説明

計器装置

【課題】 表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供するものである。
【解決手段】 少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部4を備えた計器装置1において、表示部4が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部51、61と、バーグラフ表示部51、61の近傍に設けられるとともにバーグラフ表示部51、61の表示範囲を示す目盛部52、62とを表示し、バーグラフ表示部51、61で表示する計測項目が所定の値を超えた時に、バーグラフ表示部51、61と目盛部52、62との少なくともどちらか一方が点滅表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器装置に関し、特に、自動車や自動二輪車及び小型船舶などに用いられる計器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の速度や車両のエンジン回転数などの計測項目を表示する計器装置は、特に自動二輪車用の計器装置は、自動二輪車の車体前方、例えば、ハンドルやその近くに設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−190887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動二輪車用の計器装置は、自動車用の計器装置に比べて、計器装置を取り付ける位置に制限があり、また、自動二輪車は、運転者が自動二輪車に跨って乗車するので、運転者に姿勢によっては、計器装置が運転者の視界の下方に位置することになるため、視認性に影響を及ぼす場合があった。また、計器装置を配置するための空間も自動車などに比べて小さいので、計器装置もコンパクトにならざるを得ず、視認性に影響を及ぼす場合があった。
【0004】
例えば、計測表示する項目である燃料の残量やエンジンの冷却水温が所定値を超えた時に警告表示を表示する場合、計器装置における表示面積も小さく制限されるため、警告表示を行っていても、運転者が気づきにくいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、この点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するため、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部との少なくともどちらか一方が点滅表示するものである。
【0007】
また、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部とが同時に点滅表示するものである。
【0008】
また、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部とが交互に点滅表示するものである。
【0009】
また、前記計測項目が前記車両のエンジン冷却水温を表示するものである。
【0010】
また、前記計測項目が前記車両の燃料の残量を表示するものである。
【0011】
また、前記表示素子が液晶表示素子あるいは有機エレクトロルミネセンス表示素子からなるものである。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、初期の目的を達成することができ、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の計器装置1は、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部4を備えた計器装置1において、表示部4が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部51、61と、バーグラフ表示部51、61の近傍に設けられるとともにバーグラフ表示部51、61の表示範囲を示す目盛部52、62とを表示し、バーグラフ表示部51、61で表示する計測項目が所定の値を超えた時に、バーグラフ表示部51、61と目盛部52、62との少なくともどちらか一方が点滅表示するものである。このように構成したことによって、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。また、点滅表示によって、表示に動きのある変化を与えることで、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0014】
また、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部4を備えた計器装置1において、表示部4が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部51、61と、バーグラフ表示部51、61の近傍に設けられるとともにバーグラフ表示部51、61の表示範囲を示す目盛部52、62とを表示し、バーグラフ表示部51、61で表示する計測項目が所定の値を超えた時に、バーグラフ表示部51、61と目盛部52、62とが同時に点滅表示するものである。このように構成したことによって、点滅表示を行う面積が増えるので、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0015】
また、少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部4を備えた計器装置1において、表示部4が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部51、61と、バーグラフ表示部51、61の近傍に設けられるとともにバーグラフ表示部51、61の表示範囲を示す目盛部52、62とを表示し、バーグラフ表示部51、61で表示する計測項目が所定の値を超えた時に、バーグラフ表示部51、61と目盛部52、62とが交互に点滅表示するものである。このように構成したことによって、点滅表示を行う面積が増えるとともに、交互に点滅表示することで、より表示に動きのある変化を与えることができ、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0016】
また、前記計測項目が前記車両のエンジン冷却水温を表示するものである。このように構成したことによって、エンジン冷却水温の上昇に伴うエンジンの損傷を防止することが可能な計器装置を提供することができる。
【0017】
また、前記計測項目が前記車両の燃料の残量を表示するものである。このように構成したことによって、燃料切れによる走行不能を防止することが可能な計器装置を提供することができる。
【0018】
また、表示素子が液晶表示素子あるいは有機エレクトロルミネセンス表示素子からなるものである。このように構成したことによって、部品点数が少なく安価な計器装置を提供することができる。
【実施例1】
【0019】
以下、図1〜図5を用いて、本発明の第1実施例を説明する。
【0020】
本実施例の計器装置1は、自動二輪車に用いられる計器装置1である。この計器装置1は、複数の計測項目を表示するものである。この計器装置1の中央には、エンジンの回転数を表示するエンジン回転計2を備えている。このエンジン回転計2は指針を備えた計器である。また、計器装置1に向かって左側には、車両の速度を表示する速度計3を備えている。この速度計3もエンジン回転計2と同様に指針を備えた計器である。また、計器装置1に向かって右側には、液晶表示素子からなる表示部4を備えている。この液晶表示素子からなる表示部4は、ツイステッドネマチック液晶からなり、ポジ表示で、照明を点灯しない時は、液晶表示素子の背面に設けた反射板からの反射光を利用し、照明を点灯した場合は、背後からの透過光によって照明されるものである。この表示部4は、車両の状態を表示するものとして、車両のエンジンの冷却水温を表示する水温計5や車両の燃料タンク内の燃料の残量を表示する燃料残量計6などの計測項目を表示することができるとともに、車両の状態とは関係のない時刻などの計測項目を表示することもできる。
【0021】
表示部4の水温計5や燃料残量計6は、それぞれ計測した車両の状態の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部51、61と、バーグラフ表示部51、61の近傍に設けられるとともにバーグラフ表示部51、61の表示範囲を示す複数のセグメントからなる目盛部52、62とを備えている。これらバーグラフ表示部51、61と目盛部52、62は円弧状に表示部4に設けられている。なお、本実施例では、目盛部52、62はバーグラフ表示部51、61の内側にのみ設けられている。
【0022】
また、水温計5と燃料残量計6の目盛部52、62の内側には、それぞれ、水温計5と燃料残量計6を示す記号53、63と、目盛部52、62に対応した文字54、64とを備えている。
【0023】
以上の、バーグラフ表示部51、61と、目盛部52、62と、記号53、63及び文字54、64は、すべて点灯、消灯制御可能な電極で形成されている。また、本実施例では、表示部4の液晶はポジ表示であり、図面では、バーグラフ表示部51、61と、目盛部52、62と、記号53、63及び文字54、64の中は白抜きであるが、実際は、中を黒く塗りつぶしたように視認され、表示を行う部分が黒く表示され、表示に関係しなければ、表示部4の背景と同色となるものである。よって、車両のイグニッションスイッチ(電源)がオフの状態では、図3に示すように、表示部4には何も表示されない。車両のイグニッションスイッチ(電源)がオンの状態では、図4に示すように、バーグラフ表示部51、61以外の目盛部52、62、記号53、63と、文字54、64は、すべて点灯し、バーグラフ表示部51、61を構成するセグメントも現在の車両状態によって点灯する。図4の場合では、水温計5は、バーグラフ表示部51の「C」側のセグメントが2つ点灯し、燃料残量計6は、バーグラフ表示部61の「E」側のセグメントが5つ点灯している。
【0024】
次に、水温計5を用いて警告表示を説明する。本実施例では、図5で示すように、水温計5のセグメントが9つまで点灯すると、エンジン冷却水温が高温となっており、警告表示すべき所定の温度(値)を超えたので、警告表示を行う。本実施例では、バーグラフ表示部51が点灯(図5参照)と消灯(図6参照)を繰り返して点滅表示する。この時、目盛部52は点滅表示せず点灯し続ける。
【0025】
このように構成したことによって、表示に動きのある変化を与えることで、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0026】
なお、点滅表示する部分は、バーグラフ表示部51に限定されるものではなく、バーグラフ表示部51の代わりに目盛部52が点滅するものであっても良い。このように構成したことによっても、前述した作用効果を得ることができる。
【0027】
また、バーグラフ表示部51と目盛部52が同時に点滅表示することによって、点滅表示を行う面積が増えるので、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0028】
また、他の点滅表示として、図7、8で示すように、バーグラフ表示部51が点灯し、目盛部52が消灯した状態(図7)と、バーグラフ表示部51が消灯し、目盛部52が点灯した状態(図8)とを繰り返して、交互に点滅表示するものであってもよい。このように構成したことによって、点滅表示を行う面積が増えるとともに、交互に点滅表示することで、より表示に動きのある変化を与えることができ、表示面積が制限されていても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。
【0029】
本実施例では、車両のエンジン冷却水温を表示する水温計5のように、表示面積に制限があるような表示であっても、運転者の注意をより喚起することが可能な計器装置を提供することができる。なお、水温計5に限定されるものではなく、車両の燃料の残量を表示する燃料残量計6に適用しても良い。燃料残量計6に適用した場合は、点灯するバーグラフ表示部61のセグメントが燃料の残量が減っていくのに伴って消灯していき、燃料残量計6の「E」で側のセグメントと、一つ上のセグメントの都合2つのセグメントが点灯した時に、警告表示を行うこととなる。
【0030】
また、本実施例では、表示部4に液晶表示素子を用いたことで、1つの素子で表示部4を形成でき、部品点数を削減し、安価な計器装置を提供することができるものである。また、表示部4に用いる表示素子としては、液晶表示素子に限定されるものではなく、有機エレクトロルミネセンスなどを用いても、同様に部品点数を削減することができ、さらに、有機エレクトロルミネセンスは、自ら発光するので、表示部4を照明する部品などを削減することができ、液晶表示素子より、さらに部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施例の正面図。
【図2】同実施例の要部拡大正面図。
【図3】同実施例の駆動前の正面図。
【図4】同実施例の駆動時の正面図。
【図5】同実施例の警告表示時の正面図。
【図6】同実施例の警告表示時の正面図。
【図7】同実施例の他の警告表示時の正面図。
【図8】同実施例の他の警告表示時の正面図。
【符号の説明】
【0032】
1 計器装置
2 エンジン回転計
3 速度計
4 表示部
5 水温計
6 燃料残量計
51、61 バーグラフ表示部
52、62 目盛部
53、63 記号
54、64 文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部との少なくともどちらか一方が点滅表示することを特徴とする計器装置。
【請求項2】
少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部とが同時に点滅表示することを特徴とする計器装置。
【請求項3】
少なくとも1つ以上の計測項目を表示する表示素子からなる表示部を備えた計器装置において、前記表示部が前記計測項目の変化を表示する複数のセグメントからなるバーグラフ表示部と、前記バーグラフ表示部の近傍に設けられるとともに前記バーグラフ表示部の表示範囲を示す目盛部とを表示し、前記バーグラフ表示部で表示する前記計測項目が所定の値を超えた時に、前記バーグラフ表示部と前記目盛部とが交互に点滅表示することを特徴とする計器装置。
【請求項4】
前記計測項目が前記車両のエンジン冷却水温を表示するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の計器装置。
【請求項5】
前記計測項目が前記車両の燃料の残量を表示するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の計器装置。
【請求項6】
前記表示素子が液晶表示素子あるいは有機エレクトロルミネセンス表示素子からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の計器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−153719(P2006−153719A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346365(P2004−346365)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】