説明

触媒組成物およびエタン酸化におけるその使用

触媒組成物およびエタンからエチレンおよび酢酸への酸化のためのその使用につき開示し、この触媒は(i)支持体および(ii)酸素と組み合わせた元素モリブデンとバナジウムとニオブと必要に応じタングステンと成分Zとからなり、この成分Zは元素周期律表第14族の1種もしくはそれ以上の金属であり、a、b、c、dおよびeはそれぞれ0<a≦1;0≦b<1およびa+b=1;0.05<c≦2;0<d≦2;および0<e≦1となるような元素Mo、W、Z、VおよびNbのグラム原子比を示す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、エタンおよび必要に応じエチレンを酢酸およびエチレンまだ酸化するための触媒組成物、並びに前記触媒組成物を用いる酢酸およびエチレンの製造方法に関するものである。
【0002】
モリブデンとバナジウムとニオブとから酸素と組合せてなるエタンおよび/またはエチレンの酸化による酢酸の製造方法に使用するための触媒組成物は当業界にて公知であり、たとえば米国特許第4,250,346号明細書、欧州特許出願公開第1043064号明細書、国際公開第99/20592号パンフレットおよびドイツ国特許出願公開第19630832号明細書がある。
【0003】
米国特許第4,250,346号明細書は、気相反応における約550℃未満の温度でのエタンからエチレンおよび酢酸への酸化脱水素化を開示しており、これには元素モリブデン、XおよびYをMo[ここでXはCr、Mn、Nb、Ta、Ti、Vおよび/またはW、好ましくはMn、Nb、Vおよび/またはWであり;YはBi、Ce、Co、Cu、Fe、K、Mg、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Tlおよび/またはU、好ましくはSb、Ceおよび/またはUであり、aは1であり、bは0.05〜1.0であり、cは0〜2、好ましくは0.05〜1.0であり、ただしCo、Niおよび/またはFeのためのcの合計値は0.5未満である]の比にて含む組成物を触媒として使用する。
【0004】
国際公開第99/20592号パンフレットは、エタン、エチレンもしくはその混合物および酸素から高温度にて式MoPd[式中、XはCr、Mn、Nb、Ta、Ti、V、TeおよびWの1種もしくは数種を示し;YはB、Al、Ga、In、Pt、Zn、Cd、Bi、Ce、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Au、Fe、Ru、Os、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Nb、Zr、Hf、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、TlおよびUの1種もしくは数種を示し、a=1、b=0.0001〜0.01、c=0.4〜1、d=0.005〜1である]を有する触媒組成物の存在下に酢酸を選択的に製造する方法に関するものである。
【0005】
ドイツ国特許出願公開第19630832号明細書は同様な触媒組成物に関するものであり、ここでa=1、b>0、c>0およびd=0〜2である。好ましくはa=1、b=0.0001〜0.5、c=0.1〜1.0およびd=0〜1.0である。
【0006】
国際公開第99/20592号パンフレットおよびドイツ国特許出願公開第19630832号明細書の両者における触媒組成物はパラジウムの存在を必要とする。
【0007】
欧州特許出願公開第1043064号明細書はエタンからエチレンおよび/または酢酸への酸化および/またはエチレンから酢酸への酸化のための触媒組成物を開示しており、この触媒は酸素と組み合わせて各元素モリブデン、バナジウム、ニオブおよび金を実験式:
MoAuNb (I)
[式中、YはCr、Mn、Ta、Ti、B、Al、Ga、In、Pt、Zn、Cd、Bi、Ce、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Fe、Ru、Os、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Zr、Hf、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Tl、U、Re、Teおよび/またはLaよりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の元素であり;a、b、c、d、eおよびfは0<a≦1;0≦b<1およびa+b=1;10−5<c≦0.02;0<d≦2;0<e≦1および0≦f≦2となるような各元素のグラム原子比を示す]
に従いパラジウムの不存在下に含む。
【0008】
国際公開第03/033138号パンフレットはエタンを酢酸まで選択的に酸化するためおよび/またはエチレンを酢酸まで選択的に酸化するための触媒組成物を開示しており、この組成物は酸素と組み合わせて各元素モリブデン、バナジウム、ニオブおよび金を実験式:
MoAuNb (I)
[式中、ZはB、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pd、Sb、Cu、Pt、Ag、FeおよびReよりなる群から選択される1種もしくは以上の元素であり;a、b、c、d、eおよびfは0<a≦1;0≦b<1およびa+b=1;10−5<c≦0.02;0<d≦2;0<e≦1および0.0001≦f≦0.05となるような各元素のグラム原子比を示す]
に従いパラジウムの不存在下に含む。好ましくはZはSnである。前記触媒は、存在してもエチレンへの低い選択率と組み合わせて高い酢酸への選択率を与える。
【0009】
酢酸は酸素の存在下にエチレンと反応して、酢酸ビニルを生成することができる。特に、酢酸ビニル製造のための一体的方法を提供することが望ましく、この方法はエタンおよび必要に応じエチレンから酢酸およびエチレンを生成させる第1工程からなり、次いでその後に前記酢酸とエチレンとを反応させて酢酸ビニルを生成させる。理想的には、第1工程で生成されるエチレンと酢酸とのモル比は約1:1である。
【0010】
国際公開第01/90042号パンフレットおよび国際公開第01/90043号パンフレットの両者は酢酸ビニルの一体的製造方法を開示しており、その第1工程はエタンから酢酸およびエチレンへの酸化であり、次いで酢酸およびエチレンをその後に酢酸ビニルまで変換させる。
【0011】
欧州特許出願公開第0877727号明細書は、予備決定されると共に変動しうる割合にてエチレンおよび/またはエタンからなるガス状供給原料より酢酸および/または酢酸ビニルを製造するための一体的方法を開示している。この一体的方法は、エチレンおよび/またはエタンを第1反応で接触酸化させて酢酸と水とエチレンおよび必要に応じエタン、一酸化炭素および/または二酸化炭素からなる第1生成物流を生成させる第1工程を含む。この第1反応帯域で生成された酢酸およびエチレンを次いで、第2反応帯域にて触媒の存在下に分子状酸素含有ガスと接触させて酢酸ビニルと水と酢酸と必要に応じエチレンとからなる第2生成物流を生成させる。
【0012】
エタンおよび場合によりエチレンを酢酸およびエチレンまで、酢酸およびエチレンに対する高い全体的選択率およびエチレンと酢酸との減少したモル比にて酸化させるための触媒組成物を開発する必要性が残されている。
【0013】
驚くことに今回、酸素と組み合わせてモリブデン、バナジウム、ニオブを含み、適する支持体に支持されてなる触媒組成物を使用し、更に前記触媒組成物が元素周期律表第14族の1種もしくはそれ以上の金属である成分Z(すなわちGe、SnおよびPb)を含んでなる触媒組成物を使用することにより、エタンおよび場合によりエチレンを酢酸およびエチレンまで、この酢酸およびエチレンに対する高い全体的選択率にて酸化しうることが突き止められた。
【0014】
有利には本発明の触媒組成物を使用することにより、生成される酢酸とエチレンとの比は約1:1とすることができ、すなわちその後に酸素と反応させて酢酸ビニルを生成させる好適比である。更に、高い全体的選択率は触媒組成物におけるたとえば金および/またはパラジウムのような貴金属の実質的不存在下に達成することができる。
【0015】
従って第1面において本発明は、エタンおよび必要に応じエチレンから酢酸およびエチレンへの酸化のための触媒組成物において、(i)支持体および(ii)酸素と組み合わせた各元素モリブデンとバナジウムとニオブと必要に応じタングステンと成分Zとからなり、成分Zは元素周期律表の第14族の1種もしくはそれ以上の金属であり、ここでa、b、c、dおよびeは
0<a≦1;0≦b<1およびa+b=1;
0.05<c≦2;
0<d≦2;および
0<e≦1
となるようなそれぞれ各元素Mo、W、Z、VおよびNbのグラム原子比を示すことを特徴とする触媒組成物を提供する。
【0016】
好ましくはa>0.01、たとえばa=1である。好ましくはc≧0.1である。好ましくはd≧0.1、たとえば0.1≦d≦0.5である。好ましくはe>0.01である。好ましくはe≦0.6、たとえば0.01≦e≦0.6である。
【0017】
本発明による触媒組成物は必要に応じ更なる成分Yを含むことができ、この成分YはCr、Mn、Ta、B、Al、Ga、In、Pt、Zn、Cd、Bi、Ce、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Fe、Ru、Os、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、P、Sb、Si、Tl、U、Re、Te、La、Ti、Zr、Hf、AuおよびPdよりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の元素である。
【0018】
Yはグラム原子比fにて存在することができ、ここで0≦f≦2である。好ましくはf≧0.01である。好ましくはf≦0.5、たとえば0.01≦f≦0.5である。
【0019】
より好ましくは本発明による触媒組成物はたとえば金およびパラジウムのような貴金属を実質的に含まない。
【0020】
特に好ましくは、存在する場合YはBi、Ca、Ce、Cu、K、P、Sb、La、Ti、Zr、HfおよびTeよりなる群から選択され、特に好ましくはTiおよびZrから選択される。
【0021】
本発明の触媒組成物は支持体を含む。この支持体は非酸化物支持体(たとえば炭化珪素もしくはグラファイト)としうるが、好ましくは1種もしくはそれ以上の金属酸化物支持体(たとえばシリカ、チタニア、チタノシリケート、アルミナ、アルミノシリレート、ジルコニアまたはその組合せ(たとえばシリカとチタニアとの混合物))から選択される。好適支持体はシリカ、チタニアおよびチタニアとシリカとの支持体の混合物を包含する。
【0022】
たとえばアルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムのような或る種の元素を本発明の触媒組成物中に支持体の成分として、および/または成分Yとして存在させることができる。
【0023】
本発明の触媒組成物は成分Zを含み、この成分ZはGe、SnおよびPbの1種もしくはそれ以上である。好ましくはZはSnである。有利には、本発明によるグラム原子比における成分Zの添加は、成分Zなしの同等触媒組成物に比べ生成されるエチレンと酢酸との比を変化させる。成分Zの添加は生成されるエチレンと酢酸との比を減少させながらエチレンおよび酢酸に対する高い全体的選択率を保持する。すなわち、本発明の触媒組成物を使用することによりエチレンと酢酸とを約1:1の比にて含む生成物流を生成させることができ、次いでこれを酢酸ビニルの製造に際しエチレンおよび酢酸の更なる添加の必要なしに使用することができる。ここで用いる「約1:1」とは、酢酸とエチレンとの比が0.8:1〜1.2:1、好ましくは0.9:1〜1.1:1の範囲である生成物流を意味する。
【0024】
本発明の第2面は本発明の第1面による触媒組成物の製造方法に関するものであり、この方法は:
(a)モリブデンとバナジウムとニオブと支持体材料もしくはその先駆体と成分Zと場合によりタングステンとからなる溶液における混合物を形成させ;
(b)この混合物を乾燥して乾燥固体材料を形成させ;
(c)乾燥固体材料を焼成して触媒組成物を形成させる
各工程を特徴とする。
【0025】
モリブデンとバナジウムとニオブと支持体材料もしくはその先駆体と成分Zと場合によりタングステンとから本発明の第2面における工程(a)で形成される溶液における混合物は更に前記成分Yをも更に含み、これは触媒組成物の成分であると前記した通りである。
【0026】
好適にはモリブデンとバナジウムとニオブと支持体材料もしくはその先駆体と成分Zと場合によりタングステンと場合により成分Yとからなる混合物は、金属のそれぞれの化合物および/または錯体を適する溶剤にて支持体材料もしくはその先駆体と混合することにより形成させることができる。溶剤は好ましくは水である。特に好ましくは混合物は水における溶液であって、20℃〜100℃の温度で1〜12、好ましくは2〜8の範囲のpHを有する。
【0027】
好ましくはモリブデンはアンモニウム塩(たとえばヘプタモリブデン酸アンモニウム)またはモリブデンの有機酸(たとえば酢酸塩および蓚酸塩)として混合物に導入される。使用しうるモリブデンの他の化合物はたとえば酸化モリブデン、モリブデン酸および/または塩化モリブデンを包含する。
【0028】
好ましくはバナジウムはアンモニウム塩(たとえばメタバナジウム酸アンモニウムもしくはデカバナジウム酸アンモニウム)またはバナジウムの有機酸塩(たとえば酢酸塩および蓚酸塩)の形態で混合物に導入される。使用しうるバナジウムの他の化合物はたとえば酸化バナジウムおよび硫酸バナジウムを包含する。
【0029】
好ましくはニオブはアンモニウム塩(たとえば蓚酸アンモニウムニオブ)の形態で混合物に導入される。ニオブの他の化合物(たとえば塩化ニオビウム)も使用することができ、好ましくは蓚酸塩、カルボン酸または同様な配位化合物と錯体化させて溶解度を改善する。
【0030】
支持体材料は金属成分の混合物に予備形成支持材料(たとえばシリカ)として導入することができる。2種もしくはそれ以上の異なる支持体材料(たとえばチタニアとシリカとの混合物)からなる支持体は予備形成支持体材料の混合物として(たとえば予備形成チタニアおよび予備形成シリカの支持体材料として)導入することができる。代案として、支持体材料の少なくとも1種をその適する先駆体形態で導入し、たとえばシリカをシリカゾルの形態で導入することができ、或いはシリカ−チタニア支持体をSiTiコゲルの形態で導入することもできる。適するSiTiコゲルはSiTi 4150コゲル(ダビカット社(グレース−ダビソン)により製造)を包含する。
【0031】
好ましくは成分Zは酢酸塩、酸化物、アルコキシドもしくは蓚酸塩の形態で混合物に導入され、使用しうる成分Zの他の化合物はたとえばZのハロゲン化物およびアンモニウム塩を包含する。たとえば好適錫化合物は蓚酸錫(II)およびヘキサフルオロ錫酸アンモニウムを包含する。特に好適には、使用する場合、錫はSnOゾルの形態で混合物に導入され、水酸化テトラメチルアンモニウムで安定化される。
【0032】
一般に本発明の第2面の工程(a)においては、各元素を含有する化合物の混合物は、充分量の可溶性金属化合物を溶解させると共に不溶性化合物を分散させて触媒組成物における各元素の所望のグラム原子比を与えることにより作成される。支持体材料もしくはその先駆体は混合の際の任意の適する段階にて導入することもできるが、好ましくはモリブデンとバナジウムとニオブと成分Zと場合によりタングステンと場合により成分Yとの混合物の作成後に導入される。
【0033】
次いで溶剤を乾燥により(好ましくは噴霧乾燥により)混合物から除去して乾燥固体材料を形成させる。次いで、この乾燥固体材料を焼成して触媒組成物を形成させる。焼成は好ましくは、200〜550℃の温度まで好適には空気中もしくは酸素中で1分間〜24時間にわたり加熱することにより行われる。
【0034】
典型的には支持体は触媒組成物の総重量の少なくとも20%および/または約90重量%までを占める。好ましくは支持体は触媒組成物の総重量の少なくとも40重量%および/または触媒組成物の総重量の60重量%までを占める。
【0035】
本発明の第3面においては、エタンと場合によりエチレンとを含むガス混合物からの酢酸およびエチレンの製造方法が提供され、この方法はガス混合物を前記した触媒組成物の存在下に高められた温度にて分子状酸素含有ガスと接触させることを特徴とする。
【0036】
エタンおよび場合によりエチレンはそれぞれ実質的に純粋な形態で或いはたとえば5容量%未満の少量にて存在しうる窒素、メタン、二酸化炭素および水蒸気の形態の水の1種もしくはそれ以上、或いは5容量%未満の少量にて存在しうる水素、一酸化炭素、C/Cアルカンおよびアルケンの1種もしくはそれ以上と混合して使用することができる。
【0037】
分子状酸素含有ガスは空気または空気より分子状酸素のリッチもしくはプアー流、たとえば酸素とすることができる。適するガスは、たとえば適する希釈剤(たとえば窒素)で希釈された酸素とすることができる。
【0038】
エタン、場合によりエチレンおよび分子状酸素含有ガスの他に水(水蒸気)を供給するのが好ましい。何故なら、これは酢酸への選択率を向上させうるからである。
【0039】
高められた温度は好適には200〜500℃、好ましくは200〜400℃の範囲とすることができる。
【0040】
圧力は好適には大気圧または超大気圧、たとえば1〜50バール、好ましくは1〜30バールの範囲とすることができる。
【0041】
この第3面のプロセスは固定床プロセスまたは流動床プロセス、好ましくは流動床プロセスとすることができる。
【0042】
本発明の性能に適用しうる操作条件および他の情報は前記した従来技術、たとえば米国特許第4,250,346号明細書に見ることができる。
【0043】
典型的には本発明の触媒組成物を使用し、酢酸およびエチレンへの組合せ選択率は少なくとも70モル%、好ましくは少なくとも75モル%、たとえば少なくとも80モル%である。
【0044】
ここで用いる「選択率」とは、生成される生成物における全炭素と比較して生成される所望の酢酸生成物の量を反映するパーセンテージを意味する:
%選択率=100*生成酢酸のモル数/S
[ここでS=流出物におけるアルカンを除き全炭素含有生成物のモル酸当量合計(炭素基準)]。
【0045】
第1工程がエタン(場合によりエチレンを含む)の酸化である酢酸ビニルの一体的製造方法においては、エタン酸化工程から1:1のエチレンと酢酸との大凡の比にて酢酸およびエチレンを生成させることが望ましい。何故なら、これは酢酸およびエチレンと酸素とのその後の反応により酢酸ビニルを生成させるのに最適の比であるからである。
【0046】
従って第4面において、本発明はエタンと場合によりエチレンとからなるガス混合物からの酢酸ビニルの一体的製造方法を提供し、この方法は
(i)第1反応帯域にてエタンと場合によりエチレンとからなるガス混合物を前記した触媒組成物の存在下に高められた温度にて分子状酸素含有ガスと接触させることにより酢酸とエチレンとからなる第1生成物流を生成させ、
(ii)第2反応帯域にて前記第1生成物流からの前記エチレンの少なくとも1部および前記酢酸の少なくとも1部を酢酸ビニルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて、酢酸ビニルを含む第2生成物流を生成させる
ことを特徴とする。
【0047】
酢酸ビニルを生成させるための第2反応帯域は固定床反応器としうるが、好ましくは流動床反応器である。
【0048】
第2反応帯域への酸素供給物は任意適する酸素含有ガスとすることができ、好適には空気または空気よりも分子状酸素のリッチもしくはプアーなガスである。好適には、このガスは適する希釈剤(たとえば窒素、アルゴンもしくは二酸化炭素)で希釈された酸素とすることができる。好ましくは実質上純粋な酸素を酸素供給物として使用する。
【0049】
第1生成物流は好ましくは約1:1の比にて酢酸とエチレンとを含む。
【0050】
1具体例において、第1生成物流は第2反応帯域へ直接供給することができる。この具体例においてはエチレンおよび酢酸を第2反応帯域に同時供給する。
【0051】
代案として、第1生成物流はたとえば慣用の分離により処理して前記生成物流からエチレン含有流と酢酸含有流とを生成させることができ、更に前記エチレンおよび酢酸含有流を別々に第2反応帯域に供給することができる。特にエチレン含有流はエチレンを実質的に純粋な形態で含むことができ或いは窒素、メタン、エタン、二酸化炭素および水蒸気の形態の水の1種もしくはそれ以上、或いは水素、C/Cオレフィンもしくはアルカンの1種もしくはそれ以上との混合物として含むこともできる。
【0052】
第2反応帯域が流動床反応器である場合、酢酸は反応器中へ液状で或いは蒸気状で導入することができる。第2反応帯域が固定床反応器であれば、好ましくは酢酸は反応器中へ蒸気型で導入される。
【0053】
流動床反応器で行う場合、第2反応帯域における酢酸ビニルの製造は好適には100〜400℃、好ましくは140〜210℃の温度および10〜2x10Paゲージ(1〜20barg)、好ましくは6x10〜1.5x10Paゲージ(6〜15barg)、特に7x10〜1.2x10Paゲージ(7〜12barg)にて操作することができる。
【0054】
酢酸ビニルの製造に関する当業界で知られた触媒を第2反応帯域にて使用することができる。すなわち、第2反応帯域にて使用しうる酢酸ビニルの製造につき活性な触媒は、たとえば英国特許出願公開第1559540号明細書;米国特許第5,185,308号明細書および欧州特許出願公開第0672453号明細書(その内容を参考のためここに引用する)に記載されたような触媒で構成する。
【0055】
英国特許出願公開第1559540号明細書はエチレン、酢酸および酸素の反応による酢酸ビニルの作成につき活性な触媒を記載しており、この触媒は実質的に(1)3〜7mmの粒子直径および0.2〜1.5ml/gの気孔容積を有する触媒支持体(この触媒支持体の10重量%水懸濁物は3.0〜9.0のpHを有する)と、(2)触媒支持体の表面層に分配されたパラジウム−金合金(表面層は支持体の表面から0.5mm未満で延び、合金におけるパラジウムは触媒1リットル当たり1.5〜5.0gの量にて存在し、金は触媒1リットル当たり0.5〜2.25gの量にて存在する)と、(3)触媒1リットル当たり5〜60gのアルカリ金属酢酸塩とで構成される。
【0056】
米国特許第5,185,308号明細書はエチレンと酢酸と酸素含有ガスとから酢酸ビニルを製造するのに活性なシェル含浸触媒を記載しており、この触媒は実質的に(1)約3〜約7mmの粒子直径および1g当たり0.2〜1.5mlの気孔容積を有する触媒支持体と、(2)触媒支持体粒子の最外1.0mm厚さの層に分配されたパラジウムおよび金と、(3)約3.5〜約9.5重量%の酢酸カリウムとで構成され、ここで前記触媒における金とパラジウムとの重量比は0.6〜1.25の範囲である。
【0057】
欧州特許出願公開第0672453号明細書は、パラジウム含有触媒および流動床酢酸ビニルプロセスのためのその作成につき記載している。
【0058】
好ましくは酢酸ビニルの製造に適する触媒は第VIII族金属と触媒促進剤と場合により補助促進剤とを含む。第VIII族金属に関し、好適金属はパラジウムである。パラジウムの適する供給源は塩化パラジウム(II)、テトラクロルパラジウム酸ナトリウムもしくはカリウム(II)(NaPdClもしくはKPdCl)、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム(II)または硫酸パラジウム(II)を包含する。金属は触媒の総重量に対し0.2重量%より大、好ましくは0.5重量%より大の濃度にて存在することができる。金属濃度は10重量%程度に高くすることもできる。
【0059】
第VIII族金属の他に、酢酸ビニルの製造に適する触媒は促進剤を含むこともできる。適する促進剤は金、銅、セリウムまたはその混合物を包含する。好適促進剤は金である。金の適する供給源は塩化金、テトラクロロ金酸(HAuCl)、NaAuCl、KAuCl、ジメチル酢酸金、アセト金酸バリウムもしくは酢酸金を包含する。好適金化合物はHAuClである。促進剤金属は最終触媒にて0.1〜10重量%の量で存在することができる。
【0060】
酢酸ビニルの製造に適する触媒は更に補助促進剤物質をも含むことができる。適する補助促進剤は第I族、第II族、ランタニドもしくは遷移金属、たとえばカドミウム、バリウム、カリウム、ナトリウム、マンガン、アンチモンおよび/またはランタンを包含し、これらは最終触媒中に塩(たとえば酢酸塩)として存在する。好適塩は酢酸カリウムもしくはナトリウムである。補助促進剤は好ましくは触媒組成物中に触媒の0.1〜15重量%、より好ましくは1〜5重量%の濃度にて存在する。
【0061】
液体酢酸供給物を使用する場合、補助促進剤塩の好適濃度は6重量%まで、特に2.5〜5.5%である。酸を蒸気相で導入する場合、補助促進剤塩は好ましくは11重量%までの濃度にて存在する。
【0062】
酢酸ビニルの製造に適する触媒は支持触媒とすることができる。適する触媒支持体は多孔質シリカ、アルミナ、シリカ/アルミナ、チタニア、シリカ/チタニアもしくはジルコニアを包含する。特に流動床プロセスにて使用するため支持体は好ましくはシリカであり、好適には支持体は支持体1g当たり0.2〜3.5mlの気孔容積と支持体1g当たり5〜800mの表面積と0.3〜1.5g/mlの見かけ嵩密度とを有することができる。
【0063】
酢酸ビニルの製造に適する触媒は任意適する方法により作成することができる。たとえば酢酸ビニルの製造のための触媒は欧州特許出願公開第0672453号明細書に詳記された方法により作成することができる。
【0064】
有利には本発明の第4面においては、高濃度のエチレンを第2反応帯域に供給する。第2反応帯域に供給される高濃度のエチレン(全供給物の50モル%より大)は酢酸ビニルへの選択率を最大化させる。
【0065】
望ましくは、第2反応帯域に供給されるエチレンの濃度は第2反応帯域への全供給物の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%である。好適には、エチレンの濃度は第2反応帯域への全供給物の85モル%まで、好ましくは少なくとも50モル%〜80モル%の範囲、たとえば少なくとも55モル%〜80モル%である。
【0066】
酢酸ビニル反応への組合せ供給物が少なくとも60モル%からなるエチレンと酢酸と酸素との反応による酢酸ビニルの製造は欧州特許出願公開第0985657号明細書(その内容を参考のためここに記載する)に記載されている。
【0067】
約1:1のエチレンと酢酸との比は酢酸エチルの一体的製造方法にも最適の比である。
【0068】
従って本発明の触媒組成物は、酢酸エチルの一体的製造方法にも用いることができる。
【0069】
従って第5面において、本発明はエタンと場合によりエチレンとからなるガス混合物からの酢酸エチルの一体的製造方法を提供し、この方法は:
(i)第1反応帯域にてエタンと場合によりエチレンとからなるガス混合物を前記触媒組成物の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて、酢酸とエチレンとからなる第1生成物流を生成させ、
(ii)第2反応帯域にて前記第1生成物流からの前記エチレンの少なくとも1部および前記酢酸の少なくとも1部と場合により水とを、酢酸エチルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度にて接触させることにより酢酸エチルからなる第2生成物流を生成させる
ことを特徴とする。
【0070】
酢酸エチルを製造するための第2反応帯域は固定床反応器としうるが、好ましくは流動床反応器である。
【0071】
第1生成物流は好ましくは約1:1の比にて酢酸とエチレンとを含む。
【0072】
1具体例において、第1生成物流は第2反応帯域に直接供給することができる。この具体例において、エチレンおよび酢酸は第2反応帯域に同時供給される。
【0073】
代案として第1生成物流をたとえば慣用の分離により処理して、前記第1生成物流からのエチレン含有流と酢酸含有流とを生成させると共に、前記エチレンおよび酢酸含有流を別々に第2反応帯域に供給することができる。特に、エチレン含有流は実質上純粋な形態でエチレンを含むことができ、或いはエチレンを窒素、メタン、エタン、二酸化炭素および水蒸気の形態における水の1種もしくはそれ以上の混合物として或いは水素、C/Cオレフィンまたはアルカンの1種もしくはそれ以上の混合物として含むこともできる。
【0074】
好ましくは本発明の第5面において、第2反応帯域に供給されるエチレンの濃度は第2反応帯域への全供給物の少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも55モル%、より好ましくは少なくとも60モル%である。
【0075】
酢酸エチルを製造するための当業界で知られた触媒を本発明の方法の第5面に使用することができる。第2反応帯域にて使用しうる酢酸エチルの製造につき活性な触媒は、たとえば欧州特許出願公開第0926126号明細書(その内容を参考のためここに引用する)に記載されたような触媒を包含する。
【0076】
欧州特許出願公開第0926126号明細書は、直列設置された複数の反応器にてエチレン、プロピレンもしくはその混合物をヘテロポリ酸触媒の存在下に飽和脂肪族C〜Cモノカルボン酸と反応させることによるエステルの製造方法を記載している。
【0077】
以下、実施例を参照して本発明を更に説明する。
【0078】
触媒作成
比較触媒A
シリカ上のMo1.000.529Nb0.124(=Mo60.532Nb7.5
次の3種の溶液を作成した:
溶液A:214gのヘプタモリブデン塩アンモニウムを250gの水に45℃にて攪拌しながら溶解させた。
【0079】
溶液B:75gのメタバナジウム酸アンモニウムを2リットルビーカーにて725gの水に添加し、80℃まで加熱した。メタバナジウム酸アンモニウムは完全には溶解しなかった。
【0080】
溶液C:74gの蓚酸アンモニウムニオブを6リットルステンレス鋼ビーカーにおける275gの水に添加し、45℃まで加熱した。30分間以内にゾルが形成された。
【0081】
溶液Cを溶液Bに添加すると共に、80℃にて30分間にわたり消化させた。次いで溶液Aを混合物に添加し、次いでこれを15分間にわたり中庸の加熱にて攪拌した。
【0082】
次いで638gのシリカゾル(ナルコ41D01)を攪拌混合物に添加した。
【0083】
このスラリーを10,000rpmにて約2分間にわたりホモゲナイズした。噴霧乾燥をミニ−ニロ噴霧乾燥機にて、溶液がホモゲナイズされた直後に行った。噴霧乾燥条件は次の通りとした:290℃の入口温度および138℃の出口温度。
【0084】
触媒組成物を空気中で3時間にわたり375℃で静的マッフル炉にて焼成した後に使用した。
【0085】
得られた噴霧乾燥触媒組成物はシリカ上のMo60.532Nb7.5の名目組成を全触媒重量の50%の名目金属負荷にて有する。
【0086】
触媒B
触媒Bは比較触媒Aと同様な名目組成を有するが、ただし0.33のグラム原子比にて錫を更に添加した。
【0087】
触媒組成物は触媒Aにつき記載したように作成したが、水酸化テトラメチルアンモニウムで安定化されたSnOゾルを錫供給源として用いた。
【0088】
触媒C
触媒Cは触媒Bと同様な名目組成を有するが、ただし錫の約半分をチタンで置き換えてそれぞれ0.165のグラム原子比にて錫とチタンとを含む名目組成を触媒に与えた。
【0089】
触媒組成物は触媒Aにつき記載したように作成したが、水酸化テトラメチルアンモニウムで安定化されたSnOゾルを錫供給源として使用すると共に、チタンイソプロポキシドをチタン供給源として使用した。
【0090】
触媒D
触媒Dは触媒Bと同様な名目組成を有するが、シリカ−チタニア支持体に支持させた。
【0091】
触媒組成物は触媒Bにつき記載したように作成したが、ただしダビソン社により供給されるSiTi 4150コゲルを触媒Bにて使用したシリカゾルの代わりに支持体として使用した。
【0092】
触媒E
触媒Eは触媒Dと同様な名目組成を有するが、シリカとシリカ−チタニアとの支持体の混合物に支持した。
【0093】
触媒組成物は触媒Bにつき記載したように作成したが、ただしダビソン社により供給されるSiTi 4150コゲルおよびナルコ41D01シリカゾルを50:50の比にて支持体材料として使用した。
【0094】
比較触媒F
触媒Fは触媒Aと同様な名目組成を有するが、0.33のグラム原子比にてTiを更に添加した。
【0095】
触媒組成物は触媒Aにつき記載したように作成したが、チタンイソプロポキシドをチタン供給源として使用した。
【0096】
触媒試験
触媒組成物を、下表における各触媒につき示した条件下で流動床反応器にて試験した。
【0097】
(HOS=オンストリーム時間、Sel=選択率、STY=空時収率、Conv=変換率、アセチック=酢酸、e/a=エチレン/酢酸の比)
【0098】
試験につき使用すべき触媒を篩分して、70%230/325メッシュ(50/50)、25%パン(微細物)および5%(170メッシュより大)の特定粒子寸法分布(psd)を得た。
【0099】
触媒(10g)および同じ粒子寸法分布を有する不活性希釈剤(セント・ゴベインSA 539アルファアルミナ、43g、密度1.27g/ml)を40mlの流動床反応器に添加した。
【0100】
反応は典型的には280℃〜320℃の温度にて16bargの反応圧力で行った。エタンとエチレン(エチレンの循環を模倣する)と窒素と酸素との混合物をブルックス・マス・フロー・コントローラを用いて反応器に供給した。気化により水を添加すると共に、これら供給ガスと反応帯域に先立ち混合した。
【0101】
揮発性反応器流出液を試料採取すると共に気液クロマトグラフィーにより分析し、これに対し水および酢酸を凝縮させると共に気液クロマトグラフィーにより分析した。反応器床温度は移動式熱伝対により監視した。
【0102】
比較触媒A
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
これら結果は、成分Zを含有しない比較触媒Aが良好な全体的選択率を以てエチレンおよび酢酸を生成したが、約2:1のエチレンと酢酸との高い比(e/a)であることを示す。
【0105】
触媒B
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
これら結果は、成分Zとして錫を含有する触媒Bが良好な全体的選択率を以て約1:1のエチレンと酢酸との比にてエチレンおよび酢酸を生成することを示す。従って触媒組成物へのSnの添加はエチレンと酢酸との比を減少させうる一方、比較触媒Aと対比して高い全体的選択率を維持する。
【0108】
触媒C
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
これら結果は、成分Zとして錫を含有すると共に成分Yとしてチタンを含有する触媒Cが良好な全体的選択率を以て約1:1のエチレンと酢酸との比にてエチレンおよび酢酸を生成することを示す。従って触媒組成物へのSnおよびTiの添加はエチレンと酢酸との比を減少させた一方、比較触媒Aと対比して高い全体的選択率を維持する。
【0111】
触媒D
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
これら結果は、成分Zとして錫を含有すると共に支持体の1部としてTiを含有する触媒Dが良好な全体的選択率を持つが約1:1未満のエチレンと酢酸との比にてエチレンおよび酢酸を生成することを示す。従って触媒組成物へのSnおよびTiの添加はエチレンと酢酸との比を減少させる一方、比較触媒Aと対比して高い全体的選択率を維持する。
【0114】
触媒E
【表9】

【0115】
【表10】

【0116】
これら結果は、成分Zとして錫を含有すると共に支持体の1部としてTiを含有する触媒Eが良好な全体的選択率を有するが1:1未満のエチレンと酢酸との比にてエチレンおよび酢酸を生成することを示す。従って触媒組成物へのSnおよびTiの添加はエチレンと酢酸との比を減少させる一方、比較触媒Aと対比して高い全体的選択率を維持する。
【0117】
触媒F
【表11】

【0118】
【表12】

【0119】
これら結果は、触媒成分としてチタンを含有するが第14族金属を含まない比較触媒Fが主として酢酸のみを生成することを示す。
【0120】
触媒B、DおよびEの比較は、支持体の1部としてのTiの添加が生成されるエチレンと酢酸との比にも影響を与えることを示す。
【0121】
触媒C、D、EとFとの比較は、SnおよびTiの添加がTi単独の作用を緩和して、約1:1までエチレンと酢酸との比を処理しうることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタンおよび必要に応じエチレンから酢酸およびエチレンへの酸化のための触媒組成物において、(i)支持体および(ii)酸素と組み合わせてた元素モリブデンとバナジウムとニオブと必要に応じタングステンと成分Zとからなり、成分Zは元素周期律表第14族の1種もしくはそれ以上の金属であり、ここでa、b、c、dおよびeはそれぞれ
0<a≦1;0≦b<1およびa+b=1;
0.05<c≦2;
0<d≦2;および
0<e≦1
となるような各元素Mo、W、Z、VおよびNbのグラム原子比を示すことを特徴とする触媒組成物。
【請求項2】
0.01<a≦1、0.1≦c≦2、0.1≦d≦2、0.01<e≦1である請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
0.1≦d≦0.5である請求項2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
0.01≦e≦0.6である請求項2または3に記載の触媒組成物。
【請求項5】
ZがSnである請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
触媒組成物が更に成分Yをも含み、この成分YはCr、Mn、Ta、B、Al、Ga、In、Pt、Zn、Cd、Bi、Ce、Co、Rh、Ir、Cu、Ag、Fe、Ru、Os、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、P、Sb、Si、Tl、U、Re、Te、La、Au、Ti、Hf、ZrおよびPdよりなる群から選択される1種もしくはそれ以上の元素である請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項7】
YがBi、Ca、Ce、Cu、K、P、Sb、La、Hf、Zr、TiおよびTeよりなる群から選択される請求項6に記載の触媒組成物。
【請求項8】
YがHf、TiおよびZrから選択される請求項7に記載の触媒組成物。
【請求項9】
YがTiである請求項8に記載の触媒組成物。
【請求項10】
Snを含み、更に成分YとしてTiをも含む請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項11】
Yがグラム原子比にてfを示し、ここで0≦f≦2である請求項7〜10のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項12】
0.01≦f≦0.5である請求項10に記載の触媒組成物。
【請求項13】
触媒組成物が実質的に金および/またはパラジウムを含まない請求項1〜12のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項14】
支持体が少なくとも1種の金属酸化物支持体からなる請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項15】
金属酸化物支持体がシリカ、チタニア、チタノシリケート、アルミナ、アルミノシリケート、ジルコニアおよびその混合物から選択される請求項14に記載の触媒組成物。
【請求項16】
金属酸化物支持体がシリカ、チタニアおよびシリカとチタニアとの混合物から選択される請求項15に記載の触媒組成物。
【請求項17】
支持体が非酸化物支持体である請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項18】
支持体が触媒組成物の総重量の約20重量%〜90重量%を占める請求項1〜17のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項19】
支持体が触媒組成物の総重量の40重量%〜60重量%を占める請求項18に記載の触媒組成物。
【請求項20】
アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムの少なくとも1種が組成物中に支持体の成分として、および/または成分Yとして存在する請求項1〜19のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項21】
(a)モリブデンとバナジウムとニオブと支持体材料もしくはその先駆体と成分Zと必要に応じタングステンとからなる混合物を溶液にて形成させ;
(b)混合物を乾燥して乾燥固体材料を形成させ;
(c)乾燥固体材料を焼成して触媒組成物を形成させる
各工程からなることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の触媒組成物の製造方法。
【請求項22】
工程(a)が更に、請求項6〜9のいずれか一項に記載の成分Yをも含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
混合物を水における溶液として形成させる請求項21に記載の方法。
【請求項24】
溶液が2〜8のpHを有する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(a)にて支持体材料もしくはその先駆体を、モリブデンとバナジウムとニオブと成分Zと必要に応じタングステンおよび必要に応じ成分Yとの予備形成混合物に添加する請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)の乾燥プロセスが噴霧乾燥プロセスである請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
乾燥固体材料を200〜550℃の温度まで空気中もしくは酸素中にて1分間〜24時間にわたり加熱して焼成を行う請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
エタンと必要に応じエチレンとからなるガス混合物より酢酸およびエチレンを製造する方法において、反応帯域でガス混合物を請求項1〜20のいずれか一項に記載または請求項21〜27のいずれか一項に記載のように作成された触媒組成物の存在下に高められた温度にて分子状酸素含有ガスと接触させることを特徴とする酢酸およびエチレンの製造方法。
【請求項29】
ガス混合物がエタンおよびエチレンを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
水をも供給成分として存在させる請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
酢酸およびエチレンを0.8:1〜1.2:1の範囲の比にて生成させる請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
酢酸とエチレンとの比が0.9:1〜1.1:1の範囲である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
高められた温度が200〜500℃の範囲である請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
プロセスを1〜50バールの範囲の圧力にて行う請求項28〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
触媒を固定床もしくは流動床の形態で使用する請求項28〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
酢酸およびエチレンへの全体的選択率が少なくとも70モル%である請求項28〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
全体的選択率が少なくとも75モル%である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
酢酸の少なくとも1部およびエチレンの少なくとも1部を第2反応帯域にて酢酸ビニルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて酢酸ビニルを生成させる請求項28〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
酢酸およびエチレンを0.8:1〜1.2:1の範囲の比にて生成させると共に、これを第2反応帯域にて酢酸ビニルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて酢酸ビニルを生成させる請求項28に記載の方法。
【請求項40】
第2反応帯域が流動床反応器である請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
酢酸の少なくとも1部およびエチレンの少なくとも1部を第2反応帯域にて酢酸エチルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて酢酸エチルを生成させる請求項28〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
酢酸およびエチレンを0.8:1〜1.2:1の範囲の比にて生成させると共に、これを第2反応帯域にて酢酸エチルの製造に適する触媒の存在下に高められた温度で分子状酸素含有ガスと接触させて酢酸エチルを生成させる請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502701(P2007−502701A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523663(P2006−523663)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003302
【国際公開番号】WO2005/018804
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(591001798)ビーピー ケミカルズ リミテッド  (66)
【氏名又は名称原語表記】BP CHEMICALS LIMITED
【Fターム(参考)】