説明

調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置及び内燃機関のエグゾーストターボチャージャ

本発明は、調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置に関し、ガイド装置(10)が、軸方向スライダ(12)と、この軸方向スライダ(12)を位置決めするための調整装置(16)とを有し、調整装置(16)が、調整フォーク(17)と、ガイドレメント(19)を支持するためのガイド軸(24)を備える開口部(23)と、レバーエンド(28)を備える調整レバー(20)とを有し、調整フォーク(17)が、少なくとも1つの接触面(35、36)を有し、この接触面(35、36)が、軸方向スライダ(12)とのボディコンタクトを生じるように形成されている。本発明に基づき、レバーエンド(28)を支持するために、調整フォーク(17)がかみ合い開口部(25)を有し、このかみ合い開口部(25)及び接触面(35、36)は、ガイド軸(24)に対して方向が一致するように配置されている。本発明は、さらに、乗用車の製造において、調整可能なタービンジオメトリを備えるエンジンにおいても用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置、及び請求項6の前提部分に基づく内燃機関のエグゾーストターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置が知られている。このガイド装置は、軸方向スライダと、この軸方向スライダが併進運動するための調整装置とを含んでいる。この場合、調整装置は、軸方向スライダを取り囲むように形成されている調整フォークを含み、第1のフォークアームと第2のフォークアームとがそれぞれ接触面を有しており、これらの接触面によって軸方向スライダとの接触が可能である。この調整装置のガイド部分は、ガイドエレメントを支持するための開口部を有している。このガイドエレメントを用いて、1つの軸、すなわちガイドエレメントのガイド軸に沿ってガイドされ、それによって固定される軸方向スライダの位置決めが実行可能である。ガイド部分には、調整装置の調整レバーのレバーエンドがかみ合う。この調整レバーを用いることにより、調整フォークの動きを発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006051628A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、単純かつ低コスト構造を考慮して、それぞれの作動範囲で軸方向スライダのスムーズな位置決めが確保されるように、調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置、及び内燃機関のエグゾーストターボチャージャを提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴をもつ、調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置と、請求項6による内燃機関のエグゾーストターボチャージャとによって解決される。本発明の適切かつ重要な発展形態を備える有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明に基づくガイド装置は、レバーエンドを支持するために、かみ合い開口部を備える調整フォークを有し、接触面が、この調整フォークの開口部のガイド軸に対して方向が一致するように配置される。この接触面は、位置決めする軸方向スライダと調整フォークとの間で接触を確立するために形成されている。このことは、軸方向スライダの位置決めの際、第1の力の作用点が接触面に存在することを意味する。軸方向スライダを位置決めするための第2の力の作用ポイントは、調整レバーのレバーエンドが力を伝達しながら支持されているかみ合い開口部の中にある。軸方向スライダの位置決めに必要な両方の力の作用点は、ガイド軸に対して方向が一致するように配置されるため、発生したトルクを部分的に又は完全に相殺することができる。この部分的又は完全な相殺により、作動中又は軸方向スライダの位置決め時における調整フォークの傾斜傾向及びそれによる固着を防止することができる。
【0007】
ガイド装置の有利な実施形態では、かみ合い開口部が調整フォークのガイド部分に設けられているため、軸方向スライダの位置決めの際に、調整フォークの十分な強度が確保される。
【0008】
ガイド装置のもう1つの有利な実施形態では、傾斜傾向をさらに抑制するためにガイド部分が調整フォークと動かないように接続されている。
【0009】
ガイド装置の有利な実施形態では、レバーエンドがかみ合い開口部に可動式に配置されているため、その可動性により、調整レバー及びレバーエンドの回転運動が、かみ合い開口部のレバーエンドの引っかかりに対抗して作用することができる。
【0010】
ガイド装置のもう1つの特殊な実施形態では、かみ合い開口部がガイド軸と軸方向スライダの縦軸との間に配置されており、それによって位置決め時に発生するトルクが軽減される。
【0011】
本発明はさらに、排気ガスガイド部分を備えるハウジングと、このハウジング内に回転可能に支持されているタービンホイール付き回転機構とを有している内燃機関のエグゾーストターボチャージャにも関し、排気ガスによるタービンホイールへの負荷を変更するための排気ガスガイド部分には、本発明に基づくガイド装置が割り当てられている。
【0012】
エグゾーストターボチャージャの好ましい形態では、調整フォークとガイドエレメントとの間に、ある長さを備えるコンタクトが形成されており、このガイドエレメントは有効直径を有している。摩耗を軽減するため、及びエグゾーストターボチャージャの長期の作動を保証するため、長さと直径との間の割合は2よりも大きいことが有利である。
【0013】
エグゾーストターボチャージャのもう1つの形態では、ガイドエレメントが、タービンホイールに対向しない側で輪郭スリーブ内に支持され、タービンホイールに対向する側で排気ガスガイド部分内に支持されており、このことにより、作動中の大きな温度変動におけるガイドエレメントの変形を回避することができる。
【0014】
もう1つの好ましい実施形態では、製造コストを下げるため、及び組立てを簡単にするために、ガイドエレメントと開口部とがシリンダ形に形成されている。
【0015】
もう1つの有利な実施形態では、調整フォーク及び軸方向スライダが、第1のボディコンタクトと第2のボディコンタクトとを有しており、第1のボディコンタクトと第2のボディコンタクトとはガイドエレメントのガイド軸に対して左右対称に配置されており、それによって軸方向スライダの傾斜運動を回避することができる。
【0016】
本発明のその他の利点及び適切な実施形態は、説明及び図を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に基づくガイド装置を備えるエグゾーストターボチャージャの排気ガスガイド部分の長手方向断面図である。
【図2】本発明に基づくガイド装置の斜視図である。
【図3】図1による排気ガスガイド部分の長手方向断面図であり、第1のポジションへの軸方向スライダの位置決めの際にガイド装置に作用するトルクが示されている。
【図4】図1による排気ガスガイド部分の長手方向断面図であり、第2のポジションへの軸方向スライダの位置決めの際にガイド装置に作用するトルクが示されている。
【図5】従来技術によるガイド装置の斜視図である。
【図6】図5によるガイド装置を備える従来技術によるエグゾーストターボチャージャの排気ガスガイド部分の長手方向断面図であり、第1のポジションへの軸方向スライダの位置決めの際にガイド装置に作用するトルクが示されている。
【図7】図6による排気ガスガイド部分の長手方向断面図であり、第2のポジションへの軸方向スライダの位置決めの際にガイド装置に作用するトルクが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図中、同一構成部品又は機能の同じ構成部品のすべてに同じ符号が付けられている。
【0019】
内燃機関は、シリンダヘッドとクランクケースとを備える機械ハウジングを有している。このシリンダヘッドは、内燃機関の外気システムと内燃機関の排気ガスシステムとに接続されている。
【0020】
クランクケースには、シリンダが配置されており、各シリンダは軸方向に動くピストンを有している。さらに、このクランクケースの中では、クランクシャフトが回転可能に支持されている。各ピストンはコンロッドによってクランクシャフトに接続されているため、関連するピストン力をクランクシャフトに伝達し、クランクシャフトの回転運動に変換することができる。
【0021】
内燃機関のシリンダには、燃料混合気を燃焼するための燃焼室が形成されている。各燃焼室は、シリンダの内壁、シリンダ内で動くピストン、及びシリンダヘッドの壁によって区切られており、シリンダヘッドの壁と各ピストンとは、ほぼ向かい合うように配置されている。燃焼室は、該当するピストンによってその容積が変更可能であるように形成されているため、その中では、周知の燃焼プロセスが実行可能である。
【0022】
シリンダヘッドは、インレットポート及びインレットバルブを備えるインレットシステムと、アウトレットポート及びアウトレットバルブを備えるアウトレットシステムと、燃焼室へ燃料を噴射するための噴射システムとを有しており、燃料は燃料ポンプを使って燃料タンクから圧送することができる。各インレットポートは、好ましい方法では、少なくとも1つのインレットバルブを有しており、このインレットバルブによってインレットポートを開閉することができ、このインレットバルブは、インレットポートの燃焼室側の端部に配置されている。インレットバルブが開いている場合には、このインレットポートを介して、燃焼エア又は燃料混合気を燃焼室に送ることができる。インレットポートの燃焼室に対向しない端部は、外気システムに配置され、流量減少に働く回収タンクに接続されている。
【0023】
各アウトレットポートは、好ましい方法では、少なくとも1つのアウトレットバルブを有しており、このアウトレットバルブによってアウトレットポートを開閉することができ、このアウトレットバルブは、アウトレットポートの燃焼室側の端部に配置されている。燃焼室に形成されている燃料混合気が燃焼する場合、内燃機関の作動中に排気ガスが発生し、この排気ガスはアウトレットポートを介して燃焼室から排気ガスシステムに流れることができる。
【0024】
外気システムはブーストエアラインを有しており、内燃機関に対向しているブーストエアラインの端部には、回収タンクが配置されている。ブーストエアライン内には、吸引された燃焼エアを冷却するためのインタークーラが、回収タンクの上流に配置されている。吸引された燃焼エアを浄化するためのエアフィルタは、内燃機関に対向しないブーストエアラインのもう一方の端部に配置されている。
【0025】
排気ガスシステムはエグゾーストマニホールド及び排気ガスラインを含んでおり、このエグゾーストマニホールドは、排気ガスダクト及びこの排気ガスダクトがまとめられた集合ダクトを有している。エグゾーストマニホールドは、排気ガスシステムの下流に配置されており、1つの排気ガスダクトには1つのアウトレットポートが割り当てられている。排気ガスラインは、集合ダクトの開口部でエグゾーストマニホールドに接続されており、この開口部は排気ガスダクトの下流に配置されている。内燃機関に対向しない排気ガスラインの端部には、排気ガス後処理のために排気ガス後処理システムが配置されており、この排気ガス後処理システムは、煤フィルタ及び/又は触媒コンバータの形で形成されている。
【0026】
この内燃機関はさらに、排気ガス再循環システムを有しており、エグゾーストマニホールドと回収タンクとの間には、排気ガス再循環ラインの形で接続ラインが配置されている。排気ガス再循環ラインには、再循環された排気ガスを冷却するために、排気ガス再循環冷却装置が配置されている。再循環される排気ガス量の調整は、排気ガス再循環バルブを用いて行われる。
【0027】
多数の機能を調整し、制御するために、この内燃機関には、調整及び制御システムが割り当てられている。この調整及び制御システムによって、特に、燃料供給及び排気ガス再循環バルブを制御することができる。
【0028】
この内燃機関にはエグゾーストターボチャージャ1が割り当てられており、このエグゾーストターボチャージャは、通過可能なエアガイド部分(詳しく図示されていない)と、通過可能な排気ガスガイド部分3と、軸受け部分とが含まれるハウジング2を有しており、エアガイド部分は外気システム(詳しく図示されていない)内に配置され、排気ガスガイド部分3は排気ガスシステム(詳しく図示されていない)内に配置されている。
【0029】
エグゾーストターボチャージャ1は回転機構(詳しく図示されていない)を有しており、この回転機構は、燃焼エアを吸引し、圧縮するためのコンプレッサホイールと、排気ガスを膨張させるためのタービンホイールと、コンプレッサホイールをタービンホイールと共回転するように接続している回転軸付きシャフトとを有している。このシャフトは、エアガイド部分と排気ガスガイド部分3との間に配置されているエグゾーストターボチャージャ1の軸受け部分(詳しく図示されていない)に共回転するように支持されている。
【0030】
エアガイド部分(詳しく図示されていない)には、第1のホイールチャンバのコンプレッサホイールが回転可能に配置されている。この第1のホイールチャンバの上流には、流入ダクトがエアガイド部分内に配置されており、この流入ダクトとコンプレッサホイールとは、好ましくは同軸上に配置されている。この流入ダクトは、コンプレッサホイールから吸引された燃焼エアの状態調節のために用いられる。
【0031】
第1のホイールチャンバの下流には、エアガイド部分に、ディフューザの形で流出ダクトが形成されており、このディフューザは、コンプレッサホイールから吸引され、圧縮された燃焼エアの状態調節のために設計されている。この流出ダクトには、第1のホイールチャンバに対向しない端部に、エアガイド部分に属する第1のスパイラルダクトが接続されており、このスパイラルダクトは、回転対称の流れを提供するために用いられる。さらに、この第1のスパイラルダクトは、流出ダクトと、エアガイド部分に形成されている出口ポートとの間の接続ダクトとして実施されている。
【0032】
エアガイド部分の代替の実施形態では、エアガイド部分がコンプレッサホイールへの流入量を変更するための装置を有している。流入量の変更により、吸引される燃焼エアの膨張が可能となるため、冷気タービンモードにおけるコンプレッサホイールの作動が可能となる。
【0033】
排気ガスを排気ガスガイド部分3に流入させるため、排気ガスガイド部分3の中にインレットダクト4が形成されている。このインレットダクト4は、内燃機関の作動中、排気ガスの状態調節のために働き、タービンホイールを回転運動させる。インレットダクト4は、シャフトの回転軸に対して垂直に配置されているのが好ましい。
【0034】
インレットダクト4の下流には、排気ガスガイド部分3の中に、第2のスパイラルダクト5が配置されており、このスパイラルダクトは、回転対称の流れを提供するために用いられる。第2のスパイラルダクト5の下流には、排気ガスガイド部分3の中に供給ダクト6が配置され、この供給ダクトは、一般的に排気ガスの流れの状態調節のために形成されている。さらに、この第2のスパイラルダクト5は、吸入ダクト4と供給ダクト6との間の接続ダクトとしても形成されている。供給ダクト6の下流には、第2のホイールチャンバ7が排気ガスガイド部分3の中に配置されており、この第2のホイールチャンバ7には、タービンホイール(詳しく図示されていない)が配置されている。この供給ダクト6は、ホイールチャンバ7に対向して配置されている端部に、出口断面8を有している。第2のホイールチャンバ7の下流には、出口ダクト9が排気ガスガイド部分3の中に配置されている。
【0035】
内燃機関の作動中には、内燃機関の排気ガスによる負荷によってタービンホイールが回転運動を行い、コンプレッサホイールがシャフトによって同様に回転するため、燃焼エアが吸引され、圧縮される。
【0036】
内燃機関が低負荷、低回転数である場合も、内燃機関が高負荷、高回転数である場合も、エグゾーストターボチャージャの最大限の効率を達成可能にするため、排気ガスガイド部分3に配置されている調整可能に形成されたガイド装置10によって、排気ガスの状態調節を行うことができる。
【0037】
図1に示されているように、このガイド装置10は、通過可能なガイドグリルリング11と、環状の軸方向スライダ12と、出口ダクト9における排気ガスの流動状態調節のために用いられる輪郭スリーブ13とを含んでいる。ガイドグリルリング11、軸方向スライダ12及び輪郭スリーブ13は、シャフトと同軸上に配置されている。つまり、回転機構のシャフトの回転軸は軸方向スライダ12の長軸14に該当する。輪郭スリーブ13は、動かないように排気ガスガイド部分3の中に配置されている。ガイドグリルリング11は、排気ガスガイド部分3に固定支持されている。
【0038】
ガイドグリルリング11は、タービンホイールを部分的に取り囲むように供給ダクト6の中に配置されており、このガイドグリルリング11は、出口断面8の中に突き出した状態で形成されている。軸方向スライダ12は、ガイドグリルリング11に対向して配置されている第1の開口部15を備え、ガイドグリルリング11はこの開口部内へ挿入可能に形成されている。出口断面8の大きさは、軸方向スライダ12によって調整することができる。好ましくは、内燃機関が低負荷及び/又は低回転数の場合はこの出口断面8が小さく、内燃機関が高負荷及び/又は高回転数の場合には大きく形成されている。
【0039】
ガイド装置10には、調整装置16が割り当てられている。この調整装置16は、調整フォーク17と、ガイド部分18と、ガイドエレメント19と、調整レバー20とを有している。調整レバー20に作用し、移動を開始する力は、電気的に及び/又は機械的に及び/又はニューマチック式に及び/又はハイドロリック式に発生させることができる。
【0040】
調整フォーク17はU字型に形成されている(図2を参照)。弓形に形成された第1のフォークアーム21と弓形に形成された第2のフォークアームとは、ガイド部分18に対向する端部で、動かないようにこのガイド部分18と接続されている。第1のフォークアーム21と第2のフォークアーム22とは互いに左右対称であり、第1のフォークアーム21と第2のフォークアーム22との間に配置されているガイド部分18に対して凸状に配置されている。
【0041】
ガイド部分18は、このガイド部分18を完全に貫通する、ガイド軸24を備えた開口部23を有しており、このガイド軸は長軸14に対して平行に配置されている。ガイド軸24を横断して、ガイド部分18は、軸方向スライダ12に対向して配置されている側に溝形のかみ合い開口部25を有している。
調整フォーク17を確実にガイドするため、ガイドエレメント19は、開口部23と相補的に形成されている断面を有している。好ましいのは、左右対称な断面が選択されることである。
【0042】
ガイドエレメント19は、好ましくはシリンダ形に形成されており、有効直径Dを有している。確実なガイドを保証するため、ガイドエレメント19は、スパイラスダクト5に対向しない側で、動かないように輪郭スリーブ13と接続されている。ガイドエレメント19は、スパイラルダクト5に対向する側で排気ガスガイド部分3の中に支持されており、このことにより、温度変動によるガイドエレメント19の変形を回避することができる。
【0043】
調整フォーク17は、ガイドエレメント19の上に支持された状態で配置されており、このガイドエレメント19は、好ましくはシリンダ形に形成されている開口部23の中に配置されている。この支持によって、ガイドエレメント19と調整フォーク17との間に、長さLを備えるコンタクト26が形成されている。調整フォーク17の傾斜運動を回避するため、この場合、好ましくは、ガイドエレメント19の有効直径Dは、長さAの方が有効直径Dよりも長く、特に長さLと有効直径Dとの間の割合L/Dが2よりも大きくなるように選択することができる。
【0044】
調整レバー20は、円錐形に形成されたレバーエンド28を備える第1のレバーアーム27と第2のレバーアーム29とを有している。第1のレバーアーム27と第2のレバーアーム29とは、互いに対向して接続ロッド30によって固定接続されており、このレバーエンド28はかみ合い開口部25側に配置されている。調整レバー20は、調整力を支持するため、ブッシュ31に支持されている接続ロッド30によって、排気ガスガイド部分3の中に回転可能に支持されている。レバーエンド28が円錐形に形成されていることにより、円錐形のレバーエンド28とかみ合い開口部25との間の接触が点状又は線状に行われるため、さらに摩擦の少ない動きが形成されている。
【0045】
レバーエンド28は、かみ合い開口部25の中にかみ合うように形成されており、レバーエンド28の強制ガイドがかみ合い開口部25の中に形成されている。
好ましくは、このレバーエンド28が、可動式に配置され、スライドローラの形で形成されていることにより、作動中の摩耗及び固着を軽減することができる。
【0046】
図2に示されているように、調整フォーク17は、軸方向スライダ12を取り囲むように配置されており、ガイド部分18に対向していない第1のフォークアーム21の第1の端部32と、ガイド部分18に対向していない第2のフォークアーム22の第2の端部33とは、軸方向スライダ12を取り囲む溝形の、軸方向スライダ12の第2の開口部34の中にかみ合うように形成されている。第2の開口部34と、この第2の開口部34に対向して配置されている、第1の端部32の第1の接触面35との間には、第1のボディコンタクトが形成されている。軸方向スライダ12の傾斜運動に反対に作用するため、第2の開口部34と、この第2の開口部34に対向して配置されている第2の端部33の第2の接触面36(斜視図では隠れている)との間には、第2のボディコンタクトが形成され、第1のボディコンタクトと第2のボディコンタクトとが、ガイド軸24に対して左右対称に形成されるようにしなければならない。
【0047】
軸方向スライダ12を位置決めするため、アクチュエータを使って、第2のレバーアーム29に作用する調整力が作られる。調整レバー20は回転可能に支持されているため、第1のレバーアーム27は、第2のレバーアーム29と固定接続されていることにより、回転運動を行う。この回転運動は、レバーエンド28の強制ガイドによって、調整フォーク17の併進運動に変換される。調整フォーク17は、ガイド軸24に沿って、ガイドエレメント19上を長軸14の方向に移動する。この場合、軸方向スライダ12は、調整フォーク17との第1のボディコンタクト及び第2のボディコンタクトがあるために、軸方向に動く。
【0048】
本発明に基づき、レバーエンド28を支持するために、調整フォーク17はかみ合い開口部を備え、かみ合い開口部25と第1の接触面35及び/又は第2の接触面36とが、これらのガイド軸24に対する方向が一致するように配置される。このかみ合い開口部25は、調整フォーク17のガイド部分18に配置されている。
【0049】
図3及び4には、図1による排気ガスガイド部分の長手方向断面図が示されており、追加的に、ガイド装置10に作用するトルクMV、MAが、調整フォーク及び軸方向スライダ12に沿って記入されている。図3には、第1のポジション、いわゆる開位置の方向へ軸方向スライダ12が位置決めされる場合に発生するトルクが記入されている。このポジションでは、出口断面8が完全に開かれている。図4は、第2のポジション、いわゆる閉位置の方向へ軸方向スライダ12が位置決めされる場合に発生するトルクを示している。この場合、軸方向スライダ12は、出口断面8の中へ部分的に又は完全に挿入される。有利には、本発明に基づく実施形態の場合、調整レバー20によって調整フォーク17に加えられるトルクMVは、軸方向スライダ12で生じるトルクMAを完全に又は部分的に相殺する。
【0050】
図5は従来技術によるガイド装置を示している。図6及び7は、位置決めの際に生じるトルクを示している。その結果、傾斜傾向は、トルクが加わることによって完全に除外できなくなる。
【0051】
有利には、第2の開口部34が第1の端部32及び第2の端部33と相補的に形成されており、軸方向スライダ12を調整フォーク17に固定するために、第2の開口部34と第1の端部及び第2の端部33との間の静止摩擦による固定ボディコンタクトが行われなければならない。
【0052】
もう1つの実施形態では、第1のフォークアーム21と第2のフォークアーム22とが、軸方向スライダ12に対向して配置されている溝形開口部をそれぞれ1つ有しており、環状又は部分的に環状の、軸方向スライダ12に固定接続されている、溝形開口部の断面と相補的に形成されているリングが、この溝形開口部の中で支持できるように設けられている。
【0053】
もう1つの代替の実施形態では、調整フォーク17が軸方向スライダ12と一体形成されており、調整フォーク17と軸方向スライダ12とは、第1のボディコンタクトと第2のボディコンタクトにおいて、それぞれ1つの固定接続を有している。
【符号の説明】
【0054】
1 エグゾーストターボチャージャ
2 ハウジング
3 排気ガスガイド部分
4 インレットダクト
5 第2のスパイラルダクト
6 供給ダクト
7 第2のホイールチャンバ
8 出口断面
9 出口ダクト
10 ガイド装置
11 ガイドグリルリング
12 軸方向スライダ
13 輪郭スリーブ
14 長軸
15 第1の開口部
16 調整装置
17 調整フォーク
18 ガイド部分
19 ガイドレメント
20 調整レバー
21 第1のフォークアーム
22 第2のフォークアーム
23 開口部
24 ガイド軸
25 かみ合い開口部
26 コンタクト
27 第1のレバーアーム
28 レバーエンド
29 第2のレバーアーム
30 接続ロッド
31 ブッシュ
32 第1の端部
33 第2の端部
34 第2の開口部
35 第1の接触面
36 第2の接触面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能なタービンジオメトリを備えるエグゾーストターボチャージャのガイド装置であって、
該ガイド装置(10)が、軸方向スライダ(12)と、該軸方向スライダ(12)を位置決めするための調整装置(16)とを有し、
前記調整装置(16)が、調整フォーク(17)と、ガイドレメント(19)を支持するためのガイド軸(24)を備える開口部(23)と、レバーエンド(28)を備える調整レバー(20)とを有し、
前記調整フォーク(17)が、少なくとも1つの接触面(35、36)を有し、
該接触面(35、36)が、軸方向スライダ(12)とのボディコンタクトを生じるように形成されており、
前記レバーエンド(28)を支持するために、前記調整フォーク(17)がかみ合い開口部(25)を有し、
該かみ合い開口部(25)及び前記接触面(35、36)は、前記ガイド軸(24)に対して方向が一致するように配置されていることを特徴とする、ガイド装置。
【請求項2】
前記かみ合い開口部(25)が、前記調整フォーク(17)のガイド部分(18)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記ガイド部分(18)が、前記調整フォーク(17)と動かないように接続されていることを特徴とする、請求項2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記レバーエンド(28)が、前記かみ合い開口部(25)に可動式に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記かみ合い開口部(25)が、前記ガイド軸(24)と前記軸方向スライダ(12)の長軸(14)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガイド装置。
【請求項6】
通過可能な排気ガスガイド部分(3)を備えるハウジング(2)と、該ハウジング(2)内に回転可能に支持されているタービンホイール付き回転機構とを有し、
前記タービンホイールが、排気ガスによって負荷をかけられるように形成されており、
前記排気ガスガイド部分(3)内には、排気ガスによる前記タービンホイールへの負荷を変更するためのガイド装置(10)が配置されている、内燃機関のエグゾーストターボチャージャであって、
前記ガイド装置(10)が請求項1〜5のいずれか一項に従って形成されている、エグゾーストターボチャージャ。
【請求項7】
前記調整フォーク(17)と前記ガイドエレメント(19)との間に、長さ(L)を備えるコンタクトが形成されており、
前記ガイドエレメント(19)が有効直径(D)を有し、
前記長さ(L)と前記有効直径(D)との間の割合(L/D)が2よりも大きいことを特徴とする、請求項6に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項8】
前記ガイドエレメント(19)が、第2のスパイラルダクト(5)に対向しない側で輪郭スリーブ(13)内に支持され、
前記第2のスパイラルダクト(5)に対向する側で前記排気ガスガイド部分(3)内に支持されていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項9】
前記ガイドエレメント(19)と前記開口部(23)とが、シリンダ形に形成されていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項10】
前記調整フォーク(17)及び前記軸方向スライダ(12)が、前記第1のボディコンタクトと第2のボディコンタクトとを有しており、
前記第1のボディコンタクトと前記第2のボディコンタクトとが前記ガイドエレメント(19)の前記ガイド軸(24)に対して左右対称に配置されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−509521(P2013−509521A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535640(P2012−535640)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005201
【国際公開番号】WO2011/050874
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】