説明

角速度および加速度の検出装置

【課題】自動車のエンジンルーム等の温度変化範囲が広く、また振動や電磁ノイズの影響が大きい環境に設置して動作させる場合、これらのセンサの信頼性を高く保つ必要がある。
【解決手段】角速度検出機能の診断手段と、加速度検出機能の診断手段と、DSP(またはMPU)の診断手段と、同一データを格納した複数(多重化した)のROMと、ROMの診断手段と、RAMの診断手段と、センサ出力と診断結果の一括出力する手段と、外部装置からの出力要求に対し、センサ出力と診断結果を一括して出力する手段と、外部装置に対し、センサ出力および診断結果を一括して出力する際に、誤り検出符号を一緒に送信する手段とで構成される。
【効果】必要情報の伝達に要する時間が短縮される。また、センサ内の全ての診断処理をDSPで実行するため、DSPの故障診断を実施することで、個々の故障診断機能自身に対する故障診断が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己診断機能を有し、角速度および加速度を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動式の角速度センサを診断する機能としては、特許文献1,2に記載のような装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4311496号公報
【特許文献2】特許第3991978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車での走行時の安全を確保するために必要な角速度や加速度を検出するセンサを、エンジンルーム等の温度変化範囲が広く、また振動や電磁ノイズの影響が大きい環境に設置して動作させる場合、これらのセンサの信頼性を高く保つ必要がある。このような課題に対して、特許文献1では、角速度出力と加速度出力と同一時点の故障診断出力を出力回路にて時分割してデジタル出力し、外部装置は、センサ診断出力から、その次に出力する角速度出力および加速度出力が正常か否かを判断する例が開示されている。特許文献2では、2つの角速度センサを有し、それら2つのセンサ出力を比較することで正常か否かを判断する故障診断を実施する例が開示されている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
角速度検出機能の診断手段と、加速度検出機能の診断手段と、DSP(またはMPU)の診断手段と、同一データを格納した複数(多重化した)のROMと、ROMの診断手段と、RAMの診断手段と、外部装置からの出力要求に対し、センサ出力と診断結果を一括して出力する手段と、外部装置に対し、センサ出力および診断結果を一括して出力する際に、誤り検出符号を一緒に送信する手段とで構成される。
【発明の効果】
【0007】
外部装置からの1回の通信要求に対し、センサ出力および診断結果を一括して出力することで、必要情報の伝達に要する時間が短縮される。また、センサ出力を外部装置に送信する際に誤り検出符号を付加することで、外部装置側で受信したデータの正誤判定ができ、送信した情報の信頼性を確保できる。さらに、センサ内の全ての診断処理をDSPで実行するため、DSPの故障診断を実施することで、個々の故障診断機能自身に対する故障診断が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例のセンサ制御回路のブロック図。
【図2】実施例のデジタル・シグナル・プロセッサによるブロック図。
【図3】実施例のセンサ診断のフローチャート。
【図4】実施例のDSP診断のフローチャート。
【図5】実施例のPROM診断のブロック図。
【図6】実施例のRAM診断のブロック図。
【図7】実施例の通信部のブロック図。
【図8】実施例の誤り符合生成部のブロック図。
【図9】実施例の通信部のタイミングチャート。
【図10】実施例の外部装置が実施する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図1〜図9により説明する。
【0010】
図1は第1の実施例の角速度センサおよび加速度センサの制御回路のブロック図である。本実施例の角速度検出素子101は所定の質量を持ち所定の振動周波数fdで振動軸方向に振動する振動子102と、振動子102の振動方向の振動振幅および振動周波数を調整するために静電気力を働かせる固定電極(外力印加手段)103と、振動子102の振動振幅および振動周波数を静電容量の変化で検出する電極(変位検出手段)104および105と、角速度の印加で生じるコリオリ力により振動軸と直角の方向に振動子102に生じる変位を静電容量の変化で検出する固定電極106および107(変位検出手段)と、振動子102に働くコリオリ力を打ち消すように振動子102に静電気力を働かせる固定電極108および109(サーボ電圧印加手段)により構成される。
【0011】
また、検出素子101と固定電極104の間の静電容量および検出素子101と固定電極105の間の静電容量の差分を検出することにより検出素子101に働く振動方向の変位を検出する容量検出器110と、容量検出器110の出力をデジタル信号に変換するAD変換器145と、検波信号Φ1で同期検波を行う乗算器113と、乗算器113の出力を一定周期ごとに加算する積分器118から成る駆動周波数調整部151を有す。
【0012】
また、位相調整器116でΦ1の位相を90°遅らせた検波信号Φ2で同期検波を行う乗算器114と、予め設定した基準振幅値レジスタ125の値との差分を取る減算器117と、減算器117の出力を一定周期ごとに加算する積分器119から成る駆動振幅調整部152を有す。
【0013】
また、振動子102と固定電極106の間の静電容量および振動子102と固定電極107の間の静電容量の差分を検出することで、振動子102に働くコリオリ力による変位を検出し、デジタル信号に変換する容量検出器112と、容量検出器112の出力をデジタル信号に変換するAD変換器146と、検波信号Φ2で同期検波を行うための乗算器115と、乗算器115の出力を一定周期ごとに加算する積分器120と、積分器120の出力と検波信号Φ1を乗算する乗算器121から成る角速度検出部153を有す。
【0014】
また、積分器118の出力に応じた周波数の基本クロックを出力するVCO(ボルテージ・コントロール・オシレータ)122と、VCO122の出力を分周して駆動信号および検波信号Φ1を出力するクロック生成部123を有す。
【0015】
また、左右方向(以下X軸方向と称す)に加速度が加わったときに変位する振動子と前後方向(以下Y軸方向と称す)に加速度が加わったときに変位する振動子と、X軸およびY軸方向の変位量を静電容量の変化で検出する電極130および132と、電圧を印加し、強制的に振動子をX軸方向に,振動子をY軸方向に変位させる電極131および133と、変位による静電容量の変化を検出し電圧として出力する容量検出器135および136と、検出した電圧をデジタル信号に変換するAD変換器148および149と、周囲温度を検出し電圧に変換して出力する温度センサ137と、その出力電圧をデジタル信号に変換するAD変換器138を有す。
【0016】
また、温度センサ137の出力に応じて、角速度センサ出力と加速度センサの出力を補正する特性補正部139,140および141を有す。
【0017】
また、駆動周波数調整部151の出力から駆動周波数が正常か否かを判定する診断部401と、駆動振幅調整部152の出力から駆動振幅が正常か否かを判定する診断部402と、駆動振幅調整部152の同期検波部114の出力から振動子の振動軸方向の振動が正常か否かを判定する診断部403と、角速度検出部153の出力から角速度出力が正常か否かを判定する診断部404と、X加速度特性補正部140の出力から加速度検出機能が正常か否かを判定する診断部405と、Y加速度特性補正部141の出力から加速度検出機能が正常か否かを判定する診断部406と、強制的に振動子をX軸方向に、振動子をY軸方向に変位させ、加速度検出機能を診断するために電極131および133に一定の電圧を印加する診断電圧制御部407を有する。
【0018】
また、センサ出力を外部装置500に出力する通信部300で構成する。
【0019】
つぎに動作について説明する。駆動周波数調整部151では、振動子102の駆動方向の振動が共振状態となるように駆動信号の周波数を調整する。駆動信号による角速度検出素子101の変位を固定電極104,105により検出し容量検出器110に入力する。
容量検出器110とAD変換器145を介して得られる振動子の変位信号に対し、同期検波部113で同期検波を行い、振動軸方向の振動変位を検出する。つぎに、積分器118において、同期検波113で得られた信号を積分する。
【0020】
駆動振幅調整部152では、振動子102の駆動方向の振動の振幅が振幅基準値レジスタ125の値に一致するように駆動信号の振幅を調整する。AD変換器145を介して得られる振動子の変位信号に対し、同期検波部114で同期検波を行い、振動軸方向の振動変位を検出する。つぎに、減算器117で目標値との差分を求め、積分器119において積分する。同期検波114の出力が振幅基準値125と一致するとき、差分は0となる。
その結果、積分器118の出力は一定値に収束する。そして、積分器118で得られた信号を乗算器124に出力する。乗算器124では、分周123の出力と駆動振幅調整部162の出力を乗算し駆動信号を作成する。
【0021】
角速度検出部153では、コリオリ力による振動子102の変位を固定電極106,107と容量検出器112により検出する。そして、固定電極108,109に電圧を印加することで電極と振動子の間に発生する静電気力により振動子102に働くコリオリ力による変位を打ち消す動作を行う。すなわち、振動軸と直角方向に生じるコリオリ力よる振動子102の変位をゼロにするような電圧をセンサに帰還するようサーボ制御を行う。そして、そのときの帰還電圧の振幅を角速度の検出信号として出力する。具体的には、容量検出器112とAD変換器146を介して得られる振動子の変位信号に対し、同期検波部115で同期検波を行い、振動軸と直角方向の振動変位を検出する。つぎに、積分器120において、同期検波115で得られた信号を積分する。そして、積分器120で得られた信号を振動子102に帰還させるため、Φ1を乗算器121で乗算し、振動子102の振動軸と直角方向の角速度による振動変位に対する帰還信号を生成する。そして、振動子102の固定電極108へ、また、極性反転125で反転した電圧を109に印加することで振動軸と直角方向の振動変位を打ち消す。この振動が打ち消されている状態での積分器120の出力を角速度検出信号として出力する。
【0022】
次に、加速度センサの動作について説明する。振動子はX軸方向に加わる加速度により、変位に応じた容量の変化が固定電極130に生じる。そして容量検出器135とAD変換器148を介して得られる振動子の変位信号を加速度として検出する。Y軸方向の加速度を検出するための振動子の系についても同様である。
【0023】
次に、特性補正部139〜141は、温度センサ137の検出値により、角速度出力および2方向の加速度出力に対し、温度補正演算と、ローパスフィルタによる高周波ノイズ成分の除去を行う。
【0024】
次に、診断部401〜406では、角速度検出については、駆動機能,角速度検出機能の診断を行う。加速度センサについては、2つの振動子の固定電極131,133に診断電圧制御部407から診断用の電圧を印加し、強制的に振動子を変位させることで検出素子の正常動作を診断する。
【0025】
次に、通信300では、特性補正された3つのセンサ出力と診断情報を外部装置500に送信する。詳細については図6〜図8で説明する。
【0026】
図2は、本発明のセンサ制御を実現する回路構成例を示したものである。本実施例のセンサ制御は、2つのDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)204および205と2つのROM(リード・オンリー・メモリ)202および203に格納した制御プログラムで実現する。VCO122は、図1の実施例で示したように、角速度検出素子101の第1の方向の共振周波数に同期した周波数のクロックを発生する手段である。アドレスカウンタ201は、VCO122から入力する基本クロックにより単純にカウントアップを行うカウンタである。
【0027】
DSP−A204は、図1で説明した、駆動周波数調整部151,駆動振幅調整部152、および角速度検出部153を実行する。DSP−B205は、図1で説明した、角速度および加速度の特性補正部139〜141と、診断401〜406,診断電圧制御407を実行する。さらに、DSPの演算機能を診断するDSP診断部408,補正,調整用の係数を格納したPROMを診断するPROM診断部409,2つのDSPの間の処理データの受け渡しや演算データの一時保持を行うRAMを診断するRAM診断部410を実行する。PROM206は、積分の係数や特性補正演算の係数を格納するメモリである。
ここでは同じデータを格納したPROM3個で構成し、各出力の多数決出力をPROM206の出力として採用することでメモリの故障に対し信頼性を持たせている。またRAM207はDSP−Aで演算した結果をDSP−B205への受け渡しや2つのDSPでの演算実行時のデータの一次格納バッファである。
【0028】
次に動作について説明する。2つのDSPはVCO122から出力される基本クロックで動作する。DSP−A204はROM−A202の0番地から最終番地(例えば255番地)に格納した駆動周波数制御,駆動振幅制御および角速度検出制御を1周期として、例えば共振周波数の4倍の周波数で繰り返し実行する。また、DSP−B205はROM−B203の0番地から最終番地(例えば4095番地)に格納した角速度・加速度の特性補正,診断処理を1周期として、例えば共振周波数の1/4の周波数で繰り返し実行する。したがって、DSP−B205の1周期の処理の期間に、DSP−A204は1周期の処理を16周期分繰り返す。また、2つのROM202,203に格納された制御プログラムは、条件判断による分岐処理やサブルーチンの呼び出し等の実効番地の飛び越しはなく、メモリの0番地から最終番地までを単純に繰り返すような構成のため、ノイズ等により、1周期の処理が異常となってもまた、正常動作に復帰する方式となっている。そのため、電源投入後、どの番地から処理が開始されても、最長1周期分の処理結果は不定となるが、再度0番地からの処理に戻るので、アドレスカウンタ201に対しての電源投入時のリセット機能が不要となる。
【0029】
次に、診断機能の動作について説明する。診断部401〜406の具体的な動作を図3の診断部400で説明する。各信号値の正常と判定するための上限値と下限値を予め設定しておく。各信号値が上限値と下限値の間にあれば、正常と判定し診断フラグとして“0”を出力する。それ以外であれば、異常と判定し診断フラグとして“1”を出力する。診断部401〜406は、上限値と下限値にそれぞれ個別の値を設定し診断400を実行する。
【0030】
次にDSP診断部408の動作を図4で説明する。DSP診断部408では、8ビットカウンタを有し、DSP205の処理139〜410の一連の処理を1回実行する度にカウント値に1を足していく。カウンタは8ビットであるため、カウント値が255を超えたらカウント値を0に戻す。以上のように、カウント値を0から255までカウントアップしていくことで、DSPの加算機能,判断機能,リセット機能等の動作を診断できる。
【0031】
次にPROM診断部409の動作を図5で説明する。各番地のPROMデータを順次読出し、CRC符号を生成する。予め格納してあるCRC符号の期待値と照合することでPROMデータの読出し機能を診断する。生成したCRC符号が期待値と一致しなければ診断エラーフラグを立てる。
【0032】
次にRAM診断部410の動作を図6で説明する。RAMの各番地に対し固定データの書込みと読出しを行い、読出し値が書込み値と一致しているか否かでRAMのリード/ライト機能を診断する。また、同時にDSPの演算(加算,減算)機能を診断する。具体的には、最初に診断の対象となるRAMの0番地のデータを読出し、一時退避領域(DSPのキャッシュメモリ等)に書込む。次に、上記アドレスに対し診断パターンを書込み後、同一アドレスからデータを読出す。次に一時退避領域のデータを元のRAM領域に戻す。
次に(書込み値)−(読出し値)の差分値を求める。次に上記差分値が“0”であればエラーフラグ=0、それ以外であればエラーフラグ=1を出力する。以上の処理を0〜70番地のRAM領域に対して実行する。
【0033】
図7は、通信300の処理を示したものである。レジスタ301〜304は特性補正部139〜141および温度センサ137から出力した4つのセンサ出力を格納する。またレジスタ305は診断401〜407およびDSP診断部408,PROM診断部409,RAM診断部410の診断結果を格納する。カウンタ310は、転送クロックが16個入力する毎に1ずつカウントアップし、0から4までの値を繰り返し出力する機能である。セレクタ306は5つのレジスタ出力をカウンタ310の出力に応じて選択して出力する機能である。
【0034】
パラレル・シリアル変換307は、セレクタ306から出力する16ビットのパラレルデータを1ビットのシリアルデータに変換する機能である。誤り符号生成308は、送出される4つのデータについて送信側と受信側の間の通信路上のノイズによる通信誤りを検出するための符号データを生成する機能である。セレクタ309はカウンタ310の出力が4のとき誤り符号生成308の出力を選択し、それ以外はセンサ出力データと診断結果データを選択する機能である。
【0035】
図8は、誤り符号生成の一実施例として、CRC(巡回冗長検査)方式の誤り検出符号を生成する機能を示したものである。加算器311,312,313は2つの入力データを加算する機能である。ラッチ314〜319は転送クロックの立ち上がりエッジで入力データを保持する機能であり、図8ではラッチを一部省略して記述しているが、合計16個のラッチ回路L0〜L15によるビットシフト回路で構成される。図7に示すレジスタ301〜305に格納された5つの16ビットのパラレルデータ(合計80ビット)を1ビットずつ順次、転送クロックにて入力することにより、1ビットずつ誤り検出符号が出力される仕組みである。
【0036】
つぎに動作について説明する。図9は本実施例の通信のタイムチャートを示したものである。転送クロックが図1に示す外部装置500から入力されると、64クロック目まではレジスタ301〜304に格納されたセンサ出力データが順番に1ビットずつ出力される。65クロック目から80クロック目までは、診断情報305のデータが順番に1ビットずつ出力される。図9の診断情報305に示すように、各ビットに診断結果が割り付けられており、それぞれの診断結果が正常であれば“0”を、異常であれば“1”を出力する。81クロック目から96クロック目までは、前記5つのデータについての誤り検出符号が出力される。外部装置500では6番目の誤り検出符号を用いて、前記5つのデータに通信路上での誤りが無いか否かを検証する。誤りがあった場合は、再度転送クロックを入力し、前記データの通信を再実行する。
【0037】
図10は、図1に示す外部装置500が本発明の角速度および加速度検出装置からデータを一括した受信した後の処理の一例を示したものである。最初に外部装置500は、図9の6番目のデータである誤り符号により、その前に受信した5つのデータに通信上での信号変動やノイズ等による誤りが生じていないかどうかを検証する。誤りが生じていた場合は、その前に受信した5つのデータを無効データとして採用しない。誤りが生じていない場合は、有効データと判断し採用する。つぎに、図9に示す5番目のデータである診断情報のうち、DSP診断情報とPROM診断情報およびRAM診断情報を確認し、診断結果が異常であれば、その前に受信した4つのセンサデータを無効データとして採用しない。診断結果が正常であれば、温度データを有効と判断し採用する。つぎに、図9に示す5番目のデータである診断情報のうち、角速度の駆動機能および検出機能の診断情報を確認し、診断結果が異常であれば、1番目に受信した角速度センサデータを無効データとして採用しない。診断結果が正常であれば、角速度センサデータを有効と判断し採用する。つぎに、図9に示す5番目のデータである診断情報のうち、加速度の診断情報を確認し、診断結果が異常であれば、2番目および3番目に受信した加速度センサデータを無効データとして採用しない。診断結果が正常であれば、加速度センサデータを有効と判断し採用する。
【符号の説明】
【0038】
101 角速度検出素子
102 振動子
128,129 加速度検出素子
137 温度センサ
138 AD変換器
139 角速度特性補正部
140 X加速度特性補正部
141 Y加速度特性補正部
147 DA変換器
151 駆動周波数調整部
152 駆動振幅調整部
153 角速度検出部
201 アドレスカウンタ
206 PROM
207 RAM
407 診断電圧制御部
408 DSP診断部
409 PROM診断部
410 RAM診断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1の方向および第2の方向に変位可能な振動体を有し、振動体を第1の方向に振動させた状態において、角速度の発生により、振動体が第2の方向に変位したときの変位量を角速度として検出し、および、第1の方向および第2の方向の変位量を加速度として検出する角速度および加速度の検出装置において、
外部装置からの1回の通信要求に対し、センサ信号と診断結果を一括して出力することを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
外部装置に対し出力する診断結果情報は、角速度センサの駆動機能と、角速度センサの検出機能と、加速度センサの検出機能と、マイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサの動作と、ROMと、RAMの診断結果であることを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
外部装置に対し出力するセンサ信号は、角速度検出信号と、加速度検出信号と、温度検出信号であることを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項4】
互いに直交する第1の方向および第2の方向に変位可能な振動体を有し、振動体を第1の方向に振動させた状態において、角速度の発生により、振動体が第2の方向に変位したときの変位量を角速度として検出し、および、第1の方向および第2の方向の変位量を加速度として検出する角速度および加速度の検出装置において、
外部装置は、診断結果とセンサ出力を一括して受信し、受信した診断結果情報から、一緒に取り込んだセンサデータを採用するか否かを判断することを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項5】
互いに直交する第1の方向および第2の方向に変位可能な振動体を有し、振動体を第1の方向に振動させた状態において、角速度の発生により、振動体が第2の方向に変位したときの変位量を角速度として検出し、および、第1の方向および第2の方向の変位量を加速度として検出する角速度および加速度の検出装置において、
検出信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号処理にて角速度,加速度検出装置の自己診断を実施することを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項6】
請求項5において、
デジタル信号処理にて角速度,加速度検出装置の自己診断を実施する手段は、マイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサであることを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項7】
請求項5において、
角速度,加速度検出装置の自己診断機能は、角速度センサの駆動機能と、角速度センサの検出機能と、加速度センサの検出機能と、マイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサの演算機能と、ROMのデータ保持機能と、RAMのデータ読出し、書込み機能であることを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項8】
互いに直交する第1の方向および第2の方向に変位可能な振動体を有し、振動体を第1の方向に振動させた状態において、角速度の発生により、振動体が第2の方向に変位したときの変位量を角速度として検出し、および、第1の方向および第2の方向の変位量を加速度として検出する角速度および加速度の検出装置において、
多重化したROM構成と、自己診断機能として、角速度センサの駆動機能と、角速度センサの検出機能と、加速度センサの検出機能と、マイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサの演算機能と、ROMのデータ保持機能と、RAMのデータ読出し・書込み機能をもつことを特徴とする角速度および加速度の検出装置。
【請求項9】
互いに直交する第1の方向および第2の方向に変位可能な振動体を有し、振動体を第1の方向に振動させて角速度を検出する角速度センサ部と、
第1の方向および第2の方向の変位量を加速度として検出する角速度センサ部と、
多重化され、係数を記憶するROMと、
一時的のデータを記憶するRAMと、
前記ROMから読出した係数を用いて、前記RAMにデータを記憶しながら、前記振動体の駆動、前記角速度センサおよび前記角速度センサからの信号の補正とを行うマイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサとを備えた角速度および加速度の検出装置において、
前記角速度センサの駆動機能,前記角速度センサの検出機能,前記加速度センサの検出機能,前記マイクロプロセッサまたはデジタル・シグナル・プロセッサの演算機能、および、前記RAMのデータ読出しと書込み機能を診断する診断手段を備えたことを特徴とする角速度および加速度の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−203028(P2011−203028A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69111(P2010−69111)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】