説明

貸しロッカーシステム

【課題】鍵を用いないで暗証番号やカード等のIDコードで解錠できる貸しロッカーシステムにおいて、ロッカーボックス内への荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等の場合に、利用者が再度利用料金を支払わずに利用できるようにして、利用者へのサービス向上をはかる。
【解決手段】ロッカーボックス2に荷物を入れてロッカー扉2aを押すことにより、ロッカー扉2aを仮施錠し、状態表示用LED2dを点滅する。操作表示部1b1の操作で「預け入れ」、「暗証番号」等を選択して利用料金を投入すると、本施錠するとともに自由時間内に設定する。自由時間(数分)以内の場合、暗証番号等によりロッカー扉2aを解錠し、荷物の出し入れを自由にするとともに、利用料金を支払わずにロッカー扉2aを押だけで本施錠する。自由時間内では解錠する毎に新たな暗証番号をレシートに印字して発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駅構内等に設置され、複数の利用者にロッカーボックスを利用可能とした貸しロッカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵式の貸しロッカー(コインロッカー装置)として例えば特許第3588147号公報に開示されたものがある。この貸しロッカーは、施錠後にタイマーで所定時間を計時し、その所定時間内であれば解錠後もそのまま施錠を可能として、荷物の預け入れ時の荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等に対して、利用者の利便を図るものである。
【0003】
また、貸しロッカーシステムとしてプリペードカードを用いて利用できるものが例えば特開2001−155249号公報に開示されている。このロッカーシステムは、ロッカー使用時にプリペードカードをカードリーダに挿入し、そのプリペードカードからロッカー利用料金を引き落としでロッカーを利用できるようにしたものである。
【0004】
また、例えば特開2001−325660号公報に開示されているように、携帯電話機からのID情報や入力した暗証番号等により一時預かりボックスの解錠を制御するものがある。このようなロッカー装置では鍵などを保管する必要がなく、また、鍵の紛失や盗難などによる不都合も回避できるという利点があり、広く普及している。
【特許文献1】特許第3588147号公報
【特許文献2】特開2001−155249号公報
【特許文献3】特開2001−325660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように鍵などを必要としないロッカー装置では、鍵を回して施錠するという操作を行わないので、利用者はどの時点で施錠されるかが感覚的に認識しずらく、特にこの種のロッカー装置では荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等を起こしかすかった。なお、特許文献1の貸しロッカーでは、タイマーで所定時間を計時するが、この所定時間内に利用を終了しても、タイマーの計時が継続されることがあり、再び施錠及び解錠が可能になり、可動効率が悪いという管理上の問題がある。
【0006】
本発明は、鍵を使用しないで解錠用番号により解錠を行うようにした貸しロッカーシステムにおいて、荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等があったときでも、利用者の利便性を図れるようにすることを課題とし、利用者へのサービスを向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の貸しロッカーシステムは、複数のロッカーボックスと該ロッカーボックスの施解錠を制御する制御手段を備え、利用料金を支払って前記ロッカーボックスを施錠利用状態とするとともに、鍵を使用しないで解錠用番号の照合によりロッカーボックスを解錠するようにした貸しロッカーシステムにおいて、前記制御手段は、前記ロッカーボックスを施錠利用状態としたときから該ロッカーボックスに対応して所定時間の自由時間に設定し、該自由時間内に該ロッカーボックスについて解錠操作を行ったときは前記利用料金の支払いを行わない状態で前記施錠利用状態に移行可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の貸しロッカーシステムにおいて、利用者がロッカーボックスに荷物を預けて利用料金を支払って施錠利用状態としたとき、その後、自由時間内となっているときは解錠操作を行っても利用料金を支払わずにロッカーボックスを施錠して施錠利用状態にできるので、荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等があったときでも、利用者の利便性が図れる。
【0009】
請求項2の貸しロッカーシステムは、請求項1に記載の貸しロッカーシステムであって、前記制御手段は表示部を備え、前記自由時間に設定した前記ロッカーボックスについて該自由時間内に解錠操作が行われる状態で、一時解錠または終了解錠の処理を選択する選択画面を前記表示部に表示し、前記一時解錠の処理が選択されたときは該自由時間の設定状態とするとともに、前記終了解錠の処理が選択されたときは該自由時間内である設定を解除することを特徴とする。
【0010】
請求項2の貸しロッカーシステムにおいて、請求項1の作用効果に加えて、自由時間内は操作画面等の表示部により一時解除または終了解錠の選択を利用者に促すことができ、終了解錠の選択時には自由時間内である設定を解除することができ、そのロッカーボックスを初期の預け入れ待機状態にすることが可能となる。なお、自由時間内の設定と解除の方法としては、以下のものでもよい。所定のタイマを用い、そのタイマを起動することで自由時間内に設定する。タイマがタイムアップしているかタイムアップしていないかにより、自由時間内であるか自由時間外であるかを判定する。また、タイマの強制リセットにより自由時間内を解除する。
【0011】
請求項3の貸しロッカーシステムは、請求項1または2に記載の貸しロッカーシステムであって、前記制御手段は、携帯用送信手段からの解錠用番号を受信して該携帯用送信手段に蓄積されている電子現金により前記利用料金を徴収するとともに、前記ロッカーボックスの施錠及び解錠を当該受信した解錠用番号により制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3の貸しロッカーシステムによれば、請求項1または2の作用効果に加えて、硬貨や紙幣等の現金の投入を必要としないので、利用時の操作を簡略化できる。
【0013】
請求項4の貸しロッカーシステムは、請求項3に記載の貸しロッカーシステムであって、前記携帯用送信手段がICカード及び/または携帯電話機であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の貸しロッカーシステムによれば、請求項3の作用効果に加えて、携帯用送信手段としてICカードを用いると、例えば駅の自動改札等でIDコードを発信して改札を済ませるのに用いるカード型のプリペイドカード(例えば「Suica」(商標))を用いることができ、特に貸しロッカーシステムは駅構内等に設置することが多いので、利用者が利用し易くなる。また、携帯用送信手段として携帯電話機を用いると、近年広く普及している携帯電話機でロッカーボックスを使用できるので、利用者が利用し易くなる。
【0015】
請求項5の貸しロッカーシステムは、請求項1または2に記載の貸しロッカーシステムであって、前記ロッカーボックスに対応する前記解錠用番号は、前記施錠利用状態としたときに前記制御手段が発行するとともに、該制御手段は、前記自由時間内に施錠利用状態とした時に該ロッカーボックスに対応する前記解錠用番号を新規に発行することを特徴とする。
【0016】
請求項5の貸しロッカーシステムによれば、請求項1または2の作用効果に加えて、解錠用番号がレシート等により発行され、自由時間内に再度解錠すると、この解錠操作に使用した解錠用番号と異なる新たな解錠用番号が発行されるので、操作の盗み見等による盗難を防止できる。
【0017】
なお、鍵を使用しないで解錠用番号の照合によりロッカーボックスを解錠する貸しロッカーシステムにおいて、複数のロッカーボックスに対して1つの制御手段(例えば集中制御装置)がロッカーボックス群の例えば中央位置に配置され、この制御手段に対してICカード等のIDコードを読み取らせてロッカーボックスの解錠や施錠を行うように操作するが、利用待機状態においてロッカーボックスが施錠されていると、制御手段の所で一旦解錠操作を行い、ロッカーボックスに向かい、荷物を預けて、再度制御手段の所で施錠操作を行う必要がある。この場合には利用者は行ったり来たりしなければならないので使い勝手悪い。そこで、利用待機状態でロッカーボックスが解錠されているような状態(解錠待機状態)にしておき、荷物を預けてロッカー扉を閉め(好適にはこの時仮施錠となるようにし)制御手段で操作して施錠する構成にするとよい。このように、請求項1〜5においてロッカーボックスは利用開始前に解錠待機状態となっている貸しロッカーシステムが好適である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の貸しロッカーシステムによれば、鍵を使用しないで解錠用番号により解錠を行うようにした貸しロッカーシステムにおいて、荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等があったときでも、利用者の利便性が図れる。
【0019】
請求項2の貸しロッカーシステムによれば、請求項1の効果に加えて、自由時間内は操作画面等の表示部により一時解除または終了解錠の選択を利用者に促すことができ、終了解錠の選択時には自由時間内である設定を解除することができ、そのロッカーボックスを初期の預け入れ待機状態にすることが可能となる。
【0020】
請求項3の貸しロッカーシステムによれば、請求項1または2の効果に加えて、硬貨や紙幣等の現金の投入を必要としないので、利用時の操作を簡略化できる。
【0021】
請求項4の貸しロッカーシステムによれば、請求項3の効果に加えて、ICカードや携帯電話機等を使用できるので、利用者が利用し易くなる。
【0022】
請求項5の貸しロッカーシステムによれば、請求項1または2の効果に加えて、自由時間内に再度解錠すると、この解錠操作に使用した解錠用番号と異なる新たな解錠用番号が発行されるので、操作の盗み見等による盗難を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の貸しロッカーシステムの実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態の貸しロッカーシステムの外観正面図である。このシステムは「制御手段」としての集中制御装置1とその両側にそれぞれ複数のロッカーボックス2を配置したものである。集中制御装置1の内部には、レシート(利用者用のレシートと後払い方式管理票)を発行するためのプリンタ1a、タッチパネル付きLCD表示器1b、非接触ICカードCdからの電波を受信するカードリーダ1c、携帯電話機Tからの赤外線を受信する赤外線モジュール1d、紙幣の鑑別を行う紙幣鑑別機1e、硬貨の識別を行う検銭機1fが配設されている。
【0024】
集中制御装置1のパネル面には、プリンタ1aからレシートを排出するためのレシート出口1a1、LCD表示器1bの表示窓となる操作表示部1b1、カードリーダ1cで電波の送受信を行うアンテナ部1c1、赤外線モジュール1dで赤外線を受信する赤外線受信部1d1、紙幣鑑別機1eに紙幣を投入するための紙幣投入口1e1、検銭機1fに硬貨を投入するための硬貨投入口1f1、検銭機1fから硬貨を返却するための硬貨返却口1f2、及び硬貨返却レバー1gが配設されている。また、各ロッカーボックス2は、ロッカー扉2aの内部に集中制御装置1からの制御信号に基づいてロッカー扉2aを施解錠する錠装置2b、ロッカー扉2aの開閉状態を検出する扉開閉スイッチ2c、ロッカー扉2aに配設された状態表示用LED2dをそれぞれ備えている。
【0025】
図2は集中制御装置1の要部ブロック図である。集中制御装置1はマイクロコンピュータで構成された制御ユニット(制御部)100と電源100Aを備えており、制御ユニット100にはプリンタ1a、LCD表示器1b、カードリーダ1c、赤外線モジュール1d、紙幣鑑別機1e、検銭機1f、各ロッカーボックス2の各錠装置2bが接続されている。また、錠装置2bには図示しない基板を介して、扉開閉スイッチ2c、状態表示用LED2dがそれぞれ接続されている。制御ユニット100は、プリンタ1aへの印字データの出力、LCD表示器1bへの表示データの出力と操作状態の検出を行う。
【0026】
また、制御ユニット100は、カードリーダ1c、赤外線モジュール1d、紙幣鑑別機1e及び検銭機1fからのデータの入力や紙幣や硬貨の鑑別状態を検出する。さらに、制御ユニット100は、錠装置2bを介して、扉開閉スイッチ2cの操作状態を検出するとともに、状態表示用LED2dの駆動制御を行う。そして、制御ユニット100は後述の制御プログラムに基づいて貸しロッカーシステムの制御を行う。
【0027】
この実施形態では、操作形態の異なる第1〜第3モード及び管理者モードを選択することができる。第1モードでは現金投入による施錠及び暗証番号の発行を行い、暗証番号による解錠を行う。第2モードでは非接触ICカードCdのIDコードにより施錠及び解錠を行う。第3モードでは携帯電話機TのIDコードにより施錠及び解錠を行う。管理者モードは、管理者が使用する管理者ICカードの管理者IDにより、該管理者モードの処理に入ることができる。
【0028】
以下、主に第1モード及び第2モードの処理について説明する。なお、ロッカーボックス2が空き状態(非使用状態)のときは、錠装置2bは解錠状態で状態表示用LED2dが緑色に点灯されている。また、操作表示部1b1の初期画面には、「預け入れ」、「取り出し」等の表示が行われている。利用者は、空き状態のロッカーボックス2に荷物を収納してロッカー扉2aを閉めると扉開閉スイッチ2cでロッカー扉2aの閉状態が検出され、錠装置2bは仮施錠されて状態表示用LED2dが赤色で点滅する。次に、操作表示部1b1のタッチパネルを操作して、「預け入れ」または「取り出し」の所望の処理を選択する。この場合は「預け入れ」を選択すると、操作表示部1b1には利用料金(金額)が表示されるとともに、「暗証番号」、「ICカード」、「携帯電話」の表示によりモードを選択するように案内が表示されるので、操作表示部1b1のタッチパネルを操作してモードを選択する。
【0029】
第1モード(暗証番号)では、利用者が「預け入れ」及び「暗証番号」を選択すると、、操作表示部1b1に利用料金を投入するように案内する表示が行われる。硬貨投入口1f1から硬貨(例えば100円硬貨)を投入するか、紙幣投入口1e1から紙幣を投入すると錠装置2bが施錠(本施錠)され、状態表示用LED2dが赤色の点灯に変わり、レシートと領収書が発行される。このレシートには、解錠用の例えば6桁の暗証番号、ロッカー番号、ロッカー装置が配置されている場所(ロケーション情報)、利用日時等の各種のロッカー情報が印字されている。
【0030】
解錠操作をするときは、操作表示部1b1の初期画面で「取り出し」を選択するとともに、次の画面で「暗証番号」(第1モード)を選択する。そして、操作表示部1b1からレシートに印字されている暗証番号を入力し、暗証番号が認証されると、利用開始から所定の自由時間(所定時間)内であれば、一時解錠か終了解錠かを選択する画面が表示される。この「一時解錠」とは、荷物の入れ忘れや入れ過ぎ等により一時的にロッカー扉を解錠したい場合の処理であり、「終了解錠」とは利用を終了する場合の処理である。「一時解錠」を選択すると新たな暗証番号を印紙したレシートが発行されるとともに、錠装置2bが解錠されて、状態表示用LED2dが赤の点滅となる。そして、入れ忘れた荷物を入れたり入れ過ぎた荷物を取り出し、ロッカー扉2aを押すと本施錠される。
【0031】
一方、暗証番号が認証されたとき自由時間内でない場合は、一時解錠か終了解錠かを選択する画面は表示されず、通常の解錠処理が行われる。この通常の解錠処理では、時間超過による超過料金が発生している場合は、操作表示部1b1に追加の料金投入を案内する表示が行われ、追加の料金を硬貨投入口1f1あるいは紙幣投入口1e1から投入すると、プリンタ1aによりレシート及び領収書が発行されるとともに、錠装置2bが解錠され、状態表示用LED2dが赤の点滅となる。また、自由時間内でも「終了解錠」を選択した場合は、自由時間内であることの設定が解除されるとともに、上記同様な通常の解錠処理が行われる。
【0032】
第2モード(ICカード)では、「預け入れ」及び「ICカード」を選択すると、操作表示部1b1にICカードCaを集中制御装置1のアンテナ部1c1にかざすように促す表示が行われる。そこで、利用者が非接触ICカードCaを集中制御装置1のアンテナ部1c1にかざすと、その非接触ICカードCaのIDコードとチャージデータが集中制御装置1側で読み取られる。そして、チャージデータの金額が利用料金以上であれば、そのチャージデータから利用料金を引き落としてチャージデータが書き換えられ、レシートが発行されるとともに錠装置2bが本施錠される。状態表示LED2dは前記同様に赤色の点灯に変わり、使用状態を表示する。なお、チャージデータの金額が料金不足の場合は、仮施錠が解錠される。
【0033】
また、解錠操作をするときは、操作表示部1b1で「ICカード」を選択し、非接触ICカードCaのIDコード、チャージデータを読み取らせる。IDコードが認証されると、前記第1モードと同様に、自由時間内の「一時解錠」または「終了解錠」、あるいは、自由時間内でない場合の超過料金等の処理が行われる。
【0034】
なお、第3モード(携帯電話)の場合は、「預け入れ」及び「携帯電話」の選択で預け入れ処理を行い、「取り出し」及び「携帯電話」の選択で取り出し処理を行うが、これらの処理は、第2モードにおけるIDコードの認証とチャージデータからの料金の引き落としに代えて、電話番号等のIDの認証処理と課金処置を行う処理であり、詳細な説明は省略するが細部の処理は第2モードと同様である。
【0035】
各モードにおいて、施錠/解錠の対象とするロッカーボックス2は、暗証番号(第1モード)、非接触ICカードCaのIDコード(第2モード)、携帯電話機Tの電話番号(第3モード)などの「解錠用番号」にそれぞれ対応付けられており、解錠操作のとき、集中制御装置1において、これらの解錠用番号を確認し、認証されれたその解錠用番号に対応する対象ロッカーボックス2を特定し、解錠を行っている。
【0036】
また、初期画面の状態で管理者ICカードをアンテナ部1c1にかざすと、その管理者IDが集中制御装置1側で読み取られ、認証されると管理者モードとなる。そして、この管理者モードでは、自由時間(所定時間)の時間間隔の任意の設定を行うことができる。また、その他、売上げ集計、ボックス内容点検、強制解錠、強制施錠、別途保管、新規受付禁止設定等の各種の処理を行うことができる。
【0037】
図3は集中制御装置1の制御ユニット100における制御プログラムのメイン処理の要部フローチャート、図4は預け入れ処理の要部フローチャート、図5は取り出し処理の要部フローチャートであり、同フローチャートを参照しながら動作を説明する。なお、メイン処理は、各ロッカーボックス2の全ての錠装置2bをサイクリックに走査して、各ロッカーボックス2毎の処理を行う。また、制御ユニット100は、各ロッカーボックス2(錠装置2b)毎に、各種の状態を記憶するためのレジスタやフラグ等を用いている。例えば、各ロッカーボックス2について、そのロッカーボックス2の利用開示時間(日時、時刻)を記録するレジスタや、そのロッカーボックス2が自由時間内でるか否かを示すフラグを用いている。そして、各ロッカーボックス2について利用開始時間を記憶しておき、制御ユニット100の内部のカレンダー付き時計による現在時刻と利用開始時間とを比較して、利用開始からの経過時間を判定する。そして、その経過時間が所定の自由時間(時間間隔)以内であるか否かを判定する。そして利用開始時に自由時間内と設定する場合に所定のフラグをセットし、自由時間が経過したらフラグをリセットする。また、後述の「終了解錠」の場合にはこのフラグを強制的にリセットする。
【0038】
図3のメイン処理では、ステップS1で操作表示部1b1に「預け入れ」か「取り出し」を選択する初期画面を表示し、ステップS2で扉スイッチ2cのONイベントの有無を判定する。このONイベントとはスイッチのON状態であるか否かではなく、ONとなったことが発生しているか否かという意味である。ONイベントが無ければステップS5に進み、ONイベントが有ればステップS3で、そのONイベントが有ったロッカーボックス2が自由時間内であるか否かを判定する。そして、自由時間内でなければステップS4で対応する錠装置2bを仮施錠してステップS5に進み、自由時間内であればステップS9で錠装置2bを本施錠してステップS2に戻る。このステップS9の本施錠は、後述の「一時解錠」の処理後の施錠操作に対応している。
【0039】
ステップS5では、操作表示部1b1の画面操作が有るかを判定し、画面操作が有ればステップS6に進み、画面操作が無ければステップS2に戻る。なお、画面操作が無ければステップS2→S5→S2を繰り返すが所定時間内に操作が無ければ仮施錠を解錠する。ステップS6では、「預け入れ」か「取り出し」の何れが選択されたかを判定し、「預け入れ」が選択されればステップS7で図4の預け入れ処理を行い、「取り出し」が選択されればステップS8で図5の取り出し処理を行う。
【0040】
図4の預け入れ処理では、ステップS11で仮施錠状態のロッカーボックスが有るかを判定し、無ければ元のルーチンに復帰し、仮施錠状態のロッカーボックスが有れば、ステップS12で、操作表示部1b1に「暗証番号」、「ICカード」、「携帯電話」の表示によるモード選択画面を表示し、ステップS13で操作表示部1b1での画面操作を監視する。なお、所定時間内に操作が無ければ仮施錠を解錠して元のルーチンに復帰する。
【0041】
画面操作が有ると(モードが選択されると)、ステップS14で第1〜第3モードのいずれのモードが選択されたかを判定する。第1モードが選択されればステップS15,S16,S17に進んで暗証番号の処理(第1モードの処理)を行い、第2モードが選択されればステップS18〜S23でICカード処理を行い、第3モードが選択されればステップS26で携帯電話の処理(第3モードの処理)を行う。
【0042】
第1モードのとき、すなわちステップS15では、利用料金を表示するとともに料金を投入するように案内する表示を行う。次に、ステップ16で料金が投入されるのを監視し、所定時間内に料金が投入されると、ステップS17で暗証番号を生成するとともに、この暗証番号や、ロッカー番号、ロケーション情報等を印字したレシートを発行する。そして、ステップS24で錠装置2bを本施錠し、ステップS25で対応するロッカーボックスを自由時間内として設定し、メインルーチンに復帰する。なお、ステップS16で料金が投入されずに所定時間経過すると仮施錠を解錠してメインルーチンに復帰する。
【0043】
第2モードのとき、すなわちICカード処理では、ステップS18で利用料金を表示し、ステップS19でICカードCaからデータの読み取りを行い、ICカードCaのIDコード、チャージデータの情報を読み取り、IDコードの確認とチャージデータの確認を行う。次に、ステップS20でチャージデータの金額(チャージ金額)が利用料金以上であるか否かを判定する。チャージ金額が利用料金以上(同額も含む)であれば、ステップS21で利用料金をチャージデータから引き落とすとともに、ロッカー番号、ロケーション情報等を印字したレシートを発行し、ステップS24に進む。そして、ステップS24で錠装置2bを本施錠し、ステップS25で対応するロッカーボックスを自由時間内として設定し、メインルーチンに復帰する。なお、ステップS20でチャージ金額が利用料金以上でなければ、ステップS22で不足金額の表示を行い、ステップS23で仮施錠を解錠してメインルーチンに復帰する。
【0044】
なお、この預け入れ処理により本施錠したとき、暗証番号やIDコードと、該預け入れ処理を行ったロッカーボックスのロッカー番号とは、予め設定されているメモリに記憶されることはいうまでもない。また、後述のように一時解錠により新たな暗証番号を発行した場合はこの対応関係は更新される。
【0045】
図5の取り出し処理では、ステップS31で、操作表示部1b1に「暗証番号」、「ICカード」、「携帯電話」の表示によるモード選択画面を表示し、ステップS32で操作表示部1b1での画面操作を監視する。なお、所定時間内に操作が無ければ仮施錠を解錠して元のルーチンに復帰する。
【0046】
画面操作が有ると(モードが選択されると)、ステップS33で第1〜第3モードのいずれのモードが選択されたかを判定する。第1モードが選択されれば、ステップS34で、暗証番号の入力処理を行うとともに暗証番号の認証処理を行い、ステップS37に進む。なお、暗証番号が入力されずに所定時間経過した場合にはメインルーチンに復帰する。
第2モードが選択されれば、ステップS35でICカードCaからデータの読み取りを行い、IDコードの確認を行ってステップS37に進む。第3モードが選択されればステップS36で携帯電話の処理(第3モードの処理)を行う。
【0047】
ステップS37では、入力された暗証番号あるいは読み取られたIDコードが認証されたか判定し、認証されればステップS38に進み、認証されなければそのままメインルーチンに復帰する。ステップS38では、暗証番号あるいはIDコードに対応する取り出し対象のロッカーボックスが自由時間内であるか否かを判定する。なお、この取り出し対象のロッカーボックスは、預け入れ時に、現在認証された暗証番号あるいはIDコードに対応付けて記憶されている。自由時間内でなければステップS45に進み、自由時間内であればステップS39で、操作表示部1b1に「一時解錠」か「終了解錠」かを選択する表示を行い、ステップS40で操作表示部1b1での画面操作を監視する。なお、所定時間内に操作が無ければ元のルーチンに復帰する。
【0048】
画面操作が有ると、ステップS41で「一時解錠」か「終了解錠」の何れが選択されたかを判定し、「一時解錠」が選択されればステップS42に進み、「終了解錠」が選択されればステップS44に進む。ステップS42では、第1モードであるか否かを判定し、第1モードでなければステップS47で錠装置2bを解錠して元のルーチンに復帰する。第1モードであれば、ステップS43で新たな暗証番号を生成するとともに、この新たな暗証番号、ロッカー番号、ロケーション情報等を印字したレシートを発行する。そして、ステップS47で錠装置2bを解錠して元のルーチンに復帰する。
【0049】
ステップS41で「終了解錠」が選択された場合には、ステップS44で当該ロッカーボックスを自由時間内から解除し、ステップS45に進む。ステップS45では超過料金が発生しているかを判定し、超過料金が無ければステップS47で錠装置2bを解錠して元のルーチンに復帰し、超過料金が発生していれば、ステップS48で料金投入による超過料金の回収等の処理を行い、ステップS47で錠装置2bを解錠して元のルーチンに復帰する。
【0050】
以上の自由時間は各ロッカーボックス2について一律に数分間(例えば5〜10分)の一定時間であり、利用者は、利用料金を支払って利用開始した時点(ステップS25の時点)から自由時間内では、暗証番号、ICカードあるいは携帯電話機によりロッカーボックスを解錠して、自由に荷物の出し入れをすることができ、さらに料金を支払わずにロッカー扉2aを押すだけで本施錠をすることがでいる。また、自由時間内に利用を終了するときは、「終了解錠」を選択することで自由時間が解除され、そのロッカーボックスは利用待機状態(解錠待機状態)になる。
【0051】
また、第1モードの暗証番号で利用する場合、自由時間内に解錠する毎に新たな暗証番号がレシートで発行されるので、操作の盗み見等による盗難を防止できる。
【0052】
ところで、上記の自由時間は、管理者による管理者モードで各ロッカーボックス毎に任意に設定することができる。そこで、この自由時間を例えば数時間あるいは1日間のように長時間に設定することにより、利用者が特定のロッカーボックスを長時間に亘って自由に利用することが可能になる。このような場合には、最初の利用料金を自由利用に対応するように通常より高い料金に設定してもよい。
【0053】
以上の実施例では、自由時間内であるか否かをレジスタの利用開示時間と現在時刻で判定し、あるいは自由時間内の設定状態であるか否かをフラグで判定しているようにしているが、前述のように所定のタイマーを用い、タイマーのスタート、タイムアップあるいはタイマーの強制リセットにより同様の制御をするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態の貸しロッカーシステムの外観正面図である。
【図2】実施形態における集中制御装置の要部ブロック図である。
【図3】実施形態におけるメイン処理のフローチャートである。
【図4】実施形態における預け入れ処理のフローチャートである。
【図5】実施形態における取り出し処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 集中制御装置
2 ロッカーボックス
100 制御ユニット
1a プリンタ
1b1 操作表示部
2b 錠装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロッカーボックスと該ロッカーボックスの施解錠を制御する制御手段を備え、利用料金を支払って前記ロッカーボックスを施錠利用状態とするとともに、鍵を使用しないで解錠用番号の照合によりロッカーボックスを解錠するようにした貸しロッカーシステムにおいて、
前記制御手段は、前記ロッカーボックスを施錠利用状態としたときから該ロッカーボックスに対応して所定時間の自由時間に設定し、該自由時間内に該ロッカーボックスについて解錠操作を行ったときは前記利用料金の支払いを行わない状態で前記施錠利用状態に移行可能としたことを特徴とする貸しロッカーシステム。
【請求項2】
前記制御手段は表示部を備え、前記自由時間に設定した前記ロッカーボックスについて該自由時間内に解錠操作が行われる状態で、一時解錠または終了解錠の処理を選択する選択画面を前記表示部に表示し、前記一時解錠の処理が選択されたときは該自由時間の設定状態とするとともに、前記終了解錠の処理が選択されたときは該自由時間内である設定を解除することを特徴とする請求項1に記載の貸しロッカーシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、携帯用送信手段からの解錠用番号を受信して該携帯用送信手段に蓄積されている電子現金により前記利用料金を徴収するとともに、前記ロッカーボックスの施錠及び解錠を当該受信した解錠用番号により制御することを特徴とする請求項1または2に記載の貸しロッカーシステム。
【請求項4】
前記携帯用送信手段がICカード及び/または携帯電話機であることを特徴とする請求項3に記載の貸しロッカーシステム。
【請求項5】
前記ロッカーボックスに対応する前記解錠用番号は、前記施錠利用状態としたときに前記制御手段が発行するとともに、該制御手段は、前記自由時間内に施錠利用状態とした時に該ロッカーボックスに対応する前記解錠用番号を新規に発行することを特徴とする請求項1または2に記載の貸しロッカーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−102275(P2007−102275A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287520(P2005−287520)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000170598)株式会社アルファ (433)
【Fターム(参考)】