説明

試験先端部材を有する応荷重制御弁

応荷重制御弁は、荷重制御室30と、加圧下における制御流体源との連通用の制御ポート32と、制御ポート32に関連付けられる試験先端部材60とを備える。試験先端部材60は通常、制御流体源と荷重制御室30との間の連通を可能にするように構成される。試験先端部材60は、制御流体源及び荷重制御室30の両方による試験ポート64との連通を可能にする第1の試験構成を有する。試験先端部材60は、荷重制御室30と試験ポート64との間のみの連通を可能にする第2の試験構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道車両における空気ばね圧力によって示されるような車両の重量に比例してブレーキシリンダに送られる空気圧の最大値を制限するように機能する応荷重制御弁に関する。より詳細には、本発明は、荷重制御室内の圧力を監視するために、又は荷重制御室への供給を行うシステムを加圧することなく応荷重制御弁の荷重制御室を加圧するために、試験先端部材(test point)が設けられるタイプの応荷重制御弁を対象とする。
【背景技術】
【0002】
応荷重制御弁は、鉄道空気ブレーキシステムの周知の構成要素である。そのような応荷重制御弁は、例えば米国特許第3,517,771号明細書、米国特許第3,583,772号明細書、米国特許第5,340,203号明細書に記載されている。応荷重制御弁の詳細は、特にブレーキ圧力の解放に関して異なり得るが、全てのそのような応荷重制御弁は共通の特徴、すなわち、供給室と、吐出室と、荷重制御室とを有する。吐出室は、供給室と吐出室との間で応荷重制御弁を制御するように配置されるピストンによって荷重制御室から分離されている。荷重制御室は、一般的に車両の荷重に比例して圧縮される空気、例えば空気ばねシステムにおける空気を供給するシステムに接続される。
【発明の開示】
【0003】
本発明人らに公知である現在の応荷重制御弁の設計は、例えば空気ばね圧力を受け取ると共に、その圧力における変化に反応することしかできない。試験の目的で、制御圧を応荷重制御弁に送ることを可能にすることによって、様々な車両重量においてブレーキシステム機能を点検する必要がある。本発明の目的は、応荷重制御弁に一体型試験先端部材を設け、車両の配管を分離することなく又は正確さが劣る他の試験手段を使用することなく、シミュレートされた車両重量においてブレーキシステムの試験を可能にすることである。
【0004】
[発明の概要]
本発明による試験先端部材を有する応荷重制御弁は、システムの重要な特徴の点検を提供することによって鉄道車両のブレーキシステムの試験を改善する。
【0005】
簡潔に述べると、本発明によれば、荷重制御ポートに関連付けられる試験先端部材を有する応荷重制御弁が提供される。試験先端部材は、試験先端部材の入口ポートを荷重制御ポート及びシステム配管から遮断する第1の位置に偏らされるピストンを有する。偏りを部分的に克服することによって達成される第2の位置では、試験先端部材の入口ポートは、システム配管及び荷重制御室と連通して配置される。より一層偏りを克服することによって達成される第3の位置では、入口ポートは荷重制御室とのみ連通する。この位置は、試験用の制御圧を送り込むのに有用である。
【0006】
好ましい一つの実施形態によれば、一体型試験先端部材を有する応荷重制御弁は、上部ケーシング部と、中間ケーシング部と、下部ケーシング部とを備える。これらのケーシング部は、中間ケーシング部が上部ケーシング部及び下部ケーシング部に隣接するように共に固定される。供給ポートを有する供給室と吐出ポートを有する吐出室とは上部ケーシング部内に形成され、弁座が供給室と吐出室との間に配置される。弁ストッパは、偏向装置によって弁座の方へ押し進められる。荷重制御室は、下部ケーシング部内に形成され、加圧下において制御流体源との連通用の制御ポートを有する。ピストンシリンダは中間ケーシング部内に形成される。吐出室及び荷重制御室と連通する当たり面を有するピストンは、ピストンシリンダ内に位置する。ピストンは、一方の位置におけるピストンが弁ストッパを弁座から離れた状態に保つように、弁ストッパに接触するための関連付けられたリンケージを有する。したがって、加圧流体が供給室から運ばれる場合、荷重制御室内の圧力に従って弁ストッパを着座させることによって、吐出室内の加圧流体は最大値に制限される。試験先端部材は、荷重制御室内の荷重制御ポートと制御流体源とに関連付けられる。試験先端部材は、ばねによって偏らされると共に内部に入口ポートと連通通路とを備えたプランジャを有する。プランジャは通常、入口ポートの隔離を可能にすると共に圧力源と荷重制御室との間の連通を可能にする第1の位置に偏らされる。プランジャは、制御流体源及び荷重制御室の両方と入口ポートとの連通を可能にする第1の試験位置を有する。プランジャは、荷重制御室と入口ポートとの間のみの連通を可能にする第2の試験位置を有する。
【0007】
さらなる特徴と、他の目的及び利点とは、図面を参照して記載されている以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照すると、典型的な応荷重制御弁は、上部ケーシング部10と、中間ケーシング部12と、下部ケーシング部14とを有し、これらは、中間ケーシング部12が上部ケーシング部10及び下部ケーシング部14に隣接するように共に固定されている。供給ポート18を有する供給室16と吐出ポート22を有する吐出室20とは、供給室16と吐出室22との間に位置する弁座24と共に上部ケーシング部10内に形成されている。弁ストッパ26は、ばね28によって弁座24の方へ押し進められる。
【0009】
荷重制御室30は、下部ケーシング部14内に形成され、加圧下における制御流体源、例えば空気ばね圧力源との連通用の制御ポート32を有している。
【0010】
ピストンシリンダ34は、中間ケーシング部12内に形成されている。ピストンシリンダ34内のピストン36は、吐出室20及び荷重制御室30と連通する当たり面を有している。ピストン36は、弁ストッパ26に接触する関連付けられたステム38を有し、ピストン36が(図面に示されているように)上昇位置にあるときには、当該ステム38が弁ストッパ26を弁座24から離れた状態に保つ。
【0011】
ばね40は、ピストン36を吐出室20の方へ押し進めるために荷重制御室30内に設けられている。荷重制御室30内の加圧流体とばね40とは、ピストン36を吐出室20の方へ押し進める。吐出室20内の加圧流体は、ピストン36を荷重制御室30の方へ押し進める。荷重制御室30内のばね40及び流体によるピストン36に対する力が吐出室20内の流体の力よりも大きい場合、ピストン36はステム38を動かして、応荷重制御弁を開いたままにする。吐出室20内の流体の力よりも大きくない場合、応荷重制御弁は閉じる。したがって、荷重制御室30内の圧力は、ピストン36に対する吐出室20内の圧力が、制御圧力及びばねによって提供されるピストン36の他方の面に対する力を超える力を提供する場合に応荷重制御弁を閉じることを可能にすることによって、吐出室20内の圧力を制限する。これは、弁ストッパ26を着座させることによって、吐出室20内及び吐出ポート22における圧力の最大値に制限する。
【0012】
応荷重制御弁が閉じると、吐出ポート22がブレーキシリンダに接続するため、吐出室22内の圧力の低下は不可能である。解放を可能にするためには、例えば米国特許第3,460,872号明細書に記載されている方法で、中間ピストン表面50を解放ポート52に接続する。
【0013】
上記の全ては当該技術分野においては古いものである。本発明による改善は、一体型試験先端部材60を含むことである。試験先端部材60は、荷重制御室30内の荷重制御ポートと、空気ばね圧力源のような制御流体源とに関連付けられている。
【0014】
図2及び図3を参照すると、試験先端部材60は、ばねによって偏らされると共に内部に試験ポート(又は入口ポート)64及び通路66を備えたプランジャ62を有している。プランジャ62は通常、制御流体源と荷重制御室30との間の連通を可能にする位置に存在する(図2参照)。プランジャ62は、制御流体源及び荷重制御室30の両方と入口ポート64との連通を可能にする第1の試験位置(図3参照)を有している。プランジャ62は、荷重制御室30と入口ポート64との間のみの連通を可能にする第2の試験位置を有している。
【0015】
鉄道車両の空気サスペンションシステムからの加圧制御流体は、マニホルドポート(manifold porting)から応荷重制御弁に流入し、中間ケーシング部12を通って、試験先端部材60の中央にある供給ポート内に送られる。試験先端部材60によって、空気ばね圧力を、貫流させるか(通常運転)、監視するか、又は外部制御することができる。
【0016】
図2及び図3を再び参照すると、試験先端部材60は本体70を有し、本体70は、制御圧力源と連通する流体流入ポート74及び荷重制御室30と連通する流体流出ポート76を有する搬送室72を画定すると共に、搬送室72及び入口ポート64と連通するピストンシリンダ78を画定している。ピストンすなわちプランジャ62は、ピストンシリンダ78内に滑動可能に位置している。プランジャ62は、一方の軸方向の端にある入口ポート64と、軸方向の通路66とを有している。通路66は、入口ポート64からプランジャ62を部分的に貫通して延びているが、プランジャ62の他方の軸方向の端の前で終端している。プランジャ62は、軸方向の通路66及びプランジャ62の外側円柱面と連通している半径方向の通路82を有している。搬送室72内のばね84は、プランジャ62内の半径方向の通路82がピストンシリンダ78の壁によって塞がれるように、プランジャ62を搬送室72から離れるように偏らせる。流体流入ポート74は、プランジャ62に軸方向に位置合わせされ、弁座86を画定している。
【0017】
プランジャ62は、プランジャ62がばね84に対して押圧されるときに弁座86内に着座させられる弁ストッパ88を自身の軸方向の閉端に有している。この位置では、プランジャ62内の半径方向の通路82は搬送室72内に開いている。この位置では、流体流入ポート74は流体流出ポート76とのみ連通している。この位置では、試験圧力は、上流のシステム(例えば空気ばねシステム)に影響を与えることなく荷重制御室30内に送り込むことができる。
【0018】
プランジャ62は、弁ストッパ88が着座しておらず且つ半径方向の通路82が搬送室72と連通している中間位置を有している。中間位置では、入口ポート64は、流体流入ポート74及び流体流出ポート76の両方と連通している。この位置では、荷重制御室30内の圧力を通常運転中に監視することができる。
【0019】
このように、特許法によって要求される詳細及び特殊性に関して本発明を説明したが、特許証による保護が望まれるものは添付の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による一体型試験先端部材を有する応荷重制御弁の一実施形態の概略断面図である。
【図2】入口ポートを隔離すると共に、制御流体源及び荷重制御室からの流動を可能にする第1の位置における試験先端部材の断面図である。
【図3】入口ポートと、荷重制御室及び制御流体源との間の連通を提供する第3の位置における試験先端部材の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重制御室と、制御流体源との連通用の制御ポートとを有する応荷重制御弁において、
前記制御ポート及び前記荷重制御室に関連付けられると共に前記制御流体源に接続可能な試験先端部材を備え、
該試験先端部材は、前記制御流体源と前記荷重制御室との間の連通を可能にするように通常は構成され、
前記試験先端部材は、
試験ポートと、
前記制御流体源及び前記荷重制御室の両方による前記試験ポートとの連通を可能にする第1の試験構成と、
前記荷重制御室と前記試験ポートとの間のみの連通を可能にする第2の試験構成と
を有する応荷重制御弁。
【請求項2】
試験ポートを有する一体型試験先端部材を有する応荷重制御弁であって、
前記試験先端部材は、荷重制御ポート及び荷重制御室に関連付けられると共に制御流体源に接続可能であり、ばねによって偏らされると共に内部に前記試験ポート及び通路を備えたプランジャを有し、
該プランジャは通常、前記制御流体源と前記荷重制御室との間の連通を可能にする位置に存在し、
前記プランジャは、
前記試験ポートと前記制御流体源及び前記荷重制御室の両方との前記試験ポートの連通を可能にする第1の試験位置と、
前記荷重制御室と前記試験ポートとの間のみの連通を可能にする第2の試験位置と
を有する応荷重制御弁。
【請求項3】
一体型試験先端部材を有する応荷重制御弁であって、
中間ケーシング部が上部ケーシング部及び下部ケーシング部に隣接するように共に固定された、上部ケーシング部、中間ケーシング部及び下部ケーシング部と、
供給ポートを有する供給室及び吐出ポートを有する吐出室であって、該供給室及び該吐出室は前記上部ケーシング部内に形成され、弁座が前記供給室と前記吐出室との間に配置される供給室及び吐出室と、
偏向手段によって前記弁座の方へ押し進められる弁ストッパと、
加圧下において制御流体源との連通用の制御ポートを有すると共に前記下部ケーシング部内に形成された荷重制御室と、
前記中間ケーシング部内に形成されたピストンシリンダと、
前記吐出室及び前記荷重制御室と連通する当たり面を有するピストンであって、前記吐出室に近い位置に存在する場合、前記弁ストッパが前記弁座から離れた状態に保たれると共に加圧流体が前記供給室から前記吐出室へ運ばれるように、前記弁ストッパと接触するための関連付けられた手段を有するピストンと、
前記荷重制御室内の前記荷重制御ポートと前記制御流体源とに関連付けられる試験先端部材であって、該試験先端部材は、ばねによって偏らされると共に内部に試験ポート及び通路を備えたプランジャを有し、該プランジャは通常、前記制御流体源と前記荷重制御室との間の連通を可能にする位置に存在し、該プランジャは、前記制御流体源及び前記荷重制御室の両方による前記試験ポートとの連通を可能にする第1の試験位置と、前記荷重制御室と前記試験ポートとの間のみの連通を可能にする第2の試験位置とを有する試験先端部材と
を備える応荷重制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−530184(P2009−530184A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501438(P2009−501438)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/005773
【国際公開番号】WO2007/108935
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(506190681)ワブテク・ホールディング・コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】WABTEC HOLDING CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1001 Air Brake Avenue, Wilmerding, PA 15148, U.S.A.
【Fターム(参考)】