説明

誘導制御システム

【課題】 目標地点や目標経路に誘導する際に、誘導則によって算出される機体のバンク角を達成するための制御方式の設計準備を簡略化させ、飛行環境や機体状態の変化によるゲインの切り替えを最小限に抑えてシステムを簡略化させる。
【解決手段】 フィードバック制御器4は、誘導システム1からの目標バンク角2と機体6からの機体バンク角7との誤差に従い、フィードバック制御信号5を生成する。人工脳神経網3は、急変緩和フィルター9からの出力に従いフィードバック制御信号5を最小化するように修正し、目標バンク角2に応じた制御命令を出力し、出力監視装置10を経て人工脳神経網制御信号11とフィードバック制御信号5に基づき求められた制御信号12を機体6に与えて、機体バンク角7を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導制御システムに係り、特に、人工脳神経網を利用した飛行誘導制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機・飛翔体・無人航空機を目標地点ごとに逐次自動飛行させるために、目標地点と自機の位置との目視線角にもとづき、機体のバンク角を設定し、そのバンク角に自動制御で追従させる誘導制御則(比例航法)が広く利用されている。また、目標経路に沿って飛行させる場合には、目標経路と自機の位置のずれにもとづき、機体のバンク角を設定する経路追従制御が用いられることもある。こうした誘導制御により指定されたバンク角の自動制御にはバンク角指令値と実バンク角との誤差の比例成分(P)、微分成分(D)、積分成分(I)により合成された制御命令を生成するフィードバック制御が通常利用される。
【0003】
また、従来技術として以下のような特許文献が挙げられる。
特許文献1には、「ニューロ・ファジィ融合システムを使って航空機を自動着陸制御する航空機自動着陸装置」(要約参照)が記載されている。特許文献2には、「ニュートラルネットワークで道路との位置関係を把握して、道路内を自走可能な車両を実現する」車両の自走制御方法(要約参照)が記載されている。また、特許文献3には、「外乱等によって、飛行速度が変動しても、所定の旋回半径を保持し、旋回コースを精度よく追尾することができる航空機の自動誘導飛行システム」(要約参照)が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−108899号公報
【特許文献2】特開平9−230935号公報
【特許文献3】特開平7−104853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフィードバック制御において、バンク角の自動制御に用いられる制御命令の各成分の重み(ゲイン)は、スムーズな誘導制御を行う場合には、念入りな調整が必要であるため、機体の特性を正確に把握し、事前にシミュレーションを実施する必要があった。そのため、例えば、飛行状態や、機体の状態に応じて事前に設定した適切なゲインを切り替えて使用する必要があった。また、機体の故障など突発的な事態に対応することが難しく、経年変化による機体の特性の変化に対応させることも難しかった。
本発明は、以上の点に鑑み、目標地点や目標経路に誘導する際に、誘導則によって算出される機体のバンク角を達成するための制御方式の設計準備を簡略化させ、さらに飛行環境や機体状態の変化によるゲインの切り替えを最小限に抑えることでシステムを簡略化させることを目的とする。また、本発明は、機体の故障や強い突風など突発的な事態の変化や、経年変化等による機体の特性変化に対応する自動的な適応能力を持つ誘導制御システムとすることで、誘導制御則システムの開発期間を短縮し、機体の信頼性と安定性を高めるとともに、誘導制御則システムの維持管理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、航空機・飛翔体・無人機を一定の地点や定められた航路に誘導制御する際に、何らかの誘導則によって導かれた機体の必要バンク角を制御するフィードバック制御系に人工脳神経網を追加することで、システムの設計時間を短縮させるとともに、従来の技術では困難であった機体の故障や特性の変化に適応させ、強い風のような外乱への対応を可能にする誘導制御システムを提供する。本実施の形態では、さらに、その効果をシミュレーション試験によって実証した。
本発明において、実時間での人工脳神経網も学習能力を高めるために、人工脳神経網を線形システムで表現するとともに、目標が切り替わった場合に、学習パラメータが大きく変動しないように、目標値に急変緩和フィルターを作用させた値を人工脳神経網に与えるように工夫することができる。本発明の人工脳神経網は従来のフィードバック制御系に並列的に配置するものであるため、従来の誘導制御システムにアドホックで追加が可能であり、実用化の可能も高い。また、人工脳神経網の出力を常時モニターすることで、異常が発生した場合には、従来システムに瞬時に切り替えることができる。その結果、人工脳神経網の出力に異常がある場合でも、従来のフィードバック制御が機能し、システムの信頼性を従来システム同様に維持することを可能にした。また、本発明では、学習した人工脳神経網のパラメータを飛行速度や空気密度とともに記録保存することで、再度同じ状態で飛行する際の学習時間を短縮させることができる。
【0007】
さらに、本実施の形態では、その一例として、目標との目視線角の計測にGPS(全地球測位システム)を用いることで、視界が無くても誘導を可能にし、バンク角の計測には、小型で安価な半導体加速度センサーを使用することで高価で大掛かりな姿勢計測センサーを使用しない工夫がなされている。
現在、実用化に向けた開発が急速に進展している無人航空機の誘導制御に関しては、パイロットの迅速で微妙な調整が困難なため、こうした実時間学習機能を備えることが有益である。本発明によると、パイロットの操縦する航空機においても、従来のフィードバック制御系にアドホック的に追加できるため、実現が容易であり、故障や強い風の影響を自動的に補償可能な誘導制御システムとして備えることで飛行の安全性を向上させることができる。
【0008】
本発明の解決手段によると、
機体を目標地点又は目標経路に誘導するための目標バンク角を算出する誘導システムと、
前記誘導システムからの目標バンク角と前記機体からの機体バンク角との誤差に従い、フィードバック制御信号を生成するフィードバック制御器と、
前記誘導システムからの目標バンク角に対して、目標地点又は目標経路が急に変化した場合に目標バンク角の変化が不連続にならないようにするための急変緩和フィルターと、
前記急変緩和フィルターからの出力に従い、内部パラメータである重みとバイアスを、前記フィードバック制御器による前記フィードバック制御信号を最小化するように修正し、目標バンク角に応じた制御命令を出力するための人工脳神経網と、
前記人工脳神経網からの制御命令に異常があった場合に、前記制御命令を制限して人工脳神経網制御信号を出力するための出力監視装置と
前記出力監視装置からの前記人工脳神経網制御信号と、前記フィードバック制御器からの前記フィードバック制御信号との和に基づき、制御信号を求める演算器と、
を備え、
前記演算器からの制御信号を前記機体に与えることにより、前記機体バンク角を制御するようにした誘導制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、バンク角の目標値から制御信号を直接出力できる人工脳神経網をフィードバック制御に並列に設置し、フィードバック制御信号を最小化するようにサンプル時間ごとに人工脳神経網のパラメータを学習させる。こうした学習機能を追加することで、人工脳神経網は目標から制御出力を直接的に指令することができるようになり、フィードバックゲインの設定が適正値から大きくずれた場合でも、精度良く目標経路や目標位置に精度良く誘導させることが可能になる。しかも、人工脳神経網の学習は常時実行されるので、飛行速度や高度による飛行条件の違いに対応が可能である。その結果、通常のフィードバック制御の場合いのように制御ゲインを飛行中にきめ細かく切り替える必要が無くなる。つまり、機体の特性が設計時の数学モデルと変わっても適切な制御が可能なるため、フィードバックゲインの設定に必要となる手間が大幅に省くことが可能となる。また、故障や経年変化によってシステムの特性が変化した場合にも、適切な制御が可能となり、予測不能な強い風の影響にも対応することができるためシステムの安全性を向上させることが期待できる。人工脳神経網の前段に急変緩和フィルターを配置することで、目標値の不連続な変化に対応が可能であり、後段に出力監視装置を設けることで人工脳神経網の暴走を防ぐことができる。人工脳神経網の出力を絞れば、通常のフィードバック制御になるため、システムの信頼性と安定性を維持することが可能となる。人工脳神経網の学習は常時実施されるので、そのままでは学習結果は記憶されない。安定した学習結果が得られた時点で適時、飛行速度、空気密度とともに記憶装置に記録保存する。同じ状況で学習を行う場合には、保存された人工脳神経網のパラメータを学習の初期値として使用することで再度学習を行う場合に必要となる学習時間を短縮することができる。
【0010】
なお、本発明と上述した特許文献とを比較すると、例えば以下のような差異がある。
特許文献1は、ニューロ・ファジィという考え方を採用しており、事前の学習を必要とするので、本発明のような事前学習が不要なオンライン学習とは異なるものである。特許文献2には、ニュートラルネットワークを用いた舵角等の車両制御について記載されているが、これも事前の学習を必要とし、本発明のようなオンライン学習ではない。また、特許文献3には、バンク角に注目した制御について記載されているが、誘導則の特許であり、本発明のようなバンク角制御は開示されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
1.飛行誘導制御
図1に、本実施の形態の飛行誘導制御システムの構成図を示す。この飛行誘導制御システムは、誘導システム1、人工脳神経網3、フィードバック制御器4、機体6、急変緩和フィルター9、出力監視装置10、学習記憶装置13、演算器16及び17を備える。
本実施の形態は、生物の脳神経網が持つ、学習能力、適応能力を人工的に模擬した人工脳神経網を飛行誘導制御法のバンク角制御に組み込む。誘導システム1により機体を誘導するために必要な目標バンク角2を算出する。具体的には、誘導システム1は、例えば、自機位置及び速度を全地球測位システム(GPS)により計測し、目標位置又は目標経路に応じたバンク角指令(目標バンク角)を算出する。人工脳神経網3の前段階に置かれた急変緩和フィルター9は、目標バンク角2を入力し、目標地点や目標経路が急に切りかわった場合に、目標バンク角2の変化が不連続にならないように工夫されている。なお、急変緩和フィルター9は誘導システム1の直後に置いても良い。人工脳神経網3は、目標バンク角2に応じた補助翼などの制御命令を出力し、人工脳神経網3のパラメータである重みとバイアスをフィードバック制御器4によるフィードバック制御信号5を最小化するようにサンプル時間ごとに逐次修正する。
【0012】
演算器17は、例えば減算器や差分器等で構成され、誘導システム1から出力された目標バンク角2と機体6で検出された機体バンク角との差をとる。フィードバック制御器4は、目標バンク角2と機体6の実際のバンク角7の誤差8によってフィードバック制御信号5を生成する。出力監視装置10は、人工脳神経網3の出力に異常があった場合に、人工脳神経網3の出力を制限して人工脳神経網制御信号11とする。出力監視装置10は、例えば、人工脳神経網3の出力が所定範囲内の場合は人工脳神経網3の出力値を出力し、所定範囲外の場合は0を出力する。演算器16は、例えば加算器等で構成され、人工脳神経網制御信号11とフィードバック制御信号5との和を求め、機体6の制御信号12とする。なお、演算器16での演算は、単純な和に限らず、人工脳神経網制御信号11とフィードバック制御信号5の値にそれぞれ重み付けをした和でもよい。
【0013】
学習記憶装置13は、学習した人工脳神経網3のパラメータを飛行速度、空気密度等の飛行状態データ14とともに記録し、同じような飛行速度、空気密度での飛行を行う際に、人工脳神経網3のパラメータの初期値15として使用する。制御信号12は補助翼を駆動するアクチュエータの指令値となり、機体6は補助翼の操作に従いバンクする。機体6は、機体6の実際のバンク角(機体バンク角)を、例えば、姿勢センサーにより検出し、または、機体上下軸加速度を加速度計で計測した値に基づき推定することで検出し、演算器17に与える。
【0014】
2.目標バンク角
図2に、目視線角からバンク角の設定についての説明図を示す。
図のように位置(X,Y)にある機体が目標位置(X,Y)を目標に飛行する場合を考える。目視線角θ
cosθ=(X−X)/d
sinθ=(Y−Y)/d (1)
により算出される。ここで、dは機体と目標の距離で
d=√{(X−X)+(Y−Y)} (2)
で与えられる。(1)式を微分することにより目視線角速度は
【0015】
【数1】

ここで、
Δd={(X−X)(u−u)+(Y−Y)(v−v)}/d
(u,v)は、機体の速度成分
(u,v)は、目標が移動する場合の速度成分
【0016】
方位角変化を目視線角度に比例して与えれば、次式となる。
【数2】

【0017】
また、方位変更に必要となる機体横加速度aycは、機速Vから
【数3】

と求められる。この横加速度は機体をバンクさせることによって生成できるので、
φ=tan−1(ayc/g) (6)
で定まるφだけ機体をバンクさせればよい。このφが目標バンク角となる。ここでgは重力加速度である。
【0018】
3.フィードバック制御
図3に、後述のシミュレーションで使用した誘導制御システムについての説明図を示す。
【0019】
本実施の形態では、目標バンク角が不連続に変化しても対応できるように、例えば、次のような2次系のフィルターを急変緩和フィルター9として作用させる。
【数4】

ここでsはラプラス演算子である。図のように、人工脳神経網3の入力は急変緩和フィルター9通過後の目標バンク角、バンク角速度、バンク角加速度である。人工脳神経網3の出力uffはこれらの線形和およびバイアスの和として、次式のように合成する。
【0020】
【数5】

【0021】
このとき、未知パラメータwを、図のようにフィードバック制御器4の出力ufbの二乗和
E=(1/2)ufb
を最小にするように、修正すればよいので、修正量は、
【数6】

であり、制御信号(u=uff+ufb)は学習が完了すれば一定になることから
【0022】
【数7】

が成立するので、式(10)を式(9)に代入し、式(8)を適用すれば
【0023】
【数8】

ここで、εは修正量の大きさをスケーリングする学習率である。ここで得られた修正量Δwによって未知パラメータwをサンプル時間ごとに更新し、式(8)から人工脳神経網の出力uffを算出する。出力監視装置10は、この出力uffの絶対値が規定値の範囲内の場合は(例えば、−uffmax≦uff≦uffmax,uffmaxは予め定められた限界値(規定値))、入力したuffを出力し、一方、規定値を超えた場合は、上記の計算が発散したとみなし、uffを0にする(なお、図中グラフは出力ウィンドウの一例を示す)。実際に機体のバンク角を変更する補助翼アクチュエータの指令信号として出力は、例えば、図3のように人工脳神経網制御信号uffとフィードバック制御信号ufbの和u(図1、制御信号12)として生成される。
【0024】
4.シミュレーション
無人機を例に、4点を順次目標として旋廻させた場合の飛行経路にシミュレーション結果を示す。高度および速度は6400mと秒速32mに一定に制御されているものとする。
図4に、フィードバック制御の比例定数を0.5とした場合、フィードバック制御のみと人工脳神経網を作用させた場合の飛行軌跡についての比較図を示す。図4(A)はフィードバック制御のみの場合、図4(B)は人工脳神経網を用いた場合をそれぞれ示す。図示のように、人工脳神経網を作用させた場合のほうが一定の軌跡に早く収まっていることが分る。
図5は、人工脳神経網のパラメータの収束の様子を示す説明図である。この図は、人工脳神経網のパラメータである重み(例:w,w,w)とバイアス(例:w)をいずれも0を初期値として算出したものであり、時間とともに一定の値に学習されていく様子を示している。図1の学習記憶装置は、ここで収束した人工脳神経網のパラメータである重み(例:w,w,w)とバイアス(例:w)を、飛行速度、空気密度、高度等の飛行状態データとともに記憶し、再び同様な飛行速度と高度等の飛行状態で飛行する場合の人工脳神経網のパラメータの初期値とする。
【0025】
図6は、不適切なフィードバックゲインの設定でも正確な誘導制御が可能な例を示す説明図である。
図6(A)は、フィードバック制御器の比例ゲインを0.1,0.05と絶対値を小さくした場合の人工脳神経網を作用させなかった場合の飛行軌跡である。フィードバック制御器のゲインの設定が適切でない場合には、経路が不安定になる場合があることを示している。図6(B)は、経路が発散した比例ゲインが0.05の場合に、人工脳神経網を作用させた場合であり、経路は比例ゲインが0.5の場合と同様に安定してことが分る。これより、人工脳神経網を用いた誘導制御方式は、フィードバック制御器の設定が不適切な場合にも、正しく機体を誘導できていることが検証された。
この例では、無人航空機を想定し、高価な航法機器を搭載しなくとも誘導制御を行えるような工夫がなされている。この例では、誘導システム1は、自機位置及び速度を全地球測位システム(GPS)により計測し、バンク角指令を算出している。また、機体6は、実際のバンク角の検出には高価な姿勢センサーを用いることなく、機体上下軸加速度aを加速度計で計測し、重力加速度gの比が、旋回時には
cosφ=g/a (11)
の関係があることから求めている。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、航空機・飛翔体・無人航空機等の飛行誘導制御に広く応用でき、他にも、衛星、モーターボート等の高速で航行する船舶、潜水艦等の誘導制御に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】飛行誘導制御システムの構成図。
【図2】目視線角からバンク角の設定についての説明図。
【図3】後述のシミュレーションで使用した誘導制御システムについての説明図。
【図4】フィードバック制御のみと人工脳神経網を作用させた場合の飛行軌跡についての比較図。
【図5】人工脳神経網のパラメータの収束の様子を示す説明図。
【図6】不適切なフィードバックゲインの設定でも正確な誘導制御が可能な例を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 誘導システム
3 人工脳神経網
4 フィードバック制御器
6 機体
9 急変緩和フィルター
10 出力監視装置
13 学習記憶装置
16 演算器
17 演算器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を目標地点又は目標経路に誘導するための目標バンク角を算出する誘導システムと、
前記誘導システムからの目標バンク角と前記機体からの機体バンク角との誤差に従い、フィードバック制御信号を生成するフィードバック制御器と、
前記誘導システムからの目標バンク角に対して、目標地点又は目標経路が急に変化した場合に目標バンク角の変化が不連続にならないようにするための急変緩和フィルターと、
前記急変緩和フィルターからの出力に従い、内部パラメータである重みとバイアスを、前記フィードバック制御器による前記フィードバック制御信号を最小化するように修正し、目標バンク角に応じた制御命令を出力するための人工脳神経網と、
前記人工脳神経網からの制御命令に異常があった場合に、前記制御命令を制限して人工脳神経網制御信号を出力するための出力監視装置と
前記出力監視装置からの前記人工脳神経網制御信号と、前記フィードバック制御器からの前記フィードバック制御信号との和に基づき、制御信号を求める演算器と、
を備え、
前記演算器からの制御信号を前記機体に与えることにより、前記機体バンク角を制御するようにした誘導制御システム。
【請求項2】
さらに、学習した前記人工脳神経網のパラメータを飛行速度を含む飛行状態データとともに記録し、前記飛行状態データと同様の飛行状態データでの飛行を行う際に、前記人工脳神経網に初期パラメータとして与えるための学習記憶装置をさらに備えた請求項1に記載の誘導制御システム。
【請求項3】
前記人工脳神経網は、
前記急変緩和フィルターから入力された目標バンク角、バンク角速度、及び、バンク角加速度について、各々の未知パラメータで重み付けした値の線形和及びバイアスの和である前記制御命令を求め、且つ、
前記制御命令の前記各々の未知パラメータについて、前記フィードバック制御器から入力された前記フィードバック制御信号の二乗和を最小にするように各々の修正量を求め、前記各々の修正量によって前記各々の未知パラメータを更新し、前記制御命令を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導制御システム。
【請求項4】
前記出力監視装置は、前記人工脳神経網からの制御命令の絶対値が規定値範囲内である場合は、前記制御命令を出力し、一方、前記制御命令の絶対値が規定値範囲を超えた場合は、前記制御命令を0にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の誘導制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−114629(P2008−114629A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297271(P2006−297271)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(501143040)
【出願人】(391006234)社団法人日本航空宇宙工業会 (45)
【Fターム(参考)】