説明

認識対象物、対象物認識装置およびプログラム、対象物認識システム

【課題】撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有し、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されることを抑制する、認識対象物を提供することにある。
【解決手段】撮像される認識対象物であって、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、ことを特徴とする認識対象物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識対象物、認識対象物を認識する対象物認識装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ID(Identification)などの識別情報を付与したカード等の対象物を利用し、当該対象物の3次元空間における位置や角度(対象物が向いている方向等)を計測する位置計測システムの研究がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像可能な任意の物体であって、少なくとも、前記物体の特定の面に取付けられた複数の光源と、前記光源の入出力を制御する制御手段とを備え前記制御手段は、前記光源の点滅パターンが異なるように点滅制御することを特徴とする自己位置提示物体について記載がされている。
【0004】
また、特許文献2には、対象物に配置された平面上の3つの点である第一基準点の互いの位置関係、当該平面から一定の距離にある1つの点である第二基準点の当該第一基準点との位置関係、および当該平面上に配置された第三基準点の当該第一基準点との位置関係を記憶する記憶部と、前記対象物の基準点を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された前記基準点の画像の位置関係から、アフィン不変量を用いることで前記第一基準点の画像と前記第二基準点の画像と前記第三基準点の画像とを識別する識別部と、前記記憶部より前記第一基準点の互いの位置関係および前記第二基準点の当該第一基準点との位置関係を読み出し、当該位置関係と前記撮像部により撮像された前記基準点の画像の位置関係から、第三基準点の第一基準点との位置関係を演算する演算部と、前記記憶部に記憶された前記第三基準点の前記第一基準点との位置関係を読み出し、当該位置関係と前記演算部により演算された第三基準点の第一基準点との位置関係とを比較し、前記対象物を認識する認識部と、を備えることを特徴とする対象物認識装置について記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−131017号公報
【特許文献2】特開2009−92568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する当該認識対象物の三次元位置等の算出に用いられる一の識別部と、当該認識対象物の三次元位置等の算出において補助的に用いられ、あるいは当該認識対象物の三次元位置等の算出以外の目的に用いられるように設けられた他の識別部と、を有する認識対象物は、当該認識対象物を撮像する撮像部との位置関係(例えば、当該認識対象物と、当該認識対象物を撮像する撮像部が有する光軸と、のなす角度が小さくなるような位置関係)によっては、識別部同士が近接して撮像される等の理由によって、当該認識対象物の三次元位置等を正確に算出し得ないという課題があった。
【0007】
上記のような課題を解決するために、本発明の目的の一つは、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有し、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されることを抑制する、認識対象物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮像される認識対象物であって、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、ことを特徴とする認識対象物である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記角度範囲0〜θ度におけるθは、前記第二識別部の周囲に備えられる前記第二識別部の撮像を遮る遮蔽部によって定められる、ことを特徴とする請求項1に記載の認識対象物である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記第一識別部と、前記第二識別部と、は発光素子であり、当該認識対象物において、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射し、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する、ことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の認識対象物である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段と、前記計数手段によって計数された数が規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段と、を有し、前記規定数は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、ことを特徴とする対象物認識装置である。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記角度範囲0〜θ度におけるθは、前記第二識別部の周囲に備えられる前記第二識別部の撮像を遮る遮蔽部によって定められる、ことを特徴とする請求項4に記載の対象物認識装置である。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記第一識別部と、前記第二識別部と、は発光素子であり、当該認識対象物において、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射し、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する、ことを特徴とする請求項4又は5いずれかに記載の対象物認識装置である。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段、前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段、及び、前記計数手段によって計数された数が、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物と、前記認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段と、前記計数手段によって計数された数が、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段と、を有する対象物認識装置と、を有することを特徴とする対象物認識システムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されないという効果を奏する。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲のうちの他の識別部が撮像されない一部は、当該認識対象物に備えられた遮蔽部によって定められるという効果を奏する。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲のうちの他の識別部が撮像されない一部は、発光素子である一の識別部及び他の識別部のそれぞれの最大出射角度によって定められるという効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を演算するという効果を奏する。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を演算するという効果を奏する。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を演算するという効果を奏する。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有し、一の識別部を撮像可能な空間領域のうちの共通平面と隣り合う部分の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を演算するという効果を奏する。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を演算するようにコンピュータを機能させる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、撮像される認識対象物の予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する一の識別部と、他の識別部と、を有する認識対象物において、一の識別部を撮像可能な前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲の一部からは他の識別部が撮像されず、測定誤差が抑制されるように当該認識対象物の位置情報を対象物認識装置が演算するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一実施形態にかかる対象物認識装置が適用される対象物認識システムの全体構成を示す図である。
【図2A】第一実施形態にかかる認識対象物の構成を示す平面図である。
【図2B】図2Aにおける切断線2B−2Bにおける対象物の断面図である。
【図2C】図2Aにおける切断線2C−2Cにおける対象物の断面図である。
【図3】撮像される認識対象物に備えられた識別部の撮像可能な空間領域について説明する図である。
【図4】第一実施形態にかかる対象物認識装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図5A】第一識別部、第二識別部の両方が撮像される空間領域から撮像部によって撮像された画像の一例を示すものである。
【図5B】第一識別部のみが撮像される空間領域から撮像部によって撮像された画像の一例を示すものである。
【図6】第一実施形態にかかる対象物認識装置の制御部が行う処理を説明した図である。
【図7A】第二実施形態にかかる認識対象物の構成を示す平面図である。
【図7B】図7Aにおける切断線7B−7Bにおける対象物の断面図である。
【図7C】図7Aにおける切断線7C−7Cにおける対象物の断面図である。
【図8A】第一識別部、第二識別部、第三識別部の全てが撮像される空間領域から撮像部によって撮像された画像の一例を示すものである。
【図8B】第一識別部、第三識別部が撮像される空間領域から撮像部によって撮像された画像の一例を示すものである。
【図9】第二実施形態における認識対象物の第一識別部、第二識別、および第三識別部の配置例を示す図である。
【図10】第二実施形態における認識対象物の三次元位置および三軸角度を計算する方法を説明する図である。
【図11A】第三実施形態にかかる認識対象物の構成を示す平面図である。
【図11B】図11Aにおける切断線11B−11Bにおける認識対象物の断面図である。
【図11C】図11Aにおける切断線11C−11Cにおける認識対象物の断面図である。
【図12A】第四実施形態にかかる認識対象物の構成を示す平面図である。
【図12B】図12Aにおける切断線12B−12Bにおける認識対象物の断面図である。
【図12C】図12Aにおける切断線12C−12Cにおける認識対象物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第一実施形態]
以下に、第一実施形態にかかる認識対象物、対象物認識装置について図面を参照しつつ説明を行う。図1は、第一実施形態にかかる認識対象物が適用される対象物認識システムの全体構成を示す図である。図1に示されるように、第一実施形態にかかる認識対象物2が適用される情報処理システムは、撮像対象である複数の識別部(識別部)20を有する認識対象物2と、認識対象物2が有する複数の識別部20を撮像する撮像部3と、撮像部3によって撮像された認識対象物2が有する識別部20の画像(識別部画像)に基づいて認識対象物2の三次元空間での位置(以下、三次元位置という)および三軸角度(ロール角、ピッチ角、ヨー角)等の位置情報を計算する対象物認識装置1とを含むものである。
【0027】
認識対象物2は、撮像部3によって撮像されるものであり、予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部20Aからなる第一識別部20A群と、第一識別部20A群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部20Bと、を備え、第一識別部20Aは、共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像部3にて撮像され、第二識別部20Bは、共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像部3にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有するように設けられている。すなわち、第二識別部20Bは、それを撮像可能な空間領域が、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。
【0028】
はじめに認識対象物2の構成について説明を行う。図2Aは、第一実施形態にかかる認識対象物2の構成を示す平面図である。図2Bは、図2Aにおける切断線2B−2Bにおける認識対象物2の断面図である。図2Cは、図2Aにおける切断線2C−2Cにおける認識対象物2の断面図である。
【0029】
図2A〜Bにて示されるように、認識対象物2は、複数の識別部20と、基材21と、を含んで構成されている。また、認識対象物2に備えられる識別部20は、例えば、LED、赤外線発光素子等で構成されることとしてもよい。また、識別部20は、撮像部3によって撮像される周囲の可視光との差異を明確にするために、赤外LEDによって構成されることが好ましい。また、識別部20は、再帰反射型の反射部材であることとしてもよく、この場合は撮像部3の近傍から認識対象物2の可動範囲に向けて光を照射する、照射部を対象物認識システムに設けることとしてもよい。第一実施形態においては、それぞれの識別部20が赤外LEDによって実現されており、当該赤外LEDの発光を制御する制御装置(赤外LED発光制御装置)が、認識対象物2に備えられている。
【0030】
基材21は、識別部20のそれぞれを予め定められた位置に固定する部材である。また、基材21の形状は特に限定されないが、平面状の部材であって歪みのない部材であることが好ましい。基材21に平面状の部材であって歪みのない部材を用いることによって、識別部20間の距離や高さが変動することに由来する計測誤差を抑制する。
【0031】
複数の識別部20は、共通平面上の予め定められた位置に配置される第一識別部20A群と、前記第一識別部20A群の位置に基づいて定められた位置に配置される第二識別部20Bと、によって構成され、基材21に固定されている。
【0032】
ここで、第一識別部20A群は、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aを結んでできる平面が一の共通平面を形成するように配置されている。すなわち第一識別部20A群は少なくとも3以上の複数の第一識別部20Aによって構成されることとなる。以下、第一識別部20A群は3つの第一識別部20Aから構成されるものとして説明を行うこととする。
【0033】
第一識別部20A群を構成する第一識別部20Aのそれぞれはお互いに予め定められた位置に配置されているため、第一識別部20A群によって囲まれる三角形エリア(TA)の面積、および当該三角形の角度のそれぞれは予め定められていることとなる。すなわち、認識対象物2における三角形エリア(TA)の面積および当該三角形の角度と、第一識別部20A群が撮像部3によって撮像された画像における三角形の面積および当該三角形の角度と、を比較することによって、認識対象物2の位置情報を得られることとなる。すなわち、第一識別部20Aは対象物認識システムにおいて、認識対象物2の位置情報を算出する上で主となる識別部20である。そして、第一識別部20Aは、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aを結んでできる共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像される。
【0034】
第二識別部20Bは、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aとは異なる役割を有している。例えば、第二識別部20Bは、認識対象物2が複数存在する場合、認識対象物2のそれぞれを区別するための識別部20(すなわち認識対象物2自体を示すIDが付与された識別部)として用いることとしてもよい。すなわち、第一識別部20A群の位置に基づいて定められる位置を、複数の認識対象物2ごとに異なる位置とすることによって、第二識別部20Bは当該認識対象物2のID情報を付与するための識別部20としての役割を有することとしてもよい。
【0035】
あるいは、第二識別部20Bは、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aを補助する役割を有する目的で用いられることとしてもよい。この場合、第二識別部20Bは、第一識別部20A群によって形成される共通平面とは離間させて設けられる。例えば、図2B,Cにて示されるように、複数の識別部20が配される基材21の一の面に、凸部を備え、当該凸部の上端部に第二識別部20Bを備えることとしてもよい。また、第二識別部20Bは、図2Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図2Aにおける三角形のエリアTA)の内側に備えられている。
【0036】
また、第二識別部20Bは、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aを結んでできる共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する。すなわち、第二識別部20Bを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの、第一識別部20Aが位置する共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。図3は、撮像される認識対象物2に備えられた識別部20の撮像可能な空間領域について説明する図である。撮像部3を、認識対象物2における第一識別部20Aが位置する共通平面の法線方向(図3におけるX方向)の位置(図3におけるAの位置)から、認識対象物2における第一識別部20Aが位置する共通平面と近接する位置(図3におけるCの位置)に、除々に移動させて認識対象物2を撮像した場合、撮像部3によって撮像される画像は、図3における(I)領域(第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aを結んでできる共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度の領域)では第一識別部20A、第二識別部20Bの両方が撮像される画像、図3における(II)領域(第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aを結んでできる共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度)では第一識別部20Aのみが撮像される画像、図3における(III)領域では第一識別部20A、第二識別部20Bの両方が撮像されない画像、となる。
【0037】
このように、第二識別部20Bの撮像可能な空間領域が、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの前記共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられるためには、例えば、認識対象物2に備えられる第一識別部20Aが、図3における(I)、(II)に光を照射する発光素子(すなわち、共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する発光素子)によって構成され、第二識別部20Bが、図3における(I)のみに光を照射する発光素子(すなわち、共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する発光素子)によって構成されることによって実現される。
【0038】
あるいは、第二識別部20Bが発光素子によって実現される場合、図3における(II)、(III)領域から撮像される状態のとき、第二識別部20Bが撮像され得ない状態とするためには、認識対象物2の法線方向Xと撮像部3の光軸がなす角度を算出して、当該角度が予め定められた角度θを超えるとき、第二識別部20Bの発光を制御する制御装置22が第二識別部20Bの発光を消す制御を行うことによって実現することとしてもよい。
【0039】
あるいは、第二識別部20Bの周囲に、図3における(II)、(III)領域からの撮像を遮る遮蔽部が備えられていることによって実現されることとしてもよい。すなわち、角度範囲0〜θ度におけるθは、第二識別部20Bの周囲に備えられる第二識別部20Bの撮像を遮る遮蔽部によって定められることとしてもよい。
【0040】
第二識別部20Bの撮像可能な空間領域が、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの前記共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられる方法は、上記方法に限られるものではない。以下、第二識別部20Bは1つの識別部20から構成され、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aを補助する目的で用いられるものとして説明を行うこととする。
【0041】
次に、対象物認識装置1について説明を行う。対象物認識装置1は、複数の識別部20のうちの第一識別部20A群(三次元位置等識別部群)が撮像された画像に基づいて認識対象物2の位置情報を計算する。位置情報の計算方法は、上述のように、例えば、認識対象物2において予め定められている、第一識別部20A群によって囲まれる三角形エリア(TA)の面積、および当該三角形の角度と、第一識別部20A群が撮像部3によって撮像された画像における三角形の面積および当該三角形の角度と、を比較することによって、認識対象物2の位置情報を得ることとしてもよい。
【0042】
また、対象物認識装置1は、第一識別部20A以外の識別部20が撮像された画像に基づいて、認識対象物2のIDを特定、もしくは、認識対象物2の位置情報の精度を高める演算を行うこととしてもよい。認識対象物2のIDを特定、もしくは、認識対象物2の位置情報の精度を高める演算の方法は、例えば、特許第453011号、あるいは、特開2009−92568に記載された方法を用いて行われることとしてもよい。対象物認識装置1の構成、対象物認識装置1が行う具体的な処理に関しては後述する。
【0043】
次に、撮像部3について説明を行う。撮像部3は、認識対象物2に備えられた複数の識別部20を撮像する。また、撮像部3は、例えば、デジタルカメラ等によって実現される。ここで、複数の識別部20が、赤外線LEDによって実現されている場合、撮像部3は複数の識別部20より出射された赤外線を検知するCCD(Charge Couple Device)等のイメージセンサ等を備えるものである。また、複数の識別部20から出射される光を選択的に撮像部3に入射させる目的で、複数の識別部20に用いられる光の発光波長に応じた光学フィルタを配することとしてもよい。
【0044】
次に、第一実施形態にかかる対象物認識装置1の構成について具体的に説明する。対象物認識装置1は、複数の識別部20のうちの三次元位置等識別部群(第一識別部20A群、又は、第一識別部20A群および第二識別部20B)が撮像された画像に基づいて認識対象物2の位置情報を計算する。
【0045】
図4は、第一実施形態にかかる対象物認識装置1の主な構成例を示すブロック図である。
【0046】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)等によって実現され、記憶部10に格納されているプログラムに従って動作する。制御部9は、図4にて示されるように、画像取得部11、計数部12、演算部13、を含んで構成されている。この制御部9が行う処理の具体的な内容については、後に詳しく述べる。なお、上記プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の情報記録媒体に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【0047】
記憶部10は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子、並びにハードディスク等によって実現できる。この記憶部10は、制御部9が実行するプログラム(ソフトウェア)を格納している。また、この記憶部10は、制御部9が行う処理の過程で利用される種々のデータを格納するワークメモリとしても動作する。また、記憶部10は、対象物認識装置1の外部に備えることとしてもよい。また、この記憶部10は、認識対象物2に備えられた複数の識別部20の位置関係を記憶している。
【0048】
画像取得部11は、撮像部3により複数の識別部20が撮像された画像を取得する。そして、画像取得部11は、取得された画像を計数部12に出力する。
【0049】
計数部12は、画像取得部11によって取得された画像において撮像されている識別部の数を計数する。
【0050】
ここで、認識対象物2における第二識別部20Bは、それを撮像可能な空間領域が、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの前記共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。したがって、認識対象物2に、3つの第一識別部20A、1つの第二識別部20B、計4つの識別部のそれぞれが配置されている場合、撮像部3が認識対象物2を撮像する位置によって、4個、あるいは3個の識別部20が画像に撮像されていることとなる。
【0051】
図5A、5Bはそれぞれ、撮像部3によって、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像の一例を示す図である。図5Aは、第一識別部20A、第二識別部20Bの両方が撮像される空間領域(図3における(I)領域)から撮像部3によって撮像された画像4Aの一例を示すものである。図5Bは、第一識別部20Aのみが撮像される空間領域(図3における(II)領域)から撮像部3によって撮像された画像4Bの一例示すものである。
【0052】
また、図5A、5Bでは一つの認識対象物2が撮像されている画像を示しているが、画像には複数の認識対象物2が撮像されることとしてもよい。この場合、計数部12は、画像に撮像された複数の識別部20を、予め定められた間隔以内に存在する識別部20ごとにグループ分けする。本実施形態の場合、認識対象物2に備えられる識別部20は4つであり、画像に撮像される識別部20は、4もしくは3個である。したがって、計数部12は、画像に撮像された複数の識別部20を、4もしくは3個ごとにグループ分けする。
【0053】
図5Aにて示される画像4Aは、認識対象物2が、第一識別部20A、第二識別部20Bの両方が撮像される空間領域(図3における(I)領域)から撮像部3によって撮像されたものであるため、一の識別部グループ5Aを構成している4つの識別部20が撮像されている。すなわち、計数部12は、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像4Aに基づいて、撮像されている識別部20の数“4”を計数する。
【0054】
図5Bにて示される画像4Bは、認識対象物2が、第一識別部20Aのみが撮像される空間領域(図3における(II)領域)から撮像部3によって撮像されたものであるため、一の識別部グループ5Bを構成している3つの識別部20撮像されている。すなわち、計数部12は、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像4Bに基づいて、撮像されている識別部20の数“3”を計数する。
【0055】
演算部13は、はじめに、計数部12によって計数された数が予め定められた規定数を超えるものか、規定数であるか、規定数に満たないものか、を判定する。ここで、規定数とは、第一識別部20Aの数と、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域と同一の撮像可能な空間領域を有する識別部の数と、の総数、すなわち、共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように認識対象物2に備えられた識別部の数の総数を示すものである。第一実施形態における認識対象物2には、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域と同一の撮像可能な空間領域を有する識別部の数は、第一識別部20A以外存在しないため、第一実施形態における規定数は“3”(第一識別部20Aの数)ということとなる。
【0056】
認識対象物2に備えられた第一識別部20Aの数“3”を超える場合(規定数を超える場合)は、画像4Aに撮像された4つの識別部20における、中央に位置する識別部20の画像は第二識別部20Bが撮像されたものに基づくものであると特定する。なぜならば、認識対象物2において第一識別部20Aは三角形のエリアTAを形成し、第二識別部20Bがこの三角形のエリアTAの内側に配置されている。認識対象物2に配置された第一識別部20Aより構成される三角形の内側の位置は、この三角形が撮像された画像においても、三角形の内側の位置に対応する。したがって、画像4Aに撮像された4つの識別部20における、中央に位置する識別部20の画像は第二識別部20Bが撮像されたものに基づくものであると特定する。
【0057】
そして、演算部13は、計数部12によって計数された数が3である場合(規定数である場合)は、画像4Aに撮像された3つの識別部20は第一識別部20Aが撮像されたものに基づくものであると特定する。
【0058】
そして、演算部13は、認識対象物2における三角形エリア(TA)の面積および当該三角形の角度と、第一識別部20A群が撮像部3によって撮像された画像における三角形の面積および当該三角形の角度と、に基づいて認識対象物2の位置情報を演算する。
【0059】
図6は、第一実施形態にかかる対象物認識装置1の制御部9が行う処理を説明した図である。制御部9は、撮像部3によって認識対象物2が撮像された画像を取得し(S61)、取得した画像における認識対象物2に備えられた複数の識別部20をグループ分けし(S62)、当該グループごとに当該グループを構成する識別部20の数を計数する(S63)。
【0060】
次に、S63によって計数された数が規定数を超えるか否かを判定し(S64)、規定数を超える場合、画像に撮像された識別部20を第一識別部20A群、第二識別部20Bのそれぞれに特定し、画像における第一識別部20A群および第二識別部20Bの位置関係と、認識対象物2における第一識別部20Aおよび第二識別部20Bの位置関係と、に基づいて認識対象物2の位置情報を演算する(S65)。
【0061】
また、S63によって計数された数が規定数を超えない場合、S63によって計数された数が規定数であるかを判定し(S66)、規定数である場合、画像に撮像された識別部20を第一識別部20A群と特定し、画像における第一識別部20A群の位置関係と、認識対象物2における第一識別部20A群の位置関係と、に基づいて認識対象物2の位置情報を演算する(S65)。
【0062】
また、S63によって計数された数が規定数に満たない場合、認識対象物2の位置情報に関する演算は行わず、新しいコマの画像を取得する(S61)。ここで、S63によって計数された数が規定数に満たない場合とは、例えば、第一識別部20Aが位置する共通平面と、撮像部3の光軸とがほぼ水平となる位置より、撮像部3が認識対象物2を撮像した場合があてはまる。このように、撮像部3が認識対象物2を認識しづらい姿勢から撮像した画像を基に位置情報を算出する場合には、当該算出に誤差が生じることが少なくない。したがって、撮像部3が認識対象物2を認識しづらい姿勢から撮像した画像を基に位置情報を算出する場合に、一の第一識別部20Aの発光が見えなくなるような障碍を配置し、演算部にて位置情報の算出がそもそも出来ない様にしてもよい。
【0063】
[第二実施形態]
以下に、第二実施形態にかかる認識対象物、対象物認識装置について図面を参照しつつ説明をおこなう。第二実施形態は、認識物対象物の構成と、対象物認識装置の演算部が行う演算方法と、が第一実施形態のものと異なる。また、認識物対象物の構成、および、対象物認識装置の演算部が行う演算方法以外については第一実施形態と同様である。以下、第一実施形態と異なる点について説明を行う。
【0064】
図7Aは、第二実施形態にかかる対象物認識装置1が認識する認識対象物2の構成を示す平面図である。図7Bは、図7Aにおける切断線7B−7Bにおける認識対象物2の断面図である。図7Cは、図7Aにおける切断線7C−7Cにおける認識対象物2の断面図である。第二実施形態の認識対象物2に備えられたそれぞれの識別部20は、赤外LEDによって実現されている。
【0065】
第二実施形態にかかる認識対象物2の第一識別部20A群は、当該第一識別部20A群を構成する3つの第一識別部20Aを結んでできる平面は、一の共通平面を形成するように配置されている。
【0066】
第二実施形態にかかる対象物認識装置1が認識する認識対象物2の第二識別部20Bは、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aを補助する目的で用いられることとする。ここで、第二識別部20Bは、例えば、図7B,Cにて示されるように、基材21に配された凸部の上端部に備えられており、第一識別部20A群によって形成される共通平面とは異なる平面上に離間して設けられる。また、第二識別部20Bは、図7Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図7Aにおける三角形のエリアTA)の内側に備えられている。
【0067】
そして、第二識別部20Bを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。すなわち、第二識別部20Bは、認識対象物2が、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)の外側から撮像される状態のとき、前記第二識別部20Bは撮像され得ない状態となる。それに対し、第一識別部20A群は、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)の外側の一部からも撮像される状態となっている。
【0068】
また、第二実施形態にかかる対象物認識装置1が認識する認識対象物2には、第三識別部20Cが備えられている。第三識別部20Cは第一識別部20Aのそれぞれを結んでできる共通平面と、同一平面に位置する(すなわち、共通平面上に位置する)。また、第三識別部20Cは、図7Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図7Aにおける三角形のエリアTA)の外側に備えられている。また、認識対象物2において、第三識別部20Cは第一識別部20A群の位置に基づいて定められた位置に配置されており、第三識別部20Cと第一識別部20A群との配置の位置関係は当該認識対象物2に固有のものである。すなわち、第三識別部20Cと、第一識別部20Aと、の位置関係は認識対象物2を特定するIDの役割を有している。また、第三識別部20Cを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域であることとする。すなわち、第三識別部20Cは、第一識別部20Aと同様、共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲(0〜θ度)にて撮像されるように認識対象物2に備えられている。
【0069】
次に、第二実施形態にかかる対象物認識装置1の構成について説明する。第二実施形態にかかる対象物認識装置1の構成は図5にて示されるものと同様である。対象物認識装置1は、複数の識別部20のうちの三次元位置等識別部群(第一識別部20A群、又は、第一識別部20A群および第二識別部20B)が撮像された画像と、記憶部10に記憶された認識対象物2において予め定められた第一識別部20A群、第二識別部20Bの位置関係と、に基づいて認識対象物2の三次元位置等を計算する。そして、認識対象物識別部(第三識別部20C)が撮像された画像と、記憶部10に記憶された認識対象物2において予め定められた第一識別部20A群、第三識別部20Cの位置関係と、に基づいて、認識対象物2に予め定められた当該認識対象物2のIDを特定する。
【0070】
第二実施形態において、認識対象物2が、第一識別部20A群が位置する共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲(図2B、2Cにおける角度範囲θ)から撮像される場合、認識対象物2に配置された第二識別部20Bは、画像取得部11によって取得された画像において撮像され得ない状態となるように認識対象物2に配置されている。したがって、認識対象物2に、3つの第一識別部20A、1つの第二識別部20B、1つの第三識別部20C、計5つの識別部のそれぞれが配置されている場合、撮像部3が認識対象物2を撮像した画像には、5個、あるいは4個の識別部20が撮像されていることとなる。
【0071】
図8A、8Bはそれぞれ、撮像部3によって、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像の一例を示す図である。
【0072】
図8Aは、第一識別部20A、第二識別部20B、第三識別部20Cの全てが撮像される空間領域から撮像部3によって撮像された画像4Cの一例を示すものである。すなわち、図8Aは、第一識別部20A群が位置する共通平面の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)以外から撮像部3によって撮像された画像4Cを示すものである。また、図8Bは、第一識別部20A、第三識別部20Cが撮像される空間領域から撮像部3によって撮像された画像4Dの一例を示すものである。すなわち、図8Bは、第一識別部20A群が位置する共通平面の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)から撮像部3によって撮像された画像4Dを示すものである。
【0073】
また、図8A、8Bでは一つの認識対象物2が撮像されている画像を示しているが、画像には複数の認識対象物2が撮像されることとしてもよい。この場合、計数部12は、画像に撮像された複数の識別部20を、予め定められた間隔以内に存在する識別部20ごとにグループ分けする。本実施形態の場合、認識対象物2に備えられる識別部20は5つであり、画像に撮像される識別部20は、5もしくは4個である。したがって、計数部12は、画像に撮像された複数の識別部20を、5もしくは4個ごとにグループ分けする。
【0074】
図8Aにて示される画像4Cは、認識対象物2が第一識別部20A群の位置する共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲以外から撮像部3によって撮像されたものであるため、一の識別部グループ5Cを構成している5つの識別部20が撮像されている。すなわち、計数部12は、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像4Cに基づいて、撮像されている識別部20の数“5”を計数する。
【0075】
図8Bにて示される画像4Dは、認識対象物2が第一識別部20A群の位置する共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲から撮像部3によって撮像されたものであるため、一の識別部グループ5Dを構成している4つの識別部20が撮像されている。すなわち、計数部12は、認識対象物2に配置された複数の識別部20が撮像された画像4Dに基づいて、撮像されている識別部20の数“4”を計数する。
【0076】
演算部13は、計数部12によって計数された数が、予め定められた規定数を超えるものか、規定数であるか、規定数に満たないものか、を判定する。ここで、第二実施形態における規定数は、第一識別部20Aの数と、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域と同一の撮像可能な空間領域を有する第三識別部20Cの数と、の総数であるため、規定数は(第一識別部20Aの数“3”+第三識別部20Cの数“1”)“4”ということとなる。
【0077】
演算部13は、計数部12によって計数された数が規定数を超える場合は、画像4Cに撮像された5つの識別部20における、中央に位置する識別部20の画像は第二識別部20Bが撮像されたものに基づくものであると特定する。そして、演算部13は、計数部12によって計数された数が規定数である場合は、画像4Aに撮像された他の4つの識別部20は第一識別部20A、第三識別部20Cが撮像されたものに基づくものであると特定する。
【0078】
そして、演算部13は、第一識別部20Aと、第二識別部20Bと、第三識別部20Cと、が撮像された識別部20の画像4Aにおけるそれぞれの位置と、記憶部10に記憶されている複数の識別部20の位置関係と、に基づいて、画像4Aに撮像された当該他の4つの識別部20のそれぞれが、第一識別部20A、第三識別部20C、のいずれかであるかを特定するとともに、認識対象物2の三次元位置、三軸位置等の位置情報を算出する。
【0079】
以下に、認識対象物2における複数の識別部20を撮像した画像における、第一識別部20Aの画像および第三識別部20Cの画像を特定する方法を説明する。
【0080】
本実施形態では、認識対象物2に第一識別部20Aおよび第三識別部20Cを予め定められた幾何学的特徴を満足するように備えられている、この幾何学的特徴に基づいてそれぞれの識別部20の画像が第一識別部20Aおよび第三識別部20Cのいずれに由来するものかを特定する。ここで、幾何学的特徴としては、例えば、射影不変量、アフィン変換の前後で保存される量(アフィン不変量)等が用いられることとしてもよい。
【0081】
以下、アフィン不変量を用いた場合について説明を行うが、これに限定されるものではない。アフィン不変量を用いた場合、認識対象物2における複数の識別部20を撮像した画像における、識別部20により形成される形状は、第一識別部20A、第二識別部20B、および第三識別部20Cにより形成される形状をアフィン変換したものに相当するものである。
【0082】
図9は、第二実施形態における認識対象物2の第一識別部20A、第二識別部20B、および第三識別部20Cの配置例を示す図である。
【0083】
図9に示す例では、第一識別部20Aが三角形(a1a2a3)のエリアTAを形成し、第二識別部20Bがこの三角形のエリアTAの内側に配置されている。そして、第三識別部20Cは、三角形のエリアTAの外側に配置されている。すなわち、第二識別部20Bは、第一識別部20Aおよび第三識別部20Cで形成される四角形(a1a2a5a3)の内側に配置されていることとなる。認識対象物2に配置された第一識別部20Aおよび第三識別部20Cにより構成される四角形の内側の位置は、この四角形がアフィン変換により変換された場合、変換後の四角形の内側の位置に対応する。したがって、認識対象物2における複数の識別部20を撮像した画像上においても、第二識別部20Bは撮像された4つの識別部20の画像の内側に位置することとなり、当該位置に位置する識別部20の画像は第二識別部20Bが撮像されたものに基づくものであると特定する。
【0084】
また、第三識別部20Cは、次の関係を満たすように配置することとする。第一識別部20Aおよび第三識別部20Cで形成される四角形(a1a2a5a3)の対角線の交点23をpとし、線分の比a1p/a1a5=s、a2p/a2a3=tを考える。このとき、a1p=s、a2p=t、a3p=1−t、a5p=1−sとなる。そして、第三識別部20Cは、s>0.5かつt>0.5を満たす位置に配置することとする。このとき線分の比の値であるs、t、1−s、1−tの値は、アフィン変換の前後で保存されるアフィン不変量であるため、認識対象物2における複数の識別部20を撮像した画像上の、識別部20の画像の位置関係においても保存されるという幾何学的特徴を有する。以下、演算部13が行う、この幾何学的特徴に基づいて画像における複数の識別部20が第一識別部20A、および第三識別部20Cのいずれのものかを特定する方法を具体的に説明する。
【0085】
演算部13は、画像における第二識別部20Bを除いた4つの識別部20が撮像された画像から形成される四角形(図6における(a1a2a5a3))とその対角線を考える。ここで、撮像部3の光学中心をOとしたときにOと対角線の交点pとを結ぶベクトルをOp、Oと第一識別部20Aのそれぞれとを結ぶ各ベクトルをOa1〜Oa3、Oと第三識別部20Cを結ぶベクトルをOa5とする。また、第一識別部20Aと第三識別部20Cをある平面上に投影した点(例えば、撮像部3の撮像面上(図7参照)の識別部画像)の座標を(a1x,a1y)、(a2x,a2y)、(a3x,a3y)、(a5x,a5y)とすると、以下の関係が成り立つ。
【数1】

【0086】
この式より、以下の式が導かれる。
【数2】

【0087】
更に式を変形すると、以下の式が導かれる。
【数3】

【0088】
更に式を変形すると、以下の式が導かれる。
【数4】

【0089】
結局、tとsは次式で表すことができる。
【数5】

【0090】
以上の関係とs>0.5、t>0.5の関係より、第二識別部20Bに対応する画像を除いた4つの識別部画像の対角線の交点と各識別部画像を結ぶ4つの線分について、前述の比の値が大きい方2つを求めれば、これがsとtの比を持つ線分に対応する。そして、対角線の交点を中心にして反時計回りにこの2本の線分の次の線分を探索する。その線分の対角線の交点とは反対側にある識別部画像が、第三識別部20Cが撮像された識別部画像であると特定できる。
【0091】
上記にて説明された、認識対象物2における複数の識別部20を撮像した画像における、第一識別部20A、第二識別部20B、および第三識別部20Cの特定方法は、上記のものに限られず、例えば、特許第453011号、あるいは、特開2009−92568に記載された方法を用いて行われることとしてもよい。
【0092】
次に、上記の方法により識別された識別部20の位置に基づいて認識対象物2の三次元位置および三軸角度を計算する方法について説明する。
【0093】
図10は、第二実施形態における認識対象物2の三次元位置および三軸角度を計算する方法を説明する図である。まず、図10に示すように、撮像部3により撮像された画像上(図10における撮像面30)の第一識別部20Aの識別部画像に基づいて、撮像部3の光学中心Oから第一識別部20A群の各々への方向di(i=1、2、3)を算出する。diは、撮像部3の撮像面30における第一識別部20Aの識別部画像と光学中心Oとを結ぶ直線上にあり、光学中心Oを始点とする規格化された単位ベクトルである。また、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aへの方向を、ベクトルd1(=[x1,y1,z1])、ベクトルd2(=[x2,y2,z2])、ベクトルd3(=[x3,y3,z3])とする。また、撮像部3の光学中心Oを基準として、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aの位置ベクトルをa1、a2、a3とする。これらの位置ベクトルai(i=1、2、3)は、それぞれ上記のベクトルdiと重なる。そこで、各位置ベクトルaiの長さを表す係数をt1、t2、t3とすると、各位置ベクトルaiは次式で表せる。
【数6】

【0094】
第一識別部20A群が形成する三角形の形状は予めわかっているので、三角形の各辺の長さ(各第一識別部20A間の長さ)を、a1a2=L1、a2a3=L2、a3a1=L3とすると、次式が得られる。
【数7】

【0095】
これを整理すると、次式が得られる。
【数8】

【0096】
さらに次式(1)が得られる。
【数9】

【0097】
ただし、
A1=x1x2+y1y2+z1z2、
A2=x2x3+y2y3+z2z3、
A3=x3x1+y3y1+z3z1
である。
【0098】
実数解を持つために、次式の条件を満たす実数t1、t2、t3をそれぞれ上記式(1)に代入し、式(1)が成立する全てのt1、t2、t3を求める。
【数10】

【0099】
通常、式(1)が成立するt1、t2、t3の組は複数存在する。そこで、第二識別部20Bの位置に基づいて、複数のt1、t2、t3の組(候補)の中から特定の係数t1、t2、t3の組を選択する。
【0100】
具体的には、まず、算出した全ての係数t1、t2、t3の組に対応する位置ベクトルa1、a2、a3の組をそれぞれ算出し、a1、a2、a3の組で構成される三角形の三次元位置と三軸角度を求める。そして、各三角形の三次元位置および三軸角度に基づき、各三角形に対する第二識別部20Bの位置を計算し、位置ベクトルa4とする。次に、位置ベクトルa4の点を撮像部3で撮像した場合の画像上の位置(画像位置)を計算し、計算値と実際に撮像された第二識別部20Bの画像位置とを比較する。そして、実際の画像位置との差が最も小さい位置ベクトルa4に対応する三角形を抽出し、この三角形に対応するt1、t2、t3の組を正解とする。
【0101】
以上のようにして、第一識別部20A群を構成するそれぞれの第一識別部20Aの方向d1、d2、d3および距離t1、t2、t3が特定されたため、第一識別部20A群で形成される三角形(およびこれを含む認識対象物2)の三次元位置および三軸角度が求まることとなる。
【0102】
また、第一識別部20A、第二識別部20Bを用いた認識対象物2の三次元位置および三軸角度の計算方法は、上記の手順に限定されるものではない。例えば、上記の手順では複数のt1、t2、t3の組を求めた後に第二識別部20Bの画像位置に基づいて1つの解を抽出したが、初めから第一識別部20A群の各々の画像位置と第二識別部20Bの画像位置との関係を考慮して、第一識別部20A、第二識別部20Bそれぞれまでの距離t1、t2、t3、t4を求めるようにしても良い。
【0103】
また、第二識別部20Bが撮像され得ない角度範囲から認識対象物2が撮像された場合、式(1)が成立するt1、t2、t3の組は複数存在しない。したがって、第二識別部20Bの位置に基づいて、複数のt1、t2、t3の組(候補)の中から特定の係数t1、t2、t3の組を選択することは行わない。
【0104】
第三識別部20Cの3次元位置の特定は、撮像部3により撮像された画像上の第三識別部20Cの識別部画像に基づいて、撮像部3の光学中心Oから第三識別部20Cへの方向ベクトルを決定し、この方向ベクトルと第一識別部20A群により形成される共通平面との交点を算出する。その交点から第三識別部20Cの3次元位置が導出できる。そして、この第三識別部20Cの3次元位置から、認識対象物2上における第一識別部20A群との位置関係を求めることができる。
【0105】
以上、上記にて説明された、認識対象物2の位置情報等の演算方法は、上記のものに限られず、例えば、特許第453011号、あるいは、特開2009−92568に記載された方法を用いて行われることとしてもよい。
【0106】
[第三実施形態]
以下に、第三実施形態にかかる認識対象物について図面を参照しつつ説明をおこなう。第三実施形態は、認識対象物が第二実施形態のものと異なり、その他については第二実施形態と同様である。
【0107】
図11Aは、第三実施形態にかかる認識対象物2の構成を示す平面図である。図11Bは、図11Aにおける切断線11B−11Bにおける認識対象物2の断面図である。図11Cは、図11Aにおける切断線11C−11Cにおける認識対象物2の断面図である。第三実施形態の認識対象物2に備えられたそれぞれの識別部20は、赤外LEDによって実現されている。
【0108】
第三実施形態にかかる認識対象物2の第一識別部20A群は、第一識別部20A群を構成する3つの第一識別部20Aを結んでできる平面は、一の共通平面を形成するように配置されている。
【0109】
第三実施形態にかかる認識対象物2の第二識別部20Bは、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aを補助する目的で用いられることとする。ここで、第二識別部20Bは、例えば、図11B,Cにて示されるように、複数の識別部20が配される基材21は凹部を有し、当該凹部の端部に備えられており、第一識別部20A群によって形成される共通平面とは異なる平面に離間して設けられる。すなわち、第二識別部20Bの周囲には、代位に識別部20Bの撮像を遮る遮光部が備えられていることとなる。また、第二識別部20Bは、図11Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図11Aにおける三角形のエリアTA)の内側に備えられている。
【0110】
そして、第二識別部20Bを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。すなわち、第二識別部20Bは、認識対象物2が、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図11B、11CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図11B、11Cにおける角度範囲θ)の外側から撮像される状態のとき、前記第二識別部20Bは撮像され得ない状態となる。それに対し、第一識別部20A群は、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)の外側の一部からも撮像される状態となっている。
【0111】
また、第三実施形態にかかる対象物認識装置1が認識する認識対象物2には、第三識別部20Cが備えられている。第三識別部20Cは第一識別部20Aのそれぞれの点を結んでできる共通平面と、同一平面に位置する(すなわち、共通平面上に位置する)。また、第三識別部20Cは、図11Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図11Aにおける三角形のエリアTA)の外側に備えられている。また、認識対象物2において、第三識別部20Cは第一識別部20A群の位置に基づいて定められた位置に配置されており、第三識別部20Cと第一識別部20A群との配置の位置関係は当該認識対象物2に固有のものである。すなわち、第三識別部20Cと、第一識別部20Aと、の位置関係は認識対象物2を特定するIDの役割を有している。また、第三識別部20Cを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域であることとする。
【0112】
以下、第三実施形態にかかる対象物認識装置1の構成および、処理は第二実施形態と同様である。
【0113】
[第四実施形態]
以下に、第四実施形態にかかる認識対象物について図面を参照しつつ説明をおこなう。第四実施形態は、認識対象物が第二実施形態のものと異なり、その他については第二実施形態と同様である。
【0114】
図12Aは、第四実施形態にかかる認識対象物2の構成を示す平面図である。図12Bは、図12Aにおける切断線12B−12Bにおける認識対象物2の断面図である。図12Cは、図12Aにおける切断線12C−12Cにおける認識対象物2の断面図である。第四実施形態の認識対象物2に備えられたそれぞれの識別部20は、赤外LEDによって実現されている。
【0115】
第四実施形態にかかる認識対象物2の第一識別部20A群は、第一識別部20A群を構成する3つの第一識別部20Aを結んでできる平面は、一の共通平面を形成するように配置されている。
【0116】
第四実施形態にかかる認識対象物2の第二識別部20Bは、位置情報を算出する上で主となる識別部20である第一識別部20Aを補助する目的で用いられることとする。ここで、例えば、図12B,Cにて示されるように、複数の識別部20が配される基材21は凸部を有し当該凸部の上端部の周囲には遮蔽部6が備えられており、第二識別部20Bは、当該凸部の上端部に備えられている。また、第一識別部20A群によって形成される共通平面とは異なる平面に離間して設けられる。また、第二識別部20Bは、図12Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図12Aにおける三角形のエリアTA)の内側に備えられている。
【0117】
そして、第二識別部20Bを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域のうちの共通平面と隣り合う部分の少なくとも一部を除いて設けられている。すなわち、第二識別部20Bは、認識対象物2が、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図12B、12CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図12B、12Cにおける角度範囲θ)の外側から撮像される状態のとき、前記第二識別部20Bは撮像され得ない状態となる。それに対し、第一識別部20A群は、第一識別部20A群が配置される共通平面上の法線方向(図7B、7CにおけるX方向)に対して予め定められた角度範囲(図7B、7Cにおける角度範囲θ)の外側の一部からも撮像される状態となっている。
【0118】
また、第四実施形態にかかる対象物認識装置1が認識する認識対象物2には、第三識別部20Cが備えられている。第四識別部20Cは第一識別部20Aのそれぞれの点を結んでできる共通平面と、同一平面に位置する(すなわち、共通平面上に位置する)。また、第三識別部20Cは、図12Aにて示される認識対象物2の平面視において、複数の第一識別部20Aによって囲まれるエリア(図12Aにおける三角形のエリアTA)の外側に備えられている。また、認識対象物2において、第三識別部20Cは第一識別部20A群の位置に基づいて定められた位置に配置されており、第三識別部20Cと第一識別部20A群との配置の位置関係は当該認識対象物2に固有のものである。すなわち、第三識別部20Cと、第一識別部20Aと、の位置関係は認識対象物2を特定するIDの役割を有している。また、第三識別部20Cを撮像可能な空間領域は、第一識別部20Aを撮像可能な空間領域であることとする。
【0119】
以下、第四実施形態にかかる対象物認識装置1の構成および、処理は第二実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0120】
1 対象物認識装置、2 認識対象物、3 撮像部、4A,4B,4C,4D 画像、5A,5B,5C,5D 識別部グループ、6 遮蔽部、9 制御部、10 記憶部、11 画像取得部、12 計数部、13 演算部、20 識別部、20A 第一識別部、20B 第二識別部、20C 第三識別部、21 基材、22 制御装置、23 交点、30 撮像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像される認識対象物であって、
予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、
前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、
前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、
θとθとは、θ>θの関係を有する、
ことを特徴とする認識対象物。
【請求項2】
前記角度範囲0〜θ度におけるθは、前記第二識別部の周囲に備えられる前記第二識別部の撮像を遮る遮蔽部によって定められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の認識対象物。
【請求項3】
前記第一識別部と、前記第二識別部と、は発光素子であり、
当該認識対象物において、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射し、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する、
ことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の認識対象物。
【請求項4】
予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数された数が規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、
前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段と、を有し、
前記規定数は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、
ことを特徴とする対象物認識装置。
【請求項5】
前記角度範囲0〜θ度におけるθは、前記第二識別部の周囲に備えられる前記第二識別部の撮像を遮る遮蔽部によって定められる、
ことを特徴とする請求項4に記載の対象物認識装置。
【請求項6】
前記第一識別部と、前記第二識別部と、は発光素子であり、
当該認識対象物において、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射し、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して最大出射角度θの光を照射範囲に含む光を照射する、
ことを特徴とする請求項4又は5いずれかに記載の対象物認識装置。
【請求項7】
予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段、
前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段、及び、
前記計数手段によって計数された数が、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、
前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
予め定められた位置に設けられ、共通平面上に位置する少なくとも3の第一識別部からなる第一識別部群と、
前記第一識別部群の位置に基づいて定められる位置に設けられた少なくとも1の第二識別部と、を備え、
前記第一識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、前記第二識別部は、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像され、θとθとは、θ>θの関係を有する、認識対象物と、
前記認識対象物を撮像した画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記画像において撮像されている識別部の数を計数する計数手段と、
前記計数手段によって計数された数が、前記共通平面の法線方向に対して予め定められた角度範囲0〜θ度にて撮像されるように前記認識対象物に備えられた識別部の総数である、規定数を超える場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群、前記第二識別部のそれぞれに特定し、前記画像における前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群、前記第二識別部の位置関係と、に基づいて前記認識対象物の位置情報を演算し、
前記計数手段によって計数された数が規定数の場合は、前記画像に撮像された識別部を前記第一識別部群と特定し、前記画像における前記第一識別部群の位置関係と、前記認識対象物において予め定められた前記第一識別部群の位置関係と、に基づいて前記対象物の位置情報を演算する演算手段と、を有する対象物認識装置と、
を有することを特徴とする対象物認識システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公開番号】特開2012−202876(P2012−202876A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68902(P2011−68902)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】