記録装置および記録方法
【課題】 縁なし記録時に記録媒体の外に付与される着色材の量を少なくすることができる記録装置および記録方法を提供すること。
【解決手段】 ホスト装置から、複数のラスターデータとして受信した画像データを受信バッファ22に格納する。その画像データを、ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、着色材付与領域に対応付けてワークバッファ23に展開する。そのワークバッファ23から画像データを読み出す際に、ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する。
【解決手段】 ホスト装置から、複数のラスターデータとして受信した画像データを受信バッファ22に格納する。その画像データを、ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、着色材付与領域に対応付けてワークバッファ23に展開する。そのワークバッファ23から画像データを読み出す際に、ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の少なくとも1つの縁に余白を形成しないように画像を記録する、いわゆる縁なし記録が可能な記録装置および記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、このような縁なし記録が可能な記録システムが急速に普及してきている。縁なし記録を実現するためには、用紙などの記録媒体の表面よりも広い記録領域に対応する画像データを生成し、その画像データに基づいて記録媒体上に画像を記録する。着色材としてのインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用いて、記録媒体にインクを付与することによって画像を記録するインクジェット記録装置の場合には、記録媒体の縁の外に付与されたインクは、プラテン上のインク吸収体に吸収される(特許文献1参照)。
【0003】
また、高速記録を行うために、記録装置に接続されるホスト装置上のプリンタドライバによって、画像データを複数のラスターデータを1つのラスターブロックにまとめて記録装置に送信するものがある(特許文献2参照)。ホスト装置は、そのラスターブロック単位の画像データに付与するコマンドを生成して、記録装置に送信する。記録装置は、ホスト装置から受信したラスターブロック単位の画像データを展開し、その画像データに基づいて画像を記録する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−127341号公報
【特許文献2】特開2000−99295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の記録システムにおいては、記録装置がホスト装置から受信した画像データに基づいて縁なし記録をする場合に、記録媒体上から外れた位置に付与するインク(着色材)量が必要以上に多く、インクを無駄に消費すると共に、そのインクミストによって記録装置内が汚染されるおそれがあった。以下、その理由を図11に基づいて説明する。
【0006】
図11中の範囲S1は、幅PW、長さPLの記録用紙(記録媒体)Pの大きさに相当し、また範囲S3は、幅DW、長さDLの画像データDの記録範囲である。画像データDは、パーソナルコンピュータ形態などのホスト装置から記録装置に対して、複数のラスターデータをまとめたラスターブロック単位で送信されて、記録装置のバッファに展開される。その画像データDの記録範囲S3は記録用紙Pの範囲S1よりも大きい。本例の場合、記録装置はインクジェット記録ヘッドを用いたシリアルスキャンタイプの記録装置であり、画像データDに基づいて記録用紙Pに縁なし記録を行う。矢印Aは記録ヘッドが移動する主走査方向であり、矢印Bは記録用紙Pが搬送される副走査方向である。シリアルスキャンタイプの記録装置は、画像データDに基づいて記録ヘッドからインクを吐出させつつ、その記録ヘッドを主走査方向に移動させる動作と、記録用紙Pを副走査方向に所定量搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、記録用紙P上に画像を記録する。記録用紙Pの範囲S1から外れた位置に吐出されたインクは、プラテン上のインク吸収体に着弾して吸収される。図11中の範囲S2は、記録用紙Pが副走査方向に対して斜めに搬送される斜行が生じた場合を考慮して定められた記録許容範囲である。この記録許容範囲S2は記録用紙Pの範囲S1よりも大きく、この記録許容範囲S2内において記録用紙Pの位置ずれが生じる可能性がある。したがって、少なくとも記録許容範囲S2にインクを吐出することによって、記録用紙Pに縁なし記録をすることができる。
【0007】
しかし従来の記録装置は、記録許容範囲S2よりも記録範囲S3が大きい画像データDをホスト装置から送信してバッファに格納し、その画像データDに基づいて縁なし記録を行っていた。そのため、記録許容範囲S2を超えた記録範囲Sにインクが吐出され、その必要以上に吐出されるインクのミストによって記録装置内が汚染されるおそれがあった。
【0008】
記録許容範囲S2から図11中の右側にはみ出る記録範囲S3の右側部分SRに関しては、その部分SRに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることが考えられる。例えば、ホスト装置から送信される画像データ(ラスターデータ)を記録装置の受信バッファに格納した後、その画像データのラスターブロックの先頭側を基準として、その画像データをワークバッファに展開するときに、そのラスターブロックの後端側に位置するデータ部分をワークバッファに展開しないようにマスクをかけることが考えられる。ラスターブロックの後端側が図11中の右側部分SRに対応するため、理論的に、右側部分SRの画像データを利用することなく、つまり、その部分SRにインクを付与することなく縁なし記録をすることが可能となる。
【0009】
しかし、記録許容範囲S2から図11中の左側にはみ出る記録範囲S3の左側部分SLに関しては、その部分SLに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることができなかった。その理由は、受信バッファに格納した画像データ(ラスターデータ)をラスターブロックの先頭側を基準としてワークバッファに展開する関係上、その先頭側の対応する左側部分SLに位置するデータ部分をワークバッファに展開しないようにマスクをかけることができないからである。
【0010】
本発明の目的は、縁なし記録時に記録媒体の外に付与される着色材の量を少なくすることができる記録装置および記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の記録装置は、画像データを記録媒体上のラスター方向に連続する複数のラスターデータとして受信し、その画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録装置において、受信した前記画像データを格納する第1バッファと、前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開する第1展開手段と、前記第1展開手段によって展開された前記画像データを格納する第2バッファと、前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する読み出し手段と、前記読み出し手段によって読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の記録方法は、画像データを記録媒体上のラスター方向に連続する複数のラスターデータとして受信し、その画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録方法において、受信した前記画像データを第1バッファに格納し、前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開して第2バッファに格納し、前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限し、前記第2バッファから読み出された前記画像データに基づいて画像を記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数のラスターデータとして受信した画像データを、そのラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、着色材付与領域に対応付けてバッファに展開してから、その画像データを読み出す際に、ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限することにより、読み出した画像データに基づく縁なし記録時に、記録媒体の外に付与される着色材の量を少なくすることができる。この結果、着色材の無駄な消費を抑えることができ、また着色材としてインクを用いる場合には、記録装置内を汚染するおそれのあるインクミストの発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用可能な記録システムの構成例の説明図である。パーソナルコンピュータ形態のホスト装置100におけるプリンタドライバによって、記録装置50での記録に必要な画像データが生成される。
【0015】
図2は、記録装置50の概略構成を説明するための斜視図である。本例の記録装置50はシリアルスキャンタイプの記録装置であり、ガイド軸51,52によって、キャリッジ53が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ53は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ53には、記録ヘッド10(図4参照)と、その記録ヘッド10にインクを供給するインクタンク54が搭載される。記録ヘッド10とインクタンク54は、インクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口55から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ56によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置50は、記録ヘッド10を主走査方向に移動させつつ、プラテン57上の用紙Pのプリント領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0016】
記録ヘッド10は、画像データに基づいて吐出口からインクを吐出するものであり、インクの吐出方式としては、電気熱変換体(ヒータ)やピエゾ素子などを利用した種々の方式を採用することができる。電気熱変換体を利用した場合には、その電気熱変換体が発生する熱によってインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、吐出口からインクを吐出させることができる。
【0017】
キャリッジ53の移動領域における図2中の左端には、キャリッジ53に搭載された記録ヘッド10の吐出口15の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)58が設けられている。回復系ユニット58には、記録ヘッド10の吐出口15のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられている。吐出口15を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、吐出口15からインクを吸引排出させて、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)をする。また、キャップ内に向かって、吐出口15から画像の寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」ともいう)をすることもできる。
【0018】
図3は、ホスト装置100のブロック構成図である。ホスト装置100は、周知のコンピュータと同様に、CPU101、RAM102、ROM103、ハードディスク記憶装置(HDD)104、表示装置106、およびキーボードやマウス等の入力装置107を備え、さらに外部記憶装置105を備える。外部記憶装置105は、例えば、装置に着脱自在の記憶メディア(例えば、DVD−ROM、CD−ROM、PD、MO、FD、JAZZ(登録商標)、JIP(登録商標)、各種磁気テープ等)に、データやプログラムを読み出し/書き込み自在に記憶するものである。RAM102は、CPU101のワークエリアやデータの一時記憶用に使用される。ホスト装置100は、このような外部記憶装置105から、ハードディスク記憶装置(HDD)104またはRAM102に、各種アプリケーションソフト108や本発明のプログラムを含むプリンタドライバ109をロードして、それらをCPU101によって実行する。これにより、プリンタドライバ109は、後述するような特徴的な処理機能を発揮する。
【0019】
プリンタドライバ109は、ハードディスク記憶装置(HDD)104やRAM102などの記憶媒体の他、読み書き自在の各種記憶媒体にロードして実行することもできる。また、プリンタドライバ109は、ROM、NVRAM等の不揮発性メモリ素子に予め記憶させてもよく、あるいは、ネットワークを介して他の装置等と通信することにより、記憶装置にロードするようにしてもよい。プリンタドライバ109により作成された画像データは、不図示の送信処理部によって、プリンタ50の受信処理部へ送信される。
【0020】
図4は記録装置50の制御系のブロック構成図である。MPU28は、本例の記録装置50の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM30は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM25は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。本例の場合、RAM25には、受信バッファ22、ワークバッファ23、およびプリントバッファ24が構成されている。インターフェース(I/F)21を通してホスト装置100から受信した画像データは、受信バッファ22に格納される。DMA29は、受信バッファ22に格納された画像データ(圧縮されたデータ)を解凍してワークバッファ23に展開し、そのワークバッファ23の画像データを記録ヘッド10のノズルに対応した順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。記録ヘッド10からのインク(着色材)の吐出は、MPU28が吐出ヒータ(電気熱変換体)などの駆動データおよび駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバ27に供給することにより行われる。MPU28は、モータドライバ26を介して、キャリッジ53を主走査方向に駆動するためのキャリッジモータ61と、記録媒体Pを副走査方向に搬送するためのP.Fモータ62を制御する。
【0021】
図5は、記録装置50におけるコマンド解析処理を説明するためのフローチャートである。このコマンド解析処理は、記録装置50がホスト装置100から記録開始ジョブを受信したときに起動されるタスクによって実行され、その記録開始ジョブは受信バッファ23に格納される。まず、ステップS1にてパラメータの初期化処理を行う。その後のステップS2において、ホスト装置100からジョブエンドコマンドまたはジョブキャンセルのメッセージを受信するか否かを判定し、それらのいずれかを受信するまでは、ステップS3のコマンド処理を行う。
【0022】
図6は、そのコマンド処理を説明するためのフローチャートである。まず、ホスト装置100から受信した受信バッファ22内の受信データを1バイト単位で解析し(ステップS11)、ステップS12〜S17のようなコマンドディスパッチ処理を行う。すなわち、受信データがジョブエンドコマンドであるときはジョブエンド処理を行い(ステップS12,S15)、それがページマージンコマンドであるときはページマージン処理を行い(ステップS13,S16)、それがマルチラスターイメージデータであるときはマルチラスターイメージデータ処理を行う(ステップS14,S17)。受信データが他のデータであると、エラー処理を含めて、そのデータの内容に応じた他の処理を実行する(ステップS18)。
【0023】
図7は、図6中のページマージン処理(ステップS16)を説明するためのフローチャートである。ページマージンコマンドには、図3のプリンタドライバ109が生成した画像データの記録領域に関する情報を含む。すなわち、図11における画像データDに関するX方向の原点位置のデータD(X0)、Y方向の原点位置のデータD(Y0)、X方向の幅データDW、およびY方向の長さデータDLと、記録用紙Pに関するX方向の幅データPWおよびY方向の長さデータPLと、を含む。図7のステップS21,S22,S23,S24,S25,S26においては、それらのデータD(X0),D(Y0),DW,DL,PW,PLを取得して、それらをグローバル変数とする。
【0024】
図8は、図6中のマルチラスターイメージデータ処理(ステップS17)を説明するためのフローチャートである。まずは、給紙実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS31)。この給紙実行フラグは、後述する図9の送信処理(ステップS44)中に給紙実行メッセージが発せされたときに”1”にセットされ、用紙が排紙されたときに”0”にリセットされる。そのフラグがセットされていればスタートページ処理(ステップS32)を実行してからステップS33に進み、それがセットされていなければスタートページ処理(ステップS32)を実行せずにステップS33に進む。
【0025】
図9は、そのスタートページ処理(ステップS32)を説明するためのフローチャートであり、まずは、図10の縁なし判定処理を行う(ステップS41)。この縁なし判定処理においては、画像データDのX方向の原点位置のデータD(X0)と、記録許容範囲S2のX方向の原点位置のデータA(X0)とを比較する。後者のデータA(X0)は、ホスト装置から取得した記録用紙Pのサイズに関するデータと、記録装置固有の記録用紙Pの斜行量と、に基づいて、記録装置において求められる。そしてデータD(X0)がデータA(X0)よりも小さいとき、つまり前者の原点位置が後者の原点位置よりも図11中の左方に位置するときに、記録用紙Pの図11中の左端に縁なし記録がされると判定して、縁なし判定フラグを”1”にセットする(ステップS51,S52)。このような図10の縁なし判定処理の後は、図9のステップS42に戻って、縁なし判定フラッグが”1”にセットされているか否かを判定する。それがセットされているときには、読み捨て範囲の算出処理(ステップS43)において、読み捨てるデータの範囲を計算してからステップS44に進む。本例においては、位置データD(X0)とデータA(X0)との間における図11中のX方向の範囲、つまり記録範囲S3の左側部分SLが読み捨て範囲として算出される。一方、縁なし判定フラグがセットされていないときには、ステップS42からステップS44に進む。ステップS44では、給紙メッセージのパケット送信処理を行う。この給紙メッセージは、最終的には記録装置50のエンジンに伝わり、記録用紙Pを給紙する際には、そのメッセージパケットのパラメータである頭だし量分だけ、記録用紙Pの先端の頭だしがなされて、その先端位置が調整されることになる。
【0026】
このような図9のスタートページ処理の後は、図8のステップ33に戻って、縁なし判定フラグがセットされているか否かを再び判定する。縁なし判定フラグがセットされていなければステップS35のイメージデータ処理に進む。このイメージデータ処理においては、受信バッファ22に格納された画像データ(ラスターデータ)を解凍してワークバッファ23に展開し、さらに、その画像データを記録ヘッド10のノズルに対応じた順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。その後は、そのプリントバッファ24に展開された画像データに基づいて記録をする。
【0027】
一方、ステップS33の判定において、縁なし判定フラグがセットされていればステップS34の読み捨て処理に進む。この読み捨て処理においては、ステップS35のイメージデータ処理と同様に、受信バッファ22に格納された画像データ(ラスターデータ)を解凍してワークバッファ23に展開した後、その画像データを記録ヘッド10のノズルに対応じた順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。ただし、ワークバッファ23の画像データをプリントバッファ24に展開する際に、記録範囲S3の左側部分SL(読み捨て範囲)の画像データに関しては、ワークバッファ23から読み出さないようにマスクをかける。つまり、ワークバッファ23に展開した画像データ(ラスターデータ)の左側部分SLをカラム単位で読み捨てて、プリントバッファ24に展開させる。その後、そのプリントバッファ24に展開された画像データに基づいて記録をすることにより、左側部分SLにインクを吐出することなく、記録用紙Pが縁なし記録されることになる。
【0028】
また、記録許容範囲S2から図11中の右側にはみ出る記録範囲S3の右側部分SRに関しては、その部分SRに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることもできる。すなわち、ホスト装置から送信される画像データ(ラスターデータ)を受信バッファ22に格納した後、その画像データのラスターブロックの先頭側を基準として、その画像データをワークバッファ23に展開するときに、そのラスターブロックの後端側に位置するデータ部分をワークバッファ23に展開しないようにマスクをかける。ラスターブロックの後端側が図11中の右側部分SRに対応するため、理論的に、右側部分SRの画像データを利用することなく、つまり、その部分SRにインクを付与することなく縁なし記録をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用可能な記録システムの構成例の説明図である。
【図2】図1における記録装置の構成例を説明するための要部の概略斜視図である。
【図3】図1におけるホスト装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】図1における記録装置の制御系のブロック構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるコマンド解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5におけるコマンド処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6におけるページマージン処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6におけるマルチラスターイメージデータ処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8におけるスタートページ処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9における縁なし判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】記録用紙と記録領域との関係を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0030】
10 記録ヘッド
21 I/F
22 受信バッファ
23 ワークバッファ
24 プリントバッファ
25 RAM
26 モータドライバ
27 記録ヘッドドライバ
28 MPU
29 DMA
30 ROM
50 記録装置
100 ホスト装置
109 プリンタドライバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の少なくとも1つの縁に余白を形成しないように画像を記録する、いわゆる縁なし記録が可能な記録装置および記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、このような縁なし記録が可能な記録システムが急速に普及してきている。縁なし記録を実現するためには、用紙などの記録媒体の表面よりも広い記録領域に対応する画像データを生成し、その画像データに基づいて記録媒体上に画像を記録する。着色材としてのインクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用いて、記録媒体にインクを付与することによって画像を記録するインクジェット記録装置の場合には、記録媒体の縁の外に付与されたインクは、プラテン上のインク吸収体に吸収される(特許文献1参照)。
【0003】
また、高速記録を行うために、記録装置に接続されるホスト装置上のプリンタドライバによって、画像データを複数のラスターデータを1つのラスターブロックにまとめて記録装置に送信するものがある(特許文献2参照)。ホスト装置は、そのラスターブロック単位の画像データに付与するコマンドを生成して、記録装置に送信する。記録装置は、ホスト装置から受信したラスターブロック単位の画像データを展開し、その画像データに基づいて画像を記録する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−127341号公報
【特許文献2】特開2000−99295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の記録システムにおいては、記録装置がホスト装置から受信した画像データに基づいて縁なし記録をする場合に、記録媒体上から外れた位置に付与するインク(着色材)量が必要以上に多く、インクを無駄に消費すると共に、そのインクミストによって記録装置内が汚染されるおそれがあった。以下、その理由を図11に基づいて説明する。
【0006】
図11中の範囲S1は、幅PW、長さPLの記録用紙(記録媒体)Pの大きさに相当し、また範囲S3は、幅DW、長さDLの画像データDの記録範囲である。画像データDは、パーソナルコンピュータ形態などのホスト装置から記録装置に対して、複数のラスターデータをまとめたラスターブロック単位で送信されて、記録装置のバッファに展開される。その画像データDの記録範囲S3は記録用紙Pの範囲S1よりも大きい。本例の場合、記録装置はインクジェット記録ヘッドを用いたシリアルスキャンタイプの記録装置であり、画像データDに基づいて記録用紙Pに縁なし記録を行う。矢印Aは記録ヘッドが移動する主走査方向であり、矢印Bは記録用紙Pが搬送される副走査方向である。シリアルスキャンタイプの記録装置は、画像データDに基づいて記録ヘッドからインクを吐出させつつ、その記録ヘッドを主走査方向に移動させる動作と、記録用紙Pを副走査方向に所定量搬送する搬送動作と、を交互に繰り返すことによって、記録用紙P上に画像を記録する。記録用紙Pの範囲S1から外れた位置に吐出されたインクは、プラテン上のインク吸収体に着弾して吸収される。図11中の範囲S2は、記録用紙Pが副走査方向に対して斜めに搬送される斜行が生じた場合を考慮して定められた記録許容範囲である。この記録許容範囲S2は記録用紙Pの範囲S1よりも大きく、この記録許容範囲S2内において記録用紙Pの位置ずれが生じる可能性がある。したがって、少なくとも記録許容範囲S2にインクを吐出することによって、記録用紙Pに縁なし記録をすることができる。
【0007】
しかし従来の記録装置は、記録許容範囲S2よりも記録範囲S3が大きい画像データDをホスト装置から送信してバッファに格納し、その画像データDに基づいて縁なし記録を行っていた。そのため、記録許容範囲S2を超えた記録範囲Sにインクが吐出され、その必要以上に吐出されるインクのミストによって記録装置内が汚染されるおそれがあった。
【0008】
記録許容範囲S2から図11中の右側にはみ出る記録範囲S3の右側部分SRに関しては、その部分SRに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることが考えられる。例えば、ホスト装置から送信される画像データ(ラスターデータ)を記録装置の受信バッファに格納した後、その画像データのラスターブロックの先頭側を基準として、その画像データをワークバッファに展開するときに、そのラスターブロックの後端側に位置するデータ部分をワークバッファに展開しないようにマスクをかけることが考えられる。ラスターブロックの後端側が図11中の右側部分SRに対応するため、理論的に、右側部分SRの画像データを利用することなく、つまり、その部分SRにインクを付与することなく縁なし記録をすることが可能となる。
【0009】
しかし、記録許容範囲S2から図11中の左側にはみ出る記録範囲S3の左側部分SLに関しては、その部分SLに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることができなかった。その理由は、受信バッファに格納した画像データ(ラスターデータ)をラスターブロックの先頭側を基準としてワークバッファに展開する関係上、その先頭側の対応する左側部分SLに位置するデータ部分をワークバッファに展開しないようにマスクをかけることができないからである。
【0010】
本発明の目的は、縁なし記録時に記録媒体の外に付与される着色材の量を少なくすることができる記録装置および記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の記録装置は、画像データを記録媒体上のラスター方向に連続する複数のラスターデータとして受信し、その画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録装置において、受信した前記画像データを格納する第1バッファと、前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開する第1展開手段と、前記第1展開手段によって展開された前記画像データを格納する第2バッファと、前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する読み出し手段と、前記読み出し手段によって読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の記録方法は、画像データを記録媒体上のラスター方向に連続する複数のラスターデータとして受信し、その画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録方法において、受信した前記画像データを第1バッファに格納し、前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開して第2バッファに格納し、前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限し、前記第2バッファから読み出された前記画像データに基づいて画像を記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数のラスターデータとして受信した画像データを、そのラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、着色材付与領域に対応付けてバッファに展開してから、その画像データを読み出す際に、ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限することにより、読み出した画像データに基づく縁なし記録時に、記録媒体の外に付与される着色材の量を少なくすることができる。この結果、着色材の無駄な消費を抑えることができ、また着色材としてインクを用いる場合には、記録装置内を汚染するおそれのあるインクミストの発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用可能な記録システムの構成例の説明図である。パーソナルコンピュータ形態のホスト装置100におけるプリンタドライバによって、記録装置50での記録に必要な画像データが生成される。
【0015】
図2は、記録装置50の概略構成を説明するための斜視図である。本例の記録装置50はシリアルスキャンタイプの記録装置であり、ガイド軸51,52によって、キャリッジ53が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ53は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。キャリッジ53には、記録ヘッド10(図4参照)と、その記録ヘッド10にインクを供給するインクタンク54が搭載される。記録ヘッド10とインクタンク54は、インクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。記録媒体としての用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口55から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ56によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置50は、記録ヘッド10を主走査方向に移動させつつ、プラテン57上の用紙Pのプリント領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
【0016】
記録ヘッド10は、画像データに基づいて吐出口からインクを吐出するものであり、インクの吐出方式としては、電気熱変換体(ヒータ)やピエゾ素子などを利用した種々の方式を採用することができる。電気熱変換体を利用した場合には、その電気熱変換体が発生する熱によってインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、吐出口からインクを吐出させることができる。
【0017】
キャリッジ53の移動領域における図2中の左端には、キャリッジ53に搭載された記録ヘッド10の吐出口15の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)58が設けられている。回復系ユニット58には、記録ヘッド10の吐出口15のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられている。吐出口15を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、吐出口15からインクを吸引排出させて、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)をする。また、キャップ内に向かって、吐出口15から画像の寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」ともいう)をすることもできる。
【0018】
図3は、ホスト装置100のブロック構成図である。ホスト装置100は、周知のコンピュータと同様に、CPU101、RAM102、ROM103、ハードディスク記憶装置(HDD)104、表示装置106、およびキーボードやマウス等の入力装置107を備え、さらに外部記憶装置105を備える。外部記憶装置105は、例えば、装置に着脱自在の記憶メディア(例えば、DVD−ROM、CD−ROM、PD、MO、FD、JAZZ(登録商標)、JIP(登録商標)、各種磁気テープ等)に、データやプログラムを読み出し/書き込み自在に記憶するものである。RAM102は、CPU101のワークエリアやデータの一時記憶用に使用される。ホスト装置100は、このような外部記憶装置105から、ハードディスク記憶装置(HDD)104またはRAM102に、各種アプリケーションソフト108や本発明のプログラムを含むプリンタドライバ109をロードして、それらをCPU101によって実行する。これにより、プリンタドライバ109は、後述するような特徴的な処理機能を発揮する。
【0019】
プリンタドライバ109は、ハードディスク記憶装置(HDD)104やRAM102などの記憶媒体の他、読み書き自在の各種記憶媒体にロードして実行することもできる。また、プリンタドライバ109は、ROM、NVRAM等の不揮発性メモリ素子に予め記憶させてもよく、あるいは、ネットワークを介して他の装置等と通信することにより、記憶装置にロードするようにしてもよい。プリンタドライバ109により作成された画像データは、不図示の送信処理部によって、プリンタ50の受信処理部へ送信される。
【0020】
図4は記録装置50の制御系のブロック構成図である。MPU28は、本例の記録装置50の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM30は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM25は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。本例の場合、RAM25には、受信バッファ22、ワークバッファ23、およびプリントバッファ24が構成されている。インターフェース(I/F)21を通してホスト装置100から受信した画像データは、受信バッファ22に格納される。DMA29は、受信バッファ22に格納された画像データ(圧縮されたデータ)を解凍してワークバッファ23に展開し、そのワークバッファ23の画像データを記録ヘッド10のノズルに対応した順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。記録ヘッド10からのインク(着色材)の吐出は、MPU28が吐出ヒータ(電気熱変換体)などの駆動データおよび駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバ27に供給することにより行われる。MPU28は、モータドライバ26を介して、キャリッジ53を主走査方向に駆動するためのキャリッジモータ61と、記録媒体Pを副走査方向に搬送するためのP.Fモータ62を制御する。
【0021】
図5は、記録装置50におけるコマンド解析処理を説明するためのフローチャートである。このコマンド解析処理は、記録装置50がホスト装置100から記録開始ジョブを受信したときに起動されるタスクによって実行され、その記録開始ジョブは受信バッファ23に格納される。まず、ステップS1にてパラメータの初期化処理を行う。その後のステップS2において、ホスト装置100からジョブエンドコマンドまたはジョブキャンセルのメッセージを受信するか否かを判定し、それらのいずれかを受信するまでは、ステップS3のコマンド処理を行う。
【0022】
図6は、そのコマンド処理を説明するためのフローチャートである。まず、ホスト装置100から受信した受信バッファ22内の受信データを1バイト単位で解析し(ステップS11)、ステップS12〜S17のようなコマンドディスパッチ処理を行う。すなわち、受信データがジョブエンドコマンドであるときはジョブエンド処理を行い(ステップS12,S15)、それがページマージンコマンドであるときはページマージン処理を行い(ステップS13,S16)、それがマルチラスターイメージデータであるときはマルチラスターイメージデータ処理を行う(ステップS14,S17)。受信データが他のデータであると、エラー処理を含めて、そのデータの内容に応じた他の処理を実行する(ステップS18)。
【0023】
図7は、図6中のページマージン処理(ステップS16)を説明するためのフローチャートである。ページマージンコマンドには、図3のプリンタドライバ109が生成した画像データの記録領域に関する情報を含む。すなわち、図11における画像データDに関するX方向の原点位置のデータD(X0)、Y方向の原点位置のデータD(Y0)、X方向の幅データDW、およびY方向の長さデータDLと、記録用紙Pに関するX方向の幅データPWおよびY方向の長さデータPLと、を含む。図7のステップS21,S22,S23,S24,S25,S26においては、それらのデータD(X0),D(Y0),DW,DL,PW,PLを取得して、それらをグローバル変数とする。
【0024】
図8は、図6中のマルチラスターイメージデータ処理(ステップS17)を説明するためのフローチャートである。まずは、給紙実行フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS31)。この給紙実行フラグは、後述する図9の送信処理(ステップS44)中に給紙実行メッセージが発せされたときに”1”にセットされ、用紙が排紙されたときに”0”にリセットされる。そのフラグがセットされていればスタートページ処理(ステップS32)を実行してからステップS33に進み、それがセットされていなければスタートページ処理(ステップS32)を実行せずにステップS33に進む。
【0025】
図9は、そのスタートページ処理(ステップS32)を説明するためのフローチャートであり、まずは、図10の縁なし判定処理を行う(ステップS41)。この縁なし判定処理においては、画像データDのX方向の原点位置のデータD(X0)と、記録許容範囲S2のX方向の原点位置のデータA(X0)とを比較する。後者のデータA(X0)は、ホスト装置から取得した記録用紙Pのサイズに関するデータと、記録装置固有の記録用紙Pの斜行量と、に基づいて、記録装置において求められる。そしてデータD(X0)がデータA(X0)よりも小さいとき、つまり前者の原点位置が後者の原点位置よりも図11中の左方に位置するときに、記録用紙Pの図11中の左端に縁なし記録がされると判定して、縁なし判定フラグを”1”にセットする(ステップS51,S52)。このような図10の縁なし判定処理の後は、図9のステップS42に戻って、縁なし判定フラッグが”1”にセットされているか否かを判定する。それがセットされているときには、読み捨て範囲の算出処理(ステップS43)において、読み捨てるデータの範囲を計算してからステップS44に進む。本例においては、位置データD(X0)とデータA(X0)との間における図11中のX方向の範囲、つまり記録範囲S3の左側部分SLが読み捨て範囲として算出される。一方、縁なし判定フラグがセットされていないときには、ステップS42からステップS44に進む。ステップS44では、給紙メッセージのパケット送信処理を行う。この給紙メッセージは、最終的には記録装置50のエンジンに伝わり、記録用紙Pを給紙する際には、そのメッセージパケットのパラメータである頭だし量分だけ、記録用紙Pの先端の頭だしがなされて、その先端位置が調整されることになる。
【0026】
このような図9のスタートページ処理の後は、図8のステップ33に戻って、縁なし判定フラグがセットされているか否かを再び判定する。縁なし判定フラグがセットされていなければステップS35のイメージデータ処理に進む。このイメージデータ処理においては、受信バッファ22に格納された画像データ(ラスターデータ)を解凍してワークバッファ23に展開し、さらに、その画像データを記録ヘッド10のノズルに対応じた順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。その後は、そのプリントバッファ24に展開された画像データに基づいて記録をする。
【0027】
一方、ステップS33の判定において、縁なし判定フラグがセットされていればステップS34の読み捨て処理に進む。この読み捨て処理においては、ステップS35のイメージデータ処理と同様に、受信バッファ22に格納された画像データ(ラスターデータ)を解凍してワークバッファ23に展開した後、その画像データを記録ヘッド10のノズルに対応じた順序に並べ替えてプリントバッファ24に展開する。ただし、ワークバッファ23の画像データをプリントバッファ24に展開する際に、記録範囲S3の左側部分SL(読み捨て範囲)の画像データに関しては、ワークバッファ23から読み出さないようにマスクをかける。つまり、ワークバッファ23に展開した画像データ(ラスターデータ)の左側部分SLをカラム単位で読み捨てて、プリントバッファ24に展開させる。その後、そのプリントバッファ24に展開された画像データに基づいて記録をすることにより、左側部分SLにインクを吐出することなく、記録用紙Pが縁なし記録されることになる。
【0028】
また、記録許容範囲S2から図11中の右側にはみ出る記録範囲S3の右側部分SRに関しては、その部分SRに対応する画像データを用いることなく縁なし記録をすることもできる。すなわち、ホスト装置から送信される画像データ(ラスターデータ)を受信バッファ22に格納した後、その画像データのラスターブロックの先頭側を基準として、その画像データをワークバッファ23に展開するときに、そのラスターブロックの後端側に位置するデータ部分をワークバッファ23に展開しないようにマスクをかける。ラスターブロックの後端側が図11中の右側部分SRに対応するため、理論的に、右側部分SRの画像データを利用することなく、つまり、その部分SRにインクを付与することなく縁なし記録をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を適用可能な記録システムの構成例の説明図である。
【図2】図1における記録装置の構成例を説明するための要部の概略斜視図である。
【図3】図1におけるホスト装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】図1における記録装置の制御系のブロック構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるコマンド解析処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5におけるコマンド処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6におけるページマージン処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6におけるマルチラスターイメージデータ処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8におけるスタートページ処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図9における縁なし判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】記録用紙と記録領域との関係を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0030】
10 記録ヘッド
21 I/F
22 受信バッファ
23 ワークバッファ
24 プリントバッファ
25 RAM
26 モータドライバ
27 記録ヘッドドライバ
28 MPU
29 DMA
30 ROM
50 記録装置
100 ホスト装置
109 プリンタドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスターデータとして受信した画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録装置において、
受信した前記画像データを格納する第1バッファと、
前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開する第1展開手段と、
前記第1展開手段によって展開された前記画像データを格納する第2バッファと、
前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する読み出し手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する制御手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記読み出し手段は、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出しをカラム単位で制限することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記読み出し手段は、前記記録媒体上の前記領域を基準として、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記読み出し手段は、前記記録媒体のサイズに応じて、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記着色材としてのインクを複数の吐出口から吐出可能な記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを主走査方向に移動させる移動手段と、
前記記録媒体を前記主走査方向と交差する副走査方向に搬送する搬送手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記画像データを前記複数の吐出口に対応付けて展開する第2展開手段と、
前記第2展開手段によって展開された前記画像データを格納する第3バッファと、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記読み出し手段は、前記搬送手段による前記記録媒体の搬送位置のずれ量に応じて、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
ラスターデータとして受信した画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録方法において、
受信した前記画像データを第1バッファに格納し、
前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開して第2バッファに格納し、
前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限し、
前記第2バッファから読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する
ことを特徴とする記録方法。
【請求項1】
ラスターデータとして受信した画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録装置において、
受信した前記画像データを格納する第1バッファと、
前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開する第1展開手段と、
前記第1展開手段によって展開された前記画像データを格納する第2バッファと、
前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限する読み出し手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する制御手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記読み出し手段は、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出しをカラム単位で制限することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記読み出し手段は、前記記録媒体上の前記領域を基準として、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記読み出し手段は、前記記録媒体のサイズに応じて、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記着色材としてのインクを複数の吐出口から吐出可能な記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを主走査方向に移動させる移動手段と、
前記記録媒体を前記主走査方向と交差する副走査方向に搬送する搬送手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記画像データを前記複数の吐出口に対応付けて展開する第2展開手段と、
前記第2展開手段によって展開された前記画像データを格納する第3バッファと、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記読み出し手段は、前記搬送手段による前記記録媒体の搬送位置のずれ量に応じて、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分の読み出し量を制限することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
ラスターデータとして受信した画像データに基づいて、前記記録媒体上の領域と前記記録媒体からはみ出た領域とを含めた着色材付与領域に着色材を付与して画像を記録する記録方法において、
受信した前記画像データを第1バッファに格納し、
前記第1バッファに格納された前記画像データを、前記ラスターデータの先頭側のデータ部分を基準として、前記着色材付与領域に対応付けて展開して第2バッファに格納し、
前記第2バッファに格納された前記画像データを読み出し、かつ前記ラスターデータの先頭側のデータ部分に関しては読み出しを制限し、
前記第2バッファから読み出された前記画像データに基づいて画像を記録する
ことを特徴とする記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−43924(P2006−43924A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224786(P2004−224786)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]