説明

記憶媒体

【課題】データの漏えいを防止できる安価な記憶媒体を提供する。
【解決手段】記憶媒体が、コンデンサと、コンデンサに蓄えられた電力を基にデータを記憶する揮発性メモリとを具備する。コンピュータのUSBポートにUSBメモリが装着されると、USBコントローラ5は、USBコネクタ1を介してコンピュータから電力を受け取り、当該電力をコンデンサ3及びSRAM4に供給する。そして、コンピュータのUSBポートからUSBメモリが取り外されると、コンデンサ3は、SRAM4への電力の供給を開始する。SRAM4は、コンデンサ3から電力が供給されている間データを継続して記憶するが、コンデンサ3の電力がなくなると電力の供給が停止するので、記憶しているデータが消える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、小型軽量で携帯性に優れ、大容量のデータを記憶できるUSBメモリが、記憶媒体として広く普及している。このUSBメモリは、記憶素子として不揮発性のフラッシュメモリを備えており、電力の供給がなくても記憶したデータを保持することができる。しかし、USBメモリが簡単に持ち運びできることで、その途中の置き忘れ、紛失または盗難によりデータが外部に漏えいしてしまうことが大きな問題になっている。
そのため、紛失してもデータの漏えいを防止できるものとして、下記非特許文献1には、設定した時間が過ぎると保存しているデータを自動で消去する時限式メモリが開示されている。この時限式メモリでは、データの消去する時間を9日先まで分刻みで設定することができ、CPUの制御の下、設定された時間を過ぎると保存するデータを無意味なデータで上書きする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】富士通研究所、“時限式メモリ” 、[online]、[平成21年8月13日検索]、インターネット<http://www.yomiuri.co.jp/net/security/s-news/20090518-OYT8T00392.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術の時限式メモリでは、CPUの制御の下、予め設定された時間を過ぎるとデータを消去する。しかしながら、この時限式メモリは、上述したデータの管理処理を実行する高価なCPU等の部品が必要になる。そのため、生産コストが高くなってしまう。また、上記処理を作るためには多大な人件費が必要である。そのため、さらに生産コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、データの漏えいを防止できる安価な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、記憶媒体に係る第1の解決手段として、コンデンサと、前記コンデンサに蓄えられた電力を基にデータを記憶する揮発性メモリとを具備するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、記憶媒体に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記コンデンサの放電時間を調整する放電調整手段を具備するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、記憶媒体に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、不揮発性メモリと、切替指示に基づいてデータの記憶先を前記揮発性メモリまたは前記不揮発性メモリに切り替える切替手段とを具備するという手段を採用する。
【0009】
本発明では、記憶媒体に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記揮発性メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)であるという手段を採用する。
【0010】
本発明では、記憶媒体に係る第5の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの解決手段において、前記揮発性メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であるという手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、揮発性メモリが、コンデンサに蓄えられた電力を基にデータを記憶する。このため、本発明を紛失したとしても、コンデンサの電力がなくなると、揮発性メモリのデータが消えるので、データの漏えいを防止することができる。さらに、本発明は、コンデンサが蓄えた電力がなくなると揮発性メモリのデータが消えるという単純な仕組みであるので、複雑なデータ管理処理を実行する高価なCPU等の部品や複雑なデータ管理処理を作るための多大な人件費を必要せず、生産コストを安く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るUSBメモリA1の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るUSBメモリA2の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るUSBメモリA3の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るUSB(Universal Serial Bus)メモリAは、持ち運び可能な小型の記憶媒体であり、コンピュータ(図示略)に装着されると、コンピュータとの間でデータ及び電力を入出力する。USBメモリA1は、図1に示すように、USBコネクタ1、ダイオード2、コンデンサ3、SRAM(Static Random Access Memory)4(揮発性メモリ)及びUSBコントローラ5を備えている。
【0014】
USBコネクタ1は、USB規格に準拠したインタフェースであり、USBメモリA2がコンピュータに装着されると、USBコントローラ5の制御の下、コンピュータとの間で信号及び電力を入出力する。
ダイオード2は、コンデンサ3からUSBコントローラ5に向けて電力が流れないようにするために設けられたものである。ダイオード2は、カソード端子がコンデンサ3に接続され、アノード端子がUSBコントローラ5に接続されている。
【0015】
コンデンサ3は、ダイオード2を介してUSBコントローラ5から供給される電力を蓄えると共に蓄えた電力をSRAM4に供給するものである。コンデンサ3は、一方の端子がダイオード2のカソード端子及びSRAMに接続され、他方の端子がグランドに接続されている。
SRAM4は、電力が供給されないとデータが失われてしまう揮発性メモリであり、USBコントローラ5の制御の下、ドキュメントファイル及び画像ファイル等の各種データを記憶する。このSRAM4は、リフレッシュ操作が不要であるのでデータの保持に必要な電力は極めて小さい。
【0016】
そして、SRAM4は、USBメモリA1がコンピュータに装着されている場合には、USBコントローラ5から電力が供給され、USBメモリA1がコンピュータに装着されていない場合には、コンデンサ3から電力が供給される。そして、SRAM4は、供給された電力を基に各種データを継続して記憶する。
【0017】
USBコントローラ5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び周辺各部と信号または電力を入出力するインタフェース等から構成されており、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいてUSBメモリA1の全体動作を制御する。
【0018】
次に、上記構成のUSBメモリA1の動作ついて、説明する。
例えば、コンピュータのUSBポートにUSBメモリA1が装着されると、USBコントローラ5は、USBコネクタ1を介してコンピュータから電力を受け取り、当該電力をコンデンサ3及びSRAM4に供給する。
【0019】
そして、コンピュータのUSBポートからUSBメモリA1が取り外されると、コンデンサ3は、SRAM4への電力の供給を開始する。SRAM4は、コンデンサ3から電力が供給されている間データを継続して記憶するが、コンデンサ3の電力がなくなると電力の供給が停止するので、記憶しているデータが消える。
【0020】
以上のように、第1実施形態に係るUSBメモリA1は、コンピュータに装着されている間にコンデンサ3に電力を蓄え、コンピュータから取り外されると、コンデンサ3の電力を基にSRAM4のデータの記憶を継続する。そして、コンデンサ3の電力がなくなると、SRAM4への電力の供給が停止するので、SRAM4の記憶していたデータが消えてしまう。
【0021】
これにより、USBメモリA1を紛失したとしても、コンデンサ3の電力がなくなると、SRAM4のデータが消えるので、データの漏えいを防止することができる。さらに、USBメモリA1は、コンデンサ3が蓄えた電力がなくなるとSRAM4のデータが消えるという単純な仕組みであるので、複雑なデータ管理処理を実行する高価なCPU等の部品や複雑なデータ管理処理を作るための多大な人件費を必要せず、生産コストを安く抑えることができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記第1実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記第1実施形態では、揮発性メモリとしてSRAM4を用いたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、SRAM4の代わりに、揮発性メモリとしてDRAM(Dynamic Random Access Memory)を用いてもよい。
【0023】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係るUSBメモリA2について、図2を参照して説明する。
USBメモリA2は、2端子可変抵抗6(放電調整手段)を備えた点において上記第1実施形態のUSBメモリA1と相違する。したがって、USBメモリA2において第1実施形態のUSBメモリA1と同一の機能構成要素には、同一符号を付し、説明を省略する。
【0024】
USBメモリA2は、図2に示すように、USBコネクタ1、ダイオード2、コンデンサ3、SRAM4及びUSBコントローラ5に加えて、2端子可変抵抗6を備えている。
2端子可変抵抗6は、ボリュームの操作に基づいて抵抗が変化するものであり、その一端がコンデンサ3及びSRAM4に接続されている。そして、この2端子可変抵抗6の抵抗が大きいと、コンデンサ3の放電量が小さくなり、2端子可変抵抗6の抵抗が小さいと、コンデンサ3の放電量が大きくなる。
【0025】
次に、上記構成のUSBメモリA2の動作ついて、説明する。
例えば、コンピュータのUSBポートにUSBメモリA2が装着されると、USBコントローラ5は、USBコネクタ1を介してコンピュータから電力を受け取り、当該電力をコンデンサ3及びSRAM4に供給する。
【0026】
そして、コンピュータのUSBポートからUSBメモリA2が取り外されると、コンデンサ3は、SRAM4への電力の供給を開始する。SRAM4は、コンデンサ3から電力が供給されている間データを継続して記憶するが、コンデンサ3の電力がなくなると電力の供給が停止するので、記憶しているデータが消える。
【0027】
その際、2端子可変抵抗6の抵抗の大きさに応じてコンデンサ3の放電時間が変化する。すなわち、2端子可変抵抗6の抵抗が小さい場合には、コンデンサ3の放電量が大きいので、放電時間が短くなり、2端子可変抵抗6の抵抗が大きい場合には、コンデンサ3の放電量が小さいので、放電時間が長くなる。すなわち、2端子可変抵抗6の抵抗を小さくすることで、SRAM4の記憶時間が短くなり、2端子可変抵抗6の抵抗を大きくすることで、SRAM4の記憶時間が長くなる。
【0028】
以上のように、第2実施形態に係るUSBメモリA2は、コンピュータに装着されている間にコンデンサ3に電力を蓄え、コンピュータから取り外されると、コンデンサ3の電力を基にSRAM4のデータの記憶を継続する。そして、コンデンサ3の電力がなくなると、SRAM4への電力の供給が停止するので、SRAM4の記憶していたデータが消えてしまう。その際に、2端子可変抵抗6によりコンデンサ3の放電時間を調整する、すなわちSRAM4の記憶時間を調整することができる。
【0029】
これにより、USBメモリA2を紛失したとしても、予め調整した記憶時間を過ぎるとSRAM4のデータが消去されるので、データの漏えいを防止することができる。さらに、USBメモリA2は、コンデンサ3が蓄えた電力がなくなるとSRAM4のデータが消えるという単純な仕組みであるので、複雑なデータ管理処理を実行する高価なCPU等の部品や複雑なデータ管理処理を作るための多大な人件費を必要せず、生産コストを安く抑えることができる。
【0030】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係るUSBメモリA3について、図3を参照して説明する。
USBメモリA3は、フラッシュメモリ7を備えた点において上記第1実施形態のUSBメモリA1と相違する。したがって、USBメモリA3において第1実施形態のUSBメモリA1と同一の機能構成要素には、同一符号を付し、説明を省略する。
【0031】
USBメモリA3は、図3に示すように、USBコネクタ1、ダイオード2、コンデンサ3、SRAM4及びUSBコントローラ5に加えて、フラッシュメモリ7及び切替ボタン8を備えている。なお、USBコントローラ5及び切替ボタン8が、本実施形態における切替手段を構成する。
【0032】
フラッシュメモリ7は、電力がなくてもデータを保持することが可能な不揮発メモリであり、データの記憶及び消去を繰り返して実行することができる。このフラッシュメモリ7は、USBコントローラ5の制御の下、ドキュメントファイル及び画像ファイル等の各種データを記憶する。
切替ボタン8は、ユーザからデータの記憶先の切替指示を受け付ける操作ボタンである。USBコントローラ5は、切替ボタン8が受け付けた切替指示に基づいて、データの記憶先をSRAM4またはフラッシュメモリ7に切り替える。
【0033】
次に、上記構成のUSBメモリA3の動作ついて、説明する。
例えば、コンピュータのUSBポートにUSBメモリA3が装着されると、USBコントローラ5は、USBコネクタ1を介してコンピュータから電力を受け取る。そして、USBコントローラ5は、切替指示に基づいて、データの記憶先がSRAM3の場合には、電力をコンデンサ3及びSRAM4に供給し、データの記憶先がフラッシュメモリ7の場合には、電力をフラッシュメモリ7に供給する。
【0034】
そして、コンピュータのUSBポートからUSBメモリA1が取り外されると、データの記憶先がSRAM3の場合に、コンデンサ3は、SRAM4への電力の供給を開始する。SRAM4は、コンデンサ3から電力が供給されている間データを継続して記憶するが、コンデンサ3の電力がなくなると電力の供給が停止するので、記憶しているデータが消える。また、データの記憶先がフラッシュメモリ7の場合には、コンピュータからUSBメモリA1が取り外されても、フラッシュメモリ7がデータを継続して記憶する。
【0035】
以上のように、第3実施形態に係るUSBメモリA3は、データの記憶先がSRAM4の場合に、コンピュータに装着されている間にコンデンサ3に電力を蓄え、コンピュータから取り外されると、コンデンサ3の電力を基にSRAM4のデータの記憶を継続する。そして、コンデンサ3の電力がなくなると、SRAM4への電力の供給が停止するので、SRAM4の記憶していたデータが消えてしまう。
【0036】
これにより、USBメモリA1を紛失したとしても、コンデンサ3の電力がなくなると、SRAM4のデータが消えるので、データの漏えいを防止することができる。さらに、USBメモリA1は、コンデンサ3が蓄えた電力がなくなるとSRAM4のデータが消えるという単純な仕組みであるので、複雑なデータ管理処理を実行する高価なCPU等の部品や複雑なデータ管理処理を作るための多大な人件費を必要せず、生産コストを安く抑えることができる。
また、USBメモリA3は、データの記憶先がフラッシュメモリ7の場合に、フラッシュメモリ7でデータを継続して記憶する。これにより、ユーザは、時間が経過しても消えてほしくないデータをUSBメモリA3に継続して記憶させることができる。
【符号の説明】
【0037】
A1,A2,A3…USBメモリ、1…USBコネクタ、2…ダイオード、3…コンデンサ、4…SRAM、5…USBコントローラ、6…2端子可変抵抗、7…フラッシュメモリ、8…切替ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサと、
前記コンデンサに蓄えられた電力を基にデータを記憶する揮発性メモリと
を具備することを特徴とする記憶媒体。
【請求項2】
前記コンデンサの放電時間を調整する放電調整手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
不揮発性メモリと、
切替指示に基づいてデータの記憶先を前記揮発性メモリまたは前記不揮発性メモリに切り替える切替手段と
を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の記憶媒体。
【請求項4】
前記揮発性メモリは、SRAM(Static Random Access Memory)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記憶媒体。
【請求項5】
前記揮発性メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の記憶媒体。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−48563(P2011−48563A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195611(P2009−195611)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000232357)横河電子機器株式会社 (109)
【Fターム(参考)】