説明

誤り訂正回路およびこれを備えた物理量センサ装置

【課題】 基板面積を削減し得る誤り訂正回路を提供する。
【解決手段】 誤り訂正回路部14bでは、隣接するデータビットD0 〜Dn および検査ビットPn,0 〜Pn-1,n に対し、誤り訂正回路30が構成されている。これにより、メモリ回路部から読み出されたトリミングデータのうち、例えば、データビットD1 がデータ化けを起こしていても、「データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和の結果(E0,1 )」および「データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和の結果(E1,2 )」の論理積と、データビットD1 と、の排他的論理和をとるので、データビットD1 は反転、つまりデータビットの誤りを訂正しDout1として出力することができる。したがって、誤り訂正回路部14bの回路配線を簡素化できるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止するので、基板面積を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶されている2進化データ列のうち、少なくとも誤り訂正の対象となるデータ列の任意の2ビットにおける排他的論理和を検査データとして記憶している記憶装置に対する誤り訂正回路およびこれを備えた物理量センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体メモリ等の記憶装置では、記憶をした情報やデータが異なったものとして読み出される、いわゆるデータ化けを生じることがあり、このような情報やデータの誤りは、その内容によっては情報処理上の不具合の原因にもなり得る。そのため、例えば、下記、特許文献1に開示されるような技術では、いわゆる多数決方式による誤り訂正回路やデータの重要度に応じた冗長構成を採る誤り訂正回路等によって、万一、データ化け等が生じた場合にもデータ内容の保証を可能にしている。
【特許文献1】特開2002−288046号公報(第2頁〜第6頁、図3、図7および図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような開示技術によると、例えば、多数決方式による誤り訂正回路では、図8に示すように、3つのメモリに記憶された同一のデータD0a,D0b,D0cやデータD1a,D1b,D1c等を多数決判定回部101に入力する必要があった(特許文献1;図7に示すデータA1,A2,A3)。つまり、同一データを3重にもつ冗長構成を採る必要から、本来、必要とするデータ容量の3倍分のメモリを備えなければならず、製品コストの上昇を招くという課題がある。また、このような3倍分のメモリを実装するため、基板面積の増加を招くという課題もある。
【0004】
また、データの重要度に応じた冗長構成を採る誤り訂正回路では、中程度の能力を持つ誤り訂正回路として一般的なパリティ訂正方式であるSEC(Single Error Collect)を用いている。この特許文献1には、SEC判定部92の回路構成までは開示されていないが、例えば、図9に示すような構成を採る。このため、図9に示すように、符号αに示す範囲においては、パリティを判定する際に要するEXOR(排他的論理和)同士の結線が複雑に構成されるため、誤り訂正の対象となるデータ数の増加に伴って配線パターンの複雑化が増し、配線パターンの引き回しの錯綜を招き易いという課題がある。また、符号βに示す範囲においては、バス状に横切る複数本の配線パターンを必要とするため、基板レイアウト上、占有面積の増加を招き配線面積のロスが生じ易いという課題がある。
【0005】
さらに、多数決方式による誤り訂正回路の場合やデータの重要度に応じた冗長構成を採る誤り訂正回路の場合のいずれであっても、実装するメモリや論理ゲートあるいは配線パターンの数量が増加すると、それに伴って電子機器としての故障率の増大をも招き易くなるという課題もある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、基板面積を削減し得る誤り訂正回路を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、故障率を低減し得る誤り訂正回路を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、小型軽量化および故障率の低減を可能にし得る物理量センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の手段を採用する。この手段によると、データビットD0 およびデータビットD1 の排他的論理和を検査ビットP0,1 、データビットD1 およびデータビットD2 の排他的論理和を検査ビットP1,2 、データビットD2 およびデータビットD0 の排他的論理和を検査ビットP2,0 とし、これらデータビットD0 、D1 、D2 および検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力されるとき、次の論理式(1) 〜(3) に基づいてデータビットD0 、データビットD1 およびデータビットD2 の誤りをそれぞれ訂正し、データビットDout0、データビットDout1およびデータビットDout2を出力する論理回路を備える。
【0008】
【数1】

【0009】
これにより、データビットD1 については、論理式(2) により誤り訂正が行われる。例えば、データビットD1 がデータ化けを生じている場合には、同式(2) の()内の論理演算の結果はいずれも「1」になり、同式(2) の{}内の論理演算の結果も「1」になるので、「1」と排他的論理和をとるデータビットD1 は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDout1として出力される。これに対し、データビットD1 がデータ化けを生じていない場合には、データビットD1 を訂正する必要がない。そのため、同式(2) の()内の論理演算の結果はいずれも「0」になり、同式(2) の{}内の論理演算の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットD1 はそのままデータビットDout1として出力される。同様に、データビットD2 には論理式(3) により、またデータビットD1 には論理式(1) により、それぞれ誤り訂正が行われる。
【0010】
このように3ビットのデータビットD0 、D1 およびD2 を訂正するのに、3ビットの検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 があれば足りる。また、これらデータビットD0 、D1 、D2 および検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される。これにより、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とするデータ容量を削減することができる。また、当該3ビットのデータビットD0 、D1 、D2 および3ビットの検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 を用いて誤りを訂正するので、回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。さらに、3ビット単位で他のデータビットとは独立して誤りを訂正し得るので、当該3ビット単位を1ブロックとした誤り訂正の対象範囲を2進化データ列の複数箇所に設定することで、当該ブロック間で2ビット以上のデータ誤りを訂正することができる。
【0011】
特許請求の範囲に記載の請求項2の手段を採用することによって、誤り訂正の対象となるデータ列をnビットとした場合、データビットDi およびデータビットDi+1 の排他的論理和を検査ビットPi,i+1 としたときに、次の論理式(4) に基づいてデータビットDi の誤りを訂正し、データビットDoutiを出力する論理回路を備える(ただし、i は0からnまでであり、i が0の場合にはi-1 をnとし、またi がnの場合にはi+1 を0とする。)。
【0012】
【数2】

【0013】
これにより、データビットDi については、論理式(4) により誤り訂正が行われる。例えば、データビットDi がデータ化けを生じている場合には、同式(4) の()内の論理演算の結果はいずれも「1」になり、同式(4) の{}内の論理演算の結果も「1」になるので、「1」と排他的論理和をとるデータビットDi は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDoutiとして出力される。これに対し、データビットDi がデータ化けを生じていない場合には、データビットDi を訂正する必要がない。そのため、同式(4) の()内の論理演算の結果はいずれも「0」になり、同式(4) の{}内の論理演算の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットDi はそのままデータビットDoutiとして出力される。
【0014】
このようにnビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn を訂正するのに、nビットの検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n があれば足りる。また、これらデータビットD0 、D1 、…、Dn および検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される。これにより、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とするデータ容量を削減することができる。また、回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される、当該nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn およびnビットの検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n を用いて誤りを訂正するので、回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。さらに、誤り訂正の対象となるデータ列を4ビット以上とした場合、所定の組合せで2ビット誤りを訂正することができる。
【0015】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項3の手段を採用する。この手段によると、半導体記憶装置から読み出された補正データに基づいてセンサ電圧発生手段によるセンサ電圧の調整を制御するセンサ電圧調整手段は、請求項1または2に記載の誤り訂正回路を備えており、半導体記憶装置から誤り訂正回路を介して補正データを読み出す。これにより、センサ電圧調整手段では、半導体記憶装置から読み出された補正データがデータ化けを生じても誤り訂正回路により訂正されるので、適正な補正データを読み出すことができる。また、誤り訂正回路の回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。さらに、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、3ビットのデータビットD0 、D1 およびD2 を訂正するのに、3ビットの検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 があれば足りる。また、これらデータビットD0 、D1 、D2 および検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される。これにより、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とするデータ容量を削減することができる。また、当該3ビットのデータビットD0 、D1 、D2 および3ビットの検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 を用いて誤りを訂正するので、回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。さらに、3ビット単位で他のデータビットとは独立して誤りを訂正し得るので、当該3ビット単位を1ブロックとした誤り訂正の対象範囲を2進化データ列の複数箇所に設定することで、当該ブロック間で2ビット以上のデータ誤りを訂正することができる。したがって、回路基板上の配線パターンによる占有面積の減少により基板面積を削減することができる。また、配線パターン長の短縮化により配線パターンの断線や信号減衰さらには外来ノイズの混入等も減るので、故障率を低減させることができる。
【0017】
請求項2の発明では、nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn を訂正するのに、nビットの検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n があれば足りる。また、これらデータビットD0 、D1 、…、Dn および検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される。これにより、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とするデータ容量を削減することができる。また、回路基板上の配置位置関係において隣接して入力される、当該nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn およびnビットの検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n を用いて誤りを訂正するので、回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。さらに、誤り訂正の対象となるデータ列を4ビット以上とした場合、所定の組合せで2ビット誤りを訂正することができる。したがって、回路基板上の配線パターンによる占有面積の減少により基板面積を削減することができる。また、配線パターン長の短縮化により配線パターンの断線や信号減衰さらには外来ノイズの混入等も減るので、故障率を低減することができる。
【0018】
請求項3の発明では、センサ電圧調整手段では、半導体記憶装置から読み出された補正データがデータ化けを生じても誤り訂正回路により訂正されるので、適正な補正データを読み出すことができる。また、誤り訂正回路の回路配線を簡素化することができるとともに回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。さらに、回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。したがって、当該物理量センサ装置の小型軽量化および故障率の低減を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の誤り訂正回路を物理量センサ装置に適用した一実施形態について図を参照して説明する。図1には、本実施形態に係る物理量センサ装置10の構成概要を示すブロック図が示されている。また、図2には、物理量センサ装置10のトリミング電圧制御回路部14の構成を示すブロック図が示されている。まず、物理量センサ装置10の構成を図1および図2に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、物理量センサ装置10は、主に、ロジック回路部12、トリミング電圧制御回路部14、アナログ回路部16およびセンサ素子Senにより構成されている。センサ素子Senは、例えば、ピエゾ素子をブリッジ状に配置して構成されるもので、外部から印加されるセンサ駆動電圧(センサ電圧)に基づいて物理量(例えば、圧力、加速度やヨーレイト)を検出可能に構成されるものである。なお、このセンサ素子Senは、特許請求の範囲に記載の「センサ手段」に相当し得るものである。
【0021】
ロジック回路部12は、端子18aから外部入力されるトリミング調整用のTRM 信号に基づいて、トリミング電圧制御回路部14の各種制御を行い得るように構成されている。具体的には、ロジック回路部12は、トリミング電圧制御回路部14に対してアドレスバス、モード制御信号を発生させるとともに、トリミング電圧制御回路部14とのデータの授受を行うことで、トリミング電圧制御回路部14から得られたデータをDataOUT 信号としてアナログ回路部16へ出力し得るように構成されている。
【0022】
トリミング電圧制御回路部14は、ロジック回路部12からの各種制御信号に基づいて、トリミング調整に関するデータ(以下「トリミングデータ」という。)を記憶したり、この記憶された補正データに基づいて、センサ素子Senに印加されるセンサ駆動電圧をトリミング調整するためのトリミング電圧Vtrm を発生させ得るように構成されている。なお、このトリミング電圧制御回路部14は、特許請求の範囲に記載の「センサ電圧調整手段」に相当し得るもので、またトリミングデータは、特許請求の範囲に記載の「補正データ」に相当し得るものである。ここで、トリミング電圧制御回路部14の構成を図2に基づいて説明する。
【0023】
図2に示すように、トリミング電圧制御回路部14は、主に、メモリ回路部14a、誤り訂正回路部14bおよびD/A変換部14cにより構成されており、メモリ回路部14aから誤り訂正回路部14bを介して読み出したトリミングデータに基づいて、トリミング電圧Vtrm をD/A変換部14cにより発生させている。
【0024】
メモリ回路部14aは、例えば、PROM(記憶装置、半導体記憶装置)で、トリミング電圧Vtrm を発生させるためのトリミングデータ(2進化されたデータ列)のほかに、少なくとも誤り訂正の対象となるデータ列の任意の2ビットにおける排他的論理和が検査データとして記憶されている。本実施形態では、全てのトリミングデータのデータビットD0 〜Dn を誤り訂正の対象に設定している。
【0025】
即ち、誤り訂正の対象となるトリミングデータ(データ列)がデータビットD0 ,D1 ,D2 である場合には、データDn とデータD0 の排他的論理和が設定される検査ビットPn,0 、データD0 とデータD1 の排他的論理和が設定される検査ビットP0,1 、データD1 とデータD2 の排他的論理和が設定される検査ビットP1,2 が、それぞれメモリ回路部14aに記憶されている。つまり、誤り訂正の対象となるデータ列をデータビットDn-1,Dn,Dn+1 とすると、データDn-1 とデータDn の排他的論理和が設定される検査ビットPn-1,n 、データDn とデータDn+1 の排他的論理和が設定される検査ビットPn,n+1 、データDn+1 とデータDn-1 の排他的論理和が設定される検査ビットPn+1,n-1 が、それぞれメモリ回路部14aに記憶されている。
【0026】
誤り訂正回路部14bは、メモリ回路部14aに記憶されている検査ビットPn-1,n と検査ビットPn,n+1 とに基づいてデータDn に対する誤り訂正を行い得る論理回路を構成するものである。具体的には、「データDn-1 、データDn および検査ビットPn-1,n の排他的論理和」と「データDn 、データDn+1 および検査ビットPn,n+1 の排他的論理和」との論理積に対するデータDn との排他的論理和をとり得るように論理回路を構成することで、当該データDn の誤りを訂正する。なお、この誤り訂正回路部14bは、特許請求の範囲に記載の「誤り訂正回路」に相当し得るもので、具体的な構成等については後述する。
【0027】
D/A変換部14cは、誤り訂正回路部14bにより誤り訂正された後のトリミングデータ(Dout1〜Doutn)をアナログ信号に変換し得る、いわゆるDAC(Digital to Analog Converter)で、このD/A変換部14cから出力がトリミング電圧Vtrm としてアナログ回路部16に印加されるように構成されている。
【0028】
アナログ回路部16は、トリミング電圧制御回路部14からのトリミング電圧Vtrm に基づいて、センサ素子Senに印加するセンサ駆動電圧を調整したり、センサ素子Senから出力されるセンサ検出電圧を調整するもので、外部に接続可能な3つの端子、即ちVcc端子18b、Vout 端子18c、GND端子18dを備えている。これらの調整により、最終的な感度調整、オフセット調整、オフセット温度特性調整等を可能にしている。また、このアナログ回路部16には、ロジック回路部12から出力されるDataOUT 信号を受けて、トリミング電圧制御回路部14のメモリ回路部14aに記憶されたトリミングデータの内容に基づいたセンサ出力電圧をVout 端子18cから出力可能に構成されている。なお、このアナログ回路部16は特許請求の範囲に記載の「センサ電圧発生手段」に相当し得るものである。
【0029】
ここで、誤り訂正回路部14bの構成例を図3〜図7に基づいて説明する。まず、誤り訂正回路部14bを構成する誤り訂正回路の最小構成例を図3を参照して説明する。
図3に示すように、誤り訂正回路20は、誤り訂正の対象となるデータ列をデータビットD0 、D1 、D2 とし、データビットD0 およびデータビットD1 の排他的論理和を検査ビットP0,1 (次論理式(5) )、データビットD1 およびデータビットD2 の排他的論理和を検査ビットP1,2 (次論理式(6) )、データビットD2 およびデータビットD0 の排他的論理和を検査ビットP2,0 (次論理式(7) )とするものである。
【0030】
【数3】

【0031】
そして、これらデータビットD0 、D1 、D2 および検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力されるとき、次の論理式(8) 〜(10)に基づいてデータビットD0 、データビットD1 およびデータビットD2 の誤りをそれぞれ訂正し、データビットDout0、データビットDout1およびデータビットDout2を出力する論理回路を備える。
【0032】
【数4】

【0033】
即ち、データビットD1 については、データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和がE0,1 として出力されるように、検査ビットP0,1 とデータビットD1 とを排他的論理和XOR-2aに入力し、排他的論理和XOR-2aの出力とデータビットD0 とを排他的論理和XOR-2bに入力可能に構成する。また、データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和がE1,2 として出力されるように、検査ビットP1,2 とデータビットD2 とを排他的論理和XOR-3aに入力し、排他的論理和XOR-3aの出力とデータビットD1 とを排他的論理和XOR-3bに入力可能に構成する。そして、E0,1 とE1,2 とを論理積AND-2 に入力し、この論理積AND-2 の出力とデータビットD1 とを排他的論理和XOR-2cに入力可能に構成する。これにより、前掲の論理式(9) による論理演算、つまりデータビットD1 の誤り訂正が可能になる。
【0034】
例えば、データビットD1 がデータ化けを生じている場合には、同式(9) の()内の論理演算、つまり「データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和の結果(E0,1 )」と「データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和の結果(E1,2 )」はいずれも「1」になるので、同式(9) の{}内の論理演算、つまりE0,1 とE1,2 の論理積の結果も「1」になり、「1」と排他的論理和をとるデータビットD1 は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDout1として出力される。
【0035】
これに対し、データビットD1 がデータ化けを生じていない場合には、データビットD1 を訂正する必要がない。そのため、同式(9) の()内の論理演算、つまり「データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和の結果(E0,1 )」と「データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和の結果(E1,2 )」はいずれも「0」になり、また同式(9) の{}内の論理演算、つまりE0,1 とE1,2 の論理積の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットD1 はそのままデータビットDout1として出力される。
【0036】
また、データビットD2 については、データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD0 の排他的論理和がE1,2 として出力されるように、検査ビットP1,2 とデータビットD2 とを排他的論理和XOR-3aに入力し、排他的論理和XOR-3aの出力とデータビットD1 とを排他的論理和XOR-3bに入力可能に構成する。また、データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和がE2,0 として出力されるように、検査ビットP2,0 とデータビットD0 とを排他的論理和XOR-1aに入力し、排他的論理和XOR-1aの出力とデータビットD2 とを排他的論理和XOR-1bに入力可能に構成する(環状接続25a)。そして、E1,2 とE2,0 とを論理積AND-3 に入力し(環状接続25b)、この論理積AND-3 の出力とデータビットD2 とを排他的論理和XOR-3cに入力可能に構成する。これにより、前掲の論理式(10)による論理演算、つまりデータビットD2 の誤り訂正が可能になる。
【0037】
例えば、データビットD2 がデータ化けを生じている場合には、同式(10)の()内の論理演算、つまり「データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和の結果(E1,2 )」と「データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和の結果(E2,0 )」はいずれも「1」になるので、同式(10)の{}内の論理演算、つまりE1,2 とE2,0 の論理積の結果も「1」になり、「1」と排他的論理和をとるデータビットD2 は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDout2として出力される。
【0038】
これに対し、データビットD2 がデータ化けを生じていない場合には、データビットD2 を訂正する必要がない。そのため、同式(10)の()内の論理演算、つまり「データビットD1 、検査ビットP1,2 およびデータビットD2 の排他的論理和の結果(E1,2 )」と「データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和の結果(E2,0 )」はいずれも「0」になり、また同式(10)の{}内の論理演算、つまりE1,2 とE2,0 の論理積の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットD2 はそのままデータビットDout2として出力される。
【0039】
さらに、データビットD0 については、データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和がE2,0 として出力されるように、検査ビットP2,0 とデータビットD0 とを排他的論理和XOR-1aに入力し、排他的論理和XOR-1aの出力とデータビットD2 とを排他的論理和XOR-1bに入力可能に構成する(環状接続25a)。また、データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和がE0,1 として出力されるように、検査ビットP0,1 とデータビットD1 とを排他的論理和XOR-2aに入力し、排他的論理和XOR-2aの出力とデータビットD0 とを排他的論理和XOR-2bに入力可能に構成する。そして、E2,0 とE0,1 とを論理積AND-1 に入力し、この論理積AND-1 の出力とデータビットD0 とを排他的論理和XOR-1cに入力可能に構成する。これにより、前掲の論理式(8) による論理演算、つまりデータビットD0 の誤り訂正が可能になる。
【0040】
例えば、データビットD0 がデータ化けを生じている場合には、同式(8) の()内の論理演算、つまり「データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和の結果(E2,0 )」と「データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和の結果(E0,1 )」はいずれも「1」になるので、同式(8) の{}内の論理演算、つまりE2,0 とE0,1 の論理積の結果も「1」になり、「1」と排他的論理和をとるデータビットD0 は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDout0として出力される。
【0041】
これに対し、データビットD0 がデータ化けを生じていない場合には、データビットD0 を訂正する必要がない。そのため、同式(8) の()内の論理演算、つまり「データビットD2 、検査ビットP2,0 およびデータビットD0 の排他的論理和の結果(E2,0 )」と「データビットD0 、検査ビットP0,1 およびデータビットD1 の排他的論理和の結果(E0,1 )」はいずれも「0」になり、また同式(8) の{}内の論理演算、つまりE2,0 とE0,1 の論理積の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットD0 はそのままデータビットDout0として出力される。
【0042】
このように、3ビットのデータビットD0 、D1 、D2 に対し、それぞれのビット間における排他的論理和を検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 として予めメモリ回路部14aに記憶させておくことで、図3に示す誤り訂正回路20によりデータビットD0 、D1 、D2 の誤りを訂正することができる。これにより、3ビットのデータビットD0 、D1 、D2 に対し3ビットの検出ビットを用意しておけば誤り訂正をすることができる。つまり、誤り訂正の対象となるデータと同じデータ量の検出データを予め記憶装置に記憶しておけば良いので、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とする誤り訂正回路部14bの記憶容量を削減することができる。また、当該3ビットのデータビットD0 、D1 、D2 および3ビットの検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 を用いて誤りを訂正するので、誤り訂正回路部14bの回路配線を簡素化することができるとともに誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。したがって、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンによる占有面積の減少によりトリミング電圧制御回路部14の基板面積を削減することができる。また、配線パターン長の短縮化により配線パターンの断線や信号減衰さらには外来ノイズの混入等も減るので、トリミング電圧制御回路部14、ひいては物理量センサ装置10の故障率を低減させることができる。
【0043】
このような3ビットのデータの誤り訂正を可能にする誤り訂正回路20を1ブロックとして、複数の誤り訂正回路20を設け複数ブロックにおいて誤り訂正を可能にする構成を採っても良い。例えば、図4に示すように、データビットD0 、D1 、D2 については誤り訂正回路20Aにより誤り訂正を行い、データビットD3 、D4 、D5 については誤り訂正回路20Bにより誤り訂正を行う構成とする。これにより、3ビット単位で他のデータビット(他のブロック)とは独立して誤りを訂正することができるので、これらのブロック間で2ビット以上のデータ誤りを訂正することができる。したがって、このようなブロック間における複数ビットの誤りにも対応できるので、誤り訂正能力を向上させることができる。
【0044】
次に、誤り訂正回路部14bの構成例として、誤り訂正の対象をnビット、つまり複数ビットとした場合の誤り訂正回路30の例を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、誤り訂正回路30は、誤り訂正の対象となるデータ列をデータビットD0 、D1 、…、Dn とし、データビットDi およびデータビットDi+1 の排他的論理和を検査ビットPi,i+1 (次論理式(11))とするものである。ただし、i は0からnまでであり、i が0の場合にはi-1 をnとし、またi がnの場合にはi+1 を0とする。
【0045】
【数5】

【0046】
そして、これらデータビットD0 、D1 、…、Dn および検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力されるとき、次の論理式(12)に基づいてデータビットD0 、D1 、…、Dn の誤りをそれぞれ訂正し、データビットDout0、Dout1、…、データビットDoutnを出力する論理回路を備える。
【0047】
【数6】

【0048】
即ち、前述した最小構成の誤り訂正回路20を拡張して、データビットDi については、データビットDi-1 、検査ビットPi-1,i およびデータビットDi の排他的論理和がEi-1,i として出力されるように、検査ビットPi-1,i とデータビットDi とを排他的論理和XOR-(i+1)aに入力し、排他的論理和XOR-(i+1)aの出力とデータビットDi-1 とを排他的論理和XOR-(i+1)bに入力可能に構成する。また、データビットDi 、検査ビットPi,i+1 およびデータビットDi+1 の排他的論理和がEi,i+1 として出力されるように、検査ビットPi,i+1 とデータビットDi+1 とを排他的論理和XOR-(i+2)aに入力し、排他的論理和XOR-(i+2)aの出力とデータビットDi とを排他的論理和XOR-(i+2)bに入力可能に構成する。そして、Ei-1,i とEi,i+1 とを論理積AND-(i+1) に入力し、この論理積AND-(i+1) の出力とデータビットDi とを排他的論理和XOR-(i+1)cに入力可能に構成する。これにより、前掲の論理式(12)による論理演算、つまりデータビットDi の誤り訂正が可能になる。なお、前述したように、i は0からnまでであり、i が0の場合にはi-1 はnであり、またi がnの場合にはi+1 は0である。
【0049】
例えば、データビットDi がデータ化けを生じている場合には、同式(12)の()内の論理演算、つまり「データビットDi-1 、検査ビットPi-1,i およびデータビットDi の排他的論理和の結果(Ei-1,i )」と「データビットDi 、検査ビットPi,i+1 およびデータビットDi+1 の排他的論理和の結果(Ei,i+1 )」はいずれも「1」になるので、同式(12)の{}内の論理演算、つまりEi-1,i とEi,i+1 の論理積の結果も「1」になり、「1」と排他的論理和をとるデータビットDi は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDoutiとして出力される。
【0050】
これに対し、データビットDi がデータ化けを生じていない場合には、データビットDi を訂正する必要がない。そのため、同式(12)の()内の論理演算、つまり「データビットDi-1 、検査ビットPi-1,i およびデータビットDi の排他的論理和の結果(Ei-1,i )」と「データビットDi 、検査ビットPi,i+1 およびデータビットDi+1 の排他的論理和の結果(Ei,i+1 )」はいずれも「0」になり、また同式(12)の{}内の論理演算、つまりEi-1,i とEi,i+1 の論理積の結果も「0」になるので、「0」と排他的論理和をとるデータビットDi はそのままデータビットDoutiとして出力される。
【0051】
このように、nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn に対し、それぞれのビット間における排他的論理和を検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n として予めメモリ回路部14aに記憶させておくことで、図4に示す誤り訂正回路30によりデータビットD0 、D1 、…、Dn の誤りを訂正することができる。これにより、nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn に対しnビットの検出ビットを用意しておけば誤り訂正をすることができる。つまり、誤り訂正の対象となるデータと同じデータ量の検出データを予め記憶装置に記憶しておけば良いので、同一データを3重にもつ冗長構成の多数決方式による誤り訂正回路に比べ、必要とする誤り訂正回路部14bの記憶容量を削減することができる。また、当該nビットのデータビットD0 、D1 、…、Dn および検査ビットPn,0 、P0,1 、…、Pn-1,n を用いて誤りを訂正するので、前述した3ビット単位の最小構成の誤り訂正回路20に比べて、3ビットごとに環状接続25a、25bを設ける必要がない。そのため、誤り訂正回路20に比べ、誤り訂正回路部14bの回路配線を簡素化することができるとともに誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。したがって、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンによる占有面積の一層の減少によりトリミング電圧制御回路部14の基板面積をさらに削減することができる。また、配線パターン長のさらなる短縮化により配線パターンの断線や信号減衰さらには外来ノイズの混入等もより減るので、トリミング電圧制御回路部14、ひいては物理量センサ装置10の故障率を一層低減させることができる。
【0052】
また、図5に示すようなnビットのデータを誤り訂正の対象する構成では、図6および図7に示すような組み合わせにより2ビット誤りにも対応することができる。なお、図6には、図5に示す誤り訂正回路における2ビット誤り(×印)に対する訂正の可否を表す説明図が示されている。また、図7には、誤り訂正の対象となるビット数nに対する誤り訂正可能な2ビット誤りの組み合わせ(破線で結ばれたビット同士)を示す説明図が示されている。
【0053】
即ち、図6に示すように、2ビット誤りの誤りビットの間隔が1ビットから3ビットまでの場合、例えば、図5に示すデータビットD0 と検出ビットP0,1 との組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は1ビット)、データビットD0 とデータビットD1 との組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は2ビット)あるいはデータビットD0 と検出ビットP1,2 との組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は3ビット)には、いずれもビットも訂正をすることができない。しかし、このような誤りビットの組み合わせ間隔(誤りビット間隔)が4ビット以上ある場合には、次のような組み合わせにおいて、双方のビットの誤りを訂正することが可能となる。
【0054】
例えば、図5に示す例では、検出ビットP0,1 と検出ビットP2,3 の組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は4ビット)、データビットD0 と検出ビットP2,3 との組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は5ビット)や検出ビットP0,1 とデータビットD3 との組み合わせで誤っていた場合(誤りビット間隔は5ビット)には、いずれのビットも誤りを訂正することができる。なお、誤り訂正可能なビットの組み合わせは、図7に示す破線で結ばれたビット同士である。
【0055】
なお、ビット誤り率の観点から、上述した誤り訂正回路20、30を検討すると、次のようになる。単ビットの誤り率をpとすると、2ビット同時に誤る誤率はp、また3ビット同時に誤る誤率はpであり、p<<1である。そのため、p>>p>>pとなる。したがって、誤り訂正後の誤り率として,3ビット以上の同時誤り率は無視して,2ビット同時誤りのみを考える。図3に示す最小構成の場合、2ビットの同時誤りが発生した場合には、それらを訂正することはできない。そして、このような2ビット誤りの組み合わせは、で15通りあるので、誤り率は15pとなる。
【0056】
一方、図5に示すようなnビット構成の場合には、ビット間距離がある程度以上離れていれば、2ビット以上の同時誤りにも対応することができる。これは、上述したように、隣接する数ビットのみの情報を利用して誤り訂正を行っているからである。そして、このビット間隔として、どの程度離れていれば良いかを見ると、図6に示すように、およそ4ビット以上離れている場合には、双方のビットを訂正することが可能となる。訂正することができない誤りビットのパターンの組合せ数から誤り率は7npとなる。したがって、n=5の場合には35p、n=6の場合には42p、n=7場合には49pとなる。なお、n=4の場合には26p(=6.5np)になることが判明している。
【0057】
以上説明したように、物理量センサ装置10によると、トリミング電圧制御回路部14を構成する誤り訂正回路部14bでは、メモリ回路部14から読み出されたトリミングデータがデータ化けを生じても、前掲の論理式(12)の()内の論理演算、つまり「データビットDi-1 、検査ビットPi-1,i およびデータビットDi の排他的論理和の結果(Ei-1,i )」と「データビットDi 、検査ビットPi,i+1 およびデータビットDi+1 の排他的論理和の結果(Ei,i+1 )」はいずれも「1」になるので、同式(12)の{}内の論理演算、つまりEi-1,i とEi,i+1 の論理積の結果も「1」になり、「1」と排他的論理和をとるデータビットDi は反転、つまりデータビットの誤りが訂正されてデータビットDoutiとして出力される。
【0058】
これにより、適正なトリミングデータを読み出すことができる。また、誤り訂正回路部14bの回路配線を簡素化することができるとともに、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの引き回しの錯綜を防止することができる。また、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンの長さを短くできる。したがって、誤り訂正回路部14bの回路基板上の配線パターンによる占有面積の一層の減少によりトリミング電圧制御回路部14の基板面積をさらに削減することができる。また、配線パターン長のさらなる短縮化により配線パターンの断線や信号減衰さらには外来ノイズの混入等もより減るので、トリミング電圧制御回路部14、ひいては物理量センサ装置10の故障率を一層低減させることができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、2進化データ列を記憶する記憶装置として、半導体記憶装置を例示したが、本発明では、これに限られることはなく、2進化データ列を記憶を記憶可能な情報記憶媒体、例えば、磁気バブルメモリ、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、CD、MD、DVDであっても良く、上述したものと同様の作用・効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る物理量センサ装置の構成概要を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る物理量センサ装置のトリミング電圧制御回路部の構成を示すブロック図である。
【図3】トリミング電圧制御回路部の誤り訂正回路部に適用可能な誤り訂正回路の基本構成を示す回路図である。
【図4】図3に示す訂正回路を複数組み合わせた場合の構成を示す回路図である。
【図5】トリミング電圧制御回路部の誤り訂正回路部に適用可能な誤り訂正回路の一例を示す回路図である。
【図6】図5の誤り訂正回路における2ビット誤り(×印)に対する訂正の可否を表す説明図である。
【図7】誤り訂正の対象となるビット数nに対する誤り訂正可能な2ビット誤りの組み合わせ(破線で結ばれたビット同士)を示す説明図である。
【図8】多数決方式による誤り訂正回路の一例を示す回路図である。
【図9】データの重要度に応じた冗長構成を採る誤り訂正回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0061】
10…物理量センサ装置
12…ロジック回路部
14…トリミング電圧制御回路部(センサ電圧調整手段)
14a…メモリ回路部(記憶装置、半導体記憶装置)
14b…誤り訂正回路部(誤り訂正回路)
14c…D/A変換部
16…アナログ回路部(センサ電圧発生手段)
20、30…誤り訂正回路(論理回路)
Sen…センサ素子(センサ手段)
Vtrm …トリミング電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶されている2進化データ列のうち、少なくとも誤り訂正の対象となるデータ列の任意の2ビットにおける排他的論理和を検査データとして記憶している記憶装置に対する誤り訂正回路であって、
データビットD0 およびデータビットD1 の排他的論理和を検査ビットP0,1 、データビットD1 およびデータビットD2 の排他的論理和を検査ビットP1,2 、データビットD2 およびデータビットD0 の排他的論理和を検査ビットP2,0 とし、これらデータビットD0 、D1 、D2 および検査ビットP0,1 、P1,2 、P2,0 が回路基板上の配置位置関係において隣接して入力されるとき、次の論理式(1) 〜(3) に基づいてデータビットD0 、データビットD1 およびデータビットD2 の誤りをそれぞれ訂正し、データビットDout0、データビットDout1およびデータビットDout2を出力する論理回路を備えることを特徴とする誤り訂正回路。
【数1】

【請求項2】
前記誤り訂正の対象となるデータ列をnビットとした場合、データビットDi およびデータビットDi+1 の排他的論理和を検査ビットPi,i+1 としたときに、次の論理式(4) に基づいてデータビットDi の誤りを訂正し、データビットDoutiを出力する論理回路を備えることを特徴とする請求項1記載の誤り訂正回路。ただし、i は0からnまでであり、i が0の場合にはi-1 をnとし、またi がnの場合にはi+1 を0とする。
【数2】

【請求項3】
印加されるセンサ電圧に基づいて物理量を検出可能なセンサ手段と、
前記センサ電圧を調整可能に発生し得るセンサ電圧発生手段と、
半導体記憶装置から読み出された補正データに基づいて前記センサ電圧発生手段による前記センサ電圧の調整を制御するセンサ電圧調整手段と、
を備えた物理量センサ装置であって、
前記センサ電圧調整手段は、請求項1または2に記載の誤り訂正回路を備えており、前記半導体記憶装置から前記誤り訂正回路を介して前記補正データを読み出すことを特徴とする物理量センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−31225(P2006−31225A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206961(P2004−206961)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】