説明

読影レポート作成装置

【課題】 患部の特徴を把握し易い読影レポートを容易に作成できる読影レポート作成装置を提供する。
【解決手段】 この読影レポート作成装置は、患部のサイズを入力するために用いられるサイズ記入欄を有するテンプレートと、検査対象部位の模式図であるシェーマとを、読影依頼情報に基づいて準備する表示情報準備部15と、該表示情報準備部によって準備されたテンプレート及びシェーマを含む読影レポート作成画面を表示部に表示させる画面作成部16と、ユーザの操作に従って、又は、シェーマに表示されているマーカのサイズに対応して、テンプレートのサイズ記入欄に値を入力するテンプレート記入部17と、ユーザの操作に従って、又は、テンプレートのサイズ記入欄に記入されている値に対応した大きさで、表示部においてシェーマ上にマーカを表示させるマーカ作成部19とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像による医療診断のために用いられる検査画像(医用画像)の撮影後に医師によって行われる読影を支援するための読影支援システムにおいて、読影レポートを作成するために用いられる読影レポート作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CR(computed radiography:コンピュータ放射線撮影)、MRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴撮影)、CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)等の医用ディジタル画像生成技術の普及に伴い、検査によって取得された医用画像を電子的に管理することが行われている。
【0003】
一般に、撮像検査が行われた場合には、患者に対して担当医による具体的な診断が下される前に、生成された医用画像について読影医による読影が行われ、読影結果や所見が記入された読影レポートが作成される。従来は、ディジタル画像データが生成された場合においても、読影の際には、写真フィルムにハードコピーされた医用画像が用いられていたが、高精細な画像モニタ(ビューワ)の開発に伴い、モニタ上に表示された医用画像を読影することも行われるようになっている。
【0004】
ところで、通常、読影レポートの作成は、読影者がワープロ等に機能を用いることにより、読影結果を文書として入力することにより行われる。しかしながら、このような入力作業は、特に、読影経験が浅い医師にとっては大きな負担となっている。また、検査の種類によって複数の部位に関して所見を記入する必要があるので、読影医の作業量は多くなる。さらに、読影医ごとに異なる表現や様式によって読影結果が記入されている場合には、読影レポートを参照する者(診断医等)にとって煩雑になってしまうため、診断効率を上げることができない。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、医用検査の検討結果に関するレポートであって、過不足が無く、しかも表現等が統一された品質の高いレポートを少ない作業負担で作成するためのレポート作成支援システムが開示されている。このレポート作成支援システムにおいては、レポートの作成に必要な情報を、複数種類の入力形式を選択的に使って入力することが可能となっている(第1頁)。また、このレポート作成支援システムにおいては、シェーマ上に入力されたテキスト情報が、表入力形式やチェック入力形式の入力項目に対して自動的に連動するようになっている(第5頁)。
【特許文献1】特開2001−126007号公報(第1、5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、マーカを挿入するために入力されるテキスト情報とシェーマ上に入力されるマーカのサイズとは対応していない。そのため、シェーマ上に疾患部の相対的な大きさを考慮したマーカを表示した読影レポートを作成することができない。従って、そのような読影レポートを用いる場合には、レポートの参照者が、患部の大きさや広がりに基づいて判断すべき特徴を把握し難いという問題が生じている。
【0007】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、患部の特徴を把握し易い読影レポートを容易に作成できる読影レポート作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る読影レポート作成装置は、医用画像を表示するための少なくとも1つの画像表示端末を利用して読影レポートを作成する際に用いられる読影レポート作成装置であって、患部のサイズを入力するために用いられるサイズ記入欄を有するテンプレートと、検査対象部位の模式図であるシェーマとを、読影依頼情報に基づいて準備する表示情報準備手段と、該表示情報準備手段によって準備されたテンプレート及びシェーマを含む読影レポート作成画面を表示部に表示させる画面作成手段と、ユーザの操作に従って、又は、シェーマに表示されているマーカのサイズに対応して、テンプレートのサイズ記入欄に値を入力するテンプレート記入手段と、ユーザの操作に従って、又は、テンプレートのサイズ記入欄に記入されている値に対応した大きさで、表示部においてシェーマ上にマーカを表示させるマーカ作成手段とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、テンプレートに入力された情報とシェーマ上に表示されるマーカのサイズとを連動させることにより、読影レポートにおいて患部のサイズや広がりに基づいて判断される特徴を把握し易くなるので、効率良く診断を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る読影レポート作成装置を含む読影支援システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
この読影支援システムは、読影レポート作成装置1と、少なくとも1つの画像表示端末(ビューワ)2と、画像サーバ3と、読影レポートサーバ4とを含んでいる。また、読影レポート作成装置1は、RIS(radiology information system:放射線科情報管理システム)5、及び、CR装置6a、CT装置6b、MRI装置6c等の撮影モダリティに接続されていても良い。図1に示すように、これらの装置は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等のネットワークを介して相互に接続されていても良い。
【0012】
図1に示すように、読影レポート作成装置1は、表示部100及び入力部110を備えている。表示部100は、読影すべき検査をユーザ(読影医)が選択するために用いられるワークリストや、読影レポート作成画面等を表示するための表示装置である。また、入力部110は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。ユーザは、後述する画像表示端末2に表示された検査画像を観察しながら、表示部100に表示された読影レポート作成画面内の所定の情報入力欄に入力部110を用いて情報を入力することにより、読影レポートを作成する。
【0013】
図1に示す表示部100の画面には、読影レポートを作成する際に用いられるシェーマ101及びテンプレート102が表示されている。ここで、シェーマとは、検査対象となっている部位(臓器等)を示す模式図のことであり、読影レポートに貼り付けて使用される。
【0014】
画像表示端末2は、読影対象となっている検査画像を表示するための端末装置であり、高精細なディスプレイを備えている。図1に示す画面200には、乳房の検査画像が表示されている。なお、図1には1つの画像表示端末2が示されているが、読影に際しては、必要に応じて2つ以上の画像表示端末を用いても良い。
【0015】
画像サーバ3は、例えば、CR装置6a、CT装置6b、MRI装置6c等の撮影モダリティによって取得された画像データを保管及び管理するPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像情報システム)用のサーバである。画像サーバ3は、読影レポート作成装置1の要求に従って、所望の画像データを読影レポート作成装置1に出力する。
【0016】
読影レポートサーバ4は、読影レポートを表すレポートデータを格納している。レポートデータには、レポートID、患者ID、患者名、検査ID、読影医による所見を表す情報、シェーマ画像等が含まれる。
【0017】
RIS5は、放射線科における放射線検査を管理するためのサーバであり、入力用端末によって入力された患者情報や検査内容等の情報に基づいて、検査スケジュールの管理や、撮影モダリティへの検査のオーダーや、撮像が終了した検査について読影のオーダー(読影依頼)を行う。読影のオーダーは、読影レポートサーバ4に格納される。
【0018】
次に、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る読影レポート作成装置の構成について説明する。
図2は、図1に示す読影レポート作成装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、読影レポート作成装置1は、先に説明した表示部100及び入力部110に加えて、中央演算装置(以下、CPUという)10と、読影レポートサーバ4から入力されるレポートデータや画像サーバ3から入力される画像データ等を一旦記憶するメモリ120と、記録媒体としてのハードディスク131を制御するハードディスク制御部130と、ネットワークインタフェース140とを含んでいる。これらは、バスラインを介して相互に接続されている。また、CPU10は、ネットワークインタフェース140を介して、ネットワークに接続される。
【0019】
ハードディスク131には、読影レポートに所見を入力するために用いられるシェーマ画像やテンプレートや選択リスト等が記録されている。シェーマ画像及びテンプレートは、検査種類や検査部位等に応じて複数種類ずつ用意されている。また、ハードディスク131には、読影レポートを作成するために用いられる情報や、CPU10に処理を行わせるためのソフトウェア(プログラム)等も記録されている。なお、記録媒体としては、内蔵のハードディスク131以外に、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることもできる。
【0020】
次に、CPU10とソフトウェア(プログラム)とによって構成される複数の機能ブロックについて説明する。これらの機能ブロックは、依頼情報取得部11と、画像データ取得部12と、画像データ出力部13と、計測データ取得部14と、表示情報準備部15と、画面作成部16と、テンプレート記入部17と、選択リスト表示部18と、マーカ作成部19と、ウィザード表示部20と、レポート作成部21と、レポート保存部22とを含んでいる。
【0021】
依頼情報取得部11は、読影依頼情報(依頼情報、又は、オーダー情報とも呼ばれる)を、読影レポートサーバ4からネットワークを介して取得する。この依頼情報には、検査ID、検査画像ID、検査種類、患者名、患者の年齢及び性別、使用されたモダリティ、検査部位等が含まれている。或いは、依頼情報取得部11は、依頼情報をオフラインで取得しても良いし、読影レポート作成装置がHIS(病院情報システム)等の他のシステムにも接続されている場合には、そのようなシステムからネットワークを介して依頼情報を取得しても良い。
【0022】
画像データ取得部12は、依頼情報に基づいて、読影対象となる検査画像を表す画像データ(検査画像データ)及びその付帯情報を画像サーバ3から取得する。或いは、画像データ取得部12は、DVD(digital versatile disk)やCD(compact disk)等の記録媒体から、オフラインで検査画像データ及びその付帯情報を取得するようにしても良い。
【0023】
画像データ出力部13は、検査画像データを図1に示す画像表示端末2に出力することにより、画面200に検査画像を表示させる。なお、画像表示端末2が、読影レポート作成装置1の制御の下で、画像サーバ3から検査画像データを直接受け取るようにしても良い。
【0024】
計測データ取得部14は、画像表示端末2において、検査画像に表示された患部(図1の画面200に示す患部201)のサイズが計測されたときに、その計測値を取得し、後述するテンプレート記入部17に入力する。また、計測データ取得部14は、患部の検査画像における位置情報を併せて取得し、テンプレート記入部17に入力しても良い。ここで、患部には、腫瘤や石灰化部分等が含まれる。また、患部は、画像表示端末2が有する検出ツールや、ユーザの操作によるマーキングによって決定され、患部のサイズは、画像表示端末2が有する計測ツールによって計測される。この患部のサイズには、患部の面積や、線分の長さや、2直線線間の比率(心胸郭比)等が含まれる。
【0025】
表示情報準備部15は、ハードディスク131に格納されている複数種類のシェーマ及びテンプレートの内から、依頼情報に含まれる検査種類、モダリティ、及び、検査部位に基づいて、読影依頼された検査に対応するシェーマ及びテンプレートを選択することにより、読影レポート作成画面を表示するための準備を行う。
【0026】
図3は、本実施形態において、表示部100の画面に表示される読影レポート作成画面を示している。図3に示すように、例えば、乳房検査についての読影が行われる場合には、乳房検査用のシェーマ画面31及びテンプレート32が画面30に表示される。
【0027】
図3に示すように、シェーマ画面31は、乳房を側方から見たシェーマ画像31a及び乳房を上方から見たシェーマ画像31bを含んでいる。また、シェーマ画面31には、マーカ311及び312が表示されている。
マーカ311及び312の位置及びサイズは、検査画像における患部の位置及びサイズに対応しており、マーカの内部又は近辺には、患部のサイズを示す数値が表示されている。また、マーカ311及び312の形態は、患部の性状を表している。即ち、マーカの形状は患部の形状(円形/楕円形、多角形、分葉形、不整形等)を簡易的に示しており、マーカの縁取りの形状(実線、破線、波線等)は患部の辺縁の状態(評価困難、境界明瞭、境界不明瞭、微細分葉状、スピキュラ等)を示しており、マーカの輝度やハッチングは患部の組織の状態や濃度(脂肪含む、低濃度、高濃度等)を示している。
【0028】
シェーマ画像31a及び31bは、複数の領域に区分されている。この区分方法は、検査種類や検査部位に応じて標準的に定められており、区分された各領域は、区分記号(1)〜(5)、及び、(7)〜(8)によって特定される。また、シェーマ画面31には、検査画像に対する縮尺を示す目盛り313が表示されている。この目盛りは、後述するように、ユーザがマーカのサイズを入力する際に参照用として用いられる。
一方、テンプレート32には、右乳房及び左乳房の各々について、腫瘤及び石灰化部分のサイズや性状等を入力するための記入欄321、322、…が設けられている。
【0029】
再び、図2を参照すると、表示情報準備部15は、ハードディスク131に格納されている複数種類の選択リストの内から、依頼情報に含まれる検査種類及び検査部位に対応する選択リストを抽出する。ここで、選択リストとは、テンプレート32内の記入欄に記入される項目を選択肢の形式で表したものである。図4に示すように、乳房検査に関する選択リストには、腫瘤に関する形状リスト331、濃度リスト332、及び、辺縁リスト333や、石灰化に関する分布リスト334等がある。なお、図3には、辺縁リスト333が辺縁記入欄325にポップアップ表示されている様子が示されている。
【0030】
さらに、表示情報準備部15は、選択リストの各々について、選択肢として表示される項目を、検査種類、検査部位、患者の年齢及び性別等の依頼情報に応じて選択すると共に、それらの依頼情報に応じて並べ替える。具体的には、選択される可能性の高い項目が、選択リストの上位に表示されるようにする。それにより、選択リストにおいて、依頼情報から判断される最適な項目が最適な並び順で表示される。
画面作成部16は、表示情報準備部15によって選択されたシェーマ及びテンプレートを含む読影レポート作成画面を作成し、表示部100に表示させる。
【0031】
テンプレート記入部17は、計測データ取得部14によって患部のサイズの計測値が取得されたときに、又は、ユーザの操作に従って、テンプレート32内の記入欄に情報を入力する。具体的には、テンプレート32の部位記入欄321には、検査画像上の患部の位置に対応するシェーマ画像の区分記号(1)〜(5)又は(7)〜(8)が入力される。なお、患部が複数の区分にまたがっている場合には、記号(6)が入力される。また、サイズ記入欄322には、患部の計測値が入力される。このサイズ記入欄322への入力は、計測データ取得部14が計測値を取得することにより自動的に行われるようにしても良いし、ユーザにより手動で行われても良い。さらに、形状記入欄323、濃度記入欄324、辺縁記入欄325、及び、分布記入欄326には、図4に示す形状リスト331、濃度リスト332、辺縁リスト333、及び、分布リスト334の内からユーザによって選択された項目がそれぞれ入力される。
【0032】
選択リスト表示部18は、ユーザがテンプレート32の記入欄323〜326のいずれかにカーソルを合わせてマウスを右クリックしたときに、表示情報準備部15によって抽出された選択リストの内から、その記入欄に対応する選択リスト331〜334をポップアップ表示する。また、選択リスト表示部18は、ユーザがシェーマ画面31上のマーカ311又は312にカーソルを合わせてマウスを右クリックしたときにも、選択リストをポップアップ表示する。この場合に、選択リスト表示部18は、図5に示すように、まず、記入欄の項目(「形状」、「濃度」、「辺縁」、「分布」)を選択させるためのリストを表示し、それらの項目の内のいずれかが選択されたときに、選択された項目に関する選択リスト(図4参照)を表示する。
【0033】
マーカ作成部19は、テンプレート32のサイズ記入欄322に値(計測値)が入力されたときに、その値に対応する大きさのマーカを作成して、シェーマ画面31に挿入する。その際に、マーカ作成部19は、部位記入欄321に区分記号(1)〜(8)が入力されている場合には、対応する区分内にマーカを挿入し、区分記号が入力されていない場合には、いずれかの区分にマーカを挿入する。さらに、マーカ作成部19は、挿入されたマーカの内部又は近辺に、サイズ記入欄322に入力されている値を表示させるようにしても良い。
【0034】
また、マーカ作成部19は、テンプレート32の形状記入欄323、濃度記入欄324、辺縁記入欄325、及び、分布記入欄326に情報が入力されたときに、入力された情報に応じて、挿入されたマーカの形態(形状、輝度等)を変化させる。さらに、マーカ作成部19は、テンプレート32に入力された情報がユーザの操作により変更されたときに、変更後の情報に合わせてマーカの位置やサイズや形態を変化させる。
【0035】
加えて、マーカ作成部19は、ユーザが所定の操作を行うことによりマーカ挿入命令を入力したときに、シェーマ画面31にマーカを挿入する。この命令は、例えば、シェーマ画面31上にカーソルを合わせてマウスをダブルクリックしたり、マウスを右クリックすることによってポップアップ表示された項目の内から所定の項目を選択するという操作によって入力される。その際に挿入されるマーカの基準サイズとしては、シェーマ画像ごとに設定されている固定値、又は、計測データ取得部14によって取得された最新の患部の計測値が用いられる。また、マーカが挿入される位置は、予め設定された固定位置としても良いし、カーソルが置かれた区分内としても良い。さらに、マーカ作成部19は、マーカのサイズに対応する患部のサイズを表す値を、マーカの内部又は近辺に表示しても良い。
【0036】
また、マーカ作成部19は、シェーマ画面31に挿入されたマーカの位置やサイズや形態を、シェーマ画面31上におけるユーザの操作に従って変更する。例えば、図3に示すように、マーカ311の位置を変更するときには、ユーザは、マーカをドラッグ(マウスの左ボタンを押しながらマウスを移動させること)し、所望の位置でドロップ(マウスの移動先で左ボタンを離すこと)する。また、マーカのサイズを変更するときには、ユーザは、目盛り313を参照しながらマーカをドラッグ等する。その際に、マーカの内部又は近辺に患部のサイズを示す値が表示されている場合には、マーカ作成部19は、その数値も併せて変更する。さらに、マーカの形態を変更するときには、ユーザは、マーカにカーソルを合わせてマウスを右クリックすることにより選択リストを表示させて、所望の項目を選択する。
【0037】
これらのテンプレート記入部17とマーカ作成部19とは、連動して動作している。即ち、先にも述べたように、テンプレート32に情報が入力されたときに、その情報に基づいて作成されたマーカがシェーマ画面31に挿入されるが、反対に、シェーマ画面31内のマーカがユーザの操作によって変更されたときには、それに応じて、テンプレート32に入力されている情報が変更される。また、ユーザの操作によってシェーマ画面31にマーカが挿入されたときには、テンプレート記入部17はテンプレート32に新たな記入欄を設け、挿入されたマーカの位置、サイズ、及び、形態に応じて、記入欄に情報を入力する。
【0038】
ウィザード表示部20は、ウィザード形式でマーカを作成する場合に、表示部100に表示されるウィザード画面を作成する。ウィザード画面は、新たなマーカが作成されるときに自動的に立ち上げられる。或いは、ウィザード画面を表示するか否かを、ユーザごとに予め設定しておいても良い。
【0039】
図6は、腫瘤のマーカを作成するためのウィザード画面を示している。図6の(a)〜(c)に示す画面は、ユーザが項目ボタン341又はマークボタン342の内の所望のボタンを選択し、「次へ」ボタン343をクリックすることにより、順次切り替えられる。そして、最後に表示される図6の(d)の画面に、選択されたマーカの形態344が表示される。この画面において、ユーザが「OK」ボタン345をクリックすることにより、マーカの形態が確定され、マーカがシェーマ画面31に挿入される。
これらのウィザード画面に表示される選択肢は、図4に示す選択リスト331〜334におけるのと同様に、表示情報準備部15によって項目及び並び順を管理されている。
【0040】
再び、図2を参照すると、レポート作成部21は、画面作成部16に表示されている情報に基づいて、読影レポートデータを作成する。
レポート保存部22は、ユーザによって読影レポートの保存命令が入力されたときに、又は、読影レポートの作成動作の終了命令が入力されたときに、レポート作成部21によって作成された読影レポートデータをハードディスク131に格納させる。
【0041】
次に、本実施形態に係る読影レポート作成装置を利用した読影レポート作成動作を、乳房の検査画像を読影する場合を例として説明する。
図1に示す読影レポート作成装置1は、読影の依頼情報を受け取ることにより動作を開始する。そして、画像サーバ3から検査画像データを取得することにより検査画像を画像表示端末2に表示させると共に、図3に示すように、依頼情報に基づいて選択されたシェーマ画面31及びテンプレート32を表示部100に表示する。
【0042】
ユーザは、画像表示端末2に表示された検査画像において、マウスを用いて患部をマークする。それにより、画像表示端末2が有する計測ツールにより、患部のサイズが計測される。そして、患部の位置情報(区分記号)及び計測値が、読影レポート作成装置1の計測データ取得部14を介して、テンプレート32のサイズ記入欄322及び部位記入欄321にそれぞれ入力される。或いは、ユーザは、部位記入欄321及びサイズ記入欄322に、区分記号及び患部のサイズを表す値を手動で入力しても良い。
【0043】
それに応じて、シェーマ画面31に、入力された値に対応する大きさのマーカ311が挿入される。その後で、ユーザ311は、検査画像を参照しながらマーカをドラッグ等することにより、マーカの位置及びサイズを調整しても良い。
【0044】
また、シェーマ画面31にマーカが挿入されることにより、図6の(a)〜(d)に示すウィザード画面が立ち上がる。ユーザは、検査画像を参照しながら、ウィザード画面に示された指示に従って情報を入力することにより、マーカの形態(即ち、患部の性状)を決定する。
【0045】
マーカ311のサイズを変更するときには、ユーザは、シェーマ画面31においてマーカのサイズを直接変更しても良いし、テンプレート32のサイズ記入欄322に入力されている値を変更しても良い。前者の場合には、テンプレート32のサイズ記入欄322の値が連動して変化し、後者の場合には、マーカ311のサイズが連動して変化する。
【0046】
また、マーカ311の形態を変更するときには、ユーザは、シェーマ画面31に選択リスト(図5)を表示させて所望の項目を選択しても良いし、テンプレート32内の記入欄323〜326に選択リスト(図4)を表示させて所望の項目を選択しても良い。いずれの操作を行っても、マーカ311が所望の形態に変更されると共に、テンプレート32の記入欄323〜326に入力されている情報が変化する。
【0047】
ユーザは、このようにして患部に関する所見を入力し終えた後で、読影レポートを保存する命令を入力する。それにより、作成された読影レポートデータがネットワークを介して読影レポートサーバ4(図1)に格納される。
【0048】
以上説明したように、シェーマ上に表示されたマーカの位置やサイズや形態と、テンプレートに記入されている情報とを連動させることにより、レポート作成効率を向上させることが可能となる。また、シェーマ上のマーカの位置及びサイズを、検査画像上の患部の位置及びサイズに対応させることにより、シェーマにおいて患部の特徴を把握し易くなるので、読影レポートを参照した診断効率を向上させることが可能となる。
【0049】
さらに、選択リストに表示される項目やウィザード画面に表示される項目を、使用されるモダリティや検査部位や患者の年齢等に応じて適切な項目に絞り込むと共に、適切な並び順となるように配置するので、テンプレート入力やマーカ作成の効率を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、医用画像の撮像後に医師によって行われる読影を支援するための読影支援システムにおいて、読影レポートを作成するために用いられる読影レポート作成装置において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る読影レポート作成装置を含む読影支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る読影レポート作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す読影レポート作成装置の表示部に表示される画面を示す模式図である。
【図4】マーカの形態によって表される患部の性状を選択する際に、テンプレートに表示される選択リストを示す模式図である。
【図5】マーカの形態によって表される患部の性状を選択する際に、シェーマ画面に表示される選択リストを示す模式図である。
【図6】マーカの形態によって表される患部の性状を選択する際に表示されるウィザード画面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1 読影レポート作成装置
2 画像表示端末
3 画像サーバ
4 読影レポートサーバ
5 RIS
6a CR装置
6b CT装置
6c MRI装置
10 CPU
11 依頼情報取得部
12 画像データ取得部
13 画像データ出力部
14 計測データ取得部
15 表示情報準備部
16 画面作成部
17 テンプレート記入部
18 選択リスト表示部
19 マーカ作成部
20 ウィザード表示部20
21 レポート作成部
22 レポート保存部
31 シェーマ画面
31a、31b シェーマ画像
32 テンプレート
100 表示部
102 キー画像
110 入力部
120 メモリ
130 ハードディスク制御部
131 ハードディスク
140 ネットワークインタフェース
200 画面
201 患部
321 部位記入欄
322 サイズ記入欄
323 形状記入欄
324 濃度記入欄
325 辺縁記入欄
326 分布記入欄
331 形状リスト
332 濃度リスト
333 辺縁リスト
334 分布リスト
341 項目ボタン
342 マークボタン
343 「次へ」ボタン
344 マーカ表示
345 「OK」ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を表示するための少なくとも1つの画像表示端末を利用して読影レポートを作成する際に用いられる読影レポート作成装置であって、
患部のサイズを入力するために用いられるサイズ記入欄を有するテンプレートと、検査対象部位の模式図であるシェーマとを、読影依頼情報に基づいて準備する表示情報準備手段と、
前記表示情報準備手段によって準備されたテンプレート及びシェーマを含む読影レポート作成画面を表示部に表示させる画面作成手段と、
ユーザの操作に従って、又は、前記シェーマに表示されているマーカのサイズに対応して、前記テンプレートのサイズ記入欄に値を入力するテンプレート記入手段と、
ユーザの操作に従って、又は、前記テンプレートのサイズ記入欄に記入されている値に対応した大きさで、前記表示部において前記シェーマ上にマーカを表示させるマーカ作成手段と、
を具備する読影レポート作成装置。
【請求項2】
前記読影依頼情報が、検査の種類、検査において使用されたモダリティ、検査対象部位、患者の年齢、及び、患者の性別を表す情報の内の少なくとも1つを含む、請求項1記載の読影レポート作成装置。
【請求項3】
前記テンプレートが、マーカの形態を入力するための記入欄をさらに有し、
前記マーカ作成手段により前記シェーマ上にマーカが表示された場合に、前記テンプレート記入手段が、前記シェーマ上に表示されたマーカの形態に対応する情報を前記テンプレートの前記記入欄に情報を入力し、
前記テンプレート記入手段により前記テンプレートの前記記入欄に情報が入力された場合に、前記マーカ作成手段が、前記記入欄に記入されている情報に対応した形態で、前記シェーマ上にマーカを表示させる、
請求項1又は2記載の読影レポート作成装置。
【請求項4】
前記テンプレートの記入欄に入力される項目を選択肢の形式で表した選択リストを、ユーザの操作に従って表示する選択リスト表示手段をさらに具備する請求項1〜3のいずれか1項記載の読影レポート作成装置。
【請求項5】
前記表示情報準備手段が、前記読影依頼情報に基づいて、前記選択リストとして表示される複数の項目を決定すると共に該複数の項目の並び順を決定する、請求項4記載の読影レポート作成装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの画像表示端末において計測された患部のサイズを取得する計測値取得手段をさらに具備し、
前記マーカ作成手段がユーザの操作に従って前記シェーマ上にマーカを表示させる場合に、前記マーカ作成手段が、前記計測値取得手段によって取得された最新の計測値に対応する大きさで、前記シェーマ上にマーカを表示させる、
請求項1〜5のいずれか1項記載の読影レポート作成装置。
【請求項7】
前記テンプレート記入手段が、前記計測値取得手段によって患部のサイズが取得されたときに、該サイズを前記サイズ記入欄に入力する、請求項6記載の読影レポート作成装置。
【請求項8】
複数種類のシェーマと、複数種類のテンプレートとを格納する格納手段をさらに具備し、
前記表示情報準備手段が、前記格納手段に格納されている複数種類のシェーマ及び複数種類のテンプレートの内から、前記読影依頼情報に基づいてシェーマ及びテンプレートを選択する、請求項1〜7のいずれか1項記載の読影レポート作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−87271(P2007−87271A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277701(P2005−277701)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】