説明

記録装置及び記録方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】 データを記録する方向が夫々異なる複数の記録層を有する多層ディスクに対して、3ビームトラッキング方式を用いたトラッキング処理を適切に行う。
【解決手段】 一の方向に向かってデータを記録する第1記録層(L0)及び他の方向に向かってデータを記録する第2記録層(L1)が積層された記録媒体(100)に光ビーム(B)を照射することでデータを記録する記録手段(11)と、記録手段と記録媒体との間に配置され、且つ光ビームを回折させることでメインビーム及びサブビームを生成する回折手段(12)と、サブビームの夫々が集光する位置を、記録面におけるメインビームの進行方向を中心軸として反転させるように回折手段を制御する制御手段(42)と、メインビーム及びサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいてトラッキング処理を実行するトラッキング手段(44)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVDレコーダ等の記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DVD±R若しくはDVD±RW等のデータの書き込み可能な光ディスクの中には、記録データの記録される記録層が一層のみ形成された単層光ディスクの他に、複数の記録層を有する多層光ディスクが存在している。例えば、現在商品化されているものでは、記録層を一層だけ備えた片面一層型DVDや、片面に二層の記録層を備えた片面二層型DVDなどがある。この片面一層型DVDでは最大記録容量は約4.7GBであるのに対して、片面二層型DVDでは最大記録容量は約8.5GBとなっている。このように、記録層が増加するほど光ディスクの最大記録容量は増加する。
【0003】
一方、単層光ディスクにデータを記録する際には、光ピックアップのトラッキング処理(トラッキング制御)が行なわれる。トラッキング処理の一具体例として、非特許文献1に記載された3ビームトラッキング方式があげられる。3ビームトラッキング方式とは、半導体レーザから照射される光ビームを回折格子に入射させることで、主としてデータの記録に利用されるメインビームと主としてトラッキング処理に利用される二つのサブビームとを生成し、二つのサブビームを利用してトラッキング処理を行なう技術である。単層光ディスクの記録面上において、これらのサブビームのスポットは、メインビームのスポットと比較してトラックピッチの半分だけずらして配置されており、二つのサブビームの反射光を例えば二分割フォトディテクタ等により受光することで得られる光量(或いは、位相)の差を検出することでトラッキング処理を行っている。
【0004】
【非特許文献1】「光磁気ディスク用光学ヘッド」、電子材料、工業調査会、昭和63年7月1日発行、第二十七巻、第七号、p73−74
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の記録層を有する多層光ディスクにおいては、上述の3ビームトラッキング方式を用いたトラッキング処理を好適に実行することができないという技術的な問題点を有している。具体的には、複数の記録層を有する多層光ディスクにおいては、夫々の記録層毎にデータの記録の方向が異なる場合があるため、単一の記録層を有する単層光ディスクにおける3ビームトラッキング方式をそのまま用いることができないという技術的な問題点を有している。三つ以上のサブビームを用いる場合も同様の問題点を有している。
【0006】
また、単層光ディスクにおいても、その単層光ディスクにおけるデータの記録の態様が様々であれば、上述した技術的な問題点が好適なトラッキング処理に対して障害となる。即ち、3ビームトラッキング方式が本来意図する記録の態様以外の態様でデータが記録される単層光ディスクであれば、上述した技術的な問題点が好適なトラッキング処理に対して障害となる
本発明が解決しようとする課題は上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、データの記録の態様が異なる記録媒体に対して、複数の光ビームを用いたトラッキング処理を好適に行なうことが可能な記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の記録装置は、記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段と、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御手段と、前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング手段とを備える。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項11に記載の記録方法は、記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段とを備える記録装置における記録方法であって、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御工程と、前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング工程とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項12に記載のコンピュータプログラムは、請求項1から10のうちいずれか一項に記載の記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記制御手段及び前記トラッキング手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0010】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の記録装置及び記録方法、並びにコンピュータプログラムの実施形態について説明を進める。
【0012】
(記録装置の実施形態)
本発明の記録装置に係る実施形態は、記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段と、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御手段と、前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング手段とを備える。
【0013】
本発明の記録装置に係る実施形態によれば、記録手段の動作により、光ディスク等の記録媒体に対して光ビームが照射される。その結果、記録媒体に対してデータを記録することができる。
【0014】
本実施形態では特に、記録手段と記録媒体との間に回折手段が配置されている。記録手段から照射される光ビームは、回折手段に入射した後、記録媒体(具体的には、例えばデータの記録を望む記録層)に集光される。回折手段は、記録手段から照射される光ビームを回折することで、主としてデータの記録及び記録動作の際のトラッキング処理に用いられるメインビームと、主として記録動作の際のトラッキング処理に用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する。その結果、メインビームが記録媒体に集光されることでデータが記録される。
【0015】
他方、メインビーム及び少なくとも二つのサブビームの反射光からはトラッキング処理を制御するためのトラッキング信号が生成される。即ち、本実施形態では、メインビーム及び少なくとも二つのサブビームを記録媒体に照射することでトラッキング処理を行なっている。尚、ここでの「トラッキング信号」とは、トラッキング処理を行うために、メインビーム及び少なくとも二つのサブビームの夫々ないしは少なくとも一つの反射光から得られる信号を示す広い趣旨である。このとき、制御手段の動作により、記録媒体の種類や記録動作の対象となっている記録層の構成や状態やデータの記録の方向等のデータの記録の態様に応じて、記録媒体の記録面におけるメインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として、少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように回折手段が制御される。より具体的には、メインビームが進行している記録領域ないしは記録トラックを中心軸として少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を適宜ないしは必要に応じて反転させるように回折手段が制御される。例えば、一の記録媒体にデータを記録する際に、メインビームの進行方向に対して、一のサブビームがその右側の記録領域に、他のサブビームがその左側の記録領域に集光されているとすると、データの記録の態様が異なる他の記録媒体にデータを記録する際には、メインビームの進行方向に対して、一のサブビームがその左側の記録領域に、他のサブビームがその右側の記録領域に集光されるように回折手段が制御される。このとき、二つのサブビームの夫々が集光する位置は、全体の結果として反転していれば足り、個々のサブビームの全てが個々に反転している必要はない。その後、トラッキング手段の動作により、メインビーム及び少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号を用いてトラッキング処理が行なわれる。
【0016】
一般に、一の記録媒体にデータを記録している際のサブビームが集光される記録領域の態様ないしは状態と、他の記録媒体にデータを記録している際のサブビームが集光される記録領域の態様ないしは状態とが相異なる場合がある。これは、後述の実施例において図面を用いて詳細に説明するが、記録媒体毎に例えばデータの記録の方向が異なる(具体的には、反転している)状態が存在することに起因している。このとき、夫々の記録媒体において得られるトラッキング信号が異なる場合がある。具体的には、例えば一の記録媒体において好適なトラッキング信号が得られたとしても、他の記録媒体において好適なトラッキング信号が得られない場合がある。しかしながら、本実施形態では、例えばデータの記録の方向の反転に応じて、少なくとも二つのサブビームが集光される位置が、メインビームの進行方向に対して反転されるため、特段の不都合を生ずることなく夫々の記録媒体においてトラッキング処理を行うことが可能となる。更には、サブビームが三つ以上の場合についても同様であることは言うまでもない。
【0017】
もちろん、少なくとも二つのサブビームが集光される位置を反転しなくとも好適なトラッキング処理を行うことができる場合は、少なくとも二つのサブビームが集光される位置は必ずしも反転されない。要は、少なくとも、好適なトラッキング処理を行うことができない記録層にデータを記録している場合に、選択的に少なくとも二つのサブビームが集光される位置が反転されれば足りる。
【0018】
以上の結果、本実施形態に係る記録装置によれば、データの記録の態様が異なる記録媒体に対して、例えば複数の光ビームを用いたトラッキング処理を適切に行うことが可能となる。
【0019】
本発明の記録装置に係る実施形態の一の態様は、前記制御手段は、前記記録媒体における前記データの記録の方向に応じて、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御する。
【0020】
この態様によれば、データの記録の方向の違いを考慮して、記録媒体毎にサブビームが反転する位置を変えたり、或いは記録媒体毎にサブビームが集光する位置が反転されるか否かを決定することができる。従って、データの記録の態様(特に、データの記録の方向等)が異なる記録媒体に対して、複数の光ビームを用いたトラッキング処理を行うことができる。
【0021】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記記録媒体は、一の方向(例えば、記録媒体の内周側から外周側の方向)に向かってデータを記録する第1記録層及び前記一の方向とは異なる他の方向(例えば、記録媒体の外周側から内周側の方向)に向かって前記データを記録する第2記録層が積層されており、前記記録手段は、前記第1記録層又は前記第2記録層に集光するように光ビームを照射することで、前記記録媒体に前記データを記録する。
【0022】
この態様によれば、第1記録層及び第2記録層のうちデータの記録を望む記録層に対して光ビームが照射される。第1記録層にデータを記録する場合には、第1記録層に光ビームが集光され、第2記録層にデータを記録する場合には、第2記録層に光ビームが集光される。その結果、第1記録層及び第2記録層の夫々に対してデータを記録することができる。
【0023】
そして、この態様では特に、第1記録層及び第2記録層のいずれにデータを記録しているか或いは第1記録層及び第2記録層の夫々のデータの記録の態様(特に、データの記録の方向等)に応じて、記録層毎にサブビームが反転する位置を変えたり、或いは記録層毎にサブビームが集光する位置が反転されるか否かを決定することができる。例えば、第1記録層にデータを記録する際に、メインビームの進行方向に対して、一のサブビームがその右側の記録領域に、他のサブビームがその左側の記録領域に集光されている場合、第2記録層にデータを記録する際には、メインビームの進行方向に対して、一のサブビームがその左側の記録領域に、他のサブビームがその右側の記録領域に集光されるように回折手段が制御される。従って、データの記録の方向が異なる複数の記録層を有する多層型の記録媒体に対して、複数の光ビームを用いたトラッキング処理を適切に行うことが可能となる。
【0024】
上述の如く第1記録層及び第2記録層を備える記録媒体にデータを記録する記録装置の態様では、前記制御手段は、前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれに集光されているかに応じて、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御するように構成してもよい。
【0025】
このように構成すれば、夫々の記録層毎のデータの記録の態様の違いを考慮して、サブビームが集光する位置が反転される。従って、データの記録の方向が異なる複数の記録層の夫々において、好適にトラッキング処理を行うことが可能となる。
【0026】
上述の如く第1記録層及び第2記録層を備える記録媒体にデータを記録する記録装置の態様では、前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれに集光されているか否かを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれか一方に集光されていると判定された場合に、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御するように構成してもよい。
【0027】
このように構成すれば、所定の記録層に(即ち、第1記録層に又は第2記録層に)光ビームが集光されている場合に、該所定の記録層におけるサブビームが集光する位置を反転させることが可能となる。従って、サブビームを反転させる際に、効率的に回折手段を制御することができる。尚、この判定手段は、サブビームを反転させなければ好適なトラッキング処理を行うことができない記録層を所定の記録層と規定した上で、上述の判定動作を行うことが好ましい。更に、判定手段は、データを記録している記録媒体における、データの記録の態様がどのようなものであるかを判定するように構成してもよい。
【0028】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体(例えば、夫々の記録層)には前記データを記録するための同心円状又はスパイラル状の記録トラックが形成されており、前記制御手段は、前記少なくとも二つのサブビームのうち一のサブビームが集光されるスポット(即ち、一のサブビームが集光することで形成されるスポット)の両端部分に、前記データが記録済みの前記記録トラックが位置し、且つ前記少なくとも二つのサブビームのうち他のサブビームが集光されるスポット(即ち、他のサブビームが集光することで形成されるスポット)の両端部分に前記データが未記録の記録トラックが位置するように前記回折手段を制御する。
【0029】
この態様によれば、少なくとも二つのサブビームの夫々が形成するスポットの両端部分の記録の態様は概ね同一である。具体的には、例えば一のサブビームにおいては、メインビームの進行方向を中心とした一方の側と他方の側との夫々にデータが記録済みの記録トラックが位置し、他方、例えば他のサブビームにおいては、メインビームの進行方向を中心とした一方の側と他方の側との夫々にデータが未記録の記録トラックが位置する。言い換えれば、夫々のサブビームにおいて、その両端部分に記録の態様が異なる記録トラックは配置されない。このため、例えばメインビームの進行方向に沿って分割された二つの受光部分を有する受光素子によりサブビームの反射光が受光される場合、夫々の受光部分における反射光の光量等は概ね同一となる。従って、後述するように好適なトラッキング処理を行うことが可能となる。
【0030】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記制御手段は、前記光ビームの照射方向を回転軸とし且つ前記メインビームが集光される位置を中心点として、前記回折手段を所定角度回転させるように制御する。
【0031】
この態様によれば、比較的容易に少なくとも二つのサブビームが集光する位置を反転させることができる。
【0032】
上述の如く回折手段を回転させる記録装置の態様では、前記制御手段は、電気的作用及び磁気的作用の少なくとも一方を用いて前記回折手段を前記所定角度回転させるように構成してもよい。
【0033】
このように構成すれば、比較的容易に回折手段を回転させることが可能となる。
【0034】
上述の如く電気的作用及び磁気的作用の少なくとも一方を用いて回折手段を回転させる記録装置の態様では、弾性体と、該弾性体及び前記回折手段の夫々に接続された磁石部と、該磁石部に対して磁界を印加する電磁石とを更に備えており、前記制御手段は、前記電磁石に電流を流す又は流さないことで前記回折手段を所定角度回転させるように構成してもよい。
【0035】
このように構成すれば、比較的容易に回折手段を回転させることが可能となる。
【0036】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記回折手段は液晶素子を含んでおり、前記制御手段は、前記液晶素子への電圧印加パターンを制御する。
【0037】
この態様によれば、比較的容易に少なくとも二つのサブビームが集光する位置を反転させることができる。
【0038】
(記録方法の実施形態)
本発明の記録方法に係る実施形態は、記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段とを備える記録装置における記録方法であって、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御工程と、前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング工程とを備える。
【0039】
本発明の記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態が有する各種利益と同様の利益を享受することができる。
【0040】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明に係る記録方法の実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0041】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、上述した本発明の記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記制御手段及び前記トラッキング手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0042】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0043】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
【0045】
以上説明したように、本発明の記録装置又は方法に係る実施形態は、記録手段、回折手段、制御手段及びトラッキング手段、又は制御工程及びトラッキング工程を備える。従って、データの記録の態様が異なる光ディスクに対して、複数の光ビームを用いたトラッキング処理を適切に行うことが可能となる。
【実施例】
【0046】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0047】
(光ディスクの構成)
まず、本実施例に係る記録再生装置によって、データの記録及び記録されたデータの再生が行われる光ディスク100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。ここに、図1は、二層型の光ディスク100の概略構成を示す平面図及び断面図であり、図2は、光ディスク100の記録面における部分拡大斜視図である。
【0048】
図1(a)に示すように、光ディスク100は、直径12cm程度の円板形状であり、中心にセンターホール102が設けられている。光ディスク100の例としては、例えばDVD±RやDVD±RWやDVD−RAMやBD(Blu−ray Disc)やHD DVD(High Definition DVD)などが挙げられる。図1(b)に示すように、光ディスク100は、透明基板101a、101bとの間に、第1記録層L0と第2記録層L1が積層された構造を有している。詳しくは、第1記録層L0と第2記録層L1の間には、図示しない誘電体層や反射膜や接着層などが形成されている。また、第1記録層L0と第2記録層L1の各記録領域には、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、図示しないグルーブトラック及びランドトラック等のトラックが交互に設けられている。このグルーブトラック及びランドトラックの夫々の上に或いはいずれか一方の上には、データがECCブロックの単位で分割されて記録される。
【0049】
特に、本実施例では、光ディスク100は、オポジットトラックパス方式を採用している。即ち、第1記録層L0においては、光ディスク100の内周側から外周側に向かってデータが記録され、他方、第2記録層L1においては、第1記録層L0とは逆に、光ディスク100の外周側から内周側に向かってデータが記録される。
【0050】
光ディスク100の構成を更に詳細に説明すると、図2に示すように、光ディスク100は、ディスク状の透明基板101a上に(図2では下側に)、データの記録面を構成する加熱などによる非可逆変化記録型又は相変化記録型の第1記録膜117が積層され、更にその上に(図2では下側)に、半透過反射膜118が積層されている。更に、第1記録膜117の上に第2記録膜127が積層されている。具体的には、半透過反射膜118の上に接着層115が形成され、該接着層115の上に第2記録膜127が積層され、該第2記録膜127の上に反射膜128が積層され、最後に透明基板101bが積層されている。第1記録膜117及び第2記録膜127の表面からなるデータの記録面には、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に形成されている。尚、光ディスク100の記録時及び再生時には、例えば図2に示したように、透明基板101aを介して例えばグルーブトラックGT上に、光ビームBが照射される。例えば、記録時には、記録レーザパワーで光ビームBが照射されることで、記録すべきデータに応じて、第1記録膜117や第2記録膜127への加熱などによる非可逆変化記録又は相変化記録が実施される。他方、再生時には、記録レーザパワーよりも弱い再生レーザパワーで光ビームBが照射されることで、第1記録膜117や第2記録膜127へ記録されたデータの読出しが実施される。
【0051】
そして、グルーブトラックGTは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されている。即ち、グルーブトラックGTは、ウォブリングされており、そのウォブル119の周期は所定値に設定されている。ランドトラックLT上にはプリフォーマットアドレスを示すランドプリピットLPPと呼ばれるアドレスピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル119及びランドプリピットLPP)により記録中のディスク回転制御や記録クロックの生成、また記録アドレス等のデータ記録に必要な情報を得ることができる。尚、グルーブトラックGTのウォブル119を周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレス等のデータ記録に必要な情報を予め記録するようにしてもよい。
【0052】
(記録再生装置の構成)
次に、本発明の記録装置の実施例としての記録再生装置1の構成について、図3を用いて説明する。ここに、図3は、本実施例に係る記録再生装置1の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【0053】
図3に示すように、記録再生装置1は、光ピックアップ10と、信号処理部21と、レーザ駆動回路22と、再生部30と、3ビームトラッキングサーボ回路41と、グレーティング駆動回路42と、層識別回路43と、トラッキング駆動回路44と、フォーカスサーボ回路51と、フォーカス駆動回路52と、制御部60と、スピンドルモータ70と、を備えている。記録再生装置1は、光ディスク100に対して、光ビームBを照射することによって、データを記録すると共に、光ディスク100に記録されたデータを再生する装置である。なお、本実施例に係る記録再生装置1は、図1及び図2に示したような、第1記録層L0と第2記録層L1が形成された二層型の光ディスク100に対して処理を行う。
【0054】
光ピップアップ10は、ホログラムレーザ11と、グレーティング素子12と、集光レンズ13と、対物レンズ14と、対物レンズ14を保持するアクチュエータ部15と、を備える。
【0055】
ホログラムレーザ11は、本発明における「記録手段」の一具体例を構成しており、図示しないレーザチップや基板や受光素子やホログラム素子などを有して構成されている。レーザチップと受光素子は同一の基板上に配置されており、ホログラム素子は基板の光ビームBの出力側に対向して設けられている。レーザチップは光ビームBを放射し、受光素子は入力される光ビームBを受光する。ホログラム素子は、レーザチップから出力された光ビームBを、そのまま透過させると共に、当該光ビームBの入射面と反対の面から入射される光ビームを屈折させて、基板上の受光素子に集光させる。このように、ホログラムレーザ11は、光源及びディテクタとしての機能を有している。
【0056】
また、本実施例においては、トラッキング処理(トラッキング制御)を行なうために3ビームトラッキング方式を用いている。従って、光ビームBの反射光を受光する受光素子(より具体的には、後述のメインビーム及びサブビームの夫々に対応する複数の受光素子の夫々)は、その受光部分が例えば2分割(或いは、4分割)されている。例えば、受光素子は、光ビームBの光ディスク100上における進行方向を基準として、光ビームBの左側半分の反射光を受光する受光部D1と右側半分の反射光を受光する受光部D2とを有している。このように分割された受光部D1及びD2を有する受光素子からは、夫々の受光部分において得られる信号の和である総和信号や差である差分信号ないしはプッシュプル信号が、受光信号S31として出力される。
【0057】
グレーティング素子12は、本発明における「回折手段」の一具体例を構成しており、ホログラムレーザ11から放射される光ビームBを回折させ、主としてデータを記録し且つトラッキング処理を行なうためのメインビームと主としてトラッキング処理を行なうための二つのサブビームとを生成する。グレーティング素子12は、例えば多数のスリット(ないしは、溝)を有する透明基板を含んで構成されていてもよいし、或いは液晶素子を含む液晶スリットを含んで構成されていてもよい。
【0058】
尚、以下の説明では、光ビームBと単純に表記している場合は、ホログラムレーザ11から放射される光ビームB自体を示す他、グレーティング素子12において生成されるメインビーム及び二つのサブビームの全体を示す場合もあることを注記しておく。
【0059】
集光レンズ13には、入射した光ビームBを略平行光にして、対物レンズ14に入射させる。より具体的には、グレーティング素子12において生成されたメインビーム及び二つのサブビームの夫々を略平行光にして対物レンズ14に入射させる。
【0060】
対物レンズ14は、アクチュエータ部15に設けられている。アクチュエータ部15は、対物レンズ14の配置位置を変更するための駆動機構を有している。アクチュエータ部15は、トラッキング駆動回路44から供給されるアクチュエータ駆動信号S44に従って、対物レンズ14の位置をトラッキング方向に移動させる。このように、トラッキング処理(トラッキング制御)が行なわれる。
【0061】
また、アクチュエータ部15は、フォーカス駆動回路52から供給されるアクチュエータ駆動信号S52に従って、対物レンズ14の位置をフォーカス方向に移動させる。このようにフォーカス処理(フォーカス制御)が行なわれる。特に、第1記録層L0にデータを記録する際には、光ビームBが第1記録層L0に集光するようにフォーカス処理が行なわれ、他方、第2記録層L1にデータを記録する際には、光ビームBが第2記録層L1に集光するようにフォーカス処理が行なわれる。
【0062】
対物レンズ14には、集光レンズ13によって略平行光にされた光ビームBが入射される。対物レンズ14は、これらの光ビームBを集光して、光ディスク100に照射する。
【0063】
信号処理部21は、入力端子INを有しており、図示しない制御線を介して制御部60から供給される制御信号に基づいて、入力端子INを介して外部から入力されたデータに信号処理を施し、記録信号S21としてレーザ駆動回路22に出力する。より具体的には、信号処理部21は、外部から入力されたデータに対して、アドレスやパリティや訂正符号(ECC:Error Correction Code)やsyncフレーム(同期フレーム)を付加したり、或いはスクランブル処理を施したり、或いは8/16変調等の各種変調を行うことで、記録信号S21を生成する。
【0064】
レーザ駆動回路22は主として増幅回路により構成され、信号処理部21から入力された記録信号S21を増幅等してレーザ駆動信号S22を生成し、光ピックアップ10のホログラムレーザ11にレーザ駆動信号S22を供給する。レーザ駆動回路22における増幅率は信号処理部21により制御され、光ディスク100にデータを記録する場合には、ホログラムレーザ11から光ディスク100に相変化ないしは熱変化を生じさせることができるエネルギー量(以下、「記録パワー」という)の光ビームBが出力されるように増幅率が制御される。一方、光ディスク100に記録されているデータを再生する場合、光ディスク100において相変化ないしは熱変化が生じないエネルギー量(以下、「再生パワー」という)の光ビームBがホログラムレーザ11から出力されるように増幅率が制御される。
【0065】
再生部30は、出力端子OUTを有しており、図示しない制御線を介して制御部60から供給される制御信号に基づいて、ホログラムレーザ11から供給される受光信号S31に対応した再生データを出力端子OUTに出力する。受光信号S31は、ホログラムレーザ11が受光した光ビームBの反射光を複数の受光素子などにより受光して得られる、受光素子毎の受光光量等を示す信号である。特に、本実施例では、メインビーム及び二つのサブビームの夫々に対応した受光素子などにより、光ビームBの反射光が受光され、メインビーム及び二つのサブビームの夫々に対応した受光信号S31が得られる。
【0066】
3ビームトラッキングサーボ回路41は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいてトラッキングサーボ制御信号(トラッキングエラー信号)S41を生成する。より具体的には、メインビームのプッシュプル信号から二つのサブビームのプッシュプル信号を減算することでトラッキングサーボ制御信号S41を生成する。その後、3ビームトラッキングサーボ回路41は、トラッキングサーボ制御信号S41をトラッキング駆動回路44に供給する。尚、3ビームトラッキング方式については、本発明の特徴部分を除いては、上述した先行技術或いはその他の従来技術と同様であるため、その基本的な説明については省略する。
【0067】
グレーティング駆動回路42は、制御部60と共に本発明の「制御手段」の一具体例を構成しており、層識別回路43から供給される識別信号S43に基づいて、制御部60の制御の下に、グレーティング素子12を所定角度回転させる。このグレーティング素子12の回転については後に詳述する(図8等参照)。
【0068】
層識別回路43は、制御部60と共に本発明の「判定手段」の一具体例を構成しており、現在光ビームBが集光されている記録層を識別する識別信号S43を、グレーティング駆動回路42に供給する。即ち、現在光ビームBが集光されている記録層が第1記録層L0であるか又は第2記録層L1であるかを示す識別信号S43を、グレーティング駆動回路42に供給する。層識別回路43は、制御部60の制御の下に、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいて識別信号S43を生成するように構成されてもよい。例えば、対物レンズ14を連続的にフォーカス方向に移動させることで受光信号S31として得られるS字フォーカス信号に基づいて、識別信号S43を生成するように構成されてもよい。或いは、第1記録層L0及び第2記録層L1の夫々にないしはいずれか一方に記録されているレイヤーフラグを再生することで得られる受光信号S31に基づいて、識別信号S43を生成するように構成されてもよい。
【0069】
トラッキング駆動回路44は、制御部60と共に本発明の「トラッキング手段」の一具体例を構成しており、3ビームトラッキングサーボ回路41から供給されるトラッキングサーボ制御信号S41に基づいて、アクチュエータ駆動信号S44を生成し、アクチュエータ部15を駆動させる。即ち、トラッキング駆動回路44は、アクチュエータ駆動信号S44を供給することによってアクチュエータ部15を制御し、対物レンズ14の光ディスク100の径方向(即ち、トラッキング方向)における位置を調整する。
【0070】
フォーカスサーボ回路51は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいてフォーカスサーボ制御信号(フォーカスエラー信号)S51を生成する。その後、フォーカスサーボ回路51は、生成したフォーカスサーボ制御信号S51をフォーカス駆動回路52に供給する。
【0071】
フォーカス駆動回路52は、フォーカスサーボ回路51から供給されるフォーカスサーボ制御信号S51に基づいて、アクチュエータ駆動信号S52を生成し、アクチュエータ部15を駆動させる。即ち、フォーカス駆動回路52は、アクチュエータ駆動信号S52を供給することによってアクチュエータ部15を制御し、対物レンズ14の光ディスク100に対する距離(即ち、フォーカス方向における位置)を調整する。
【0072】
制御部60は、主としてCPU(Central Processing Unit)により構成され、図示しない制御線を介して上述の各種構成要素に制御信号を出力することで、記録再生装置1全体を制御する。
【0073】
スピンドルモータ70は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31より生成されるスピンドルサーボ制御信号に基づいて、所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
【0074】
(記録再生装置の動作原理)
続いて、図4を参照して、本実施例に係る記録再生装置1の動作原理(特に、記録動作)について説明する。ここに、図4は、本実施例に係る記録再生装置1の記録動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【0075】
図4に示すように、ホログラムレーザ11から光ディスク100の第1記録層L0又は第2記録層L1へ光ビームBが集光されることで、データが記録される(ステップS101)。具体的には、第1記録層L0に光ビームBが集光されれば、第1記録層L0にデータが記録され、第2記録層L1に光ビームBが集光されれば、第2記録層L1にデータが記録される。特に、光ディスク100はオポジットトラックパス方式であるため、初めに、第1記録層L0の内周側から外周側に向かってデータが記録され、その後、第2記録層L1の外周側から内周側に向かってデータが記録される。
【0076】
その一方、データの記録と並行して、制御部60の制御の下に、現在データを記録している、即ちデータを記録中の記録層が第2記録層L1であるか否かが判定される(ステップS111)。
【0077】
この判定の結果、現在データを記録している記録層が第2記録層L1であると判定された場合(ステップS111:Yes)、層識別回路43が、現在データを記録している記録層が第2記録層L1であることを示す識別信号S43をグレーティング駆動回路42へ供給する。その後、グレーティング駆動回路42は、現在データを記録している記録層が第2記録層L1であることを示す識別信号S43の供給をトリガとして、グレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS112)。
【0078】
他方、現在データを記録している記録層が第2記録層L1でない(即ち、第1記録層L0である)と判定された場合(ステップS111:No)、層識別回路43が、現在データを記録している記録層が第1記録層L0であることを示す識別信号S43をグレーティング駆動回路42へ供給する。この場合、グレーティング駆動回路42は、グレーティング素子12を回転させない。
【0079】
続いて、光ビームBの反射光がホログラムレーザ11の受光素子において受光されることで生成される受光信号S31に基づいて、3ビームトラッキングサーボ回路41の動作により、トラッキングサーボ制御信号S41が生成されている(ステップS113)。その後、生成されたトラッキングサーボ制御信号S41に基づいてトラッキング処理が行なわれる(ステップS114)。
【0080】
その後、制御部60の制御の下に、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS121)。この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合(ステップS121:Yes)、そのまま記録動作を終了し、適宜光ディスク100にファイナライズ処理を施したり、或いは記録再生装置1から光ディスク100をイジェクトしてもよい。他方、記録動作を終了しないと判定された場合(ステップS121:No)、再びステップS101ないしはステップS111からステップS114の動作を繰り返す。
【0081】
このように、本実施例では、第2記録層L1にデータを記録する場合に、選択的にグレーティング素子12を所定角度回転させている。この理由について、図5から図7を参照して説明する。ここに、図5は、第1記録層L0上における光ビームBの集光の態様を概念的に示す平面図であり、図6は、第2記録層L1上における光ビームBの集光の態様を概念的に示す平面図であり、図7は、比較例に係る記録再生装置(グレーティング素子12を所定角度回転させない記録再生装置)において、第2記録層L1上における光ビームBの集光の態様を概念的に示す平面図である。尚、図5から図7では、光ビームB(即ち、メインビーム及び二つのサブビーム)が記録層上で形成するスポットを図示しているが、図5から図7におけるスポットの径等はあくまでも例示であり、実際のスポットの大きさを忠実に示しているものではない。
【0082】
図5に示すように、第1記録層L0に光ビームBが集光されている場合(即ち、第1記録層L0にデータが記録されている場合)、メインビームは、現在データを記録しているグルーブトラックGT上にスポットを形成する。また、メインビームが形成するスポットとトラックピッチTpの半分の距離だけずれた位置に(具体的には、データを記録中のグルーブトラックGTに隣接する二つのランドトラックLT上に)、二つのサブビームがスポットを形成している。データは第1記録層L0の内周側から外周側に向かって記録されるため、ここでは、図5中メインビームが形成するスポットの右上に(即ち、外周側に)スポットを形成するサブビームを先行ビームと称し、図5中メインビームが形成するスポットの左下に(即ち、内周側に)スポットを形成するサブビームを後行ビームと称する。また、図5においては、既にデータが記録された記録部分を網掛け模様にて示している。即ち、先行ビームが形成するスポットの両端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータは記録されていない。他方、後行ビームが形成するスポットの両端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータが記録されている。
【0083】
このとき、メインビームが形成するスポットの中心がグルーブトラックGTの略中心からずれていない場合(即ち、図5中実線のスポットで示すようにトラッキングズレが発生していない場合)には、先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの中心は、ランドトラックLTの略中心に形成される。このため、2分割された受光部D1及びD2の夫々において受光される先行ビームの反射光の光量等は略同一であり、また2分割された受光部D1及びD2の夫々において受光される後行ビームの反射光の光量等は略同一である。即ち、先行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相等しく、後行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相等しい。
【0084】
他方、メインビームが形成するスポットの中心がグルーブトラックGTの略中心から例えば右側にずれた場合(即ち、図5中鎖線のスポットで示すようにトラッキングズレが発生している場合)には、先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの中心は、ランドトラックLTの略中心から右側にずれた位置に形成される。このため、2分割された受光部D1及びD2の夫々において受光される先行ビームの反射光の光量等は相異なり、また2分割された受光部D1及びD2の夫々において受光される後行ビームの反射光の光量等は相異なる。即ち、先行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相異なり、後行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相異なる。係る光量等の相違を反映して生成されるトラッキングサーボ制御信号S41に基づいて、これらが相等しくなるようなトラッキング処理が行なわれる。
【0085】
一方、図6に示すように、第2記録層L1に光ビームBが集光されている場合(即ち、第2記録層L1にデータが記録されている場合)も同様に、メインビーム及びサブビームの夫々は、スポットを形成する。このとき、グレーティング素子12は、グレーティング駆動回路42の制御を受けて所定角度回転している。具体的には、メインビームの進行方向を中心軸として(より具体的には、メインビームによりデータが記録されているグルーブトラックGTを中心軸として)、夫々のサブビームが形成するスポットの位置が反転する程度にグレーティング素子12が回転される。より好ましくは、メインビームの進行方向を対称軸として、夫々のサブビームが形成するスポットの位置が、夫々対称な位置に反転する程度にグレーティング素子12が回転される。そして、第2記録層L1においては、データは外周側から内周側に向かって記録されるため、ここでは、図6中メインビームのスポットの右下に(即ち、外周側に)スポットを形成するサブビームを後行ビームと称し、図6中メインビームのスポットの左上に(即ち、内周側に)スポットを形成するサブビームを先行ビームと称する。このように、グレーティング素子12の回転によって、第1記録層L0にデータを記録している場合と比較して、先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの位置が反転する。このため、第2記録層L1にデータを記録している場合も、第1記録層L0にデータを記録している場合と同様に、先行ビームが形成するスポットの両端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータは記録されていない。他方、後行ビームが形成するスポットの両端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータが記録されている。このため、上述したように好適にトラッキング処理が行なわれる。
【0086】
ここで、グレーティング素子12を回転させない(即ち、第1記録層L0にデータを記録する場合と第2記録層L1にデータを記録する場合とで、先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの位置を反転させない)比較例に係る記録再生装置について説明する。第1記録層L0にデータを記録している場合は、先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの夫々の位置は、本実施例に係る記録再生装置1が第1記録層L0にデータを記録している場合(即ち、図5の場合)と同様である。従って、本実施例に係る記録再生装置1と同様に好適にトラッキング処理が行なわれる。
【0087】
一方、第2記録層L1にデータを記録している場合には先行ビーム及び後行ビームの夫々が形成するスポットの位置は、本実施例に係る記録再生装置1が第1記録層L0にデータを記録している場合(即ち、図5の場合)と同様である。即ち、図7に示すように、メインビームが形成するスポットの右上に(即ち、外周側に)スポットを形成するサブビームが後行ビームとなり、メインビームが形成するスポットの左下に(即ち、内周側に)スポットを形成するサブビームが先行ビームとなる。この場合、先行ビームが形成するスポットの右端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータが記録されており、先行ビームが形成するスポットの左端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータが記録されていない。また、後行ビームが形成するスポットの右端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータが記録されており、後行ビームが形成するスポットの左端部分に位置するグルーブトラックGTにはデータは記録されていない。
【0088】
このため、メインビームが形成するスポットの中心がグルーブトラックGTの略中心からずれていない場合(即ち、図7中実線のスポットで示すようにトラッキングズレが発生していない場合)であっても、先行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相異なり、後行ビームが形成するスポットの右側部分及び左側部分の夫々の反射光の光量等は相異なる。これは、データが未記録なグルーブトラックGT(或いは、ランドトラックLT)とデータが記録済みのグルーブトラックGT(或いは、ランドトラックLT)とでは、光ビームBの反射率が異なることに起因している。このため、比較例に係る記録再生装置では、トラッキングズレが発生していない場合であっても、あたかもトラッキングズレが発生しているように認識され得る。その結果、誤ったトラッキングサーボ制御信号に基づいた誤ったトラッキング処理が行なわれ得るという不都合が生ずる。
【0089】
しかるに、本実施例に係る記録再生装置1は、このような誤ったトラッキング処理が行なわれるのを防止するべく、第2記録層L1にデータを記録する場合には、上述したようにグレーティング素子12を回転させることで、先行ビーム及び後行ビームの夫々のスポットの位置を反転させている。これにより、第1記録層L0とデータを記録する方向が異なる第2記録層L1にデータを記録する場合であっても、好適なトラッキング処理を行なうことが可能となる。
【0090】
以上説明したように、本実施例に係る記録再生装置1によれば、データの記録の方向が異なる複数の記録層を有する多層ディスクに対して、3ビームトラッキング方式を用いたトラッキング処理を適切に行うことが可能となる。
【0091】
ここで、図8を参照して、グレーティング素子12を回転させる具体的構成について説明する。ここに、図8は、グレーティング素子12を回転させる具体的構成を概念的に示す平面図である。
【0092】
図8(a)に示すように、グレーティング駆動回路42は、電流を流すことで磁界を発生させる電磁石421と、グレーティング素子12に固定された磁石422と、磁石422及びピックアップ10本体に固定された例えばバネやゴムやその他弾力を有する部材を含む弾性体423とを備えている。
【0093】
電磁石421には、層識別回路43から識別信号S43が供給されており、該識別信号S43に従って、電磁石421のコイルに供給される電流のオン・オフが制御される。電流がオンになった場合、電磁石421には磁界が発生する。他方、電流がオフになった場合、電磁石421には磁界は発生しない。従って、第1記録層L0にデータを記録している場合には、電流をオフにすることで、図8(a)に示すようにグレーティング素子12は回転することなく(即ち、初期状態にあり)、メインビーム及びサブビームの夫々は、図5に示すようなスポットを記録面上に形成する。他方、第2記録層L1にデータを記録している場合には、電流をオンにすることで電磁石421に磁界を発生させ、磁石422との間に引力を作用させる。その結果、図8(b)に示すように、電磁石421と磁石422とが接合し、グレーティング素子12が所定角度回転し、メインビーム及びサブビームの夫々は、図6に示すようなスポットを記録面上に形成する。第2記録層L1にデータを記録した後、再度第1記録層L0にデータを記録する場合には、コイルに供給される電流をオフにすることで、弾性体423の弾力によって、電磁石421と磁石422とが離れ、図8(a)の状態に戻る。このように、電磁石等を用いることで、比較的容易にグレーティング素子12を所定角度回転させることができる。
【0094】
尚、コイルに供給される電流のオン・オフに代えて、コイルに供給される電流の向きを変化させることで、磁石422との間に引力ないしは斥力を作用させるように構成してもよい。
【0095】
尚、メインビーム及びサブビームの夫々のスポットの位置を反転させることができれば、即ち、グレーティング素子12のスリットの角度を変化させることができれば、グレーティング素子12を必ずしも回転させる構成でなくともよい。例えばグレーティング素子12を上下対称に或いは左右対称に反転させるように構成してもよいし、或いはグレーティング素子12を所定距離だけ移動させるように構成してもよい。
【0096】
或いは、図8に示すように物理的にスリットの角度を変化させることに代えて、図9に示すように、液晶素子を含むグレーティング素子12(以下、適宜“液晶グレーティング素子12a)と称する)を用いて、電気的にスリットの角度(ないしは、スリットの配置等)を変化させるように構成してもよい。ここに、図9は、液晶素子を含むグレーティング素子の構成を概念的に示す平面図である。
【0097】
図9(a)に示すように、複数の第1電極121と、該第1電極121とは異なる方向に沿って形成される複数の第2電極122とを備える液晶グレーティング素子12aを用いてもよい。第1記録層L0にデータを記録する場合には、第1電極121を用いて液晶素子に電圧を印加することで、第1電極121のパターンに従ってスリットが形成される。また、第2記録層L1にデータを記録する場合には、第2電極122を用いて液晶素子に電圧を印加することで、第2電極122のパターンに従ってスリットが形成される。即ち、液晶素子に電圧を印加する際に用いる電極を変えれば(即ち、液晶素子駆動用の電流を供給する電極を変えれば)、比較的容易に、液晶グレーティング素子12aのスリットの角度を変化させることができる。
【0098】
このような液晶グレーティング素子12aは、図9(b)に示すように、第1電極121と、絶縁層123と、第2電極122と、液晶素子124と、他端電極125とがこの順に積層される。第1電極121及び第2電極122の夫々は、図9(a)に示したようにパターン化されており、また第1電極121と第2電極122との間には絶縁層123が形成されているため、第1電極121及び第2電極122の夫々が干渉ないしは短絡することもない。従って、本実施例に係る記録再生装置1に用いられる液晶グレーティング素子12aを、比較的容易に実現することができる。或いは、二つの液晶グレーティング素子が積層された液晶グレーティング素子を、本実施例に係る記録再生装置1に用いられる液晶グレーティング素子12aとして用いてもよい。
【0099】
続いて、図10を参照しながら、本実施例に係る記録再生装置1の変形動作例について説明する。ここに、図10は、本実施例に係る記録再生装置1の変形動作例の流れを概念的に示すフローチャートである。尚、上述した実施例における説明と共通の構成ないしは動作については、図10においても同一の参照符号ないしはステップ番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0100】
図10に示すように、変形動作例においては、データを記録する前に、予め記録動作の対象となる記録層を判別している。即ち、データを記録する前に、記録動作の対象となる記録層が第2記録層であるか(或いは、第1記録層であるか)が判定される(ステップS111)。
【0101】
この判定の結果、記録動作の対象となる記録層が第1記録層であれば(ステップS111:No)、フォーカスをON(即ち、フォーカスサーボをクローズ)にし(ステップS201)、トラッキングをON(即ち、トラッキングサーボをクローズ)にし(ステップS202)、トラッキングサーボ制御信号を生成(具体的には、各記録層において、最適なトラッキング処理が可能になる角度に3ビームトラッキング調整用のグレーティング素子12を回転駆動した後に)する(ステップS112)。その後、第1記録層L0へのデータの記録が行なわれる(ステップS101)。
【0102】
他方、記録動作の対象となる記録層が第2記録層であれば(ステップS111:Yes)、フォーカスをON(即ち、フォーカスサーボをクローズ)にし(ステップS201)、トラッキングをON(即ち、トラッキングサーボをクローズ)にし(ステップS202)、グレーティング素子12を所定角度回転させた後(ステップS112)、トラッキングサーボ制御信号を生成する(ステップS112)。その後、第2記録層L1へのデータの記録が行なわれる。
【0103】
このようにデータを記録する前に記録層を判別するように構成しても、上述した各種利益を好適に享受することができる。
【0104】
なお、本発明は、二層型の光ディスク100への適用に限定はされず、三層以上の多層型の光ディスク用に対しても適用することができる。即ち、内周側から外周側に向かってデータが記録される複数の記録層と、外周側から内周側に向かってデータが記録される複数の記録層とを備える多層型の光ディスクに対しても適用することができる。
【0105】
更には、単層型の光ディスクについても、夫々の光ディスクにおいて内周側から外周側に向かってデータが記録されるか又は外周側から内周側に向かってデータが記録されるか等に基づき、上述した動作を行うことができる。その結果、データの記録の態様が異なる光ディスクに対して、例えば3ビームトラッキング方式を用いたトラッキング処理を適切に行うことが可能となる。
【0106】
尚、上述の実施例では、第2記録層L1にデータを記録する場合にグレーティング素子12を所定角度回転させる態様を例示した。しかしながら、必要に応じて、第2記録層L1にデータを記録する場合にグレーティング素子12を所定角度回転させず且つ第1記録層L0にデータを記録する場合にグレーティング素子12を所定角度回転させてもよいことは言うまでもない。要は、上述したように好適なトラッキング処理を行なうことができれば、グレーティング素子12を回転させる場合のデータが記録中の記録層はいずれであってもよい。
【0107】
更に、上記の実施例は、光源及び受光部(ディテクタ)としての機能を有するホログラムレーザを用いて光ピックアップを構成するものを示したが、本発明の適用はこれに限定はされない。即ち、光源と受光部とが別々に設けられた光ピックアップを用いてもよい。
【0108】
また、本発明の適用は、第1記録層L0及び第2記録層L1の両方にグルーブトラック及びランドトラックを設けた構成の光ディスクの記録再生装置には限定されない。即ち、第1記録層L0のみにグルーブトラック及びランドトラックを設け、第2記録層L1にはグルーブトラック及びランドトラックを設けていない光ディスクの記録再生装置に本発明を適用することも可能である。この場合は、例えば第1記録層L0に設けられたグルーブトラック及びランドトラックを用いて、第2記録層L1への情報の記録及び第2記録層L1に記録された情報の再生が実行される。
【0109】
また、上述の実施例では、記録媒体の一例として光ディスク100及び記録再生装置の一例として光ディスク100に係るレコーダ或いはプレーヤについて説明したが、本発明は、光ディスク及びそのレコーダに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種記録媒体並びにそのレコーダ或いはプレーヤにも適用可能である。
【0110】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施例において用いられる光ディスクの概略構成を示す平面図及び断面図である。
【図2】本実施例において用いられる光ディスクの記録面における部分拡大斜視図である。
【図3】本実施例に係る記録再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】本実施例に係る記録再生装置の記録動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【図5】第1記録層上における光ビームの集光の態様を概念的に示す平面図である。
【図6】第2記録層上における光ビームの集光の態様を概念的に示す平面図である。
【図7】比較例に係る記録再生装置において、第2記録層上における光ビームの集光の態様を概念的に示す平面図である。
【図8】グレーティング素子を回転させる具体的構成を概念的に示す平面図である。
【図9】液晶素子を含むグレーティング素子の構成を概念的に示す平面図である。
【図10】変形動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
1 記録再生装置
11 ホログラムレーザ
12 グレーティング素子
14 対物レンズ
15 アクチュエータ部
41 3ビームトラッキングサーボ回路
42 グレーティング駆動回路
43 層識別回路
44 トラッキング駆動回路
60 制御部
100 光ディスク
L0 第1記録層
L1 第2記録層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、
前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段と、
前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御手段と、
前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記記録媒体における前記データの記録の方向に応じて、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、一の方向に向かってデータを記録する第1記録層及び前記一の方向とは異なる他の方向に向かって前記データを記録する第2記録層が積層されており、
前記記録手段は、前記第1記録層又は前記第2記録層に集光するように光ビームを照射することで、前記記録媒体に前記データを記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれに集光されているかに応じて、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれに集光されているか否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記光ビームが前記第1記録層及び前記第2記録層のいずれか一方に集光されていると判定された場合に、前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を反転させるように前記回折手段を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録媒体には、前記データを記録するための同心円状又はスパイラル状の記録トラックが形成されており、
前記制御手段は、前記少なくとも二つのサブビームのうち一のサブビームが集光されるスポットの両端部分に、前記データが記録済みの前記記録トラックが配置され、且つ前記少なくとも二つのサブビームのうち他のサブビームが集光されるスポットの両端部分に前記データが未記録の記録トラックが配置されるように前記回折手段を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記光ビームの照射方向を回転軸とし且つ前記メインビームが集光される位置を中心点として、前記回折手段を所定角度回転させるように制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は、電気的作用及び磁気的作用の少なくとも一方を用いて前記回折手段を前記所定角度回転させることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
弾性体と、
該弾性体及び前記回折手段の夫々に接続された磁石部と、
該磁石部に対して磁界を印加する電磁石と
を更に備えており、
前記制御手段は、前記電磁石に電流を流す又は流さないことで前記回折手段を所定角度回転させることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記回折手段は液晶素子を含んでおり、
前記制御手段は、前記液晶素子への電圧印加パターンを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
記録媒体に対して光ビームを照射することでデータを記録する記録手段と、前記記録手段と前記記録媒体との間に配置され、且つ前記光ビームを回折させることで前記データの記録のために及びトラッキング処理を行うために用いられるメインビーム並びに前記トラッキング処理を行うために用いられる少なくとも二つのサブビームを生成する回折手段とを備える記録装置における記録方法であって、
前記少なくとも二つのサブビームの夫々が集光する位置を、前記記録媒体の記録面における前記メインビームの進行方向又は該進行方向に直交する方向を中心軸として反転させるように前記回折手段を制御する制御工程と、
前記メインビーム及び前記少なくとも二つのサブビームの反射光より生成されるトラッキング信号に基づいて前記トラッキング処理を実行するトラッキング工程と
を備えることを特徴とする記録方法。
【請求項12】
請求項1から10のうちいずれか一項に記載の記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記制御手段及び前記トラッキング手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−216206(P2006−216206A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30937(P2005−30937)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】