説明

角形二次電池およびその製造方法

【課題】正負極板の露出部捲き終わりのめくれ上がりを防止する。
【解決手段】電極群6において、負極板は、その捲回最外周が正極板の捲回最外周を覆うように捲回され、負極板の捲き終わり6DEは、正極板6Eの捲き終わり端部6EEよりも、より捲回を進めた位置に至る。電極群6の平面部において捲き終わり端部6EE,6DEは接続板5A、5Bで超音波接合されている。捲き終わり端部6EE,6DEは、平面部の超音波接合箇所に位置する。したがって、捲き終わり端部6EE,6DEは溶接固定される。これによって捲き終わりのめくれ上がりが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角形二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大出力、大容量が要求されるハイブリッド自動車や電気自動車では、数十あるいは百超の単位電池の集合によって組電池を構成する必要がある。そのため、実装密度の観点から角形二次電池が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1記載の非水電解質二次電池は、集電箔を有する正負極板とそれらを絶縁するセパレータが扁平状に捲回されて構成される電極群を有する。電極群の両端部には、正負極集電箔上に活物質合剤が塗布されず金属箔が露出する露出部がそれぞれ設けられている。金属箔の露出部は電極群の中で互いに反対側に位置している。扁平形状の電極群の外形形状は、両端部に正負極板が捲かれる一対の曲がり面部と、一対の曲がり面部を接続する表裏の平面部とを有し、電極群は、一方の曲がり部が電池缶の底部側に配置されるように電池缶に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の二次電池においては、電池容量から決定される電極箔の長さに応じて金属箔の切断位置が決定されている。そのため、金属箔の切断位置である捲き終わり端部の位置は不定である。このため、捲き終わり端部の位置によっては、電極群を電池缶に挿入する際、金属箔の捲き終わり端部が電池缶の開口部に引っ掛かるおそれがある。そのため、電極群を電池缶に挿入する際に金属箔がめくれ上がらないように慎重な作業が要求されている。その結果、電池製造時間が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1の発明による角形二次電池は、活物質が両面に塗布されたシート状の正負極板をセパレータで絶縁しつつ捲回軸周りに扁平形状に捲回してなり、捲回軸方向の両端には前記活物質が塗布されない正負極板の露出部がそれぞれ設けられた電極群と、電池缶と電池蓋とを有し、前記電極群を収納する扁平直方体状の電池容器と、前記正負極板の露出部とそれぞれ電気的に接続された正負極外部端子とを有し、前記正負極板の露出部における捲き終わり端部の各々が、それぞれ導電部材を介在させて前記電池容器の内面に対峙していることを特徴とする。
(2)請求項8の発明による角形二次電池の製造方法は、活物質が両面に塗布されたシート状の正負極板をセパレータで絶縁しつつ捲回軸周りに扁平形状に捲回してなり、捲回軸方向の両端には前記活物質が塗布されない正負極板の露出部がそれぞれ設けられた電極群を作製する第1工程と、前記正負極板の露出部の各々を正負極外部端子にそれぞれ接続する正負極接続板に接続する第2工程と、前記正負極接続板が接続された前記電極群を扁平直方体状の電池容器に収納する第3工程と、前記第3工程の後、前記電池容器を密閉する第4工程とを有し、前記第1工程は、前記正負極板の露出部における捲き終わり端部が、前記電極群の表面で予め定めた位置となるように前記正負極板を切断する第5工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、正負極板の露出部における捲き終わり端部のめくれ上がり防止のために特別な工程を採用する必要がなく、電池製造時間を短縮化できる。とくに、車載用途では1台当たりの電池数量も多いので、生産性とコストの面で本発明は非常に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による角形二次電池の第1実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の角形二次電池の電極群接合前の状態を示す分解斜視図。
【図3】図1の角形二次電池の電極群接合後の状態を示す分解斜視図。
【図4】図1の角形二次電池の電極群を示す斜視図。
【図5】電極群と接続板の接合状況を示す図である。
【図6】第1実施形態の電極群の終端を説明する図。
【図7】第1実施形態の捲回群の製造設備を示す斜視図。
【図8】本発明による角形二次電池の第2実施形態における電極群の終端を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による角形二次電池の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
図1〜図7は第1の実施の形態による角形二次電池を示す。
図1〜図3に示すように、電池30は、電極群6と、電極群6を収納する電池缶1とを備える。電池缶1には、電極群6を挿入するための開口部11が設けられ、開口部11は電池蓋3によって封止されている。さらに、電池缶1内には、電池蓋3に設けられた注液口20から電解液が注入され、注液口20は注液栓によって封止されている。電池蓋3は、開口部11の輪郭に合致する平板状に形成され、隙間無く開口部11を封止する。なお、図1において、符号100は、電池缶1と電池蓋3から構成される電池容器を示している。
【0011】
電池蓋3には図示しない貫通孔が穿設され、貫通孔には正負極外部端子4A、4Bが挿着されている。外部端子4A,4Bは、後述する正負極接続板5A,5Bとともに電池蓋3に固定されている。さらに、外部端子4A、4Bには絶縁性のシール材13A、13Bが装着され、外部端子4A、4Bの周囲の漏液が防止されている。
【0012】
電池缶1、電池蓋3は、ともにアルミニウム合金等で製作されている。正極側の接続板5A、外部端子4Aはアルミニウム合金で製作され、負極側の接続板5B、外部端子4Bは銅合金で製作されている。
【0013】
シール材13は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、あるいはペルフルオロアルコキシフッ素(PFA)等の絶縁性樹脂により作製されている。また、電解液としては、例えば、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系の有機溶媒に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩が溶解された非水電解液を用いる。
【0014】
外部端子4A、4Bには、電池缶1内部で接続板5A,5Bが機械的かつ電気的にそれぞれ接続されている。接続板5A,5Bには、電極群6が機械的かつ電気的に接続されている。これによって、外部端子4A、4Bは電極群6と電気的に接続され、電極群6は電池蓋3によって機械的に支持される。
【0015】
なお、図2に示すように、電池蓋3、外部端子4A、4B、接続板5A,5Bは予め機械的に一体化された蓋アセンブリ40として組み立てられ、図3に示すように、蓋アセンブリ40に電極群6を接続して電極アセンブリ50が組み立てられる。
【0016】
(電極群)
図4に示すように、電極群6は、シート状の正負極板6E、6Dをセパレータ6Cを介在させつつ捲回軸周りに扁平状に捲回して成り、電池缶1と電池蓋3とで画定された扁平直方体状の空間内に収納される。正負極板6E、6Dは正負極集電箔上に活物質合剤を塗布して構成される。図中、6Fは活物質合剤を塗布した塗工部を示す。捲回軸方向の両端部の各々には、活物質合剤を塗布しない未塗工部(金属箔の露出部)6A、6Bが設けられる。未塗工部6A、6Bは、電極群6の捲回軸方向の反対位置にそれぞれ形成されている。
【0017】
正極活物質としてマンガン酸リチウム等のリチウム含有遷移金属複酸化物を含む正極活物質合剤が使用される。負極活物質としてリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な黒鉛等の炭素材を含む負極活物質合剤が使用される。
【0018】
なお、図3に示すように、未塗工部6A、6Bは平面的に潰された平面部62A,62Bを有し、この平面部62A,62Bにおいて、未塗工部6A、6Bは接続板5A,5Bに電気的に接続される。
【0019】
ここで、図5も参照して電極群6の外形形状について説明する。電極群6を電池缶1に収容したとき、電極群6の捲回軸は開口部11を形成する平面に平行に、かつ電池缶の幅広面104に平行に配置される。電極群6の捲回外周面は、両端の折り曲げ部60と、折り曲げ部60の間で電極群表裏に広がる平面部61とで形成される。
【0020】
(正負極接続板)
図2および図3を参照して正負極接続板5A,5Bについて説明する。正負極接続板5A,5Bはそれぞれ同様に構成されているので、接続板5Bのみを代表的に詳述する。
接続板5Bは、電池蓋3の内面に沿う基部51Bと、基部51Bから略直角に曲がって、電池缶1の幅狭の側面101に沿って底面103に向かって電極群6の下部まで長く伸びる側面部52Bと、側面部52Bの下半部で電極群6に向かって、すなわち、電池缶1の幅広の側面104に沿って略直角に曲がる接合片54Bとを備える。なお、接合片54Bと側面部52Bとは断面L字形状の一体構造であり、強度、剛性が高い。
【0021】
(電極アセンブリ)
図3は電極アセンブリ50の斜視図である。電極アセンブリ50は蓋アセンブリ40と電極群6とを接続して構成されている。蓋アセンブリ40を構成する接合片54Bは、電極群6の未塗工部6Bに、接合部8B1、8B2の二箇所で超音波溶接によって接合されている。蓋アセンブリ40を構成する接合片54Aは、電極群6の未塗工部6Aに、接合部8A1、8A2の二箇所で超音波溶接によって接合されている。
【0022】
−正負極板の捲き終わり端部について−
正負極板の捲き終わり端部について図2、図4、図5および図6を参照して説明する。なお図5において、負極板6Dの端部6DEを示すため、接合片54Bと未塗工部6Bとの間に間隙を設けて図示している。図6は、未塗工部6Bにおける超音波溶接部を示す断面図であり、符号WDは正負極板6E,6Dの捲回方向である。
【0023】
図2、図4および図6に示すように、電極群6において、負極板6Dは、その捲回最外周が正極板6Eの捲回最外周を覆うように捲回され、負極板6Dの端部6DEは、正極板6Eの端部6EEよりも、より捲回を進めた位置に至る。
【0024】
ここで、図6にもよく示されているように、未塗工部6Bを押し潰した平面部62Bと接合片54Bとが超音波接合箇所8B1、8B2において超音波溶接されている。図示はしないが、正極側においては、未塗工部6Aを押し潰した平面部62Aと接合片54Aと超音波接合箇所8A1、8A2において超音波溶接されている。正負極板6E,6Dの捲き終わり端部が、平面部62A、62Bの超音波接合箇所8A1、8A2、8B1、8B2に存在すれば、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEは溶接固定されることになる。
【0025】
すなわち、正負極板6E、6Dの露出部6A,6Bは積層体を呈し、積層体は押し潰されて平面部62A,62Bが形成され、その最外周に導電部材である接合片54A,54Bが接合されている。接合片54A,54Bはそれぞれ対応する露出部の極性と同一極性を有する。
【0026】
[電極群の製造工程]
図7は捲回装置210で電極群6を捲回する様子を示す斜視図である。図7に示すように、扁平形捲回電極群6の捲回に際しては、水平軸を中心に回転するボビン70に2枚のセパレータ6Cを数周捲回した後に、ボビン70の一方側から一方のセパレータ6Cの下側に正極板6Eを捲き込む。さらに、ボビン70の他方側から他方のセパレータ6Cの上側に負極板6Dを捲き込む。セパレータ6Cと負極板6Dを水平なガイドローラ72によってガイドし、セパレータ6Cと正極板6Eを水平なガイドローラ71によって案内しつつボビン70を回転し、セパレータ6C、負極板6D、セパレータ6C、正極板6Eを重ねて捲回する。
【0027】
捲回装置210には図示しないカッタと測長計とコントローラとが設けられている。正負極板6E,6Dの全長は、所望の電池容量に応じて規定され、測長計で予定の長さまで捲回されたことを計測すると、コントローラの指示によりカッタを駆動して正負極板6E,6Dを切断する。正負極板6E,6Dの長さは、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEが超音波溶接部に存在するように定めるのが好ましい。第1の実施形態では、接合片54A,54Bと接する平面部62A,62Bの超音波溶接箇所8A1,8A2,8B1,8B2にて端部6EE,6DEが終端するような長さである。
【0028】
第1実施形態の二次電池では、電極板端部6EE,6DEが接合片54A,54Bの電池缶深さ方向の延在範囲内に位置するように正負極板の設計上の全長が決定されている。ところが、測長計で測定した全長が設計値となった位置で切断すると電極板端部6EE,6DEが接合片54A,54Bの延在範囲に位置しないことがある。これは、電極板6E,6Dを捲回する際に電極板6E,6Dに掛ける引張り力が変動することなどに起因する。そこで、第1の実施形態の捲回装置210では、このような現象が発生した場合、電極板端部6EE,6DEが設計上の位置となるように電極板6E,6Dを捲回してカッタで切断する。あるいは、カッタの位置を変更して切断する。
【0029】
以上説明した角形二次電池の製造方法は、活物質が両面に塗布されたシート状の正負極板6E,6Dをセパレータ6Cで絶縁しつつ捲回軸周りに扁平形状に捲回してなり、捲回軸方向の両端には活物質が塗布されない正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bがそれぞれ設けられた電極群6を作製する第1工程と、正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bの各々を正負極外部端子4A,4Bにそれぞれ接続する正負極接続板5A,5Bに接続する第2工程と、正負極接続板5A,5Bが接続された電極群6を扁平直方体状の電池容器100に収納する第3工程と、第3工程の後、電池容器10を密閉する第4工程とを有する。そして、第1工程は、正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bにおける捲き終わり端部6EE,6DEが、電極群6の表面で予め定めた位置となるように正負極板6E,6Dを切断する第5工程を含む。
【0030】
また、角形二次電池の製造方法における第5工程は、正負極板6E,6Dの捲回長さを測定する第6工程と、第6工程により測定された正負極板6E,6Dのそれぞれの捲回長さに基づいて正負極板6E,6Dを切断する位置を決定する第7工程とを含む。そして、第7工程では、正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bにおける捲き終わり端部6EE,6DEのそれぞれが、同一極性を持つ導電部材54A,54Bを介在させて電池容器100の内面102に対峙するような長さに決定する。
【0031】
以上説明した第1実施形態によれば次のような作用効果を奏する。
(1)第1実施形態による二次電池によれば、電極板端部6EE,6DEが、接合片54A,54Bの超音波接合箇所8A1、8A2、8B1、8B2において、溶接固定される。これにより、電極アセンブリ50を電池缶1に挿入する際、電極板端部6EE,6DEが電池缶開口部11に引掛からないように慎重に行う挿入工程を採用することなく、電極板端部6EE,6DEのめくれ上がりを防止できる。その結果、組立時間の低減につながり、以て、低コスト化を図ることができる。
【0032】
(2)電極板6E,6Dの全長が設計値となったときに切断すると、設計上は、捲き終わり端部6EE,6DEが接合片54A,54Bの延在範囲内(図2の範囲6WA,6WB)の正しい位置で捲き終わるはずである。しかし、捲回状況によっては、設計上の位置で捲き終わらないことがある。そこで、正しい位置で捲き終えるか否かを検出し、設計上の位置で捲き終わるように電極板6E,6Dを切断するようにした。したがって、電極板端部を確実に接合片54A,54Bの超音波溶接位置で固定することができる。
【0033】
(3)正負極板6E,6Dの捲き終わり端部6EE,6DEは、電池容器100の同一の平面部102に対向する位置に配置されている。したがって、正負極板の長さを最も短く設定することができる。
【0034】
(4)電極群6を電池缶1内に挿入する際の工程の簡素化という効果に加えて、捲き終わり端部が異なる極性の電池缶1と短絡することを防止できるという効果も奏する。
【0035】
次に、本発明による角形二次電池の第2実施形態を図8を参照して説明する。
【0036】
[第2実施形態]
図8に示すように、正負極板6E,6Dはセパレータ6Cで絶縁しつつ捲回方向WDに捲回されている。負極板6Dの捲き終わり端部6DEは、第1実施の形態とは異なり、接合片54Bと対向する平面部62Bの裏面62BRに位置する。第2実施の形態では、超音波溶接する際、負極箔集合部である平面部62Bは接合片54Bと集電保護板55Bとの間で挟持されて溶接される。したがって、負極板6Dの捲き終わり端部6DEが集電保護板55Bが延在する範囲内に位置するように、負極板6Dの長さが決定される。
【0037】
負極板6Dの端部6DEは正極板6Eの端部6EEよりも進んだ位置まで捲回されることは、第1実施の形態と同様である。この条件を満足するなら、図8に図示はしないが、正極板6Eの捲き終わり端部6EEは、集電保護板55Aが延在する範囲に位置してもよいし、第1実施の形態と同様に、接合片54Aが延在する範囲に位置してもよい。いずれの場合にも、正極板6Eの捲き終わり端部6EEを超音波溶接してもよい。
【0038】
第2実施の形態では、正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bは積層体を呈し、積層体は、露出部6A,6Bと正負極外部端子4A,4Bとをそれぞれ電気的に接続する正負極接続板5A,5Bと集電保護板55A,55Bとの間で挟持されて溶接されている。したがって、接続板5A,5Bおよび集電保護板55A,55Bのいずれか一方が導電部材として機能する。
【0039】
第2実施の形態の二次電池においては、電極板端部6EE,6DEが集電保護板55A,55Bと接合片54A,54Bとの間に挟持されて溶接される。したがって、特別な工程を採用することなく、電極群6を電池缶1に挿入する際、電極板端部6EE,6DEのめくれ上がりが防止される。すなわち、第2実施形態は、集電保護板55A,55Bによる電極板端部6EE,6DEの溶接固定により、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0040】
集電保護板55A,55Bにおける電池容器100の深さ方向の両端部には、平面部62A、62Bから離反する方向に湾曲する湾曲部56A、56Bが形成され、集電保護板55A,55Bの端部によって平面部62A、62Bが損傷を受けることを防止している。
【0041】
[変形例]
以上説明した第1および第2実施形態を次のように変形して実施することができる。
(1)以上の実施形態では、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEが超音波接合箇所8A1、8A2、8B1、8B2の位置に存在するようにした。しかしながら、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEが超音波接合箇所8A1、8A2、8B1、8B2に存在しないときでも、接合片54A、54Bが長手方向(電池缶深さ方向)に延在する範囲内(図2の範囲6WA,6WB)に位置すれば、接合片54A,54Bの内面によって捲き終わり端部6EE,6DEがそれぞれ押さえ込まれ、電極板端部6EE,6DEのめくれ上がりが防止される。すなわち、正負極板6E,6Dの露出部6A,6Bにおける捲き終わり端部の各々が、それぞれ導電部材を介在させて電池容器の内面に対峙していればよい。
【0042】
(2)以上の実施形態では、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEが超音波接合箇所8A1、8A2、8B1、8B2の位置に存在するようにした。しかしながら、正負極板6E,6Dの端部6EE,6DEと電池缶内面102との間に、各極性の電極板と同一の極性を有する接続板5A,5Bが介在すれば、電極アセンブリ50を電池缶に挿入する際、電極板の捲き終わり端部6EE,6DEが電池缶開口部11に引っ掛かって捲くれることがない。たとえば、電池蓋3側の折り曲げ部60で電極板6E,6Dの捲き終わり端部6EE,6DEが位置するようにしても良い。この場合、接続板5A,5Bの基部51A,51Bが導電部材であり、捲き終わり端部がめくれても、電池蓋3と接触することがなく、電池性能に支障を来すことがない。
なお、この変形例では、電極群6を電池缶1内に挿入する際の工程の簡素化という効果に加えて、捲き終わり端部が異なる極性の電池缶1と短絡することを防止できるという効果も奏する。
【0043】
すなわち、電極板端部6EE,6DEを溶接固定し、あるいは押さえ込み固定する部材としては、第1実施形態の接続板5A、5Bに限定されるものではなく、平面部62A,62Bに溶接される任意の部材を適用することができる。
【0044】
(3)本発明は以上説明した実施形態や変形例に限定されない。たとえば、電極群6の露出部6A,6Bを外部端子4A,4Bと接続する接続板5A、5Bとして種々の形状、構造が採用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 電池缶
3 電池蓋
4A、4B 外部端子
5A、5B 接続板
6 電極群
6A、6B 金属箔の露出部
6D,6E 正負極板
6DE,6EE 捲き終わり端部
6F 塗布部
8A1、8A2、8B1、8B2 超音波接合箇所
11 開口部
13A、13B シール材
20 注液口
21 圧力開放弁
30 角形二次電池
40 蓋アセンブリ
50 電極アセンブリ
51A、51B 基部
52A、52B 側面部
54A、54B 接合片
55A,55B 集電保護板
60 折れ曲げ部
62 平面部
100 電池容器
101 幅狭面
102 電池缶内面
103 底面
104、106 幅広面
210 捲回装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質が両面に塗布されたシート状の正負極板をセパレータで絶縁しつつ捲回軸周りに扁平形状に捲回してなり、捲回軸方向の両端には前記活物質が塗布されない正負極板の露出部がそれぞれ設けられた電極群と、
電池缶と電池蓋とを有し、前記電極群を収納する扁平直方体状の電池容器と、
前記正負極板の露出部とそれぞれ電気的に接続された正負極外部端子とを有し、
前記正負極板の露出部における捲き終わり端部の各々が、それぞれ導電部材を介在させて前記電池容器の内面に対峙していることを特徴とする角形二次電池。
【請求項2】
請求項1記載の角形二次電池において、
前記正負極板の露出部は積層体を呈し、前記積層体は押し潰され、その最外周には前記導電部材が接合されていることを特徴とする角形二次電池。
【請求項3】
請求項2記載の角形二次電池において、
前記導電部材の各々は、対応する前記正負極板と同一の極性を持つことを特徴とする角形二次電池。
【請求項4】
請求項3記載の角形二次電池において、
前記導電部材の各々は、それぞれ前記露出部と前記正負極外部端子とを電気的に接続する正負極接続板であり、前記接続板が前記電池蓋に取り付けられていることを特徴とする角形二次電池。
【請求項5】
請求項1記載の角形二次電池において、
前記正負極板の露出部のそれぞれは積層体を呈し、前記積層体のそれぞれは、前記露出部と前記正負極外部端子とをそれぞれ電気的に接続する正負極接続板と集電保護板との間で挟持されて溶接され、前記導電部材は前記接続板および集電保護板のいずれか一方であることを特徴とする角形二次電池。
【請求項6】
請求項5記載の角形二次電池において、
前記電極群は、前記電池缶の表裏に広がる幅広面と対向する一対の平面部と、一対の平面部の両端部で正負極板が折れ曲がる折れ曲がり部とを有し、
前記捲き終わり端部は前記平面部に位置し、
前記正負極接続板の各々は、前記電池缶の幅広面に対面して設けられた接合片と、前記接合片を前記外部端子に接続する部材であって、前記電池缶の幅狭面に沿って前記電池蓋まで延在する接続部材とを有することを特徴とする角形二次電池。
【請求項7】
請求項5または6記載の角形二次電池において、
前記正負極板の前記捲き終わり端部は、前記電池容器の同一の平面部に対向する位置に配置されていることを特徴とする角形二次電池。
【請求項8】
活物質が両面に塗布されたシート状の正負極板をセパレータで絶縁しつつ捲回軸周りに扁平形状に捲回してなり、捲回軸方向の両端には前記活物質が塗布されない正負極板の露出部がそれぞれ設けられた電極群を作製する第1工程と、
前記正負極板の露出部の各々を正負極外部端子にそれぞれ接続する正負極接続板に接続する第2工程と、
前記正負極接続板が接続された前記電極群を扁平直方体状の電池容器に収納する第3工程と、
前記第3工程の後、前記電池容器を密閉する第4工程とを有し、
前記第1工程は、前記正負極板の露出部における捲き終わり端部が、前記電極群の表面で予め定めた位置となるように前記正負極板を切断する第5工程を含むことを特徴とする角形二次電池の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の角形二次電池の製造方法において、
前記第5工程は、
前記正負極板の捲回長さを測定する第6工程と、
前記第6工程により測定された前記正負極板のそれぞれの捲回長さに基づいて前記正負極板を切断する位置を決定する第7工程とを含み、
前記第7工程は、前記正負極板の露出部における捲き終わり端部のそれぞれが、同一極性を持つ導電部材を介在させて前記電池容器の内面に対峙するような長さに決定することを特徴とする角形二次電池の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−54024(P2012−54024A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194074(P2010−194074)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】