赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品
【課題】帯電による埃の吸着を防止することが可能となり、加工工程の複雑化が回避でき、コストダウンを図ることが可能となる赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品を提供する。
【解決手段】屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層13の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層15との2層からなる導電性反射防止膜12が形成されていることを特徴とする赤外線カットフィルタを構成する。
【解決手段】屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層13の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層15との2層からなる導電性反射防止膜12が形成されていることを特徴とする赤外線カットフィルタを構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタルカメラの光学系においては、撮像素子によるモアレ像の発生を軽減するため、撮像素子の前面に光学ローパスフィルタを配置することが一般的に行われている。
しかし、撮像素子は人間の視感度と異なり、近赤外域での感度が高いためにこれを補正するために、光学ローパスフィルタの表面に多層赤外線カットフィルタを形成する事が一般的に行われている。
一般に、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に置かれることが多く、光学ローパスフィルタの表面の多層赤外線カットフィルタには可視域ではゴースト防止のために低反射率であり、かつ高透過率である事が求められている。
さらに、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に配置される事が多く光学ローパスフィルタ表面への埃の付着は、撮影した画像に対して点状欠点を生じることになるため、光学ローパスフィルタの表面には埃の付着を防止することが求められている。
【0003】
また、最近のデジタルカメラでは特に小型化に伴い、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に配置されることが多く、光学ローパスフィルタ表面への埃の付着は、撮影した画像に対して点状欠点を生じることになる。
そのため、光学ローパスフィルタの表面には埃の付着を防止することが求められている。
しかしながら、通常デジタルカメラで用いられる光学ローパスフィルタは、その材質として水晶やニオブ酸リチウム等の誘電体が用いられることが多く、表面が帯電して埃を吸い寄せることが多い。
さらに、光学ローパスフィルタの表面に形成される多層赤外線カットフィルタについても、誘電体多層膜により構成されることが多く、帯電防止の効果は無い。このため、光学ローパスフィルタ表面の帯電により周辺雰囲気中の埃等が静電力により吸い寄せられるという問題が発生している。
このようなことから、例えば、特許文献1ではカメラ及びこれに用いる撮像素子ユニットとして、表面に付着した埃を振動により落下させることが提案されている。
また、例えば特許文献2では帯電防止低反射型陰極線管およびその製造方法としてゾル−ゲル法による導電性反射防止膜の付与が、また特許文献3では多層反射防止膜を有するプラスティック製光学物品が提案されている。
【特許文献1】特開2003−348401号公報
【特許文献2】特開平8−279341号公報
【特許文献3】特開平9−197103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例における特許文献1のように、付着した埃を振動により落下させる方法では、振動を発生する機構が必要となり、装置の複雑化や価格上昇を招くことになる。
また、上記従来例では、
(1)帯電防止効果と反射防止効果は得られるが、視感度を補正する為の赤外線カットフィルタの効果が無いこと、
(2)膜硬度や付着力が不十分な為に後工程で傷等の不良が発生しやすいこと、
といった問題がある。
そのために、光学ローパスフィルタに視感度補正と帯電防止効果の両方の効果を与えるには、多層赤外線カットフィルタを形成した後に、別工程で反射防止膜を形成する必要がある為に、工程の複雑化、コストアップをもたらすことになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる誘電体多層膜により形成された赤外線カットフィルタ及び該赤外線カットフィルタを有する光学部品を提供することを目的としている。
また、本発明は、誘電体多層膜による赤外線カットフィルタの上に帯電防止効果を有する2層反射防止膜を形成するに際し、加工工程の複雑化が回避でき、コストダウンを図ることが可能となる赤外線カットフィルタの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、次のように構成した赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品を提供するものである。
本発明の赤外線カットフィルタは、屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層との2層からなる導電性反射防止膜が形成されていることを特徴とする。これにより、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記低屈折率誘電体層が、SiO2もしくはMgF2から選択された材料からなることを特徴とする。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記透明導電膜が、ITOを用いて形成され、その物理的膜厚が20nm以上、100nm以下とされていることを特徴とする。これにより、可視域における透過率と帯電防止効果の向上を図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記低屈折率誘電層が、MgF2を用いて最表面に形成され、その物理的膜厚が30nm以上、200nm以下とされていることを特徴とする。これにより可視域における反射防止効果と帯電防止効果の向上を図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタの製造方法は、
誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタの上部に、透明導電膜による導電層を形成し、さらにその上にSiO2もしくはMgF2から選択された低屈折率誘電体膜からなる反射防止膜を形成する赤外線カットフィルタの製造方法であって、
前記透明導電膜と低屈折率誘電体膜とを、前記誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタと同一の真空室内で真空成膜により形成する工程を有することを特徴とする。これににより、加工工程の複雑化を回避することができ、コストダウンを図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタの製造方法は、前記真空室内での真空成膜に際し、200℃以上の加熱真空雰囲気で成膜することを特徴とする。これにより膜硬度や付着力を向上させることができる。
また、本発明の光学部品は、上記したいずれかに記載の赤外線カットフィルタ、または上記したいずれかに記載の赤外線カットフィルタの製造方法によって製造された赤外線カットフィルタを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる誘電体多層膜により形成された赤外線カットフィルタ及び該赤外線カットフィルタを有する光学部品を実現することができる。
また、加工工程の複雑化が回避でき、コストダウンを図ることが可能となる赤外線カットフィルタの製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施の形態を図1を用いて説明する。
本実施の形態においては、透明誘電体基板11上の屈折率の異なる2つの高屈折率層と低屈折率層からなる薄膜を交互に積層した誘電体多層赤外カットフィルタ13上に、透明導電膜14と低屈折率誘電体膜15からなる帯電防止効果を有する2層反射防止膜12を備えた構成とすることができる。
なお、実際に光学部品として使用される場合は、透明導電膜14は部品取付金枠等によりアースされる構成を採ることができる。図1に示されるアース16は、金枠によるアースを模式的に表したものである。
【0009】
このような構成にした場合、通常は透明導電膜14は低屈折率誘電体膜15により絶縁されるため、低屈折率誘電体膜15の表面に蓄積された電荷は透明導電膜14に流れる事は無く帯電防止効果が発生しないように考えられる。
しかしながら、低屈折率誘電体膜15は薄膜である為に、多くの格子欠陥や不純物の存在等により大気中の水分を多少取込んでしまうことは実際の経験や分析により確認されている。
本発明では低屈折率誘電体膜15の膜厚や加工条件を実験結果等から最適化した結果、光学膜厚が200nm以下では帯電防止効果が得られることを、実験により確認した。
これは、低屈折率誘電体膜15中にわずかに存在する水分等が表面に蓄えられた電荷を透明導電膜14を経て、アース16に漏洩させることによるものと考えられる。
【0010】
次に、透明導電膜14を形成する方法としては、ゾル−ゲル法、塗布法などウエット成膜が用いられることがある。
しかしながら、このような方法では(1)膜厚の制御精度が悪いこと、(2)膜の強度が低いこと、(3)追加工程が必要になること、等による問題点がある。通常、誘電体多層赤外カットフィルタ13は通常、光学性能を得る為にスパッタリングや真空蒸着といった真空成膜法により形成される。そのために本発明では透明導電膜14と低屈折率誘電体膜15を誘電体多層赤外カットフィルタ13と同一真空室内で真空成膜により形成する事により、これらの問題点を解決した。
【0011】
次に、本実施の形態に用いられる透明導電膜の材料について説明する。
透明導電膜14には(1)抵抗値が低いこと、(2)膜吸収が少なく透過率が高いこと、光学的、物理的に安定していること、等が求められる。
本発明では透明導電膜材料について検討した結果、ITO膜が適していることを実験により確認した。
図2は今回実験により得られたITO膜の光学定数である。透明導電膜14の抵抗値を下げるためには膜厚が厚い事が望ましい。
しかし、一方では図2よりITO膜には可視域で若干の膜吸収の存在が確認されており、透明導電膜14の膜厚を厚くした場合は可視域での透過率が低下することが、図2に示す光学定数を用いた光学シミュレーションにより確認されている。
【0012】
本実施の形態では、以上のことを考慮した結果、透明導電膜14の材質としてITOを選択した場合、つぎのような膜厚とすることが望ましい。
すなわち、帯電防止効果を得るために必要な表面抵抗値として1010〜1012Ω以下を得るためには、物理膜厚が20nm以上、理想的には40nm以上が望ましく、光学性能上では物理膜厚が100nm以下、理想的には60nm以下が望ましい。
【0013】
次に、本実施の形態に用いられる低屈折率誘電体膜15について説明する。
透明導電膜14の上に形成される低屈折率誘電体膜15としては、屈折率が透明導電膜14より低いことが光学性能上では反射防止効果を得るために必要である。
この条件を満足する物質としては、SiO2やMgF2が光学的安定性や物理的強度、さらには加工の容易さから望ましいが、特にMgF2はSiO2に比べて表面エネルギーが低く防汚性に優れているためにより望ましい。
また、低屈折率誘電体膜15の膜厚としては、MgF2を使用した場合、帯電防止効果を得るためには、物理的膜厚で200nm以下、理想的には100nm以下の膜厚にすることが望ましい。
さらに、可視域での反射防止効果を最適化するために光学シミュレーションを実施した結果として、物理的膜厚で30nm以上、理想的には60nm以上、120nm以下が望ましいことが見出された。
【0014】
次に、本実施の形態における加工工程での成膜温度について説明する。
一般的に真空成膜により得られる誘電体薄膜の膜硬度や付着力は、基板温度がある程度高いほど強い傾向にあることが知られている。
例えば、上記した低屈折率誘電体膜をMgF2を真空蒸着法により成膜した場合、加熱温度が150以下では十分な膜硬度が得られないことが過去の経験より把握されている。
そのため、実際の加工工程では、200℃以上の加熱真空雰囲気での加工が、膜硬度や付着力を向上させる上でより望ましい。
このように、本発明では通常の視感度補正の為の赤外線カットフィルタの性能を維持した上で、さらに表面層に帯電防止効果を付与することができる。
【0015】
つきに、本実施の形態の一例を具体的に説明する。
図3に、本実施の形態の一例としての膜構成を、また図4にその膜構成により得られる分光特性図(透過率および反射率)を示す。
本実施の形態では、基板として水晶板を使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを50nm、MgF2を87.6nm成膜した25層膜により構成した。これにより、可視域で透過率98%、反射率1%と十分な光学性能を有した光学部品が得られる。
さらに、本実施の形態の上記構成例による帯電防止と埃付着の効果について評価した結果を、図5に示す。
本評価方法は、基板の片側に本実施の形態による帯電防止効果のある赤外カットフィルタを、また残りの部分には従来の赤外カットフィルタを形成し、帯電させた樹脂紛体の付着状況の違いを評価したものである。
本実施の形態の上記構成例により、表面に導電性を付与した個所は、非処理部に比べて表面電位、埃の付着とも改善されていることが確認できる。
【0016】
以上の本実施の形態の赤外カットフィルタを、水晶ニオブ酸リチウムといった基板上に形成した光学ローパスフィルタに使用することにより、光学性能を維持しつつ、帯電による表面への埃の付着の防止を図ることができる。
以上の構成を実施した光学部品をデジタルカメラ等に用いることにより、価格の上昇を抑えた上で、さらに画質の向上を図ることが可能となる。
なお、以上で説明した本実施の形態は、あくまでも一例であり、これらによって本発明は何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1として、図6に膜設計例を、また図7に分光特性図を示す。本実施例では基板として水晶板を使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを100nm、MgF2を75.9nm成膜した25層膜の例である。
ITO膜の膜厚増加に伴い、可視短波長域での透過率が若干低下しているが、反射率1%と十分な光学性能を有している。
本実施例よりITO膜の膜厚制限が効果的であることが確認できる。
【0018】
[実施例2]
本発明の実施例2として、図8に膜設計例を、また図9に分光特性図を示す。本実施例では基板としてニオブ酸リチウムを使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを100nm、MgF2を75.9nm成膜した25層膜の例である。
ITO膜の膜厚増加に伴い、可視短波長域での透過率が若干低下しているが、反射率1%と十分な光学性能を有している。
本実施例よりニオブ酸リチウムのような強誘電体基板に対しても本発明が有効であることが確認できる。
【0019】
[実施例3]
本発明の実施例3として、本発明を適用した光学部品の使用例について図10に記す。
図10はデジタル一眼レフカメラの構造を模式的に示したものであり、イメージセンサ92の前面に、ローパスフィルタ91が配置されている。
ここで、ローパスフィルタ91の表面に本発明による多層赤外線カットフィルタが形成されている。
本実施例によれば、帯電防止効果による埃の付着を軽減することができ、イメージセンサ92により形成される画質の向上を図ることが可能となる。
【0020】
(比較例1)
本発明に対する比較例1として、通常使用される23層からなる誘電体多層赤外カットフィルタの膜構成を膜構成を図11に、分光特性図を図12に示す。
通常の誘電体多層赤外カットフィルタでは光学性能は十分であるが、帯電防止効果が全く無く、使用中に表面の帯電により埃を吸着する問題が発生する。
【0021】
(比較例2)
本発明に対する比較例2として、上記比較例1の誘電体多層赤外カットフィルタの表面に透明導電膜としてITO 50nm 1層のみを単独で付与した例について、膜構成を図13に、分光特性図を図14に示す。
このように通常の誘電体多層赤外カットフィルタ表面に単純に透明導電膜を付与しただけでは帯電防止効果は得られるが、光学特性は著しく劣化する。
【0022】
以上のように、本発明の実施により光学部品表面の帯電による埃の付着が軽減することができ、これによりデジタルカメラ等の画質の向上に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の構成を示す代表図。
【図2】本発明で使用したITO膜の光学定数。
【図3】本発明を実施するための最良の実施例の膜構成。
【図4】本発明を実施するための最良の実施例の分光特性図。
【図5】発明の効果について評価した結果を示す図。
【図6】本発明の実施例1における膜構成を示す図。
【図7】本発明の実施例1における分光特性を示す図。
【図8】本発明の実施例2における膜構成を示す図。
【図9】本発明の実施例2における分光特性を示す図。
【図10】本発明の実施例3における光学部品の使用例を説明する図。
【図11】比較例1の膜構成を示す図。
【図12】比較例1の分光特性を示す図。
【図13】比較例2の膜構成を示す図。
【図14】比較例2の分光特性を示す図。
【符号の説明】
【0024】
11:透明誘電体基板
12:2層導電性反射防止膜
13:誘電体多層赤外カットフィルタ
14:透明導電膜
15:低屈折率誘電体膜
16:保持金枠によるアース
91:本発明を実施した光学ローパスフィルタ
92:イメージセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタルカメラの光学系においては、撮像素子によるモアレ像の発生を軽減するため、撮像素子の前面に光学ローパスフィルタを配置することが一般的に行われている。
しかし、撮像素子は人間の視感度と異なり、近赤外域での感度が高いためにこれを補正するために、光学ローパスフィルタの表面に多層赤外線カットフィルタを形成する事が一般的に行われている。
一般に、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に置かれることが多く、光学ローパスフィルタの表面の多層赤外線カットフィルタには可視域ではゴースト防止のために低反射率であり、かつ高透過率である事が求められている。
さらに、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に配置される事が多く光学ローパスフィルタ表面への埃の付着は、撮影した画像に対して点状欠点を生じることになるため、光学ローパスフィルタの表面には埃の付着を防止することが求められている。
【0003】
また、最近のデジタルカメラでは特に小型化に伴い、光学ローパスフィルタは撮像素子の直前に配置されることが多く、光学ローパスフィルタ表面への埃の付着は、撮影した画像に対して点状欠点を生じることになる。
そのため、光学ローパスフィルタの表面には埃の付着を防止することが求められている。
しかしながら、通常デジタルカメラで用いられる光学ローパスフィルタは、その材質として水晶やニオブ酸リチウム等の誘電体が用いられることが多く、表面が帯電して埃を吸い寄せることが多い。
さらに、光学ローパスフィルタの表面に形成される多層赤外線カットフィルタについても、誘電体多層膜により構成されることが多く、帯電防止の効果は無い。このため、光学ローパスフィルタ表面の帯電により周辺雰囲気中の埃等が静電力により吸い寄せられるという問題が発生している。
このようなことから、例えば、特許文献1ではカメラ及びこれに用いる撮像素子ユニットとして、表面に付着した埃を振動により落下させることが提案されている。
また、例えば特許文献2では帯電防止低反射型陰極線管およびその製造方法としてゾル−ゲル法による導電性反射防止膜の付与が、また特許文献3では多層反射防止膜を有するプラスティック製光学物品が提案されている。
【特許文献1】特開2003−348401号公報
【特許文献2】特開平8−279341号公報
【特許文献3】特開平9−197103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例における特許文献1のように、付着した埃を振動により落下させる方法では、振動を発生する機構が必要となり、装置の複雑化や価格上昇を招くことになる。
また、上記従来例では、
(1)帯電防止効果と反射防止効果は得られるが、視感度を補正する為の赤外線カットフィルタの効果が無いこと、
(2)膜硬度や付着力が不十分な為に後工程で傷等の不良が発生しやすいこと、
といった問題がある。
そのために、光学ローパスフィルタに視感度補正と帯電防止効果の両方の効果を与えるには、多層赤外線カットフィルタを形成した後に、別工程で反射防止膜を形成する必要がある為に、工程の複雑化、コストアップをもたらすことになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる誘電体多層膜により形成された赤外線カットフィルタ及び該赤外線カットフィルタを有する光学部品を提供することを目的としている。
また、本発明は、誘電体多層膜による赤外線カットフィルタの上に帯電防止効果を有する2層反射防止膜を形成するに際し、加工工程の複雑化が回避でき、コストダウンを図ることが可能となる赤外線カットフィルタの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、次のように構成した赤外線カットフィルタとその製造方法、赤外線カットフィルタを有する光学部品を提供するものである。
本発明の赤外線カットフィルタは、屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層との2層からなる導電性反射防止膜が形成されていることを特徴とする。これにより、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記低屈折率誘電体層が、SiO2もしくはMgF2から選択された材料からなることを特徴とする。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記透明導電膜が、ITOを用いて形成され、その物理的膜厚が20nm以上、100nm以下とされていることを特徴とする。これにより、可視域における透過率と帯電防止効果の向上を図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタは、前記低屈折率誘電層が、MgF2を用いて最表面に形成され、その物理的膜厚が30nm以上、200nm以下とされていることを特徴とする。これにより可視域における反射防止効果と帯電防止効果の向上を図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタの製造方法は、
誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタの上部に、透明導電膜による導電層を形成し、さらにその上にSiO2もしくはMgF2から選択された低屈折率誘電体膜からなる反射防止膜を形成する赤外線カットフィルタの製造方法であって、
前記透明導電膜と低屈折率誘電体膜とを、前記誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタと同一の真空室内で真空成膜により形成する工程を有することを特徴とする。これににより、加工工程の複雑化を回避することができ、コストダウンを図ることができる。
また、本発明の赤外線カットフィルタの製造方法は、前記真空室内での真空成膜に際し、200℃以上の加熱真空雰囲気で成膜することを特徴とする。これにより膜硬度や付着力を向上させることができる。
また、本発明の光学部品は、上記したいずれかに記載の赤外線カットフィルタ、または上記したいずれかに記載の赤外線カットフィルタの製造方法によって製造された赤外線カットフィルタを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯電による埃の吸着を防止することが可能となる誘電体多層膜により形成された赤外線カットフィルタ及び該赤外線カットフィルタを有する光学部品を実現することができる。
また、加工工程の複雑化が回避でき、コストダウンを図ることが可能となる赤外線カットフィルタの製造方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施の形態を図1を用いて説明する。
本実施の形態においては、透明誘電体基板11上の屈折率の異なる2つの高屈折率層と低屈折率層からなる薄膜を交互に積層した誘電体多層赤外カットフィルタ13上に、透明導電膜14と低屈折率誘電体膜15からなる帯電防止効果を有する2層反射防止膜12を備えた構成とすることができる。
なお、実際に光学部品として使用される場合は、透明導電膜14は部品取付金枠等によりアースされる構成を採ることができる。図1に示されるアース16は、金枠によるアースを模式的に表したものである。
【0009】
このような構成にした場合、通常は透明導電膜14は低屈折率誘電体膜15により絶縁されるため、低屈折率誘電体膜15の表面に蓄積された電荷は透明導電膜14に流れる事は無く帯電防止効果が発生しないように考えられる。
しかしながら、低屈折率誘電体膜15は薄膜である為に、多くの格子欠陥や不純物の存在等により大気中の水分を多少取込んでしまうことは実際の経験や分析により確認されている。
本発明では低屈折率誘電体膜15の膜厚や加工条件を実験結果等から最適化した結果、光学膜厚が200nm以下では帯電防止効果が得られることを、実験により確認した。
これは、低屈折率誘電体膜15中にわずかに存在する水分等が表面に蓄えられた電荷を透明導電膜14を経て、アース16に漏洩させることによるものと考えられる。
【0010】
次に、透明導電膜14を形成する方法としては、ゾル−ゲル法、塗布法などウエット成膜が用いられることがある。
しかしながら、このような方法では(1)膜厚の制御精度が悪いこと、(2)膜の強度が低いこと、(3)追加工程が必要になること、等による問題点がある。通常、誘電体多層赤外カットフィルタ13は通常、光学性能を得る為にスパッタリングや真空蒸着といった真空成膜法により形成される。そのために本発明では透明導電膜14と低屈折率誘電体膜15を誘電体多層赤外カットフィルタ13と同一真空室内で真空成膜により形成する事により、これらの問題点を解決した。
【0011】
次に、本実施の形態に用いられる透明導電膜の材料について説明する。
透明導電膜14には(1)抵抗値が低いこと、(2)膜吸収が少なく透過率が高いこと、光学的、物理的に安定していること、等が求められる。
本発明では透明導電膜材料について検討した結果、ITO膜が適していることを実験により確認した。
図2は今回実験により得られたITO膜の光学定数である。透明導電膜14の抵抗値を下げるためには膜厚が厚い事が望ましい。
しかし、一方では図2よりITO膜には可視域で若干の膜吸収の存在が確認されており、透明導電膜14の膜厚を厚くした場合は可視域での透過率が低下することが、図2に示す光学定数を用いた光学シミュレーションにより確認されている。
【0012】
本実施の形態では、以上のことを考慮した結果、透明導電膜14の材質としてITOを選択した場合、つぎのような膜厚とすることが望ましい。
すなわち、帯電防止効果を得るために必要な表面抵抗値として1010〜1012Ω以下を得るためには、物理膜厚が20nm以上、理想的には40nm以上が望ましく、光学性能上では物理膜厚が100nm以下、理想的には60nm以下が望ましい。
【0013】
次に、本実施の形態に用いられる低屈折率誘電体膜15について説明する。
透明導電膜14の上に形成される低屈折率誘電体膜15としては、屈折率が透明導電膜14より低いことが光学性能上では反射防止効果を得るために必要である。
この条件を満足する物質としては、SiO2やMgF2が光学的安定性や物理的強度、さらには加工の容易さから望ましいが、特にMgF2はSiO2に比べて表面エネルギーが低く防汚性に優れているためにより望ましい。
また、低屈折率誘電体膜15の膜厚としては、MgF2を使用した場合、帯電防止効果を得るためには、物理的膜厚で200nm以下、理想的には100nm以下の膜厚にすることが望ましい。
さらに、可視域での反射防止効果を最適化するために光学シミュレーションを実施した結果として、物理的膜厚で30nm以上、理想的には60nm以上、120nm以下が望ましいことが見出された。
【0014】
次に、本実施の形態における加工工程での成膜温度について説明する。
一般的に真空成膜により得られる誘電体薄膜の膜硬度や付着力は、基板温度がある程度高いほど強い傾向にあることが知られている。
例えば、上記した低屈折率誘電体膜をMgF2を真空蒸着法により成膜した場合、加熱温度が150以下では十分な膜硬度が得られないことが過去の経験より把握されている。
そのため、実際の加工工程では、200℃以上の加熱真空雰囲気での加工が、膜硬度や付着力を向上させる上でより望ましい。
このように、本発明では通常の視感度補正の為の赤外線カットフィルタの性能を維持した上で、さらに表面層に帯電防止効果を付与することができる。
【0015】
つきに、本実施の形態の一例を具体的に説明する。
図3に、本実施の形態の一例としての膜構成を、また図4にその膜構成により得られる分光特性図(透過率および反射率)を示す。
本実施の形態では、基板として水晶板を使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを50nm、MgF2を87.6nm成膜した25層膜により構成した。これにより、可視域で透過率98%、反射率1%と十分な光学性能を有した光学部品が得られる。
さらに、本実施の形態の上記構成例による帯電防止と埃付着の効果について評価した結果を、図5に示す。
本評価方法は、基板の片側に本実施の形態による帯電防止効果のある赤外カットフィルタを、また残りの部分には従来の赤外カットフィルタを形成し、帯電させた樹脂紛体の付着状況の違いを評価したものである。
本実施の形態の上記構成例により、表面に導電性を付与した個所は、非処理部に比べて表面電位、埃の付着とも改善されていることが確認できる。
【0016】
以上の本実施の形態の赤外カットフィルタを、水晶ニオブ酸リチウムといった基板上に形成した光学ローパスフィルタに使用することにより、光学性能を維持しつつ、帯電による表面への埃の付着の防止を図ることができる。
以上の構成を実施した光学部品をデジタルカメラ等に用いることにより、価格の上昇を抑えた上で、さらに画質の向上を図ることが可能となる。
なお、以上で説明した本実施の形態は、あくまでも一例であり、これらによって本発明は何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1として、図6に膜設計例を、また図7に分光特性図を示す。本実施例では基板として水晶板を使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを100nm、MgF2を75.9nm成膜した25層膜の例である。
ITO膜の膜厚増加に伴い、可視短波長域での透過率が若干低下しているが、反射率1%と十分な光学性能を有している。
本実施例よりITO膜の膜厚制限が効果的であることが確認できる。
【0018】
[実施例2]
本発明の実施例2として、図8に膜設計例を、また図9に分光特性図を示す。本実施例では基板としてニオブ酸リチウムを使用し、アンダーコート層としてAl2O3を、さらにTiO2/SiO2交互層からなる23層の赤外カットフィルタ上にITOを100nm、MgF2を75.9nm成膜した25層膜の例である。
ITO膜の膜厚増加に伴い、可視短波長域での透過率が若干低下しているが、反射率1%と十分な光学性能を有している。
本実施例よりニオブ酸リチウムのような強誘電体基板に対しても本発明が有効であることが確認できる。
【0019】
[実施例3]
本発明の実施例3として、本発明を適用した光学部品の使用例について図10に記す。
図10はデジタル一眼レフカメラの構造を模式的に示したものであり、イメージセンサ92の前面に、ローパスフィルタ91が配置されている。
ここで、ローパスフィルタ91の表面に本発明による多層赤外線カットフィルタが形成されている。
本実施例によれば、帯電防止効果による埃の付着を軽減することができ、イメージセンサ92により形成される画質の向上を図ることが可能となる。
【0020】
(比較例1)
本発明に対する比較例1として、通常使用される23層からなる誘電体多層赤外カットフィルタの膜構成を膜構成を図11に、分光特性図を図12に示す。
通常の誘電体多層赤外カットフィルタでは光学性能は十分であるが、帯電防止効果が全く無く、使用中に表面の帯電により埃を吸着する問題が発生する。
【0021】
(比較例2)
本発明に対する比較例2として、上記比較例1の誘電体多層赤外カットフィルタの表面に透明導電膜としてITO 50nm 1層のみを単独で付与した例について、膜構成を図13に、分光特性図を図14に示す。
このように通常の誘電体多層赤外カットフィルタ表面に単純に透明導電膜を付与しただけでは帯電防止効果は得られるが、光学特性は著しく劣化する。
【0022】
以上のように、本発明の実施により光学部品表面の帯電による埃の付着が軽減することができ、これによりデジタルカメラ等の画質の向上に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の構成を示す代表図。
【図2】本発明で使用したITO膜の光学定数。
【図3】本発明を実施するための最良の実施例の膜構成。
【図4】本発明を実施するための最良の実施例の分光特性図。
【図5】発明の効果について評価した結果を示す図。
【図6】本発明の実施例1における膜構成を示す図。
【図7】本発明の実施例1における分光特性を示す図。
【図8】本発明の実施例2における膜構成を示す図。
【図9】本発明の実施例2における分光特性を示す図。
【図10】本発明の実施例3における光学部品の使用例を説明する図。
【図11】比較例1の膜構成を示す図。
【図12】比較例1の分光特性を示す図。
【図13】比較例2の膜構成を示す図。
【図14】比較例2の分光特性を示す図。
【符号の説明】
【0024】
11:透明誘電体基板
12:2層導電性反射防止膜
13:誘電体多層赤外カットフィルタ
14:透明導電膜
15:低屈折率誘電体膜
16:保持金枠によるアース
91:本発明を実施した光学ローパスフィルタ
92:イメージセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層との2層からなる導電性反射防止膜が形成されていることを特徴とする赤外線カットフィルタ。
【請求項2】
前記低屈折率誘電体層は、SiO2もしくはMgF2から選択された材料からなることを特徴とする請求項1に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項3】
前記透明導電膜は、ITOを用いて形成され、その物理的膜厚が20nm以上、100nm以下とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項4】
前記低屈折率誘電層は、MgF2を用いて最表面に形成され、その物理的膜厚が30nm以上、200nm以下とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項5】
誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタの上部に、透明導電膜による導電層を形成し、さらにその上にSiO2もしくはMgF2から選択された低屈折率誘電体膜からなる反射防止膜を形成する赤外線カットフィルタの製造方法であって、
前記透明導電膜と低屈折率誘電体膜とを、前記誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタと同一の真空室内で真空成膜により形成する工程を有することを特徴とする赤外線カットフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記真空室内での真空成膜に際し、200℃以上の加熱真空雰囲気で成膜することを特徴とする請求項5に記載の赤外線カットフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の赤外線カットフィルタ、または請求項5乃至6のいずれかに記載の赤外線カットフィルタの製造方法によって製造された赤外線カットフィルタを有することを特徴とする光学部品。
【請求項1】
屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層の2つの薄膜を交互に積層した交互層の上に、透明導電膜による導電層と前記高屈折率層よりも屈折率の小さい低屈折率誘電体層との2層からなる導電性反射防止膜が形成されていることを特徴とする赤外線カットフィルタ。
【請求項2】
前記低屈折率誘電体層は、SiO2もしくはMgF2から選択された材料からなることを特徴とする請求項1に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項3】
前記透明導電膜は、ITOを用いて形成され、その物理的膜厚が20nm以上、100nm以下とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項4】
前記低屈折率誘電層は、MgF2を用いて最表面に形成され、その物理的膜厚が30nm以上、200nm以下とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項5】
誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタの上部に、透明導電膜による導電層を形成し、さらにその上にSiO2もしくはMgF2から選択された低屈折率誘電体膜からなる反射防止膜を形成する赤外線カットフィルタの製造方法であって、
前記透明導電膜と低屈折率誘電体膜とを、前記誘電体多層膜からなる赤外線カットフィルタと同一の真空室内で真空成膜により形成する工程を有することを特徴とする赤外線カットフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記真空室内での真空成膜に際し、200℃以上の加熱真空雰囲気で成膜することを特徴とする請求項5に記載の赤外線カットフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の赤外線カットフィルタ、または請求項5乃至6のいずれかに記載の赤外線カットフィルタの製造方法によって製造された赤外線カットフィルタを有することを特徴とする光学部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−316107(P2007−316107A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142352(P2006−142352)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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