説明

計器の駆動装置

【課題】 ユーザーが車両情報データを記憶している間に車両が走行した走行距離を瞬時に認識することが可能な計器の駆動装置を提供する。
【解決手段】 計器の駆動装置1は、車両情報を表示可能な表示部(デジタル表示部)5dを有する計器5と、前記車両情報の計測値を示す車両情報データに基づいて表示部5dを動作させ、また、所定時間中の前記車両情報データを記憶手段(メモリーカード)3bに記憶させる制御手段(第一,第二の制御手段)3a,5aと、を備える。表示部5dは、走行距離を表示可能であり、制御手段3a,5aは、前記車両情報データの記憶を開始させると、記憶処理中の走行距離を示す積算データを算出して表示部5dにこの記憶処理中の走行距離を表示させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行速度,エンジン回転数等の車両情報を表示する計器の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用計器としては、例えば速度計,回転計(TAメータ),温度計,燃料計等を有するコンビネーションメータとして搭載されるものや、サーキットレース場等を走行する車両や、スーパーチャージャあるいはターボ付の車両に搭載されることが多い吸気圧計(ブースト計),排気温度計あるいは燃圧計等がある。かかる計器は、各種の車両情報を各種センサーやイグニッションパルス(TAパルス),スピードパルス(SPパルス)等にて検出し、アナログ式表示部あるいはデジタル表示部等の表示部によって各種の車両情報を表示するものである。
【0003】
また、かかる計器、特にサーキットレース場等を走行する走行車両に備えられる計器においては、レースにおける走行状態を把握するために、所定時間中の車両情報を記憶させたり、あるいはこの記憶した過去の車両情報を前記表示部で再生表示動作させたりできるものが望まれていた。
【0004】
そこで、本願出願人は、特許文献1において、車両情報を検出し、表示部によって前記車両情報を表示する計器であって、前記表示部を前記車両情報に応じて表示動作させる車両情報データを所定時間記憶する記憶手段を備え、また、前記記憶手段に記憶された車両情報データに基づき前記表示部を表示動作させる再生手段を備える計器の駆動装置を提案している。
【0005】
特許文献1にて開示される計器の駆動装置によれば、ユーザーは、走行時の過去の車両情報を通常動作と同じように目視で確認することができ、特にタイムトライアルやサーキットレース等の所定時間中における前記車両情報を記憶し、また、再現させることで、レースにおける自己の運転を復習してレースタイムの向上を検討することができる。また、走行時におけるエンジン性能等の車両の走行特性を把握でき、エンジン等の車両部品を調整するための情報を得ることができる。
【特許文献1】特開2000−46588号公報
【特許文献2】特開2005−181239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の走行中における前記車両情報データを記憶する機能を備える計器の駆動装置においては、前記車両情報データを記憶している間に車両が走行した走行距離をユーザーが瞬時に認識することができないという点で更なる改善の余地があった。なお、車両用の計器として、走行距離を表示するものは広く知られており(例えば特許文献2参照)、前記車両情報データの記憶を開始した時点の走行距離と最新の走行距離との対比によって記憶処理中の走行距離を把握することができるものの走行中に数値の対比を行うことは非常に煩雑な作業であり、記憶処理中の走行距離を瞬時に把握することができない。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑み、車両が走行する所定時間中における車両情報データを記憶する機能を備える計器の駆動装置を更に改善し、ユーザーが前記車両情報データを記憶している間に車両が走行した走行距離を瞬時に認識することが可能な計器の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の計器の駆動装置は、前記課題を解決するために、車両情報を表示可能な表示部を有する計器と、前記車両情報の計測値を示す車両情報データに基づいて前記表示部を動作させ、また、所定時間中の前記車両情報データを記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える計器の駆動装置であって、前記表示部は、走行距離を表示可能であり、前記制御手段は、前記車両情報データの記憶処理を開始させると、記憶処理中の走行距離を示す積算データを算出して前記表示部にこの記憶処理中の走行距離を表示させてなることを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記車両情報データの記憶が終了されると、前記記憶処理中の走行距離の算出及び表示を終了させてなることを特徴とする。
【0010】
また、前記制御手段は、前記車両情報データの記憶処理中において、前記表示部に前記記憶処理中の走行距離と通常時の走行距離とを切り換えて表示させることが可能であることを特徴とする。
【0011】
また、単数あるいは複数の操作スイッチを有する操作手段を備え、前記制御手段は、前記操作手段の所定操作に応じて前記記憶手段に記憶された前記車両情報データに基づいて前記表示部を再生表示動作させてなることを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、前記車両情報データとして前記記憶処理中の走行距離を示す前記積算データを前記記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に記憶された前記積算データに基づいて前記表示部を再生表示動作させてなることを特徴とする。
【0013】
また、前記制御手段は、前記表示部に前記記憶処理中の走行距離を表示させる際に、通常時の走行距離の表示とは異なる表示形態で表示させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、車両の走行速度,エンジン回転数等の車両情報を表示する計器の駆動装置に関し、車両が走行する所定時間中における車両情報データを記憶する機能を備える計器の駆動装置を更に改善し、ユーザーが前記車両情報データを記憶している間に車両が走行した走行距離を瞬時に認識することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態である計器の駆動装置1における電気的構成を示しており、図2は、計器の駆動装置1の外観を示している。
【0016】
計器の駆動装置1は、入力手段2と、第一の制御手段(制御手段)3a,メモリーカード(記憶手段)3b及び第一の発光部3cを有するコントロールユニット3と、スイッチユニット4と、第二の制御手段(制御手段)5a,第一のアナログ表示部5b,第二のアナログ表示部5c,デジタル表示部(表示部)5dを有するコンビネーションメータ(計器)5とから主に構成される。
【0017】
入力手段2は、車速センサ2a,イグニッションコイルからのパルス信号(以下、TAパルスという)を入力するための信号ライン2b,水温センサ2c,油温センサ2d及び過給圧センサ2eの第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dにて表示させる車両情報を検出する各種センサ及び信号ラインからなり、第一の制御手段3aに前記車両情報を示す各状態信号を出力する。なお、車速センサ2aは、走行距離に比例して状態信号(パルス信号)を出力するものであり、走行距離の積算値を検出するための距離検出手段としても用いられる。
【0018】
コントロールユニット3は、図2に示すように、樹脂材料等からなるユニットケース3dに第一の制御手段3a及びメモリーカード3bを収納してなるものである。なお、メモリーカード3bは、ユニットケース3dに形成されるカードスロット(収納部)3eに着脱可能に配設されている。また、ユニットケース3dのカードスロット3e近傍にはカードスロット3e内にメモリーカード3bが収納されていることを報知するLED等からなる第一の発光部3cが形成されている。
【0019】
第一の制御手段3aは、主としてマイクロコンピュータからなり、第一の入力手段2からの前記状態信号を入力する入力部と、所定の処理動作プログラムを実行するCPUと、前記処理動作プログラム等が記憶されたROMと、前記CPUにより処理されたデータ等を一時的に記憶するRAMと、コンビネーションメータ5の表示機能に関する設定値等のデータを不揮発的に記憶するEEPROMやバックアップRAM等からなる記憶部と、前記CPUによって算出される前記データを所定の周期により送信する送信部とから構成されている。第一の制御手段3aは、入力手段2から前記各状態信号を入力すると、前記各状態信号に応じて所定の演算処理を行い前記車両情報の計測値を示す各車両情報データを算出し、前記各車両情報データを第二の制御手段5aに送信する。なお、走行距離の積算値を示す積算データは、車速センサ2aからの状態信号に応じて所定の演算処理を行うことで算出される。
【0020】
第一の制御手段3aは、前記車両情報データをメモリーカード3bに同期して記憶させる記憶機能を有する。また、第一の制御手段3aは、前記記憶機能において前記車両情報データをメモリーカード3bに記憶させる書き込み処理(記憶処理)中に車両が走行したの走行距離(記憶処理中の走行距離。以下、レックトリップ値という)をデジタル表示部5dに表示させるレックトリップ表示機能を有する。また、第一の制御手段3aは、前記記憶機能によってメモリーカード3bに記憶された前記車両情報データに基づいてコンビネーションメータ5の第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dとを同期して再生表示動作させる再生表示機能を有する。
【0021】
また、第一の制御手段3aは、メモリーカード3bとの通信状態を検出し、カードスロット3e内にメモリーカード3bが収納されてメモリーカード3bと通信可能となった場合は第一の発光部3cを点灯させ、カードスロット3eからメモリーカード3bが取り出されてメモリーカード3bと通信されない場合は第一の発光部3cを消灯させる。なお、第一の発光部3cは所定時間点灯を維持された後に消灯されるものであってもよい。また、第一の制御手段3aは、メモリーカード3bにおける前記車両情報データの記憶可能時間を算出し、この記憶可能時間が所定の設定時間(例えば、10分間)以下となった場合に、後述する第二の制御手段5aに第二の発光部5eを点滅させる。
【0022】
メモリーカード3bは、データを書き込み及び読み出し可能なフラッシュメモリをケース体内に備えてなる小型の記憶手段であり、図2に示すように、カードスロット3eに着脱可能に配設され、第一の制御手段3aと接続されるものである。メモリーカード3bは第一の制御手段3aの書き込み処理によって前記車両情報データを記憶する。
【0023】
スイッチユニット4は、図2に示すように、樹脂材料等からなるスイッチケース4aに複数の押しボタンスイッチ4bが配設されてなるものであり、コントロールユニット3におけるコンビネーションメータ5のデジタル表示部5dの表示内容の切り換え,前記記憶機能の書き込み処理開始あるいは終了の確定、前記記憶機能における記憶時間の設定、前記再生機能における再生表示動作開始あるいは終了の確定等を行うため操作手段である。
【0024】
コンビネーションメータ5は、図2に示すように、第二の制御手段5a,第一のアナログ表示部5b,第二のアナログ表示部5c,デジタル表示部5d及び第二の発光部5eを樹脂材料等からなるメータケース5fに備えてなり、車両のダッシュボード上やハンドルコラムカバー上等に設置されるものである。なお、コンビネーションメータ5の表示面側は、透光性の樹脂材料等からなるカバー体(図示しない)によって覆われている。
【0025】
第二の制御手段5aは、CPU,ROM及びRAMから構成されるマイクロコンピュータから主に構成されるものである。第二の制御手段5aは、第一の制御手段3aから送信される前記各車両情報データを受信する受信部を有し、受信した前記各車両情報データに基づき、第一の駆動回路6fを介して駆動信号を第一,第二のアナログ表示部5b,5cに出力して第一,第二のアナログ表示部5b,5cを前記車両情報の計測値を示す表示動作をさせ、また、第二の駆動回路6gを介して駆動信号をデジタル表示部5dに出力し、デジタル表示部5dに前記車両情報の計測値を表示させる。
【0026】
第一,第二のアナログ表示部5b,5cは、図2に示すように、指針5b1,5c1と、アナログ指標部5b2,5c2と、を有するものである。ユーザーは、指針5b1、5c1とアナログ指標部5b2,5c2との対比判読により、前記車両情報の計測値を読み取ることが可能となる。なお、本実施形態においては第一のアナログ表示部5bは、前記車両情報としてエンジンの回転数を0rpmから11000rpmまでの範囲で表示するものである。また、第二のアナログ表示部5cは、前記車両情報としてエンジンの過給圧を−80kPaから300kPaまでの範囲で表示するものである。各指針5b1,5c1は、ステッピングモータや交差コイルからなる駆動本体(図示しない)の回転軸を介して回動するものである。各アナログ指標部5b2,5c2は、文字板6g上に印刷形成されるものであり、目盛りや数字等からなり略円弧状に設けられる複数の指標を有する。
【0027】
デジタル表示部5dは、例えば、有機ELディスプレイからなり、図2に示すように、数字表示によって複数の前記車両情報の計測値を表示するものである。なお、図2は前記車両情報として、車両の走行速度及び所定時点からの走行距離の積算値(以下、トリップ値という)を表示する場合を示している。なお、デジタル表示部5dに表示する前記車両情報は、ユーザーのスイッチユニット4の所定操作により切り換え可能となっている。また、デジタル表示部5dは、通常時の走行距離として車両の総走行距離の積算値(いわゆるオド値)を表示するものであっても良い。
【0028】
以上の各部により、本発明の計器の駆動装置1が構成されている。
【0029】
次に、図3及び図4を用いて、前記記憶機能及び前記レックトリップ表示機能における計器の駆動装置1の駆動方法を説明する。
【0030】
第一の制御手段3aは、通常動作モードにおいて、入力手段2からの前記各状態信号を入力し、前記各状態信号に応じて前記各車両情報データを算出して、前記各車両情報データを第二の制御手段5aに送信している。また、第二の制御手段5aは、受信した前記各車両情報データに応じて第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dに前記車両情報を表示させる表示動作を行わせている。第一の制御手段3aは、ステップS1においてスイッチユニット4から前記記憶機能の書き込み処理を開始させる所定の記憶操作が入力されたか否かを判定し、前記記憶操作が入力されない場合は前記通常動作モードを継続し、また、前記記憶操作が入力されると、ステップS2に移行する。
【0031】
第一の制御手段3aは、前記通常動作モードを継続するとともに、ステップS2において、所定時間中に算出される前記各車両情報データを同期して記憶させるべくメモリーカード3bに書き込み処理を行う。
【0032】
また、第一の制御手段3aは、ステップS1においてスイッチユニット4の前記記憶操作が入力されると、ステップS3において、第二の制御手段5aに所定の切換信号を送信する。第二の制御手段5aは、前記切換信号を受信すると、デジタル表示部5dの表示内容を通常時の前記トリップ値の表示(図4(a)参照)から前記レックトリップ値の表示に切り換える(図4(b)参照)。すなわち、前記車両情報データの書き込み処理が開始されると、デジタル表示部5dにおける走行距離の数字表示は自動的にゼロ表示されることとなる。このとき、前記レックトリップ値の表示は通常時の前記トリップ値とは異なる表示形態で表示される。具体的には、前記トリップ値の表示においては数値表示の向かって左側方に「TRIP」なる文字が表示されるところ、前記レックトリップ値の表示においては数値表示の向かって左側方には「REC TRIP」なる文字が表示される。さらに、第一の制御手段3aは、前記車両情報データの書き込み処理が行われる間、車速センサ2aからの状態信号に応じて前記レックトリップ値を示す積算データを算出し、前記積算データを第二の制御手段5aに送信する。第二の制御手段5aは、前記積算データに基づいてデジタル表示部5dに積算される前記レックトリップ値を表示させる(図4(c)参照)。また、第一の制御手段3aは、ステップS2の書き込み処理において、前記車両情報データとして前記レックトリップ値を示す前記積算データをメモリーカード3bに記憶させる。また、第一の制御手段3aは、ステップS3においてデジタル表示部5dに前記レックトリップ値が表示されているときに、スイッチユニット4の所定の切換操作が入力されると、第二の制御手段5aに所定の切換信号を送信する。第二の制御手段は、前記切換信号を入力すると、デジタル表示部5dの表示内容を前記レックトリップ値の表示から通常時の前記トリップ値の表示に切り換える。なお、ステップS3においても通常時の前記トリップ値を示す積算データの算出は継続されており、前記トリップ値としては前記レックトリップ値を加算した値が表示される。
【0033】
第一の制御手段3aは、ステップS4において、スイッチユニット4の前記記憶機能を解除する所定の解除操作が入力されたか否かを判定し、前記解除操作が入力されると所定時間が経過していなくとも前記車両情報データの書き込み処理を中断し、前記記憶機能を解除する。このとき、前記レックトリップ表示機能も解除し、前記レックトリップ値を示す前記積算データの算出を終了し、第二の制御手段5aに切換信号を送信してデジタル表示部5dの表示内容を通常時の前記トリップ値の表示に切り換えさせる(図4(d)参照)。
【0034】
第一の制御手段3aは、ステップS4において前記解除操作が入力されない場合、ステップS5において、前記車両情報データの書き込み処理が所定時間なされたか否かを判定し、所定時間が経過していない場合は書き込み処理を継続させ、所定時間が経過した場合は、書き込み処理を終了し、前記記憶機能及び前記レックトリップ表示機能を解除する。
【0035】
以上の処理を行うことによって、第一の制御手段3aは、所定時間中における前記各車両情報データの計時変化をメモリーカード3bに記憶させることができ、また、前記レックトリップ値の表示によって、前記各車両情報データを記憶している間の走行距離を瞬時に認識することができる。
【0036】
次に、図5を用いて、前記再生表示機能における計器の駆動装置1の駆動方法を説明する。
【0037】
第一の制御手段3aは、前記通常動作モードを実行している場合に、ステップS6においてスイッチユニット4の前記再生表示機能を開始させる所定の再生操作が入力されたか否かを判定し、前記再生操作が入力されない場合は前記通常動作モードを継続し、また、前記再生操作が入力されると、ステップS7に移行する。
【0038】
第一の制御手段3aは、ステップS7において、前記通常動作モードを解除するとともに、メモリーカード3bに記憶されている前記各車両情報データの読み込み処理を行う。
【0039】
さらに、第一の制御手段3aは、メモリーカード3bから読み込みを行った前記各車両情報データをコンビネーションメータ5の第二の制御手段5aに送信する(ステップS8)。第二の制御手段5aは、受信した前記各車両情報データに応じて第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dに過去の前記各車両情報を表示する再生表示動作をさせるべく表示制御を行う。このとき、デジタル表示部5dの表示内容として前記トリップ値の表示が選択されていると、前記第二の制御手段5aは、前記車両情報データとして受信した前記レックトリップ値を示す前記積算データに基づいて過去の前記レックトリップ値を再生表示させる。なお、再生表示における前記レックトリップ値の表示形態は図4(b)及び(c)に示すものと同様である。
【0040】
第一の制御手段3aは、ステップS9において、スイッチユニット4の前記再生表示機能を解除する所定の解除操作が入力されたか否かを判定し、前記解除操作が入力されるとメモリーカード3bに記憶される前記各車両情報データの全てが読み込みあるいは送信される前であっても読み込み処理及びデータの送信を中断し、前記再生表示機能を解除し、前記通常動作モードに移行する。
【0041】
第一の制御手段3aは、ステップS9において前記解除操作が入力されない場合、ステップS10において、メモリーカード3bに記憶された全ての前記各車両情報データが送信された否かを判定し、全ての前記各車両情報データが送信されていない場合は読み込み処理及び送信処理を継続させ、全ての前記各車両情報データが送信された場合は、読み込み処理及び送信処理を終了して前記再生表示機能を解除し、前記通常動作モードに移行する。
【0042】
以上の処理を行うことによって、第一の制御手段3aは、コンビネーションメータ5によって、過去の所定時間中における前記レックトリップ値を含む前記各車両情報の計時変化を再生表示させることができる。
【0043】
以上の構成によれば、計器の駆動装置1は、第一,第二の制御手段3a,5aによって、前記車両情報データの記憶を開始させると、前記レックトリップ値を算出してデジタル表示部5bに前記レックトリップ値を表示させることで、ユーザーが前記車両情報データが記憶されている間の走行距離を瞬時に認識することが可能となり、計器の駆動装置としての商品性を向上させることができる。
【0044】
また、計器の駆動装置1は、第一,第二の制御手段3a,5aによって、前記車両情報データの書き込み処理中に、デジタル表示部5dに前記レックトリップ値と通常時の前記トリップ値とを切り換えて表示可能とすることで、ユーザーが前記車両情報データが記憶されている間に表示される走行距離の内容を選択することができ、計器の駆動装置としての商品性を向上させることができる。
【0045】
また、計器の駆動装置1は、第一,第二の制御手段3a,5aによって、前記記憶機能において前記車両情報データとして前記レックトリップ値を示す前記積算データをメモリーカード3bに記憶させ、前記再生表示機能においてメモリーカード3bに記憶された前記積算データに基づいてデジタル表示部5dを再生表示動作させることで、第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dを再生表示させる場合においても、ユーザーが記憶処理中に車両が走行した走行距離を瞬時に認識することが可能となり、計器の駆動装置としての商品性を向上させることができる。
【0046】
また、計器の駆動装置1は、デジタル表示部5dに前記レックトリップ値を表示させる際に、通常時の前記トリップ値の表示とは異なる表示形態で表示させることで、ユーザーが前記レックトリップ値が表示されているか否かを瞬時に判別することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態においては、計器の駆動装置1は、前記車両情報データの書き込み処理中に、スイッチユニット4の前記切換操作を入力するとデジタル表示部5dの表示内容を前記レックトリップ値の表示から通常時の前記トリップ値の表示に切り換えるものであったが、本発明における車両情報データの記憶処理中の記憶処理中の走行距離と通常時の走行距離との表示の切り換えは本実施形態に限定されるものではなく、例えば記憶処理中の走行距離と通常時の走行距離とを交互に表示させる、あるいは所定の走行速度(例えば10km/h)以下となった場合に前記記憶処理中の走行距離の表示から通常時の走行距離の表示に切り換えるものであってもよい。
【0048】
なお、本実施形態は、前記レックトリップ値の表示を通常時の前記トリップ値の表示とは異なる表示形態で表示させるべく、数値表示の向かって側方に表示される文字表示を異ならせるものであったが、本発明における「異なる表示形態」は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば通常時の前記トリップ値の表示において数値表示の向かって左側方に「TRIP」なる表示を点灯表示し、前記レックトリップ値の表示においてかかる「TRIP」なる表示を点滅表示させるものであってもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、計器の駆動装置1は、制御手段として、コントロールユニット3に備えられる第一の制御手段3aと、コンビネーションメータ5に備えられる第二の制御手段5aとの2つの制御手段を有するものであったが、本発明の計器の駆動装置は、単一の制御手段を有するものであってもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、第一の制御手段3a及びメモリーカード3bを有するコントロールユニット3と、第一,第二のアナログ表示部5b,5c及びデジタル表示部5dを有するコンビネーションメータ5とが別体に設けられるものであったが、本発明における計器の駆動装置は、制御手段,記憶手段及び表示部を有する計器が単一のケース体に設けられるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態の計器の駆動装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同上計器の駆動装置の外観を示す図。
【図3】同上の記憶機能及びレックトリップ表示機能における制御方法を示す図。
【図4】同上のレックトリップ表示機能における表示例を示す図。
【図5】同上の再生表示機能における制御方法を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1 計器の駆動装置
2 入力手段
3 コントロールユニット
3a 第一の制御手段(制御手段)
3b メモリーカード(記憶手段)
4 スイッチユニット
5 コンビネーションメータ(計器)
5a 第二の制御手段(制御手段)
5b 第一のアナログ表示部
5c 第二のアナログ表示部
5d デジタル表示部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示可能な表示部を有する計器と、前記車両情報の計測値を示す車両情報データに基づいて前記表示部を動作させ、また、所定時間中の前記車両情報データを記憶手段に記憶させる制御手段と、を備える計器の駆動装置であって、
前記表示部は、走行距離を表示可能であり、
前記制御手段は、前記車両情報データの記憶処理を開始させると、記憶処理中の走行距離を示す積算データを算出して前記表示部にこの記憶処理中の走行距離を表示させてなることを特徴とする計器の駆動装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両情報データの記憶処理が終了されると、前記記憶処理中の走行距離の算出及び表示を終了させてなることを特徴とする請求項1に記載の計器の駆動装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車両情報データの記憶処理中において、前記表示部に前記記憶処理中の走行距離と通常時の走行距離とを切り換えて表示させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の計器の駆動装置。
【請求項4】
前記制御手段は、所定操作に応じて前記記憶手段に記憶された前記車両情報データに基づいて前記表示部を再生表示動作させてなることを特徴とする請求項1に記載の計器の駆動装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車両情報データとして前記記憶処理中の走行距離を示す前記積算データを前記記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に記憶された前記積算データに基づいて前記表示部を再生表示動作させてなることを特徴とする請求項4に記載の計器の駆動装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記表示部に前記記憶処理中の走行距離を表示させる際に、通常時の走行距離の表示とは異なる表示形態で表示させてなることを特徴とする請求項1または請求項5に記載の計器の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−86000(P2007−86000A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277844(P2005−277844)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】