識別情報の検出方法、基板処理装置、基板処理システムおよびコンピュータープログラム
【課題】基板に設けられた識別情報を検出手段により短時間で、かつ効率良く検出する。
【解決手段】基板幅データを基板の特徴を示す基板属性データとして採用するとともに、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付けている。そして、実装機に搬入された基板に設けられた基板IDを読み取るために、まず基板幅を実測して基板幅データを取得し、基板ID座標リストにリストアップされている基板ID座標の中から基板幅データに基づいて基板ID座標の候補のみを抽出し、その抽出された基板ID座標データに基づき基板認識カメラを移動させて基板IDの読み取りを行っている。そのため、基板認識カメラの移動回数を削減し、これによって基板認識カメラを短時間で、かつ効率良く位置決めすることができ、基板ID読取処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
【解決手段】基板幅データを基板の特徴を示す基板属性データとして採用するとともに、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付けている。そして、実装機に搬入された基板に設けられた基板IDを読み取るために、まず基板幅を実測して基板幅データを取得し、基板ID座標リストにリストアップされている基板ID座標の中から基板幅データに基づいて基板ID座標の候補のみを抽出し、その抽出された基板ID座標データに基づき基板認識カメラを移動させて基板IDの読み取りを行っている。そのため、基板認識カメラの移動回数を削減し、これによって基板認識カメラを短時間で、かつ効率良く位置決めすることができ、基板ID読取処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に設けられた二次元コードやバーコードなどの識別情報を検出する識別情報の検出方法、当該検出方法により検出した識別情報を用いて基板を処理する基板処理装置および基板処理システム、ならびに識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する基板処理システムでは、印刷機、印刷検査機、実装機および実装検査機などの基板処理装置が搬送路に沿って並設されており、各基板処理装置が搬送路に沿って搬送される基板に対して処理プログラムにしたがって所望の処理を施す。例えば実装機では、処理プログラムとして実装プログラムが設定され、この実装プログラムにしたがって順次IC(Integrated Circuit)等の電子部品が基板に実装される。また、印刷検査機や実装検査機等の検査機では、処理プログラムとして印刷検査や実装検査のための検査プログラムが設定され、この検査プログラムにしたがって印刷機による印刷処理の良否検査や実装機による部品実装の良否検査が実行される。このような基板処理システムでは、多品種生産に対応すべく、バーコードなどの識別情報を基板に設けるとともに、バーコードリーダ等の検出手段によって識別情報を読み取り、その読み取った識別情報に基づいて当該基板に適した処理プログラムを設定している。また、識別情報の検出態様として、無線ICタグを使用することも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、各基板に対して適切な処理プログラムを設定するために、上記したように検出手段による識別情報の検出処理、または無線ICタグによる無線通信処理を行っているが、それぞれ次のような問題を有している。
【0005】
まず、検出手段による識別情報の検出処理では、基板に設けられた識別情報を検出することができる位置に検出手段を位置決めする必要があるが、基板に対して識別情報を設ける位置(例えば、後述する基板ID座標)は基板の品種毎に異なることが多く、それら全てに対応するために検出手段の位置決めを行う候補位置を予め数多く設定している。そして、品種が変更されるたびに、それら複数の候補位置に対して検出手段を順番に位置決めする。したがって、品種の変更に伴い検出手段を変更後の基板に対応する位置に位置決めするまでに多くの時間を要してしまい、生産性の低下を招くという問題がある。
【0006】
一方、無線ICタグによる無線通信処理では、無線ICタグリーダを用いて識別情報を読み取っており、ICチップと無線通信ができる範囲であれば、無線ICタグリーダを任意の位置に固定配置することができる。したがって、検出手段による識別情報の検出処理において生じていた問題は発生しない。しかしながら、無線ICタグを利用する場合、各基板へ無線ICタグを付与する必要があり、バーコードなどの識別情報を用いる方式に比べてコストが増大してしまう。また、無線ICタグを回収することでランニングコストの低減を図ることも考えられるが、無線ICタグの回収によって工数増加が発生し、必ずしもコスト低減を図ることができるとは言えず、コスト面および生産性の面で必ずしも有用な手法ではない。
【0007】
そこで、低コストで多品種生産を行うために、検出手段による識別情報の検出処理において問題となっていた検出手段の位置決めに要する時間を短縮する技術が望まれている。
【0008】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板に設けられた識別情報を検出手段により短時間で、かつ効率良く検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる識別情報の検出方法は、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する方法であって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得するとともに、取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして検出対象である基板の識別情報を検出することを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかるコンピュータープログラムは、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムであって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を有し、識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得する基板属性データ取得機能と、取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出する位置データ導出機能と、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして検出対象である基板の識別情報を検出する識別情報検出機能とを、コンピューターに実現させることを特徴としている。
【0011】
上記のように構成された発明では、各基板に識別情報が設けられているため、多品種の基板が存在する場合には、識別情報の位置を示す位置データも数多く存在することになるが、次のようにして識別情報の検出対象である基板に対応する位置データのみを抽出している。すなわち、各識別情報の位置を示す位置データは基板属性データと関連付けられ、相関情報として準備されている。そして、一の基板、つまり識別情報の検出対象である基板に設けられた識別情報を検出する際には、当該基板の基板属性データが取得されるとともに、その取得された基板属性データに対応する位置データが相関情報に基づいて導出される。そして、その導出された位置データに対応する位置に検出手段が位置決めされる。よって、検出手段が短時間で、かつ効率良く位置決めされる。
【0012】
ここで、「基板属性データ」としては、所定の方向における基板の長さを示す基板長データ、所定方向と直交する方向における基板の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データ、または基板の形状を示す形状データを用いることができる。また、これら基板長データ、基板幅データ、色データおよび形状データを複数個組み合わせたものを「基板属性データ」として用いてもよい。
【0013】
また、上記した識別情報の検出方法やコンピュータープログラムについては、例えば基板処理装置や基板処理システムに適用してもよく、下記に示すように構成することで、処理対象となる基板の識別情報を短時間で、かつ効率良く検出し、その識別情報に対応する処理プログラムにより基板を処理することができる。そのため、多品種の基板を優れた生産性で処理することができる。
【0014】
この発明にかかる基板処理装置は、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出し、検出された識別情報に応じた処理プログラムにより基板を処理する装置であって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報にアクセス可能に構成される制御手段と、処理対象である基板の基板属性データを取得する取得手段と、取得手段により基板属性データが取得された基板に対して検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段とを備え、制御手段は、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして処理対象である基板の識別情報を検出することを特徴としている。
【0015】
また、この発明にかかる基板処理システムの第1態様は、識別情報を有する基板に対して第1処理を施す第1基板処理装置と、識別情報に応じた処理プログラムを実行することで第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、第1基板処理装置は、第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段を有し、第2基板処理装置は、第1処理が施された基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして第1処理が施された基板の識別情報を検出する制御手段とを有することを特徴としている。
【0016】
また、この発明にかかる基板処理システムの第2態様は、識別情報を有する基板に対し、識別情報に応じた第1処理プログラムを実行することで第1処理を施す第1基板処理装置と、識別情報に応じた第2処理プログラムを実行することで第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、第1基板処理装置は、第1処理を施す基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段と、取得手段により基板属性データが取得された基板に対して検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段と、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして第1処理を施す基板の識別情報を検出し、検出された識別情報に応じた第1処理プログラムを設定する第1制御手段とを有し、第2基板処理装置は、第1基板処理装置で検出された識別情報に応じた第2処理プログラムを設定する第2制御手段を有することを特徴としている。
【0017】
なお、このような基板処理装置(第1基板処理装置および第2基板処理装置を含む)としては、例えば基板にクリーム半田を印刷により塗布する印刷機、印刷機による印刷状態を検査する印刷検査機、基板に対して部品を実装する実装機、実装機による部品実装状態などを検査する実装検査機などが含まれる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、識別情報の検出対象である基板に設けられた識別情報を検出する際には、当該基板の基板属性データを取得するとともに、その取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、その導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めしている。このため、検出手段の位置決め時間を短縮し、当該基板に設けられた識別情報を短時間で、かつ効率良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態が適用される部品実装システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1の部品実装システムに装備される実装機の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1の部品実装システムの電気的構成を部分的に示すブロック図である。
【図4】図2の実装機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図7】本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図9】本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態が適用される実装機の構成および動作を模式的に示す図である。
【図10】本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態が適用される実装機の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明にかかる識別情報の検出方法の第5実施形態が適用される部品実装システムの動作を模式的に示す図である。
【図14】本発明にかかる識別情報の検出方法の第6実施形態が適用される部品実装システムの動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1実施形態
図1は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態が適用される部品実装システムの概略構成を示す図である。この部品実装システム1は、本発明の「基板処理システム」に相当するものである。そして、部品実装システム1では、同図に示すように、基板を搬送する搬送路2に沿って基板搬送方向Xの上流側(同図の右手側)から下流側(同図の左手側)にかけて、基板搬入機3、印刷機4、印刷検査機5A、複数の実装機6、実装検査機5B、リフロー炉7および基板搬出機8等が並設されている。これらのライン構成装置のうち基板搬入機3は、未処理基板を収容する基板収容部を有しており、この基板収容部から基板を印刷機4に順次搬入する。また、印刷機4は、搬入された基板の処理領域にクリーム半田を印刷により塗布する。さらに、印刷検査機5Aは基板に印刷された半田パターンの良否検査を行った後、印刷が良好であることが確認された基板を実装機側に搬送する。
【0021】
半田が良好に印刷された基板に対して部品を実装するために、複数(本実施形態では3台)の実装機6が搬送路2に沿って一列に並設されている。この明細書では、これら3台の実装機を区別して説明するために、基板搬送方向Xの最上流側に位置する実装機6を「実装機A」と称し、中間に位置する実装機6を「実装機B」と称し、最下流側に位置する実装機6を「実装機C」と称する一方、これらを区別しない場合には、単に「実装機6」と称する。なお、各実装機6では、基板に設けられた基板ID(identification)を検出するとともに検出した基板IDに対応する実装プログラムにしたがって部品実装を行うが、各実装機6の構成および動作については、後で図面を参照しつつ詳述する。
【0022】
3台の実装機6により部品が実装された基板は実装検査機5Bに送られ、基板に実装された各部品の位置及び向き、形状及びサイズ、種別、良否等が検査され、実装が良好であることが確認された基板がリフロー炉7に搬送され、リフロー炉7がクリーム半田をリフローして基板と部品とを半田接合する。そして、リフロー炉7から搬出される基板は基板搬出機8の収容部に順次収容される。
【0023】
この部品実装システムを構成する各基板処理装置(基板搬入機3、印刷機4、印刷検査機5A、複数の実装機6、実装検査機5B、リフロー炉7および基板搬出機8)はローカルエリアネットワークLANに接続されている。また、このローカルエリアネットワークLANには、実装システム全体を制御する制御装置(サーバーPC)9が接続されている。そして、制御装置9および基板処理装置の間で種々のデータがローカルエリアネットワークLANを介して通信可能となっている。
【0024】
図2は図1の部品実装システムに装備される実装機の概略構成を示す平面図である。また、図3は図1の部品実装システムの電気的構成を部分的に示すブロック図である。なお、図2および後で説明する図面では、基板搬送方向X、基板搬送方向Xに直交する水平方向Yおよび鉛直方向Zに対応した三次元の座標系を採用している。
【0025】
実装機6では、基台611上に基板搬送機構620が配置されており、基板PBを基板搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構620は、基台611上において基板PBを図2の右側から左側へ搬送する一対のコンベア621、622を有している。これらのコンベア621、622はX軸方向に沿って延設され、しかもY軸方向に所定間隔だけ離間しながら配置されている。また、前側のコンベア621は基台611に固定された固定コンベアであるのに対し、後側のコンベア622はY軸方向に移動可能な可動コンベアであり、コンベア621、622の間のY軸方向間隔、つまりコンベア幅を可変可能となっている。この可動コンベア622はW軸モーターM61(図3参照)と接続されており、実装機6全体を制御するコントローラ630のモーター制御部633によりW軸モーターM61を駆動制御することで可動コンベア622はY軸方向に移動させられてコンベア幅を基板PBのY軸方向の長さ、つまり基板幅に適合させることが可能となっている。
【0026】
このように本実施形態では、W軸モーターM61によってコンベア幅を基板幅に適合させた状態で基板搬送方向Xの上流側(図2の右手側)から搬送されてくる基板PBを実装機本体内に引き入れ、コンベア621、622により搬送する。また、コンベア621の上流側端部の下方位置には、基板検知用センサーSN61(図3参照)が固定配置されており、上記搬送路に沿ってコンベア621、622により搬送される基板PBを鉛直方向Zの下方側(−Z側)より検知し、基板検知信号が外部入出力部635を介してコントローラ630に出力される。そして、コントローラ630の演算処理部631が、基板検知用センサーSN61により基板PBを検知している時間と、コンベア621、622による基板搬送速度とに基づき基板PBの基板搬送方向Xの長さ、つまり基板長を実測する。
【0027】
また、コンベア621、622は、基板PBが基板検知用センサーSN61の上方を通過した後で、基板PBを所定の実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)で停止させる。また、当該基板PBは図略の保持装置により固定保持される。この実施形態では、固定された基板PBの特徴を示す基板属性データとして基板幅を検知するために、可動コンベア622に幅検知用センサーSN62が設けられており、その幅検知用センサーSN62で検知された基板幅データが外部入出力部635に与えられる。このように、幅検知用センサーSN62が本発明の「取得手段」として機能しており、実測された基板幅データに基づいてコントローラ630が基板PBの基板属性を認定する。
【0028】
そして、実装作業位置で固定された基板PBに対して部品収容部650から供給される電子部品(図示省略)がヘッドユニット660に複数搭載された吸着ノズル661により移載される。このようにヘッドユニット660が部品収容部650の上方と基板PBの上方の間を複数回往復して当該実装機によって基板PBに実装すべき部品の全部について実装処理が完了すると、基板搬送機構620は実装機コントローラ630からの駆動指令に応じて基板PBを搬出する。
【0029】
基板搬送機構620のY軸方向の両側には、上記した部品収容部650が配置されており、これらの部品収容部650に対して1または複数のテープフィーダー651を装着可能に構成されている。また、部品収容部650では、各フィーダー651に対応して電子部品を一定ピッチで収納・保持したテープを巻回したリール(図示省略)が配置されており、各フィーダー651による電子部品の供給が可能となっている。なお、この実施形態では、部品収容部650は、コンベア621、622に対してフロント(+Y)側とリア(−Y)側のそれぞれ上流部と下流部の合計4箇所に設けられており、各部品収容部650では、実装プログラムに基づいて実行される基板PBへの部品実装に応じた適切なフィーダー651がオペレータにより装着される。
【0030】
また、実装機6では、基板搬送機構620の他に、ヘッド駆動機構670が設けられている。このヘッド駆動機構670はヘッドユニット660を基台611の所定範囲にわたりX軸方向およびY軸方向に移動するための機構であり、X軸方向およびY軸方向への移動に、それぞれX軸モーターM62およびY軸モーターM63が使用される。そして、ヘッドユニット660の移動により吸着ノズル661で吸着された電子部品が部品収容部650の上方位置から基板PBの上方位置に搬送される。すなわち、このヘッドユニット660では、鉛直方向Zに延設された不図示の実装用ヘッドが8本、X軸方向(基板搬送機構620による基板PBの搬送方向)に等間隔で列状配置されている。また、実装用ヘッドのそれぞれの先端部には、吸着ノズル661が装着されている。
【0031】
各実装ヘッドはヘッドユニット660に対してZ軸モーターM64を駆動源とするノズル昇降駆動機構により昇降(Z軸方向の移動)可能に、かつR軸モーターM65を駆動源とするノズル回転駆動機構によりノズル中心軸回りに回転可能となっている。これらの駆動機構のうちノズル昇降駆動機構は吸着もしくは装着を行う時の下降位置と、搬送や撮像を行う時の上昇位置との間で実装ヘッドを昇降させるものである。一方、ノズル回転駆動機構は部品吸着ノズルを、電子部品の実装方向への合致のためやR軸方向の吸着ズレの補正のため等、必要に応じて回転させるための機構であり、回転駆動により電子部品を実装時における所定のR軸方向に位置させることが可能となっている。
【0032】
そして、ヘッド駆動機構670によってヘッドユニット660が部品収容部650の上方に移動し、Z軸モーターM64によって吸着ノズル661が吸着対象部品を搭載するフィーダー651の部品吸着位置上方に位置されるとともに、吸着ノズル661が下降して部品収容部650から供給される電子部品に対して吸着ノズル661の先端部が接して吸着保持し、吸着ノズル661が上昇する。こうして吸着ノズル661で電子部品を吸着保持したままヘッドユニット660が基板PBの上方に搬送され、所定位置において所定方向に向けて電子部品を基板PBに移載する。
【0033】
なお、搬送の途中において、搬送路の側方の2つの部品収容部650のX方向中間に配置される部品認識カメラC61の上方をヘッドユニット660が通過し、部品認識カメラC61が各吸着ノズル661に吸着された電子部品を下方から撮像することで、各吸着ノズル661における吸着ずれが検知され、各電子部品を基板PBに移載する際に吸着ずれに見合った位置補正がされる。
【0034】
また、ヘッドユニット660のX軸方向の両側部には、基板認識カメラC62がそれぞれ固定されており、ヘッド駆動機構670によりヘッドユニット660をX軸方向およびY軸方向に移動させることで任意の位置で基板PBの上方から撮像可能となっている。このため、各基板認識カメラC62は、実装作業位置上にある基板PBに付された複数のフィデューシャルマークを撮影して基板位置、基板方向を画像認識する機能と、後述するように基板PBに設けられる基板IDを撮像して基板PBを識別する機能とを兼ね備えている。
【0035】
このように構成された実装機6全体を制御するコントローラ630は、演算処理部631と、ハードディスクドライブなどの記憶部632と、モーター制御部633と、画像処理部634と、外部入出力部635と、サーバー通信制御部636とを備えている。この演算処理部631はCPU等により構成されており、後述するように基板IDに対応して記憶部632に書き込まれた実装プログラムにしたがって実装機各部を制御して部品実装を行う。
【0036】
実装プログラムは本発明の「処理プログラム」のひとつであり、制御装置9のコントローラ910の演算処理部911で作成されたり、別のプログラム作成装置で作成される。また、実装プログラムは基板PBの種類毎に相違しており、基板PBの識別情報たる基板IDと関連付けた実装プログラムリストとして記憶部912に記憶されている。また、このように実装プログラムと基板IDとを関連付けた実装プログラムリスト(例えば図6(c)参照)以外に、記憶部912には、基板属性リスト、基板ID座標リスト、印刷プログラムリスト、および印刷検査や実装検査の検査プログラムリストが記憶されている。これらのうち、基板属性リストは、代表プログラム名と基板幅とをリスト形式で関連付けたもの(例えば図6(a)参照)である。また、基板ID座標リストは、代表プログラム名と基板ID座標(基板IDが設けられた基板PB上の座標データ)とをリスト形式で関連付けたものである。(図6(b)は基板ID座標リスト中、読取り対象となる基板ID座標の候補を抽出したものである。)また、印刷プログラムリストは、印刷プログラムと基板IDとをリスト形式で関連付けたものである。さらに検査プログラムリストは、検査プログラムと基板IDとをリスト形式で関連付けたものである。なお、記憶部912に記憶された各リストに対し、コントローラ910の通信制御部913を介して印刷機4、印刷検査機5A、実装機6および実装検査機5Bのコントローラ530、630(印刷機4および実装検査機5Bのコントローラは図示せず)がアクセス可能となっており、適宜、リストに含まれる基板幅データ、基板ID座標、実装プログラムなどを取得可能となっている。
【0037】
実装機6の電気的構成に戻って説明を続ける。モーター制御部633には、W軸モーターM61、X軸モーターM62、Y軸モーターM63、Z軸モーターM64およびR軸モーターM65が電気的に接続されており、各モーターを駆動制御する。また、これらのモーターM61〜M65にはモーターの回転状況に応じたパルス信号を出力するエンコーダ(図示省略)がそれぞれ付設されている。各エンコーダから出力されるパルス信号はコントローラ630に取り込まれる構成となっており、これらの信号を受けた演算処理部631が各軸モーターM61〜M65の回転量に関する情報を取得し、モーター制御部633と共に各軸モーターM61〜M65を制御する。
【0038】
また、画像処理部634には部品認識カメラC61および基板認識カメラC62が電気的に接続されており、これら各カメラC61,C62出力される撮像信号がそれぞれ画像処理部634に取り込まれる。そして、画像処理部634では、取り込まれた撮像信号に基づいて、部品画像の解析、基板画像の解析、ならびに基板ID画像の解析がそれぞれ行われる。
【0039】
この実装機6では、表示/操作ユニット640が設けられて基板ID、実装プログラムや部品情報などを表示する。また、表示/操作ユニット640は、作業者がコントローラ630に対して各種データや指令などの情報を入力するためにも使用される。さらに、実装機6には、制御装置9、印刷検査機5Aや実装検査機5B等との間で実装プログラム、基板幅データ、基板ID座標データや部品情報などの各種データの授受を行うためにサーバー通信制御部636が設けられている。
【0040】
なお、制御装置9は上記のように実装プログラムを作成することができるコントローラ910を有しており、このコントローラ910は実装プログラム以外に印刷プログラム、印刷検査や実装検査の検査プログラムなどを作成することができ、また部品実装システム(基板処理システム)全体を制御する。このコントローラ910には、CPU等により構成される演算処理部911と、ハードディスクドライブなどの記憶部912と、通信制御部913とが設けられている。また、記憶部912には、上記したリストや部品情報などが記憶されている。そして、次に説明するように基板PBに設けられた基板IDを検出し、検出した基板IDに応じた実装プログラムが記憶部912から読み出されて実装機6にデータ転送され、当該実装プログラムにしたがって部品実装基板の生産が実行される。なお、図3中の符号920は演算処理部911により作成された印刷プログラム、検査プログラム、実装プログラム、基板IDや部品情報などを表示したり、作業者がコントローラ910に対して各種データや指令などの情報を入力するための表示/操作ユニットである。
【0041】
次に、上記のように構成された部品実装システム1での実装機6の動作について、図4ないし図6を参照しつつ説明する。
【0042】
図4は図2の実装機の動作を示すフローチャートである。また、図5は実装機で実行される基板ID読取処理を示すフローチャートである。さらに、図6は基板ID読取処理を模式的に示す図である。なお、図5および図6に示す基板ID読取処理が本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態に相当するものである。ここでは、3つの実装機6のうち最も上流側に配置された実装機Aの動作を中心に説明するが、残りの実装機B、Cにおいても実装機Aと同様の動作が実行される。
【0043】
部品実装システム1では、各基板PBに対して基板の識別情報として二次元コードの基板IDが設けられている。そして、最初の基板PBに対し、印刷機4によりクリーム半田が印刷され、さらに印刷検査機5Aにより印刷良好に行われたことが確認されると、実装機Aへの基板搬入の準備が完了する。これを受けて実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は、生産枚数を示す生産枚数カウント値Kを「1」に設定する(ステップS1)。そして、次にステップS2で演算処理部631は実装機Aの各部を以下のように制御するとともに制御装置9との間でのデータ通信を行って基板ID読取処理を実行する。
【0044】
この基板ID読取処理では、図5に示すように、まず印刷済みの基板PBが基板搬送機構620により実装機A内に搬入され(ステップS21a)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)まで搬送される。そして、この実装作業位置で基板PBは図略の保持装置により固定保持された(ステップS21b)後、基板PBの基板幅が幅検知用センサーSN62により実測され、その基板幅を示す基板幅データを演算処理部631は基板PBの特徴を示す基板属性データとして取得する(ステップS21c)。
【0045】
次に、演算処理部631は取得した基板幅データに基づき基板幅の候補値、つまり候補幅を算出する(ステップS21d)。これは幅検知用センサーSN62の検出精度を考慮したものであり、実測した基板幅データに対して、ある程度の余裕度を与えることで、基板PBの基板幅を誤認するのを防止することができる。本実施形態では、ステップS21cで取得された基板幅が例えば「200mm」であるとき、候補幅として「190〜210mm」を算出している。そして、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている基板属性リストにアクセスし、候補幅に含まれる基板幅を有する基板PBを対象とする代表プログラムを導出する(ステップS21e)。例えば図6(a)に示す基板属性リストが予め記憶部912に記憶されている場合、候補幅「190〜210mm」に合致する代表プログラムとして、基板幅が「205mm」の「MASTER_205」と、基板幅が「200mm」の「MASTER_200」(図6(a)の網掛け表示された基板幅に対応する代表プログラム)とが導出される。
【0046】
こうして代表プログラムの絞り込みが完了すると、演算処理部631は記憶部912に記憶されている基板ID座標リストにアクセスし、ステップS21eで導出された代表プログラムに対応する基板ID座標を取得する(ステップS21f)。基板ID座標は、既に述べたように、基板IDが基板PBに設けられた位置座標を示す座標データである。
【0047】
ここで、図6(b)に示すように、複数の代表プログラムが導出されている場合、あるいは1つの代表プログラムに対して複数の基板ID座標が設定される場合、読取り対象となる基板ID座標の候補は複数個存在することになるが、本実施形態では、演算処理部631は1つ目の基板ID座標データに基づきモーター制御部633と共にX軸モーターM62およびY軸モーターM63を制御して基板認識カメラC62の1つを基板ID座標データで示される座標位置の直上に位置決めし、当該基板認識カメラC62により基板PBを撮像し、基板IDの読取を行う(ステップS21g)。例えば撮像画像を解析した結果、基板ID画像が含まれている場合には、例えば図6に示すように、「基板ID=BBB」の読取に成功したとして、その他の基板ID座標の候補での基板IDの読取を行うことなく、そのまま次のステップS21hに進む。これにより、無駄なカメラ移動および撮像解析を省略して基板IDの読取時間を短縮することができる。一方、最初の基板ID座標に対応する撮像画像に基板ID画像が含まれていない場合には、演算処理部631は次の基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62による基板PBの撮像を行い、基板IDの読取を行う。このような読取動作を基板IDが見つかるまで読取り対象となる基板ID座標の全候補の中から基板ID座標データを切替えながら繰り返すことで基板IDを高い確率で読み取ることができる。もちろん、基板ID座標の全候補について、上記したカメラ移動および撮像解析を実行した後で、基板IDを特定するようにしてもよい。
【0048】
こうして基板IDの読取が完了すると、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS21gで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する(ステップS21h)。例えば図6に示すように「基板ID=BBB」の場合、それに対応する実装プログラム(PRG_B)が選択され、制御装置9の記憶部912から実装機Aの記憶部632にコピーされる。こうして、基板PBに適合した実装プログラムが実装機Aに設定され、基板ID読取処理が完了する。
【0049】
次に図4に戻って説明を続ける。基板ID読取処理(ステップS2)に続くステップS3では、基板IDに適合する実装プログラムにしたがって演算処理部631は実装機Aの各部を制御して当該実装プログラムを実行する。これによって、基板PBへの部品実装が適切に実行される。そして、演算処理部631は、実装機Aでの部品実装が完了すると、生産枚数カウント値Kが計画枚数に達しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0050】
このステップS4で「NO」、つまり計画枚数に未達である間、演算処理部631はステップS5〜S7を実行した後でステップS2に戻って上記した基板ID読取処理を繰り返す。つまり、部品実装済基板PBは、実装作業位置での固定が解除された(ステップS5)後、基板搬送機構620により実装機Bに向けて搬出される(ステップS6)。そして、当該基板PBの搬出に伴い生産枚数カウント値Kを「1」だけインクリメントした後、ステップS2に戻って次の未実装基板PBについて基板ID読取処理を実行する。
【0051】
一方、ステップS4で「YES」、つまり計画枚数に達すると、演算処理部631は、実装作業位置での部品実装済基板PBの固定を解除した(ステップS8)後、基板搬送機構620を制御して部品実装済基板PBを実装機Bに向けて搬出し(ステップS9)、実装機Aでの計画枚数分の部品実装を完了する。
【0052】
以上のように、部品実装システム(基板処理システム)では、基板PBに対して基板IDを設け、これを識別情報として利用しているが、基板IDを設ける位置は品種毎に相違することがあり、それによって多数の基板ID座標が存在することがある。そこで、上記第1実施形態では、品種によって基板幅が異なることが多い点に着目し、基板幅データを基板PBの特徴を示す基板属性データとして採用するとともに、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付け、これらを本発明の「相関情報」として予め記憶部912に記憶している。そして、実装機Aに搬入された基板PBに設けられた基板IDを読み取るために、まず基板幅を実測して基板幅データを取得し、基板ID座標リストにリストアップされている基板ID座標の中から基板幅データに基づいて基板ID座標の候補のみを抽出し、その抽出された基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62を移動させて基板IDの読み取りを行っている。そのため、基板認識カメラC62の移動回数を削減し、これによって基板認識カメラC62を短時間で、かつ効率良く位置決めすることができ、基板ID読取処理、つまり基板PBの識別情報の検出に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、このような基板ID読取処理を利用して基板PBに適合する実装プログラムを設定し、それに基づいて部品実装動作を行っているため、多品種の基板PBに対して優れた生産性で部品を実装することができる。
【0054】
このように第1実施形態では、基板PBの基板幅データが本発明の「基板属性データ」に相当する。また、基板IDが本発明の「識別情報」に相当し、基板ID座標データが本発明の「識別情報の位置を示す位置データ」に相当している。そして、これら基板幅データおよび基板ID座標データが基板属性リストおよび基板ID座標リストにより関連付けられており、これら2つのリストが本発明の「相関情報」に相当している。また、実装機Aにより部品実装される基板PBが本発明の「識別情報の検出対象である基板」および「処理対象である基板」に相当している。また、基板認識カメラC62が、フィデューシャルマークを撮像する機能のみならず、本発明の「検出手段」としても機能している。また、ヘッド駆動機構670が基板ID座標の直上位置に基板認識カメラC62を移動させて位置決めしており、本発明の「位置決め手段」として機能している。さらに、制御装置9の記憶部912が本発明の「第1外部装置の記憶手段」として機能している。
【0055】
B.第2実施形態
上記第1実施形態では、基板属性データとして基板幅データを採用しているが、基板PBの特徴を示し、基板ID座標と関連が深いもの、例えば基板PBのX軸方向の長さ(基板長)を示す基板長データ、基板PBの表面色を示す色データあるいは基板PBの形状を示す形状データなどを採用してもよいし、また、これらのデータを組み合わせたものを基板属性データとして用いてもよい。この点に関しては、後で説明する各実施形態においても同様である。例えば第2実施形態では、基板属性データとして、基板幅データのみならず、基板長データを採用し、これら基板幅データおよび基板長データの組み合わせに対応する基板ID座標データを抽出してもよい。なお、その他の構成および動作については、第1実施形態と同様であるため、以下においては、図7および図8を参照しつつ基板ID読取処理における相違点を中心に説明する。
【0056】
図7は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を示すフローチャートである。また、図8は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を模式的に示す図である。第2実施形態では、図7に示すように、まず印刷済みの基板PBが基板搬送機構620により実装機A内に搬入される(ステップS22a)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)に向けて搬送される。この基板搬送中に、基板PBが基板検知用センサーSN61の直上位置に通過して基板検知用センサーSN61に検知される。そこで、本実施形態では、コントローラ630の演算処理部631が、基板検知用センサーSN61による基板PBの検知時間と基板PBの搬送速度とに基づき基板長のデータを基板PBの特徴を示す基板属性データとして取得する(ステップS22b)。このように、第2実施形態では、基板検知用センサーSN61が本発明の「取得手段」として機能している。
【0057】
そして、基板PBが基板検知用センサーSN61を通過し、実装作業位置に達すると、第1実施形態と同様に、基板PBは図略の保持装置により固定保持された(ステップS22c)後、基板PBの基板幅が幅検知用センサーSN62により実測され、その基板幅を示す基板幅データを演算処理部631はもう一つの基板属性データとして取得する(ステップS22d)。
【0058】
次に、演算処理部631は取得した基板長データに基づき基板長の候補値、つまり候補長さを算出する(ステップS22e)。これは基板検知用センサーSN61の検出精度や基板PBの搬送速度ムラなどを考慮したものであり、実測した基板長データに対して、ある程度の余裕度を与えることで、基板PBの基板長を誤認するのを防止することができる。本実施形態では、ステップS22bで取得された基板長が例えば「300mm」であるとき、候補幅として「290〜310mm」を算出している(図8参照)。また、演算処理部631は、第1実施形態と同様にして、候補幅を算出しており(ステップS22f)、図8に示す具体例では、ステップS22dで取得された基板幅が「200mm」であるのに対応して候補幅として「190〜210mm」を算出している。
【0059】
次に、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている基板属性リストにアクセスする。第2実施形態では、図8に示すように、基板属性リストは、代表プログラムを基板幅のみならず、基板長とも関連付けており、演算処理部631は、候補長さに含まれる基板長、及び候補幅に含まれる基板幅の両方を有する基板PBを対象とする代表プログラムを導出する(ステップS22g)。例えば図8(a)に示す基板属性リストが予め記憶部912に記憶されている場合、候補長さ「290〜310mm」および候補幅「190〜210mm」に合致する代表プログラムとして、基板長が「300mm」で、基板幅が「200mm」の「MASTER_300×200」が導出される。
【0060】
こうして代表プログラムの絞り込みが完了すると、演算処理部631は記憶部912に記憶されている基板ID座標リストにアクセスし、ステップS22gで導出された代表プログラムに対応する基板ID座標を取得する(ステップS22h)。
【0061】
そして、演算処理部631は第1実施形態と同様にして基板IDの読取を行う(ステップS22i)。例えば図8に示すように、1つ目の基板ID座標データに基づきモーター制御部633と共にX軸モーターM62およびY軸モーターM63を制御して基板認識カメラC62の1つを基板ID座標データで示される座標位置の直上に位置決めし、当該基板認識カメラC62により基板PBを撮像し、その撮像画像を解析した結果、「基板ID=AAA」の読取に成功した場合、その他の基板ID座標の候補での基板IDの読取を行うことなく、そのまま次のステップS22jに進む。一方、最初の基板ID座標に対応する撮像画像に基板ID画像が含まれていない場合には、第1実施形態と同様に、演算処理部631は次の基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62による基板PBの撮像を行い、基板IDの読取を行う。
【0062】
こうして基板IDの読取が完了すると、演算処理部631は、第1実施形態と同様に、制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS22iで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する。例えば図8に示すように「基板ID=AAA」の場合、それに対応する実装プログラム(PRG_A)が選択され、制御装置9の記憶部912から実装機Aの記憶部632にコピーされる。こうして、基板PBに適合した実装プログラムが実装機Aに設定され(ステップS22j)、基板ID読取処理が完了する。
【0063】
以上のように、第2実施形態によれば、基板幅データおよび基板長データを基板属性データとして採用しているため、第1実施形態によりも高い確度で基板ID座標データを絞り込むことができる。そのため、基板認識カメラC62の移動回数を第1実施形態よりも高い確率で削減することができ、その結果、基板ID読取処理、つまり基板PBの識別情報の検出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0064】
C.第3実施形態
上記第1実施形態では、部品実装システムを構成する各基板処理装置(印刷機、検査機、実装機、リフロー炉など)は制御装置9により一括管理されているため、例えば印刷検査機5Aにおいて基板を搬送するコンベアの間のY軸方向間隔、つまりコンベア幅を変更すると、それに応じて実装機Aのコンベア幅が印刷検査機5Aのコンベア幅と一致するようにW軸モーターM61は制御される。しかしながら、部品実装システムにおける制御態様はこれに限定されるものではなく、隣接する装置、例えば印刷検査機5Aと実装機Aとが同一の制御装置で管理されない場合もある。このような場合、印刷検査機5Aから実装機Aへの基板の搬送を良好に行うことが難しくなる。そこで、互いに隣接する基板処理装置のうち後工程を担う基板処理装置にコンベア幅の自動調整機能を追加し、前工程を担う基板処理装置でコンベア幅が変更されるのに伴い後工程の基板処理装置でのコンベア幅を追従的に変更するように構成してもよい。以下、印刷検査機5Aを前工程の基板処理装置とし、実装機Aを後工程の基板処理装置とし、実装機Aにコンベア幅の自動調整機能を追加した場合(第3実施形態)について、図9および図10を参照しつつ説明する。
【0065】
図9は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態が適用される実装機の構成および動作を模式的に示す図である。また、図10は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態を示すフローチャートである。第3実施形態では、印刷検査機5Aにおいて基板を搬送するコンベア521、522のうち後側のコンベア522は、コンベア622と同様に、Y軸方向に移動可能な可動コンベアであり、印刷検査機5A全体を制御するコントローラ(制御手段)530のモーター制御部533によりW軸モーターM51を駆動制御することで可動コンベア522はY軸方向に移動させられてコンベア幅が適宜変更される。また、可動コンベア522のX軸方向の下流側下方端部に被検知体として機能するドクDCが取り付けられており、可動コンベア522と一体的にY軸方向に移動する。
【0066】
一方、実装機Aにおいては、可動コンベア622のX軸方向の上流側下方端部に対し、ドクDCを検知するための幅一致確認用センサーSN63が取り付けられており、可動コンベア622と一体的にY軸方向に移動する。そして、可動コンベア522、622同士が対向してコンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで一致すると、センサーSN63がドクDCを検知してON状態となる。一方、コンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで不一致となっている間、センサーSN63はOFF状態となっている。このように本実施形態では、幅一致確認用センサーSN63として近接センサーを用いているが、遮光センサーを用いてもよい。
【0067】
このように構成された部品実装システムにおいて、例えば図9(a)に示すように、印刷検査機5Aと実装機Aとで同一の基板幅を有する基板PB2、PB1がそれぞれ搬送されている間では、幅一致確認用センサーSN63はON状態となっており、基板PB2を印刷検査機5Aから実装機Aにそのまま搬入可能である。一方、印刷検査機5Aで基板幅が変更する場合には、W軸モーターM51により可動コンベア522がY軸方向に移動させられてコンベア幅が変更される(同図(b))。これによって、コンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで不一致となり、センサーSN63はOFF状態となる。このような状態のまま印刷検査機5Aから実装機Aに基板を搬送することはできないので、第3実施形態では、図10に示すように基板ID読取処理にコンベア幅調整工程(ステップS23a〜S23e)を追加して実装機Aにコンベア幅の自動調整機能を付加している。なお、その他の動作は基本的に第1実施形態と同様であるため、コンベア幅調整工程を中心に第3実施形態にかかる基板ID読取処理について説明する。
【0068】
この基板ID読取処理では、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は、実装機Aへの基板の搬入前に、幅一致確認用センサーSN63がON状態であるか否かを検知することによって印刷検査機5Aおよび実装機Aでのコンベア幅の一致/不一致を判別している(ステップS23a)。つまり、ステップS23aで「NO」のとき、演算処理部631は、印刷検査機5Aおよび実装機Aでコンベア幅が不一致であることを確認し、モーター制御部633によりW軸モーターM61を以下のように駆動制御して可動コンベア622を可動コンベア522に対向させる。すなわち、W軸モーターM61が所定方向に回転して図9(c)に示すように可動コンベア622を固定コンベア621から離れる方向(同図の上方向)に移動させてコンベア幅を最大コンベア幅まで拡幅する(ステップS23b)。この後、W軸モーターM61は逆回転して可動コンベア622の移動方向を逆転させて実装機Aでのコンベア幅を縮めていく(ステップS23c)。そして、幅一致確認用センサーSN63がON状態となった時点(ステップS23dで「YES」と判別されたタイミング)でW軸モーターM61は回転停止して可動コンベア622の幅方向Yへの移動を停止する(ステップS23e)。これによって、実装機Aでのコンベア幅が印刷検査機5Aでのコンベア幅と一致する(同図(d))。なお、コンベア幅調整工程における可動コンベア622の移動方向については逆転させてもよい。つまり、まず最小コンベア幅まで移動させた後に、拡幅方向に移動させ、幅一致確認用センサーSN63がON状態となった時点で可動コンベア622の幅方向Yへの移動を停止させてもよい。
【0069】
一方、ステップS23aで「YES」のとき、演算処理部631は、印刷検査機5Aおよび実装機Aでコンベア幅が一致していることを確認し、上記ステップS23b〜S23eをスキップする。
【0070】
そして、実装機Aと印刷検査機5Aとでコンベア幅が一致した状態で、第1実施形態と同様に、ステップS23f〜S23mを実行して基板IDを読み取り、当該基板IDに対応した実装プログラムを設定する。
【0071】
以上のように、第3実施形態によれば、印刷検査機5Aから実装機Aへの基板搬入直前に印刷検査機5Aと実装機Aとでコンベア幅が相違していたとしても、常にコンベア幅の自動調整が行われる。そして、その後、両者が一致した状態で基板が印刷検査機5Aから実装機Aに確実に、しかも良好に搬入される。また、第1実施形態と同様に、基板IDの読取のために基板認識カメラC62を移動させる回数を削減することができ、基板PBの識別情報である基板IDの検出に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
D.第4実施形態
上記第1実施形態では各基板について基板ID読取処理を実行しているが、基板収容部には同種の基板を計画枚数単位、いわゆるロット単位で収容し、それらの基板を連続的に処理することがある。このような場合には、最初の基板についてのみ基板ID読取処理を実行し、それ以降の基板については最初の基板ID読取処理により設定された実装プログラムにより部品実装を行ってもよい(第4実施形態)。以下、図11および図12を参照しつつ本発明の第4実施形態について説明する。
【0073】
図11は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態が適用される実装機の動作を示すフローチャートである。また、図12は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は最初の基板に対してのみ基板ID読取処理を実行する(ステップS11)。この基板ID読取処理では、まず基板幅が変更されているか否かを演算処理部631が判別する(ステップS11a)。これは、直前に実行されたロットの基板と、今回のロットを構成する基板とが同一基板幅を有する場合には、基板ID座標が同じである確率が高いためである。
【0074】
そこで、本実施形態では、基板幅が変更されている場合には、演算処理部631は実装機Aの各部を制御することで、第1実施形態と同様にして、基板IDの読取および実装プログラムの設定を行う(ステップS11b〜S11j)。
【0075】
一方、基板幅が変更されていない場合には、演算処理部631は実装機Aの各部を制御することで、基板を実装機A内に搬入し(ステップS11j)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)まで搬送して固定した(ステップS11k)後、前回と同じ基板ID座標に対応する位置(つまり当該座標の直上位置)に基板認識カメラC62を移動させて位置決めし、このカメラC62で基板IDの読取を行う(ステップS11l)。そして、基板IDの読取に成功した場合(ステップS11mで「YES」の場合)には、ステップS11jに進んで実装プログラムの設定が行われる。すなわち、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS11lで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する。
【0076】
なお、基板IDの読取に失敗した場合(ステップS11mで「NO」の場合)には、ステップS11dに進んで、第1実施形態と同様に、基板幅を取得するとともに、当該基板幅に基づいて基板ID座標を取得し、さらに当該基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC62を移動させて位置決めし、このカメラC62で基板IDの読取を行った後、この読み取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912に記憶されている実装プログラムリストから読み出し、実装機Aの記憶部632に記憶する。
【0077】
こうして基板ID読取処理(ステップS11)が完了すると、図11のステップS12に進んで、生産枚数カウント値Kを「1」に設定する。そして、上記ステップS11iで設定された実装プログラムにしたがって演算処理部631が実装機Aの各部を制御する(ステップS13)。これによって、基板に適合した状態で基板への部品実装が実行される。そして、演算処理部631は、実装機Aで部品実装が完了すると、生産枚数カウント値Kが計画枚数に達しているか否かを判定する(ステップS14)。
【0078】
このステップS14で「NO」、つまり計画枚数に未達である間、演算処理部631はステップS15〜S18を実行した後でステップS13に戻って同一の実装プログラムにしたがって基板への部品実装を繰り返す。つまり、部品実装済基板は、実装作業位置での固定が解除された(ステップS15)後、基板搬送機構620により実装機Bに向けて搬出される。また、基板搬出と並行して次の基板を搬入し(ステップS16)、実装作業位置に位置決めし、固定する(ステップS17)。そして、基板搬出および次の基板搬入に伴い生産枚数カウント値Kを「1」だけインクリメントした後、ステップS13に戻って次の未実装基板に対して部品実装を繰り返す。
【0079】
一方、ステップS14で「YES」、つまり計画枚数に達すると、演算処理部631は、実装作業位置での部品実装済基板PBの固定を解除した(ステップS19)後、基板搬送機構620を制御して部品実装済基板PBを実装機Bに向けて搬出し(ステップS20)、計画枚数分の部品実装を完了する。
【0080】
以上のように、第4実施形態によれば、第1実施形態に比べて基板IDの読取のために基板認識カメラC62を移動させる回数をさらに削減することができ、基板PBの識別情報である基板IDの検出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0081】
E.第5実施形態
上記実施形態では、実装機Aにおいて基板の基板幅を取得し、その基板幅に基づいて基板ID座標を取得した後、その基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC62を位置決めして基板IDを読み取っている。また、他の実装機B、Cにおいても、実装機Aと同様に、実装機において一連の動作を全て行っているが、実装機A〜Cに対して基板搬送方向Xの上流側となる印刷検査機5Aで基板幅を取得し、その基板幅を実装機A〜Cにデータ転送するように構成してもよい。というのも、図1に示す部品実装システムに組み込まれた印刷検査機5Aは印刷機4から搬送されてくる基板に対応する検査プログラムを制御装置9の記憶部912から読み出すために、図3に示すように、幅検知用センサーSN52を装備し、基板幅を検知しているからである。つまり、印刷検査機5Aは、実装機6と同様に、基板の基板幅を取得し、その基板幅に基づいて基板ID座標を取得した後、その基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC52を位置決めして基板IDを読み取る。そして、その基板IDに対応する検査プログラムに基づき基板の検査が実行される。
【0082】
そこで、例えば図13に示すように、本発明の「第1基板処理装置」や「第2外部装置」に相当する印刷検査機5Aで取得された基板幅に基づいて本発明の「第2基板処理装置」に相当する各実装機6で基板IDを読み取るように構成してもよい。ここで、同図中の「基板幅取得」は基板幅を取得する動作を示し、「ID読取」は基板幅に基づいて基板IDを読み取り、その基板IDに対応する実装プログラムで部品実装を行う動作を示している。より詳しくは、タイミングT1で基板PB1は印刷検査機5Aに搬入されており、印刷検査機5Aの幅検知用センサーSN52により基板PB1の基板幅が取得される。そして、この基板PB1に対する検査が完了すると、当該基板PB1が実装機Aに搬出されるとともに、新たな基板PB2が印刷検査機5Aに搬入される(タイミングT2)。この実装機Aに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板幅データが転送され、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板幅データに基づき基板IDの読取を行う。また、それと並行して、印刷検査機5Aでは次の基板PB2の基板幅を取得する。そして、実装機Aでの部品実装が完了するとともに印刷検査機5Aでの検査が完了し、基板PB1が実装機Aから実装機Bに搬送され、基板PB2が印刷検査機5Aから実装機Aに搬送され、さらに次の基板PB3が印刷機4から印刷検査機5Aに搬送される(タイミングT3)。この実装機Bに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板幅データが転送され、実装機Bのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板幅データに基づき基板IDの読取を行う。一方、実装機Aおよび印刷検査機5AはタイミングT2と同様の処理を行う。このような動作がその後のタイミングT4、…でも繰り返される。
【0083】
以上のように、第5実施形態によれば、印刷検査機5Aで取得した基板幅データを実装機6に転送し、その基板幅データに基づいて基板IDの読取を行っているため、実装機6では基板幅の実測が不要となり、装置構成の簡素化および処理負荷の軽減を図ることができる。
【0084】
F.第6実施形態
また、上記第5実施形態では、印刷検査機5Aから基板幅データを各実装機6にデータ転送しているが、本発明の「第1基板処理装置」に相当する印刷検査機5Aにおいて基板幅の取得に止まらず基板IDの読取までを行う場合には、例えば図14に示すように印刷検査機5Aで取得された基板IDに基づいて本発明の「第2基板処理装置」に相当する各実装機6で基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、部品実装を行うように構成してもよい。ここで、同図中の「幅取得・ID読取」は基板幅を取得するとともに、当該基板幅に基づいて基板IDを読み取る動作を示し、「実装PGの設定・実行」は基板IDに対応する実装プログラムを制御装置9の記憶部912に記憶されている実装プログラムリストから読み出し、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う動作を示している。そして、より詳しくは、タイミングT1で基板PB1は印刷検査機5Aに搬入されており、印刷検査機5Aの幅検知用センサーSN52により基板PB1の基板幅が取得されるとともに、その基板幅に基づいて基板IDが読み取られる。そして、この基板PB1に対する検査が完了すると、当該基板PB1が実装機Aに搬出されるとともに、新たな基板PB2が印刷検査機5Aに搬入される(タイミングT2)。この実装機Aに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板IDが転送され、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912からコピーし、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う。また、それと並行して、印刷検査機5Aでは次の基板PB2の基板幅が取得されるとともに、その基板幅に基づいて基板IDが読み取られる。そして、実装機Aでの部品実装が完了するとともに印刷検査機5Aでの検査が完了し、基板PB1が実装機Aから実装機Bに搬送され、基板PB2が印刷検査機5Aから実装機Aに搬送され、さらに次の基板PB3が印刷機4から印刷検査機5Aに搬送される(タイミングT3)。この実装機Bに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板IDが転送され、実装機Bのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912からコピーし、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う。一方、実装機Aおよび印刷検査機5AはタイミングT2と同様の処理を行う。このような動作がその後のタイミングT4、…でも繰り返される。
【0085】
以上のように、第6実施形態によれば、印刷検査機5Aで取得した基板IDを実装機6に転送し、その基板IDに基づいて実装プログラムの設定および実行を行っているため、実装機6では基板幅および基板IDの実測が不要となり、装置構成をさらに簡素化し、処理負荷も軽減することができる。なお、印刷検査機5Aを配置しない部品実装システムにおいては、基板PBの搬送方向最上流側の実装機6で取得した基板IDに基づいて当該実装機6の実装プログラムの設定および実行を行うと共に、取得した基板IDを下流側の実装機6に転送し、その基板IDに基づいて下流側の実装機6の実装プログラムの設定および実行を行うようにしても良い。さらに複数の実装機6の下流側に実装検査機5Bを配置する部品実装システムにおいては、最上流側の実装機6で取得した基板IDに基づいて、実装検査機5Bにおける実装検査プログラムの設定および実行を行うようにしても良い。これらの場合、基板PBの搬送方向最上流側の実装機6が基板処理装置、第1基板処理装置となり、下流側の実装機6および実装検査機5Bが、基板処理装置、第2基板処理装置となる。
【0086】
G.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、フィデューシャルマークを撮像する基板認識カメラC62、C52を基板IDの検出用カメラとして兼用しているが、基板IDを検出するための専用の検出手段、例えば二次元コードリーダーやバーコードリーダなどを設けてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付け、これらを本発明の「相関情報」として記憶部912などの記憶手段に記憶しているが、「相関情報」はこれに限定されるものではなく、例えば基板幅データと基板ID座標とを直接関連付けたものを「相関情報」としてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、3台の実装機6を含む部品実装システムに対して本発明を適用しているが、実装機6の台数はこれに限定されるものではなく、任意である。また、上記実施形態では、基板属性リスト、基板ID座標リスト、実装プログラムリストなどを制御装置9の記憶部912に記憶させて一元管理しているが、例えば基板属性リスト、基板ID座標リストおよび実装プログラムリストを実装機6の記憶部632に記憶させておいてもよく、この場合、当該実装機6をスタンドアロン形式で使用することも可能となる。
【0089】
また、上記実施形態では、実装機6に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象は実装機6に限定されるものではなく、印刷機4、印刷された基板を検査する印刷検査機5A、あるいは部品の実装状態を検査する実装検査機5Bに対しても本発明を適用することができる。つまり、基板に設けられた基板ID(識別情報)をカメラやリーダー等の検出手段により検出し、検出された基板IDに応じた処理プログラムにより基板を処理する基板処理装置全般に対して適用可能である。
【0090】
また、上記実施形態にかかる識別情報の検出方法を実行するプログラムを、CD−ROM、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性メモリカードなどの記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体からプログラムをコードとして読み出し、コンピューターにおいて実行してもよい。つまり、上記プログラムを記憶した記憶媒体、コンピュータープログラム自体も本発明の一実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…部品実装システム(基板処理システム)
4…印刷機(基板処理装置)
5A…印刷検査機(基板処理装置、第1基板処理装置、第2外部装置)
5B…実装検査機(基板処理装置、第2外部装置)
6…実装機(基板処理装置、第1基板処理装置、第2基板処理装置)
9…制御装置(第1外部装置)
530…コントローラ(第1制御手段)
536…サーバー通信制御部(第2通信手段)
620…基板搬送機構
630…コントローラ(制御手段、第2制御手段)
631…演算処理部(制御手段、第2制御手段)
636…サーバー通信制御部(第1通信手段)
912…記憶部(記憶手段)
C52、C62…基板認識カメラ(検出手段)
PB、PB1〜PB4…基板
SN51、SN61…基板検知用センサー(取得手段)
SN52、SN62…幅検知用センサー(取得手段)
X…基板搬送方向(第1方向)
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に設けられた二次元コードやバーコードなどの識別情報を検出する識別情報の検出方法、当該検出方法により検出した識別情報を用いて基板を処理する基板処理装置および基板処理システム、ならびに識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する基板処理システムでは、印刷機、印刷検査機、実装機および実装検査機などの基板処理装置が搬送路に沿って並設されており、各基板処理装置が搬送路に沿って搬送される基板に対して処理プログラムにしたがって所望の処理を施す。例えば実装機では、処理プログラムとして実装プログラムが設定され、この実装プログラムにしたがって順次IC(Integrated Circuit)等の電子部品が基板に実装される。また、印刷検査機や実装検査機等の検査機では、処理プログラムとして印刷検査や実装検査のための検査プログラムが設定され、この検査プログラムにしたがって印刷機による印刷処理の良否検査や実装機による部品実装の良否検査が実行される。このような基板処理システムでは、多品種生産に対応すべく、バーコードなどの識別情報を基板に設けるとともに、バーコードリーダ等の検出手段によって識別情報を読み取り、その読み取った識別情報に基づいて当該基板に適した処理プログラムを設定している。また、識別情報の検出態様として、無線ICタグを使用することも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、各基板に対して適切な処理プログラムを設定するために、上記したように検出手段による識別情報の検出処理、または無線ICタグによる無線通信処理を行っているが、それぞれ次のような問題を有している。
【0005】
まず、検出手段による識別情報の検出処理では、基板に設けられた識別情報を検出することができる位置に検出手段を位置決めする必要があるが、基板に対して識別情報を設ける位置(例えば、後述する基板ID座標)は基板の品種毎に異なることが多く、それら全てに対応するために検出手段の位置決めを行う候補位置を予め数多く設定している。そして、品種が変更されるたびに、それら複数の候補位置に対して検出手段を順番に位置決めする。したがって、品種の変更に伴い検出手段を変更後の基板に対応する位置に位置決めするまでに多くの時間を要してしまい、生産性の低下を招くという問題がある。
【0006】
一方、無線ICタグによる無線通信処理では、無線ICタグリーダを用いて識別情報を読み取っており、ICチップと無線通信ができる範囲であれば、無線ICタグリーダを任意の位置に固定配置することができる。したがって、検出手段による識別情報の検出処理において生じていた問題は発生しない。しかしながら、無線ICタグを利用する場合、各基板へ無線ICタグを付与する必要があり、バーコードなどの識別情報を用いる方式に比べてコストが増大してしまう。また、無線ICタグを回収することでランニングコストの低減を図ることも考えられるが、無線ICタグの回収によって工数増加が発生し、必ずしもコスト低減を図ることができるとは言えず、コスト面および生産性の面で必ずしも有用な手法ではない。
【0007】
そこで、低コストで多品種生産を行うために、検出手段による識別情報の検出処理において問題となっていた検出手段の位置決めに要する時間を短縮する技術が望まれている。
【0008】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板に設けられた識別情報を検出手段により短時間で、かつ効率良く検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる識別情報の検出方法は、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する方法であって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得するとともに、取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして検出対象である基板の識別情報を検出することを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかるコンピュータープログラムは、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムであって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を有し、識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得する基板属性データ取得機能と、取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出する位置データ導出機能と、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして検出対象である基板の識別情報を検出する識別情報検出機能とを、コンピューターに実現させることを特徴としている。
【0011】
上記のように構成された発明では、各基板に識別情報が設けられているため、多品種の基板が存在する場合には、識別情報の位置を示す位置データも数多く存在することになるが、次のようにして識別情報の検出対象である基板に対応する位置データのみを抽出している。すなわち、各識別情報の位置を示す位置データは基板属性データと関連付けられ、相関情報として準備されている。そして、一の基板、つまり識別情報の検出対象である基板に設けられた識別情報を検出する際には、当該基板の基板属性データが取得されるとともに、その取得された基板属性データに対応する位置データが相関情報に基づいて導出される。そして、その導出された位置データに対応する位置に検出手段が位置決めされる。よって、検出手段が短時間で、かつ効率良く位置決めされる。
【0012】
ここで、「基板属性データ」としては、所定の方向における基板の長さを示す基板長データ、所定方向と直交する方向における基板の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データ、または基板の形状を示す形状データを用いることができる。また、これら基板長データ、基板幅データ、色データおよび形状データを複数個組み合わせたものを「基板属性データ」として用いてもよい。
【0013】
また、上記した識別情報の検出方法やコンピュータープログラムについては、例えば基板処理装置や基板処理システムに適用してもよく、下記に示すように構成することで、処理対象となる基板の識別情報を短時間で、かつ効率良く検出し、その識別情報に対応する処理プログラムにより基板を処理することができる。そのため、多品種の基板を優れた生産性で処理することができる。
【0014】
この発明にかかる基板処理装置は、基板に設けられた識別情報を検出手段により検出し、検出された識別情報に応じた処理プログラムにより基板を処理する装置であって、上記目的を達成するため、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報にアクセス可能に構成される制御手段と、処理対象である基板の基板属性データを取得する取得手段と、取得手段により基板属性データが取得された基板に対して検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段とを備え、制御手段は、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして処理対象である基板の識別情報を検出することを特徴としている。
【0015】
また、この発明にかかる基板処理システムの第1態様は、識別情報を有する基板に対して第1処理を施す第1基板処理装置と、識別情報に応じた処理プログラムを実行することで第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、第1基板処理装置は、第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段を有し、第2基板処理装置は、第1処理が施された基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして第1処理が施された基板の識別情報を検出する制御手段とを有することを特徴としている。
【0016】
また、この発明にかかる基板処理システムの第2態様は、識別情報を有する基板に対し、識別情報に応じた第1処理プログラムを実行することで第1処理を施す第1基板処理装置と、識別情報に応じた第2処理プログラムを実行することで第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、第1基板処理装置は、第1処理を施す基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段と、取得手段により基板属性データが取得された基板に対して検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段と、取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めして第1処理を施す基板の識別情報を検出し、検出された識別情報に応じた第1処理プログラムを設定する第1制御手段とを有し、第2基板処理装置は、第1基板処理装置で検出された識別情報に応じた第2処理プログラムを設定する第2制御手段を有することを特徴としている。
【0017】
なお、このような基板処理装置(第1基板処理装置および第2基板処理装置を含む)としては、例えば基板にクリーム半田を印刷により塗布する印刷機、印刷機による印刷状態を検査する印刷検査機、基板に対して部品を実装する実装機、実装機による部品実装状態などを検査する実装検査機などが含まれる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、識別情報の検出対象である基板に設けられた識別情報を検出する際には、当該基板の基板属性データを取得するとともに、その取得した基板属性データに対応する位置データを相関情報に基づいて導出し、その導出された位置データに対応する位置に検出手段を位置決めしている。このため、検出手段の位置決め時間を短縮し、当該基板に設けられた識別情報を短時間で、かつ効率良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態が適用される部品実装システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1の部品実装システムに装備される実装機の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1の部品実装システムの電気的構成を部分的に示すブロック図である。
【図4】図2の実装機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図7】本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図9】本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態が適用される実装機の構成および動作を模式的に示す図である。
【図10】本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態が適用される実装機の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明にかかる識別情報の検出方法の第5実施形態が適用される部品実装システムの動作を模式的に示す図である。
【図14】本発明にかかる識別情報の検出方法の第6実施形態が適用される部品実装システムの動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1実施形態
図1は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態が適用される部品実装システムの概略構成を示す図である。この部品実装システム1は、本発明の「基板処理システム」に相当するものである。そして、部品実装システム1では、同図に示すように、基板を搬送する搬送路2に沿って基板搬送方向Xの上流側(同図の右手側)から下流側(同図の左手側)にかけて、基板搬入機3、印刷機4、印刷検査機5A、複数の実装機6、実装検査機5B、リフロー炉7および基板搬出機8等が並設されている。これらのライン構成装置のうち基板搬入機3は、未処理基板を収容する基板収容部を有しており、この基板収容部から基板を印刷機4に順次搬入する。また、印刷機4は、搬入された基板の処理領域にクリーム半田を印刷により塗布する。さらに、印刷検査機5Aは基板に印刷された半田パターンの良否検査を行った後、印刷が良好であることが確認された基板を実装機側に搬送する。
【0021】
半田が良好に印刷された基板に対して部品を実装するために、複数(本実施形態では3台)の実装機6が搬送路2に沿って一列に並設されている。この明細書では、これら3台の実装機を区別して説明するために、基板搬送方向Xの最上流側に位置する実装機6を「実装機A」と称し、中間に位置する実装機6を「実装機B」と称し、最下流側に位置する実装機6を「実装機C」と称する一方、これらを区別しない場合には、単に「実装機6」と称する。なお、各実装機6では、基板に設けられた基板ID(identification)を検出するとともに検出した基板IDに対応する実装プログラムにしたがって部品実装を行うが、各実装機6の構成および動作については、後で図面を参照しつつ詳述する。
【0022】
3台の実装機6により部品が実装された基板は実装検査機5Bに送られ、基板に実装された各部品の位置及び向き、形状及びサイズ、種別、良否等が検査され、実装が良好であることが確認された基板がリフロー炉7に搬送され、リフロー炉7がクリーム半田をリフローして基板と部品とを半田接合する。そして、リフロー炉7から搬出される基板は基板搬出機8の収容部に順次収容される。
【0023】
この部品実装システムを構成する各基板処理装置(基板搬入機3、印刷機4、印刷検査機5A、複数の実装機6、実装検査機5B、リフロー炉7および基板搬出機8)はローカルエリアネットワークLANに接続されている。また、このローカルエリアネットワークLANには、実装システム全体を制御する制御装置(サーバーPC)9が接続されている。そして、制御装置9および基板処理装置の間で種々のデータがローカルエリアネットワークLANを介して通信可能となっている。
【0024】
図2は図1の部品実装システムに装備される実装機の概略構成を示す平面図である。また、図3は図1の部品実装システムの電気的構成を部分的に示すブロック図である。なお、図2および後で説明する図面では、基板搬送方向X、基板搬送方向Xに直交する水平方向Yおよび鉛直方向Zに対応した三次元の座標系を採用している。
【0025】
実装機6では、基台611上に基板搬送機構620が配置されており、基板PBを基板搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構620は、基台611上において基板PBを図2の右側から左側へ搬送する一対のコンベア621、622を有している。これらのコンベア621、622はX軸方向に沿って延設され、しかもY軸方向に所定間隔だけ離間しながら配置されている。また、前側のコンベア621は基台611に固定された固定コンベアであるのに対し、後側のコンベア622はY軸方向に移動可能な可動コンベアであり、コンベア621、622の間のY軸方向間隔、つまりコンベア幅を可変可能となっている。この可動コンベア622はW軸モーターM61(図3参照)と接続されており、実装機6全体を制御するコントローラ630のモーター制御部633によりW軸モーターM61を駆動制御することで可動コンベア622はY軸方向に移動させられてコンベア幅を基板PBのY軸方向の長さ、つまり基板幅に適合させることが可能となっている。
【0026】
このように本実施形態では、W軸モーターM61によってコンベア幅を基板幅に適合させた状態で基板搬送方向Xの上流側(図2の右手側)から搬送されてくる基板PBを実装機本体内に引き入れ、コンベア621、622により搬送する。また、コンベア621の上流側端部の下方位置には、基板検知用センサーSN61(図3参照)が固定配置されており、上記搬送路に沿ってコンベア621、622により搬送される基板PBを鉛直方向Zの下方側(−Z側)より検知し、基板検知信号が外部入出力部635を介してコントローラ630に出力される。そして、コントローラ630の演算処理部631が、基板検知用センサーSN61により基板PBを検知している時間と、コンベア621、622による基板搬送速度とに基づき基板PBの基板搬送方向Xの長さ、つまり基板長を実測する。
【0027】
また、コンベア621、622は、基板PBが基板検知用センサーSN61の上方を通過した後で、基板PBを所定の実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)で停止させる。また、当該基板PBは図略の保持装置により固定保持される。この実施形態では、固定された基板PBの特徴を示す基板属性データとして基板幅を検知するために、可動コンベア622に幅検知用センサーSN62が設けられており、その幅検知用センサーSN62で検知された基板幅データが外部入出力部635に与えられる。このように、幅検知用センサーSN62が本発明の「取得手段」として機能しており、実測された基板幅データに基づいてコントローラ630が基板PBの基板属性を認定する。
【0028】
そして、実装作業位置で固定された基板PBに対して部品収容部650から供給される電子部品(図示省略)がヘッドユニット660に複数搭載された吸着ノズル661により移載される。このようにヘッドユニット660が部品収容部650の上方と基板PBの上方の間を複数回往復して当該実装機によって基板PBに実装すべき部品の全部について実装処理が完了すると、基板搬送機構620は実装機コントローラ630からの駆動指令に応じて基板PBを搬出する。
【0029】
基板搬送機構620のY軸方向の両側には、上記した部品収容部650が配置されており、これらの部品収容部650に対して1または複数のテープフィーダー651を装着可能に構成されている。また、部品収容部650では、各フィーダー651に対応して電子部品を一定ピッチで収納・保持したテープを巻回したリール(図示省略)が配置されており、各フィーダー651による電子部品の供給が可能となっている。なお、この実施形態では、部品収容部650は、コンベア621、622に対してフロント(+Y)側とリア(−Y)側のそれぞれ上流部と下流部の合計4箇所に設けられており、各部品収容部650では、実装プログラムに基づいて実行される基板PBへの部品実装に応じた適切なフィーダー651がオペレータにより装着される。
【0030】
また、実装機6では、基板搬送機構620の他に、ヘッド駆動機構670が設けられている。このヘッド駆動機構670はヘッドユニット660を基台611の所定範囲にわたりX軸方向およびY軸方向に移動するための機構であり、X軸方向およびY軸方向への移動に、それぞれX軸モーターM62およびY軸モーターM63が使用される。そして、ヘッドユニット660の移動により吸着ノズル661で吸着された電子部品が部品収容部650の上方位置から基板PBの上方位置に搬送される。すなわち、このヘッドユニット660では、鉛直方向Zに延設された不図示の実装用ヘッドが8本、X軸方向(基板搬送機構620による基板PBの搬送方向)に等間隔で列状配置されている。また、実装用ヘッドのそれぞれの先端部には、吸着ノズル661が装着されている。
【0031】
各実装ヘッドはヘッドユニット660に対してZ軸モーターM64を駆動源とするノズル昇降駆動機構により昇降(Z軸方向の移動)可能に、かつR軸モーターM65を駆動源とするノズル回転駆動機構によりノズル中心軸回りに回転可能となっている。これらの駆動機構のうちノズル昇降駆動機構は吸着もしくは装着を行う時の下降位置と、搬送や撮像を行う時の上昇位置との間で実装ヘッドを昇降させるものである。一方、ノズル回転駆動機構は部品吸着ノズルを、電子部品の実装方向への合致のためやR軸方向の吸着ズレの補正のため等、必要に応じて回転させるための機構であり、回転駆動により電子部品を実装時における所定のR軸方向に位置させることが可能となっている。
【0032】
そして、ヘッド駆動機構670によってヘッドユニット660が部品収容部650の上方に移動し、Z軸モーターM64によって吸着ノズル661が吸着対象部品を搭載するフィーダー651の部品吸着位置上方に位置されるとともに、吸着ノズル661が下降して部品収容部650から供給される電子部品に対して吸着ノズル661の先端部が接して吸着保持し、吸着ノズル661が上昇する。こうして吸着ノズル661で電子部品を吸着保持したままヘッドユニット660が基板PBの上方に搬送され、所定位置において所定方向に向けて電子部品を基板PBに移載する。
【0033】
なお、搬送の途中において、搬送路の側方の2つの部品収容部650のX方向中間に配置される部品認識カメラC61の上方をヘッドユニット660が通過し、部品認識カメラC61が各吸着ノズル661に吸着された電子部品を下方から撮像することで、各吸着ノズル661における吸着ずれが検知され、各電子部品を基板PBに移載する際に吸着ずれに見合った位置補正がされる。
【0034】
また、ヘッドユニット660のX軸方向の両側部には、基板認識カメラC62がそれぞれ固定されており、ヘッド駆動機構670によりヘッドユニット660をX軸方向およびY軸方向に移動させることで任意の位置で基板PBの上方から撮像可能となっている。このため、各基板認識カメラC62は、実装作業位置上にある基板PBに付された複数のフィデューシャルマークを撮影して基板位置、基板方向を画像認識する機能と、後述するように基板PBに設けられる基板IDを撮像して基板PBを識別する機能とを兼ね備えている。
【0035】
このように構成された実装機6全体を制御するコントローラ630は、演算処理部631と、ハードディスクドライブなどの記憶部632と、モーター制御部633と、画像処理部634と、外部入出力部635と、サーバー通信制御部636とを備えている。この演算処理部631はCPU等により構成されており、後述するように基板IDに対応して記憶部632に書き込まれた実装プログラムにしたがって実装機各部を制御して部品実装を行う。
【0036】
実装プログラムは本発明の「処理プログラム」のひとつであり、制御装置9のコントローラ910の演算処理部911で作成されたり、別のプログラム作成装置で作成される。また、実装プログラムは基板PBの種類毎に相違しており、基板PBの識別情報たる基板IDと関連付けた実装プログラムリストとして記憶部912に記憶されている。また、このように実装プログラムと基板IDとを関連付けた実装プログラムリスト(例えば図6(c)参照)以外に、記憶部912には、基板属性リスト、基板ID座標リスト、印刷プログラムリスト、および印刷検査や実装検査の検査プログラムリストが記憶されている。これらのうち、基板属性リストは、代表プログラム名と基板幅とをリスト形式で関連付けたもの(例えば図6(a)参照)である。また、基板ID座標リストは、代表プログラム名と基板ID座標(基板IDが設けられた基板PB上の座標データ)とをリスト形式で関連付けたものである。(図6(b)は基板ID座標リスト中、読取り対象となる基板ID座標の候補を抽出したものである。)また、印刷プログラムリストは、印刷プログラムと基板IDとをリスト形式で関連付けたものである。さらに検査プログラムリストは、検査プログラムと基板IDとをリスト形式で関連付けたものである。なお、記憶部912に記憶された各リストに対し、コントローラ910の通信制御部913を介して印刷機4、印刷検査機5A、実装機6および実装検査機5Bのコントローラ530、630(印刷機4および実装検査機5Bのコントローラは図示せず)がアクセス可能となっており、適宜、リストに含まれる基板幅データ、基板ID座標、実装プログラムなどを取得可能となっている。
【0037】
実装機6の電気的構成に戻って説明を続ける。モーター制御部633には、W軸モーターM61、X軸モーターM62、Y軸モーターM63、Z軸モーターM64およびR軸モーターM65が電気的に接続されており、各モーターを駆動制御する。また、これらのモーターM61〜M65にはモーターの回転状況に応じたパルス信号を出力するエンコーダ(図示省略)がそれぞれ付設されている。各エンコーダから出力されるパルス信号はコントローラ630に取り込まれる構成となっており、これらの信号を受けた演算処理部631が各軸モーターM61〜M65の回転量に関する情報を取得し、モーター制御部633と共に各軸モーターM61〜M65を制御する。
【0038】
また、画像処理部634には部品認識カメラC61および基板認識カメラC62が電気的に接続されており、これら各カメラC61,C62出力される撮像信号がそれぞれ画像処理部634に取り込まれる。そして、画像処理部634では、取り込まれた撮像信号に基づいて、部品画像の解析、基板画像の解析、ならびに基板ID画像の解析がそれぞれ行われる。
【0039】
この実装機6では、表示/操作ユニット640が設けられて基板ID、実装プログラムや部品情報などを表示する。また、表示/操作ユニット640は、作業者がコントローラ630に対して各種データや指令などの情報を入力するためにも使用される。さらに、実装機6には、制御装置9、印刷検査機5Aや実装検査機5B等との間で実装プログラム、基板幅データ、基板ID座標データや部品情報などの各種データの授受を行うためにサーバー通信制御部636が設けられている。
【0040】
なお、制御装置9は上記のように実装プログラムを作成することができるコントローラ910を有しており、このコントローラ910は実装プログラム以外に印刷プログラム、印刷検査や実装検査の検査プログラムなどを作成することができ、また部品実装システム(基板処理システム)全体を制御する。このコントローラ910には、CPU等により構成される演算処理部911と、ハードディスクドライブなどの記憶部912と、通信制御部913とが設けられている。また、記憶部912には、上記したリストや部品情報などが記憶されている。そして、次に説明するように基板PBに設けられた基板IDを検出し、検出した基板IDに応じた実装プログラムが記憶部912から読み出されて実装機6にデータ転送され、当該実装プログラムにしたがって部品実装基板の生産が実行される。なお、図3中の符号920は演算処理部911により作成された印刷プログラム、検査プログラム、実装プログラム、基板IDや部品情報などを表示したり、作業者がコントローラ910に対して各種データや指令などの情報を入力するための表示/操作ユニットである。
【0041】
次に、上記のように構成された部品実装システム1での実装機6の動作について、図4ないし図6を参照しつつ説明する。
【0042】
図4は図2の実装機の動作を示すフローチャートである。また、図5は実装機で実行される基板ID読取処理を示すフローチャートである。さらに、図6は基板ID読取処理を模式的に示す図である。なお、図5および図6に示す基板ID読取処理が本発明にかかる識別情報の検出方法の第1実施形態に相当するものである。ここでは、3つの実装機6のうち最も上流側に配置された実装機Aの動作を中心に説明するが、残りの実装機B、Cにおいても実装機Aと同様の動作が実行される。
【0043】
部品実装システム1では、各基板PBに対して基板の識別情報として二次元コードの基板IDが設けられている。そして、最初の基板PBに対し、印刷機4によりクリーム半田が印刷され、さらに印刷検査機5Aにより印刷良好に行われたことが確認されると、実装機Aへの基板搬入の準備が完了する。これを受けて実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は、生産枚数を示す生産枚数カウント値Kを「1」に設定する(ステップS1)。そして、次にステップS2で演算処理部631は実装機Aの各部を以下のように制御するとともに制御装置9との間でのデータ通信を行って基板ID読取処理を実行する。
【0044】
この基板ID読取処理では、図5に示すように、まず印刷済みの基板PBが基板搬送機構620により実装機A内に搬入され(ステップS21a)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)まで搬送される。そして、この実装作業位置で基板PBは図略の保持装置により固定保持された(ステップS21b)後、基板PBの基板幅が幅検知用センサーSN62により実測され、その基板幅を示す基板幅データを演算処理部631は基板PBの特徴を示す基板属性データとして取得する(ステップS21c)。
【0045】
次に、演算処理部631は取得した基板幅データに基づき基板幅の候補値、つまり候補幅を算出する(ステップS21d)。これは幅検知用センサーSN62の検出精度を考慮したものであり、実測した基板幅データに対して、ある程度の余裕度を与えることで、基板PBの基板幅を誤認するのを防止することができる。本実施形態では、ステップS21cで取得された基板幅が例えば「200mm」であるとき、候補幅として「190〜210mm」を算出している。そして、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている基板属性リストにアクセスし、候補幅に含まれる基板幅を有する基板PBを対象とする代表プログラムを導出する(ステップS21e)。例えば図6(a)に示す基板属性リストが予め記憶部912に記憶されている場合、候補幅「190〜210mm」に合致する代表プログラムとして、基板幅が「205mm」の「MASTER_205」と、基板幅が「200mm」の「MASTER_200」(図6(a)の網掛け表示された基板幅に対応する代表プログラム)とが導出される。
【0046】
こうして代表プログラムの絞り込みが完了すると、演算処理部631は記憶部912に記憶されている基板ID座標リストにアクセスし、ステップS21eで導出された代表プログラムに対応する基板ID座標を取得する(ステップS21f)。基板ID座標は、既に述べたように、基板IDが基板PBに設けられた位置座標を示す座標データである。
【0047】
ここで、図6(b)に示すように、複数の代表プログラムが導出されている場合、あるいは1つの代表プログラムに対して複数の基板ID座標が設定される場合、読取り対象となる基板ID座標の候補は複数個存在することになるが、本実施形態では、演算処理部631は1つ目の基板ID座標データに基づきモーター制御部633と共にX軸モーターM62およびY軸モーターM63を制御して基板認識カメラC62の1つを基板ID座標データで示される座標位置の直上に位置決めし、当該基板認識カメラC62により基板PBを撮像し、基板IDの読取を行う(ステップS21g)。例えば撮像画像を解析した結果、基板ID画像が含まれている場合には、例えば図6に示すように、「基板ID=BBB」の読取に成功したとして、その他の基板ID座標の候補での基板IDの読取を行うことなく、そのまま次のステップS21hに進む。これにより、無駄なカメラ移動および撮像解析を省略して基板IDの読取時間を短縮することができる。一方、最初の基板ID座標に対応する撮像画像に基板ID画像が含まれていない場合には、演算処理部631は次の基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62による基板PBの撮像を行い、基板IDの読取を行う。このような読取動作を基板IDが見つかるまで読取り対象となる基板ID座標の全候補の中から基板ID座標データを切替えながら繰り返すことで基板IDを高い確率で読み取ることができる。もちろん、基板ID座標の全候補について、上記したカメラ移動および撮像解析を実行した後で、基板IDを特定するようにしてもよい。
【0048】
こうして基板IDの読取が完了すると、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS21gで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する(ステップS21h)。例えば図6に示すように「基板ID=BBB」の場合、それに対応する実装プログラム(PRG_B)が選択され、制御装置9の記憶部912から実装機Aの記憶部632にコピーされる。こうして、基板PBに適合した実装プログラムが実装機Aに設定され、基板ID読取処理が完了する。
【0049】
次に図4に戻って説明を続ける。基板ID読取処理(ステップS2)に続くステップS3では、基板IDに適合する実装プログラムにしたがって演算処理部631は実装機Aの各部を制御して当該実装プログラムを実行する。これによって、基板PBへの部品実装が適切に実行される。そして、演算処理部631は、実装機Aでの部品実装が完了すると、生産枚数カウント値Kが計画枚数に達しているか否かを判定する(ステップS4)。
【0050】
このステップS4で「NO」、つまり計画枚数に未達である間、演算処理部631はステップS5〜S7を実行した後でステップS2に戻って上記した基板ID読取処理を繰り返す。つまり、部品実装済基板PBは、実装作業位置での固定が解除された(ステップS5)後、基板搬送機構620により実装機Bに向けて搬出される(ステップS6)。そして、当該基板PBの搬出に伴い生産枚数カウント値Kを「1」だけインクリメントした後、ステップS2に戻って次の未実装基板PBについて基板ID読取処理を実行する。
【0051】
一方、ステップS4で「YES」、つまり計画枚数に達すると、演算処理部631は、実装作業位置での部品実装済基板PBの固定を解除した(ステップS8)後、基板搬送機構620を制御して部品実装済基板PBを実装機Bに向けて搬出し(ステップS9)、実装機Aでの計画枚数分の部品実装を完了する。
【0052】
以上のように、部品実装システム(基板処理システム)では、基板PBに対して基板IDを設け、これを識別情報として利用しているが、基板IDを設ける位置は品種毎に相違することがあり、それによって多数の基板ID座標が存在することがある。そこで、上記第1実施形態では、品種によって基板幅が異なることが多い点に着目し、基板幅データを基板PBの特徴を示す基板属性データとして採用するとともに、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付け、これらを本発明の「相関情報」として予め記憶部912に記憶している。そして、実装機Aに搬入された基板PBに設けられた基板IDを読み取るために、まず基板幅を実測して基板幅データを取得し、基板ID座標リストにリストアップされている基板ID座標の中から基板幅データに基づいて基板ID座標の候補のみを抽出し、その抽出された基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62を移動させて基板IDの読み取りを行っている。そのため、基板認識カメラC62の移動回数を削減し、これによって基板認識カメラC62を短時間で、かつ効率良く位置決めすることができ、基板ID読取処理、つまり基板PBの識別情報の検出に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、このような基板ID読取処理を利用して基板PBに適合する実装プログラムを設定し、それに基づいて部品実装動作を行っているため、多品種の基板PBに対して優れた生産性で部品を実装することができる。
【0054】
このように第1実施形態では、基板PBの基板幅データが本発明の「基板属性データ」に相当する。また、基板IDが本発明の「識別情報」に相当し、基板ID座標データが本発明の「識別情報の位置を示す位置データ」に相当している。そして、これら基板幅データおよび基板ID座標データが基板属性リストおよび基板ID座標リストにより関連付けられており、これら2つのリストが本発明の「相関情報」に相当している。また、実装機Aにより部品実装される基板PBが本発明の「識別情報の検出対象である基板」および「処理対象である基板」に相当している。また、基板認識カメラC62が、フィデューシャルマークを撮像する機能のみならず、本発明の「検出手段」としても機能している。また、ヘッド駆動機構670が基板ID座標の直上位置に基板認識カメラC62を移動させて位置決めしており、本発明の「位置決め手段」として機能している。さらに、制御装置9の記憶部912が本発明の「第1外部装置の記憶手段」として機能している。
【0055】
B.第2実施形態
上記第1実施形態では、基板属性データとして基板幅データを採用しているが、基板PBの特徴を示し、基板ID座標と関連が深いもの、例えば基板PBのX軸方向の長さ(基板長)を示す基板長データ、基板PBの表面色を示す色データあるいは基板PBの形状を示す形状データなどを採用してもよいし、また、これらのデータを組み合わせたものを基板属性データとして用いてもよい。この点に関しては、後で説明する各実施形態においても同様である。例えば第2実施形態では、基板属性データとして、基板幅データのみならず、基板長データを採用し、これら基板幅データおよび基板長データの組み合わせに対応する基板ID座標データを抽出してもよい。なお、その他の構成および動作については、第1実施形態と同様であるため、以下においては、図7および図8を参照しつつ基板ID読取処理における相違点を中心に説明する。
【0056】
図7は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を示すフローチャートである。また、図8は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第2実施形態を模式的に示す図である。第2実施形態では、図7に示すように、まず印刷済みの基板PBが基板搬送機構620により実装機A内に搬入される(ステップS22a)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)に向けて搬送される。この基板搬送中に、基板PBが基板検知用センサーSN61の直上位置に通過して基板検知用センサーSN61に検知される。そこで、本実施形態では、コントローラ630の演算処理部631が、基板検知用センサーSN61による基板PBの検知時間と基板PBの搬送速度とに基づき基板長のデータを基板PBの特徴を示す基板属性データとして取得する(ステップS22b)。このように、第2実施形態では、基板検知用センサーSN61が本発明の「取得手段」として機能している。
【0057】
そして、基板PBが基板検知用センサーSN61を通過し、実装作業位置に達すると、第1実施形態と同様に、基板PBは図略の保持装置により固定保持された(ステップS22c)後、基板PBの基板幅が幅検知用センサーSN62により実測され、その基板幅を示す基板幅データを演算処理部631はもう一つの基板属性データとして取得する(ステップS22d)。
【0058】
次に、演算処理部631は取得した基板長データに基づき基板長の候補値、つまり候補長さを算出する(ステップS22e)。これは基板検知用センサーSN61の検出精度や基板PBの搬送速度ムラなどを考慮したものであり、実測した基板長データに対して、ある程度の余裕度を与えることで、基板PBの基板長を誤認するのを防止することができる。本実施形態では、ステップS22bで取得された基板長が例えば「300mm」であるとき、候補幅として「290〜310mm」を算出している(図8参照)。また、演算処理部631は、第1実施形態と同様にして、候補幅を算出しており(ステップS22f)、図8に示す具体例では、ステップS22dで取得された基板幅が「200mm」であるのに対応して候補幅として「190〜210mm」を算出している。
【0059】
次に、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている基板属性リストにアクセスする。第2実施形態では、図8に示すように、基板属性リストは、代表プログラムを基板幅のみならず、基板長とも関連付けており、演算処理部631は、候補長さに含まれる基板長、及び候補幅に含まれる基板幅の両方を有する基板PBを対象とする代表プログラムを導出する(ステップS22g)。例えば図8(a)に示す基板属性リストが予め記憶部912に記憶されている場合、候補長さ「290〜310mm」および候補幅「190〜210mm」に合致する代表プログラムとして、基板長が「300mm」で、基板幅が「200mm」の「MASTER_300×200」が導出される。
【0060】
こうして代表プログラムの絞り込みが完了すると、演算処理部631は記憶部912に記憶されている基板ID座標リストにアクセスし、ステップS22gで導出された代表プログラムに対応する基板ID座標を取得する(ステップS22h)。
【0061】
そして、演算処理部631は第1実施形態と同様にして基板IDの読取を行う(ステップS22i)。例えば図8に示すように、1つ目の基板ID座標データに基づきモーター制御部633と共にX軸モーターM62およびY軸モーターM63を制御して基板認識カメラC62の1つを基板ID座標データで示される座標位置の直上に位置決めし、当該基板認識カメラC62により基板PBを撮像し、その撮像画像を解析した結果、「基板ID=AAA」の読取に成功した場合、その他の基板ID座標の候補での基板IDの読取を行うことなく、そのまま次のステップS22jに進む。一方、最初の基板ID座標に対応する撮像画像に基板ID画像が含まれていない場合には、第1実施形態と同様に、演算処理部631は次の基板ID座標データに基づき基板認識カメラC62による基板PBの撮像を行い、基板IDの読取を行う。
【0062】
こうして基板IDの読取が完了すると、演算処理部631は、第1実施形態と同様に、制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS22iで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する。例えば図8に示すように「基板ID=AAA」の場合、それに対応する実装プログラム(PRG_A)が選択され、制御装置9の記憶部912から実装機Aの記憶部632にコピーされる。こうして、基板PBに適合した実装プログラムが実装機Aに設定され(ステップS22j)、基板ID読取処理が完了する。
【0063】
以上のように、第2実施形態によれば、基板幅データおよび基板長データを基板属性データとして採用しているため、第1実施形態によりも高い確度で基板ID座標データを絞り込むことができる。そのため、基板認識カメラC62の移動回数を第1実施形態よりも高い確率で削減することができ、その結果、基板ID読取処理、つまり基板PBの識別情報の検出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0064】
C.第3実施形態
上記第1実施形態では、部品実装システムを構成する各基板処理装置(印刷機、検査機、実装機、リフロー炉など)は制御装置9により一括管理されているため、例えば印刷検査機5Aにおいて基板を搬送するコンベアの間のY軸方向間隔、つまりコンベア幅を変更すると、それに応じて実装機Aのコンベア幅が印刷検査機5Aのコンベア幅と一致するようにW軸モーターM61は制御される。しかしながら、部品実装システムにおける制御態様はこれに限定されるものではなく、隣接する装置、例えば印刷検査機5Aと実装機Aとが同一の制御装置で管理されない場合もある。このような場合、印刷検査機5Aから実装機Aへの基板の搬送を良好に行うことが難しくなる。そこで、互いに隣接する基板処理装置のうち後工程を担う基板処理装置にコンベア幅の自動調整機能を追加し、前工程を担う基板処理装置でコンベア幅が変更されるのに伴い後工程の基板処理装置でのコンベア幅を追従的に変更するように構成してもよい。以下、印刷検査機5Aを前工程の基板処理装置とし、実装機Aを後工程の基板処理装置とし、実装機Aにコンベア幅の自動調整機能を追加した場合(第3実施形態)について、図9および図10を参照しつつ説明する。
【0065】
図9は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態が適用される実装機の構成および動作を模式的に示す図である。また、図10は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第3実施形態を示すフローチャートである。第3実施形態では、印刷検査機5Aにおいて基板を搬送するコンベア521、522のうち後側のコンベア522は、コンベア622と同様に、Y軸方向に移動可能な可動コンベアであり、印刷検査機5A全体を制御するコントローラ(制御手段)530のモーター制御部533によりW軸モーターM51を駆動制御することで可動コンベア522はY軸方向に移動させられてコンベア幅が適宜変更される。また、可動コンベア522のX軸方向の下流側下方端部に被検知体として機能するドクDCが取り付けられており、可動コンベア522と一体的にY軸方向に移動する。
【0066】
一方、実装機Aにおいては、可動コンベア622のX軸方向の上流側下方端部に対し、ドクDCを検知するための幅一致確認用センサーSN63が取り付けられており、可動コンベア622と一体的にY軸方向に移動する。そして、可動コンベア522、622同士が対向してコンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで一致すると、センサーSN63がドクDCを検知してON状態となる。一方、コンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで不一致となっている間、センサーSN63はOFF状態となっている。このように本実施形態では、幅一致確認用センサーSN63として近接センサーを用いているが、遮光センサーを用いてもよい。
【0067】
このように構成された部品実装システムにおいて、例えば図9(a)に示すように、印刷検査機5Aと実装機Aとで同一の基板幅を有する基板PB2、PB1がそれぞれ搬送されている間では、幅一致確認用センサーSN63はON状態となっており、基板PB2を印刷検査機5Aから実装機Aにそのまま搬入可能である。一方、印刷検査機5Aで基板幅が変更する場合には、W軸モーターM51により可動コンベア522がY軸方向に移動させられてコンベア幅が変更される(同図(b))。これによって、コンベア幅が印刷検査機5Aと実装機Aとで不一致となり、センサーSN63はOFF状態となる。このような状態のまま印刷検査機5Aから実装機Aに基板を搬送することはできないので、第3実施形態では、図10に示すように基板ID読取処理にコンベア幅調整工程(ステップS23a〜S23e)を追加して実装機Aにコンベア幅の自動調整機能を付加している。なお、その他の動作は基本的に第1実施形態と同様であるため、コンベア幅調整工程を中心に第3実施形態にかかる基板ID読取処理について説明する。
【0068】
この基板ID読取処理では、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は、実装機Aへの基板の搬入前に、幅一致確認用センサーSN63がON状態であるか否かを検知することによって印刷検査機5Aおよび実装機Aでのコンベア幅の一致/不一致を判別している(ステップS23a)。つまり、ステップS23aで「NO」のとき、演算処理部631は、印刷検査機5Aおよび実装機Aでコンベア幅が不一致であることを確認し、モーター制御部633によりW軸モーターM61を以下のように駆動制御して可動コンベア622を可動コンベア522に対向させる。すなわち、W軸モーターM61が所定方向に回転して図9(c)に示すように可動コンベア622を固定コンベア621から離れる方向(同図の上方向)に移動させてコンベア幅を最大コンベア幅まで拡幅する(ステップS23b)。この後、W軸モーターM61は逆回転して可動コンベア622の移動方向を逆転させて実装機Aでのコンベア幅を縮めていく(ステップS23c)。そして、幅一致確認用センサーSN63がON状態となった時点(ステップS23dで「YES」と判別されたタイミング)でW軸モーターM61は回転停止して可動コンベア622の幅方向Yへの移動を停止する(ステップS23e)。これによって、実装機Aでのコンベア幅が印刷検査機5Aでのコンベア幅と一致する(同図(d))。なお、コンベア幅調整工程における可動コンベア622の移動方向については逆転させてもよい。つまり、まず最小コンベア幅まで移動させた後に、拡幅方向に移動させ、幅一致確認用センサーSN63がON状態となった時点で可動コンベア622の幅方向Yへの移動を停止させてもよい。
【0069】
一方、ステップS23aで「YES」のとき、演算処理部631は、印刷検査機5Aおよび実装機Aでコンベア幅が一致していることを確認し、上記ステップS23b〜S23eをスキップする。
【0070】
そして、実装機Aと印刷検査機5Aとでコンベア幅が一致した状態で、第1実施形態と同様に、ステップS23f〜S23mを実行して基板IDを読み取り、当該基板IDに対応した実装プログラムを設定する。
【0071】
以上のように、第3実施形態によれば、印刷検査機5Aから実装機Aへの基板搬入直前に印刷検査機5Aと実装機Aとでコンベア幅が相違していたとしても、常にコンベア幅の自動調整が行われる。そして、その後、両者が一致した状態で基板が印刷検査機5Aから実装機Aに確実に、しかも良好に搬入される。また、第1実施形態と同様に、基板IDの読取のために基板認識カメラC62を移動させる回数を削減することができ、基板PBの識別情報である基板IDの検出に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
D.第4実施形態
上記第1実施形態では各基板について基板ID読取処理を実行しているが、基板収容部には同種の基板を計画枚数単位、いわゆるロット単位で収容し、それらの基板を連続的に処理することがある。このような場合には、最初の基板についてのみ基板ID読取処理を実行し、それ以降の基板については最初の基板ID読取処理により設定された実装プログラムにより部品実装を行ってもよい(第4実施形態)。以下、図11および図12を参照しつつ本発明の第4実施形態について説明する。
【0073】
図11は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態が適用される実装機の動作を示すフローチャートである。また、図12は、本発明にかかる識別情報の検出方法の第4実施形態を示すフローチャートである。この実施形態では、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は最初の基板に対してのみ基板ID読取処理を実行する(ステップS11)。この基板ID読取処理では、まず基板幅が変更されているか否かを演算処理部631が判別する(ステップS11a)。これは、直前に実行されたロットの基板と、今回のロットを構成する基板とが同一基板幅を有する場合には、基板ID座標が同じである確率が高いためである。
【0074】
そこで、本実施形態では、基板幅が変更されている場合には、演算処理部631は実装機Aの各部を制御することで、第1実施形態と同様にして、基板IDの読取および実装プログラムの設定を行う(ステップS11b〜S11j)。
【0075】
一方、基板幅が変更されていない場合には、演算処理部631は実装機Aの各部を制御することで、基板を実装機A内に搬入し(ステップS11j)、さらに実装作業位置(図2に示す基板PBの位置)まで搬送して固定した(ステップS11k)後、前回と同じ基板ID座標に対応する位置(つまり当該座標の直上位置)に基板認識カメラC62を移動させて位置決めし、このカメラC62で基板IDの読取を行う(ステップS11l)。そして、基板IDの読取に成功した場合(ステップS11mで「YES」の場合)には、ステップS11jに進んで実装プログラムの設定が行われる。すなわち、演算処理部631は制御装置9のコントローラ910との通信により記憶部912に記憶されている実装プログラムリストにアクセスし、ステップS11lで読み取った基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、通信制御部913およびサーバー通信制御部636を介して実装機Aの記憶部632に記憶する。
【0076】
なお、基板IDの読取に失敗した場合(ステップS11mで「NO」の場合)には、ステップS11dに進んで、第1実施形態と同様に、基板幅を取得するとともに、当該基板幅に基づいて基板ID座標を取得し、さらに当該基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC62を移動させて位置決めし、このカメラC62で基板IDの読取を行った後、この読み取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912に記憶されている実装プログラムリストから読み出し、実装機Aの記憶部632に記憶する。
【0077】
こうして基板ID読取処理(ステップS11)が完了すると、図11のステップS12に進んで、生産枚数カウント値Kを「1」に設定する。そして、上記ステップS11iで設定された実装プログラムにしたがって演算処理部631が実装機Aの各部を制御する(ステップS13)。これによって、基板に適合した状態で基板への部品実装が実行される。そして、演算処理部631は、実装機Aで部品実装が完了すると、生産枚数カウント値Kが計画枚数に達しているか否かを判定する(ステップS14)。
【0078】
このステップS14で「NO」、つまり計画枚数に未達である間、演算処理部631はステップS15〜S18を実行した後でステップS13に戻って同一の実装プログラムにしたがって基板への部品実装を繰り返す。つまり、部品実装済基板は、実装作業位置での固定が解除された(ステップS15)後、基板搬送機構620により実装機Bに向けて搬出される。また、基板搬出と並行して次の基板を搬入し(ステップS16)、実装作業位置に位置決めし、固定する(ステップS17)。そして、基板搬出および次の基板搬入に伴い生産枚数カウント値Kを「1」だけインクリメントした後、ステップS13に戻って次の未実装基板に対して部品実装を繰り返す。
【0079】
一方、ステップS14で「YES」、つまり計画枚数に達すると、演算処理部631は、実装作業位置での部品実装済基板PBの固定を解除した(ステップS19)後、基板搬送機構620を制御して部品実装済基板PBを実装機Bに向けて搬出し(ステップS20)、計画枚数分の部品実装を完了する。
【0080】
以上のように、第4実施形態によれば、第1実施形態に比べて基板IDの読取のために基板認識カメラC62を移動させる回数をさらに削減することができ、基板PBの識別情報である基板IDの検出に要する時間をさらに短縮することができる。
【0081】
E.第5実施形態
上記実施形態では、実装機Aにおいて基板の基板幅を取得し、その基板幅に基づいて基板ID座標を取得した後、その基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC62を位置決めして基板IDを読み取っている。また、他の実装機B、Cにおいても、実装機Aと同様に、実装機において一連の動作を全て行っているが、実装機A〜Cに対して基板搬送方向Xの上流側となる印刷検査機5Aで基板幅を取得し、その基板幅を実装機A〜Cにデータ転送するように構成してもよい。というのも、図1に示す部品実装システムに組み込まれた印刷検査機5Aは印刷機4から搬送されてくる基板に対応する検査プログラムを制御装置9の記憶部912から読み出すために、図3に示すように、幅検知用センサーSN52を装備し、基板幅を検知しているからである。つまり、印刷検査機5Aは、実装機6と同様に、基板の基板幅を取得し、その基板幅に基づいて基板ID座標を取得した後、その基板ID座標に対応する位置に基板認識カメラC52を位置決めして基板IDを読み取る。そして、その基板IDに対応する検査プログラムに基づき基板の検査が実行される。
【0082】
そこで、例えば図13に示すように、本発明の「第1基板処理装置」や「第2外部装置」に相当する印刷検査機5Aで取得された基板幅に基づいて本発明の「第2基板処理装置」に相当する各実装機6で基板IDを読み取るように構成してもよい。ここで、同図中の「基板幅取得」は基板幅を取得する動作を示し、「ID読取」は基板幅に基づいて基板IDを読み取り、その基板IDに対応する実装プログラムで部品実装を行う動作を示している。より詳しくは、タイミングT1で基板PB1は印刷検査機5Aに搬入されており、印刷検査機5Aの幅検知用センサーSN52により基板PB1の基板幅が取得される。そして、この基板PB1に対する検査が完了すると、当該基板PB1が実装機Aに搬出されるとともに、新たな基板PB2が印刷検査機5Aに搬入される(タイミングT2)。この実装機Aに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板幅データが転送され、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板幅データに基づき基板IDの読取を行う。また、それと並行して、印刷検査機5Aでは次の基板PB2の基板幅を取得する。そして、実装機Aでの部品実装が完了するとともに印刷検査機5Aでの検査が完了し、基板PB1が実装機Aから実装機Bに搬送され、基板PB2が印刷検査機5Aから実装機Aに搬送され、さらに次の基板PB3が印刷機4から印刷検査機5Aに搬送される(タイミングT3)。この実装機Bに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板幅データが転送され、実装機Bのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板幅データに基づき基板IDの読取を行う。一方、実装機Aおよび印刷検査機5AはタイミングT2と同様の処理を行う。このような動作がその後のタイミングT4、…でも繰り返される。
【0083】
以上のように、第5実施形態によれば、印刷検査機5Aで取得した基板幅データを実装機6に転送し、その基板幅データに基づいて基板IDの読取を行っているため、実装機6では基板幅の実測が不要となり、装置構成の簡素化および処理負荷の軽減を図ることができる。
【0084】
F.第6実施形態
また、上記第5実施形態では、印刷検査機5Aから基板幅データを各実装機6にデータ転送しているが、本発明の「第1基板処理装置」に相当する印刷検査機5Aにおいて基板幅の取得に止まらず基板IDの読取までを行う場合には、例えば図14に示すように印刷検査機5Aで取得された基板IDに基づいて本発明の「第2基板処理装置」に相当する各実装機6で基板IDに対応する実装プログラムを読み出し、部品実装を行うように構成してもよい。ここで、同図中の「幅取得・ID読取」は基板幅を取得するとともに、当該基板幅に基づいて基板IDを読み取る動作を示し、「実装PGの設定・実行」は基板IDに対応する実装プログラムを制御装置9の記憶部912に記憶されている実装プログラムリストから読み出し、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う動作を示している。そして、より詳しくは、タイミングT1で基板PB1は印刷検査機5Aに搬入されており、印刷検査機5Aの幅検知用センサーSN52により基板PB1の基板幅が取得されるとともに、その基板幅に基づいて基板IDが読み取られる。そして、この基板PB1に対する検査が完了すると、当該基板PB1が実装機Aに搬出されるとともに、新たな基板PB2が印刷検査機5Aに搬入される(タイミングT2)。この実装機Aに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板IDが転送され、実装機Aのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912からコピーし、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う。また、それと並行して、印刷検査機5Aでは次の基板PB2の基板幅が取得されるとともに、その基板幅に基づいて基板IDが読み取られる。そして、実装機Aでの部品実装が完了するとともに印刷検査機5Aでの検査が完了し、基板PB1が実装機Aから実装機Bに搬送され、基板PB2が印刷検査機5Aから実装機Aに搬送され、さらに次の基板PB3が印刷機4から印刷検査機5Aに搬送される(タイミングT3)。この実装機Bに対し、ローカルエリアネットワークLANを介して印刷検査機5Aから基板PB1の基板IDが転送され、実装機Bのコントローラ630の演算処理部631は受け取った基板IDに対応する実装プログラムを記憶部912からコピーし、その実装プログラムにしたがって部品実装を行う。一方、実装機Aおよび印刷検査機5AはタイミングT2と同様の処理を行う。このような動作がその後のタイミングT4、…でも繰り返される。
【0085】
以上のように、第6実施形態によれば、印刷検査機5Aで取得した基板IDを実装機6に転送し、その基板IDに基づいて実装プログラムの設定および実行を行っているため、実装機6では基板幅および基板IDの実測が不要となり、装置構成をさらに簡素化し、処理負荷も軽減することができる。なお、印刷検査機5Aを配置しない部品実装システムにおいては、基板PBの搬送方向最上流側の実装機6で取得した基板IDに基づいて当該実装機6の実装プログラムの設定および実行を行うと共に、取得した基板IDを下流側の実装機6に転送し、その基板IDに基づいて下流側の実装機6の実装プログラムの設定および実行を行うようにしても良い。さらに複数の実装機6の下流側に実装検査機5Bを配置する部品実装システムにおいては、最上流側の実装機6で取得した基板IDに基づいて、実装検査機5Bにおける実装検査プログラムの設定および実行を行うようにしても良い。これらの場合、基板PBの搬送方向最上流側の実装機6が基板処理装置、第1基板処理装置となり、下流側の実装機6および実装検査機5Bが、基板処理装置、第2基板処理装置となる。
【0086】
G.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、フィデューシャルマークを撮像する基板認識カメラC62、C52を基板IDの検出用カメラとして兼用しているが、基板IDを検出するための専用の検出手段、例えば二次元コードリーダーやバーコードリーダなどを設けてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、基板属性リストおよび基板ID座標リストにより基板幅データと基板ID座標とを代表プログラムを介して関連付け、これらを本発明の「相関情報」として記憶部912などの記憶手段に記憶しているが、「相関情報」はこれに限定されるものではなく、例えば基板幅データと基板ID座標とを直接関連付けたものを「相関情報」としてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、3台の実装機6を含む部品実装システムに対して本発明を適用しているが、実装機6の台数はこれに限定されるものではなく、任意である。また、上記実施形態では、基板属性リスト、基板ID座標リスト、実装プログラムリストなどを制御装置9の記憶部912に記憶させて一元管理しているが、例えば基板属性リスト、基板ID座標リストおよび実装プログラムリストを実装機6の記憶部632に記憶させておいてもよく、この場合、当該実装機6をスタンドアロン形式で使用することも可能となる。
【0089】
また、上記実施形態では、実装機6に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象は実装機6に限定されるものではなく、印刷機4、印刷された基板を検査する印刷検査機5A、あるいは部品の実装状態を検査する実装検査機5Bに対しても本発明を適用することができる。つまり、基板に設けられた基板ID(識別情報)をカメラやリーダー等の検出手段により検出し、検出された基板IDに応じた処理プログラムにより基板を処理する基板処理装置全般に対して適用可能である。
【0090】
また、上記実施形態にかかる識別情報の検出方法を実行するプログラムを、CD−ROM、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性メモリカードなどの記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体からプログラムをコードとして読み出し、コンピューターにおいて実行してもよい。つまり、上記プログラムを記憶した記憶媒体、コンピュータープログラム自体も本発明の一実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…部品実装システム(基板処理システム)
4…印刷機(基板処理装置)
5A…印刷検査機(基板処理装置、第1基板処理装置、第2外部装置)
5B…実装検査機(基板処理装置、第2外部装置)
6…実装機(基板処理装置、第1基板処理装置、第2基板処理装置)
9…制御装置(第1外部装置)
530…コントローラ(第1制御手段)
536…サーバー通信制御部(第2通信手段)
620…基板搬送機構
630…コントローラ(制御手段、第2制御手段)
631…演算処理部(制御手段、第2制御手段)
636…サーバー通信制御部(第1通信手段)
912…記憶部(記憶手段)
C52、C62…基板認識カメラ(検出手段)
PB、PB1〜PB4…基板
SN51、SN61…基板検知用センサー(取得手段)
SN52、SN62…幅検知用センサー(取得手段)
X…基板搬送方向(第1方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出方法であって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、
識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得するとともに、取得した基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、
導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして検出対象である前記基板の識別情報を検出する
ことを特徴とする識別情報の検出方法。
【請求項2】
前記基板属性データは、所定の方向における基板の長さを示す基板長データ、前記所定方向と直交する方向における基板の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび前記基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む請求項1に記載の識別情報の検出方法。
【請求項3】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出し、前記検出された識別情報に応じた処理プログラムにより前記基板を処理する基板処理装置であって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報にアクセス可能に構成される制御手段と、
処理対象である基板の基板属性データを取得する取得手段と、
前記取得手段により基板属性データが取得された前記基板に対して前記検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段とを備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして処理対象である前記基板の識別情報を検出する
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記相関情報が前記基板処理装置の外部に配置された第1外部装置の記憶手段に記憶されている請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記第1外部装置との間で通信を行う第1通信手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1通信手段によって前記記憶手段に記憶された前記相関情報にアクセスする基板処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は処理対象である前記基板の基板属性データを実測する請求項3または4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理対象である前記基板の基板属性データが前記基板処理装置の外部に配置された第2外部装置により実測される請求項3または4に記載の基板処理装置であって、
前記第2外部装置との間で通信を行う第2通信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記第2通信手段によって処理対象である前記基板の基板属性データを前記第2外部装置から受け取る基板処理装置。
【請求項7】
処理対象である前記基板を第1方向に搬送する基板搬送手段をさらに備える請求項3ないし6のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記基板属性データは、基板の第1方向の長さを示す基板長データ、基板の前記第1方向と直交する第2方向の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む基板処理装置。
【請求項8】
識別情報を有する基板に対して第1処理を施す第1基板処理装置と、
前記識別情報に応じた処理プログラムを実行することで前記第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記第1基板処理装置は、前記第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段を有し、
前記第2基板処理装置は、前記第1処理が施された前記基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、前記取得手段により取得された前記基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして前記第1処理が施された前記基板の識別情報を検出する制御手段とを有することを特徴とする基板処理システム。
【請求項9】
識別情報を有する基板に対し、前記識別情報に応じた第1処理プログラムを実行することで第1処理を施す第1基板処理装置と、
前記識別情報に応じた第2処理プログラムを実行することで前記第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記第1基板処理装置は、前記第1処理を施す基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、前記第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段と、前記取得手段により基板属性データが取得された前記基板に対して前記検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段と、前記取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして前記第1処理を施す前記基板の識別情報を検出し、検出された前記識別情報に応じた第1処理プログラムを設定する第1制御手段とを有し、
前記第2基板処理装置は、前記第1基板処理装置で検出された前記識別情報に応じた第2処理プログラムを設定する第2制御手段を有することを特徴とする基板処理システム。
【請求項10】
前記第1基板処理装置は、前記第1処理の対象である基板を第1方向に搬送する第1基板搬送手段をさらに備え、前記第2基板処理装置は、前記第1処理が施された基板を前記第1方向に搬送する第2基板搬送手段をさらに備える請求項8または9に記載の基板処理システムであって、
前記基板属性データは、基板の第1方向の長さを示す基板長データ、基板の前記第1方向と直交する第2方向の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む基板処理システム。
【請求項11】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムであって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を有し、
識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得する基板属性データ取得機能と、
取得した基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出する位置データ導出機能と、
導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして検出対象である前記基板の識別情報を検出する識別情報検出機能と
を、コンピューターに実現させることを特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項1】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出方法であって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を準備しておき、
識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得するとともに、取得した基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、
導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして検出対象である前記基板の識別情報を検出する
ことを特徴とする識別情報の検出方法。
【請求項2】
前記基板属性データは、所定の方向における基板の長さを示す基板長データ、前記所定方向と直交する方向における基板の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび前記基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む請求項1に記載の識別情報の検出方法。
【請求項3】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出し、前記検出された識別情報に応じた処理プログラムにより前記基板を処理する基板処理装置であって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報にアクセス可能に構成される制御手段と、
処理対象である基板の基板属性データを取得する取得手段と、
前記取得手段により基板属性データが取得された前記基板に対して前記検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段とを備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして処理対象である前記基板の識別情報を検出する
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記相関情報が前記基板処理装置の外部に配置された第1外部装置の記憶手段に記憶されている請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記第1外部装置との間で通信を行う第1通信手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1通信手段によって前記記憶手段に記憶された前記相関情報にアクセスする基板処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は処理対象である前記基板の基板属性データを実測する請求項3または4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理対象である前記基板の基板属性データが前記基板処理装置の外部に配置された第2外部装置により実測される請求項3または4に記載の基板処理装置であって、
前記第2外部装置との間で通信を行う第2通信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記第2通信手段によって処理対象である前記基板の基板属性データを前記第2外部装置から受け取る基板処理装置。
【請求項7】
処理対象である前記基板を第1方向に搬送する基板搬送手段をさらに備える請求項3ないし6のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記基板属性データは、基板の第1方向の長さを示す基板長データ、基板の前記第1方向と直交する第2方向の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む基板処理装置。
【請求項8】
識別情報を有する基板に対して第1処理を施す第1基板処理装置と、
前記識別情報に応じた処理プログラムを実行することで前記第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記第1基板処理装置は、前記第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段を有し、
前記第2基板処理装置は、前記第1処理が施された前記基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、前記取得手段により取得された前記基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして前記第1処理が施された前記基板の識別情報を検出する制御手段とを有することを特徴とする基板処理システム。
【請求項9】
識別情報を有する基板に対し、前記識別情報に応じた第1処理プログラムを実行することで第1処理を施す第1基板処理装置と、
前記識別情報に応じた第2処理プログラムを実行することで前記第1処理が施された基板に対して第2処理を施す第2基板処理装置と、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記第1基板処理装置は、前記第1処理を施す基板に設けられた識別情報を検出する検出手段と、前記第1処理を施す基板の基板属性データを取得する取得手段と、前記取得手段により基板属性データが取得された前記基板に対して前記検出手段を相対的に位置決めする位置決め手段と、前記取得手段により取得された基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出し、導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして前記第1処理を施す前記基板の識別情報を検出し、検出された前記識別情報に応じた第1処理プログラムを設定する第1制御手段とを有し、
前記第2基板処理装置は、前記第1基板処理装置で検出された前記識別情報に応じた第2処理プログラムを設定する第2制御手段を有することを特徴とする基板処理システム。
【請求項10】
前記第1基板処理装置は、前記第1処理の対象である基板を第1方向に搬送する第1基板搬送手段をさらに備え、前記第2基板処理装置は、前記第1処理が施された基板を前記第1方向に搬送する第2基板搬送手段をさらに備える請求項8または9に記載の基板処理システムであって、
前記基板属性データは、基板の第1方向の長さを示す基板長データ、基板の前記第1方向と直交する第2方向の幅を示す基板幅データ、基板の表面色を示す色データおよび基板の形状を示す形状データのうちの少なくとも1つ以上を含む基板処理システム。
【請求項11】
基板に設けられた識別情報を検出手段により検出する識別情報の検出処理のためのコンピュータープログラムであって、
基板の特徴を示す基板属性データと、各基板属性データで特定される基板に設けられる識別情報の位置を示す位置データとを関連付けた相関情報を有し、
識別情報の検出対象である基板の基板属性データを取得する基板属性データ取得機能と、
取得した基板属性データに対応する位置データを前記相関情報に基づいて導出する位置データ導出機能と、
導出された位置データに対応する位置に前記検出手段を位置決めして検出対象である前記基板の識別情報を検出する識別情報検出機能と
を、コンピューターに実現させることを特徴とするコンピュータープログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図4】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−45940(P2013−45940A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183580(P2011−183580)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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