診断支援システム、診断支援プログラムおよび診断支援方法
【課題】シリーズ画像の比較読影で、画像方向が異なるシリーズが指定されたときに、最善の画質の診断画像を提供する。
【解決手段】被検体の解剖学的特徴を表す点で、画像方向が異なるボリュームデータV1orgとV2orgに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、ランドマークL1,L2として設定する。設定されたランドマークに基づいて、ボリュームデータ間で統一された座標系9を設定する。ボリュームデータ間で、画像方向の情報を対比し、画像方向の不一致が検出されたら、スライス間隔が最大のボリュームデータ(V2org)の画像方向(サジタル)を、再構成画像の画像方向に決定する。他のボリュームデータ(V1org)から、画像方向が同じ且つ同じ断面の再構成画像のシリーズRSI1〜RSINを生成し、スライス間隔最大のボリュームデータ(V2org)を構成するスライス画像SI1〜SINとともに表示画面に出力する。
【解決手段】被検体の解剖学的特徴を表す点で、画像方向が異なるボリュームデータV1orgとV2orgに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、ランドマークL1,L2として設定する。設定されたランドマークに基づいて、ボリュームデータ間で統一された座標系9を設定する。ボリュームデータ間で、画像方向の情報を対比し、画像方向の不一致が検出されたら、スライス間隔が最大のボリュームデータ(V2org)の画像方向(サジタル)を、再構成画像の画像方向に決定する。他のボリュームデータ(V1org)から、画像方向が同じ且つ同じ断面の再構成画像のシリーズRSI1〜RSINを生成し、スライス間隔最大のボリュームデータ(V2org)を構成するスライス画像SI1〜SINとともに表示画面に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層撮影装置により取得されたデータを利用した画像診断を支援するシステム、コンピュータプログラムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院等で使用される断層撮影装置としては、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴撮像)装置、超音波(US:Ultrasonic)診断装置、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影)装置等が、知られている。いずれの装置も、近年の改良により空間分解能が向上し、病変部位の発見や評価に大きな成果を上げている。特にCT装置やMRI装置は、検出器の多列化や高速撮影法の導入により、撮影時間が大幅に短縮され、利用の機会が増えている。
【0003】
また、近年、DICOM規格に準拠した撮影装置が増え、取得されたデータの保存や、保存されたデータを活用するための情報処理システムの構築が進んでいる。保存データを利用した診断支援機能は数多く提案されているが、なかでも、直近の検査で取得された画像(以下、現在画像)と過去の検査で取得された同じ部位の画像(以下、過去画像)とを並べて表示する比較読影機能は、経過観察のために、広く利用されている。また、最近は、診断精度を高めるために複数種類の撮影装置による撮影を行うケースも増えたため、異なる装置により取得された同じ部位の画像を並べて表示する比較読影機能も提供されている。
【0004】
ここで、断層撮影装置により取得されるデータは、複数の断面をそれぞれ表すスライス画像のシリーズにより構成されるため、2つのシリーズを比較するときには、同じ断面を表すスライス画像同士を対応づける必要がある。これに対し、特許文献1や2は、体軸方向の位置座標に基づき、同じ位置の断面を表すスライス画像同士を自動的に対応づける方法等を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3639030号公報
【特許文献2】特開2008−43524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理システムの構築により病院内でのデータ共有が進むと、ある診療科の医師が、他の診療科で過去に行われた検査の結果を利用することが可能になる。これにより、比較されることを前提とせずに取得された2つのデータが、比較に利用される機会が増えることが予想される。例えば、整形外科の検査で取得された腰部CTデータと、内科の検査で取得された腹部CTデータとが、比較読影に利用されるようになる可能性がある。
【0007】
しかし、撮影部位が同じでも、検査目的が異なれば、撮影条件は異なるのが普通である。特に、MRIではスライス画像の画像方向(Image Orientation)を任意に設定できるので、同じ受診者の同じ部位のMRIデータがあっても、画像方向が同じとは限らない。画像方向が異なるデータ同士でも、一方のデータを再構成することにより他方のデータの画像方向と同じ画像方向の断層像を生成すれば、比較読影を行うことは可能である。しかし、再構成画像では、診断に適した画質が得られるとは限らないため、画質を確保するために何らかの工夫が必要になる。
【0008】
ところが、従来の病院では、画像方向が異なるデータが、比較読影の対象となることは稀であった。診療科間のデータ共有がなされていなければ、医師は自ら収集したデータを使って診断を行うしかなく、その場合、比較を目的とする検査で敢えて異なる画像方向を指定することは無いからである。このような実情から、特許文献1や2は、画像方向が同じ場合の対応づけ方法しか提案していない。また、これまで、比較読影のために生成される再構成画像の画質に関する考察は、特になされていなかった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、比較の対象として画像方向が異なるデータが選択された場合に、供給されたデータを使って実現できる範囲で最善の画質の比較読影用画像を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0010】
本発明の診断支援システムは、上記目的を達成するための手段として、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段を備える。また、本発明の診断支援プログラムは、一台または複数台のコンピュータを、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段として機能させるためのプログラムである。診断支援プログラムは、通常、複数のプログラムモジュールからなり、上記各手段の機能は、それぞれ、一または複数のプログラムモジュールにより実現される。これらのプログラムモジュール群は、CD−ROM,DVDなどの記録メディアに記録され、またはサーバコンピュータに付属するストレージやネットワークストレージにダウンロード可能な状態で記録されて、ユーザに提供される。また、本発明の診断支援方法は、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段の処理を実行することにより診断を支援する方法である。
【0011】
ボリュームデータ記憶手段は、被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、ボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめる。この際、ボリュームデータには、シリーズを構成するスライス画像の画像方向、スライス間隔および被検体の情報が関連づけられる。
【0012】
ボリュームデータ選出手段は、上記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、各ボリュームデータに関連づけられた被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出する。例えば、複数のボリュームデータとして、異なる撮影日に同じモダリティを使って取得されたデータを選出する。あるいは、複数のボリュームデータとして、同じ撮影日に異なるモダリティを使って取得されたデータを選出する。もしくは、撮影日やモダリティによらず同じ被検体を表す全てのボリュームデータを選出してもよい。選出の基準は、ユーザの指示に基づいて切り替えられるようにすることが好ましい。
【0013】
ランドマーク設定手段は、被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、その点を解剖学的標認点、すなわちランドマークとして設定する。解剖学的特徴を表す点としては、被検体が恒常的に備える不変な特徴を表す点を識別することが好ましい。例えば、特定の骨の突起部や中心点、特定の血管の分岐点等を識別する。
【0014】
解剖学的特徴を表す点は、例えば、ボリュームデータの自動解析により識別する。あるいは、ボリュームデータ内の位置を指定する操作を受け付け、その操作により指定された点を、解剖学的特徴を表す点として識別(認識)してもよい。ランドマーク設定手段は、自動解析による識別処理と、ユーザ操作に基づく識別処理を、ユーザの指示に基づき選択的に実行することが好ましい。また、自動解析による識別結果に対し、ユーザが修正を加えられるようにしてもよい。
【0015】
座標系設定手段は、設定されたランドマークに基づいて、選出された複数のボリュームデータに対し、統一された(共通の)座標系を設定する。これにより、選出された複数のボリュームデータにおいて、被検体の同じ位置(断面、点等)を、同じ座標値により特定することが可能になる。
【0016】
不一致検出手段は、選出された複数のボリュームデータ間で、ボリュームデータに関連づけられた画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する。例えば、選出された2つのボリュームデータのうち、1つがアキシャル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータであり、もう1つがサジタル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータである場合、不一致検出手段は画像方向の不一致を示すデータを出力する。
【0017】
方向決定手段は、選出された複数のボリュームデータについて、画像方向の不一致が検出されたときに、その複数のボリュームデータの中からスライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出する。そして、その一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する。例えば、選出された2つのボリュームデータのうち、1つがスライス間隔1mmのアキシャル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータであり、もう1つがスライス間隔10mmのサジタル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータである場合には、サジタル断面の方向を、再構成画像の画像方向に決定する。
【0018】
画像再構成手段は、他の各ボリュームデータ(1つまたは複数)において、上記統一された座標系に基づいて、画像方向の決定に用いられた上記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定する。そして、特定された各スライス位置において、それぞれ、決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成し、再構成画像のシリーズを生成する。
【0019】
表示制御手段は、画像方向の決定に用いられた上記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、それ以外の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、表示画面に出力する。表示画面のレイアウトは、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像との対比が可能なレイアウトとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較読影を行うにあたり、一部のボリュームデータについて撮影時の画像方向と異なる画像方向の画像を再構成しなければならないときに、供給されたボリュームデータから実現できる範囲で最善の比較用画像を生成し、表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】診断支援システムの概略構成を示す図
【図2A】ボリュームデータの取得経緯を例示した図
【図2B】ボリュームデータの取得経緯を例示した図
【図3】診断用WSの処理の概要を示す図
【図4】ランドマークの自動設定処理に用いられるテンプレートTについて説明するための図
【図5】ランドマークの自動設定処理の概要を示すフローチャート
【図6A】ランドマークの手動設定画面を例示した図
【図6B】ランドマークの手動設定画面を例示した図
【図7】ランドマークの手動設定処理の概要を示すフローチャート
【図8A】不一致検出の方法を示す図(不一致が検出されない場合)
【図8B】不一致検出の方法を示す図(不一致が検出される場合)
【図9】方向決定処理の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、本発明の一実施形態における診断支援システムの概略構成を示す。本実施形態における診断支援システム1は、ローカルエリアネットワーク(LAN)2を介して互いに接続された検査室システム3、データサーバ4、および診断用ワークステーション(WS)6により構成される。
【0023】
検査室システム3は、被検体を撮影するモダリティ群32と、各モダリティから出力された画像の確認や調整を行う検査用ワークステーション(WS)31により構成される。
【0024】
検査用WS31は、モダリティ32が2次元のスライスデータを出力するもの(例えばCT(Computed Tomography)装置、MR(Magnetic Resonance)装置等)である場合には、スライスデータ群を再構成することにより3次元のボリュームデータを生成し、生成したボリュームデータを付帯情報とともにデータサーバ4に転送する。また、検査用WS31は、モダリティ32がボリュームデータを直接出力するもの(例えばMS(Multi Slice)CT装置、コーンビームCT装置等)である場合には、そのボリュームデータを、付帯情報とともにデータサーバ4に転送する。
【0025】
データサーバ4は、高性能プロセッサと大容量メモリを備えた比較的処理能力の高いコンピュータに、データベースマネージメントサーバ(DBMS:DataBase Management Server)の機能を提供するソフトウェアプログラムを実装したものである。プログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。これにより、データサーバ4は、ボリュームデータ記憶手段41として、またサーバ(S)側のボリュームデータ選出手段42として機能する。
【0026】
ボリュームデータ記憶手段41は、検査用WS31から転送されたボリュームデータおよび付帯情報を、データサーバ4に接続された大容量ストレージ5に、ファイル10として記憶せしめる。ファイル10は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したフォーマットのファイルであり、ヘッダ領域とボリュームデータを記憶する領域とからなる。
【0027】
ヘッダ領域には、DICOMのタグ情報として、検査用WS31から転送された付帯情報や、データサーバ4において追加されたデータ検索用の付帯情報が記録される。例えば、被検体を特定する情報として、受診者(患者)の識別番号、氏名、年齢、性別、撮影部位(頭部、胸部、腹部等)の情報が記録される。また、撮影日を特定する情報として、検査が行われた日、撮影が行われた時刻の情報が記録される。このほか、撮影に使用されたモダリティ、撮影条件(造影剤の使用有無/使用された色素、放射線核種、放射線量など)等の情報も記録される。また、ボリュームデータが、CT、MRI等の断層撮影装置により取得されたデータである場合には、ヘッダ領域に、撮影時のスライス間隔や画像方向の情報も記録される。
【0028】
なお、大容量ストレージ5にファイルとして保管するボリュームデータは、撮影により取得されたボリュームデータのほか、撮影により取得されたボリュームデータから診断に不要な情報を削除するなど、検査用WS31において何らかの加工が施されたボリュームデータを、保管しておいてもよい。例えば、骨の情報が除去されたボリュームデータや、反対に骨の情報だけが抽出されたボリュームデータ等を、保管しておいてもよい。
【0029】
ボリュームデータ選出手段42は、診断用WS6からの検索要求に応じて、大容量ストレージ5に記憶されている複数のファイル10の中から、検索条件に適ったファイルを選出し、診断用WS6に送信する。
【0030】
診断用WS6は、標準的なプロセッサ、メモリおよびストレージを備えた汎用のワークステーションに、各種の診断支援機能を提供するための複数のプログラムを実装したものである。これらのプログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。これにより、診断用WS6は、図1に示されるボリュームデータ選出手段61、ランドマーク設定手段62、座標系設定手段63、不一致検出手段64、方向決定手段65、画像再構成手段66および表示制御手段67を含む各種処理手段として機能する。また、診断用WS6には、ディスプレイ7と、マウス、キーボード等の入力装置8が接続されている。
【0031】
以下、診断用WS6の処理について説明する。ここでは、発明の理解を容易にするために、内科の検査で取得された腹部CTデータと、整形外科の検査で取得された腹部(腰部)MRIデータを用いて、比較読影を行うケースを例示しながら、説明する。腹部CTデータV1orgは、内科の検査で大腸を調べるために取得されたもので、腹部MRIデータV2orgは、整形外科の検査で腰椎の異常を調べるために取得されたものとする。また、腹部CTデータ、腹部MRIデータは、以下に説明する経緯で取得されたものと仮定する。
【0032】
図2Aに、腹部CTデータV1orgの取得経緯を示す。腹部CTデータV1orgは、受診者の体軸に垂直な方向を画像方向に設定して、すなわちアキシャル面AP1〜APNをスライス面として、CT撮影を行うことにより取得されたものとする。撮影により取得されたスライス画像のシリーズAI1〜AINから構成されたボリュームデータが、腹部CTデータV1orgである。ここで、ボリュームデータを構成するときのボクセルデータの間隔(画素間隔)は、スライス間隔と同じ値に設定されるものとする。腹部CTデータV1orgは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10aとして大容量ストレージ5に保存されている。
【0033】
内科の検査では、腹部CTデータV1orgから診断の対象である大腸のみを抽出したボリュームデータV1tgtが生成される。ボリュームデータV1tgtは、大腸の解析処理や、ディスプレイ7に表示する診断用画像の生成に利用される。ボリュームデータV1tgtは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10bとして大容量ストレージ5に保存される。
【0034】
図2Bに、腹部MRIデータV2orgの取得経緯を示す。腹部MRIデータV2orgは、受診者の体軸に平行な方向を画像方向に設定して、MRI撮影を行うことにより取得されたものとする。図は、サジタル面SP1〜SPNをスライス面として撮影が行われた場合を例示している。撮影により取得されたスライス画像のシリーズSI1〜SINから構成されたボリュームデータが、腹部MRIデータV2orgである。ここでも、ボリュームデータを構成するときのボクセルデータの間隔は、スライス間隔と同じ値に設定されるものとする。腹部MRIデータV2orgは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10cとして大容量ストレージ5に保存されている。
【0035】
整形外科の検査では、腹部MRIデータV2orgから診断の対象となる腰椎のみを抽出したボリュームデータV2tgtが生成される。ボリュームデータV2tgtは、腰椎の解析処理や、ディスプレイ7に表示する診断用画像の生成に利用される。ボリュームデータV2tgtは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10dとして大容量ストレージ5に保存される。
【0036】
本実施形態では、診断用WS6の機能選択メニューにおいて、所定の生体組織の比較読影機能が選択されると、ボリュームデータ選出手段61によるデータ選出処理が実行される。ボリュームデータ選出手段61は、被検体を指定する操作(例えば受診者と撮影部位を指定する操作)を検出し、指定された被検体を表すボリュームデータを選出する。詳細には、被検体の特定に必要な情報を、データサーバ4側のボリュームデータ選出手段42へと送信して、大容量ストレージ5に保存されているファイルの検索を要求する。
【0037】
ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体に関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。ボリュームデータ選出手段61は、診断用WS6のメモリ内に、取得したファイルを保存する。
【0038】
設定もしくはユーザの操作により、比較読影の対象が同一モダリティにより取得されたデータに限定されている場合には、ボリュームデータ選出手段61は、モダリティを指定する操作を受け付け、被検体を特定する情報とともにモダリティを特定する情報をデータサーバ4に送信する。この場合、ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体および指定されたモダリティに関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。
【0039】
一方、設定もしくはユーザの操作により、比較読影の対象が同一撮影日に取得されたデータに限定されている場合には、ボリュームデータ選出手段61は、撮影日を指定する操作を受け付け、被検体を特定する情報とともに撮影日を特定する情報をデータサーバ4に送信する。この場合、ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体および指定された撮影日に関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。
【0040】
図3は、診断用WS6の処理の概要を示す図である。前述のとおり、ここでは、腹部CTデータV1orgを含むファイルと腹部MRIデータV2orgを含むファイルとが選出された場合を例示しながら説明する。図2Aおよび図2Bを参照して説明したとおり、腹部CTデータV1orgと腹部MRIデータV2orgは、観察対象の抽出処理が施される前のデータである。これらのデータには、腹部にある全生体組織の情報が含まれているので、必要に応じて、任意の且つ同一の観察対象を抽出することができる。観察対象の抽出処理は、ボリュームデータが選出された直後に実行してもよいが、他の段階で実行することも可能であり特に限定されない。
【0041】
腹部CTデータV1orgは、スライス間隔を0.25mm、画像方向をアキシャルに設定して撮影されたものであり、腹部MRIデータV2orgは、スライス間隔を1mm、画像方向をサジタルに設定して撮影されたものとする。スライス間隔と画像方向の情報は、前述のとおり、ボリュームデータを含むファイルのヘッダ情報(DICOMタグ)として記録されている。
【0042】
ランドマーク設定手段62は、選出されたファイルに含まれるボリュームデータのそれぞれにおいて、解剖学的特徴を表す点(例えば、特定の骨や臓器の突起部や特定の血管の分岐点)を識別し、識別した点をランドマークとして設定する。ランドマークは、識別された点の位置座標をメモリに記憶せしめることにより、設定される。
【0043】
ランドマーク設定手段62が識別する特徴は、選出された複数のボリュームデータに、共通に含まれる特徴でなければならない。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgと腹部MRIデータV2orgとは、取得目的が異なることから撮影範囲は同じとは限らない。しかし、大腸、腰椎が診断対象であることから、腰椎は共通に含まれるはずである。この場合、腰椎上の1つまたは複数の点を、ランドマークとして設定することができる。
【0044】
腰椎の中でも、第5腰椎は仙骨に隣接しているという点で他の腰椎と区別することができる。また、特徴的な形状を有しており、例えば左右の突出部の先端はコンピュータによる解析処理でも比較的識別しやすい。よって、以下、第5腰椎上の点を、ランドマークとして設定する場合を例示しながら説明する。
【0045】
本実施形態では、ランドマーク設定手段62は、ユーザの介入なくランドマークを設定する自動設定処理と、ユーザの操作に基づいてランドマークを設定する手動設定処理の、2種類の処理を実行することができる。いずれの処理を実行するかは、ユーザが行った設定に基づいて選択される。
【0046】
以下、ランドマーク設定手段62の自動設定処理について説明する。図4は自動設定に用いられるテンプレートTについて説明するための図であり、図5は自動設定処理の概要を示すフローチャートである。
【0047】
診断用WS6のメモリには、撮影部位ごとに、ランドマークの自動設定処理に用いられるテンプレートが記憶されている。テンプレートは、周辺の構造物に比べて形状に際立った特徴を有する解剖学的構造物を表す3次元形状パターンと、その3次元形状パターン内にある1つまたは複数の特徴点を表すデータである。図4は、第5腰椎の形状を表すパターンと、そのパターン内の点Pa、PbおよびPcの位置が記録されたテンプレートTを例示している。なお、各テンプレートには、そのテンプレートに固有の座標系が定義されており、特徴点の位置はその座標系の座標値として記憶されるものとする。
【0048】
自動設定機能が選択されると、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータの自動解析により上記特徴点を識別する。はじめに、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルの中の1つを参照し、そのファイルのヘッダ情報に基づき撮影部位を判別する。あるいは、ボリュームデータ選出時に指定された撮影部位の情報を取得することにより、撮影部位を判別する(S101)。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgおよび腹部MRIデータV2orgは、いずれも腹部のデータであるため、撮影部位は「腹部」と判定される。
【0049】
次に、ランドマーク設定手段62は、その撮影部位用に保存されているテンプレートを、メモリから読み込む(S102)。例示したケースでは、図4に例示したテンプレートT、すなわち第5腰椎の形状パターンおよび特徴点Pa、PbおよびPcを表すデータが読み込まれる。
【0050】
その後、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルから、それぞれボリュームデータを読み出す。そして、その中の1つのボリュームデータについて、領域ごとに、テンプレートとのマッチングを行い、テンプレートのパターンと同じ形状を有する構造物が含まれる領域(対応領域)を探索する(S103)。ランドマーク設定手段62は、さらに、抽出された対応領域から、テンプレートTが示す特徴点に対応する点を探索する(S104)。そして、探索により識別された点のXYZ座標値を、ランドマーク座標としてメモリに記憶する(S105)。続いて、ファイルから読み出された次のボリュームデータについて、ステップS103〜S105の処理を繰り返す(S106)。
【0051】
例示したケースでは、ステップS103において腹部CTデータV1orgの各領域とテンプレートTとのマッチングにより、腹部CTデータV1org中の第5腰椎に対応する領域が抽出される。続いて、ステップS104において、特徴点Pa,PbおよびPcに対応する点L1a,L1bおよびL1cが識別される。これにより、図4の上段に示すように、腹部CTデータV1org中に、ランドマークとなる点L1a,L1bおよびL1cが設定される。続いて、腹部MRIデータV2orgを対象として同様の処理が実行され、図4の下段に示すように、腹部MRIデータV2org中に、ランドマークとなる点L2a,L2bおよびL2cが設定される。
【0052】
上記処理は、ボリュームデータ選出手段61により2つのボリュームデータが選出された場合の処理であるが、3以上のボリュームデータが選出された場合も、S103〜S105の処理を繰り返すことで、同様にランドマークを設定することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、対応領域および対応点の探索に、”Matching Local Self-Similarities across Images and Videos”( Shechtman E, Irani M, Computer Vision and Pattern Recognition 2007, IEEE Conference on 17-22 June 2007, pages 1-8)に記載されている方法を応用する。この方法は、静止画または動画のフレームを構成する個々の画素の周辺領域を複素対数極座標変換(log-polar mapping)することにより取得される記述子(descriptor)を対象としてマッチングを行うというものである。この方法は、幾何学的特徴を表す記述子に基づいて画像の一致/不一致を判断するため、幾何学的特徴が同じであれば、色やテクスチャーが全く異なる画像であっても、同じ画像として認識することができる。
【0054】
同文献が、動画のマッチング方法として提案する方法は、動画の1フレームをスライス画像とみなし、動画のフレーム群をボリュームデータとみなすことにより、断層撮影装置が出力するボリュームデータ同士のマッチング処理に適用することができる。異なる撮影モダリティにより取得されたデータの場合、撮影対象が同じであってもボクセルデータの値(色または濃度)、エッジの鮮明度は異なるものとなるが、上記方法によれば、異なる撮影モダリティにより取得されたデータ間でも、対応点を正確に識別することができる。
【0055】
但し、対応領域および対応点の探索方法は、上記方法に限定されるものではなく、他の公知の方法を採用してもよい。また、診断用WS6に複数種類の探索プログラムを実装し、複数のボリュームデータを取得したモダリティが同一か異なるかによって、探索方法を切り替えてもよい。
【0056】
以上、ランドマークの自動設定処理について説明したが、続いて、図6A,6Bおよび図7を参照して、ランドマーク設定手段62の手動設定処理について説明する。本実施形態では、ユーザは、ディスプレイ7の画面に表示されたボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)画像上で、所望の点を指定する操作を行うことにより、ランドマークを設定することができる。図6Aおよび図6Bは、設定画面の表示例を示す図であり、図7は手動設定処理の概要を示すフローチャートである。
【0057】
手動設定機能が選択されると、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルに含まれるボリュームデータから、それぞれVR画像を生成する。そして、生成した画像を、ディスプレイ7の画面に表示する(S201)。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgおよび腹部MRIデータV2orgから、それぞれ腹部を表すVR画像を生成され、表示される。図6Aは、画像ウィンドウW1およびW2が配置された設定画面において、腹部CTデータV1orgから生成されたVR画像が画像ウィンドウW1に、腹部MRIデータV2orgから生成されたVR画像が画像ウィンドウW2に、それぞれ表示された状態を示している。
【0058】
次に、ランドマーク設定手段62は、表示中のVR画像に対する領域指定操作を受け付ける(S202)。例えば、図6Aに示される画面の画像ウィンドウW1、W2のそれぞれにおいて、カーソルCの移動による領域指定操作を受け付ける。図6Aは、第5腰椎を含む領域R1,R2が指定されたところを例示している。
【0059】
VR画像上で領域が指定されると、ランドマーク設定手段62は、画面上で指定された領域を示す座標値に基づいて、各ボリュームデータから対応する領域を抽出する(以下、抽出された領域を、「部分ボリュームデータ」と称する)。続いて、抽出した部分ボリュームデータから、指定された領域のみを表す領域拡大VR画像を生成し、表示する(S203)。領域拡大VR画像は、指定された領域に含まれる構造物を、ステップS201で生成および表示したVR画像よりも高い解像度で表したVR画像である。
【0060】
例えば図の例では、図6Aに示す画面において第5腰椎を含む領域R1,R2が指定されると、腹部CTデータV1org、腹部MRIデータV2orgのそれぞれから、領域R1,R2に対応する領域が抽出され、抽出された部分ボリュームデータから、第5腰椎周辺を表す領域拡大VR画像が生成され、表示される。例えば、図6Aに示す画面において領域指定操作が行われると、図6Bに示すように画像ウィンドウW1、W2の下方に画像ウィンドウW3、W4が表れ、画像ウィンドウW3には腹部CTデータV1orgの部分ボリュームデータから生成された領域拡大VR画像が、画像ウィンドウW4には腹部MRIデータV2orgの部分ボリュームデータから生成された領域拡大VR画像が、それぞれ表示される。
【0061】
次に、ランドマーク設定手段62は、領域拡大VR画像上で、点指定操作を受け付ける(S204)。そして、指定された点のXYZ座標値をランドマーク座標としてメモリに記憶する(S205)。例えば、図6Bに示される画面の画像ウィンドウW3、W4のそれぞれにおいて、カーソルCの移動による点指定操作を受け付ける。図6Bは、画像ウィンドウW3上で、第5腰椎の突起部の先端が指定されたところを例示している。
【0062】
なお、ボリュームデータ選出手段61により3以上のボリュームデータが選出された場合には、ランドマーク設定手段62は、選出されたボリュームデータの数に応じた数の画像ウィンドウを画面に配置し、各ウィンドウに、個々のボリュームデータから生成されたVR画像、拡大VR画像を表示する。
【0063】
次に、再び図3を参照して、座標系設定手段63の処理について説明する。座標系設定手段63は、ランドマーク設定手段62が設定したランドマークに基づいて、選出されたボリュームデータ間で統一された座標系を設定する。言い換えれば、選出された複数のボリュームデータを、共通の座標空間内に配置することで、解剖学的にみて同じ点が、いずれのボリュームデータにおいても同じ座標値により特定できるようにする。
【0064】
具体的には、いずれか1つのボリュームデータの座標系を基準座標系とし、他のボリュームデータをアフィン変換等により拡大または縮小、回転、平行移動することにより、そのボリュームデータの座標系が基準座標系と一致するようにする。図は、腹部MRIデータV2orgの座標系を基準座標系9とし、腹部CTデータV1orgを平行移動により基準座標系9が表す座標空間に移動した場合を例示している。この処理により、ランドマークL1とランドマークL2とは、基準座標系9の下、同じ座標値により表されることとなる。また、ランドマークに限らず、腹部CTデータV1org内および腹部MRIデータV2org内の点や断面は、解剖学的位置が同じであれば、同じ座標値により特定できるようになる。
【0065】
なお、2つのボリュームデータの座標系の相違が、体軸方向のずれのみのときにはランドマークは1つでよいが、任意の相違に対応できるようにするためには、ランドマークは少なくとも3つ設定する必要である。3点とも同一平面に含まれることがないように3つのランドマークを設定すれば、XYZ方向のいずれのずれにも、回転方向や撮影倍率の違いにも対応することができる。
【0066】
次に、図3、図8Aおよび図8Bを参照しながら、不一致検出手段64の処理について説明する。不一致検出手段64は、ボリュームデータ選出手段61により選出されたファイルのヘッダ領域を順次参照し、ヘッダ領域に記録されている画像方向の情報を対比する。図8Aおよび図8Bは、いずれも3つのファイルが選出された場合を例示している。
【0067】
図8Aに示すように、ファイル10a、10bおよび10cのすべてにおいて、ヘッダ領域に記録されている画像方向が同じである場合、すなわちボリュームデータV1org、V2org、V3orgの撮影時の画像方向が一致する場合には、不一致検出手段64は一致を示す出力値(例えば0)を出力する。一方、図8Bに示すように、一部のファイル10dにおいて、ヘッダ領域に記録されている画像方向が、他のファイル10aおよび10cのヘッダ領域に記録されている画像方向と異なる場合には、不一致検出手段64は、画像方向の不一致を示す出力値(例えば1)を出力する。
【0068】
続いて、図3および図9を参照しながら、方向決定手段65の処理について説明する。方向決定手段65は、不一致検出手段64の出力値に基づき、画像方向の不一致が検出されたか否かを判定する(S301)。不一致が検出されていなければ、すなわち、図8Aの例のように全ファイルにおいてヘッダ領域に記録されている画像方向が一致していれば、再構成画像の画像方向を、その一致している方向(図8Aの例ではアキシャル)に決定する(S307)。
【0069】
画像方向の不一致が検出された場合には、方向決定手段65は、各ファイルのヘッダ領域に記録されているスライス間隔の値を順次参照しながら、スライス間隔が最大のデータを探索する(S302)。図3の例では、各ファイルのヘッダ領域に記録されているスライス間隔の値は、腹部CTデータを含むファイルでは0.25mm、腹部MRIデータV2orgを含むファイルでは1mmであるため、腹部MRIデータV2orgを含むファイルが、選出される。
【0070】
スライス間隔が最大のデータを含むファイルが1つしかなければ(S303)、方向決定手段65は、再構成画像の画像方向を、そのスライス間隔が最大のデータの画像方向に決定する(S306)。
【0071】
一方、スライス間隔が最大のデータを含むファイルが複数ある場合には(S303)、方向決定手段65は、各ファイルのファイル名とヘッダ情報(画像方向、スライス間隔の値を含む)を、ディスプレイ7の画面に所定の形式で表示する。そして、ユーザによるファイルの選択操作を受け付け(S304)、再構成画像の画像方向を、ユーザが選択したファイルに含まれるデータの画像方向に決定する。
【0072】
なお、図2Aおよび図2Bに示した例のように、スライス間隔とボクセルデータの間隔とが同じである場合には、スライス間隔(Spacing Between Slices)を示すタグ情報に代えて、画素間隔(Pixel Spacing)を示すタグ情報を参照してもよい。
【0073】
次に画像再構成手段66について、説明する。図1に示すように、画像再構成手段66には、座標系設定手段63が設定した基準座標系9の情報と、方向決定手段65が決定した画像方向の情報とが供給される。図3に示すように、画像再構成手段66は、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)を基準座標系9により表される座標空間に配置し、そのボリュームデータを構成する各スライス画像(サジタル画像SI1〜SIN)の位置座標を、それぞれ特定する。例示したケースでは、基準座標系9のY軸が、サジタル画像SI1〜SINに対し垂直であるため、サジタル画像SI1〜SINの位置は、Y方向の座標値y1〜yNによって特定されるものとする。
【0074】
続いて、画像再構成手段66は、他のボリュームデータ(腹部CTデータV1org)を、基準座標系9により表される座標空間に配置する。そして、そのボリュームデータ内で、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)内で特定されたスライス位置座標y1〜yNに対応する位置を特定する。例示したケースでは、この処理により、腹部CTデータV1org内に、Y方向のスライス位置座標が、それぞれy1〜yNであるサジタル断面が定義される。次に、画像再構成手段66は、腹部CTデータV1orgを構成するボクセルデータを用いて、それらのサジタル断面を表す画像のシリーズRSI1〜RSINを再構成する。
【0075】
以上の処理により、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)を構成するスライス画像のシリーズ(サジタル画像SI1〜SIN)と、それ以外のボリュームデータ(腹部CTデータV1org)から再構成されたスライス画像のシリーズ(再構成サジタル画像RSI1〜RSIN)とが得られる。
【0076】
基準座標系9の下では、腹部CTデータV1orgの位置yi(1≦i≦N)におけるサジタル面と、腹部MRIデータV2orgの位置yi(1≦i≦N)におけるサジタル面とは、解剖学的にみて同じ断面となり、したがって対応する位置の画像を対比することにより、診断に有用な情報を得ることができる。表示制御手段67は、対応する位置の画像同士を対比しやすいレイアウトで、画面に表示する。
【0077】
例えば、図3に例示するように、再構成サジタル画像のシリーズRSI1〜RSINをディスプレイ7の画面上段に横方向に並べて配置し、サジタル画像のシリーズSI1〜SINを画面下段に同じく横方向に並べて配置し、対応する位置の画像同士が上下に並ぶように表示を制御する。さらには、シリーズ画像の表示範囲を切り替えるスクロール操作が行われたときに、画面上段の表示と画面下段の表示とを連動させ、対応する位置の画像同士が常に上下に並ぶように表示を制御する。
【0078】
なお、図3を参照した説明では、画像方向が互いに異なる2つのボリュームデータを例示したが、各手段が実行する処理は、任意の画像方向の3以上のボリュームデータが選出された場合も同様である。また、上記説明では、CTデータとMRIデータの比較を例示したが、各手段が実行する処理は、CTデータとPETデータ等、他のモダリティにより取得されたデータの場合も同様である。
【0079】
また、上記説明では、図2Aの腹部CTデータV1orgと図2Bに示した腹部MRIデータV2orgを読影に利用する場合を例示したが、例えば、腰椎の診断のために比較読影を行うのであれば、腹部MRIデータV2orgに代えて、腹部MRIデータV2tgtを利用してもよい。つまり、腹部CTデータV1orgに対し新たに骨抽出処理を施したデータと、既に骨抽出処理が施された腹部MRIデータV2tgtを利用して、比較用の画像を生成してもよい。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態では、比較対象として指定された複数のシリーズの間で、撮影時の画像方向が一致しておらず、少なくとも一部のボリュームデータに関して、必要な画像方向のスライス画像を再構成処理により生成しなければならない場合に、再構成画像の画像方向を、スライス間隔が最大のシリーズの画像方向とすることで、最も粗いボリュームデータから再構成画像が生成されることが無いようにしている。このため、指定されたシリーズを使って実現できる範囲で最善の画質の比較読影用画像を得ることができる。
【0081】
本実施形態のシステムを用いれば、例示したケースのように、異なる検査目的で取得されたデータを、比較読影用のデータとして有効に活用することができる。他の診療科で取得されたデータや同じ診療科の異なる検査で取得されたデータを活用することで、検査(撮影)の回数を減らすことができれば、受診者の身体的、経済的負担も軽減される。
【0082】
なお、上記実施形態は、ランドマークの自動設定処理、手動設定処理のいずれかを選択的に実行するものであるが、前述した自動設定処理によりランドマークを仮設定した後、図6Bに例示した画面上に仮設定されたランドマークを表示し、前述した手動設定処理によりランドマークの位置を調整できるようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、座標系設定手段は、統一された座標系としてXYZ座標系を設定しているが、座標系の種類は特に限定されず、例えば極座標系でもよい。
【0084】
また、上記実施形態は、クライアント/サーバ型のシステムであるが、一台のコンピュータが、ボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段としての機能を備える構成としてもよい。
【0085】
このように、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 診断支援システム、 32 モダリティ群、 5 大容量ストレージ、
9 座標系、 10,10a−10d ファイル
AP1-APN アキシャル面、
AI1-AIN アキシャル画像のシリーズ、
SP1-SPN サジタル面、
SI1-SIN サジタル画像のシリーズ、
V1org,V2org ボリュームデータ、
V1tgt,V2tgt ボリュームデータ、
L1,L2 ランドマーク(点)、
RSI1-RSIN 再構成サジタル画像、
T テンプレート、Pa〜Pc 特徴点、
W1〜W4 画像ウィンドウ、 C カーソル、R1,R2 領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層撮影装置により取得されたデータを利用した画像診断を支援するシステム、コンピュータプログラムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院等で使用される断層撮影装置としては、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴撮像)装置、超音波(US:Ultrasonic)診断装置、PET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影)装置等が、知られている。いずれの装置も、近年の改良により空間分解能が向上し、病変部位の発見や評価に大きな成果を上げている。特にCT装置やMRI装置は、検出器の多列化や高速撮影法の導入により、撮影時間が大幅に短縮され、利用の機会が増えている。
【0003】
また、近年、DICOM規格に準拠した撮影装置が増え、取得されたデータの保存や、保存されたデータを活用するための情報処理システムの構築が進んでいる。保存データを利用した診断支援機能は数多く提案されているが、なかでも、直近の検査で取得された画像(以下、現在画像)と過去の検査で取得された同じ部位の画像(以下、過去画像)とを並べて表示する比較読影機能は、経過観察のために、広く利用されている。また、最近は、診断精度を高めるために複数種類の撮影装置による撮影を行うケースも増えたため、異なる装置により取得された同じ部位の画像を並べて表示する比較読影機能も提供されている。
【0004】
ここで、断層撮影装置により取得されるデータは、複数の断面をそれぞれ表すスライス画像のシリーズにより構成されるため、2つのシリーズを比較するときには、同じ断面を表すスライス画像同士を対応づける必要がある。これに対し、特許文献1や2は、体軸方向の位置座標に基づき、同じ位置の断面を表すスライス画像同士を自動的に対応づける方法等を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3639030号公報
【特許文献2】特開2008−43524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報処理システムの構築により病院内でのデータ共有が進むと、ある診療科の医師が、他の診療科で過去に行われた検査の結果を利用することが可能になる。これにより、比較されることを前提とせずに取得された2つのデータが、比較に利用される機会が増えることが予想される。例えば、整形外科の検査で取得された腰部CTデータと、内科の検査で取得された腹部CTデータとが、比較読影に利用されるようになる可能性がある。
【0007】
しかし、撮影部位が同じでも、検査目的が異なれば、撮影条件は異なるのが普通である。特に、MRIではスライス画像の画像方向(Image Orientation)を任意に設定できるので、同じ受診者の同じ部位のMRIデータがあっても、画像方向が同じとは限らない。画像方向が異なるデータ同士でも、一方のデータを再構成することにより他方のデータの画像方向と同じ画像方向の断層像を生成すれば、比較読影を行うことは可能である。しかし、再構成画像では、診断に適した画質が得られるとは限らないため、画質を確保するために何らかの工夫が必要になる。
【0008】
ところが、従来の病院では、画像方向が異なるデータが、比較読影の対象となることは稀であった。診療科間のデータ共有がなされていなければ、医師は自ら収集したデータを使って診断を行うしかなく、その場合、比較を目的とする検査で敢えて異なる画像方向を指定することは無いからである。このような実情から、特許文献1や2は、画像方向が同じ場合の対応づけ方法しか提案していない。また、これまで、比較読影のために生成される再構成画像の画質に関する考察は、特になされていなかった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、比較の対象として画像方向が異なるデータが選択された場合に、供給されたデータを使って実現できる範囲で最善の画質の比較読影用画像を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0010】
本発明の診断支援システムは、上記目的を達成するための手段として、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段を備える。また、本発明の診断支援プログラムは、一台または複数台のコンピュータを、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段として機能させるためのプログラムである。診断支援プログラムは、通常、複数のプログラムモジュールからなり、上記各手段の機能は、それぞれ、一または複数のプログラムモジュールにより実現される。これらのプログラムモジュール群は、CD−ROM,DVDなどの記録メディアに記録され、またはサーバコンピュータに付属するストレージやネットワークストレージにダウンロード可能な状態で記録されて、ユーザに提供される。また、本発明の診断支援方法は、以下に説明するボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段の処理を実行することにより診断を支援する方法である。
【0011】
ボリュームデータ記憶手段は、被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、ボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめる。この際、ボリュームデータには、シリーズを構成するスライス画像の画像方向、スライス間隔および被検体の情報が関連づけられる。
【0012】
ボリュームデータ選出手段は、上記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、各ボリュームデータに関連づけられた被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出する。例えば、複数のボリュームデータとして、異なる撮影日に同じモダリティを使って取得されたデータを選出する。あるいは、複数のボリュームデータとして、同じ撮影日に異なるモダリティを使って取得されたデータを選出する。もしくは、撮影日やモダリティによらず同じ被検体を表す全てのボリュームデータを選出してもよい。選出の基準は、ユーザの指示に基づいて切り替えられるようにすることが好ましい。
【0013】
ランドマーク設定手段は、被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、その点を解剖学的標認点、すなわちランドマークとして設定する。解剖学的特徴を表す点としては、被検体が恒常的に備える不変な特徴を表す点を識別することが好ましい。例えば、特定の骨の突起部や中心点、特定の血管の分岐点等を識別する。
【0014】
解剖学的特徴を表す点は、例えば、ボリュームデータの自動解析により識別する。あるいは、ボリュームデータ内の位置を指定する操作を受け付け、その操作により指定された点を、解剖学的特徴を表す点として識別(認識)してもよい。ランドマーク設定手段は、自動解析による識別処理と、ユーザ操作に基づく識別処理を、ユーザの指示に基づき選択的に実行することが好ましい。また、自動解析による識別結果に対し、ユーザが修正を加えられるようにしてもよい。
【0015】
座標系設定手段は、設定されたランドマークに基づいて、選出された複数のボリュームデータに対し、統一された(共通の)座標系を設定する。これにより、選出された複数のボリュームデータにおいて、被検体の同じ位置(断面、点等)を、同じ座標値により特定することが可能になる。
【0016】
不一致検出手段は、選出された複数のボリュームデータ間で、ボリュームデータに関連づけられた画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する。例えば、選出された2つのボリュームデータのうち、1つがアキシャル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータであり、もう1つがサジタル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータである場合、不一致検出手段は画像方向の不一致を示すデータを出力する。
【0017】
方向決定手段は、選出された複数のボリュームデータについて、画像方向の不一致が検出されたときに、その複数のボリュームデータの中からスライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出する。そして、その一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する。例えば、選出された2つのボリュームデータのうち、1つがスライス間隔1mmのアキシャル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータであり、もう1つがスライス間隔10mmのサジタル画像のシリーズにより構成されたボリュームデータである場合には、サジタル断面の方向を、再構成画像の画像方向に決定する。
【0018】
画像再構成手段は、他の各ボリュームデータ(1つまたは複数)において、上記統一された座標系に基づいて、画像方向の決定に用いられた上記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定する。そして、特定された各スライス位置において、それぞれ、決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成し、再構成画像のシリーズを生成する。
【0019】
表示制御手段は、画像方向の決定に用いられた上記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、それ以外の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、表示画面に出力する。表示画面のレイアウトは、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像との対比が可能なレイアウトとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、比較読影を行うにあたり、一部のボリュームデータについて撮影時の画像方向と異なる画像方向の画像を再構成しなければならないときに、供給されたボリュームデータから実現できる範囲で最善の比較用画像を生成し、表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】診断支援システムの概略構成を示す図
【図2A】ボリュームデータの取得経緯を例示した図
【図2B】ボリュームデータの取得経緯を例示した図
【図3】診断用WSの処理の概要を示す図
【図4】ランドマークの自動設定処理に用いられるテンプレートTについて説明するための図
【図5】ランドマークの自動設定処理の概要を示すフローチャート
【図6A】ランドマークの手動設定画面を例示した図
【図6B】ランドマークの手動設定画面を例示した図
【図7】ランドマークの手動設定処理の概要を示すフローチャート
【図8A】不一致検出の方法を示す図(不一致が検出されない場合)
【図8B】不一致検出の方法を示す図(不一致が検出される場合)
【図9】方向決定処理の概要を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、本発明の一実施形態における診断支援システムの概略構成を示す。本実施形態における診断支援システム1は、ローカルエリアネットワーク(LAN)2を介して互いに接続された検査室システム3、データサーバ4、および診断用ワークステーション(WS)6により構成される。
【0023】
検査室システム3は、被検体を撮影するモダリティ群32と、各モダリティから出力された画像の確認や調整を行う検査用ワークステーション(WS)31により構成される。
【0024】
検査用WS31は、モダリティ32が2次元のスライスデータを出力するもの(例えばCT(Computed Tomography)装置、MR(Magnetic Resonance)装置等)である場合には、スライスデータ群を再構成することにより3次元のボリュームデータを生成し、生成したボリュームデータを付帯情報とともにデータサーバ4に転送する。また、検査用WS31は、モダリティ32がボリュームデータを直接出力するもの(例えばMS(Multi Slice)CT装置、コーンビームCT装置等)である場合には、そのボリュームデータを、付帯情報とともにデータサーバ4に転送する。
【0025】
データサーバ4は、高性能プロセッサと大容量メモリを備えた比較的処理能力の高いコンピュータに、データベースマネージメントサーバ(DBMS:DataBase Management Server)の機能を提供するソフトウェアプログラムを実装したものである。プログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。これにより、データサーバ4は、ボリュームデータ記憶手段41として、またサーバ(S)側のボリュームデータ選出手段42として機能する。
【0026】
ボリュームデータ記憶手段41は、検査用WS31から転送されたボリュームデータおよび付帯情報を、データサーバ4に接続された大容量ストレージ5に、ファイル10として記憶せしめる。ファイル10は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したフォーマットのファイルであり、ヘッダ領域とボリュームデータを記憶する領域とからなる。
【0027】
ヘッダ領域には、DICOMのタグ情報として、検査用WS31から転送された付帯情報や、データサーバ4において追加されたデータ検索用の付帯情報が記録される。例えば、被検体を特定する情報として、受診者(患者)の識別番号、氏名、年齢、性別、撮影部位(頭部、胸部、腹部等)の情報が記録される。また、撮影日を特定する情報として、検査が行われた日、撮影が行われた時刻の情報が記録される。このほか、撮影に使用されたモダリティ、撮影条件(造影剤の使用有無/使用された色素、放射線核種、放射線量など)等の情報も記録される。また、ボリュームデータが、CT、MRI等の断層撮影装置により取得されたデータである場合には、ヘッダ領域に、撮影時のスライス間隔や画像方向の情報も記録される。
【0028】
なお、大容量ストレージ5にファイルとして保管するボリュームデータは、撮影により取得されたボリュームデータのほか、撮影により取得されたボリュームデータから診断に不要な情報を削除するなど、検査用WS31において何らかの加工が施されたボリュームデータを、保管しておいてもよい。例えば、骨の情報が除去されたボリュームデータや、反対に骨の情報だけが抽出されたボリュームデータ等を、保管しておいてもよい。
【0029】
ボリュームデータ選出手段42は、診断用WS6からの検索要求に応じて、大容量ストレージ5に記憶されている複数のファイル10の中から、検索条件に適ったファイルを選出し、診断用WS6に送信する。
【0030】
診断用WS6は、標準的なプロセッサ、メモリおよびストレージを備えた汎用のワークステーションに、各種の診断支援機能を提供するための複数のプログラムを実装したものである。これらのプログラムはストレージに記憶され、起動時にメモリにロードされ、プロセッサにより実行される。これにより、診断用WS6は、図1に示されるボリュームデータ選出手段61、ランドマーク設定手段62、座標系設定手段63、不一致検出手段64、方向決定手段65、画像再構成手段66および表示制御手段67を含む各種処理手段として機能する。また、診断用WS6には、ディスプレイ7と、マウス、キーボード等の入力装置8が接続されている。
【0031】
以下、診断用WS6の処理について説明する。ここでは、発明の理解を容易にするために、内科の検査で取得された腹部CTデータと、整形外科の検査で取得された腹部(腰部)MRIデータを用いて、比較読影を行うケースを例示しながら、説明する。腹部CTデータV1orgは、内科の検査で大腸を調べるために取得されたもので、腹部MRIデータV2orgは、整形外科の検査で腰椎の異常を調べるために取得されたものとする。また、腹部CTデータ、腹部MRIデータは、以下に説明する経緯で取得されたものと仮定する。
【0032】
図2Aに、腹部CTデータV1orgの取得経緯を示す。腹部CTデータV1orgは、受診者の体軸に垂直な方向を画像方向に設定して、すなわちアキシャル面AP1〜APNをスライス面として、CT撮影を行うことにより取得されたものとする。撮影により取得されたスライス画像のシリーズAI1〜AINから構成されたボリュームデータが、腹部CTデータV1orgである。ここで、ボリュームデータを構成するときのボクセルデータの間隔(画素間隔)は、スライス間隔と同じ値に設定されるものとする。腹部CTデータV1orgは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10aとして大容量ストレージ5に保存されている。
【0033】
内科の検査では、腹部CTデータV1orgから診断の対象である大腸のみを抽出したボリュームデータV1tgtが生成される。ボリュームデータV1tgtは、大腸の解析処理や、ディスプレイ7に表示する診断用画像の生成に利用される。ボリュームデータV1tgtは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10bとして大容量ストレージ5に保存される。
【0034】
図2Bに、腹部MRIデータV2orgの取得経緯を示す。腹部MRIデータV2orgは、受診者の体軸に平行な方向を画像方向に設定して、MRI撮影を行うことにより取得されたものとする。図は、サジタル面SP1〜SPNをスライス面として撮影が行われた場合を例示している。撮影により取得されたスライス画像のシリーズSI1〜SINから構成されたボリュームデータが、腹部MRIデータV2orgである。ここでも、ボリュームデータを構成するときのボクセルデータの間隔は、スライス間隔と同じ値に設定されるものとする。腹部MRIデータV2orgは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10cとして大容量ストレージ5に保存されている。
【0035】
整形外科の検査では、腹部MRIデータV2orgから診断の対象となる腰椎のみを抽出したボリュームデータV2tgtが生成される。ボリュームデータV2tgtは、腰椎の解析処理や、ディスプレイ7に表示する診断用画像の生成に利用される。ボリュームデータV2tgtは、ヘッダ情報とともに、DICOMファイル10dとして大容量ストレージ5に保存される。
【0036】
本実施形態では、診断用WS6の機能選択メニューにおいて、所定の生体組織の比較読影機能が選択されると、ボリュームデータ選出手段61によるデータ選出処理が実行される。ボリュームデータ選出手段61は、被検体を指定する操作(例えば受診者と撮影部位を指定する操作)を検出し、指定された被検体を表すボリュームデータを選出する。詳細には、被検体の特定に必要な情報を、データサーバ4側のボリュームデータ選出手段42へと送信して、大容量ストレージ5に保存されているファイルの検索を要求する。
【0037】
ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体に関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。ボリュームデータ選出手段61は、診断用WS6のメモリ内に、取得したファイルを保存する。
【0038】
設定もしくはユーザの操作により、比較読影の対象が同一モダリティにより取得されたデータに限定されている場合には、ボリュームデータ選出手段61は、モダリティを指定する操作を受け付け、被検体を特定する情報とともにモダリティを特定する情報をデータサーバ4に送信する。この場合、ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体および指定されたモダリティに関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。
【0039】
一方、設定もしくはユーザの操作により、比較読影の対象が同一撮影日に取得されたデータに限定されている場合には、ボリュームデータ選出手段61は、撮影日を指定する操作を受け付け、被検体を特定する情報とともに撮影日を特定する情報をデータサーバ4に送信する。この場合、ボリュームデータ選出手段42は、保存されているファイル群の中から、指定された被検体および指定された撮影日に関連するファイルを選出し、ボリュームデータ選出手段61に返送する。
【0040】
図3は、診断用WS6の処理の概要を示す図である。前述のとおり、ここでは、腹部CTデータV1orgを含むファイルと腹部MRIデータV2orgを含むファイルとが選出された場合を例示しながら説明する。図2Aおよび図2Bを参照して説明したとおり、腹部CTデータV1orgと腹部MRIデータV2orgは、観察対象の抽出処理が施される前のデータである。これらのデータには、腹部にある全生体組織の情報が含まれているので、必要に応じて、任意の且つ同一の観察対象を抽出することができる。観察対象の抽出処理は、ボリュームデータが選出された直後に実行してもよいが、他の段階で実行することも可能であり特に限定されない。
【0041】
腹部CTデータV1orgは、スライス間隔を0.25mm、画像方向をアキシャルに設定して撮影されたものであり、腹部MRIデータV2orgは、スライス間隔を1mm、画像方向をサジタルに設定して撮影されたものとする。スライス間隔と画像方向の情報は、前述のとおり、ボリュームデータを含むファイルのヘッダ情報(DICOMタグ)として記録されている。
【0042】
ランドマーク設定手段62は、選出されたファイルに含まれるボリュームデータのそれぞれにおいて、解剖学的特徴を表す点(例えば、特定の骨や臓器の突起部や特定の血管の分岐点)を識別し、識別した点をランドマークとして設定する。ランドマークは、識別された点の位置座標をメモリに記憶せしめることにより、設定される。
【0043】
ランドマーク設定手段62が識別する特徴は、選出された複数のボリュームデータに、共通に含まれる特徴でなければならない。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgと腹部MRIデータV2orgとは、取得目的が異なることから撮影範囲は同じとは限らない。しかし、大腸、腰椎が診断対象であることから、腰椎は共通に含まれるはずである。この場合、腰椎上の1つまたは複数の点を、ランドマークとして設定することができる。
【0044】
腰椎の中でも、第5腰椎は仙骨に隣接しているという点で他の腰椎と区別することができる。また、特徴的な形状を有しており、例えば左右の突出部の先端はコンピュータによる解析処理でも比較的識別しやすい。よって、以下、第5腰椎上の点を、ランドマークとして設定する場合を例示しながら説明する。
【0045】
本実施形態では、ランドマーク設定手段62は、ユーザの介入なくランドマークを設定する自動設定処理と、ユーザの操作に基づいてランドマークを設定する手動設定処理の、2種類の処理を実行することができる。いずれの処理を実行するかは、ユーザが行った設定に基づいて選択される。
【0046】
以下、ランドマーク設定手段62の自動設定処理について説明する。図4は自動設定に用いられるテンプレートTについて説明するための図であり、図5は自動設定処理の概要を示すフローチャートである。
【0047】
診断用WS6のメモリには、撮影部位ごとに、ランドマークの自動設定処理に用いられるテンプレートが記憶されている。テンプレートは、周辺の構造物に比べて形状に際立った特徴を有する解剖学的構造物を表す3次元形状パターンと、その3次元形状パターン内にある1つまたは複数の特徴点を表すデータである。図4は、第5腰椎の形状を表すパターンと、そのパターン内の点Pa、PbおよびPcの位置が記録されたテンプレートTを例示している。なお、各テンプレートには、そのテンプレートに固有の座標系が定義されており、特徴点の位置はその座標系の座標値として記憶されるものとする。
【0048】
自動設定機能が選択されると、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータの自動解析により上記特徴点を識別する。はじめに、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルの中の1つを参照し、そのファイルのヘッダ情報に基づき撮影部位を判別する。あるいは、ボリュームデータ選出時に指定された撮影部位の情報を取得することにより、撮影部位を判別する(S101)。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgおよび腹部MRIデータV2orgは、いずれも腹部のデータであるため、撮影部位は「腹部」と判定される。
【0049】
次に、ランドマーク設定手段62は、その撮影部位用に保存されているテンプレートを、メモリから読み込む(S102)。例示したケースでは、図4に例示したテンプレートT、すなわち第5腰椎の形状パターンおよび特徴点Pa、PbおよびPcを表すデータが読み込まれる。
【0050】
その後、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルから、それぞれボリュームデータを読み出す。そして、その中の1つのボリュームデータについて、領域ごとに、テンプレートとのマッチングを行い、テンプレートのパターンと同じ形状を有する構造物が含まれる領域(対応領域)を探索する(S103)。ランドマーク設定手段62は、さらに、抽出された対応領域から、テンプレートTが示す特徴点に対応する点を探索する(S104)。そして、探索により識別された点のXYZ座標値を、ランドマーク座標としてメモリに記憶する(S105)。続いて、ファイルから読み出された次のボリュームデータについて、ステップS103〜S105の処理を繰り返す(S106)。
【0051】
例示したケースでは、ステップS103において腹部CTデータV1orgの各領域とテンプレートTとのマッチングにより、腹部CTデータV1org中の第5腰椎に対応する領域が抽出される。続いて、ステップS104において、特徴点Pa,PbおよびPcに対応する点L1a,L1bおよびL1cが識別される。これにより、図4の上段に示すように、腹部CTデータV1org中に、ランドマークとなる点L1a,L1bおよびL1cが設定される。続いて、腹部MRIデータV2orgを対象として同様の処理が実行され、図4の下段に示すように、腹部MRIデータV2org中に、ランドマークとなる点L2a,L2bおよびL2cが設定される。
【0052】
上記処理は、ボリュームデータ選出手段61により2つのボリュームデータが選出された場合の処理であるが、3以上のボリュームデータが選出された場合も、S103〜S105の処理を繰り返すことで、同様にランドマークを設定することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、対応領域および対応点の探索に、”Matching Local Self-Similarities across Images and Videos”( Shechtman E, Irani M, Computer Vision and Pattern Recognition 2007, IEEE Conference on 17-22 June 2007, pages 1-8)に記載されている方法を応用する。この方法は、静止画または動画のフレームを構成する個々の画素の周辺領域を複素対数極座標変換(log-polar mapping)することにより取得される記述子(descriptor)を対象としてマッチングを行うというものである。この方法は、幾何学的特徴を表す記述子に基づいて画像の一致/不一致を判断するため、幾何学的特徴が同じであれば、色やテクスチャーが全く異なる画像であっても、同じ画像として認識することができる。
【0054】
同文献が、動画のマッチング方法として提案する方法は、動画の1フレームをスライス画像とみなし、動画のフレーム群をボリュームデータとみなすことにより、断層撮影装置が出力するボリュームデータ同士のマッチング処理に適用することができる。異なる撮影モダリティにより取得されたデータの場合、撮影対象が同じであってもボクセルデータの値(色または濃度)、エッジの鮮明度は異なるものとなるが、上記方法によれば、異なる撮影モダリティにより取得されたデータ間でも、対応点を正確に識別することができる。
【0055】
但し、対応領域および対応点の探索方法は、上記方法に限定されるものではなく、他の公知の方法を採用してもよい。また、診断用WS6に複数種類の探索プログラムを実装し、複数のボリュームデータを取得したモダリティが同一か異なるかによって、探索方法を切り替えてもよい。
【0056】
以上、ランドマークの自動設定処理について説明したが、続いて、図6A,6Bおよび図7を参照して、ランドマーク設定手段62の手動設定処理について説明する。本実施形態では、ユーザは、ディスプレイ7の画面に表示されたボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)画像上で、所望の点を指定する操作を行うことにより、ランドマークを設定することができる。図6Aおよび図6Bは、設定画面の表示例を示す図であり、図7は手動設定処理の概要を示すフローチャートである。
【0057】
手動設定機能が選択されると、ランドマーク設定手段62は、ボリュームデータ選出手段61が選出したファイルに含まれるボリュームデータから、それぞれVR画像を生成する。そして、生成した画像を、ディスプレイ7の画面に表示する(S201)。例示したケースでは、腹部CTデータV1orgおよび腹部MRIデータV2orgから、それぞれ腹部を表すVR画像を生成され、表示される。図6Aは、画像ウィンドウW1およびW2が配置された設定画面において、腹部CTデータV1orgから生成されたVR画像が画像ウィンドウW1に、腹部MRIデータV2orgから生成されたVR画像が画像ウィンドウW2に、それぞれ表示された状態を示している。
【0058】
次に、ランドマーク設定手段62は、表示中のVR画像に対する領域指定操作を受け付ける(S202)。例えば、図6Aに示される画面の画像ウィンドウW1、W2のそれぞれにおいて、カーソルCの移動による領域指定操作を受け付ける。図6Aは、第5腰椎を含む領域R1,R2が指定されたところを例示している。
【0059】
VR画像上で領域が指定されると、ランドマーク設定手段62は、画面上で指定された領域を示す座標値に基づいて、各ボリュームデータから対応する領域を抽出する(以下、抽出された領域を、「部分ボリュームデータ」と称する)。続いて、抽出した部分ボリュームデータから、指定された領域のみを表す領域拡大VR画像を生成し、表示する(S203)。領域拡大VR画像は、指定された領域に含まれる構造物を、ステップS201で生成および表示したVR画像よりも高い解像度で表したVR画像である。
【0060】
例えば図の例では、図6Aに示す画面において第5腰椎を含む領域R1,R2が指定されると、腹部CTデータV1org、腹部MRIデータV2orgのそれぞれから、領域R1,R2に対応する領域が抽出され、抽出された部分ボリュームデータから、第5腰椎周辺を表す領域拡大VR画像が生成され、表示される。例えば、図6Aに示す画面において領域指定操作が行われると、図6Bに示すように画像ウィンドウW1、W2の下方に画像ウィンドウW3、W4が表れ、画像ウィンドウW3には腹部CTデータV1orgの部分ボリュームデータから生成された領域拡大VR画像が、画像ウィンドウW4には腹部MRIデータV2orgの部分ボリュームデータから生成された領域拡大VR画像が、それぞれ表示される。
【0061】
次に、ランドマーク設定手段62は、領域拡大VR画像上で、点指定操作を受け付ける(S204)。そして、指定された点のXYZ座標値をランドマーク座標としてメモリに記憶する(S205)。例えば、図6Bに示される画面の画像ウィンドウW3、W4のそれぞれにおいて、カーソルCの移動による点指定操作を受け付ける。図6Bは、画像ウィンドウW3上で、第5腰椎の突起部の先端が指定されたところを例示している。
【0062】
なお、ボリュームデータ選出手段61により3以上のボリュームデータが選出された場合には、ランドマーク設定手段62は、選出されたボリュームデータの数に応じた数の画像ウィンドウを画面に配置し、各ウィンドウに、個々のボリュームデータから生成されたVR画像、拡大VR画像を表示する。
【0063】
次に、再び図3を参照して、座標系設定手段63の処理について説明する。座標系設定手段63は、ランドマーク設定手段62が設定したランドマークに基づいて、選出されたボリュームデータ間で統一された座標系を設定する。言い換えれば、選出された複数のボリュームデータを、共通の座標空間内に配置することで、解剖学的にみて同じ点が、いずれのボリュームデータにおいても同じ座標値により特定できるようにする。
【0064】
具体的には、いずれか1つのボリュームデータの座標系を基準座標系とし、他のボリュームデータをアフィン変換等により拡大または縮小、回転、平行移動することにより、そのボリュームデータの座標系が基準座標系と一致するようにする。図は、腹部MRIデータV2orgの座標系を基準座標系9とし、腹部CTデータV1orgを平行移動により基準座標系9が表す座標空間に移動した場合を例示している。この処理により、ランドマークL1とランドマークL2とは、基準座標系9の下、同じ座標値により表されることとなる。また、ランドマークに限らず、腹部CTデータV1org内および腹部MRIデータV2org内の点や断面は、解剖学的位置が同じであれば、同じ座標値により特定できるようになる。
【0065】
なお、2つのボリュームデータの座標系の相違が、体軸方向のずれのみのときにはランドマークは1つでよいが、任意の相違に対応できるようにするためには、ランドマークは少なくとも3つ設定する必要である。3点とも同一平面に含まれることがないように3つのランドマークを設定すれば、XYZ方向のいずれのずれにも、回転方向や撮影倍率の違いにも対応することができる。
【0066】
次に、図3、図8Aおよび図8Bを参照しながら、不一致検出手段64の処理について説明する。不一致検出手段64は、ボリュームデータ選出手段61により選出されたファイルのヘッダ領域を順次参照し、ヘッダ領域に記録されている画像方向の情報を対比する。図8Aおよび図8Bは、いずれも3つのファイルが選出された場合を例示している。
【0067】
図8Aに示すように、ファイル10a、10bおよび10cのすべてにおいて、ヘッダ領域に記録されている画像方向が同じである場合、すなわちボリュームデータV1org、V2org、V3orgの撮影時の画像方向が一致する場合には、不一致検出手段64は一致を示す出力値(例えば0)を出力する。一方、図8Bに示すように、一部のファイル10dにおいて、ヘッダ領域に記録されている画像方向が、他のファイル10aおよび10cのヘッダ領域に記録されている画像方向と異なる場合には、不一致検出手段64は、画像方向の不一致を示す出力値(例えば1)を出力する。
【0068】
続いて、図3および図9を参照しながら、方向決定手段65の処理について説明する。方向決定手段65は、不一致検出手段64の出力値に基づき、画像方向の不一致が検出されたか否かを判定する(S301)。不一致が検出されていなければ、すなわち、図8Aの例のように全ファイルにおいてヘッダ領域に記録されている画像方向が一致していれば、再構成画像の画像方向を、その一致している方向(図8Aの例ではアキシャル)に決定する(S307)。
【0069】
画像方向の不一致が検出された場合には、方向決定手段65は、各ファイルのヘッダ領域に記録されているスライス間隔の値を順次参照しながら、スライス間隔が最大のデータを探索する(S302)。図3の例では、各ファイルのヘッダ領域に記録されているスライス間隔の値は、腹部CTデータを含むファイルでは0.25mm、腹部MRIデータV2orgを含むファイルでは1mmであるため、腹部MRIデータV2orgを含むファイルが、選出される。
【0070】
スライス間隔が最大のデータを含むファイルが1つしかなければ(S303)、方向決定手段65は、再構成画像の画像方向を、そのスライス間隔が最大のデータの画像方向に決定する(S306)。
【0071】
一方、スライス間隔が最大のデータを含むファイルが複数ある場合には(S303)、方向決定手段65は、各ファイルのファイル名とヘッダ情報(画像方向、スライス間隔の値を含む)を、ディスプレイ7の画面に所定の形式で表示する。そして、ユーザによるファイルの選択操作を受け付け(S304)、再構成画像の画像方向を、ユーザが選択したファイルに含まれるデータの画像方向に決定する。
【0072】
なお、図2Aおよび図2Bに示した例のように、スライス間隔とボクセルデータの間隔とが同じである場合には、スライス間隔(Spacing Between Slices)を示すタグ情報に代えて、画素間隔(Pixel Spacing)を示すタグ情報を参照してもよい。
【0073】
次に画像再構成手段66について、説明する。図1に示すように、画像再構成手段66には、座標系設定手段63が設定した基準座標系9の情報と、方向決定手段65が決定した画像方向の情報とが供給される。図3に示すように、画像再構成手段66は、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)を基準座標系9により表される座標空間に配置し、そのボリュームデータを構成する各スライス画像(サジタル画像SI1〜SIN)の位置座標を、それぞれ特定する。例示したケースでは、基準座標系9のY軸が、サジタル画像SI1〜SINに対し垂直であるため、サジタル画像SI1〜SINの位置は、Y方向の座標値y1〜yNによって特定されるものとする。
【0074】
続いて、画像再構成手段66は、他のボリュームデータ(腹部CTデータV1org)を、基準座標系9により表される座標空間に配置する。そして、そのボリュームデータ内で、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)内で特定されたスライス位置座標y1〜yNに対応する位置を特定する。例示したケースでは、この処理により、腹部CTデータV1org内に、Y方向のスライス位置座標が、それぞれy1〜yNであるサジタル断面が定義される。次に、画像再構成手段66は、腹部CTデータV1orgを構成するボクセルデータを用いて、それらのサジタル断面を表す画像のシリーズRSI1〜RSINを再構成する。
【0075】
以上の処理により、画像方向の決定に用いられたボリュームデータ(腹部MRIデータV2org)を構成するスライス画像のシリーズ(サジタル画像SI1〜SIN)と、それ以外のボリュームデータ(腹部CTデータV1org)から再構成されたスライス画像のシリーズ(再構成サジタル画像RSI1〜RSIN)とが得られる。
【0076】
基準座標系9の下では、腹部CTデータV1orgの位置yi(1≦i≦N)におけるサジタル面と、腹部MRIデータV2orgの位置yi(1≦i≦N)におけるサジタル面とは、解剖学的にみて同じ断面となり、したがって対応する位置の画像を対比することにより、診断に有用な情報を得ることができる。表示制御手段67は、対応する位置の画像同士を対比しやすいレイアウトで、画面に表示する。
【0077】
例えば、図3に例示するように、再構成サジタル画像のシリーズRSI1〜RSINをディスプレイ7の画面上段に横方向に並べて配置し、サジタル画像のシリーズSI1〜SINを画面下段に同じく横方向に並べて配置し、対応する位置の画像同士が上下に並ぶように表示を制御する。さらには、シリーズ画像の表示範囲を切り替えるスクロール操作が行われたときに、画面上段の表示と画面下段の表示とを連動させ、対応する位置の画像同士が常に上下に並ぶように表示を制御する。
【0078】
なお、図3を参照した説明では、画像方向が互いに異なる2つのボリュームデータを例示したが、各手段が実行する処理は、任意の画像方向の3以上のボリュームデータが選出された場合も同様である。また、上記説明では、CTデータとMRIデータの比較を例示したが、各手段が実行する処理は、CTデータとPETデータ等、他のモダリティにより取得されたデータの場合も同様である。
【0079】
また、上記説明では、図2Aの腹部CTデータV1orgと図2Bに示した腹部MRIデータV2orgを読影に利用する場合を例示したが、例えば、腰椎の診断のために比較読影を行うのであれば、腹部MRIデータV2orgに代えて、腹部MRIデータV2tgtを利用してもよい。つまり、腹部CTデータV1orgに対し新たに骨抽出処理を施したデータと、既に骨抽出処理が施された腹部MRIデータV2tgtを利用して、比較用の画像を生成してもよい。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態では、比較対象として指定された複数のシリーズの間で、撮影時の画像方向が一致しておらず、少なくとも一部のボリュームデータに関して、必要な画像方向のスライス画像を再構成処理により生成しなければならない場合に、再構成画像の画像方向を、スライス間隔が最大のシリーズの画像方向とすることで、最も粗いボリュームデータから再構成画像が生成されることが無いようにしている。このため、指定されたシリーズを使って実現できる範囲で最善の画質の比較読影用画像を得ることができる。
【0081】
本実施形態のシステムを用いれば、例示したケースのように、異なる検査目的で取得されたデータを、比較読影用のデータとして有効に活用することができる。他の診療科で取得されたデータや同じ診療科の異なる検査で取得されたデータを活用することで、検査(撮影)の回数を減らすことができれば、受診者の身体的、経済的負担も軽減される。
【0082】
なお、上記実施形態は、ランドマークの自動設定処理、手動設定処理のいずれかを選択的に実行するものであるが、前述した自動設定処理によりランドマークを仮設定した後、図6Bに例示した画面上に仮設定されたランドマークを表示し、前述した手動設定処理によりランドマークの位置を調整できるようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、座標系設定手段は、統一された座標系としてXYZ座標系を設定しているが、座標系の種類は特に限定されず、例えば極座標系でもよい。
【0084】
また、上記実施形態は、クライアント/サーバ型のシステムであるが、一台のコンピュータが、ボリュームデータ記憶手段、ボリュームデータ選出手段、ランドマーク設定手段、座標系設定手段、不一致検出手段、方向決定手段、画像再構成手段および表示制御手段としての機能を備える構成としてもよい。
【0085】
このように、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 診断支援システム、 32 モダリティ群、 5 大容量ストレージ、
9 座標系、 10,10a−10d ファイル
AP1-APN アキシャル面、
AI1-AIN アキシャル画像のシリーズ、
SP1-SPN サジタル面、
SI1-SIN サジタル画像のシリーズ、
V1org,V2org ボリュームデータ、
V1tgt,V2tgt ボリュームデータ、
L1,L2 ランドマーク(点)、
RSI1-RSIN 再構成サジタル画像、
T テンプレート、Pa〜Pc 特徴点、
W1〜W4 画像ウィンドウ、 C カーソル、R1,R2 領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶手段と、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出手段と、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定手段と、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定手段と、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出手段と、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定手段と、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成手段と、
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御手段とを備えることを特徴とする診断支援システム。
【請求項2】
前記ランドマーク設定手段が、前記ボリュームデータの自動解析により前記解剖学的特徴を表す点を識別することを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項3】
前記ランドマーク設定手段が、前記ボリュームデータ内の位置を指定する操作を受け付け、該操作により指定された点を、前記解剖学的特徴を表す点として識別することを特徴とする請求項1または2記載の診断支援システム。
【請求項4】
前記ボリュームデータ選出手段が、異なる撮影日に同じモダリティにより取得された複数のボリュームデータを選出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の診断支援システム。
【請求項5】
前記ボリュームデータ選出手段が、同じ撮影日に異なるモダリティにより取得された複数のボリュームデータを選出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の診断支援システム。
【請求項6】
一台または複数台のコンピュータを、
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶手段、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出手段、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定手段、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定手段、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出手段、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定手段、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成手段、および
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御手段として機能させることを特徴とする診断支援プログラム。
【請求項7】
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶処理と、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出処理と、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定処理と、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定処理と、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出処理と、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定処理と、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成処理と、
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御処理とを行うことを特徴とする診断支援方法。
【請求項1】
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶手段と、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出手段と、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定手段と、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定手段と、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出手段と、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定手段と、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成手段と、
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御手段とを備えることを特徴とする診断支援システム。
【請求項2】
前記ランドマーク設定手段が、前記ボリュームデータの自動解析により前記解剖学的特徴を表す点を識別することを特徴とする請求項1記載の診断支援システム。
【請求項3】
前記ランドマーク設定手段が、前記ボリュームデータ内の位置を指定する操作を受け付け、該操作により指定された点を、前記解剖学的特徴を表す点として識別することを特徴とする請求項1または2記載の診断支援システム。
【請求項4】
前記ボリュームデータ選出手段が、異なる撮影日に同じモダリティにより取得された複数のボリュームデータを選出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の診断支援システム。
【請求項5】
前記ボリュームデータ選出手段が、同じ撮影日に異なるモダリティにより取得された複数のボリュームデータを選出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の診断支援システム。
【請求項6】
一台または複数台のコンピュータを、
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶手段、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出手段、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定手段、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定手段、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出手段、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定手段、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成手段、および
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御手段として機能させることを特徴とする診断支援プログラム。
【請求項7】
被検体の断層撮影により取得されたスライス画像のシリーズを、前記スライス画像の画像方向、スライス間隔および前記被検体の情報と関連づけられたボリュームデータとして、所定の記憶媒体に記憶せしめるボリュームデータ記憶処理と、
前記記憶媒体に記憶されているボリュームデータの中から、前記被検体の情報に基づいて、同じ被検体を表す複数のボリュームデータを選出するボリュームデータ選出処理と、
被検体の解剖学的特徴を表す点であって、選出された複数のボリュームデータに共通に含まれる点を、少なくとも1つ識別し、該点をランドマークとして設定するランドマーク設定処理と、
設定されたランドマークに基づいて、前記複数のボリュームデータに対し、統一された座標系を設定する座標系設定処理と、
前記複数のボリュームデータ間で、前記画像方向の情報を対比することにより、ボリュームデータ間の画像方向の不一致を検出する不一致検出処理と、
前記画像方向の不一致が検出されたときに、前記複数のボリュームデータの中から前記スライス間隔が最大である一のボリュームデータを選出し、該一のボリュームデータの画像方向を、再構成画像の画像方向に決定する方向決定処理と、
他の各ボリュームデータにおいて、前記統一された座標系に基づいて、前記一のボリュームデータを構成する各スライス画像のスライス位置に対応するスライス位置をそれぞれ特定し、特定された各スライス位置において、それぞれ、前記決定された画像方向の断面を表す再構成画像を生成することにより、再構成画像のシリーズを生成する画像再構成処理と、
前記一のボリュームデータを構成するスライス画像のシリーズと、前記他の各ボリュームデータから生成された再構成画像のシリーズとを、対応するスライス位置のスライス画像と再構成画像とを対比可能なレイアウトで、表示画面に出力する表示制御処理とを行うことを特徴とする診断支援方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2011−120827(P2011−120827A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282994(P2009−282994)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100118614
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 万里
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100118614
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 万里
【Fターム(参考)】
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