖付けローラは回転体の外周面に突出配置された帯状フィルムを押し込む凸部を有する第1折り癖部を有し、第2折り癖付けローラは回転体の外周面に突出配置され凸部と符合する凹部を有する第2折り癖部を有している。
【0005】

原反ロールからの引き出し途中の帯状フィルムの所定フィルム部位が第2フィルム折り癖付け装置を通過することで、第1,第2折り癖部がタイミングを合わせて突き当たり、帯状フィルム11を上下から所定圧力で挟み込んで帯状フィルムの進行方向横方向に横断するように折り癖が付けられる。この横方向の折癖を付ける位置は、具体的には、最終的な包装体で下側(底部)に来る側である。その後、第1フィルム折り癖付け装置を通過することにより、フィルムの進行方向に沿って所定位置に合計6本の折り癖(山折り用折り癖、谷折り用折り癖)が付けられる。所定位置に折り癖が付けられた帯状フィルムが製袋器に導かれ、そこを通過することにより筒状フィルムに製袋される。このとき、4本の山折り用折り癖が製袋器の4つ角に導かれ、四角筒状に形成される。エンドシール装置により筒状フィルムを横方向にシールするとともに、カットすることにより、後述する(図6参照)ような包装体が形成される。そして、ガゼット形成装置のガゼット爪により谷折り用折り癖の部分を中央に押し込まれることにより、ガゼットが形成される。また、折り癖付け爪により、包装体の一方の耳部に沿って折り癖が付けられる。エンドシールされて形成された耳部のうち、一方の耳部側には、第2フィルム折り癖付け装置により形成された折り癖が形成されている。折り癖並びに折り癖の部分で折り曲げられ、耳部側が折り曲げられて、平坦な底面を有し自立性のある包装体が形成される。
【0006】
別の公知例として、連続供給されるフィルム状のシート(ウェブ)に、縦方向及び横方向の谷折れ線、山折れ線の癖づけを成す縦横の罫線付与のスタンパーを、シートの送り方向の順に配設した角筒包装袋の製造方法及び装置が提案されている(特許文献2)。しかしながら、このスタンパーについては、詳細な構造が示されておらず、単に、罫線を付与するものに過ぎないと考えられる。
【特許文献2】特許第2937012号公報(段落[0027]、[0058];図1)
【0007】
しかしながら、これまで提案されている自立袋は、底側にガゼット折り込みを施してエンドシールをして製造したものが殆どである。たとえ、袋の底側に一周の折り癖を付け、或いは更にエンドシール部を袋の底面に折り倒す成形をしたものであっても、実態としては、図6に示すように、袋包装体90の角筒胴部91の側面部93,94と、角底部92との境界部分には、折り癖による筋目96が付くことはあるが、全体としてアール部95となっており、明確な折り癖は付いていない。角底部92の長辺97の長さに対する短辺98の長さの比が0.5程度の以下の場合、包装すべき製品が特にスナック菓子のような計量物であるときには、袋包装体90の自立性が低く、殆ど自然に又は僅かの力で倒れてしまう。
【0008】
上記側面部と底面部との境界部分に明確な折り癖を付けるには、袋包装体について、四隅等の部分にヘムシールを形成する等の、自動包装機とは別の後成形装置による袋包装体の再成形を行う必要があった。こうした、別の後成形装置は、概して、包装機のトータルなコスト高の原因になると共に、袋包装体の製造能力の低下に繋がり、延いては、個々の袋包装体の製造コストの上昇にもつながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、筒状包装材の成形後や袋包装体の製造後に後成形をすることなく明確な折り癖を付けるために、例えば、原反ロールから繰り出されるウェブ状包装材のような平状包装材に付ける折り癖を、角筒胴部と角底部との境界に形成される折り目の両側で折れ曲がった状態を維持可能なものにする点で解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の目的は、角筒胴部と角底部との境界に形成される折り目の両側で折れ曲がった状態を維持可能な折り癖を包装材に付けることにより、そうした包装材を成形して角底包装袋又はそれを用いた袋包装体としたときに、角筒胴部と角底部との境界に明確な折り癖を付け且つその両側で折れ曲がった状態が維持される形状保持性と陳列状態での自立性が極めて高い角底包装袋又は袋包装体を得ることができる、角底袋成形方法における折り癖付け方法、角底袋成形装置における折り癖付け装置、折り癖の付いた角底袋、及びそれを用いた袋包装体を提供することである。
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による角底袋成形方法における折り癖付け方法は、平状包装材から少なくとも角底部と角筒胴部とを有する角底袋を成形する方法において、前記角底部と前記角筒胴部との間の境界線が予定される前記平状包装材の線状部分に折り癖を付けつつ、前記線状部分を含みその両側に延びる前記平状包装材の帯状領域を加熱して熱変成させることから成っている。
【0012】
この角底袋成形方法における折り癖付け方法によれば、平状包装材から少なくとも角底部と角筒胴部とを有する角底袋を成形する際に、角底袋の角底部と角筒胴部との間の境界線が予定される平状包装材の線状部分に折り癖を付けるが、このときに、線状部分を含みその両側に延びる平状包装材の帯状領域が加熱されて熱変成される。帯状領域での変成であるために成形後の折り癖の戻りが無くなり、角底袋に成形したときに折り癖で明確な角度を持った折り目が形成され、角筒胴部と角底部との間で鋭い角部が形成され且つ維持される。
【0013】
この角底袋成形方法における折り癖付け方法において、前記帯状領域の加熱は、前記線状部分がV字状の頂点に位置する態様で前記V字状の成形型で加圧しつつ行うことができる。V字状の成形型で平状包装材を挟んで加圧することによって、V字状の頂点に位置する線状部分に折り癖が付けられる。このとき同時に、V字状をした成形型の頂点の両側に位置する斜面の領域によって、線状部分の両側に延びる平状包装材の帯状領域が挟まれて加圧される。成形型に熱源を内蔵するなどによって、線状部分を含みその両側に延びる平状包装材の帯状領域が加熱されて熱変成される。
【0014】
この角底袋成形方法における折り癖付け方法において、前記平状包装材をウェブ状包装材とし、前記帯状領域を前記角底袋単位によるピッチで前記ウェブ状包装材を横断する方向に繰り返して設定することで、前記角底袋を連続成形することができる。即ち、ウェブ状包装材に上記のように帯状領域を繰り返して設定することで、通常の製袋充填包装と同様に、走行するウェブ状包装材から、その走行方向に角底部と袋頂部とが順に並ぶ角底袋を連続成形することができる。
【0015】
また、この発明による角底袋成形装置における折り癖付け装置は、平状包装材から少なくとも角底部と角筒胴部とを有する角底袋を成形する角底袋成形装置において、前記角底袋の前記角底部と前記角筒胴部との間の境界線が予定される前記平状包装材の線状部分に折り癖を付ける成形具を備え、前記成形具は前記線状部分を含みその両側に延びる前記平状包装材の帯状領域を加熱・加圧して成形する帯状加熱成形型を有していることから成っている。
【0016】
この角底袋成形装置における折り癖付け装置によれば、成形具は、平状包装材から将来角底袋となるその角底部と角筒胴部との間の境界線が予定される平状包装材の線状部分に折り癖を付ける。成形具が有する帯状加熱成形型は、線状部分を含みその両側に延びる平状包装材の帯状領域を加圧・加熱して成形するので、その帯状領域を熱変成させる。折り癖の線状の変成ではなく、折り癖を跨いだ帯状領域での変成であるため、平状包装材から角底袋の成形後において折り癖の戻りが無くなり、折り癖で明確な角度を持った折り目が形成され、角筒胴部と角底部との間で鋭い角部が形成され且つ維持される角底袋を成形することができる。
【0017】
この角底袋成形装置における折り癖付け装置において、前記帯状加熱成形型をV字状の成形凸型とそれに対応するV字状の成形凹型とから成る成形型組に構成し、前記折り癖を、前記線状部分を前記V字状の頂点に位置させて前記平状包装材の前記帯状領域を前記成形型組による加圧状態で加熱することにより付けることができる。V字状の成形凸型と成形凹型との成形型組で平状包装材を挟んで加圧することによって、V字状の頂点に位置する線状部分に折り癖が付けられる。このとき同時に、V字状をした成形型の頂点の両側に位置する斜面の領域によって、線状部分の両側に延びる平状包装材の帯状領域が挟まれて加圧される。成形型に熱源を内蔵するなどによって、線状部分を含みその両側に延びる平状包装材の帯状領域が加熱されて熱変成される。
【0018】
この角底袋成形装置における折り癖付け装置において、前記平状包装材はウェブ状包装材であり、前記帯状領域は前記角底袋単位によるピッチで前記ウェブ状包装材を横断方向に繰り返して設定されて、前記角底袋が連続成形される縦型製袋機又は縦型製袋充填包装機に適用することができる。即ち、ウェブ状包装材に上記のように帯状領域を繰り返して設定することで、通常の縦型製袋機又は縦型製袋充填包装機と同様に、走行するウェブ状包装材から、その走行方向に角底部と袋頂部とが順に並ぶ角底袋を連続成形することができる。
【0019】
また、この発明による角底袋は、角筒胴部と前記角筒胴部の底側端部に形成された角底部とを備え、前記角筒胴部と前記角底部との境界に位置する包装材の線状部分に折り癖が付けられるとともに、前記線状部分を含みその両側に延びる前記包装材の帯状領域材が加熱して熱変成されており、前記角底部は、前記折り癖に沿って対向する側面部からガゼット折込みが行われたガゼット角底部に形成されていることから成っている。
【0020】
この角底袋によれば、角筒胴部と角底部との境界に位置する包装材の線状部分に折り癖が付けられ、この線状部分を含みその両側に延びる平状包装材の帯状領域が加熱・加圧されて成形されているので、その帯状領域が熱変成される。帯状領域での変成であるために平状包装材からの成形後において、折り癖の戻りが無くなり、折り癖で明確な角度を持った折り目が形成され、角筒胴部と角底部との間で鋭い角部が形成され且つ維持される角底袋となる。
【0021】
この角底袋において、前記折り癖は袋頭部にも形成され、前記袋頭部は、前記折り癖に従ってガゼット折り込みが行われたガゼット角頭部に形成することができる。袋の頭部にも折り癖とそれに従ってガゼット折り込みを行うことによって、袋底部と袋頭部とが共にガゼット折り込みが行われ、全体を直方体状の包装袋を形成することがができる。
【0022】
更に、この発明による角底袋包装体は、上記の角底袋の内部に製品を収容して成っている。製品は、スナック菓子のよいな軽量な製品であっても、そうした製品を収容したこの角底袋包装体は、容易には転倒せず、棚上で整然と起立状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明による角底袋成形方法における折り癖付け方法、角底袋成形装置における折り癖付け装置、折り癖の付いた角底袋、及びそれを用いた袋包装体は、上記のように構成されているので、角筒胴部と角底部との境界に形成される折り目の両側で折れ曲がった状態を維持可能な折り癖が包装材に付けられ、その結果、そうした包装材を成形して角底袋又はそれを用いた袋包装体としたときに、角底袋又は袋包装体が角筒胴部と角底部との境界に明確な折り癖を付け且つその両側で折れ曲がった状態を維持する形状保持性と陳列状態での自立性が極めて高いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による角底袋の成形における折り癖付けの実施例を説明する。図1はこの発明による折り癖付け装置が適用された角底袋成形装置としての縦型製袋充填包装装置の概略図、図2は図1に示す縦型製袋充填包装装置の変形例の要部を示す概略図である。
【0025】
図1に示す縦型製袋充填包装装置によれば、フィルム状の包装材ロール(原反ロール)63として巻き取られていたウェブ状包装材(平状包装材)62は、複数の案内ローラ65によって案内された後に、ピンチローラから成る送りローラ64と案内ローラ65との間に挟まれた状態で繰り出される。繰り出されたウェブ状包装材62には、両サイドのフレームに形成された上下方向の溝66内で両端支軸が上下に案内されるウェイトローラ67の重量によって弛みが吸収され且つ適当な張力が与えられる。ウェブ状包装材62は、アジャストローラ68及び最終案内ローラ69を経て縦型製袋充填包装装置60の本体に至り、筒状包装材71に成形されて後、例えば軽量なスナック菓子のような製品Aが筒状包装材71内部に投入され、最終的には袋包装体Pに成形される。
【0026】
縦型製袋充填包装装置60は、ウェブ状包装材62を筒状に曲成するフォーマ70と、筒状曲成された包装材の内部に位置して包装材の走行を案内するとともに上方から包装すべき製品が投入される充填筒72と、筒状曲成された包装材に縦シール(センターシール)を行って筒状包装材71に成形する縦シール手段73と、筒状包装材71に横シール(エンドシール)を行って袋75を形成するとともに袋包装体Pを製造する横シール手段74とを備えている。ウェブ状包装材62には、日付装置77によって包装日時が印刷される。センサ76がウェブ状包装材62上のレジマークMを検出し、ロータリエンコーダ(図示せず)がウェブ状包装材62の送り長さを測定し、これらの情報が入力された制御装置(図示せず)は、充填筒72の左右両側にそれぞれ配設された包装材送り機構78(一方のみ図示)の駆動源であるモータの出力軸に配設されているブレーキ・クラッチを制御する。包装材送り機構78は、充填筒72の外周において角筒状の筒状包装材71を挟んで送る送りベルト79から成る。後述する横シール手段74が往復動形式の手段であるので、包装材の送りはウェイトローラ67以降の装置60全体を通して間欠的である。
【0027】
充填筒72は、上部は円筒筒部72aであるが、途中で連続的な断面形状変遷部72bを経て下側の四角筒筒部72cへと変化する。ウェブ状包装材62は、円筒筒部72aでは断面円形の筒状に曲成されているが、断面形状変遷部72bを経るにしたがって断面矩形に連続的に変化し、四角筒筒部72cにおいて断面四角状の筒状包装材71に成形されて走行する。横シール手段74は、充填筒72の下端の下方において、筒状包装材71(角筒胴部)に対して対向する両側から挟み込んで、先行して製造された袋包装体Pの袋頭部とその後続して製造される袋75の角底部とに横シールを形成する。横シール手段74にはカッタが組み込まれており、カッタは袋頭部の横シール部と角底部の横シール部との間で筒状包装材71を切断する。
【0028】
横シール手段74に関連して、ガゼット折り込み手段80が配設されている。この例では、ガゼット折り込み手段80は、横シール手段74の上方で上記後続の袋の角底部に対してガゼットを折り込む水平な一対の三角板から構成されている。筒状包装材71は、断面が一対の長辺と一対の短辺とから成る長方形であるが、ガゼット折り込み手段80は短辺側から、即ち、横シール手段74の作動方向とは直交する方向から押し込んで作用するように配置されている。なお、ガゼット折り込み手段80は横シール手段74の作動に先行するタイミングで作動し、ガゼット折り込みが完了した直後に横シール手段74が作動し、更に、カッタが作動して袋間の筒状包装材71を切断する。切断後の横シール部を角底部に折り曲げるため、角底部に側方より出入りする板材から成る横シール部折曲げ手段を配設することができるが、この手段は良く知られたものであるので詳細については省略する。
【0029】
図2に示す縦型製袋充填包装装置の変形例においては、袋頭部のためのガゼット折り込み手段81が追加して設けられている。ガゼット折り込み手段81は、ガゼット折り込み手段80と同様に水平な一対の三角板から構成されている。ガゼット折り込み手段81は、横シール手段74の下方で先行して形成され製品Aが充填された袋P1の袋頭部に対してガゼットを折り込む縦の一対の三角板から構成されている。この構成によれば、先行して製造された製品充填済みの袋の頭部に横シールを形成するときに、袋頭部もガゼットを折り込むことができる。このとき更に、袋P1に内圧をかけるようにすれば、ガゼットを折り込んで角底部と同様に角状の頭部に成形することが可能である。
【0030】

折り癖付け装置10は、図1に示すように、包装材ロール63から繰り出されるウェブ状包装材62が縦型製袋充填包装装置60に至る走行経路上に配置されている。詳細には、包装材ロール63からウェブ状包装材62がウェイトローラ67を経た後、アジャストローラ68に案内されて水平に延び、ウェブ状包装材62を筒状包装材71に曲成成形するため縦型製袋充填包装装置60に備わるフォーマ70に至る途中に、折り癖付け装置10が設けられている。折り癖付け装置10の上流側には日付印刷装置77が、また、下流側にはレジマークM検出用のセンサ76が設けられている。
【0031】

折り癖付け装置10は、縦方向、即ち、ウェブ状包装材62の走行方向に沿った縦方向に延びる第1折り癖21を付ける第1折り癖付け装置11と、その下流方向直後に配置されておりウェブ状包装材62の走行方向に直交する横方向に延びる第2折り癖22を付ける第2折り癖付け装置12とから成っている。第1折り癖21は、山折り状折り癖21aと谷折り状折り癖21bとから成る。本発明による折り癖付けは、第2折り癖付け装置12によって与えられる第2折り癖22を対象としている。
【0032】
図3は図1に示す折り癖付け装置のうち第1折り癖付け装置を示す図、図4は図1に示す折り癖付け装置のうち第2折り癖付け装置を示す図である。
【0033】
図3(a)に示すように、第1折り癖付け装置11は、ウェブ状包装材62の横断方向に平行な方向に回転軸線を有するローラを備えた回転式の折り癖付け装置である。第1折り癖付け装置11は、凸状の折り癖形成刃25と凹状の折り癖形成刃26とが形成されている上側ローラ23と、折り癖形成刃25,26にそれぞれ対応して周面に凹状の折り癖形成刃27と凸状の折り癖形成刃28が形成されている下側ローラ24とから成っている。上側ローラ23と下側ローラ24とは、ウェブ状包装材62の上下にそれぞれ所定の位置に互いに対応させて設けられている。凸状の折り癖形成刃25と凹状の折り癖形成刃27とは、四組が配設されており、袋を成形したときその四隅において縦方向に延びる山折り状の第1折り癖21a(図 1、図2参照)を形成する。凹状の折り癖形成刃26と凸状の折り癖形成刃28とが凸状の折り癖形成刃25,25と凹状の折り癖形成刃27,27との間に配置されており、これらの形成刃26,28によって山折り状折り癖21a,21aの間の中間位置に谷折り状折り癖21b(図 1、図2参照)が形成される。
【0034】
第1折り癖付け装置11によって、ウェブ状包装材62の走行方向に沿った二組の二つの山折り状折り癖21aと、各組において両山折り状折り癖21aの間の位置に谷折り状折り癖21bとからなる、都合6本の縦方向折り癖21が連続的に付けられる。山折り状折り癖21aは、最終的に製造される袋包装体の胴部の四隅において縦方向に延びる折り癖となり、谷折り状折り癖21bは、同じく袋包装体の胴部において、短辺側の中央位置でガゼット折り込みに応じた凹み状の折り癖となっている。
【0035】
図3(b)に示すように、凸状の折り癖形成刃25,28の先端角度は、凹状の折り癖形成刃26,27の底開き角度よりも小さくされている。ウェブ状包装材62は、折り癖形成刃25,28の最も狭くなる部位、即ち、凸状の折り癖形成刃25,28の先端部29と凹状の折り癖形成刃26,27の底部30とで挟まれる部位で線状に押されて、折り癖21a,21bが形成される。折り癖21a,21bを付けるための上側及び下側のローラ23,24は、加熱手段(図示せず)を内蔵しているので、包装材を加熱しながら成形する。凸状の癖形成刃25,28の先端29の両側の斜面31,31と、凹状の折り癖形成刃26,27の底部30両側の斜面32,32は、先端部29(底部30)から次第に広がっているので、折り癖21の線状部分以外、ウェブ状包装材62を加圧・加熱することは殆どない。
【0036】
図4(a)に示すように、横方向に延びる第2折り癖22を付けるための第2折り癖付け装置12は、包装袋単位長さ毎に2カ所の所定の位置で、ウェブ状包装材62の走行方向に直交する横方向に延び且つウェブ状包装材を上下方向から挟む成形具40,41を備えた二組の往復動式の折り癖付装置である。各組の成形具40,41は、上下にそれぞれ袋の角頭部と角底部との所定の位置に互いに対応させて設けられている。成形具40,41は、ウェブ状包装材62の横幅を超える長さを有し、適宜の駆動機構によってウェブ状包装材62を同時に挟み且つ同時に離れる動作をする。駆動機構としては、回転を互いに逆位相の往復動に変換する機械式の駆動機構であっても良く、また、エアシリンダで互いに逆方向に作動させてよい。
【0037】
各組の成形具40,41が折り癖22を付ける位置は、この例では角底袋(図5のPを参照)の角底部2及び角頭部9と角筒胴部1との間で境界線が予定されるウェブ状包装材62の線状部分である。成形具40,41は、それぞれ、線状部分を含みその両側に延びるウェブ状包装材62の帯状領域52(図4(b)でハッチングで示した領域を参照)を加熱・加圧して成形するスタンプバー式の帯状加熱成形型を有している。帯状加熱成形型は、下面にV字状の折り癖形成刃44を備えた成形凸型42と、それに対応して上面にV字状の折り癖形成溝45を備えた成形凹型43とから成る成形型組に構成されている。成形型42,44には、ヒータ等の加熱手段46が内蔵されており、帯状領域52を加圧するとき同時に加熱する。
【0038】
図4(b)に示すように、成形凸型42においてV字状の折り癖形成刃44の頂点48の両側の斜面50と、成形凹型43においてV字状の折り癖形成溝45の底部49の両側の斜面51は、実質的に平行である。ウェブ状包装材62の線状部分を折り癖形成刃44の頂点48に合わせた状態で成形型42,43を駆動することにより、ウェブ状包装材62の帯状領域52を、成形型のV字状の折り癖形成刃44と折り癖形成溝45との斜面50,51間で加圧状態で加熱することにより、V字状の頂点48とそれに対応する底部49に位置する線状部分に第2折り癖22が付けられる。このとき同時に、斜面50,51の領域によって、線状部分の両側に延びる平状包装材の帯状領域52が挟まれて加圧され且つ加熱されて熱変成される。
【0039】
各組の成形具40,41は、図4(a)にピッチpで示す一袋分の包装材において、袋に角形のガゼットが折り込まれる位置に対応した位置に配置されている。したがって、上下の成形型42,43によって、一袋分の包装材には、包装袋のガゼット折り込み位置に角筒胴部の周方向に一周する山折り状の第2折り癖22,22(図1、図2参照)が形成される。
【0040】
帯状領域52を角底袋単位によるピッチpでウェブ状包装材62を横断する方向に繰り返して設定することで、最終的に角底袋包装体Pを連続成形することができる。即ち、ウェブ状包装材62に上記のように帯状領域52を繰り返して設定することで、通常の製袋充填包装と同様に、走行するウェブ状包装材62から、その走行方向に角底部と袋頂部とが順に並ぶ角底袋包装体Pを連続成形することができる。
【0041】
図5には、例えば、スナック菓子のような軽量な菓子を製品として包装袋内に包装した袋包装体の例が示されている。袋包装体Pは、角底部2にガゼット折り込みを施してガゼット角底部としたガゼット包装体である。図5(a)は袋頭部9にガゼット折り込みが行われていない袋包装体Pの一例を示す斜視図であるが、図5(b)は袋頭部9にガゼット折り込みを行った袋包装体P’の一例を示す斜視図である。少なくとも角底側のガゼット折り込みは、山折りとなる第2折り癖22に基づいてガゼット折り込み手段80によって行われる。角底部27は、長辺7と短辺8とで囲まれる長方形のガゼット角底部である。
【0042】
成形型42,43には、内部に加熱手段46が設けられているので、ウェブ状包装材62の間欠停止時に、作動して、強く挟む時に加熱して包装材を変成させる。折り癖を付ける条件(温度・時間)は、材料の種類や厚み、(多層・金属フィルム層)によって異なる。包装材の第2折り癖22を含む帯状領域52は熱によって変成されているので、袋包装体Pの製造後において、折り癖22から形成される折り目5の戻りが無くなり、角底の袋包装体Pに成形したときに少なくとも角底部2の周囲に明確な角度を持った折り目5が形成され、角筒胴部1と角底部2との間で且つ角底部2の周囲で鋭い直角の角部が形成され且つ維持される。したがって、袋包装体Pの保形性が高まるとともに、軽量製品を包装した場合でも自立性が確保され、少々の力では形が崩れたり転倒することがなく、流通段階での輸送性や店頭での陳列性に優れた袋或いは袋包装体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】折り癖付け装置が適用された角底袋成形装置としての縦型製袋充填包装装置の概略図である。
【図2】図1に示す縦型製袋充填包装装置の変形例の要部を示す概略図である。
【図3】図1に示す折り癖付け装置のうち第1折り癖付け装置を示す図である。
【図4】図1に示す折り癖付け装置のうち第2折り癖付け装置を示す図である。
【図5】スナック菓子のような軽量な菓子を製品として包装袋内に包装した袋包装体の一例を示す図である。
【図6】従来の角底袋の包装体の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 角筒胴部 2 角底部
9 角頭部
10 折り癖付け装置
11 第1折り癖付け装置
12 第2折り癖付け装置
21 第1折り癖
21a 山折り状折り癖 21b 谷折り状折り癖
22 第2折り癖
23 上側ローラ 24 下側ローラ
25,28 折り癖形成刃(凸状)
26,27 折り癖形成刃(凹状)
29 先端部 30底部 31,32 斜面
40,41成形具
42 成形凸型 43 成形凹型
44 折り癖形成刃 45 折り癖形成溝
46 加熱手段 48 頂点 49 底部
50 斜面 51 52 帯状領域
60 縦型製袋充填包装装置
62 ウェブ状包装材 63 包装材ロール
64 送りローラ 65 案内ローラ
66溝 67 ウェイトローラ
68 アジャストローラ 69 最終案内ローラ
70 フォーマ 71 筒状包装材
72 充填筒 72a 円筒筒部
72b 断面形状変遷部 72c 四角筒筒部
73 縦シール手段 74 横シール手段
75 袋 76 センサ
77 日付装置
78 包装材送り機構 79 送りベルト
80,81 ガゼット折り込み手段
A 製品 P,P1 袋包装体
M レジマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平状包装材から少なくとも角底部と角筒胴部とを有する角底袋を成形する方法において、前記角底部と前記角筒胴部との間の境界線が予定される前記平状包装材の線状部分に折り癖を付けつつ、前記線状部分を含みその両側に延びる前記平状包装材の帯状領域を加熱して熱変成させることから成る角底袋成形方法における折り癖付け方法。
【請求項2】
前記帯状領域の加熱は、前記線状部分がV字状の頂点に位置する態様で前記V字状の成形型で加圧しつつ行われることから成る請求項1に記載の角底袋成形方法における折り癖付け方法。
【請求項3】
前記平状包装材はウェブ状包装材であり、前記帯状領域は前記角底袋単位によるピッチで前記ウェブ状包装材を横断する方向に繰り返して設定されて、前記角底袋が連続成形されることから成る請求項1又は2に記載の角底袋成形方法における折り癖付け方法。
【請求項4】
平状包装材から少なくとも角底部と角筒胴部とを有する角底袋を成形する角底袋成形装置において、前記角底袋の前記角底部と前記角筒胴部との間の境界線が予定される前記平状包装材の線状部分に折り癖を付ける成形具を備え、前記成形具は前記線状部分を含みその両側に延びる前記平状包装材の帯状領域を加熱・加圧して成形する帯状加熱成形型を有していることから成る角底袋成形装置における折り癖付け装置。
【請求項5】
前記帯状加熱成形型はV字状の成形凸型とそれに対応するV字状の成形凹型とから成る成形型組に構成されており、前記折り癖は前記線状部分を前記V字状の頂点に位置させて前記平状包装材の前記帯状領域を前記成形型組による加圧状態で加熱することにより付けられることから成る請求項4に記載の角底袋成形装置における折り癖付け装置。
【請求項6】
前記平状包装材はウェブ状包装材であり、前記帯状領域は前記角底袋単位によるピッチで前記ウェブ状包装材を横断方向に繰り返して設定されて、前記角底袋が連続成形される縦型製袋機又は縦型製袋充填包装機に適用されていることから成る請求項4又は5に記載の角底袋成形装置における折り癖付け装置。
【請求項7】
角筒胴部と前記角筒胴部の底側端部に形成された角底部とを備え、前記角筒胴部と前記角底部との境界に位置する包装材の線状部分に折り癖が付けられるとともに、前記線状部分を含みその両側に延びる前記包装材の帯状領域材が加熱して熱変成されており、前記角底部は、前記折り癖に沿って対向する側面部からガゼット折込みが行われたガゼット角底部に形成されていることから成る角底袋。
【請求項8】
前記折り癖は袋頭部にも形成され、前記袋頭部は、前記折り癖に従ってガゼット折り込みが行われたガゼット袋頭部に形成されていることから成る請求項7に記載の角底袋。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の前記角底袋の内部に製品を収容して成る角底袋包装体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−75987(P2006−75987A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259095(P2004−259095)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】