説明

質量流量コントローラのシステムおよび方法

【課題】質量流量コントローラの製造中に使用されたものと異なる流体および/動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成する方法を提供する。
【解決手段】さまざまな異なるタイプの流体および動作条件の下で一定の制御ループ利得を有するように質量流量コントローラを制御し、質量流量コントローラの製造中に使用されたものと異なる流体および/動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するシステムおよび方法。さらに、このシステムおよび方法には、非動作信号をソレノイド作動装置に供給することによってソレノイド作動装置のヒステリシスの影響を減らすことによって制御を提供することが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には流体の流量を制御する方法およびシステムに関し、具体的には、質量流量コントローラ(massflow controller)の製造中に使用されるものと異なる可能性がある任意のプロセス流体および/またはプロセス動作条件で使用するように構成することができる質量流量コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる2001年4月24日出願の米国特許出願第60/285,801号、表題「SYSTEMAND METHOD FOR A MASS FLOW CONTROLLER」に対する、米国特許法§119(e)の35の下での優先権を主張するものである。
【0003】
多くの産業プロセスが、さまざまなプロセス流体の正確な制御を必要とする。たとえば、製薬産業および半導体産業では、質量流量コントローラが、プロセス室に導入されるプロセス流体の量を正確に測定し、制御するのに使用される。用語流体は、本明細書では、流れることができるすべての状態の物体のすべてのタイプを記述するのに使用される。用語流体が、制御された流れが重要である可能性がある物体または物質の任意の組合せを含む液体、気体、および懸濁液に適用されることを理解されたい。
【0004】
通常の質量流量コントローラには、一般に、4つの主要な部分すなわち、流量計、制御バルブ、バルブアクチュエータ、およびコントローラが含まれる。流量計は、流路の流体の質量流量を測定し、その流量を示す信号を供給する。流量計には、質量流量センサおよびバイパスを含めることができる。質量流量センサは、流体的にバイパスに結合されたセンサ導管内の流体の質量流量を測定する。センサ導管内の質量流量は、バイパス内を流れる流体の質量流量にほぼ比例し、この2つの合計が、質量流量コントローラによって制御される流路を介する総流量である。しかし、一部の質量流量コントローラは、バイパスを使用しない場合があり、したがって、流体のすべてがセンサ導管(sensorconduit)を介して流れる場合があることを理解されたい。
【0005】
多くの質量流量コントローラでは、離隔された位置でセンサ導管の回りに巻き付けられる、それぞれが温度に伴って変化する抵抗値を有する抵抗の対を含む、熱質量流量センサが使用される。流体がセンサ導管を介して流れる時に、熱が、上流の抵抗から下流の抵抗に向かって運ばれ、その温度差は、センサ導管およびバイパスを通って流れる流体の質量流量に比例する。
【0006】
制御バルブは、主流路(通常は、バイパスおよび質量流量センサの下流)に配置され、これを制御(たとえば開けるか閉じる)して、主流路を通って流れ、質量流量コントローラによって供給される流体の質量流量を変更することができる。バルブは、通常は、バルブアクチュエータによって制御され、バルブアクチュエータの例には、ソレノイドアクチュエータ、圧電アクチュエータ、ステッパアクチュエータなどが含まれる。
【0007】
制御電子回路が、質量流量コントローラによって供給されることが望まれる流体の質量流量を示す設定点と、センサ導管を流れる流体の質量流量の実際の質量を示す質量流量センサからの流れ信号とに基づいて、制御バルブの位置を制御する。比例制御、積分制御、PI(proportional−integral)制御、微分制御、PD(proportional−derivative)制御、ID(integral−derivative)制御、およびPID(proportional−integral−derivative)制御などの従来のフィードバック制御方法が、質量流量コントローラで流体の流れを制御するのに使用される。前述のフィードバック制御方法のそれぞれで、制御信号(たとえば、制御バルブ駆動信号)が、流体の所望の質量流量を示す設定点信号と、質量流量センサによって感知された実際の質量流量に関連するフィードバック信号との間の差である誤差信号に基づいて生成される。
【0008】
多くの従来の質量流量コントローラは、構成要素の挙動に敏感であり、構成要素の挙動は、流体の種類、流量、入口圧力および/または出口圧力、温度などを含む複数の動作条件のいずれにも依存する可能性がある。さらに、従来の質量流量コントローラは、質量流量コントローラの製造に使用される構成要素の組合せに固有の不均一性を示す場合があり、これによって、質量流量コントローラの一貫性のない望ましくない動作がもたらされる可能性がある。
【0009】
これらの問題のいくつかと戦うために、質量流量コントローラを、製造中にチューニングおよび/または較正することができる。製造には、一般に、動作条件の組の下でテスト流体に対して質量流量コントローラを動作させ、質量流量コントローラをチューニングし、かつ/または較正し、その結果、満足な挙動を示すようにすることが含まれる。
【0010】
当業者に既知のとおり、質量流量コントローラのチューニングおよび/または較正は、高価な労働集中型の手順であり、しばしば、1人または複数の熟練したオペレータおよび特殊化された機器を必要とする。たとえば、質量流量コントローラの質量流量センサ部分は、センサ部分を介して既知の量の既知の流体を走らせ、適当な応答を示すようにあるフィルタまたは構成要素を調整することによってチューニングすることができる。その後、バイパスをセンサに取り付け、バイパスを、既知の流体を用いてチューニングして、さまざまな既知の流量での主流体流路内を流れる流体の適当な比率を反映させる。その後、質量流量センサ部分およびバイパスを、制御バルブおよび制御電子回路部分とはめ合わせ、その後、既知の条件の下でもう一度チューニングする。
【0011】
エンドユーザによって使用される流体のタイプが、チューニングおよび/または較正に使用される流体と異なる時、または、エンドユーザによって使用される、入口圧力および出口圧力、温度、流量の範囲などの動作条件が、チューニングおよび/または較正に使用される条件と異なる時には、質量流量コントローラの動作が、劣化すると期待することができる。この理由から、追加の流体(「代理(surrogate)流体」と称する)およびまたは動作条件が、しばしばチューニングされるか較正され、満足な結果をもたらすのに必要な変更が、ルックアップテーブルに保管される。
【0012】
異なる動作条件で異なる流体を用いる追加のチューニングおよび/または較正の使用を、質量流量コントローラの性能を改善するために使用することはできるが、このタイプの代理のチューニングおよび/または較正は、時間がかかり、高価である。というのは、チューニング手順および/または較正手順を、少なくとも代理流体のそれぞれについて繰り返さなければならず、各代理流体について複数の異なる動作条件で繰り返さなければならない可能性が高いからである。さらに、代理流体は、エンドユーザによって使用される可能性があるさまざまなタイプの流体の挙動を近似するだけなので、エンドユーザサイトでの質量流量コントローラの実際の動作が、チューニングおよび/または較正中の動作とかなり異なる可能性がある。質量流量コントローラを使用する産業および応用分野の広い範囲を考慮すると、エンドユーザによって質量流量コントローラに適用されるプロセス流体およびプロセス動作条件は、複数の代理流体および代理動作条件での質量流量コントローラのチューニングおよび/または較正にかかわらず、質量流量コントローラがチューニングされ、かつ/または較正されたテスト流体およびテスト動作条件と異なる可能性が高い。
【0013】
質量流量コントローラの性能および応答に影響する可能性がある前述の外部要因(たとえば、流体の種類、流量、入口圧力および/または出口圧力、温度など)に加えて、質量流量コントローラの物理的動作に関連する要因も、外部要因および変化する条件に対する質量流量コントローラの総合的な敏感さに寄与する可能性がある。たとえば、質量流量コントローラの流れを制御するのに使用されるバルブの多くが、ソレノイド作動(solenoidactuated)装置である。
【0014】
質量流量コントローラの複数の製造業者が、圧電アクチュエータを使用するが、ソレノイドアクチュエータは、一般に、単純さ、すばやい応答、および低いコストに起因して、好ましい。それでも、ソレノイド作動制御バルブは、いくつかの短所を有し、ソレノイド作動制御バルブ(およびソレノイド作動装置全般)のより重要な短所の1つが、ヒステリシスを示すことである。ヒステリシスは、磁気学、電磁気学、または磁性材料を使用する多くの装置に共通する周知の現象である。一般に、ヒステリシスは、変化する磁化力に起因する結果の磁化の値の遅れまたは遅延にあてはまる。多くのソレノイド作動装置では、これが、装置の動作が装置の現在の状態だけではなく、前の状態にも依存する状態をもたらす。
【0015】
ソレノイド作動制御バルブがヒステリシスを示すことが、一般に理解されている。このヒステリシスが、質量流量コントローラ内の流れがない状態と制御された流れの状態の間での推移に関するバルブの一貫性に悪影響を及ぼすことも、一般に理解されている。それでも、普通の質量流量コントローラ設計では、この短所が、通常は、ソレノイド作動制御バルブを使用することの必要な短所として受け入れられ、多くの製造業者にとって、この短所より、単純さ、コスト、および信頼性などのソレノイド作動制御バルブの長所の方が重要である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、質量流量コントローラの製造中に使用されるテスト動作条件と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件で動作する質量流量コントローラを構成する方法が提供される。この方法には、テスト動作条件を用いて質量流量コントローラの応答を確立する動作と、プロセス動作条件に基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの制御パラメータを修正し、そのプロセス動作条件で動作する質量流量コントローラの応答が実質的に変化しなくなるようにする動作とが含まれる。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態には、プロセッサで実行されるプログラムをエンコードされたコンピュータ可読媒体が含まれ、このプログラムによって、プロセッサで実行される時に、製造中に質量流量コントローラの応答を確立するのに使用されるテスト動作条件の組と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件の組で動作するように質量流量コントローラを構成する方法が実行される。この方法には、入力としてプロセス流体種類情報およびプロセス動作条件の少なくとも1つを受け取る動作と、入力に基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの動作パラメータを修正し、質量流量コントローラの応答がプロセス動作条件で動作する時と実質的に変化しないようにする動作が含まれる。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態によれば、動作条件の第1組で使用される時に第1応答を有し、構成の前に動作条件の第2組で使用される時に第1応答と実質的に異なる第2応答を有する質量流量コントローラを構成する方法が提供される。この方法には、動作条件の第1組で質量流量コントローラを動作させる動作と、動作させる動作中に質量流量コントローラから構成データを得る動作と、動作条件の第1組での第1応答を提供するために構成データに基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの制御パラメータをセットする動作と、動作条件の第2組で第1応答をもたらすために構成データに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作とが含まれる。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態によれば、制御ループを有する質量流量コントローラを構成する方法であって、質量流量コントローラが、質量流量コントローラによって供給される流体の実際の流れを監視し、条件付けられた出力信号を供給する流量計であって、第1利得項を有する流量計と、質量流量コントローラによって供給される流体の所望の流れを表す第2入力信号を受け取り、制御信号を供給する制御セクションであって、少なくとも1つの可変動作条件の関数である第2利得項を有する制御セクションと、バルブの1つまたは複数の要素の変位に基づいて流体の流れを可能にするバルブであって、第3利得項を有するバルブと、制御信号を受け取り、バルブの1つまたは複数の要素の変位を調整するバルブアクチュエータであって、実質的に一定の制御ループ利得を有するために第4利得項を有するバルブアクチュエータとを含む、方法が提供される。この方法は、動作条件の第1組を使用して第1流体に関する第1、第3、および第4の利得項を決定する動作と、第2流体および動作条件の第2組の少なくとも1つに伴って第1、第3、および第4の利得項がどのように変化するかを予測する動作と、少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関して実質的に一定の制御ループ利得を提供するために、第2利得項を、定数に第1、第3、および第4の利得項の積の逆数をかけたものに変更する動作とが含まれる。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態によれば、質量流量コントローラの制御ループを定義する複数の構成要素を有する質量流量コントローラを制御する方法が提供される。方法は、少なくとも1つの可変動作条件の関数である少なくとも1つの制御ループ制御パラメータを形成する動作と、少なくとも1つの制御ループ制御パラメータを質量流量コントローラの制御ループに適用することによって、少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関する制御ループの一定のループ利得を維持する動作とが含まれる。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態には、質量流量コントローラであって、流路内の流体の流れを感知し、流路内の質量流量を表す流れ信号を供給するように適合された流量計と、少なくとも部分的に流れ信号に基づいて駆動信号を供給する、流量計に結合されたコントローラと、コントローラから駆動信号を受け取るバルブアクチュエータと、バルブアクチュエータによって制御される、流体経路に結合されたバルブとを含む質量流量コントローラが含まれる。質量流量コントローラには、さらに、一定の閉ループ利得を有する質量流量コントローラの制御ループが含まれる。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態には、制御ループを有する質量流量コントローラが含まれ、この質量流量コントローラには、流路の流体の流れを感知し、流路内の質量流量を表す流れ信号を供給するように適合された流量計と、流量計に結合された、少なくとも部分的に流れ信号に基づいて駆動信号を供給するように適合されたコントローラと、コントローラから駆動信号を受け取るように適合されたバルブアクチュエータと、バルブアクチュエータによって制御されるように適合され、流体流路に結合されたバルブとが含まれ、質量流量コントローラの制御ループに、流量計、コントローラ、バルブアクチュエータ、およびバルブが含まれ、制御ループが、動作中の少なくとも1つの可変動作条件に関して実質的に一定の制御ループ利得項を有するように適合される。
【0023】
本発明のもう1つの実施形態によれば、質量流量コントローラが提供される。この質量流量コントローラには、第1利得項を有し、質量流量コントローラの流路内の流体の質量流量を感知し、流路内の流体の質量流量を表す流れ信号を供給する流量計と、第2利得項を有し、流路内の流体の質量流量を制御する制御信号を受け取るバルブと、第3利得項を有し、駆動信号を受け取り、制御信号をバルブに供給するバルブアクチュエータと、コントローラとが含まれる。コントローラは、流れ信号を受け取る第1入力と、流体の所望の質量流量を表す設定点信号を受け取る第2入力と、駆動信号をバルブアクチュエータに供給する出力とを有する。コントローラは、第1利得項、第2利得項、および第3利得項の少なくとも1つの積の逆数をとることによって形成される逆数利得項(reciprocalgain term)を提供するように適合される。
【0024】
本発明のもう1つの態様によれば、入口圧力で流体の流れを受け取るバルブ入口と、出口圧力で流体の流れを供給するバルブ出口とを有するバルブの変位を決定する方法が提供される。この方法には、入口圧力と出口圧力との間の中間圧力を選択する動作と、入口圧力から中間圧力への粘性圧力低下に基づいてバルブの第1変位を決定する動作と、中間圧力から出口圧力への無線性圧力低下に基づいてバルブの第2変位を決定する動作と、第1変位が第2変位と近似的に等しいかどうかを判定する動作と、第1変位が第2変位と近似的に等しい時に、バルブの変位として第1変位および第2変位の1つを選択する動作とが含まれる。
【0025】
本発明のもう1つの態様によれば、ソレノイド作動装置のヒステリシスの影響を減らす方法が提供される。一実施形態では、方法に、装置を所定の状態にするために、ソレノイド作動装置に所定の非動作信号を適用する動作が含まれる。
【0026】
もう1つの実施形態によれば、ソレノイド作動装置を動作させる方法に、(a)ソレノイド作動装置を第1位置から第2位置に移動するためにソレノイド作動装置にエネルギの第1量を供給する動作と、(b)ソレノイド作動装置を第1位置に戻すためにソレノイド作動装置にエネルギの第2量を供給する動作と、(c)エネルギの第1量がエネルギの所定の量を超える時に、動作(b)の後にソレノイド作動装置を所定の状態にセットする動作とが含まれる。
【0027】
本発明のもう1つの実施形態によれば、ソレノイド作動装置と、ソレノイド作動装置に結合されたソレノイドアクチュエータとを含む装置が提供される。アクチュエータは、装置を所定の状態にセットするためにソレノイド作動装置に非動作信号を供給するように適合される。
【0028】
本発明のもう1つの実施形態によれば、製造中に質量流量コントローラの第1応答を確立するのに使用されるテスト動作条件の組と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件の組で動作するように質量流量コントローラを構成する方法が提供される。この方法には、動作条件の第1組を用いて質量流量コントローラの特性を表す動作と、特性を表す動作中に構成データを得る動作と、質量流量コントローラの応答が実質的に変化しないように、構成データおよびプロセス動作条件に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作とが含まれる。
【0029】
本発明のもう1つの態様によれば、スプラインを使用して、質量流量計の出力信号を線形化する線形化曲線を形成することができる。一実施形態によれば、3次スプラインを使用して、質量流量計の伝達関数を定義することができる。もう1つの実施形態によれば、3次スプラインを、質量流量計の伝達関数の逆数にあてはめることができる。
【0030】
本発明のさまざまな長所、新規の特徴、および目的は、添付図面と共に検討される時に、本発明の下記の詳細な説明から明白になる。図面は、概略的であり、原寸通りであることを意図されていない。図面では、さまざまな図面に示される、同一のまたはほぼ同一の構成要素のそれぞれが、同一の符号によって示される。図を明瞭にするために、すべての図面ですべての構成要素に符号が付けられてはおらず、当業者が本発明を理解できるようにするのに図示が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての要素を図示してはいない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態による、さまざまな異なる流体と共に、さまざまな異なる動作条件で使用することができる質量流量コントローラの概略ブロック図である。
【図2】図1に示された流量計のより詳細な概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態による、流れのステップ変化に応答する質量流量センサのさまざまな出力信号を示す図である。
【図4】図1に示された利得/リード/ラグコントローラ回路のより詳細な概略図である。
【図5】図1に示されたバルブアクチュエータのより詳細な概略図である。
【図6】図4に示された複数の信号の信号波形を示す図である。
【図7a】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図7b】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図7c】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図7d】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図7e】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図7f】本発明の実施形態による、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量センサを構成する方法を示す図である。
【図8】従来技術による、質量流量コントローラの常時閉ソレノイド作動制御バルブのヒステリシスの原理を示す図である。
【図9】本発明の実施形態による、ヒステリシスの影響を軽減するためにソレノイド作動制御バルブに供給することができる振幅が減る正弦波形信号を示す図である。
【図10】本発明のもう1つの実施形態による、ヒステリシスの影響を軽減するためにソレノイド作動制御バルブに供給することができる振幅が減る方形信号を示す図である。
【図11】本発明のもう1つの実施形態による、ヒステリシスの影響を軽減するためにソレノイド作動制御バルブに供給することができるもう1つの振幅が減る正弦波形信号を示す図である。
【図12】本発明のもう1つの実施形態による、ヒステリシスの影響を軽減するためにソレノイド作動制御バルブに供給することができる一定の振幅の鋸歯形信号を示す図である。
【図13】本発明のもう1つの実施形態による、ヒステリシスの影響を軽減するためにソレノイド作動制御バルブに供給することができるパルス状信号を示す図である。
【図14】質量流量コントローラをコンピュータによって自動的に構成することができる、コンピュータおよび質量流量コントローラを含む本発明の実施形態を示す図である。
【図15】自動構成可能な質量流量コントローラを示す、本発明の実施形態を示す図である。
【図16】バルブの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
質量流量コントローラは、質量流量コントローラのさまざまな構成要素の非線形性および/または質量流量コントローラのさまざまな動作条件に対する依存性からの範囲にわたる要因に起因する不安定性に脆弱であることがしばしばである。用語動作条件は、制御することができ、質量流量コントローラの動作に影響する可能性があるさまざまな条件のすべてに全体的に適用される。具体的に言うと、動作条件は、特定の質量流量コントローラと独立に制御することができるさまざまな外部条件に適用される。例示的な動作条件には、流体の種類、設定点または流量、入口圧力および/または出口圧力、温度などが含まれるが、これに制限はされない。
【0033】
しかし、特定のフローコントローラと独立には制御できない、信号特性、システム雑音、または摂動などの他の内部条件が、質量流量コントローラの動作中に存在する可能性があることを理解されたい。具体的に言うと、質量流量コントローラによって使用されるさまざまな信号が、多数の異なる周波数を含む周波数成分を有する場合がある。しかし、信号の周波数成分は、その信号に固有であり、特定の質量流量コントローラから独立に制御可能ではないと思われる。したがって、そのような条件は、特に他の形で述べられない限り、本開示では用語動作条件に含まれないとみなされる。
【0034】
用語質量流量、流体の流れ、および流量は、本明細書では、単位時間あたりの、流路(たとえば図1の流路103)の単位体積または流路の一部(すなわち流体物質流束(fluidmass flux))を介して流れる流体の量を表すのに使用される。
【0035】
用語種類は、流体の特定の実例の特性全体に適用される。種類の変化には、流体タイプの変化(たとえば窒素から水素へ)、流体の成分の変化(たとえば、流体が気体または液体の組合せである場合など)、および/または流体または流体の組合せの状態の変化を含めることができる。具体的に言うと、種類の変化は、質量流量コントローラの動作を変更するかこれに影響することができる、流体の少なくとも1つの特性の変化に適用される。用語種類情報は、特定の流体の種類を定義する任意の数の特性に全体的に適用される。たとえば、種類情報には、流体のタイプ(たとえば、窒素、水素など)、流体の成分(たとえば、水素と窒素)、分子量、比熱、状態(たとえば、液体、気体など)、粘性などを含めることができるが、これに制限はされない。
【0036】
しばしば、質量流量コントローラに、制御ループ内で一緒に結合される複数の異なる構成要素(すなわち、流量センサ、フィードバックコントローラ、バルブなど)が含まれる。制御ループの一部である各構成要素が、関連する利得を有することができる。用語利得は、特定の構成要素または構成要素のグループの入力と出力の間の関係を全体的に指す。たとえば、利得が、入力の変化に対する出力の変化の比を表す場合がある。利得は、1つまたは複数の変数の関数とすることができ、たとえば、質量流量コントローラの1つまたは複数の動作条件および/または特性(たとえば、流量、入口圧力および/または出口圧力、温度、バルブ変位など)の関数とすることができる。一般に、そのような利得関数を、利得項と呼ぶ。利得項、より具体的には利得項の表現を、曲線、関数のサンプル、離散データ点、点の対、定数などとすることができる。
【0037】
質量流量コントローラのさまざまな構成要素または構成要素のグループのそれぞれが、関連する利得項を有することができる(適用可能な利得項を有しない構成要素は、単位利得項を有するとみなすことができる)。質量流量コントローラのさまざまな構成要素に関連する利得項の間の関係は、複雑であることがしばしばである。たとえば、異なる利得項は、異なる変数(すなわち、構成要素の動作条件および/または特性)の関数である場合があり、部分的に非線形である場合があり、互いに関して不釣合いである場合がある。
【0038】
したがって、質量流量コントローラの制御ループの構成要素に関連する利得項のそれぞれの寄与自体が、1つの利得項である。この合成利得項自体は、1つまたは複数の変数の関数とすることができ、質量流量コントローラのさまざまな構成要素の動作条件および/または特性の変換に関する質量流量コントローラの感度に、少なくとも部分的に寄与する可能性がある。
【0039】
本発明の一態様によれば、一定のループ利得を有する制御ループを有する質量流量コントローラが提供される。一実施形態によれば、一定のループ利得は、質量流量コントローラの制御ループの1つまたは複数の構成要素に関連する利得項の積の逆数を形成することによって逆数利得項を決定することと、制御ループに逆数利得項を適用することとによって提供される。
【0040】
一定のループ利得によって、質量流量コントローラの1つまたは複数の動作条件に関して実質的に一定のままになる、質量流量コントローラの制御ループの利得が記述される。具体的に言うと、一定のループ利得は、質量流量コントローラに関連する特定の動作条件の関数または制御ループに関連する個々の利得項の関数として変化しない。一定のループ利得が、正確に一定でない場合があることを理解されたい。測定および計算での不正確さによって、一定のループ利得が変動する可能性がある。しかし、そのような変動は、本明細書で使用される一定のループ利得の定義に含まれるとみなさなければならない。
【0041】
さらに、質量流量コントローラのある構成要素の利得が、動作周波数に伴って変化する場合があることと、質量流量コントローラの信号が、多数の異なる周波数での周波数成分を有することができることを理解されたい。しかし、周波数は、動作条件とはみなされず、したがって、一定のループ利得がそれに関して一定のままになる条件とはみなされない。
【0042】
下に、質量流量コントローラを制御し、構成する、本発明による方法および装置に関するさまざまな概念およびその実施形態の詳細な説明を続ける。本発明が、特定の実施形態に制限されないので、上で述べ、下でさらに概要を示す、本発明のさまざまな態様を、複数の形のいずれかで実施できることを理解されたい。特定の実施形態の例は、例示のみのために提供される。
【0043】
この説明では、本発明のさまざまな態様および特徴を説明する。さまざまな態様および特徴を、わかりやすくするために別々に説明する。当業者は、特定の応用例に応じて、質量流量コントローラでこれらの特徴を選択的に組み合わせることができることを理解するであろう。
【0044】
A.質量流量コントローラの制御
図1に、本発明の実施形態による、質量流量コントローラの概略ブロック図を示す。図1に示された質量流量コントローラには、流量計110、利得/リード/ラグ(GLL)コントローラ150、バルブアクチュエータ160、およびバルブ170が含まれる。
【0045】
流量計110は、流路103に結合される。流量計110は、流路または流路の一部の流体の流量を感知し、感知された流量を表す流れ信号FS2を供給する。流れ信号FS2は、GLLコントローラ150の第1入力に供給される。
【0046】
さらに、GLLコントローラ150には、設定点信号SI2を受け取る第2入力が含まれる。設定点は、質量流量コントローラ100によって供給される所望の流体の流れの表示を指す。図1からわかるように、設定点信号SI2を、GLLコントローラ150に供給する前に、まずスルーレートリミッタまたはフィルタ130を介して渡すことができる。フィルタ130は、信号SI1の設定点信号の瞬間的な変化がGLLコントローラ150に直接に供給されないように制限し、流れの変化が指定された時間期間にわたって行われるようにするように働く。スルーレートリミッタまたはフィルタ130の使用が、本発明の実践に必要ではなく、本発明のある実施形態で省略することができ、所望の流体の流れの表示を供給することができるさまざまな信号のどれであっても、適当な設定点信号とみなされることを理解されたい。用語設定点は、特定の信号を参照せずに、所望の流体の流れを表す値を表す。
【0047】
流れ信号FS2および設定点信号SI2に部分的に基づいて、GLLコントローラ150は、バルブ170を制御するバルブアクチュエータ160に駆動信号DSを供給する。バルブ170は、通常は、流量計110の下流に位置決めされ、バルブの制御される部分の変位に少なくとも部分的に依存して、ある質量流量を許可する。バルブの制御される部分は、図16に関して詳細に説明するように、流路の横断面に配置される可動プランジャとすることができる。バルブによって、流体が流れることを許される横断面の開口の面積を増減することによって、流体経路の流量が制御される。通常、質量流量は、バルブの制御される部分を所望の量だけ機械的に変位させることによって制御される。用語変位は、質量流量が少なくとも部分的に依存する、バルブの変化するもの全体を記述するのに使用される。
【0048】
バルブの変位は、しばしば、ソレノイドアクチュエータ、圧電アクチュエータ、ステッパアクチュエータなどのバルブアクチュエータによって制御される。図1では、バルブアクチュエータ160が、ソレノイドタイプのアクチュエータであるが、他の代替のタイプのバルブアクチュエータを使用することができるので、本発明は、これに制限されない。バルブアクチュエータ160は、コントローラから駆動信号DSを受け取り、信号DSをバルブの制御される部分の機械的変位に変換する。
【0049】
上で述べたように、質量流量コントローラのさまざまな構成要素が、その動作に関連する利得項を有することができる。たとえば、図1には、それぞれ流量計110、GLLコントローラ150、バルブアクチュエータ160、およびバルブ170に関連する利得項A、B、C、およびDが示されている。これらの構成要素と、それに関連する入力信号および出力信号、具体的には流れ信号FS2、駆動信号DS、バルブ信号ADと、流路103を流れる流体の流れによって、質量流量コントローラの制御ループが形成される。利得A、B、C、およびDは、前記の入力と出力の間の関係に関連する。この制御ループの利得項が、合成制御ループ利得に寄与することを理解されたい。
【0050】
通常、この制御ループ利得項は、制御ループの利得項の積である(すなわち、制御ループ利得項は、積A×B×C×Dと等しい)。本明細書で使用される合成利得項は、複数の個々の利得項の寄与を含むすべての利得項を表す。本明細書で使用される合成利得項の表記は、合成利得項に寄与する個々の利得項を表すのに使用される記号の連結として示される。たとえば、上で説明した制御ループ利得項には、利得項ABCDと表される。他の形で注記されない限り、合成利得項について上で説明した表記が、その構成利得項の積になると仮定する。
【0051】
質量流量コントローラの制御ループに関連する個々の利得項は、異なる特性および依存性を有する可能性があり、これによって、複数の依存性を有する可能性がある合成利得項がもたらされる。これらの依存性または変数には、設定点または流量、流体の種類、温度、入口圧力および/または出口圧力、バルブ変位などを含めることができる。出願人は、任意の制御ループ利得項を有する質量流量コントローラが、不安定性に脆弱である可能性があり、上で述べた依存性の一部またはすべての変化に敏感である可能性があることを認識し、理解した。下で、図1に示された例示的利得項のそれぞれを説明する。
【0052】
利得項Aは、流量計に関連し、質量流量コントローラを通る実際の流体の流れと、流量計の示された流れ(たとえばFS2)の間の関係(たとえば、示された流れの変化を実際の流体の流れで割ったもの)を表す。利得項Aは、少なくとも流量の定数関数になるように較正される。しかし、この定数は、少なくとも、質量流量コントローラがそれについて動作する流体の種類に依存する可能性がある。
【0053】
利得項Bは、GLLコントローラに関連し、流量計から受け取った示された流れ信号FS2と、バルブアクチュエータに供給される駆動信号DSの間の関係を表す。利得項Bは、GLLコントローラのフィードバック制御に使用されるさまざまな利得および定数に関する。
【0054】
利得項Cは、バルブアクチュエータに関連し、駆動信号とバルブの変位の間の関係を表す。利得項Cには、駆動信号から電流制御信号または電圧制御信号への変換に関連する利得と、制御信号とバルブの制御される部分の機械的変位に関連する利得を含む、2つの別々の利得の組合せを含めることができる。
【0055】
利得項Dは、バルブに関連し、質量流量コントローラの流量とバルブ変位の間の関係を表す(たとえば、流量の変化をバルブ変位で割ったもの)。利得項Dは、流体の種類、入口圧力および出口圧力、温度、バルブ変位などを含むさまざまな動作条件に依存する可能性がある。下で詳細に説明する本発明の一態様によれば、任意の流体および動作条件に関するバルブに関連する利得項の決定を容易にするバルブの物理モデルが提供される。
【0056】
利得項Gは、利得項A、C、およびDの積の逆数から形成される逆数利得項である。本明細書の説明からわかるように、利得項Gによって、質量流量コントローラの制御ループに一定のループ利得を与えることによって、質量流量コントローラが、動作条件に無関係に一貫性のある形で動作できるようになる。
【0057】
本発明の一態様によれば、特定の質量流量コントローラについて、質量流量コントローラの制御ループのさまざまな構成要素の合成利得項を決定することによって、システム利得項が決定される。逆数利得項が、システム利得項の逆数をとることによって形成される。この逆数利得項を、制御ループに適用し、制御ループが一定のループ利得で動作するようにする。したがって、制御ループのさまざまな利得項が変化する際に、逆数利得項を、一定のループ利得を維持するために変化させることができる。
【0058】
質量流量コントローラのループ利得は、質量流量コントローラと共に使用される流体のタイプに無関係に、質量流量コントローラが動作する動作条件に無関係に一定に保たれるので、異なる流体および/または動作条件に関する質量流量コントローラの応答を、安定したものにすることができ、テスト流体およびテスト動作条件での質量流量コントローラの製造中に観察されたものと同一の挙動を示すようにすることができる。
【0059】
他に注記されない限り、システム利得項は、1つまたは複数の動作条件の関数として本来変化する、質量流量コントローラのさまざまな構成要素に関連する制御ループの利得項の合成物である。たとえば、図1のシステム利得項は、合成利得項ACDである。
【0060】
図1のブロック140で、逆数利得項Gは、システム利得項ACDの逆数をとり、それを入力の1つとしてGLLコントローラに適用することによって形成される。逆数利得項が、質量流量コントローラの制御ループのさまざまな構成要素に関連する利得項のすべてより少数の利得項の逆数にすることができることを理解されたい。たとえば、制御および安定性の改善を、構成要素利得項AC、AD、CDなどの逆数を形成することによって達成することができる。しかし、好ましい実施形態では、利得項Gが、ループ利得が一定のままになるように形成される(すなわち、利得Gは、システム利得項の逆数である)。
【0061】
図2に、流量計110のより詳細な概略ブロック図を示す。流量計は、全体的に、流路または流路の一部を流れる流量を感知し、流量を表す信号を供給するさまざまな構成要素のいずれかを指す。図2の流量計110には、バイパス210、センサおよびセンサ電子回路230、センサおよびセンサ電子回路230からセンサ信号FS1を受け取る正規化回路240、正規化回路240に結合された応答補償回路250、および応答補償回路250に結合された線形化回路260が含まれる。線形化260の出力が、図1の質量流量コントローラに示された流れ信号FS2である。
【0062】
図2には示されていないが、いくつかの実施形態で、センサ信号FS1を、アナログディジタル(A/D)変換器の使用によってディジタル信号に変換することができ、その結果、質量流量コントローラ100のさらなるすべての信号処理を、ディジタルコンピュータまたはディジタル信号プロセッサ(DSP)によって実行できるようになる。1つの好ましい実施形態では、質量流量コントローラ100によって実行されるすべての信号処理が、ディジタルに実行されるが、その代わりにアナログ処理技法を使用することができるので、本発明はこれに制限されない。
【0063】
図2では、センサ導管220によって、流路を流れる流体のある部分が迂回され、流体の残りである流体の大部分が、バイパスを流れる。センサおよびセンサ電子回路230は、センサ導管に結合され、導管を通る流量を測定する。導管を流れる流体の量は、バイパスを流れる流体に比例する。しかし、質量流量コントローラが動作することを意図される流量の範囲内で、導管内の流量とバイパス内の流量の間の関係が、線形でない場合がある。
【0064】
さらに、熱センサによって、導管の区間にまたがる温度変化を検出することによって、流量が測定される。したがって、いくつかの実施形態、特に熱センサが実施される実施形態で、温度依存性、特に質量流量コントローラが動作する流量の範囲の両極端(本明細書では、それぞれゼロ流れおよびフルスケール流れと称する)での温度依存性が存在する可能性がある。
【0065】
正規化回路240は、センサ信号FS1を受け取り、ゼロ流れ(zeroflow)およびフルスケール流れ(full scale flow)での潜在的な温度依存性について訂正する。具体的に言うと、流体が導管および/またはバイパスを流れていない(すなわちゼロ流れ)時に、センサによって、非0センサ信号が作られる場合がある。さらに、流れのこの偽の表示が、温度に依存する可能性がある。同様に、センサ信号FS1が、フルスケール流れで温度に依存するゆらぎを経験する場合がある。ゼロ流れでの信号FS1の温度依存変動の訂正は、ゼロ流れで複数の異なる温度でセンサ信号FS1の値を測定し、その後、センサの温度に基づいて信号FS1に訂正係数を適用することによって実行することができる。フルスケール流れでのセンサ信号FS1の温度依存変動の訂正は、異なる値の温度でのセンサ信号の測定および温度に基づく適当な訂正係数の適用に基づいて、同様の形で実行することができる。
【0066】
さらに、温度依存性を、質量流量コントローラが動作することが望まれる範囲全体にわたる特性点について同様に測定することができる。したがって、流量および温度の関数である訂正曲線を、ゼロ流れ、フルスケール流れ、およびその間の任意の個数の特性点での測定値にあてはめることができる。この訂正曲線によって、質量流量コントローラが動作することを意図された流量の範囲での温度依存性の訂正をもたらすことができる。さらに、使用される流体および温度に関する既知のセンサ特性の変動の知識を使用して、正規化回路240の訂正係数および/または訂正曲線を提供するか機能強化することができる。
【0067】
正規化回路240によって、信号FS1に対する固定された正規化利得も提供され、その結果、センサ導管を通るフルスケール流れで、特定の値が正規化信号FS1’について得られ、ゼロ流れでもう1つの特定の値(たとえば0)が得られるようにすることができる。
【0068】
一実施形態で、たとえば、正規化240によって、センサ導管を通るゼロ流れで、正規化信号FS1’が、0.0の値を有し、導管を通るフルスケール流れで、正規化信号FS1’が、1.0の値を有することが保証される。本明細書で使用される値が、例示にすぎないので、ゼロ流れおよびフルスケール流れで正規化信号FS1’について、どの値でも選択できることを理解されたい。
【0069】
正規化信号FS1’が、劣悪な動的特性を有し、流体の流れのステップ変化に応答して、信号FS1’が、時間的に遅れ、流量センサを通る実際の流れに対して平滑化される可能性があることを理解されたい。これは、温度変化が、比較的長い時間期間にわたって発生するので、熱流量センサが、通常は、遅い応答時間を有するからである。
【0070】
図3は、時間が水平軸またはX軸にプロットされ、流れが垂直軸またはY軸にプロットされた、この挙動の図である。図3からわかるように、熱質量流量センサを通る実際の流れの単位ステップ変化に応答して、センサによって供給される信号FS1が、時間的に遅れ、平滑化される。
【0071】
これらのセンサの影響を訂正し、流体の流れの変化に対するよりよい動的応答をもたらすために、正規化信号FS1’を、応答補償回路250に供給する。応答補償回路250は、機能的に、近似的にセンサおよびセンサ電子回路230の伝達関数の逆数であるフィルタである。応答補償回路250を、調整またはチューニングし、その結果、応答補償回路250によって供給される条件付けされた信号FS1”が、所定の立ち上がり時間を有し、所定の最大レベルのオーバーシュートおよび/またはアンダーシュートを有し、所定の時間フレーム内で同レベルになり、かつ/または質量流量コントローラの特定の実施形態に望ましいものとすることができる他の特性についてチューニングされるようにすることができる。
【0072】
図3からわかるように、補償された信号FS1”は、図に示されたセンサを通る流体の流れのステップ変化のプロファイルをより正しく反映したプロファイルを有する。質量流量コントローラの流量計を調整して、質量流量コントローラの製造中にそのような補償された信号をもたらすことができる。具体的に言うと、動的応答を、下で詳細に説明するセンサチューニングステップ中にチューニングすることができる。
【0073】
上で簡単に述べたように、バイパスを通って流れる流体に関するセンサ導管を通って流れる流体の比率は、流体の流量に依存する可能性がある。さらに、センサおよびセンサ電子回路の非線形性によって、異なる流量での、実際の流体の流れと、センサによって供給される感知された流れ信号の間の関係が、さらに複雑になる。その結果、感知された流れを表す曲線対流体の流れが、線形でなくなる可能性がある。
【0074】
これらの非線形性の多くが、正規化240および応答補償250を介して伝わることを理解されたい。したがって、直接の議論は、センサ信号FS1、FS1’、およびFS1”のいずれにも関係する。用語センサ出力は、本明細書では、線形化される前(すなわち、線形化260の前)のセンサ信号を表すのに使用される。具体的に言うと、特に示されない限り、センサ出力は、センサによって作られ、たとえばそれぞれ正規化240および応答補償250によって正規化され、補償され(たとえばFS1”)ているが、まだ線形化されていない信号を表す。正規化ステップおよび補償ステップで、図2で適用される順序を尊重する必要はなく、実際に交換可能であることも理解されたい。
【0075】
線形化260によって、センサ出力(すなわちFS1”)の非線形性が訂正される。たとえば、線形化260によって、ゼロ流れで0の値、フルスケール流れの25%で.25の値、フルスケール流れの50%で.5の値、フルスケール流れで1.0の値などを有する流れ信号がもたらされる。線形化260によって、図1に示されたGLLコントローラ150の入力に供給される流れ信号FS2がもたらされる。用語示された流れは、本明細書で、流量計によって供給される、線形化された後の流れ信号(たとえば流れ信号FS2)を全体的に表すのに使用される。
【0076】
多項式線形化、区分的線形近似など、センサ出力を線形化する方法は無数にあるが、本発明の一実施形態では、スプライン、具体的には3次スプラインを使用して、この信号を線形化する。3次スプラインの説明は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる、SilvermanB.W.著、「Some Aspectsof the Spline Smoothing Approachto Non−Parametricregression Curve Fitting」、Journal of the Royal StatisticsSociety刊に記載されている。
【0077】
本発明のこの態様によれば、センサおよびセンサ電子回路230からの実際の出力信号FS1が、テスト流体またはテスト気体の複数の異なる(既知の)流量で測定され、測定された流量が、すべての測定点について既知の流量に対してプロットされる。この測定された流量対既知の流量のプロットによって、センサおよびセンサ電子回路230の伝達関数が定義され、その後、3次スプラインが、センサおよびセンサ電子回路230の伝達関数の逆数にあてはめられる。センサ出力の測定された値が、3次スプラインへの入力として使用されて、正規化され補償され線形化された示された流れ信号(たとえばFS2)が提供される。
【0078】
下でさらに詳細に述べるように、線形化回路260に、線形化テーブル(図示せず)を含めて、センサ出力の線形化を容易にすることができる。本発明の代替実施形態では、3次スプラインが、センサおよびセンサ電子回路230の伝達関数の逆数ではなく、伝達関数自体にあてはめられる。
【0079】
センサおよびセンサ電子回路230の非線形性、およびセンサ導管220を通る流体の流れの変化する分数について補償した後に、条件付けされた流れ信号FS2が、GLLコントローラ150に供給され、条件付けされた流れ信号FS2を、表示のためにフィルタ120(図1)にも供給することができる。条件付けされた流れ信号FS2の例を、「条件付けされた感知された流れ(FS2)」と称し、これを図3に示す。
【0080】
図1からわかるように、利得項Aは、流量計110に関連する。この利得項は、流路103を流れる流体と、示された流れ(すなわち流れ信号FS2)の間の関係を表す。具体的に言うと、利得項Aは、実際の流体の流れの変化に対する示された流れの変化の比である。上の流量計110の説明から、この関係(すなわち、流体の流れ対示された流れの曲線)が、線形にされていることを理解されたい。したがって、実際の流体の流れの変化に対する示された流れの変化の比(すなわち、流体の流れ対示された流れの導関数)は、流量の定数関数である。したがって、利得項Aは、特定の流体の種類に関して定数である。
【0081】
利得Aが定数であり、示された流れがフルスケール流れの特定の値で定義されたので、利得Aを、質量流量コントローラの製造中に使用された流体に関連するフルスケール流れに基づいて、特定の流体について決定することができる。示された流れが、フルスケール流れで1.0の値を有するように調整される例示的流量計では、利得Aが、単純にフルスケール流れの逆数である。
【0082】
質量流量コントローラを介するフルスケール流れが、質量流量コントローラが異なる流体と共に動作した結果として変化する可能性があることを理解されたい。したがって、質量流量コントローラは、流体の種類に依存するフルスケール範囲を有する。したがって、利得Aは、少なくとも流量の定数関数であるが、この定数は、異なる流体の種類と共に質量流量コントローラが動作する際に変化する可能性がある。
【0083】
しかし、出願人は、流量計に関連する利得(たとえば利得項A)が、流体の種類に伴ってどのように変化するかを決定した。上で述べたように、流量計の利得は、フルスケール範囲(すなわち、質量流量コントローラのフルスケール流れ)から直接に計算することができる。したがって、プロセス流体のフルスケール範囲を決定することによって、流量計の利得の直接決定が可能になる。プロセス流体のフルスケール範囲は、テスト流体に関連するフルスケール範囲に変換関数を適用することによって決定することができる。変換係数は、フルスケール範囲が決定される特定の流体での測定から経験的に導出することができる。
【0084】
図4に、GLLコントローラ150の一実施形態の詳細を示す。コントローラ150を、本明細書では利得/リード/ラグ(GLL)コントローラとして説明するが、本発明が、それに制限されないことを理解されたい。たとえば、本発明のさまざまな態様を、PID(proportional−integral−derivative)コントローラ、PI(proportional−integral)コントローラ、ID(integral−derivative)コントローラなどの、他のタイプのフィードバックコントローラと共に使用することができる。図4に示されたGLLコントローラ150に対する多数の数学的同等物を、その代わりに使用することができることも理解されたい。というのは、本発明が、図に示された特定のコントローラ構造に制限されないからである。
【0085】
GLLコントローラ150は、3つの入力信号すなわち、流れ信号FS2(示された流れとも称する)、設定点信号SI2、および逆数利得項Gを受け取る。上で注記したように、設定点信号SI2を、まず、スルーレートリミッタまたはフィルタ130に通して、設定点信号の瞬間的な変化がGLLコントローラに供給されないようにすることができる。
【0086】
前述で注記したように、利得G140は、本明細書で詳細に説明するように、質量流量コントローラの制御ループのさまざまな構成要素に関連する利得項の積の逆数をとることによって形成される逆数利得項(すなわち、システム利得項の逆数)である。利得Gは、制御ループに沿ったどこにでも適用することができ、質量流量コントローラのコントローラの入力での適用に制限されない。しかし、逆数利得項Gは、図1および4に示されているように、GLLコントローラの入力に便利に印加することができる。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、利得項Gは、質量流量コントローラに関連するマイクロプロセッサまたはディジタル信号プロセッサによって決定することができる。このプロセッサは、下で述べるように、質量流量コントローラに一体化するか、外部とすることができる。
【0088】
図4からわかるように、流れ信号FS2は、微分器またはD項回路410に供給される。回路410は、全く同じに微分器ではないので、本明細書では「D項」回路と称する。実際に、D項回路410内では、流れ信号FS2が、微分され、低域フィルタリングされ、定数をかけられ、条件付けられた流れ信号FS2と合計される。他のタイプの微分器回路を使用することができるので、本発明が、本明細書に記載のD項回路410の特定の実施形態に制限されないことを理解されたい。機能的には、D項回路410によって、条件付けされた信号FS2に関して「高速にされた」修正された流れ信号FS3が提供され、これによって、GLLコントローラ150の「リード」が構成される。D項回路410は、減衰も提供する。当業者によって理解されるように、D項回路410は、機能的に、流れ信号がどのようにどれほどすばやく変化するかを示す修正された流れ信号FS3を提供する。
【0089】
修正された流れ信号FS3は、設定点信号SI2と共に、減算回路420に供給され、この減算回路420は、修正された流れ信号FS3および設定点信号SI2をとり、これらの差に基づいて誤差信号Eを生成する。誤差信号Eは、利得項G(したがって、利得/リード/ラグGLLコントローラの単語「利得」)をかけられ、比例利得項440および積分利得項450に供給される。
【0090】
比例利得項では、信号EGに固定定数Kをかけ、出力信号EGKを合計回路470に供給する。比例利得項440は、信号EGに基づいてある固定量だけ制御バルブ170を移動する駆動信号の成分を機能的に提供し、これによって、制御バルブ170が誤差信号Eの変化にすばやく追い付けるようにするのに使用される。
【0091】
比例利得項440は、減衰も提供し、駆動信号DSおよび結果の流れでのリンギングを防ぐのを助ける。たとえば、誤差信号Eが減り、積分器460からの出力信号が増えつつある時に、定数Kが1未満であることが好ましいので、Kをかけられた誤差信号Eの値が減り、これによって、発生するオーバーシュートの量が減る。
【0092】
積分利得項450によって、信号EGに、もう1つの固定定数Kがかけられ、その後、出力信号EGKが、積分器460の入力に供給される。積分器460によって、信号EGKが積分され、積分された出力が、合計回路470の第2入力に供給される。機能的には、積分器460の出力によって、経時的な誤差信号Eを示し、誤差信号が過去にどのように変化したかを表す信号(したがって、利得/リード/ラグGLLコントローラの単語「ラグ」)がもたらされる。誤差信号Eを与えられて、積分器460は、特定の傾斜で開始し、示された流れ(たとえばFS2)が増える(新しいより高い設定点が入力されたと仮定する)時に、誤差信号Eが減り、積分器460は、積分を停止し(すなわち、変化する速さを下げ)、積分器460から出力される駆動信号の成分が、増加を停止する。積分された出力信号EGKが、合計回路470で比例利得項EGKの出力と合計され、合計された出力信号DSが、駆動信号としてバルブアクチュエータ160に供給される。
【0093】
さらに、ペデスタル(図示せず)を設けて、コントローラがゼロ流れから制御された流れの状態に推移する時に、積分器460に特定の値をプリセットすることができる。ペデスタルによって、積分器に加えられる時に、バルブを開き、流れを許可するのに必要な駆動レベルのすぐ下の駆動レベルDSをもたらす値が記述される。この形で、積分器がペデスタル値までランプアップするのに必要であった時間が、除去され、コントローラが、ゼロ流れと制御された流れの間での推移に対する改善された応答時間を有するようになる。
【0094】
図5からわかるように、合計回路の出力は、バルブアクチュエータ160に供給され、バルブアクチュエータ160には、一般に、バルブ駆動電子回路510が含まれ、バルブ駆動電子回路510は、電気機械アクチュエータ520に結合される。任意の適当なバルブ駆動電子回路510を使用して、駆動信号DSを受け取り、駆動信号DSを、電圧、電流、または所望の割合の流れを与えるためにバルブ170を所望の位置に移動することができる他の信号に変換することができる。さらに、バルブ駆動回路510に、ソレノイド作動制御バルブ、圧電作動制御バルブなどを駆動する、当技術分野で既知の適当なバルブ駆動アクチュエーション回路を含めることができる。ソレノイド作動制御バルブを使用する本発明の一実施形態によれば、バルブ駆動電子回路510に、下でさらに説明するソレノイド作動制御バルブのヒステリシスの影響を減らす回路を含めることができる。
【0095】
図6は、図4に関して上で説明した複数の信号の図であり、この図では、水平軸またはX軸が時間を表し、垂直軸またはY軸が、識別された信号レベルを表す。図6Aからわかるように、時刻Tに、信号SI2の設定点のステップ変化(レベルFへの)がもたらされる。この時に、誤差信号Eは、条件付けされた流れ信号FS2(まだ以前の状態である)と、信号SI2の設定点の値(現在はFの値である)の間の差と等しいので、レベルFまで上昇する。したがって、誤差信号かける利得項G(すなわち信号EG)が、高い値にステップし、その後、図6Bに示された形で、時間に伴って減少する。比例利得項440の出力が、信号EGに定数K(1未満である)をかけたものなので、信号EGKは、図6Cに示されているように、類似する形状を有するが、振幅がわずかに小さくなっている。図6Dからわかるように、時刻Tに、積分された出力信号EGKは0であるが、誤差信号Eの大きさに起因して、すばやく上向きの傾斜を開始する。合計回路470の出力は、出力信号EGKと積分された出力信号EGKの合計を表すが、これにDSという符号をつけ、図6Eに示す。バルブドライブおよびバルブドライブ電子回路160に供給される駆動信号DSに基づいて、制御バルブ170が、より大きく開かれ、示された流れ信号(たとえば流れ信号FS2)が、SI2の設定点の新しいレベルまで増え始める。時間が経つにつれて、誤差信号Eが減り、比例利得項440の出力信号EGKが減り、積分された出力信号EGKも減り、流れの速度が、新しい設定点のレベルで確立される。
【0096】
理想的には、質量流量コントローラの設定点入力に印加されるステップ入力に応答する、真の流れのステップ応答を得ることが望ましい。これは、実用的に可能ではないが、本発明の実施形態を使用して、ステップ入力がフルスケール流れに関する2%ステップまたは100%ステップを表すかどうかに無関係に、使用される流体に無関係に、入口圧力または出口圧力などに無関係に、設定点でのステップ入力に応答して一貫性のある応答をもたらすことができる。この一貫性を得るために、本発明の実施形態では、一定のループ利得を有する質量流量コントローラを提供する。
【0097】
前述から、質量流量コントローラの制御ループの構成要素に関連するさまざまな利得が、異なる変数の関数として変化する可能性があり、さまざまな異なる動作条件に依存する可能性があるが、一定のループ利得を有する質量流量コントローラの制御ループを提供することによって、動作条件の組について、質量流量コントローラの一貫性があり安定した動作を達成できることを理解されたい。
【0098】
質量流量コントローラの制御のさまざまな態様を、マイクロプロセッサを使用して実施できることを理解されたい。たとえば、GLLコントローラ150を、マイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ、などとして実施することができる。同様に、逆数利得項(たとえば利得項G)などのさまざまな制御パラメータの決定を、マイクロプロセッサによってもたらすことができる。質量流量コントローラの制御のさまざまな態様を、当技術分野で周知の技法を使用して、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで実施することができる。
【0099】
B.質量流量コントローラの構成
多くの場合に、質量流量コントローラは、一貫性があり安定した形で動作するために、製造中にチューニングされ、かつ/または較正されなければならないことを理解されたい。手動のチューニングおよび/または較正は、しばしば、時間がかかり、労働集中型であり、高価な工程である。さらに、処理で、質量流量コントローラを、製造中に使用されるものと異なる流体の種類および/または動作条件で動作するように構成することが必要である時に、質量流量コントローラの動作は、質量流量コントローラが複数のプロセス流体でチューニングされ、較正された場合であっても、質量流量コントローラの製造中に観察されたものと同一の挙動を示すことはほとんどない。言い換えると、質量流量コントローラは、質量流量コントローラがそれによってチューニングされ、かつ/または較正されたものと異なる流体および/または動作条件で動作する時に、異なる応答を有する可能性がある。
【0100】
本発明の一態様によれば、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関する質量流量の応答を、質量流量コントローラがテスト流体およびテスト動作条件を用いてチューニングされ、かつ/または較正された際の応答と実質的に同一にすることができるようにする、質量流量コントローラを構成する方法が提供される。
【0101】
本発明の一実施形態では、単一のテスト流体および1組のテスト動作条件を用いる質量流量コントローラのチューニングおよび/または較正中に、構成データを入手する。この構成データを使用して、任意のプロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成することができ、したがって、製造中に使用されるものと異なる流体および/または動作条件での動作に起因する性能劣化が軽減され、複数の代理流体での質量流量コントローラの高価で時間がかかるチューニングおよび/または較正が除去される。
【0102】
任意の流体および動作条件で動作でき、満足な応答を示すことができる質量流量コントローラを提供するには、質量流量コントローラの最初の製造およびその後の質量流量コントローラの構成を含むステップが、しばしば必要になる。図7aに、本発明の一実施形態による、製造ステップおよび構成ステップを示す。
【0103】
用語製造は、本明細書で使用され、質量流量コントローラに適用される時に、特定の流体の種類および動作条件の特定の組に対する動作について質量流量コントローラを準備する際に用いられるさまざまなタスクを全体的に表す。製造には、さまざまな構成要素から質量流量コントローラを作ることと、テスト動作条件の下でテスト流体に対して質量流量コントローラを動作させることと、テスト流体およびテスト動作条件に関して質量流量コントローラが満足な挙動および性能(すなわち満足な応答)を示すように質量流量コントローラのさまざまな構成要素および/または制御パラメータをチューニングし、かつ/または較正することを含めることができる。
【0104】
用語構成または構成することは、本明細書で使用され、質量流量コントローラに適用される時に、任意の動作条件の下で任意の流体と共に動作するように質量流量コントローラを適合させるのに使用されるさまざまなステップを全体的に表す。具体的に言うと、構成は、質量流量コントローラの応答が製造中に観察されたものと実質的に同一になるように、質量流量コントローラがそれと共に製造を経験した流体(本明細書では、「テスト流体」と称する)と異なる流体(本明細書では「プロセス流体」と称する)と共に、質量流量コントローラの製造中に使用された動作条件の組(本明細書では「テスト動作条件」と称する)と異なるものとすることができる条件(本明細書では「プロセス動作条件」と称する)の下で動作するように質量流量コントローラを適合させるのに使用されるステップを表す。質量流量コントローラの構成を、製造後のいつであっても、製造現場(たとえば、特定の既知の応用例のために質量流量コントローラを構成するため)、または現地(たとえば、ユーザの動作位置)を含むがこれに制限されないどの位置であっても、実行することができることを理解されたい。
【0105】
用語満足な応答は、全体的に、特定の質量流量制御処理または質量流量制御タスクの所与の公差の組の中で動作する質量流量コントローラの応答を指す。具体的に言うと、質量流量コントローラの動的応答および静的応答は、質量流量コントローラが動作することを意図された公差の範囲内で動作する。
【0106】
質量流量コントローラを、公差の任意の組に関する満足な応答を有するように、製造中にチューニングし、かつ/または較正することができる。したがって、テスト流体および1組のテスト動作条件でのチューニングおよび/または較正の後の質量流量コントローラの応答は、特に異なって示されない限り、そのテスト流体およびテスト動作条件に関する満足な応答を有するものとみなされなければならない。しかし、応答は、質量流量コントローラが異なる流体および/または動作条件で動作する時にかなり異なる可能性があり、その応答は、もはや満足な応答ではなくなる。
【0107】
一般に、質量流量コントローラは、両方の応答が満足である(すなわち、両方の応答が、質量流量コントローラが動作を意図された公差の範囲内で動作する)時に、テスト流体およびテスト動作条件に対して、プロセス流体および/またはプロセス動作条件と同一の応答を有するとみなされる。
【0108】
図7aからわかるように、製造710中に、質量流量コントローラは、テスト流体と共に、1組のテスト動作条件の下で動作する。質量流量コントローラの動作の特性が、入手され、構成データ712として保管される。構成データ712は、図7bから7fに関してさらに詳細に説明するように、製造710のさまざまなチューニングステップおよび/または較正ステップ中に得ることができる。
【0109】
用語チューニングは、流体の流れおよび流体の流れの変化および/または所望の流体の流れの変化(すなわち、設定点の変化)に対する満足な動的応答および挙動をもたらすことに用いられるステップを表す。用語較正は、全体的に、質量流量コントローラの満足な定常状態または静的応答をもたらすことに用いられるステップを表す。
【0110】
用語構成データは、全体的に、質量流量コントローラのチューングおよび/または較正中に得られる情報に適用される。具体的に言うと、構成データによって、テスト流体およびテスト動作条件での動作中の質量流量コントローラの特性および/またはその質量流量コントローラからとられる測定値が表される。質量流量コントローラの製造中に得られる構成データを使用して、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に対して質量流量コントローラを構成することができる。
【0111】
上で簡単に述べたように、用語テスト流体およびテスト動作条件は、質量流量コントローラの製造中に使用された流体および動作条件を表すのに使用される。用語プロセス流体およびプロセス動作条件は、通常は質量流量コントローラの特定の応用例に関してエンドユーザが望む、流体および動作条件を表す。
【0112】
1つまたは複数の同一のタイプの流体および動作条件を、テストとプロセスの両方の目的に使用できることを理解されたい。しかし、質量流量コントローラを、すべての流体に対しておよび/またはすべての動作条件の下でチューニングすることはできないので、本発明のある態様に、その後に質量流量コントローラを異なる流体および/または動作条件で動作するように構成できるように、質量流量コントローラを、製造中に特定のテスト流体および特定の組のテスト動作条件の下でチューニングし、かつ/または較正することが含まれる。したがって、用語「プロセス流体」が、異なるタイプの流体を表すのではなく、流体が、質量流量コントローラがチューニングされ、かつ/または較正された流体と異なる可能性があることを示すのに使用されることを理解されたい。同様に、用語「プロセス動作条件」は、動作条件の組が、質量流量コントローラがチューニングされ、かつ/または較正されたテスト動作条件と同一でない可能性があることを表す。プロセス動作条件の組の1つ、一部、またはすべてを、テスト動作条件と異なるものとすることができる。
【0113】
構成ステップ720で、製造中に得られた構成データ712を使用して、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に対する質量流量コントローラの構成を容易にすることができる。一実施形態によれば、構成データ712は、構成ステップ720中に、プロセス流体および/またはプロセス動作条件での質量流量コントローラの動作を可能にする、質量流量コントローラに関連する制御パラメータを決定するのに使用される。具体的に言うと、製造ステップ710中に得られた構成データ712は、質量流量コントローラが満足な応答を示す(すなわち、質量流量コントローラが、テスト流体およびテスト動作条件を使用して製造中に観察された応答と実質的に同一の、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に対する応答を有するように構成される)ように、プロセス流体およびプロセス動作条件での質量流量コントローラの構成を容易にする制御パラメータを決定するのに使用される。
【0114】
本明細書で使用される用語制御パラメータは、全体的に、質量流量コントローラの動作を容易にする、質量流量コントローラに関連するパラメータを指す。制御パラメータには、フィルタ係数、利得項、コントローラ定数、線形化曲線などを含めることができるが、これに制限はされない。具体的に言うと、制御パラメータは、質量流量コントローラが任意のプロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように構成される(すなわち、満足な応答を示すように構成される)時に、変更、修正、または追加を必要とする可能性があるパラメータを指す。
【0115】
本明細書で使用される句「動作するように構成される」は、動作する時に、質量流量コントローラが、満足な応答を示す形で質量流量コントローラを構成することを表すことが意図されている(すなわち、不満足な応答を有する質量流量コントローラは、一般に動作しないとみなされる)。
【0116】
一般に、製造710は、単一のテスト流体および1組のテスト動作条件で、1回だけ行う必要があることを理解されたい。しかし、構成720は、質量流量コントローラの寿命の間に何度でも繰り返すことができる。具体的に言うと、質量流量コントローラを、異なるプロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作させることが望まれる時に、必ず、新しいプロセス流体および/またはプロセス動作条件で構成720を繰り返し、質量流量コントローラが、新しいプロセス流体および/またはプロセス動作条件で満足な応答を示すようにすることが望ましい場合がある。
【0117】
さらに、異なるタイプの質量流量コントローラおよび異なる質量流量コントローラ実施形態の製造および構成で、異なるステップが必要になる可能性があることを理解されたい。しかし、質量流量コントローラが、正しく特性を記述され、満足な応答がテスト動作条件の組を用いる動作について確立され、質量流量コントローラの後続の構成を容易にするのに十分な構成データが得られるようにするステップを、製造に含めなければならない。同様に、構成全体に、製造中に観察された応答と実質的に同一の、プロセス動作条件の組と共に動作する時の応答を確立するのに必要なステップを含めなければならない。
【0118】
図7bに、質量流量コントローラの製造および構成(たとえば、図7aのステップ710および720)中に実行することができるさまざまなステップを含む、一実施形態によるブロック図を示す。製造710に、センサチューニングステップ10、バルブ特性記述ステップ20、フィードバックコントローラチューニングステップ30、および較正ステップ40を含めることができる。製造710に、製造710に示されていない他のステップ、たとえば、バイパスマッチングなど、当技術分野で既知の、質量流量コントローラを作ることにかかわるステップを含めることができることを理解されたい。
【0119】
製造710のさまざまな例示的ステップ10から40で、質量流量コントローラが、特性を記述され、テスト動作条件の組に対する満足な応答が確立される。製造中に、下でさらに説明するように、プロセス動作条件の組と共に動作するための質量流量コントローラの構成を容易にする構成データが、入手される。
【0120】
センサチューニングステップ10で、質量流量コントローラの流量計をチューニングし、流量計が満足な動的応答を示すようにする。具体的に言うと、流量計のさまざまな構成要素をチューニングし、センサ出力(たとえばFS1”)が、センサを通る流れの変化に満足に応答するようにする。たとえば、図2に関して述べたように、センサチューニングに、フィルタ係数、訂正曲線、および/または利得の正規化および応答補償を提供することを含め、流量計が、流路内の流体の流れのステップ変化によく似たステップ形状を有するセンサ出力によって流体ステップに応答するようにすることができる。フィルタ係数、訂正曲線、および/または利得項など、チューニングステップ10中に得られた情報を、構成データ712として保管することができる。
【0121】
バルブ特性記述ステップ20では、質量流量コントローラの特性を十分に記述し、質量流量コントローラを、さまざまな動作条件および/または特性の変化に応答して、一貫性がある安定した形で動作するように構成できるようにする。一実施形態によれば、質量流量コントローラの制御ループのシステム利得項と、決定されたシステム利得項の逆数を決定し、制御ループに適用して、一定のループ利得をもたらすことができる。さらに、図7cに関して下で詳細に述べるように、システム利得項の決定中に作られる測定値を、構成データとして保管し、後に構成中に使用することができる。
【0122】
フィードバックコントローラチューニングステップ30では、フィードバックコントローラに関連する制御および制御電子回路をチューニングし、質量流量コントローラが、設定点の変化に対して満足な動的応答を示すようにする。一実施形態によれば、図4に関して述べたさまざまなPIDパラメータをセットし、GLLコントローラが、整定時間、最大オーバーシュート、および最大アンダーシュートなどの望ましい動的特性を示すようにする。
【0123】
較正ステップ40では、質量流量コントローラを較正し、満足な定常状態応答を示すようにする。一実施形態によれば、質量流量コントローラを較正して、質量流量コントローラが動作することを意図された流量の範囲にまたがる、質量流量コントローラを通る実際の流体の流れと、流量計によって示された流れ(たとえば、示された流れとも称する流れ信号FS2)の間の線形の関係をもたらす。
【0124】
構成720に示された例示的なステップ50および60では、製造710中に得られた構成データおよび、質量流量コントローラが動作するように構成されたプロセス動作条件に関する情報を使用して、質量流量コントローラの制御パラメータを修正し、質量流量コントローラをプロセス動作条件で作動させる時に、製造中に確立された応答が実質的に変化しないようにする。
【0125】
図7bからわかるように、質量流量コントローラの構成720に、システム利得分解ステップ50およびシステム構成ステップ60を含めることができる。システム利得分解ステップ50では、システム利得項を入手し、質量流量コントローラの製造710中に得られた構成データに少なくとも部分的に基づいて、システム利得項を構成利得項に分解する。
【0126】
しかし、システム利得分解ステップ50は、質量流量コントローラのいくつかの実施形態で必要ではなく、アクチュエータ挙動のモデルをシステム構成ステップ60に供給できる方法の1つを表すに過ぎない。
【0127】
したがって、本明細書で述べる例で、システム利得項の測定およびその後の分解を含むステップが、質量流量コントローラのさまざまな構成要素に関連する利得項を直接に得ることができる情況で、不要になる可能性があることを理解されたい。たとえば、いくつかの質量流量コントローラで、ステップアクチュエータを使用することができ、このステップアクチュエータから、関連する利得項を、アクチュエータの機械設計から直接に得ることができる。その場合に、製造中のシステム利得の測定(たとえば、図7cのバルブ特性記述ステップ中のCDA’の記録)および構成中のシステム利得項の分解(たとえばステップ50)を、省略することができる。というのは、システム利得項の分解によって与えられる情報(たとえば利得項C)を、アクチュエータ自体から直接に得ることができるからである。
【0128】
しかし、製造中にシステム利得項情報を入手し、構成中にシステム利得項を分解する方法によって、一般に、他の情報が使用可能でないか、そのような情報を直接に得ることができない場合に、たとえばアクチュエータのモデルなどを提供するために質量流量コントローラの実施形態に適用することができる、質量流量コントローラを構成する方法が提供される。したがって、この方法の詳細が、図7cから7fに示された実施形態で説明される製造ステップおよび構成ステップに組み込まれている。しかし、本発明の諸態様は、この方法に制限されず、この方法が必要になる可能性がある質量流量コントローラに制限されない。
【0129】
システム構成ステップ60で、質量流量コントローラがそれに関して構成されつつあるプロセス流体および/またはプロセス動作条件に関して制御パラメータを決定し、質量流量コントローラが、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作する時に満足な応答を示すようにする。一実施形態によれば、プロセス動作条件で動作する質量流量コントローラのさまざまな構成要素に関連する個々の利得項の積の逆数から、逆数利得項を形成することができる。利得項は、バルブおよびバルブアクチュエータの物理モデルから決定することができる。逆数利得項を、質量流量コントローラの制御ループに適用して、一定のループ利得をもたらすことができる。
【0130】
例示的な製造ステップおよび構成ステップのさらなる詳細を、図7cから7fに関して説明する。
図7cおよび7dに、製造中の質量流量コントローラのチューニングおよび/または較正中に構成データを得る1つの例示的な手順を示す。
【0131】
図7eおよび7fに、質量流量コントローラがチューニングされ、かつ/または較正されたものと異なるプロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するもう1つの例示的な手順を示す。
【0132】
図7cから7fに示された製造および構成の手順を、図1に示されたものに似た質量流量コントローラに適用することができる。しかし、本発明のこれらの態様が、それに制限されず、さまざまな異なる構成要素および動作特性を有するさまざまな質量流量コントローラに適用できることを理解されたい。
【0133】
図7cから7fでは、質量流量コントローラの製造中に構成データとして保管することができる例示的な情報が、見出し「構成データ」の下に示され、符号712のブロックの中に配置されている。図に示された情報が、制限的ではなく、要件とみなされてはならないことを理解されたい。質量流量コントローラの各実施形態が、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するのを容易にする、構成データの異なる組を有することができる。
【0134】
図7cに、本発明の一実施形態による、センサチューニングステップ10およびバルブ特性記述ステップ20のさらなる詳細を示す。センサチューニングステップ10では、質量流量コントローラの流量計をチューニングし、たとえば流体ステップに対する、満足な動的応答を示すようにする。流体ステップは、流体の流れの正と負の両方のステップを含む、ステップ関数の特性を有する流体の流れの変化を指す。
【0135】
ステップ12で、流量センサに流体ステップを加える。流量センサを、ステップ14でチューニングし、流体ステップに応答してステップ形状の流れ信号を供給するようにする。このステップ形状の流れ信号の望ましい特性に、立ち上がり時間、整定時間、最大オーバーシュート、および最大アンダーシュートなどを含めることができる。たとえば、図1および2に関して説明した質量流量コントローラを参照すると、流量センサをチューニングするステップに、センサおよびセンサ電子回路230、正規化240、および応答補償250のチューニングを含めることができる。たとえば、応答補償フィルタ250のフィルタ計数をチューニングして、図3に示された信号に新形態をとらせることができる。一般に、質量流量コントローラの各実施形態が、チューニングすることができるパラメータの異なる組を有する可能性があることを理解されたい。しかし、センサチューニング処理10の意図は、流量センサが満足な動的特性を示すようにすることである。図7cからわかるように、センサ導管を通るフルスケール流れについて1.0のセンサ出力を提供することに関連する正規化利得を、構成データとして記録することができる。
【0136】
バルブ特性記述ステップ20では、テスト流体を、選択された設定点の組の異なる設定点で、既知の入口圧力および出口圧力で、質量流量コントローラに与える。各設定点で、結果の駆動レベルを記録する。用語駆動レベルは、バルブアクチュエータに供給される駆動信号の値を表す。たとえば、駆動レベルは、電流または電位の測定された値とすることができる。駆動レベルは、バルブの機械的変位を制御するために電気信号に変換することができるディジタル制御信号の値とすることもできる。図1の信号DSが、駆動信号の例であり、その値が駆動レベルである。
【0137】
一実施形態で、チューニングされていないが、収束することが既知であるGLLコントローラを、このステップ中に使用する。したがって、選択された設定点の組の各設定点が、センサ出力に収束する。いくつかの実施形態で、このステップ中に記録されるセンサ出力および駆動レベル情報が、質量流量コントローラの合成利得項の計算に使用される。たとえば、図7cのバルブ特性記述ステップ20で、バルブアクチュエータ160、バルブ170、および流量計110に関連する利得項の積に対応する合成利得項CDA’が、バルブの特性記述中に得られた情報から計算される。
【0138】
ステップ21で、設定点の選択された組からの一連の設定点を、質量流量コントローラに与える。選択された設定点の組は、適当な形で選ぶことができる。たとえば、一実施形態では、選択された設定点の組が、質量流量コントローラが動作を意図された範囲をあるレベルで計上する、フルスケール流れのさまざまな分数である。選択される設定点は、値の範囲にわたって均等に間隔をおく必要はない。さらに、任意の個数の設定点を選択することができる。一般に、選択される設定点の数は、質量流量コントローラが動作を意図される範囲にわたってバルブアクチュエータの特性を適当に記述するのに十分なものにしなければならない。
【0139】
図7cから7fに示された設定点のさまざまな選択された組のそれぞれは、互いに同一である必要がない。設定点が各組で同一である必要がないことを示すために、たとえば、添字vt、cb、およびcfを使用して、それぞれバルブ特性記述ステップ、較正ステップ、および構成ステップのために選択された設定点を示した。しかし、これらの組を、部分的にまたは完全に同一にすることができることを理解されたい。
【0140】
ステップ21で、第1の設定点vtを、設定点の選択された集合{vtvtvt,...}から選択する。小さい偏差nを、設定点vtへのオフセットとして選択する。次に、vt+nを、コントローラに適用し、コントローラに収束させる。コントローラが収束した時に、センサ出力が、適用された設定点と等しくなる。ステップ22で、結果の駆動レベルを、設定点vtについて記録する。
【0141】
ステップ23で、vt−nをコントローラに適用し、収束させる。ステップ24に示されているように、結果の駆動レベルをもう一度記録する。ステップ25で、合成利得項CDA’を決定する。たとえば、合成利得項は、2つの設定点の変化(すなわち2n)をとり、その変化を、ステップ22および24で記録された駆動レベルの変化で割ることによって決定することができる。この比が、設定点vtの合成利得項CDA’を表す。利得項CおよびDは、前述で説明したように、それぞれバルブアクチュエータおよびバルブに関連する。利得項A’は、流量計に関連し、線形化260の寄与なしの流量計の利得(すなわち、センサ出力に関連する利得)を表す。センサは、質量流量コントローラが各設定点vtについて収束した値を出力し、その設定点で決定された合成利得項CDA’を、構成データとして保管することができる。
【0142】
ステップ21から25を、選択された設定点の組の設定点vtのそれぞれについて繰り返す。その結果が、点対の集合{センサ出力、CDA’}である。一実施形態では、点対の集合{センサ出力、CDA’}が、質量流量コントローラの手動チューニング用の構成データとして記録される。さらに、ステップ20で記録されたCDA’ごとに、逆数利得項G=1/CDA’を形成することができる。この逆数利得項Gを、これに続くコントローラチューニングステップに供給して、コントローラの安定性をもたらすことができる。
【0143】
フィードバックコントローラチューニングステップ30では、質量流量コントローラのフィードバックコントローラに関連するさまざまなパラメータをチューニングして、質量流量コントローラに供給される一連の流体ステップに対する満足な動的応答をもたらす。質量流量コントローラの各実施形態が、異なる制御方法(たとえば、GLL、PID、IDなど)を有することができることを理解されたい。質量流量コントローラのフィードバックコントローラのチューニングの1つの例示的な手順を、図4に示されたGLLコントローラに関して説明する。
【0144】
ステップ32で、ステップ20で行われた測定から形成された逆数利得項Gを、GLLコントローラに適用する。ステップ34で、設定点をステップすることによって、流体ステップを質量流量コントローラに適用する。たとえば、図1のSIを、設定点の異なる変化ΔSの組によって修正する。差ΔSは、大きいステップ変化(たとえば、フルスケール流れの100%のΔS)および小さいステップ変化(たとえば、フルスケール流れの5%のΔS)についてコントローラが適当にチューニングされるように選択することができる。さまざまなΔSの個数および大きさは、実施形態ごとに、また、特定の質量流量コントローラ実施形態の異なる動作要件に従って、異なる可能性がある。
【0145】
ステップ36で、GLLコントローラのさまざまなパラメータをセットし、GLLコントローラが、さまざまなΔSによって定義される設定点の異なる変化に満足に応答するようにする。たとえば、PID定数K、Kなどを含むパラメータをチューニングして、設定点の変化に対する所望の応答をもたらすことができる。チューニングすることができるコントローラのさまざまな特性には、立ち上がり時間、最大オーバーシュート、および最大アンダーシュートなどを含めることができるが、これに制限はされない。
【0146】
所望の動的応答についてセンサおよびコントローラをチューニングし、さまざまな設定点の合成利得CDA’を入手したので、較正ステップ40では、質量流量コントローラが、満足な定常状態応答を有するようにするために、較正ステップを受ける。質量流量コントローラは、部分的に、実際の流体の流れと示された流れの間の関係が線形になるように、較正される。さらに、図7bの較正ステップ40で説明したように、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に対する質量流量コントローラの構成を容易にする構成データを、入手することができる。
【0147】
較正ステップ40のステップ41で、フルスケール範囲を、質量流量コントローラについて定義する。一実施形態によれば、1.0のセンサ出力に対応する実際の流体の流れを測定する。定義されたフルスケール流れで、示された流れが1.0またはそれに近い値を有するようにする近似線形化曲線を提供する。次に、近似線形化曲線を、流量計110に適用する。最大のセンサ出力および示された流れの1.0という値が、例示的であり、任意の所望の数に置換できることを理解されたい。
【0148】
ステップ43で、設定点の選択された集合{cbcbcb,...}から第1の設定点cbを選択し、質量流量コントローラに適用する。この設定点から生じる流路(たとえば流路103)の実際の流体の流れを、測定する。各設定点に対応して、センサ出力および実際の流体の流れを記録する。より便利である場合に、実際の流体の流れの代わりにフラクショナルフロー(すなわち、実際の流体の流れを、テスト流体に関連するフルスケール範囲で割ったもの)を記録することができ、関連する情報が、両方の表現に存在することを理解されたい。その後、選択された設定点の組の設定点cbのそれぞれについてステップ41および43を繰り返し、ステップ44および45に示されているように、構成データとして保管することができる点対の集合{センサ出力、実際の流体の流れ}をもたらす。
【0149】
点対{センサ出力、実際の流体の流れ}によって、センサと、異なる流量でセンサ導管を流れる流体の比率および質量流量コントローラを流れる流体の間の比率とに関連する非線形性が記述される。したがって、流体の流れと示された流れの間の関係が線形であることを保証するために、これらの点対から線形化曲線を決定することができる。一実施形態では、点対{センサ出力、実際の流体の流れ}に関連する非線形性を訂正する点の組が決定される。3次スプラインを、点の組にあてはめ、連続であり点(0,0)(すなわち、流体の流れ=0かつセンサ出力=0)を通る線形化曲線をもたらす。ステップ46で、線形化曲線を質量流量コントローラに適用する。区分的線形近似、多項式近似などを含むがこれに制限されない、多数の他の曲線あてはめ方法を、代替として使用することができることを理解されたい。
【0150】
ステップ10から40の間に、構成データが、テスト流体およびテスト動作条件に対して、質量流量コントローラのさまざまな製造ステップから記録された。構成データには、プロセス気体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するのを容易にする情報が含まれる。質量流量コントローラの手動チューニング中に記録される構成データの組が、質量流量コントローラの特定の実施形態に応じて異なる可能性があり、図7cおよび7dに示されたものと異なる可能性があることを理解されたい。したがって、質量流量コントローラの特定の実施形態の構成データによって、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するのを容易にする、質量流量コントローラの製造中に得られたデータが、単に記述される。
【0151】
たとえば、図7cおよび7dに示された実施形態では、ステップ10から40の間に記録される構成データに、センサチューニングパラメータ、センサチューニングステップからの信号利得、チューニング条件、較正条件、点対{センサ出力、CDA’}の組、点対{センサ出力、実際の流体の流れ}の組、およびテスト流体のフルスケール範囲が含まれる。
【0152】
バルブ特性記述ステップ20で、点対{センサ出力、CDA’}が記録された。上で述べたように、合成利得項CDA’は、バルブアクチュエータ、バルブ、および流量計に関連する利得の積である。しかし、合成利得項CDA’への利得項C、D、およびA’の個々の寄与は、未知である。また、A’が、流量計に関連する総利得項Aの一部にすぎないことが特筆に値する。
【0153】
システム利得分解ステップ50で、合成利得項CDA’に寄与する個々の利得項が、それに続くシステム構成ステップ60でプロセス流体および/またはプロセス動作についてその個々の利得項を決定できるようにするために、合成利得項から分離される。しかし、質量流量コントローラのある実施形態、たとえば、バルブアクチュエータの正確なモデルが使用可能であるか、またはプロセス動作条件の組に関するアクチュエータに関連する利得を直接に得ることができる場合に、ステップ51から56が必要でない場合があることを理解されたい。上で述べたように、システム利得分解ステップ50によって、バルブアクチュエータの挙動をモデル化する、より一般的な方法が提供される(たとえば、プロセス動作条件の組について利得項Cを得る方法)。
【0154】
ステップ51で、利得項Aを決定する。前に説明した実施形態では、フルスケール流れの25%が、.25の示された流れをもたらし、フルスケール流れの50%が、.5の示された流れをもたらし、フルスケール流れの75%が、.75の示された流れをもたらすように流量計がチューニングされ、かつ/または較正された。流路内の流体の流れと指示された流の間の関係は、線形であり、したがって、流量計に関連する利得(すなわち利得A)は、定数である。
【0155】
したがって、ステップ51で、所望の点での示された流れを流体の流れで割ることによって、最も単純には、フルスケール流れと、線形化曲線によって保証される1の関連する指示された流れによって、利得Aを直接に決定することができる。したがって、最大の示される流れが1である実施形態では、利得Aが、フルスケール範囲(すなわち、特定の流体の種類について質量流量コントローラを通るフルスケール流れの値)の逆数と等しい。一般に、利得Aは、特定の流体の種類に関連する、最大の示された流れの値を、フルスケール範囲で割ったものと等しい。
【0156】
ステップ52で、合成利得項CDAを形成する。利得項A’は、線形化曲線の寄与なしの流量計に関連する利得であり、利得項Aは、線形化曲線を含む流量計に関連する利得である。したがって、A’とAの間の関係は、定義により、線形化曲線である。したがって、合成利得項CDAは、線形化曲線の寄与を算入することによって、すなわち、CDA’に線形化曲線に関連する利得項をかける(たとえば、CDA’に線形化曲線の導関数をかける)ことによって、直接に決定することができる。ステップ52の反復のそれぞれで、設定点での利得項CDAが形成され、ステップ53に供給される。
【0157】
ステップ53で、利得項Aの寄与を除去する。合成利得項CDAおよび個々の利得項A(フルスケール範囲の逆数)の両方が既知なので、利得項Aの寄与を、除算によって合成利得項CDAから除くことができ、これによって、バルブアクチュエータおよびバルブに関連する合成利得項CDが残される。ステップ53に示されているように、利得項CDが、設定点で形成され、ステップ54に供給される。
【0158】
前述で述べたように、利得Cは、バルブ変位の変化を、駆動信号(たとえばGLLコントローラによって供給されるDS)の対応する変化で割ったものである。利得Dは、流体の流れの変化を、バルブ変位の対応する変化で割ったものである。
【0159】
ステップ54で、設定点の選択された組で、利得項Dを決定し、バルブ変位を計算する。合成利得項CDをさらに区別するために、バルブの物理モデルを使用して、動作条件の特定の組の下で特定の流体の流れを達成するのに必要なバルブ変位を決定する(すなわち、利得Dを決定する)。この決定を行うのに使用することができるバルブの物理モデルの1つを、下のセクションD、表題「物理バルブモデル」で示し、説明する。異なるバルブおよびバルブタイプが、異なる物理モデルを有する可能性があることを理解されたい。さらに、特定のバルブの特性をモデル化するのに使用することができる物理モデルが複数存在する場合がある。したがって、本発明は、特定のバルブモデルに制限されない。
【0160】
一実施形態で、利得Dは、選択された設定点の集合{,...}によって表される流体の流れのそれぞれを達成するのに必要なバルブ変位を計算することによって決定される。偏差nを選ぶことができ、利得項Dは、−nおよび+nでのバルブ変位を計算することと、バルブ変位の変化に対する設定点の変化の比(たとえば2n/Δ変位)を形成することによって決定される。さらに、での変位を決定するか、での変位、displacementを決定するために−nおよび+nでの変位の値の平均をとることができる。図からわかるように、ステップ54の反復のそれぞれで、利得項Dおよび設定点でのバルブのdisplacementが決定される。
【0161】
ステップ55で、利得項Dを、合成利得項CDから除算し、したがって、利得項Cを分離する。さらに、点対の集合{C,displacement}を生成して、製造710中に使用されたテスト動作条件の組を用いてアクチュエータの挙動のモデルを提供する。利得項C(バルブアクチュエータに関連する利得)が、バルブ変位の関数に依存する可能性はあるが、通常は、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に直接には依存しないことが既知である。ステップ55の反復のそれぞれで、設定点で計算されたdisplacementに関する利得項Dの寄与を除去することによって、利得項Cが形成され、集合{C,displacement}に保管される。
【0162】
ステップ52から55は、選択された設定点のそれぞれについて繰り返され、テスト動作条件の組の下でのバルブアクチュエータの挙動に関する情報をそれに続く構成ステップに与える点対の集合{C,displacement}が、生成される。
【0163】
システム構成ステップ60では、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関す
る制御パラメータを決定する。物理モデルによって、流体の種類、入口圧力、出口圧力、温度などが検討される。したがって、流体の種類情報およびプロセス動作条件を物理モデルに供給することと、さまざまなめいめいの流体の流れの値を達成するのに必要な変位を計算することによって、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関する利得Dを計算することができる。バルブの物理モデルおよびバルブアクチュエータの挙動のモデルから決定される変位から、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関する利得項Cを計算することができる。一実施形態では、アクチュエータの挙動のモデルが、システム利得分解ステップ50で生成された点対{C,displacement}である。しかし、バルブの挙動が既知であるか、バルブの挙動を直接に測定できる実施形態では、利得Cを、バルブから直接に決定することができる。したがって、利得項CおよびDの両方を得たので、合成利得項CDを形成することができる。その後、利得Aを、プロセス流体のフルスケール範囲を決定することによって計算することができる。したがって、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関するシステム利得項CDAを決定することができる。
【0164】
システム利得項の逆数を形成し、GLLコントローラの制御ループに適用することができる(たとえば利得項G)。Gが、設定点、入口圧力および/または出口圧力、温度など、質量流量コントローラの1つまたは複数の動作条件の関数である可能性があることを理解されたい。逆数利得項GをGLLコントローラに適用し、質量流量コントローラの制御ループが、少なくとも、Gがその関数である1つまたは複数の動作条件に関して、一定のループ利得を有するようにすることができる。したがって、質量流量コントローラが、下で詳細に説明するように、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように構成されている。
【0165】
ステップ61で、質量流量コントローラがそれに関して構成されるプロセス流体に関連するフルスケール範囲を決定する。フルスケール範囲を決定する方法の1つが、プロセス流体とテスト流体の比熱の比に、テスト流体に関連するフルスケール範囲をかけた値に基づいて変換係数を計算することである。特定のプロセス流体に関連するフルスケール範囲を計算する他の方法が適当である場合があることを理解されたい。たとえば、適当である場合に、特定のプロセス流体に関連するフルスケール範囲を直接に測定することができる。
【0166】
ステップ62で、プロセス流体種類情報および/またはプロセス動作条件を物理モデルに適用することと、代表的な流れの値の集合{cfcfcf,...}を達成するのに必要な変位を計算することによって、バルブの物理モデルから、プロセス流体および/またはプロセス動作条件について利得項Dを決定する。上で述べたように、偏差nを選び、cf−nおよびcf+nでのバルブ変位を計算し、バルブ変位の変化に対する設定点の変化の比(たとえば、2n/Δ変位)を形成することによって、利得Dを決定することができる。さらに、cfでの変位を決定するか、cfでのdisplacementを決定するために、cf−nおよびcf+nでの変位の値の平均をとることができる。したがって、ステップ62の反復のそれぞれで、利得項Dおよび設定点cfでのバルブのdisplacementが、プロセス流体および/またはプロセス動作条件について決定される。
【0167】
ステップ63で、プロセス流体および/またはプロセス動作条件について利得項Cを決定する。本発明のいくつかの実施形態で、利得Cをアクチュエータ自体から直接に測定することができる。代替案では、システム利得分解ステップ50で生成された点対{C,displacement}に保管された情報から利得Cを決定することができる。どちらの場合でも、ステップ63の反復のそれぞれで、プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関して設定点cfに対応するdisplacementでのCが決定される。
【0168】
ステップ64で、利得項Dに利得項Cをかけて、合成利得項CDを作る。図からわかるように、ステップ64の反復のそれぞれで、ステップ53からの利得項Cとステップ52からの利得項Dの積をとって、設定点cfでの合成利得CDを形成する。
【0169】
ステップ65で、利得項Aの寄与を除去する。利得項Aは、単にフルスケール範囲の逆数なので、合成利得項CDをプロセス流体に関連するプロセスフルスケール範囲で割って、システム利得項CDAを形成することができる。図からわかるように、ステップ65の反復のそれぞれで、合成利得項CDをフルスケール範囲で割って、設定点cfでのシステム利得項CDAを形成する。
【0170】
ステップ66で、システム利得項CDAの逆数を計算して、逆数利得項Gを形成する。図からわかるように、ステップ66の反復のそれぞれで、逆数CDAが形成され、設定点cfでの結果のGが、ブロック67に供給されて、逆数利得項Gが形成される。利得項Gを、多数の技法によって表現できることを理解されたい。たとえば、曲線を点Gにあてはめることができ、点Gをルックアップテーブルに保管することができ、利得項Gを、利得項の定義に関して上で述べた形または他の形で表すことができる。さらに、利得項Gを、1つまたは複数の動作条件の関数とすることができる。図7fに示された実施形態では、利得項Gが、設定点の関数である。しかし、利得Gを、さらに、質量流量コントローラの特定の実施形態の必要に応じて、複数の動作条件の関数にすることができる。
【0171】
ステップ62から66は、質量流量コントローラがそれと共に動作するように構成されているプロセス流体および/またはプロセス動作条件について逆数利得項Gを決定するために、選択された設定点{cfcfcf,...}のそれぞれについて繰り返される。
【0172】
ステップ68で、逆数利得項Gを、質量流量コントローラの制御ループに適用して、少なくとも設定点に関して一定のループ利得をもたらす。一般に、利得項Gによって、少なくとも、Gがその関数である動作条件に関して一定のループ利得がもたらされる。
【0173】
プロセス流体および/またはプロセス動作条件に関する情報に基づいて質量流量コントローラのシステム利得を決定することと、システム利得の逆数利得項を質量流量コントローラの制御ループに適用することによって、質量流量コントローラが、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように構成されたことを理解されたい。言い換えると、質量流量コントローラは、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作する時に、テスト流体およびテスト動作条件を用いる質量流量コントローラの製造の後に観察された応答と同一の応答を示す、すなわち、質量流量コントローラが、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作する時に、満足な応答を示す。
【0174】
質量流量コントローラを構成する処理を、コンピュータの使用を介して自動化できることを理解されたい。たとえば、ステップ50および60を、パーソナルコンピュータなどのコンピュータの、メモリに保管されプロセッサで実行されるプログラムによって完全に制御することができる。したがって、質量流量コントローラを、任意のプロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように自動的に構成することができる。
【0175】
本明細書で使用される用語自動的または自動的には、一般に、主にコンピュータまたはプロセッサによってまたはその制御の下で定められる状態に適用される。具体的に言うと、自動的なタスク、ステップ、プロセス、および/または手順は、広範囲のオペレータの介入または監督を必要としない。したがって、質量流量コントローラの自動構成は、手動介入を必要としない、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成することを表す。コンピュータプログラムの制御の下での質量流量コントローラの構成は、自動構成とみなされる。
【0176】
質量流量コントローラをコンピュータまたはプロセッサに接続する、プログラムの実行を開始するなどの決まりきった作業が、一般に、手作業で行われることを理解されたい。しかし、そのような作業は、決まりきったものとみなされ、質量流量コントローラの自動構成の一部にすることができる。
【0177】
図14に、任意のプロセス流体および/またはプロセス動作条件での質量流量コントローラの自動構成を容易にするシステムを示す。このシステムには、質量流量コントローラ1000およびコンピュータ800が含まれる。
【0178】
質量流量コントローラ1000には、メモリ1002、プロセッサ1004、および、図1に図示し、図1に関して説明した質量流量コントローラのさまざまな構成要素1006が含まれる。プロセッサは、メモリに結合され、質量流量コントローラの構成要素の少なくとも一部に接続することができる。上で説明したように、質量流量コントローラの動作を、プロセッサの制御の下で実施することができ、GLLコントローラ150が、プロセッサ1004によって実施される。質量流量コントローラ100には、さらに、質量流量コントローラの製造中に入手され、メモリ1002に保管される、構成データ1012が含まれる。
【0179】
コンピュータ800には、メモリ802、プロセッサ804、入力装置、およびメモリ802に保管されたプログラム810が含まれる。プログラム810には、プロセッサ804で実行される時に、プロセス流体および/またはプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成するのに使用されるさまざまなステップ(たとえば、図7aのステップ712、図7b、7e、および7fのステップ60および70など)を実行する命令が含まれる。
【0180】
コンピュータ800を、当技術分野で既知の複数のコンピューティング装置のどれにでもすることができることを理解されたい。たとえば、コンピュータ800を、パーソナルコンピュータ、ラップトップ機、ハンドヘルドデバイス、またはプログラムを実行することができる任意の他のコンピューティング装置とすることができる。さらに、コンピュータ800を、当技術分野で既知の複数の形のいずれかで、質量流量コントローラに接続し、これと通信することができる。たとえば、コンピュータ800を、標準パラレルポート通信、シリアルポート通信、UniversalSerial Bus(USB)などを含むがこれに制限されない、任意の複数の標準通信方法を使用して、ケーブルを介して接続することができる。代替案では、コンピュータ800が、質量流量コントローラとの無線接続を有することができる。したがって、さまざまなタイプのコンピューティグ装置、接続タイプ、および通信方法を適当に使用することができるので、本発明が、特定のタイプのコンピューティング装置、入力装置、接続タイプ、または通信方法に制限されないことを理解されたい。
【0181】
本発明の一実施形態によれば、プロセス流体および/またはプロセス動作条件での質量流量コンピュータの構成のために、コンピュータ800を、質量流量コントローラに接続することができる。その後、プログラム810を、プロセッサ804で実行することができる。構成入力を、入力装置808に与えることができる。構成入力には、プロセス流体種類情報、プロセス動作条件、および/または質量流量コントローラの構成に関連する他の情報を含めることができるが、これに制限はされない。入力装置は、キーボードまたはキーパッド、マウスから入力を受け取るインターフェースソフトウェア、ポインタなどを含むがこれに制限されない、情報を受け取ることができる複数の装置のいずれかとすることができる。
【0182】
その後、プログラム810によって、質量流量コントローラのメモリ1002に保管された構成データ1012を入手することができる。構成データおよび構成入力から、プログラム810によって、プロセス流体および/またはプロセス動作条件での質量流量コントローラの動作を容易にする、質量流量コントローラの制御パラメータが決定される。その後、プログラム810によって、既存の制御パラメータをそれ相応に修正することまたは質量流量コントローラに追加の制御パラメータを追加することのいずれかによって、質量流量コントローラに制御パラメータを適用することができる。この形で、質量流量コントローラを、プロセス流体および/またはプロセス動作条件での動作について自動的に構成することができる。
【0183】
図15に示された代替実施形態では、プログラム810を、質量流量コントローラのメモリ1002に保管することができ、プロセッサ1004で実行することができ、このプロセッサ1004を、GLLコントローラ150の実施にも使用することができる。入力装置1008を質量流量コントローラに追加して、質量流量コントローラが構成入力を受け取れるようにすることができる。したがって、図15に示された質量流量コントローラ1000は、自動構成可能である。
【0184】
C.ヒステリシス削減
質量流量コントローラが、その個々の構成要素の動作に関連する不安定性を経験することがしばしばある。たとえば、ソレノイド作動バルブを使用する質量流量コントローラは、ソレノイドの磁気学に関連するヒステリシス効果に起因して不正確になりやすい。
【0185】
本発明の一実施形態では、ソレノイド作動バルブに非動作信号を適用することによって、ソレノイド装置のヒステリシスを減らす方法が提供される。
用語非動作信号は、ソレノイド作動装置に適用される時に、装置を作動させることができない、装置に印加される信号を表す。たとえば、ソレノイド作動バルブで、非動作信号は、バルブの制御される部分(すなわちプランジャ)を変位させるのに不十分な大きさを有する信号を指すことができる。非動作信号が、装置を作動させるのに不十分になるように減らされただけの、装置の制御信号または駆動信号と同一の信号である場合があることを理解されたい。
【0186】
図8に、通常は閉じた位置にある、質量流量コントローラのソレノイド作動制御バルブ(すなわち、デフォルト位置バルブが閉じており、本明細書で常時閉バルブと称する)のヒステリシスの原理を線図で示す。図8では、制御バルブ駆動電流が、水平軸にプロットされ、制御バルブを通る流体の流れが、垂直軸にプロットされている。図8は、質量流量コントローラのソレノイド作動装置を具体的に対象とするが、水平軸が、一般にソレノイド作動装置に供給されるエネルギの量に対応し、垂直軸が、一般にソレノイド作動装置の位置変位に対応するので、これが、ソレノイド作動装置全体を表すことを理解されたい。
【0187】
図8からわかるように、バルブ駆動電流が増える時に、制御バルブを通る実際の流体の流れは、制御バルブを閉位置にバイアスするばねのスプリング力に打ち勝つのに十分な量の駆動電流が与えられるまで、増加しない。このスプリング力に打ち勝つのに必要な駆動電流の量は、図8では、点Xによって示されている。通常の動作条件の下では、制御バルブを通る実際の流体の流れは、点Xの後のある点で増加し始める。Cという符号を付けられた曲線によって示されるように、バルブ電流がXを超える点まで増やされる時に、制御バルブを通る実際の流れが、質量流量コントローラの常時閉制御バルブの通常の動作範囲を表すRという符号の曲線Cの部分で、比例するが非線形の形で増加する。
【0188】
図8は、正確に原寸通りに描かれてはいないが、質量流量コントローラの常時閉制御バルブの動作範囲は、通常は、少流量質量流量コントローラの約数ミクロンの閉位置から大流量質量流量コントローラの数百ミクロンまでの制御バルブの変位を表す。動作範囲が、特定の質量流量コントローラの流れ要件に依存することを理解されたい。
【0189】
図8に示された実施形態では、点Xを超えるバルブ駆動電流が、動作範囲(たとえば、質量流量コントローラが動作するように設計され、かつ/または較正される質量流量の範囲)の外の質量流量コントローラの動作を表し、制御バルブの全開位置(すなわち、点Xの上)が、制御バルブの変位(閉位置からの)が、少流量から中流量の質量流量コントローラでの約250ミクロン程度である、質量流量コントローラのパージモード(purgemode)を表す。制御バルブの全開位置が、質量流量コントローラが動作することを意図された位置であるが、そこを通って流れる質量流量が正確に制御され、かつ/または監視される位置ではないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用される用語動作範囲は、質量流量コントローラに関して使用される時に、制御バルブを通って流れる質量流量を正確に制御でき、監視できる位置変位の範囲を意味すると定義される。
【0190】
図8からわかるように、制御バルブがその全開位置にされ、その後、バルブ駆動電流が減らされる時に、制御バルブを通る流体の実際の流れ対駆動電流は、もはや曲線Cに従うのではなくなり、異なる曲線Cに従う傾向がある。したがって、バルブ電流が、点Xから減らされる時に、制御バルブを通る実際の流体の流れは、ほぼ点Xまで減少を始めず、点Xで、流体の実際の流れ対駆動電流が、曲線Cに従って比例して(やはり非線形の形で)減る。
【0191】
この形で制御バルブを動作させた後に(すなわち、まず曲線Cに沿って制御バルブを動作させ、次に曲線Cに沿って制御バルブをオフ位置に戻した後に)、通常の動作を再開することが望まれる場合に、制御バルブを通る流体の実際の流れは、曲線Cに従うのではなく、曲線CおよびCの間にある異なる曲線Cに従う。実際に、曲線Cが、以前の磁化されていないソレノイド制御バルブに関する駆動電流対実際の流れのプロットを表し、曲線Cが、非常に磁化されたソレノイド制御バルブ(たとえば、制御バルブを曲線Cに沿ってそのオフ位置に戻した後の)駆動電流対実際の流れを表す場合に、曲線Cは、図示のようにより曲線Cの近くに位置する。したがって、点Xで開始される実際の流体の流れではなく、流体の流れは、ほぼ点Xから始まる。制御バルブが、曲線Cに沿ってその通常の動作範囲内で動作し、閉位置に戻される場合に、次にバルブが開かれる時に、制御バルブを通る流体の実際の流れ対バルブ駆動電流は、さらに異なる曲線(たとえば曲線C)に従い、この曲線は、曲線Cと曲線Cの間の曲線の系列の1つである。曲線Cが、曲線Cと曲線Cのどちらの近くに位置するかは、その動作サイクル中に制御バルブが開かれた、曲線Cでの最高の点を含む、バルブの動作ヒストリに依存する。動作の現在の状態が、以前の動作状態に依存する、制御バルブの上で説明した動作を、ヒステリシスと称する。
【0192】
その結果、ヒステリシスは、各動作サイクルの後にバルブが最初に流れを許す駆動レベルを正確に予測する能力に悪影響を及ぼす。というのは、駆動レベルが、動作サイクル中のバルブの動作ヒストリに依存するからである。上で説明したように、ペデスタルが、バルブが流れを許し始める駆動レベルの真下にセットされる。しかし、その駆動レベルに関してヒステリシスによって引き起こされる不確実性が、ペデスタルをセットできる精度に悪影響を及ぼす。ペデスタルのセッティングが高すぎると、望ましくないオーバーシュートがもたらされる可能性がある。ペデスタルのセッティングが低すぎると、ゼロ流れから制御された流れに推移する時の応答時間が長くなる可能性がある。
【0193】
図9から13に、ソレノイド作動装置でのヒステリシスの影響を軽減するために非動作信号として使用することができる複数の異なる波形を線図で示す。これらの非動作信号のそれぞれを、駆動電流としてソレノイド作動装置に供給することができる。たとえば、図1の質量流量コントローラでは、そのような非動作信号を、GLLコントローラ150によってバルブアクチュエータ160に供給して、ヒステリシスを減らすことができる。
【0194】
図9を参照すると、時間に伴って変化する正弦波信号を、ソレノイド作動バルブまたは他の装置に供給して、ヒステリシスの影響を軽減することができる。図9からわかるように、時間期間Tにわたって振幅が減衰する正弦波形を与えることができる。ソレノイド作動装置が、質量流量コントローラの制御バルブである場合に、正弦波信号の振幅を、ソレノイド作動バルブを開くのに必要な電流の量より少なくしなければならない。たとえば、常時閉位置ソレノイド作動バルブを使用する質量流量コントローラでは、非動作信号の最大値を、スプリング力に打ち勝ち、バルブを開くのに必要な電流の最小量より小さくしなければならない。したがって、図8に戻ると、信号の最大値は、波形の供給中に流体がバルブを通って流れることができないことを保証するために、Xより小さくしなければならない。
【0195】
図9からわかるように、時間に伴って変化する波形は、時間期間Tにわたって振幅が減る。経験的結果から、約10サイクルから20サイクルの波形が、通常のソレノイド作動バルブを、前の動作の状態(通常の動作範囲で動作したか、パージモードなどの通常の動作範囲外で動作したか)に無関係に、所定の状態に事前条件付けするのに十分である。ソレノイド作動制御バルブが、通常は開位置のバルブである場合に、波形は、バルブを介する流体の流れを防ぐために、手順全体を通じてバルブが閉位置になるものでなければならない。
【0196】
一般に、特定の波形について選択される頻度は、実施形態のさまざまな制約に依存する可能性がある。たとえば、ソレノイド作動装置に渡すことができる頻度は、電力制約によって制限される可能性がある。さらに、ソレノイド作動装置が閉じたままでいることができる時間によって、頻度の下側の限界が課せられる場合がある。しかし、一般に、所望の数のサイクルを提供する、特定の実施形態の制約の範囲内の任意の頻度が適する。たとえば、10から20サイクルの間の範囲で供給される信号が、本明細書に記載のヒステリシスの影響の削減を生むことが示されているが、前記範囲は、制限的でない。
【0197】
図9に示された、時間に伴って変化する波形は、ソレノイド作動装置でのヒステリシスの影響を減らすのに最適であると思われるが、経験的結果から、さまざまな他の波形を、ソレノイド作動装置を所定の状態にセットするのに使用できると判定された。一般に、これらの波形のそれぞれによって、ソレノイド作動装置に、経時的に振幅が減る、時間に伴って変化する信号が与えられる。しかし、経験的結果から、一定の振幅の時間に伴って変化する信号も使用することができるので、振幅が減る時間に伴って変化する信号を使用することが必要ではないことも判定された。
【0198】
図10に、ソレノイド作動制御バルブまたは他のソレノイド作動装置での磁気的に誘導されるヒステリシスを減らすか除去するのに使用することができる、もう1つの時間に伴って変化する電流波形を示す。図9と同様に、時間に伴って変換する波形は、時間期間Tにわたって振幅が減り、流体がバルブを通って流れることを許容するのに必要な制御信号の振幅より小さい最大振幅を有する。図9の時間に伴って変化する波形と同様に、時間期間Tは、通常動作への干渉を避けるために、約1秒程度とすることができる。しかし、正弦波形ではなく、方形波形が与えられる。経験的テストに基づいて、鋸歯形波形などの、他の時間に伴って変化する波形を提供することができると思われる。図9および10に示された波形のそれぞれが、ソレノイド作動装置に正負の値を提供できることに留意されたい。一般に、正と負の両方の値を含む波形は、動作中に印加されるソレノイド作動装置の磁気コアの残留磁気が効果的に放出されるので、ソレノイド作動装置を所定の状態にセットするのに好ましい。
【0199】
図11および12に、ソレノイド作動制御バルブのヒステリシスを減らすか除去するのに使用することができる代替の波形を示す。図11に示された波形は、やはり、時間期間Tにわたって減る振幅を有する。しかし、図9および10に示された波形とは異なって、図11に示された時間に伴って変化する波形には、正の値だけが含まれる。ソレノイド作動制御バルブが使用される特定の回路によっては、正と負の両方の値をとる信号を提供する能力を得られない場合がある。
【0200】
図12に、ソレノイド作動制御バルブのヒステリシスを減らすか除去するのに使用することができる、時間に伴って変化する波形を示す。三角形の波形が示されているが、正弦波、方形波、または複数の代替の形状の波形を使用できることを理解されたい。
【0201】
図9から12のそれぞれで、時間に伴って変化する波形の最大振幅が、スプリング力に打ち勝ち、バルブを開くのに必要な制御信号または駆動信号の大きさより小さいので、この最大振幅が、ソレノイド作動制御バルブを作動させることができないことを理解されたい。出願人は、図12に示された時間に伴って変化する電流波が、質量流量コントローラで使用される既存の構成要素を用いて簡単に提供され、追加回路を必要としないことを見つけた。さらに、方形波、三角形、または鋸歯形などの、他の時間に伴って変換する波形も提供することができる。
【0202】
上で述べたように、波形がソレノイド作動装置に供給される頻度および持続時間は、適当なサイクル数をもたらすと同時にソレノイド作動装置の通常動作に干渉しない値を示すための例として本明細書で使用される値に制限されないことを理解されたい。他の値が、適当であり、本発明の範囲に含まれるとみなされる。
【0203】
図13に、動作の各サイクルの後にソレノイド作動装置を特定の所定の状態にセットするのに使用することができる代替波形を示す。図13からわかるように、負の値のパルスが、ソレノイド作動装置のコイルに印加される。質量流量コントローラと共に使用される時に、パルスの符号は、通常は、ソレノイド作動制御バルブを開くかパージするのに通常使用されるものと反対でなければならず、パルスの大きさは、バルブを作動させることができないものである。たとえば、常時閉ソレノイド作動制御バルブでは、これが、負に向かうパルスに対応する。印加される電流のパルスが、質量流量コントローラのパージに必要な極性の逆でなければならないことを理解されたい。ソレノイド作動装置全体の場合に、パルスは、ソレノイド作動装置を作動させることができない極性でなければならず、通常の駆動信号の極性の逆であることが好ましい。
【0204】
非動作信号を、電流、電圧、または他の形とすることができることを理解されたい。したがって、図9から13に示され、本明細書で説明される波形は、任意の特定の実施形態で使用される特定の形の時間に伴って変化する波形(たとえば、時間に伴って変化する電流波形、時間に伴って変化する電圧波形など)とみなされる。
【0205】
上で説明した駆動信号波形のそれぞれによって、制御バルブなどのソレノイド作動装置を所定の状態にセットすることができる。したがって、図8を参照すると、作動する装置がその上で動作する曲線Cが既知になる。したがって、曲線Cの系列のいずれかでの装置の動作に起因する不正確さが、減らされるか除去される。
【0206】
動作の各サイクルの後に、ソレノイド作動装置を所定の状態にセットすることが必要でない場合があるが、そうすることが好ましいことを理解されたい。たとえば、ソレノイド作動装置が、通常の動作範囲の外で動作しなかった場合であっても、ソレノイド作動装置が、それでも通常動作範囲での装置の動作のヒストリに起因するヒステリシスによる影響を受ける可能性がある。さらに、ソレノイド作動装置がその通常動作範囲の外で動作したことを検出することが、追加のコードおよび/または検出回路を必要とするので、一般に、前のサイクルが通常動作範囲の中であったか外であったかに無関係に、動作のサイクルのそれぞれの後で、ソレノイド作動装置を同一の所定の状態にセットすることが好ましい。この形で、ソレノイド作動装置を条件付けて、動作の以前の状態に無関係に、動作中に特定の曲線に従わせる。
【0207】
非動作信号を、複数の形で提供することができ、本発明が、特定の実施形態に制限されないことを理解されたい。たとえば、ヒステリシスを減らすために、さまざまな波形(たとえば、図9から13に示された波形)を、質量流量コントローラの制御および制御電子回路(たとえばGLLコントローラ150)によって生成し、バルブアクチュエータによって非動作信号に変換し、バルブに供給することができる。代替案では、非動作信号を提供してヒステリシスを減らすために、ファンクションジェネレータをバルブまたはバルブアクチュエータに結合することができる。適当な手段によって生成される波形は、ディジタル形式またはアナログ形式とすることができ、特定の実施形態の必要に従って適当に変換することができる。実際に、適当な信号を生成する多数の技法が、従来技術で既知であり、本発明の範囲内とみなされる。
【0208】
D.物理バルブモデル
本発明のもう1つの態様によれば、出願人は、主に2つの構成要素すなわち、粘性圧力低下および無粘性(動的)圧力低下からなるものとして、異なる入口圧力および出口圧力での流体の流れを物理的にモデル化した。構成要素ごとのバルブの有効変位が等しい場合のこれらの構成要素のそれぞれの寄与を合計することによって、バルブの有効変位を、下記の方法を使用して経験的に決定することができる。上で注記したように、特定の流体での特定の流体流量でのバルブの有効変位の決定によって、バルブに関連する利得項(たとえば利得項D)を決定でき、したがって、バルブアクチュエータに関連する利得項(たとえば利得項C)を決定できるようになる。
【0209】
図16を参照すると、上流圧力または入口圧力をPによって表し、下流圧力または出口圧力をPによって表すと、Qによって表される質量流量で、弁揚程がHによって表され、粘性の影響だけによって、圧力がPからある中間圧力Pまで低下する。無粘性の圧縮可能な流れでは、さらに、圧力が、中間圧力PからPまで低下する。2つの平行な板(たとえば、バルブシートとジェットオリフィス)の間の流体の粘性の物理モデルに基づいてバルブ170にまたがる粘性圧力低下をモデル化すると、2つの平行な板の間の変位H(たとえば、バルブ170の変位)は、次式によって与えられる。
【0210】
【数1】

【0211】
ここで
、P:粘性表面の上流および下流の圧力(psi)
Q:質量流量(sccm)
L:流路の長さ(ft)
H:2つの平行な表面の間の距離(ft)
w:流路の幅、wはπ・φと等しく、φはプラトー1650の平均直径であり、φは、テストされたバルブに基づくと1.016mm(0.040インチ)である
μ:気体の動的的粘性(centi−Poise)
T:絶対温度(ランキン温度)
R^:一般気体定数、8314Nm/kmol°K(1545.33ft−lbf/lb−mole−deg.R)
R:気体定数(ft−lbf/lbm−deg.R)
である。
【0212】
オリフィスまたはジェットを通る流体の無粘性流れの物理モデルに基づいてバルブ170にまたがる無粘性圧力低下をモデル化することによって、次式が与えられる。チョークされた流れでは、
【0213】
【数2】

【0214】
であり、チョークされない流れでは、
【0215】
【数3】

【0216】
である。ここで、流れは、
【0217】
【数4】

【0218】
の場合にチョークされ、それ以外の場合にはチョークされない。ここで、
Q=バルブを通る流れ(sccm)
A=π・φ・H=バルブ有効面積(平方インチ)
φ=オリフィス1640の直径
=気体分子量(gm/mol)
x,0,=上流全圧力(torr)
=下流静圧(torr)
1,0=気圧温度(K)
γ=比熱の比
である。
【0219】
上の粘性および無粘性の式から、バルブ170の有効変位(すなわちH)を、簡単に決定することができる。上の無粘性計算に使用される単位の一部は、粘性計算に使用される単位と異なって見えるが、この2つの式の間に一般的な相違はなく、単位変換係数は、各式の数値定数に既に組み込まれている。
【0220】
バルブの有効変位を決定するために、測定される質量流量がQであり、測定される上流圧力がPであり、測定される下流圧力がPであるものとし、全圧力への速度ヘッドの寄与を無視して、バルブ170の有効変位を計算する方法を実行することができる。有効変位を計算する例示的方法の1つは、試行錯誤によって中間圧力Pを推定することであり、ここで、Hの値を、流れがチョークされるか否かに応じて(式4)、粘性流れ理論(Hv、式1)および無粘性理論(Hi、式2または3)の両方から計算する。したがって、中間圧力が、出口圧力の約2倍である場合に、チョークされた流れが仮定され、式2が、計算の無粘性成分に使用されるが、入口圧力が出口圧力の約2倍未満である場合には、式3が、計算の無粘性成分に使用される。所与のQ、P1、およびP2について、正しいPは、HvおよびHiが互いに等しくなる時に得られる。したがって、この計算方式には、Pを得るための連続的反復が含まれる。この計算は、PとPの途中のPを選択することによって開始される。次に、粘性弁揚程(Hv)および無粘性弁揚程(Hi)を計算する。HvがHiより大きいと判定され、必要な流れを出すために、無粘性流れに対する粘性流れの十分な圧力差がないと判定される場合には、次の反復中に、多少低い圧力P’すなわち、下流圧力Pと前の圧力Pの間の圧力を選択する。この反復を、2つの計算された弁揚程HvおよびHiが、互いに0.1%以内になるまで継続する。本発明のさらなる態様によれば、この反復処理を、ソフトウェアで実行することができる。この反復計算を実行するソフトウェアは、当業者によってすぐに実行することができ、コンピュータ上で実施することができる。したがって、上の方法に基づいて、バルブ170の有効変位を、複数の異なる流量のそれぞれについて決定することができる。
【0221】
前に述べたように、さまざまな異なる流体または気体に関する経験的テストに基づいて、出願人は、質量流量計の利得Aの分数寄与が、ある気体から別の気体へとどのように変化するかを判定したが、これは、主に、使用される流体または気体の比熱によって支配される。したがって、質量流量コントローラ100を、既知の流体または気体を用いて較正したならば、他のタイプの気体についてこの利得がどのように変化するかがわかる。さらに、GLLコントローラ150の利得Bの分数寄与が、質量流量コントローラ100に対して既知であり、この利得を決定するさまざまな定数を、質量流量コントローラ100のメモリに保管することができ、バルブアクチュエータ160の利得Cの分数寄与は、効果的に定数であるか既知である。したがって、残されたものは、バルブ170および気体経路の利得Dの分数寄与が、異なる気体および異なる動作条件についてどのように変化するかを判定する方法と、質量流量コントローラ100が当初に較正された流体または気体と異なる流体または気体に関して質量流量コントローラ100の範囲の変化を補償する方法である。
【0222】
本発明のもう1つの態様によれば、質量流量コントローラがチューニングされたものと異なる流体または気体に対して、または異なる動作範囲で、ほぼ同一の応答を有するように質量流量コントローラをチューニングするのに使用することができる、既知の条件の下で既知の流体または気体を用いてチューニングされた質量流量コントローラを較正する方法が提供される。上で述べたように、質量流量コントローラ100は、当初は、既知の気体(たとえば窒素)に対して、既知の入口圧力および既知の出口圧力を用いてチューニングされる。説明を簡単にするために、本発明の一実施形態では、既知の入口圧力が、2気圧を超え、出口圧力が、周囲の気圧になるように選択する。この入口圧力および出口圧力の選択は、2つの理由から有利である。第1に、チョークされた流れに関する入口圧力および出口圧力を使用することによって、チョークされた流れの条件だけを無粘性圧力低下の式に使用することができるので、バルブおよびバルブ気体経路の物理的モデル化が容易になる。第2に、このタイプの動作(すなわち、ほぼ2気圧の圧力低下)は、エンドユーザによって使用される動作のタイプの典型である。これらの条件の下で、気体経路の利得を、次式によって定義することができる。
【0223】
【数5】

【0224】
これと同一の質量流量コントローラが、新しいフルスケール流れ範囲を有する気体「x」に対して動作するためには、質量流量コントローラ100の閉ループ利得が、次式のように変化すると期待することができる。
【0225】
【数6】

【0226】
ただし
Cfc=気体xの変換係数「C」
Mw=期待の分子量
入口圧力、温度、および比熱の比の関数である追加項があるので、上の式は近似である。しかし、この追加項の影響は、0.4乗までであり、通常は無視することができる。たとえば、質量流量コントローラ100の較正が、当初は既知の流体または気体として窒素を用いて実行されたと仮定すると、追加のこの値は、窒素および他の2原子気体の.684から、上は単原子気体の0.726、下は多原子気体の0.628までの範囲にわたり、0.4乗される。したがって、窒素からの相違は、多くとも約3.5%であり、通常は無視することができる。異なる気体への上の気体の変化または較正で使用されたものと異なる動作条件について補償するために、利得項Gを、上の比率の逆数だけ変更して、設定点と無関係に、動作条件と無関係に、使用される流体または期待のタイプに無関係に、マスコントローラの一定の閉ループ利得を提供することができる。すなわち、質量流量コントローラの閉ループ利得が、A×B×C×Dである場合には、利得項Gに、定数かける1/(A×C×D)をセットして、較正中に使用されたものと同一の一定の閉ループ利得をもたらす。
【0227】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明したが、当業者は、さまざまな修正および改善を思い浮かべるであろう。そのような修正および改善は、本発明の範囲に含まれることが意図されている。したがって、前述の説明は、例示のみのためのものであり、制限として意図されたものではない。本発明は、請求項およびその同等物による定義のみに制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量コントローラの製造中に使用されたテスト動作条件と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件で動作するように質量流量コントローラを構成する方法であって、
テスト動作条件での質量流量コントローラの応答を確立する動作と、
プロセス動作条件で動作する質量流量コントローラの応答が実質的に変化しないように、プロセス動作条件に基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作と
を含む方法。
【請求項2】
プロセス動作条件が、テスト流体と異なるプロセス流体を含み、少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス流体種類情報に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
修正する動作が、プロセス動作条件に基づいて、質量流量コントローラの複数の個々の構成要素の少なくとも1つに関連する少なくとも1つの利得項を決定する動作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの利得項を決定する動作が、少なくとも1つの利得項の積の逆数をとることによって形成される逆数利得項を決定する動作を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の個々の構成要素が、バルブを含み、少なくとも1つの利得項を決定する動作が、バルブの物理モデルから少なくとも1つの利得項を決定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、逆数利得項と等しくなるように少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス動作条件に基づいて質量流量コントローラの複数の構成要素に関連する複数のプロセス利得項を決定する動作を含み、複数の構成要素が、質量流量コントローラの制御ループを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、複数のプロセス利得項の積の逆数をとることによって形成されるプロセス逆数利得項を決定する動作を含み、プロセス逆数利得項が、少なくとも1つの可変動作条件の関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、制御ループが少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関して一定のループ利得を有するように、プロセス逆数利得項と等しくなるように少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の構成要素の少なくとも1つが、バルブを含み、複数のプロセス利得項を決定する動作が、バルブの物理モデルから複数の利得項の少なくとも1つの利得項を決定する動作を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、プロセス動作条件のプロセス流体に関連するプロセスフルスケール範囲から複数のプロセス利得項の少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作を含み、プロセス流体が、テスト流体と異なる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
応答を確立する動作中に構成データを得る動作をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
応答を確立する動作が、テスト動作条件の下でテスト流体に関する質量流量コントローラの動的応答を確立する動作を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
応答を確立する動作が、さらに、テスト動作条件の下でテスト流体に関する質量流量コントローラの定常状態応答を確立する動作を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
質量流量コントローラが、流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータを含み、方法が、さらに、質量流量コントローラの動的応答および定常状態応答を確立する動作中に構成データを得る動作を含み、
構成データを得る動作が、流量計の動的応答に関するセンサチューニングデータ、バルブおよびバルブアクチュエータの応答に関するバルブ特性記述データ、およびテスト流体に関する動作条件の第1組の下での質量流量コントローラの定常状態応答に関する較正データの少なくとも1つを得る動作を含む
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
構成データを得る動作が、テスト動作条件の下でのテスト流体に関して動作する質量流量コントローラの複数の構成要素の少なくとも1つに関連する少なくとも1つのテスト利得項を決定する動作を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
構成データを得る動作が、少なくとも1つのテスト利得項の積の逆数をとることによって形成されるテスト逆数利得項を決定する動作を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス動作条件に基づいて、質量流量コントローラの複数の構成要素に関連する少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作が、少なくとも1つのプロセス利得項の積の逆数をとることによって形成されるプロセス逆数利得項を決定する動作を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス逆数利得項と等しくなるようにテスト逆数利得項を修正する動作を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
複数の構成要素が、流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータを含み、少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作が、プロセス動作条件に基づいて質量流量コントローラの流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータに関連する複数のプロセス利得項を決定する動作を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
構成データを得る動作が、プロセス動作条件のプロセス流体に関連するプロセスフルスケール範囲を決定する動作を含み、プロセス流体が、テスト流体と異なる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、少なくとも、バルブの物理モデルからバルブに関連するプロセスバルブ利得項を決定するステップを含み、バルブの物理モデルが、パラメータとしてプロセス動作条件をとるように適合された、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
プロセスバルブ利得を決定する動作が、バルブの物理モデルからバルブアクチュエータに関連するプロセスバルブアクチュエータ利得を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、プロセスフルスケール範囲に基づいてプロセス流量計利得を決定する動作を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
プロセッサ上で実行されるプログラムをエンコードされたコンピュータ可読媒体であって、プログラムが、プロセッサ上で実行される時に、製造中に質量流量コントローラの応答を確立するのに使用されたテスト動作条件の組と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件の組で動作するように質量流量コントローラを構成する方法を実行し、前記方法が、
プロセス流体種類情報およびプロセス動作条件の少なくとも1つを入力として受け取る動作と、
プロセス動作条件で動作する時に質量流量コントローラの応答が実質的に変化しないように、入力に基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作と
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
プロセス動作条件が、応答を確立するのに使用されたテスト流体と異なるプロセス流体を含み、少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス流体種類情報に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
修正する動作が、入力に基づいて、質量流量コントローラの複数の個々の構成要素の少なくとも1つに関連する少なくとも1つの利得項を決定する動作を含む、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項29】
少なくとも1つの利得項を決定する動作が、少なくとも1つの利得項の積の逆数をとることによって形成される逆数利得項を決定する動作を含む、請求項28に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
質量流量コントローラが、バルブを含み、少なくとも1つの利得項を決定する動作が、バルブの物理モデルから少なくとも1つの利得項を決定するステップを含む、請求項29に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項31】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、逆数利得項と等しくなるように少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項29に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項32】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス動作条件で動作する質量流量コントローラの複数の構成要素に関連する複数のプロセス利得項を決定する動作を含み、複数の構成要素が、質量流量コントローラの制御ループを形成する、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項33】
複数の利得項を決定する動作が、複数の利得項の積の逆数をとることによって形成されるプロセス逆数利得項を決定する動作を含み、プロセス逆数利得項が、少なくとも1つの可変動作条件の関数である、請求項32に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項34】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、制御ループが少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関して一定のループ利得を有するように、プロセス逆数利得項と等しくなるように少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項33に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項35】
複数の構成要素が、バルブを含み、複数のプロセス利得項を決定する動作が、バルブの物理モデルから少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作を含む、請求項32に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項36】
質量流量コントローラから構成データを得る動作をさらに含み、構成データが、質量流量コントローラの応答がテスト動作条件で確立された時に得られた、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項37】
構成データを得る動作が、センサチューニングデータ、バルブ特性記述データ、および較正データの少なくとも1つを得るステップを含む、請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項38】
構成データを得る動作が、テスト動作条件の下でテスト流体に関して動作する質量流量コントローラの複数の構成要素の少なくとも1つに関連する少なくとも1つのテスト利得項を決定する動作を含む、請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項39】
構成データを得る動作が、少なくとも1つのテスト利得項の積の逆数をとることによって形成されるテスト逆数利得項を決定する動作を含む、請求項38に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項40】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス動作条件に基づいて、質量流量コントローラの複数の構成要素に関連する少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作を含む、請求項39に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項41】
少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作が、少なくとも1つのプロセス利得項の積の逆数をとることによって形成されるプロセス逆数利得項を決定する動作を含む、請求項40に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項42】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス逆数利得項と等しくなるようにテスト逆数利得項を修正する動作を含む、請求項41に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項43】
少なくとも1つのプロセス利得項を決定する動作が、プロセス動作条件に基づいて、質量流量コントローラの流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータに関連する複数のプロセス利得項を決定する動作を含む、請求項41に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項44】
構成データを決定する動作が、プロセス動作条件のプロセス流体に関連するプロセスフルスケール範囲を決定する動作を含み、プロセス流体が、テスト流体と異なる、請求項43に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項45】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、少なくとも、バルブの物理モデルからバルブに関連するプロセスバルブ利得項を決定するステップを含み、バルブの物理モデルが、パラメータとしてプロセス動作条件をとるように適合された、請求項44に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項46】
少なくともプロセスバルブ利得項を決定する動作が、バルブの物理モデルからバルブアクチュエータに関連するプロセスバルブアクチュエータ利得を決定するステップを含む、請求項45に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項47】
複数のプロセス利得項を決定する動作が、プロセスフルスケール範囲に基づいてプロセス流量計利得項を決定する動作を含む、請求項44に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項48】
プロセッサが、質量流量コントローラに含まれ、プログラムが、プロセッサに結合された質量流量コントローラのメモリに保管され、入力が、プロセッサに結合された質量流量コントローラの入力であり、プログラムがプロセッサ上で実行される時に、質量流量コントローラが、入力で受け取られるプロセス動作条件で動作するように構成される、質量流量コントローラと組み合わされた、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項49】
プロセッサが、質量流量コントローラに含まれ、プログラムが、プロセッサに結合された質量流量コントローラのメモリに保管され、入力が、プロセッサに結合された質量流量コントローラの入力であり、プログラムがプロセッサ上で実行される時に、質量流量コントローラが、入力で受け取られるプロセス動作条件で動作するように構成され、構成データが、質量流量コントローラのメモリに保管される、質量流量コントローラと組み合わされた、請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項50】
プログラムがその上で実行されるプロセッサを含むコンピュータと組み合わされ、コンピュータが、質量流量コントローラから得られた構成データが保管されるメモリを含む、請求項36に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項51】
動作条件の第1組で使用される時に第1応答を有し、構成の前に動作条件の第2組で使用される時に、第1応答と実施質的に異なる第2応答を有する質量流量コントローラにおいて、質量流量コントローラを構成する方法であって、
動作条件の第1組で質量流量コントローラを動作させる動作と、
動作させる動作中に、質量流量コントローラから構成データを得る動作と、
動作条件の第1組に関する第1応答を提供するために、構成データに基づいて質量流量コントローラの少なくとも1つの制御パラメータをセットする動作と、
動作条件の第2組に関して第1応答を提供するために、構成データに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのパラメータを修正する動作と
を含む方法。
【請求項52】
動作条件の第1組で動作する質量流量コントローラの構成要素に関連する複数の利得項を決定する動作をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
複数の利得項を決定する動作が、流量計に関連する流量計利得項、バルブアクチュエータに関連するバルブアクチュエータ利得項、および質量流量コントローラのバルブに関連するバルブ利得項の少なくとも1つを決定する動作を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
複数の利得項を決定する動作が、複数の利得項の積の逆数をとることによって形成される逆数利得項を決定する動作を含み、逆数利得項が、少なくとも1つの可変動作条件の関数である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つの制御パラメータをセットする動作が、逆数利得項と等しくなるように少なくとも1つの制御パラメータをセットするステップを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
構成データを得る動作が、少なくとも流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータに関連する第1合成利得項を得る動作を含み、流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータが、動作条件の第1組で動作する質量流量コントローラの制御ループを少なくとも部分的に形成する、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
構成データを得る動作が、動作条件の第1組に関連するテストフルスケール範囲を決定するステップを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つの制御パラメータをセットする動作が、第1合成利得項の逆数と等しくなるように制御ループ制御パラメータをセットするステップを含み、制御ループ制御パラメータが、少なくとも1つの動作条件の関数であり、制御ループの制御ループ利得が、少なくとも少なくとも1つの可変動作条件の関数として変化しないようになる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、動作条件に関するパラメータを有するバルブの物理モデルおよび動作条件の第2組に関連するプロセスフルスケール範囲の少なくとも1つに基づいて、少なくとも質量流量コントローラの流量計、バルブ、およびバルブアクチュエータと動作条件の第2組とに関連する第2合成利得項を決定する動作を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、動作条件の第2組の下で動作する時に、制御ループ利得が少なくとも少なくとも1つの可変動作条件について一定のままになるように、第2合成利得項の逆数と等しくなるように制御ループ制御パラメータを修正する動作を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
質量流量コントローラによって供給される流体の実際の流れを監視し、条件付けられた出力信号を供給する流量計であって、第1利得項を有する流量計と、
質量流量コントローラによって供給される流体の所望の流れを表す第2入力信号を受け取り、制御信号を供給する制御セクションであって、少なくとも1つの可変動作条件の関数である第2利得項を有する制御セクションと、
バルブの1つまたは複数の要素の変位に基づいて流体の流れを許容するバルブであって、第3利得項を有するバルブと、
制御信号を受け取り、バルブの1つまたは複数の要素の変位を調整するバルブアクチュエータであって、第4利得項を有するバルブアクチュエータと
を含む制御ループを有する質量流量コントローラにおいて、実質的に一定の制御ループ利得を有するように質量流量コントローラを構成する方法であって、
動作条件の第1組を使用して、第1流体に関する第1利得項、第3利得項、および第4利得項を決定する動作と、
第2流体および動作条件の第2組の少なくとも1つに関して、第1利得項、第3利得項、および第4利得項がどのように変化するかを予測する動作と、
少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関して実質的に一定の制御ループ利得を提供するために、第1利得項、第3利得項、および第4利得項の積の逆数に定数をかけたものに第2利得を変更する動作と
を含む方法。
【請求項62】
質量流量コントローラの制御ループを定義する複数の構成要素を有する質量流量コントローラにおいて、質量流量コントローラを制御する方法であって、
少なくとも1つの可変動作条件の関数である、少なくとも1つの制御ループ制御パラメータを形成する動作と、
少なくとも1つの制御ループ制御パラメータを質量流量コントローラの制御ループに適用することによって、少なくとも少なくとも1つの可変動作条件に関して制御ループの一定のループ利得を維持する動作と
を含む方法。
【請求項63】
少なくとも1つの制御ループ制御パラメータを形成する動作が、質量流量コントローラの少なくとも1つの構成要素に関連する制御ループの少なくとも1つの利得の積の逆数をとることによって制御ループ制御パラメータを形成する動作を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つの可変動作条件が、設定点を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つの可変動作条件が、バルブ入口圧力を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
一定のループ利得を維持する動作が、少なくとも1つの利得項に制御ループ内の制御ループ制御パラメータをかけることによって達成される、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
制御ループ制御パラメータを形成する動作が、少なくとも質量流量コントローラの流量計、バルブアクチュエータ、およびバルブに関連する合成利得項の逆数から形成される逆数利得項を形成する動作を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
一定のループ利得を維持する動作が、逆数利得項を質量流量コントローラの制御ループに適用する動作を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
制御ループを有する質量流量コントローラであって、
流体流路内の流体の流れを感知するように適合され、流路内の質量流量を表す流れ信号を供給する流量計と、
流量計に結合され、流れ信号に少なくとも部分的に基づいて駆動信号を供給するように適合されたコントローラと、
コントローラから駆動信号を受け取るように適合されたバルブアクチュエータと、
バルブアクチュエータによって制御され、流体流路に結合されるように適合されたバルブと
を含み、
質量流量コントローラの制御ループが、流量計、コントローラ、バルブアクチュエータ、およびバルブを含み、
制御ループが、動作中に少なくとも1つの可変動作条件に関して実質に一定の制御ループ利得項を有するように適合された
質量流量コントローラ。
【請求項70】
実質的に一定の制御ループ利得項が、流量計、バルブアクチュエータ、およびバルブの少なくとも1つに関連する少なくとも1つの利得を含む、請求項69に記載の質量流量コントローラ。
【請求項71】
実質的に一定の制御ループ利得項が、少なくとも1つの利得項の積の逆数をとることによって形成される逆数利得項を含む、請求項70に記載の質量流量コントローラ。
【請求項72】
逆数利得項が、少なくとも設定点の関数である、請求項71に記載の質量流量コントローラ。
【請求項73】
逆数利得項が、少なくともバルブ入口圧力の関数である、請求項71に記載の質量流量コントローラ。
【請求項74】
実質的に一定の制御ループ利得項が、少なくとも流量計、バルブアクチュエータ、およびバルブに関連する合成利得項を含む、請求項69に記載の質量流量コントローラ。
【請求項75】
実質的に一定の制御ループ利得が、合成利得項の積の逆数によって形成される逆数利得項を含み、逆数利得項が、少なくとも1つの可変動作条件の関数である、請求項74に記載の質量流量コントローラ。
【請求項76】
逆数利得項および合成利得項の積が、実質的に一定の制御ループ利得項をもたらした、請求項75に記載の質量流量コントローラ。
【請求項77】
流量計が、正規化回路、応答補償回路、および線形化曲線の少なくとも1つを含む、請求項69に記載の質量流量コントローラ。
【請求項78】
流量計が、線形化曲線を含む、請求項77に記載の質量流量コントローラ。
【請求項79】
線形化曲線が、制御点の組にあてはめられた3次スプラインである、請求項78に記載の質量流量コントローラ。
【請求項80】
制御点の組が、テスト流体およびテスト動作条件での質量流量コントローラの特性記述中に得られる構成データの一部である、請求項79に記載の質量流量コントローラ。
【請求項81】
制御点が、設定点の選択された組に関するセンサ出力とおよび実際の流体の流れを示す点対である、請求項80に記載の質量流量コントローラ。
【請求項82】
コントローラが、利得/リード/ラグ(GLL)コントローラである、請求項75に記載の質量流量コントローラ。
【請求項83】
逆数利得項が、GLLコントローラの第1入力に供給される、請求項82に記載の質量流量コントローラ。
【請求項84】
流量計からの流れ信号がGLLコントローラの第2入力に供給され、設定点信号がGLLコントローラの第3入力に供給される、請求項83に記載の質量流量コントローラ。
【請求項85】
GLLコントローラが、流れ信号と設定点信号との間の差に基づいて誤差信号を供給する、請求項84に記載の質量流量コントローラ。
【請求項86】
GLL制御が、逆数利得項に誤差信号をかける、請求項85に記載の質量流量コントローラ。
【請求項87】
第1利得項を有し、質量流量コントローラの流路内の流体の質量流量を感知し、流路内の流体の質量流量を表す流れ信号を供給する流量計と、
第2利得項を有し、流路内の流体の質量流量を制御する制御信号を受け取るバルブと、
第3利得項を有し、駆動信号を受け取り、バルブに制御信号を供給するバルブアクチュエータと、
流れ信号を受け取る第1入力、流体の所望の質量流量を表す設定点信号を受け取る第2入力、およびバルブアクチュエータに駆動信号を供給する出力を有するコントローラと
を含み
コントローラが、第1利得項、第2利得項、および第3利得項の少なくとも1つの積の逆数をとることによって形成される逆数利得項を提供するように適合された、
質量流量コントローラ。
【請求項88】
逆数利得項が、第1利得項、第2利得項、および第3利得項の少なくとも2つの積の逆数をとることによって形成される、請求項87に記載の質量流量コントローラ。
【請求項89】
逆数利得項が、第1利得項、第2利得項、および第3利得項の積の逆数をとることによって形成される、請求項87に記載の質量流量コントローラ。
【請求項90】
逆数利得項が、質量流量コントローラのシステム利得項の逆数をとることによって形成される、請求項87に記載の質量流量コントローラ。
【請求項91】
逆数利得項が、少なくとも1つの可変動作条件の関数である、請求項89に記載の質量流量コントローラ。
【請求項92】
質量流量コントローラの制御ループが、流量計、バルブアクチュエータ、バルブ、およびコントローラを含み、逆数利得項が、少なくとも、1つの可変動作条件に関して、制御ループの一定のループ利得を維持する、請求項91に記載の質量流量コントローラ。
【請求項93】
入口圧力で流体の流れを受け取るバルブ入口および出口圧力で流体の流れを供給するバルブ出口を有するバルブの変位を決定する方法であって、
(A)入口圧力と出口圧力との間の中間圧力を選択する動作と、
(B)入口圧力から中間圧力への粘性圧力低下に基づいてバルブの第1変位を決定する動作と、
(C)中間圧力から出口圧力への無粘性圧力低下に基づいてバルブの第2変位を決定する動作と、
(D)第1変位が第2変位と近似的に等しいかどうかを判定する動作と、
(E)第1変位が第2変位と近似的に等しい時に、バルブの変位として第1変位および第2変位の1つを選択する動作と
を含む方法。
【請求項94】
動作(D)で、第1変位が第2変位と近似的に等しくないと判定される時に、新しい中間圧力を選択する動作
をさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
動作(D)で、第1変位が第2変位と近似的に等しいと判定されるまで、動作(B)から(D)を繰り返す動作
をさらに含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
動作(C)が
中間圧力が、出口圧力より約2気圧高い時に、第2変位を決定するために、チョークされた流れの条件の下で中間圧力から出口圧力への無粘性圧力低下に基づいて第1計算を使用する動作と、
中間圧力が、出口圧力より約2気圧高くはない時に、第2変位を決定するために、チョークされない流れの条件の下で中間圧力から出口圧力への無粘性圧力低下に基づいて第2計算を使用する動作と
を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
第1計算および第2計算が、オリフィスを通る無粘性流れの物理モデルに基づく、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
動作(C)が、
第2変位を決定するために、オリフィスを通る無粘性流れの物理モデルに基づく第1計算を使用する動作
を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
動作(B)が、
バルブの第1変位を決定するために、2つの平行の板の間の粘性流れの物理モデルに基づく第1計算を使用する動作
を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
ソレノイド作動装置でのヒステリシスの影響を減らす方法であって、
装置を所定の状態にするために、ソレノイド作動装置に所定の非動作信号を適用する動作
を含む方法。
【請求項101】
非動作信号を適用する動作が、ソレノイド作動装置の各動作サイクルの後に発生する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
非動作信号を適用する動作が、装置が所定の動作範囲の外で動作した後に限って発生する、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
非動作信号を適用する動作が、非動作電流信号を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
非動作信号を適用する動作が、非動作電圧信号を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
非動作信号を適用する動作が、時間に伴って変化する正弦波形を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項106】
時間に伴って変化する正弦波形を適用する動作が、時間に伴って減少する振幅を有する正弦波形を適用する動作を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
時間に伴って変化する正弦波形を適用する動作が、波形が非負の値だけを有するようになる振幅のオフセットを有する正弦波形を適用する動作を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
非動作信号を適用する動作が、時間に伴って変化する方形波形を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項109】
時間に伴って変化する方形波形を適用する動作が、時間に伴って減少する振幅を有する方形波形を適用する動作を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
時間に伴って変化する方形波形を適用する動作が、波形が非負の値だけを有するようになる振幅のオフセットを有する方形波形を適用する動作を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
非動作信号を適用する動作が、時間に伴って変化する三角形波形を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項112】
時間に伴って変化する三角形波形を適用する動作が、時間に伴って減少する振幅を有する三角形波形を適用する動作を含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
時間に伴って変化する三角形波形を適用する動作が、波形が非負の値だけを有するようになる振幅のオフセットを有する三角形波形を適用する動作を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
非動作信号を適用する動作が、パルス形信号を適用する動作を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項115】
パルス形信号を適用する動作が、ソレノイド作動装置に適用される動作信号の符号と反対の符号を有するパルス形信号を適用する動作を含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
ソレノイド作動装置を動作させる方法であって、
(a)ソレノイド作動装置を第1位置から第2位置に移動させるために、ソレノイド作動装置にエネルギの第1量を供給する動作と、
(b)ソレノイド作動装置を第1位置に戻すために、ソレノイド作動装置にエネルギの第2量を供給する動作と、
(c)エネルギの第1量がエネルギの所定の量を超える時に、動作(b)の後に、ソレノイド作動装置を所定の状態にセットする動作と
を含む方法。
【請求項117】
動作(c)が、ソレノイド作動装置に時間に伴って変化する信号を供給する動作を含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
時間に伴って変化する信号を供給する動作が、正弦波形、方形波形、三角形波形、鋸歯波形の少なくとも1つを有する時間に伴って変化する信号を供給する動作を含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
時間に伴って変化する信号を供給する動作が、波形が非負の値だけを有するようになるオフセットを有する時間に伴って変化する信号を供給する動作を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
時間に伴って変化する信号を供給する動作が、時間に伴って減少する振幅を有する時間に伴って変化する信号を供給する動作を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
ソレノイド装置が、制御される部分を有する制御バルブである、請求項116に記載の方法。
【請求項122】
エネルギの第1量を供給する動作が、バルブの制御される部分を制御するために駆動信号を供給するステップを含み、駆動信号が、第1の符号を有する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
動作(c)が、バルブにパルスを供給する動作を含む、請求項121に記載の方法。
【請求項124】
パルスを供給する動作が、第1の符号と反対の符号を有するパルスを供給する動作を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
エネルギの所定の量が、バルブの制御される部分を開くのに必要な駆動信号のエネルギを超える、請求項122に記載の方法。
【請求項126】
ソレノイド作動装置が、質量流量コントローラのソレノイド作動制御バルブである、請求項116に記載の方法。
【請求項127】
質量流量コントローラが、動作範囲を有し、エネルギの所定の量が、ソレノイド制御バルブの位置を、質量流量コントローラの通常動作範囲の外の位置に移動するのに必要なエネルギの量である、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
ソレノイド作動装置と、
ソレノイド作動装置に結合されたソレノイドアクチュエータであって、装置を所定の状態にセットするためにソレノイド作動装置に非動作信号を供給するように適合された、ソレノイドアクチュエータと
を含む装置。
【請求項129】
非動作信号が、電流信号である、請求項128に記載の装置。
【請求項130】
非動作信号が、電圧信号である、請求項128に記載の装置。
【請求項131】
アクチュエータが、各動作サイクルの後に、ソレノイド作動装置に非動作信号を供給するように適合された、請求項128に記載の装置。
【請求項132】
アクチュエータが、ソレノイド作動装置が所定の動作範囲の外で動作した後に限って非動作信号を供給するように適合された、請求項128に記載の装置。
【請求項133】
非動作信号が、時間に伴って変化する正弦波形、時間に伴って変化する方形波形、時間に伴って変化する三角形波形、および時間に伴って変化する鋸歯波形の1つである、請求項128に記載の装置。
【請求項134】
非動作信号が、時間に伴って減少する振幅を有する、請求項133に記載の装置。
【請求項135】
非動作信号が、波形が非負の値だけを有するようになるオフセットを有する、請求項133に記載の装置。
【請求項136】
非動作信号が、パルスである、請求項133に記載の装置。
【請求項137】
ソレノイド作動装置が、ソレノイド作動バルブである、請求項128に記載の装置。
【請求項138】
アクチュエータが、バルブが所定の量を超える量だけデフォルト位置から変位した時にのみ、非動作信号を供給する、請求項137に記載の装置。
【請求項139】
アクチュエータが、バルブのすべての動作サイクルの後にバルブに非動作信号を供給する、請求項137に記載の装置。
【請求項140】
非動作信号が、時間に伴って変化する正弦波形、時間に伴って変化する方形波形、および時間に伴って変化する鋸歯波形の1つである、請求項137に記載の装置。
【請求項141】
流路内の流体の流れを感知し、流体の流れを表す流れ信号を供給するように適合された流量計と、
流れ信号を受け取り、流れ信号に少なくとも部分的に基づいて駆動信号を供給するように適合されたコントローラと、
流れ信号を受け取るバルブドライバであって、流れ信号に基づいて非動作信号を供給するように適合されたバルブドライバと
を含む質量流量コントローラと組み合わされ、
アクチュエータが、コントローラによって供給される駆動信号を受け取り、駆動信号に基づいてバルブの制御される部分を変位させる
請求項139に記載の装置。
【請求項142】
バルブドライバが、さらに、各動作サイクルの後にアクチュエータに非動作信号を供給するように適合された、請求項141に記載の装置。
【請求項143】
バルブドライバが、さらに、流れ信号が流れを示さない時に、必ずアクチュエータに非動作信号を供給するように適合された、請求項141に記載の装置。
【請求項144】
バルブドライバが、さらに、バルブの制御される部分が所定の量を超えて変位した後に限って、非動作信号を供給するように適合された、請求項141に記載の装置。
【請求項145】
非動作信号が、正弦波形、方形波形、三角形波形、および鋸歯波形の少なくとも1つである、請求項141に記載の装置。
【請求項146】
製造中に質量流量コントローラの第1応答を確立するのに使用されたテスト動作条件の組と少なくとも部分的に異なるプロセス動作条件の組で動作するように質量流量コントローラを構成する方法であって、
動作条件の第1組を用いて質量流量コントローラの特性を記述する動作と、
特性を記述する動作中に構成データを得る動作と、
質量流量コントローラの応答が実質的に変化しないように、構成データおよびプロセス動作条件に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作と
を含む方法。
【請求項147】
質量流量コントローラの特性を記述する動作が、
テスト動作条件の組に対して質量流量コントローラをチューニングする動作と、
テスト動作条件の組に対して質量流量コントローラを較正する動作と
を含み、テスト動作条件の組が、単一のテスト流体を含む
請求項145に記載の方法。
【請求項148】
プロセス動作条件の組が、質量流量コントローラのチューニング中および較正中に使用された単一のテスト流体と異なるプロセス流体を含み、少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作が、プロセス流体のプロセス流体種類情報に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの制御パラメータを修正する動作を含む、請求項145に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−15580(P2010−15580A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184196(P2009−184196)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2002−584094(P2002−584094)の分割
【原出願日】平成14年4月24日(2002.4.24)
【出願人】(507145075)セレリティ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】