説明

警報器及び監視システム

【課題】電池電圧の正常状態で火災等の異状を検知した場合、連動信号の送信機能を高めて連動動作を迅速且つ確実にし、また電池電圧の低下状態で異状を検知した場合、自己の異状監視や警報出力の機能維持を優先させ、それ以外の機能に係る電池消耗を極力抑制する。
【解決手段】警報処理部60により電源電圧が正常な状態で火災が検知された場合、送信制御部62は火災以外の事象の連動信号送信する第1送信モードよりも消費電力の大きい第2送信モード(高消費電力送信モード)を設定して他の警報器に火災連動信号を送信して迅速且つ確実に連動警報を出力させる。警報処理部60により電源電圧の低下によるローバッテリー障害の検知状態で火災が検知された場合、送信制御部62は火災以外の事象の連動信号送信する第3送信モードよりも消費電力の小さい第4送信モード(省電力送信モード)を設定して他の警報器に火災連動信号を送信して電池消耗を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電源で動作し、自己の監視領域における火災等の異状を検知した場合に、自分自身で警報を出力すると共に他の警報器に異状を示す連動信号を送信して警報させる連動型の警報器及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等における火災やガス漏れなどの異状を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、電池電源で動作し、住警器内に火災を検知するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部の検知信号から火災を検知すると警報部から所定パターンの火災警報音を出力するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報報知ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる連動型の住警器も提案されている。
【0005】
このような連動型の住警器では、住警器で火災を検知した場合、火災を検知した連動元の住警器は、例えば「ウーウー 火事です 火事です」を出力すると共に他の住警器に連動信号を送信し、一方、連動信号を受信することで連動先となる他の住警器では例えば「ウーウー 別の警報器が作動しました」といった火災警報音を出力するようにしている。
【0006】
また、近年、住警器の低消費電力化が推し進められた結果、例えば10年以上といった長期の電池寿命が保証されており、その間、電池交換は不要である。長期間使用して電池寿命に近づき、電池電圧(残り電源容量)の低下が検知されると、電池切れ予告警報(以下、「ローバッテリー障害警報」と云う)を出力して電池交換を促すようにしている。
【0007】
ローバッテリー障害警報の出力開始後(電池電圧低下検知後)は、引き続き所定時間、例えば72時間以上にわたって断続的なローバッテリー障害警報出力が可能であれば良いものとされており、即ち、この所定時間内に電池交換が行われれば問題ないものとされている。なお、一般的には、この期間中も正常な火災監視動作ができるように設計されていることから、ローバッテリー障害警報は火災警報のような監視領域の異状を報知する警報に比べて緊急性の高い警報ではない。すなわち、ローバッテリー障害に対しては、例えば72時間以内に対処すれば良いが、火災に対しては当然、即時の対応が必要となる。
【0008】
更に無線連動型の住警器では消費電力を低減するために無線信号の間欠受信方式を採用している。間欠受信方式は、所定の周期毎に所定の受信可能時間を設定して受信部を動作してキャリアセンスを行い、キャリアセンスにより受信出力が得られたら受信動作を継続して連動信号を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】実用新案登録第3143139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、このような従来の連動型の住警器にあっては、火災や火災以外の事象を検知した場合、通信規格に従って、所定の休止時間を挟んで所定時間の送信を複数回繰り返す送信動作を行い、連動信号を断続的に複数回送信することで火災連動信号や火災以外の連動信号を、間欠受信を行っている他の住警器に確実に受信させて連動警報を出せるようにしている。
【0011】
しかしながら、火災を検知した場合の連動は、火災以外の事象を検知した場合の連動に比べ重要性が高く、電波環境等に影響されることなく、より確実に送受信する必要があるが、従来の住警器にあっては、火災の連動と火災以外の事象の連動について同じ送受信方式としている。ここで少なくとも、上述の通り重要度の高い火災連動については送受信の迅速性と確実性を更に高めていくことが望まれる。
【0012】
また従来の連動型の住警器にあっては、電池電源で動作するものにつき、電池電圧が低下したローバッテリー障害状態で火災を検知した場合、自分自身で警報音と警報表示により火災警報を出力するが、この間も他の警報器に対し連動信号を送信する送信動作を行うと共に他の住警器からの連動信号を受信するため間欠受信動作を行っており、火災警報出力と送受信動作があわせて行われることで、電池の消耗が促進され、火災警報中に電池切れとなって機能しなくなってしまう恐れがある。例えば、火災警報出力の必要性が最も高い、連動元としての火災警報(報知)を継続することができなくなることもあり得る。
【0013】
本発明は、電池電圧が正常な状態で火災等の異状を検知した場合には、連動信号の送信機能を高めて連動動作を迅速且つ確実に行えるようにし、またローバッテリー障害状態において自己によって火災等の異状を検知した場合には、少なくとも自己の異状監視や警報出力(報知出力)の機能維持を優先させ、それ以外の機能に係る電池消耗を極力抑制する連動型の警報器及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電池電源で動作する警報器に於いて、
電池電圧が前記所定レベル以上の状態で、所定の異状を検知した場合には、送信モードを検知前に比べて送信能力の高いモードとし、
電池電圧が所定レベル未満の状態で、所定の異状を検知した場合には、送信モードを検知前に比べて省電力のモードとする、
ことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に前記所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から前記所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力する警報器に於いて、
送信部は、
電源電圧が前記所定レベル以上で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル以上で且つ所定の事象を検知した場合、第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象を検知した場合、第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする。
【0016】
ここで、送信部は、所定の事象又はそれ以外の事象を検知した場合、所定の休止時間と所定の送信時間を組み合わせた所定の送信動作を複数回繰り返しており、第1モードは所定の送信回数を設定し、第2送信モードは送信回数を第1送信モードより多く設定し、第3送信モードは送信回数を第1送信モードと同じかそれより少なく設定し、第4送信モードは前記送信回数を前記第3送信モードより少なく設定する。
【0017】
第2送信モードは、第1送信モードに対し送信電力をより増加させる。
【0018】
第2送信モードは、第1送信モードに対し送信電波強度を高くするか、或いは送信頻度を高くする。
【0019】
受信部は、
電源電圧が記所定レベル以上で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
電源電圧が所定レベル以上で且つ所定の事象を検知した場合、第1受信モードより消費電力の小さい第2受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、第1受信モードの消費電力と同じかそれより小さい所定の第3受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象を検知した場合、第3受信モードより消費電力の小さい第4受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信するか又は受信を停止する。
【0020】
受信部は、所定の事象又は他の事象を未検知の場合は所定周期毎に所定の受信可能時間を設定する間欠受信を行っており、
第1受信モードは、間欠受信を事象検知状態の継続中は常時受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻し、
第2受信モードは、間欠受信を第2送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後に事象検知前の間欠受信に戻すか、又は送信終了後の事象発生中は消費電力を低下した間欠受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻し、
第3受信モードは、間欠受信を第3送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後に事象検知前の間欠受信に戻し、
第4受信モードは、間欠受信を第4送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後の事象検知状態の継続中は消費電力を低下した間欠受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻す。
【0021】
第2受信モード及び第4受信モードにおける消費電力を低下した間欠受信は、所定の周期を長くするか及び又は所定の受信可能時間を短くする。
【0022】
受信部で他の警報器から連動信号を有効受信した場合、正常受信を示すACK信号を送信部で送信し、
送信部から連動信号を送信した後に他の住警器からのACK信号を受信部で有効受信し、ACK信号を受信しない警報器を検知した場合、ACK信号を受信した他の警報器に対し連動信号に中継要求を示す符号を含む連動信号を送信して、連動信号の内容を中継送信させる。
【0023】
本発明の別の形態にあっては、電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力し、更に他の警報器から受信した連動信号を中継する警報器に於いて、
送信部は、
電源電圧が所定レベル以上で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が前記所定レベル以上で且つ所定の事象を検知した場合、第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象を検知した場合、第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする。
【0024】
本発明の別の形態にあっては、電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力し、更に他の警報器から受信した連動信号を中継する警報器を設けた監視システムに於いて、
警報器の送信部は、
電源電圧が所定レベル以上で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル以上で且つ所定の事象を検知した場合、第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象以外の事象を検知した場合、第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
電源電圧が所定レベル未満で且つ所定の事象を検知した場合、第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の警報器によれば、電池電圧が正常な状態で連動元として自己の監視領域における火災等の異状を検知した場合は、火災以外の事象検知で連動信号を送信する第1送信モードに対し消費電力の大きい第2送信モード、例えば送信回数や送信電力を増大させた第2送信モードを設定して火災連動信号を送信するため、連動信号の送信機能が高められ、他の事象に対し比較的重要性の高い火災等の異状検知に伴う連動信号を迅速且つ確実に他の警報器に送信して連動警報を出すことができ、連動警報の信頼性を向上することができる。
【0026】
また送信機能を高めるための第2送信モードによる高消費電力送信は電池消耗を促進することになるが、火災等の異状を検知した場合、火災以外の事象検知で他の警報器からの連動信号を受信する第1受信モードに対し消費電力の小さい第2受信モードを設定するため、自己の火災検知に基づく高消費電力送信で増加した電池の消耗が、同時に行う低消費電力受信により抑制され、電池寿命に対する影響を低減することができる。
【0027】
また本発明の警報器によれば、電池電圧が低下したローバッテリー障害状態で、連動元として自己の監視領域における火災等の異状を示す所定の事象を検知した場合、火災以外の事象検知で連動信号を送信する第3送信モードより消費電力の小さい第4送信モードに変更して連動信号を送信するため、連動元として火災などの異状警報出力中には、他の警報器に対する連動信号の送信に必要な消費電力を低減し、ローバッテリー障害状態にある自己の電池消耗を抑制することで、連動元としての火災など警報出力機能に当てる電力の維持を図ることができる。
【0028】
また、電池電圧が低下したローバッテリー障害状態で、連動元として火災等の異状を示す所定の事象を検知した場合、受信動作についても、火災以外の事象検知で他の警報器からの連動信号を受信する第3受信モードより消費電力の小さい第4受信モードに変更するため、第4送信モードによる消費電力の低減に加え、連動信号の受信に必要な消費電力も低減し、ローバッテリー障害状態にある自己の電池消耗を更に抑制することで、連動元としての火災など警報出力機能に当てる電力の維持を図ることができる。
【0029】
ここで、ローバッテリー障害状態で連動元として火災などの異状警報を出力する場合に、消費電力を低減するための第4送信モードにより例えば連動信号の送信時間を実質的に短くしており、他の警報器との連動機能が損なわれる可能性が考えられる。
【0030】
しかしながら、例えば3台以上の警報器で連動システムを構成する場合(一般的な住宅の連動型住警器システムではそうなる)、1台の連動元に対して連動先候補となる警報器は複数あるため、連動元で送信時間を短くしても、2台のうちどちらかの警報器で受信される確率は大きな問題になるほど低くならない。少なくとも、連動元警報器としての異状監視や警報出力機能の維持継続を計ることと比較した場合に、相当以上に重大な問題とはならない。また、連動先の各警報器が連動信号の中継機能を実行できる場合には、1台で受信されれば順次中継伝達され、他の全ての警報器で連動先警報を行うことができる。
【0031】
また、他の警報器からの連動信号についても、更に他の警報器から中継送信されることで全体の送信数が増すので、自己が連動元として火災などの異状警報の出力中は、消費電力を低減するために第4受信モードにより間欠受信を継続したり受信周期を長くしたりしても、上記同様の観点から、実質的には問題にならない。
【0032】
更に、警報器自身が連動元として火災などの異状警報の出力中は、他の警報器からの連動信号を処理する必要性が低いため、消費電力を低減するために第4受信モードとしては、例えば最も低消費のパターンとして受信機能を停止しても、上記同様の観点から、実質的には問題にならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の連動型の住警器による監視システムを設置した住宅を示した説明図
【図2】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図3】本発明による住警器の実施形態を示したブロック図
【図4】本発明による送受信モードの割当と各モードの送受信消費電力の大小関係を一覧で示した説明図
【図5】電池電圧の正常状態で火災以外の事象を検知した場合の本発明による第1送信モードと第1受信モードの送受信制御を示したタイムチャート
【図6】電池電圧の正常状態で火災を検知した場合の本発明による第2送信モードと第2受信モードの送受信制御を示したタイムチャート
【図7】ローバッテリー障害状態で火災以外の事象を検知した場合の本発明による第3送信モードと第3受信モードの送受信制御を示したタイムチャート
【図8】ローバッテリー障害状態で火災を検知した場合の本発明による第4送信モードと第4受信モードの送受信制御を示したタイムチャート
【図9】図3の実施形態で使用する連動信号のフォーマットを示した説明図
【図10】本発明の住警器による送受信制御の概略例を示したタイムチャート
【図11】本発明の住警器による監視処理の概略例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は住宅に対する本発明の警報器である連動型住警器を用いた監視システムの設置状態例を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室のそれぞれの警戒エリア(監視領域)に、火災を検知して連動警報する無線式の住警器(住宅用火災警報器)10−1〜10−6が設置されている。以下、住警器10−1〜10−6をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という。
【0035】
住警器10は、連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生有無の監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器10−1が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0036】
住警器10−1が発報するとき、住警器10−1は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−2〜10−6に対し、火災連動信号を無線送信する。他の住警器10−2〜10−6は、連動元の住警器10−1からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
【0037】
ここで、住警器10は、受信した連動信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。また住警器10から送信する連動信号には、送信元の住警器を示す識別情報として例えばシリアル番号等を利用した送信元符号が含まれている。さらに、連動信号を有効受信した住警器10は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。
【0038】
連動元となった住警器10−1の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、警報動作として例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
【0039】
また連動元となった住警器10−1の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
【0040】
図2は本発明による無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0041】
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が流入口を介し検煙部16に流入して所定濃度に達したときに火災を検知するようにしている。検煙部16としては、散乱光式の煙検知器等の検煙機構が適用できる。
【0042】
カバー12の左下側には音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0043】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーを押圧操作すると、内蔵のプッシュスイッチ(図示せず)が押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、警報等の表示を行うLED22が配置されている。
【0044】
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0045】
図3は本発明による住警器10−1の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また図3では、台所に設置した住警器10−1について示しているが、他の住警器10−2〜10−6についても同様の構成となる。
【0046】
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、メモリ32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0047】
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−6との間で連動信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0048】
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0049】
ここで、アンテナ31、送信回路42及び送信制御部62を併せて送信部として機能し、アンテナ31、受信回路44及び受信制御部64を併せて受信部として機能する。
【0050】
メモリ32には、連動信号の生成順或いは送信順を示す連続番号である連番48、各住警器を特定する住警器識別情報となる例えばシリアル番号等を利用した送信元符号50、図1のように住宅に設置した各住警器10で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。
【0051】
センサ部34には、散乱光式の煙検知原理によって煙を観測(検出)して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。
【0052】
報知部36には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ56と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、後述する警報処理部64の制御により、住警器10−1がメモリ等に保持している各種のデータ等に基づいて、図示しない駆動回路で駆動されて音声メッセージや警報音等を出力する。同様に、図示しない表示駆動回路で駆動されるLED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異状その他を表示する。
【0053】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられ、警報停止スイッチ20は住警器10−1の機能の自己点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、利用者等により火災警報出力中に警報停止スイッチ20が操作されると火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能点検を実施して結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。
【0054】
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0055】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、警報処理部60、送信制御部62、受信制御部64の機能が設けられる。
【0056】
警報処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力に基づく火災の有無、操作部38の操作による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧の有無の他、必要に応じ各種の監視回路(図示省略)を介してセンサ障害やローバッテリー障害有無等の事象を検知する。また警報処理部60は受信部を介して他の住警器10−2〜10−6からの連動信号の解読結果として得られた連動信号有効受信の有無およびその連動内容を検知する。
【0057】
また警報処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づき火災を検知した場合に、報知部36に対しスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す警報表示を行わせる制御を行い、更に、送信制御部60および送信回路42を介して火災連動信号をアンテナ31から他の住警器10−2〜10−6に向けて送信させる。
【0058】
また警報処理部60は、無線通信部30の受信回路44及び受信制御部64を介して他の住警器10−2〜10−6の何れかから火災連動信号を有効受信したことを検知した場合に、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させると共にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる。
【0059】
また警報処理部60は、連動元を示す火災警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止させる。なお、連動元を示す火災警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−6の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、火災警報は停止せずに連動元が分かるようにする。
【0060】
また警報処理部60は、連動先を示す警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作又は他の住警器10−2〜10−6の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止させる。
【0061】
また警報処理部60には、電池電源40の電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害の監視機能が設けられ、ビルトインテストとしてバックグラウンドで定期的に自動実行されている。
【0062】
ローバッテリー障害監視は、具体的には、所定の測定時間間隔、例えば図示しない電圧監視回路を介して4時間間隔で電池電源40から供給される電池電圧を読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の時にローバッテリー障害を予備判定して結果をカウント記憶し、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0063】
また警報処理部60には、センサ部34の障害を監視するセンサ障害監視機能が設けられ、同じくビルトインテストとしてバックグラウンドで自動実行されている。センサ障害監視は、具体的には、所定の測定時間間隔、例えば1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号を読み込んでメモリ32に保持し、所定の時間間隔、例えば10分毎に、メモリ32に保持している直近10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定して検知し、センサ障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0064】
また警報処理部60は、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にローバッテリー障害フラグ又はセンサ障害フラグがセット記憶されていることを判別検知した場合には、報知部36からローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、更に、ローバッテリー障害連動信号又はセンサ障害連動信号を他の住警器10−2〜10−6に送信して障害連動先を示すローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させる。
【0065】
送信制御部62は、警報処理部60による検煙部16からの検出信号に基づく火災検知、操作部38による警報停止入力や点検指示入力、検煙部16からの検出検知信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧等、ローバッテリー障害やセンサ障害等の自己の事象を検知した場合に、検知した事象内容を示す連動信号を、無線通信部30の送信回路42、アンテナ31を介して連動先の住警器に送信する。また送信制御部62は他の住警器から有効受信した連動信号を、必要に応じて中継送信する。
【0066】
受信制御部64は、他の住警器10−2〜10−6からの連動信号を、アンテナ31、無線通信部30の受信回路44を介して受信し解読する。また受信制御部64は、連動信号を他の住警器10−2〜10−6に送信した状態で、他の住警器10−2〜10−6から当該連動信号を正常に受信したことを示す確認応答信号(以下「ACK信号」と云う)が有効受信されるか否か監視している。
【0067】
他の住警器の中にACK信号が受信されない(ACK信号の返信を確認できない)ものを検知した場合、ACK信号が受信確認された他の住警器に対し送信制御部62により中継要求有りを示す符号を付加した連動信号(中継要求有りの連動信号と云う)を送信し、中継要求有りの連動信号を受信したACK応答確認済みの住警器からAKC信号未応答の住警器へこれを中継送信させる。ここで中継された連動信号を受信したAKC信号未応答の住警器はこの受信に基づいて警報処理等を行うと共にACK信号を返信し、更にこの返信について他の住警器の中継送信を経て連動元の住警器10−1で受信される。
【0068】
ここで本実施形態の送信制御部62と受信制御部64にあっては、電池電圧が所定レベル以上にある正常な場合と、電池電圧が所定レベル未満に低下したローバッテリー障害状態の各々につき、火災以外の事象を検知した場合と火災を検知した場合に分けて消費電力の異なる送信モードと受信モードを設定している。
【0069】
図4は本発明による送受信モードの割当と各モードの送受信消費電力の大小関係を一覧で示した説明図である。
【0070】
図4(A)は本発明による送受信モードの割当一覧であり、次の4つの送受信モードを設定している。まず送信モードは次の第1乃至第4送信モードとなる。
【0071】
(第1送信モード)
電池電圧が所定レベル以上と正常で且つ火災以外の自己内事象を検知した場合に設定する。
【0072】
(第2送信モード)
電池電圧が所定レベル以上と正常で且つ自己が火災を検知した場合に設定され、第1送信モードよりも消費電力を大きくする。即ち、例第1送信モードに比べ高消費電力ではあるが、より確実な連動のため、例えば第1送信モードよりも送信電波強度や送信頻度を高くしたり、或いは送信回数を増やす。
【0073】
(第3送信モード)
電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害状態で且つ火災以外の自己内事象を検知した場合に設定され、第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さくする。即ち、例えば送信電波強度や送信頻度或いは送信回数を、第1送信モード以下とする。これらを第1送信モードよりも低くする場合には、少なくとも火災以外の連動信号送信につき、電池電圧が正常な状態に比べてローバッテリー障害状態における電力消費を抑制でき、このようにして既に電源の残り容量が低下している状態から最終的に電池切れによる電源断に至るまでの時間を極力長くする。
【0074】
(第4送信モード)
電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害状態で且つ自己が火災を検知した場合に設定され、第3送信モードよりも消費電力を小さくする。即ち、例えば送信電波強度や送信頻度、送信回数を、第3送信モードよりも低くする。
【0075】
このような第1乃至第4送信モードにおける送信消費電力の大小関係は、図4(B)にまとめて示すようになる。
【0076】
一方、受信モードは次の第1乃至第4受信モードとなる。
【0077】
(第1受信モード)
電池電圧が所定レベル以上と正常で且つ火災以外の自己内事象を検知した場合に設定する。
【0078】
(第2受信モード)
電池電圧が所定レベル以上と正常で且つ自己が火災を検知した場合に設定され、第1受信モードよりも消費電力を小さくする。即ち、例えば第1受信モードに比べて受信回路の受信アンプの駆動時間を短くしたり、駆動頻度を低くしたりする。
【0079】
(第3受信モード)
電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害状態で且つ自己が火災以外の事象を検知した場合に設定され、第1受信モードと消費電力が同じかそれより小さくする。即ち、例えば受信回路の受信アンプの駆動時間を第1受信モードと同じかそれより短くしたり、受信アンプの駆動頻度を第1受信モードと同じかそれより低くしたりする。第1受信モードに比べて受信アンプの駆動時間を短く、また受信アンプの駆動頻度を低くする場合には、連動信号受信につき、電池電圧が正常な状態に比べてローバッテリー障害状態における電力消費を抑制でき、このようにして既に電源の残り容量が低下している状態から最終的に電池切れによる電源断に至るまでの時間を極力長くする。
【0080】
(第4受信モード)
電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害状態で且つ自己が火災を検知した場合に設定され、第3受信モードよりも消費電力を小さくする。即ち、例えば第3受信モードに比べて受信回路の受信アンプの駆動時間を短くしたり、駆動頻度を低くしたりする。
【0081】
このような第1乃至第4送信モードにおける送信消費電力の大小関係は、図4(C)にまとめて示すようになる。
【0082】
このような第1〜第4送信モードと第1〜第4受信モードの動作を具体的に説明すると図5〜図8のようになる。以下においても、住警器10−1を連動元、住警器10−2〜10−6を連動先とした場合を例に取って説明する。
【0083】
図5は電池電圧の正常状態で火災以外の事象を検知した場合の本発明による第1送信モードと第1受信モードの送受信制御(或いは送受信制御結果としての送受信動作)を示したタイムチャートである。
【0084】
第1送信モードは、図5(A)に示すように、時刻t1で火災以外の事象が検知された場合、図5(B)に示すように、所定時間T1、例えばT1=3秒に亘り連動信号を送信する送信動作70を、所定時間T2、例えばT2=2秒の休止時間を空けて例えば4回繰り返している。このT1=3秒送信、T=2秒休止は特定小電力無線局の標準規格に準拠したものである。
【0085】
またT1=3秒の送信動作70は、その内の最初から例えば2.8秒はダミー信号送信動作72であり、残り0.2秒の時間に連動信号の反復送信動作74を行うようにしている。ダミー信号は他の住警器における間欠受信のキャリアセンスで検知されて受信動作を開始させ、これに続く連動信号の受信を可能とする。
【0086】
第1受信モードは、図5(A)の時刻t1で火災以外の事象が検知された場合、図5(C)に示すように行われる。ここで、受信制御部64は、火災も火災以外の事象も検知されない通常状態では間欠受信を行っている。
【0087】
間欠受信は図5(C)の時刻t1で事象が発生する以前に示すように、周期T3毎に受信可能時間T4のあいだ受信動作を繰り返しており、例えば周期T3=7秒、受信可能時間T4=100ミリ秒としている。受信可能時間T4間に他の住警器からの送信ダミー信号をキャリアセンスにより検知すると所定時間のあいだ常時受信に切替えてダミー信号に続く連動信号を受信する。
【0088】
第1受信モードは、図5(A)の時刻t1で火災以外の事象が検知された場合に設定され、それまでの周期T3の間欠受信を常時受信動作80に切替え、他の住警器からのACK信号等を迅速に受信できるようにする。常時受信動作80は事象発生中(事象検知状態継続期間中)に亘り継続され、事象発生が終了すると(検知状態が解除されると)事象検知前の間欠受信に戻す。
【0089】
ここで常時受信動作80は、並行して行っている送信動作70の送信時間T1については、送受信のチャンネル周波数が同じであるため、他の住警器からの連動信号は受信できず、休止時間T2に対応した部分及び送信終了後の部分を有効受信動作82としている。
【0090】
図6は電池電圧の正常状態で火災を検知した場合の本発明による第2送信モードと第2受信モードの(或いは送受信制御結果としての送受信動作)を示したタイムチャートである。
【0091】
第2送信モードは、図6(A)の時刻t1で火災が検知された場合、T1=3秒に亘り連動信号を送信する送信動作70を、T2=2秒の休止時間を空けて例えば6回繰り返す。第2送信モードは図5(B)の第1送信モードに対し送信回数が2回増加することで、他の住警器10−2〜10−6に対する送信機能が向上し、火災連動信号の送信を迅速且つ確実に行って他の住警器においても火災の連動警報を出すことができる。
【0092】
送信制御部62により設定される第2送信モードとしては、これ以外に送信電力を増加させても良く、またこれとあわせて送信周期を短くする等により送信頻度を高くしても良い。これらにより、同様に他の住警器10−2〜10−6に対する送信機能が向上し、火災連動信号の送信を迅速且つ確実に行って他の住警器から火災の連動警報を出すことができる。
【0093】
第2受信モードは、例えば図6(C)(D)に示すいずれかの低消費電力モードとする。図6(C)の第2受信モードは、時刻t1で火災を検知した場合の図6(A)の送信動作70に対応し、それまでの間欠受信を常時受信動作80に切替えており、常時受信動作80は事象発生中(事象検知状態継続期間)に対応するのではなく、送信動作70の繰り返しによる一連の送信処理期間中に対応してこの間継続され、時刻t2で送信動作70の繰り返しを終了すると、その後は事象検知前の間欠受信に戻している。
【0094】
ここで常時受信動作80は、図5(C)と同様、送受信のチャンネル周波数が同同じであり、並行して行っている送信動作70の送信時間T1については他の住警器からの連動信号は受信できないことから、休止時間T2に対応した部分を有効受信動作82とし、他の住警器10−2〜10−6からのACK信号等の受信を可能としている。
【0095】
図6(C)の第2受信モードは、送信動作終了で常時受信動作80から間欠受信に戻すため、図5(C)の第1受信モードにおける事象発生終了(事象検知状態解除)まで常時受信動作80を継続する場合に比べ常時受信動作80の時間が短くなっており、その分、消費電力を低減でき、第2送信モードの設定で増加する消費電力を相殺するか又は抑制することができる。
【0096】
なお、事象検知状態は一般に送信繰り返し期間よりも長い期間継続するが、事象検知状態の継続期間が送信動作の繰り返し期間より短くなることもあり得る。この場合でも、少なくとも繰り返し送信期間中に対応する期間だけの常時受信動作としているので、第1受信モードに比べて、事象検知状態が送信繰り返し期間以上となる場合の電力消費を抑制することができる。
【0097】
図6(D)の第2受信モードは、図6(C)同様、図6(A)の送信モードに対応した常時受信動作80を行い、これが終了した後の間欠受信につき、時刻t1までの間欠受信に対し消費電力を低下した間欠受信に切替えている。
【0098】
即ち、時刻t1までの間欠受信の周期T3に対し、時刻t2からはそれより短い周期T5の間欠受信とし、更に、受信周期T5毎の受信可能時間T6を時刻t1までの間欠受信の動作可能時間T4より短くし、図6(C)に比べ更に消費電力を低減している。この間欠受信は、火災復旧等による火災検知状態解除の際に事象検知前の間欠受信(t1以前の動作)に戻す。なお、間欠受信の周期を長くすることと受信可能時間を短くすることは、両方とする以外にいずれか一方としても良い。
【0099】
このように消費電力を小さくする第2受信モードを設定した場合でも、他の住警器10−2〜10−6からの連動信号については、必要に応じて更に他の住警器から中継送信されることで所定以上の送信数が確保されるため、第2受信モードの設定により常時受信動作の時間を短くしたり、間欠受信の受信周期を長くしたり、或いは受信可能時間を短くして受信機能を低下させても実質的には大きな問題にならない。
【0100】
また住警器10−1自身が連動元として火災などの異状警報出力中は、他の住警器10−2〜10−6からの連動信号を処理する必要性が低いため、受信機能を低下させても実質的には問題にならない。
【0101】
なお、図6(C)(D)にあっては、時刻t2で送信動作70が終了した場合に、常時受信動作80を事象検知前の間欠受信に戻すようにしているが、送信動作70により最後に他の住警器に送信した連動信号に対するACK信号等を受信するため、時刻t2で送信動作70が終了した場合に、休止時間T2=2秒を経過した後に、常時受信動作80を事象検知前の間欠受信に戻すようにしても良い。
【0102】
図7はローバッテリー障害状態で火災以外の事象を検知した場合の、本発明による第3送信モードと第3受信モードの(或いは送受信制御結果としての送受信動作)を示したタイムチャートである。
【0103】
第3送信モードは、図7(A)に示すように、時刻t1で火災以外の事象が検知されたとすると、図7(B)に示すように、T1=3秒に亘り連動信号を送信する送信動作70をT2=2秒の休止時間を空けて例えば4回繰り返しており、本実施形態は図5(B)の第1送信モードと同じになる。なお、例えば第3送信モードの送信回数を第1送信モードより少なくする等することで、送信消費電力を小さくしても良い。
【0104】
第3受信モードは、図7(A)の時刻t1で火災以外の事象が検知された場合に設定され、それまでの周期T3の間欠受信を常時受信動作80に切替え、他の住警器からのACK信号等を迅速に受信できるようにする。常時受信動作80は時刻t2で送信動作70の繰り返し処理が終了した後、ACK信号等を受信するためのT2=2秒が経過すると終了し、事象検知前の間欠受信に戻す。
【0105】
なお、送信動作70により連動信号を他の住警器に送信した場合のACK信号等の受信は、通信環境に問題が無ければ4回目の送信動作70を行うまで正常終了しており、このため時刻t2で送信動作70が終了した場合に、常時受信動作80を事象検知前の間欠受信に戻すようにしても良い。
【0106】
ここで、常時受信動作80は、並行して行っている送信動作70の送信時間T1の間、送受信のチャンネル周波数が同じであるため、他の住警器からの連動信号は受信できず、休止時間T2に対応した部分及び送信終了後のT2時間を有効受信動作82とし、他の住警器10−2〜10−6からのACK信号等の受信を可能とする。
【0107】
また第3受信モードは第3送信モードの送信回数4回に対応した常時受信時間80であり、図6に示した第2送信モードの送信回数6回に対応した第2受信モードの常時受信時間80より短くなり、その分、第2受信モードに比べ消費電力を小さくできる。
【0108】
図8はローバッテリー障害状態で火災を検知した場合の本発明による第4送信モードと第4受信モードの(或いは送受信制御結果としての送受信動作)を示したタイムチャートである。
【0109】
第2送信モードは、図8(A)に示すように、時刻t1で火災が検知されたとすると、図8(B)に示すように、T1=3秒に亘り連動信号を送信する送信動作70をT2=2秒の休止時間を空けて例えば2回繰り返しており、図7(B)の第3送信モードの4回の送信動作70の繰り返し回数より少なくすることで、消費電力を低減している。
【0110】
ここで、ローバッテリー状態で消費電力を低減するため第4送信モードにより火災連動信号の送信時間を実質的に短くしたことで、他の警報器との連動機能が損なわれる可能性が考えられる。
【0111】
しかしながら、図1に示したように例えば6台の住警器10−1〜10−6で連動システムを構成する場合、1台の連動元に対して連動先候補となる警報器は5台あるため、連動元の住警器10−1で送信時間を短くしても、残り5台のいずれかの住警器10−2〜10−6で受信される確率は大きな問題になるほど低くならない。
【0112】
また、連動先の住警器10−2〜10−6のいずれかからACK信号が有効受信されなかった場合は中継要求有りの火災連動信号を送信してACK応答確認済みの住警器に中継させており、これらACK応答確認済みの住警器のうち1台で受信されれば中継伝達され、他の全ての住警器10−2〜10−6で連動先火災警報を行うことができる。
【0113】
第4受信モードは、例えば図8(C)〜(E)の3つの第4受信モードのいずれかとする。
【0114】
図8(C)は図8(B)の2回の送信動作70の繰り返しとなる第4送信モードの送信処理期間中を常時受信動作80に設定し、ACK信号等を受信するための時刻t2で送信を終了した後はT2経過後に事象検知前の間欠受信に戻しており、図7(C)に示した4回の送信動作70の繰り返し終了からT2経過後に常時受信終了となる第3受信モードに比べ消費電力を小さくできる。
【0115】
なお、送信動作70により連動信号を他の住警器に送信した場合のACK信号等の受信は、通信環境に問題が無ければ2回目の送信動作70を行うまで正常終了しており、このため時刻t2で送信動作70が終了した場合に、常時受信動作80を事象検知前の間欠受信に戻すようにしても良い。この点は後述する図8(D)の場合も同様である。
【0116】
図8(D)は図8(B)の第4送信モードに対応して図8(C)同様の常時受信動作80が終了した後に、t1以前よりも消費電力を低下させた間欠受信を設定している。即ち、送信終了時刻t2からT2時間を経過した後に、時刻t1までの間欠受信の周期T3に対し、それより短い周期T4の間欠受信とし、更に、受信周期T4毎の受信可能時間T6を、時刻t1までの間欠受信の動作可能時間T5より短くした間欠受信に切替える。この間欠受信は、火災復旧等による火災検知状態解除の際に事象検知前の間欠受信(t1以前の動作)に戻す。なお、間欠受信の周期を長くすることと受信可能時間を短くすることは、両方とする以外にいずれか一方としても良い。
【0117】
図8(E)は時刻t1で火災を検知した場合、それまでの間欠受信から受信停止90に切替えており、受信停止90は火災復旧を検知した場合等、火災検知状態解除の際に事象検知前の間欠受信に戻す。このような火災検知中の受信停止90により消費電力を大幅に小さくすることができる。
【0118】
消費電力を小さくするために第4受信モードを設定した場合でも、他の住警器10−2〜10−6からの連動信号については、他の住警器から中継送信されることで送信数が所定以上確保できるため、第2受信モードの設定により常時受信時間を短くしたり、間欠受信の受信周期を長くしたり、或いは受信可能時間を短くしても実質的には問題にならない。
【0119】
また受信停止とした場合、他の住警器10−2〜10−6から連動信号を受信できなくなるが、住警器10−1自身が連動元として火災などの異状警報の出力中は、他の警報器10−2〜10−6からの連動信号を処理する必要性が低いため、受信機能を停止しても実質的には問題にならない。
【0120】
なお、上記以外に、第2受信モード、第3受信モード及び第4受信モードとして、図6〜図8の常時受信80に対応する受信動作も適宜の間欠動作としたり、送信動作70の繰り返し期間中や火災検知状態継続中、或いはそれらに適宜の遅延時間を加えた期間中に亘り受信動作を停止するようにしても良い。
【0121】
また、火災以外の事象として、ローバッテリー障害未検知状態で火災を検知して第2送信モードと第2受信モードによる送受信を行った後に火災復旧や警報停止を検知した場合は、第1送信モードにより火災復旧連動信号や警報停止連動信号を送信すると共に第1受信モードによる常時受信動作に切替え、火災復旧連動信号や警報停止連動信号に対する他の住警器からのACK信号等を受信し、ACK信号受信が確認された場合に、また更に必要に応じACK信号確認後更に適宜の遅延時間を経た場合に、火災検知前の間欠受信に戻すようにする。
【0122】
即ち、火災が復旧した場合には、すぐに火災検知前の間欠受信には戻らず、その間に第1送信モードと第1受信モードによる火災復旧連動信号や警報停止連動信号の送信とACK信号の受信を行った後に、火災検知前の間欠受信に戻ることになる。つまり、例えば火災復旧等の事象検知状態解除は火災以外の事象である。
【0123】
また、火災以外の事象として、ローバッテリー障害検知状態で火災を検知して第4送信モードと第4受信モードによる送受信を行った後に火災復旧や警報停止を検知した場合は、第3送信モードにより火災復旧連動信号や警報停止連動信号を送信すると共に第3受信モードによる常時受信動作に切替え、火災復旧連動信号や警報停止連動信号に対する他の住警器からのACK信号等を受信し、ACK信号受信が確認された場合に、また更に必要に応じACK信号確認後更に適宜の遅延時間を経た場合に、火災検知前の間欠受信に戻すようにする。
【0124】
図9は本実施形態で連動警報に使用する連動信号のフォーマットを概略的に示した説明図である。図9において、連動信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及び事象符号54で構成されている。なお、中継送信する連動信号に対しては、連動元の送信元符号と、中継送信元としての自己の送信元符号の両方を付加する。また必要に応じ、これとは別に中継要求有りを示す符号を付加するようにする。
【0125】
ここで、イベント符号54は、火災などの事象内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ACK
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
としている。
【0126】
図10は本発明の住警器における送受信制御の概略例を示したフローチャートである。図10において、送受信制御はステップS1において周期T3で受信可能時間T4の間欠受信を設定した後、ステップS2でローバッテリー障害の有無を検知している。
【0127】
ステップS2でローバッテリー障害無し(電池電圧正常)を検知した場合はステップS3に進み、ステップS3で火災以外の事象を検知するとステップS4に進み、図5(B)に例示した第1送信モードと図5(C)に示した第1受信モードを設定する。続いてステップS5で発生中の事象終了(復旧を含む)の有無を検知しており、事象終了を検知するとステップS1に戻り、事象検知前の間欠受信を設定する。
【0128】
ステップS3で火災以外の事象が検知されない場合はステップS6に進み、ステップS6で火災を検知するとステップS7で図6(B)に例示した第2送信モードを設定すると共に、図6(C)〜(D)に例示した第2受信モードの何れかを設定する。続いてステップS8で火災復旧等、火災状態解除の有無を検知しており、火災状態解除を検知するとステップS1に戻り、事象検知前の間欠受信を設定する。
【0129】
一方、ステップS2でローバッテリー障害が検知された場合はステップS9に進み、ステップS9で火災以外の事象を検知するとステップS10に進み、図7(B)に例示した第3送信モードと図7(C)に示した第3受信モードを設定する。続いてステップS11で発生中の事象終了(復旧を含む)の有無を検知しており、事象終了を検知するとステップS1に戻り、事象検知前の間欠受信を設定する。
【0130】
ステップS9で火災以外の事象が検知されない場合はステップS12に進み、ステップS12で火災を検知するとステップS13で図8(B)に例示した第4送信モードを設定すると共に、図8(C)〜(D)に例示した第4受信モードの何れかを設定する。続いてステップS14で火災復旧等、火災状態解除の有無を検知しており、火災状態解除を検知するとステップS1に戻り、事象検知前の間欠受信を設定する。
【0131】
図11は本発明による住警器の監視処理の概略例を示したフローチャートである。図11において、住警器10の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS21で初期化、自己診断、送受信モードの設定を含む各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS22に進み、火災の有無を検知している。ステップS21で初期化異常があった場合には報知部36からその旨を報知したうえで動作を途中停止するか、或いは再度ステップS11の処理を行うようにしているが、図示を省略している。
【0132】
ステップS22において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災が検知されてステップS23に進み、火災連動信号を他の住警器に無線送信すると共に、報知部36のスピーカ56から音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
【0133】
このときローバッテリー障害未検知状態の場合は第2受信モードの設定による火災連動信号の送信と第2受信モードの設定による受信が行われる。またローバッテリー障害検知状態の場合は第4送信モードと第4受信モードの設定による送受信が行われる。
【0134】
続いて、ステップS24で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無を検知しており、火災復旧を検知するとステップS25で火災復旧連動信号を他の住警器に送信すると共に、スピーカ56からの警報音とLED22の点灯による連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0135】
この場合の火災復旧連動信号の送信モードは、火災復旧の検知で火災警報の出力が停止していることから、ローバッテリー障害未検知状態の場合は火災以外の事象検知に対応した第1送信モードとし、また他の住警器からの連動信号の受信モードは第1受信モードとする。またローバッテリー障害検知状態の場合は送信モードを火災以外の事象検知に対応した第3送信モードとし、また他の住警器からの連動信号の受信モードは第3受信モードとする。
【0136】
続いてステップS26で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の有無を検知し、当該スイッチ操作が検知されるとステップS27に進んで警報停止連動信号を他の住警器に送信し、スピーカ56からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0137】
この場合の火災停止連動信号の送信モードは、火災警報の出力が停止していることから、ローバッテリー障害未検知状態の場合は火災以外の事象検知に対応した第1送信モードとし、また他の住警器からの連動信号の受信は第1受信モードとする。またローバッテリー障害検知状態の場合は送信モードを火災以外の事象検知に対応した第3送信モードとし、また他の住警器からの連動信号の受信モードは第3受信モードとする。
【0138】
ステップS25、S27におけるローバッテリー障害未検知状態で復旧連動信号送信、警報停止連動信号を送信した場合の受信モードは、火災継続中に火災復旧又は警報停止を検知した時点で第2受信モードを終了して第1受信モードとするが、受信モードを第2受信モードから第1受信モードに切り替えた場合にACK信号等を受信し、ACK信号受信が確認された場合に、また更に必要に応じACK信号確認後更に適宜の遅延時間を経た場合に、火災検知前の間欠受信に戻すようにする。
【0139】
またステップS25、S27におけるローバッテリー障害検知状態で復旧連動信号送信、警報停止連動信号を送信した場合の受信モードは、火災継続中に火災復旧又は警報停止を検知した時点で第4受信モードを終了して第3受信モードとするが、受信モードを第4受信モードから第3受信モードに切り替えた場合にACK信号等を受信し、ACK信号受信が確認された場合に、また更に必要に応じACK信号確認後更に適宜の遅延時間を経た場合に、火災検知前の間欠受信に戻すようにする。
【0140】
続いてステップS28に進み、他の住警器から送信または中継送信された火災連動信号有効受信の有無を検知している。他の住警器からの火災連動信号の有効受信を検知すると、ステップS29に進んで連動先を示す火災警報として自己のスピーカ56から警報音を出力し、例えばLED22の点滅による警報表示を行う。
【0141】
次にステップS30で他の住警器から送信または中継送信された火災復旧連動信号有効受信の有無を検知しており、火災復旧連動信号の有効受信を検知すると、ステップS31に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音出力とLED22の点滅による警報表示を停止する。
【0142】
次にステップS32で他の住警器から送信または中継送信された警報停止連動信号有効受信の有無を検知しており、警報停止連動信号の有効受信を検知すると、ステップS33に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止させる。
【0143】
ステップS28、ステップS30、ステップS32で他の住警器から連動信号を受信した場合に、当該連動信号に中継要求符号が含まれていときは中継送信を行うが、説明の簡単のため図示を省略している。
【0144】
また、これも図示を省略しているが、例えばローバッテリーや故障等の障害発生その他、図示以外の事象についても適宜監視しており、これらを検知した場合には、必要に応じ連動元としてそれを報知し、対応する連動信号を他の住警器に送信する。また他の住警器からこれら事象を示す連動信号を受信した場合には、連動先としての報知等、対応する処理を行うと共に、必要に応じ連動信号の中継送信を行う。
【0145】
なお、上記の実施形態は監視領域の異状として火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、住警器以外の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0146】
また、本発明の警報器による監視システムは、一部に本発明による上記の送受信モード切替機能を備えない従来の警報器を含むものであっても良い。この場合でも、全体として少なくとも部分的には本発明の目的を達成することができる。
【0147】
また図3の住警器10−1(および10−2〜10−6)にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式住警器(警報器)を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検知するサーミスタ等の温度検知素子を備えた熱式住警器(警報器)や火災に伴うその他の環境変化を検知する住警器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異状を検知する各種の警報器(警報器)、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0148】
また、上記実施例では所定の事象として火災を検知した場合に送受信モードを切り替える例を示したが、他の事象を異状の対象とする警報器では、その事象を検知した場合、例えばガス漏れ警報器ではガス漏れを検知した場合に送受信モードを切り替える事になる。
【0149】
また、警報器の各連携は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
【0150】
各送受信モードは、消費電力について図4(B)、図4(C)の相対的関係を有しつつ本発明の課題の少なくとも一部を解決し、或いは若干でも改善して目的を達成するものであれば良く、例えば、上記に第4送信モードとして例示した動作を第3送信モードとし、これより更に低消費電力の送信動作を第4送信モードとすることもでき、受信モードについても同様である。
【0151】
また、上記に示した警報器による連動信号の中継送信は、他の適宜の手段および方法で行わせることができ、本発明においては、いずれかの警報器で低消費モードでの送信動作や受信動作が行われているときに、全体の連動機能が相対的に低下することを若干でも補うことができる手段および方法であれば良い。
【0152】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチ20として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。
【0153】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。必要に応じ例えば他の処理を追加、挿入等する等ができる。
【0154】
また、上記実施の形態で示した住警器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0155】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0156】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0157】
10,10−1〜10−6:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
28:プロセッサ
31:アンテナ
30:無線通信部
32:メモリ
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:連動信号
48:連番
50:送信元符号
52:グループ符号
54:事象符号
56:スピーカ
60:警報処理部
62:送信制御部
64:受信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電源で動作する警報器に於いて、
電池電圧が前記所定レベル以上の状態で、所定の異状を検知した場合には、送信モードを検知前に比べて送信能力の高いモードとし、
前記電池電圧が前記所定レベル未満の状態で、所定の異状を検知した場合には、送信モードを検知前に比べて省電力のモードとする、
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に前記所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から前記所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力する警報器に於いて、
前記送信部は、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、前記第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする警報器。
【請求項3】
請求項2記載の警報器に於いて、前記送信部は、前記所定の事象又はそれ以外の事象を検知した場合、所定の休止時間と所定の送信時間を組み合わせた所定の送信動作を複数回繰り返しており、前記第1モードは所定の送信回数を設定し、前記第2送信モードは送信回数を前記第1送信モードより多く設定し、前記第3送信モードは送信回数を前記第1送信モードと同じかそれより少なく設定し、前記第4送信モードは前記送信回数を前記第3送信モードより少なく設定することを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項2記載の警報器に於いて、前記第2送信モードは、前記第1送信モードに対し送信電力をより増加させることを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項2記載の警報器に於いて、前記第2送信モードは、前記第1送信モードに対し送信電波強度を高くするか、或いは送信頻度を高くすることを特徴とする警報器。
【請求項6】
請求項2記載の警報器に於いて、
前記受信部は、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第1受信モードより消費電力の小さい第2受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、前記第1受信モードの消費電力と同じかそれより小さい所定の第3受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第3受信モードより消費電力の小さい第4受信モードを設定して他の警報器からの連動信号を受信するか又は受信を停止する、
ことを特徴とする警報器。
【請求項7】
請求項6記載の警報器に於いて、
前記受信部は、前記所定の事象又は他の事象を未検知の場合は所定周期毎に所定の受信可能時間を設定する間欠受信を行っており、
前記第1受信モードは、前記間欠受信を事象検知状態の継続中は常時受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻し、
前記第2受信モードは、前記間欠受信を前記第2送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後に事象検知前の間欠受信に戻すか、又は送信終了後の事象発生中は消費電力を低下した間欠受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻し、
前記第3受信モードは、前記間欠受信を前記第3送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後に事象検知前の間欠受信に戻し、
前記第4受信モードは、前記間欠受信を前記第4送信モードによる送信中は常時受信に切替え、送信終了後の事象検知状態の継続中は消費電力を低下した間欠受信に切替え、事象検知状態が解除されたことを条件として事象検知前の間欠受信に戻す、
ことを特徴とする警報器。
【請求項8】
請求項7記載の警報器に於いて、前記第2受信モード及び第4受信モードにおける消費電力を低下した間欠受信は、前記所定の周期を長くするか及び又は前記所定の受信可能時間を短くすることを特徴とする警報器。
【請求項9】
請求項1記載の警報器に於いて、
前記受信部で他の警報器から連動信号を有効受信した場合、正常受信を示すACK信号を前記送信部で送信し、
前記送信部から連動信号を送信した後に他の住警器からのACK信号を前記受信部で有効受信し、前記ACK信号を受信しない警報器を検知した場合、ACK信号を受信した他の警報器に対し前記連動信号に中継要求を示す符号を含む連動信号を送信して、前記連動信号の内容を中継送信させることを特徴とする警報器。
【請求項10】
電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に前記所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から前記所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力し、更に他の警報器から受信した連動信号を中継する警報器に於いて、
前記送信部は、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、前記第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする警報器。
【請求項11】
電池電源で動作し、監視領域における所定の事象を検知した場合に連動元を示す警報を出力すると共に他の警報器に前記所定の事象を示す連動信号を送信部から送信し、他の警報器から前記所定の事象を示す連動信号を受信部で受信した場合に連動先を示す警報を出力し、更に他の警報器から受信した連動信号を中継する警報器を設けた監視システムに於いて、
前記警報器の送信部は、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、所定の第1送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル以上で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第1送信モードよりも消費電力の大きい所定の第2送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象以外の事象を検知した場合、前記第1送信モードと消費電力が同じかそれより小さい所定の第3送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信し、
前記電源電圧が前記所定レベル未満で且つ前記所定の事象を検知した場合、前記第3送信モードよりも消費電力の小さい所定の第4送信モードを設定して他の警報器に連動信号を送信する、
ことを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−190227(P2012−190227A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52802(P2011−52802)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】