説明

赤外線センサアレイシステム

【課題】画素毎にスイッチング素子を設ける必要がなく、集積化が容易な構成の赤外線センサアレイシステムを提供する。
【解決手段】赤外線センサアレイシステムは、赤外線センサアレイ10を備える。各赤外線検出センサIRS1,IRS2は、一方端が実質的に接地された参照キャパシタCrefと、一方端が、参照キャパシタの一方端と直列に結合される受光部キャパシタ(赤外線検出キャパシタ)Cdとを含む。D/Aコンバータ120.12,120.22は、参照キャパシタCrefの他方端に赤外線検出センサごとに異なる周波数の参照信号を印加し、D/Aコンバータ120.11,120.21は、赤外線検出キャパシタCdの他方端に当該周波数の駆動信号を参照信号と位相差、振幅差をもって印加する。赤外線センサアレイシステムは、参照キャパシタおよび赤外線検出キャパシタの結合点に流れる電流の各周波数成分を抽出して、各赤外線検出キャパシタの容量値の変化量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物体から放出される赤外線強度の分布を測定可能な赤外線センサを駆動するための赤外線センサアレイシステムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
室温の物体や人体からは、波長10μm付近の赤外線(熱線)が輻射されており、これを計測することにより、それらの存在や温度の情報が非接触で得られる。これを利用することで、自動扉、侵入警戒機、電子レンジの調理モニタおよび化学計測等のさまざまな応用がなされている。
【0003】
こういった計測において、一番のキーデバイスは赤外線センサであり、量子型赤外センサと熱型赤外センサの2種類に大きく分けられる。
【0004】
量子型赤外センサは、感度が大きく検知能力に優れているが、冷却が必要なため装置が大型になるといった点で実用性に問題がある。一方、熱型赤外センサは、感度が量子型赤外センサよりは少し劣るものの室温動作が可能であるというメリットがあり、実用性に富んでいる。
【0005】
このため、熱型赤外センサとして、焦電効果を用いるもの、抵抗ボロメータ、誘電ボロメータ、サーモパイル、ゴーレイ(Golay)セル等数多くのものが提案されている。
【0006】
中でも、電界を印加して誘電率の温度変化を検知する誘電ボロメータは、他のセンサより感度が高く、チョッパが必要ない等の優れた特徴を有しており、実用的見知から期待されている。
【0007】
さらに、より高度な赤外線センシングとして、物体や風景の温度分布を非接触で得られる赤外線イメージセンサ(サーモグラフィ)への応用が期待される。
【0008】
特開平11−271141号公報(特願平10−72571号)には、容量変化検出型赤外線2次元センサアレイにおいて、各画素に対応する赤外線センサに参照キャパシタと赤外検知キャパシタとを設ける構成が開示されている。この赤外検知キャパシタは、温度に応じてその誘電率が変化する高誘電体材料、たとえば、強誘電体のBST[(Ba1−xSr)TiO](組成比x=0.33近傍)を電極で挟むことにより形成されている。この赤外線センサでは、赤外未照射時、赤外検知キャパシタと参照キャパシタの容量が同じで、照射時の赤外線吸収に伴う温度上昇で赤外検知キャパシタの容量が変動するためにセンサ出力変化が生じる。
【0009】
さらに、特開2002−365130号公報には、このような赤外線2次元センサアレイにおいて、検出感度の向上と高分解能とを両立可能な駆動系および検出系を備えた赤外線2次元センサアレイシステムについて開示されている。
【特許文献1】特開平11−271141号公報
【特許文献2】特開2002−365130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図10は、たとえば、特開2002−365130号公報に開示されるような従来の赤外線センサアレイの1画素分の構成の等価回路を示す概念図である。
【0011】
なお、特開平11−271141号公報にも記載されるとおり、このような赤外線センサアレイの1画素分の構成は、Si基板などの半導体基板上に形成された強誘電体膜を対向電極で挟んだ構成の容量素子として形成される。
【0012】
図10に示したような画素の等価回路に対する測定では、いわゆる「電圧モード」の測定を用いている。図10において出力Vは次式で表せる。
【0013】
【数1】

【0014】
ここで、仮に、容量Cを200pF、温度変化による容量変化率(TCD:Temperature Coefficient of Dielectric constant)を0.2%/K、赤外線(IR)によるメンブレンの温度上昇を10mKとすれば、ΔC/Cは20ppmとなり、駆動電圧3Vppでは出力は30μVとなる。この値は数100倍のアンプを用いれば測定可能である。
【0015】
しかしながら、この回路は出力インピーダンスが非常に高く(200pF、1kHzで約400kΩ)、60Hzなどのノイズの影響を受けやすいという問題がある。
【0016】
また、増幅回路の入力インピーダンスは非常に高くする必要があり、増幅回路の能動素子は、接合型電界効果型トランジスタ(JFET)のソースフォロアを用いるか、相補型MOS(CMOS)入力オペアンプの非反転回路を用いる必要がある。しかも、出力の電位変動を計測するので、多画素化を考えた場合各画素からの出力は独立に取り出す必要がある。
【0017】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、画素毎にスイッチング素子を設ける必要がなく、集積化が容易な構成の赤外線センサアレイシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明の1つの局面に従うと、赤外線センサアレイシステムであって、複数の赤外線検出センサが配列された赤外線センサアレイを備え、各赤外線検出センサは、一方端が実質的に接地された参照キャパシタと、一方端が、参照キャパシタの一方端と直列に結合され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタとを含み、参照キャパシタの他方端に赤外線検出センサごとに異なる周波数の参照信号を印加するための第1の信号源と、赤外線検出キャパシタの他方端に周波数の駆動信号を参照信号と少なくとも位相差をもって印加するための第2の信号源と、参照キャパシタおよび赤外線検出キャパシタの結合点に流れる電流の各周波数成分を抽出して、各赤外線検出キャパシタの容量値の変化量を検出する検出手段とを備える。
【0019】
好ましくは、検出手段は、結合点である参照キャパシタの一方端を仮想接地させるオペアンプ手段を含む。
【0020】
好ましくは、第2の信号源は、信号レベルの読出し対象となる赤外線検出センサに応じて、駆動信号の振幅および位相を予め定められた値に変化させる。
【0021】
好ましくは、第1の信号源は、複数の赤外線検出センサごとに設けられる複数の参照信号発生源を含み、第2の信号源は、赤外線センサごとに設けられる複数の駆動信号発生源を含み、検出手段は、複数の赤外線検出センサに共通に設けられる。
【0022】
好ましくは、検出手段は、複数の信号読出手段の出力から所定の周波数成分の信号を抽出するための信号抽出手段を含み、信号抽出手段は、赤外線センサアレイからの出力に対してフーリエ変換を行ない、所定の周波数に対応する第1の実数成分と第1の虚数成分を算出するフーリエ変換手段と、第1の実数成分と第1の虚数成分とからなる第1のベクトルと、赤外線センサアレイへの赤外線非照射時において、複数の信号読出手段の出力の各々に対してフーリエ変換を行なった際の第2の実数成分と第2の虚数成分からなる第2のベクトルとの差ベクトルに基づいて、赤外線検出レベルを導出する赤外線レベル算出手段とを含む。
【0023】
好ましくは、第1の信号源から出力される参照信号と、第2の信号源から出力される駆動信号とは、ともに正弦波であり、赤外線検出センサごとに駆動信号として印加するべき信号の位相および振幅を記憶する駆動信号パラメータ記憶手段をさらに備える。
【0024】
この発明の他の局面に従うと、複数の赤外線検出センサが配列された赤外線センサアレイを用いて、赤外線強度の空間分布を測定するための測定方法であって、各赤外線検出センサは、一方端が実質的に接地された参照キャパシタと、一方端が参照キャパシタの一方端と直列に結合され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタとを含んでおり、参照キャパシタの他方端に赤外線検出センサごとに異なる周波数の参照信号を印加するとともに、赤外線検出キャパシタの他方端に周波数の駆動信号を参照信号と少なくとも位相差をもって印加するステップと、参照キャパシタおよび赤外線検出キャパシタの結合点に流れる電流の各周波数成分を抽出するステップと、各赤外線検出キャパシタの容量値の変化量を検出するステップとを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の容量変化検出型赤外センサシステムにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができる。また、高感度の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[赤外線検出センサ単体の構成とその駆動方式]
図1は、本発明に係る2次元センサアレイ中の、1つのセンサおよびそれを駆動する回路を等価的に示す図である。
【0027】
図1に示すとおり、センサアレイを構成する個々の容量変化検出型赤外センサIRSでは、受光部キャパシタ(赤外線検出キャパシタ)Cdは、その熱伝導を抑制して熱応答特性を向上させるために、基板を裏面からエッチングしてシリコン基板厚を薄くした領域、あるいは、基板を裏面または表面からエッチングしてシリコン基板が除去された領域に形成される。シリコン基板がエッチング除去されている場合、受光部キャパシタの部分は、引き出し配線等により中空に保持されている構成となり、「メンブレン」とも呼ばれる。一方、参照用キャパシタ部Crefは、シリコンバルク上に形成される。
【0028】
本発明の容量変化検出型赤外センサIRSでは、図1に示すように、キャパシタCdの一方端とキャパシタCrefの一方端との接合点である出力点Nsを接地(後に説明するように、オペアンプによる仮想接地でよい)し、接地点に流れ込む電流iが計測される。このとき、駆動回路DRV中の信号源VG1は、たとえば、キャパシタCdの他方端に角周波数ωで振幅Vの正弦波の信号を印加し、信号源VG2は、キャパシタCrefの他方端に、角周波数ωで振幅Vであって、キャパシタCdの他方端に印加される信号に比べて位相がπ(180°)ずれた信号を印加する。また、温度変化により、キャパシタCdの容量は、キャパシタCrefの容量に比べて、ΔCだけずれているものとする。
【0029】
図2は、信号源VG1およびVG2により、赤外線センサIRSに与えられる信号波形を示す図である。
【0030】
基本的には、受光部キャパシタCdと参照用キャパシタCrefの各々を、信号源VG1およびVG2からの振幅が同じで互いに位相が反転した1対の正弦波で駆動すると、赤外線に対する熱応答の差から共通電極ノードNsに電圧が発生し、これにより出力電流iが接地に対して流れる。このとき、2つのキャパシタの容量は理想的には同じでなければならない。
【0031】
しかしながら、実際には成膜時の膜厚や膜質のばらつき、リソグラフィ時のキャパシタの面積のばらつき、およびリーク抵抗成分などで、2つのキャパシタCdおよびCrefの容量には差が存在しうる。これに応じて、出力電流にも本来はオフセットが存在することになるが、このような場合は、特開2002−365130号公報で開示された技術と同様にして、素子駆動正弦波パルスの振幅と位相を各素子ごとに変更することによって、オフセット値を調整することが可能である。
【0032】
図2では、例として、信号源VG1から出力される信号を、信号源VG2から出力される信号の反転信号から、位相差δθだけずらした状態を示している。さらに、必要に応じて、信号源VG1からの出力信号の振幅も変化させる。
【0033】
したがって、以下では、このようにして補正を行ない、受光部キャパシタCdと参照用キャパシタCrefの容量は、赤外線非照射時において等しいものとして説明を行なう。
【0034】
このとき、容量変化検出型赤外センサIRSの出力電流は、以下の式(2)で表される。
【0035】
【数2】

【0036】
この式(2)から、出力電流は計測周波数と容量変化の絶対値に比例する。
たとえば、電圧モードと同じ条件、すなわち、容量Cを200pF、温度変化による容量変化率TCDを0.2%/K、赤外線(IR)によるメンブレンの温度上昇を10mKとして、上式(2)を駆動電圧3V、1kHzの場合について計算すると、出力電流は約75pAとなる。この値は、十分計測可能な値である。なお、以下に説明する計測システムでは6kHz程度を用いている。
【0037】
電流モードによる計測では、各容量はすべて接地(仮想接地)しているので、独立した回路となっており、おなじ出力部に他の画素の出力をつないでも、お互いに動作に影響を与えない。
【0038】
そのため、画素間で駆動周波数ωを変えることにより、出力を分離して取り出すことが可能である。
【0039】
つまり、多画素化した場合、スイッチング用のトランジスタを用いる必要がなくなり、素子作製プロセスが簡略化できる。また、スイッチングしなくてよいので、各画素を連続して駆動・計測でき、S/Nを上げることが可能である。
【0040】
いわば、これまでの電圧モードはスイッチングを行なうことが前提であり、時分割による多重通信システム(TDMA)でるといえるが、電流モードでは、周波数領域での多重通信システム(FDMA)であるといえる。
【0041】
電流モードの利点をまとめると、以下のようになる。
i)多画素化において、スイッチングを必要としない。
【0042】
ii)スイッチングしないので1フレームあたりの計測時間を長くでき、S/Nが向上
iii)出力インピーダンスが低いので、外来ノイズに強い。
【0043】
iv)出力が駆動周波数に比例するので、高い周波数を用いれば高感度化の可能性がある。
【0044】
なお、信号源VG1およびVG2から出力される信号波形は、必ずしも正弦波形に限定されるものではなく、上述したように、位相が相互に反転している波形であれば、他の波形でもよい。
【0045】
また、信号源VG1およびVG2から出力される信号波形の振幅にも、振幅差が存在していてもよい。
[2次元赤外線センサアレイシステムの構成とその駆動方式]
図3は、上述したような素子駆動正弦波信号により駆動される赤外線センサアレイおよびその駆動回路の構成を説明する概略ブロック図である。
【0046】
なお、図3においては、説明の簡単のために、赤外線センサアレイ10は、1(列)×2(行)個の容量変化型赤外線検出センサIRS1およびIRS2が配置されるものとして説明している。
【0047】
しかしながら、後に説明するように、赤外線センサアレイ10は、より一般には、m(列)×n(行)個(m,n:自然数)のアレイ状に配置された容量変化型赤外線検出センサを備える構成とすることができる。このときは、各赤外線検出センサ(素子)が、画素に対応している。さらに、このm×n個のセンサは、1×n個のセンサからなるラインセンサがm個繰り返されるのと等価な構成となっており、本発明では、赤外線検出センサごとに駆動周波数を変えることにより、このm×n個のライセンサから、並列してm×n個のデータを読出す構成となっている。もちろん、必要に応じて、たとえば、1×n個のセンサから並列してn個のデータを読出す処理を、m個のラインセンサについて並行して行なう構成としてもよい。
【0048】
赤外線センサアレイ10には、パーソナルコンピュータ(PC)100により制御されるフィールドプログラマブルゲートアレイ(以下、FPGA:Field Programable Gate Array)110により、各センサごとに異なった周波数の駆動用正弦波が補正されて印加される。
【0049】
ここで、FPGA110により計算された補正された正弦波の値は、各センサにおける受光部キャパシタCdと参照用キャパシタCrefごとに設けられたD/Aコンバータ120.11、120.12、120.21、120.22により、アナログ信号に変換されて、バッファ122.11、122.12、122.21、122.22をそれぞれ介して、対応するラインセンサ中の赤外線検出センサにそれぞれ与えられる。
【0050】
赤外線センサアレイ10から読出されたデータは、各センサに共通に設けられた電流電圧変換回路130により電圧に変換された後、ローパスフィルタおよびアンプ回路140により、ローパスフィルタLPFあるいはバンドパスフィルタBPFで所望の周波数成分のみが抽出され、アンプにより増幅された後、A/Dコンバータ150によりデジタル信号に変換されてFPGA110に与えられる。ここで、電流電圧変換回路130は、オペアンプ回路であり、赤外線検出センサIRS1およびIRS2の出力点Ns1およびNs2は、オペアンプ回路により仮想接地されている。
【0051】
FPGA110では、このようにして得られた各ラインセンサからのデジタル信号を、後に説明するようにフーリエ係数の計算を行なうことで、入射赤外線に起因する信号成分のみの抽出を行なう。
【0052】
このようにしてFPGA110においてフーリエ係数の計算が行なわれたデータは、パーソナルコンピュータ100に、たとえば、USB(Universal Serial Bus)などのインターフェースを介して返信され、パーソナルコンピュータ100において最終的に赤外線強度が算出される。赤外線センサアレイ10が2次元アレイに配列されている場合は、パーソナルコンピュータ100において赤外線2次元イメージが構成されて、ディスプレイ(図示せず)上に出力される。
【0053】
以下、各部の構成の一例について、さらに、詳しく説明する。
(D/Aコンバータとバッファ)
D/Aコンバータ120.11〜120.22としては、たとえば、12ビットDAを使用することができる。D/Aコンバータ120.11〜120.22の出力を直接赤外線検出センサに印加すると高周波成分が重畳するため、カットオフ約190kHzのRCフィルタとボルテージフォロアのバッファ122.11〜122.22を挿入している。
(電流電圧変換回路)
素子の電流を電圧に変換するための電流電圧変換回路130において、帰還抵抗は、たとえば、200kΩである。
(LPFとアンプ)
後に説明するように、2次高調波が信号成分よりも大きく出るため、アンプの倍率を上げると高調波のため、アンプの出力が飽和する。そこで、たとえば、オペアンプ3つを用いて7次のバタワースLPFフィルタを構成する。LPFフィルタのカットオフは、たとえば、約6.5kHzで、フィルタ部にも約5.5倍のゲインがある。
【0054】
後段の非反転アンプは、帰還抵抗を調整して、出力が飽和しないようにゲインを調整できる。
(A/Dコンバータ部)
たとえば、12ビットのA/Dコンバータ150を使用できる。入力部に抵抗とコンデンサを用いて、常に、たとえば、1.65Vが中心になるようにレベルシフトしている。
【0055】
A/Dコンバータ150により入力されたデータは、FPGA110でフーリエ係数計算に用いられ、さらにPC100上で、各周波数成分の振幅値(ピークツーピーク)として表示される。
[赤外線センサアレイの他の構成]
図4は、図3に示した構成を、赤外線2次元センサアレイ10が、2(列)×2(行)個の容量変化型赤外線検出センサIRS11〜IRS22が配置される構成とした場合の例を示すブロック図である。
【0056】
容量変化型赤外線検出センサIRS11の受光部キャパシタCdと参照用キャパシタCrefに正弦波信号を印加するために、D/Aコンバータ120.111および122.112と、バッファ122.111および122.112とが設けられている。
【0057】
他の容量変化型赤外線検出センサIRS12〜IRS22についても、それぞれ、D/Aコンバータとバッファとが2組ずつ設けられている。
【0058】
また、容量変化型赤外線検出センサIRS11〜IRS22に共通に、電流電圧変換回路130と、ローパスフィルタ(またはバンドパスフィルタ)およびアンプ回路140と、A/Dコンバータ150とが設けられる。
【0059】
図5は、図4において説明したFPGA110の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0060】
以下、図5にしたがって、その構成および処理の流れについてさらに詳しく説明する。
FPGA110は、RAM1102を内蔵している。FPGAには、たとえば、24MHzの外部クロックを与え、内部PLL(Phase Locked Loop)回路により100MHzにクロックアップしている。従って、内部のクロックサイクルは、たとえば、10nsである。
【0061】
FPGA110中のD/A制御部1104は、駆動波形計算部1106の計算結果に基づいて、DAコンバータ120.111〜120.222の制御を行なう。なお、RAM1102には、個々の赤外線検出センサの各々について最適な振幅と位相を記憶させる構成としている。
【0062】
すなわち、D/A制御部1104は、RAM(Random Access Memory)1102中の正弦波のデータを用いてDAコンバータ120.111〜120.222を駆動する。正弦波のデータは、たとえば、12ビットで、オフセット1.65V、振幅3Vppが原則であるが、補正のために、特定の赤外線検出センサについて振幅を変化させる場合はデータをPC100で計算し、USBを通してRAM1102内のデータを書き換える。特定の赤外線検出センサについて位相を変化させる場合は、基準側の正弦波に対して、駆動波形計算部1106により、必要なクロック分だけずらしてデータを出力する。
【0063】
正弦波のデータは、たとえば、125点で1周期とし、駆動波形計算部1106が、DAコンバータ120.111〜120.222にデータを送信する間隔を変えることにより、特定の赤外線検出センサごとに、周波数を変える。たとえば、1つめの画素に対応する赤外線検出センサについては、たとえば、130クロック毎にデータを送信するので、周期は162.5μs、周波数は約6.1538kHzである。また、たとえば、2つ目の画素を駆動する場合は、この送信周期を128クロックとし、周波数が6.25kHz(周期は160μs)とする。さらに、たとえば、3つ目の画素については126クロック(周波数約6.3492kHz、周期157.5μs)、4つ目の画素については124クロック(周波数約6.4516kHz、周期155μs)とする。このように、画素毎の周波数間隔は約100Hzとなる。
【0064】
また、DAコンバータの1ビットは、たとえば、約1mVに相当しており、振幅分解能は1mVである。また、位相は、周期162.5μsの場合、1クロックは約0.022(=360÷125÷130)度に相当するので、位相分解能は約0.022度である。
【0065】
さらに、FPGA110中のADコンバータ制御部1108は、ADコンバータ150を制御し信号波形を取り込む。サンプリング周期は、たとえば、10μs(サンプリング速度:100kHz、クロック周期:1000)である。また、取り込んだ生データのうち、たとえば、999点をRAM1102に保存し、フーリエ係数計算の結果とともに、インタフェース部1112を介して、PC100に送信する。
【0066】
FPGA110中のフーリエ係数計算部1110は、ADコンバータ150からのデータを用いて駆動周波数に対してフーリエ係数の実部と虚部の計算を行ない、それぞれを、たとえば、32ビットデータとしてPC100へ送信する。特に限定されないが、たとえば、フーリエ係数の計算点数は、2の10乗(1024点)から、2の16乗(65536点)までの7種類を選べる。この場合、サンプリング周期が10μsであるので、計算結果は、最短で10.24ms毎、最長で655.36ms毎に出力される。計算点が多いほど、S/Nは向上する。また、周波数分解能も向上する。周波数分解能については、後述のように、16384点の計算では、100Hz離れれば60dB以上の出力差がある。
【0067】
フーリエ係数計算部1110の計算は、周波数分解能を上げるためハニング窓を用いることができる。計算点が2のn乗になっているのは、ハニング窓用の係数を格納するフーリエ係数計算部1110内のROM(Read Only Memory:図示せず)の量を減らすためである。また、ADのサンプリング周期とDAのサンプリング周期が異なり、駆動正弦波の周期が162.5μsの場合では、ADのサンプリングは、1周期あたり16.25回になる。そのため、4周期分(65点)の計算用係数をROMに記憶している。周期が160μsの駆動正弦波に対しては、1周期がちょうど16個のサンプリング点で表せるので、ROM中には16個の計算用係数を記憶している。
【0068】
FPGA110中のインタフェース部1112を介して、上述したとおり、フーリエ係数計算部1110の計算終了ごとにフーリエ係数計算結果とADコンバータ150からの生データ999点をPC100に送信する。また、FPGA110は、PC100から、インタフェース部1112を介して、駆動正弦波の波形値、位相シフト値、フーリエ係数の計算点数を受信する。
【0069】
なお、画素数がより大規模化した場合は、図5中のFPGA110で実現される機能と、パーソナルコンピュータ100上で実現される機能とを統合して専用LSIを設け、画素の駆動を行なう構成とすることも可能である。
【0070】
一方、パーソナルコンピュータ100は、撮像全体のコントロールと画像表示を行なう。このとき、図5に示すように、各画素ごとに最適な振幅と位相を調整するにあたり、パーソナルコンピュータ100からコントロールを行なうのであれば、そのソフトウェアの実装は比較的容易に行なうことができる。また、計測画像データからフィードバックにより最適なオフセット調整を行なうことが可能となる。
[制御用パーソナルコンピュータ100の構成]
図6は、パーソナルコンピュータ100の構成の一部を抜き出して示す概略ブロック図である。
【0071】
図6を参照して、マンマシンインターフェイス部3002は、ユーザによりキーボード3000から入力された各パラメータを、画像表示用パラメータ設定部3004と画素駆動パラメータ記憶部3006に送る。
【0072】
画像表示パラメータ設定部3004は、画像表示時に用いるパラメータ、たとえば、各画素の「ゼロベクトル」や「感度係数」をキー入力に従って設定し記憶する。画像データ計算部3008がセンサアレイ10の出力に基づいて、画素の「ゼロベクトル」を算出し、画像表示パラメータ設定部3004は、この算出された値を受取る。各画素の「ゼロベクトル」とは、後に説明するように、センサアレイ10中の各赤外線検出センサについて、赤外線が未照射の状態での出力の複素フーリエ係数のベクトル表示を意味する。
【0073】
画像データ計算部3008は、たとえば、24ビットのデータ幅でFPGA110とデータの送受信を行なうI/Oカード部3014により、各画素ごとの信号(フーリエ係数)を受取り、画像表示パラメータ設定部3004から送られる各画素のゼロベクトルや感度係数を用いて表示データを計算する。画像データ計算部3008の計算結果に基づいて、画像表示部3010は、パーソナルコンピュータ100の画面に、測定対象の温度分布を反映した擬似カラー画像を表示する。
【0074】
画素駆動パラメータ記憶部3006は、測定前のキャリブレーションの手続きにより、各画素駆動の最適な位相と振幅のデータを記憶する。位相と振幅のデータは、マニュアルキャリブレーション時には、マンマシンインターフェイス部3002より受取り、自動キャリブレーション時には、画像データ計算部3008より受取る。
【0075】
素子駆動パラメータ計算部3012は、画素駆動パラメータ記憶部3006より各画素の位相と振幅のデータを受取り、画素のアドレスを計算して適切なタイミングでI/Oカード部3014へデータを送出し、RAM1102に記憶させる。
【0076】
I/Oカード部3014は、FPGA110との通信・制御を行ない、FPGA110から各画素のフーリエ係数とADコンバータ150からのデータとを受信し、FPGA110に各画素のアドレスと振幅および位相のデータを送信する。
【0077】
なお、以上の説明では、パーソナルコンピュータ100の外部インターフェースは、I/Oカード部3014であるものとしたが、もちろん、所定のビット幅と所望の速度でデータの授受を行なえるものであれば、他のインターフェースによってもよい。
【0078】
各画素のデータのフーリエ係数計算を行なう場合には、駆動正弦波に起因して出力される信号に対して、位相が同相の成分とπ/2ずれた成分を計算することになる。
【0079】
便宜上、同相成分を「実軸係数X」と呼び、π/2ずれた成分を「虚軸係数Y」と呼ぶことにする。
【0080】
図7は、フーリエ係数を係数Xと係数Yの2次元ベクトルで表現した場合において、赤外線非照射時と赤外線照射時のベクトルを表す概念図である。
【0081】
ここで、赤外線非照射時とは、たとえば、赤外線2次元センサアレイを搭載した赤外線カメラにおいて、赤外線2次元センサアレイへの入射赤外線を遮断するために、シャッタを閉じた状態を意味する。
【0082】
本来、赤外線非照射時のベクトルはオフセットの調整を行なうことで、その大きさが0となるべきものであるが、実際には、完全に0にすることは困難である。
【0083】
そこで、赤外線非照射時の各画素のベクトル(「ゼロベクトル」)を記憶しておき、画像表示時にはゼロベクトルと赤外線照射時のベクトルとの差のベクトルの大きさに基づいて、PC100は、各画素の赤外線レベルを導出して表示する。たとえば、差のベクトルの絶対値を赤外線の検出レベルとすればよい。
[本システムの計測能力]
以下では、以上説明したような本発明の赤外線センサアレイシステムに要求される性能および赤外線センサアレイシステムの実現可能性を示す実測結果について説明する。
(出力電圧の計算とオフセット)
仮に図1のCを200pF、TCDを0.2%/K、人体等からの赤外線照射によるメンブレンの温度上昇を10mKと仮定すれば、容量変化ΔCは4fFとなる。(ΔC/Cは20ppm) 駆動電圧を3Vppとすれば、駆動周波数6.1538KHzでは出力電流は、(2)式より約460pAとなる。このとき、電流電圧変換回路の出力は帰還抵抗Rfbを200kΩとすれば約92μVである。また、LPFとアンプを通過後の出力は約2mVppとなる。
【0084】
実際のセンサでは、その2つの容量やコンダクタンス成分が異なるため、上述したように、駆動正弦波の振幅と位相を調整する。先に示したように振幅の分解能は約1mVであるので、これは3Vppの約300ppmに相当する。ΔC/Cは20ppm程度であることから、出力の変化よりも大きなオフセットが常に存在することになる。つまり、先に示した2mVppの出力は、数10mV程度のオフセットが存在する中での変化として観測される。従って本システムでは、数10mV以上のオフセット電圧の中から1mV程度の変化を取り出す能力が求められる。
【0085】
ただし、このような計測電圧分解能を達成すること自体は、技術的には十分に可能である。
(周波数分解能)
図8は、ADコンバータ150に、ファンクションジェネレータより6.05kHzから6.25kHzまで、2Hz刻みで1Vppの正弦波を与え、そのときの6.1538kHzの振幅成分の測定結果を求めたものを示す。
【0086】
積算点数が8192点の場合サンプリング間隔が10μsであるから、積算時間は約82msである。従って、分解能はその逆数である、約12Hzとなる。実測では、6.154kHzの入力時が最大で999.4mVとなっており、計測値がその半分になるのは、およそ6.142kHzと6.165kHzである。従って、中心値から約12Hz離れれば計測値が半分になることが分かり、実測の分解能も約12Hzである。
【0087】
実際のセンサの測定時には、上述したような駆動周波数の設定では、約100Hz離れたところに別の駆動正弦波が存在するが、実測では、6.05kHzと6.25kHzの1Vpp入力に対して計測値は0.5mV程度であり、約―66dBの分離が可能である。また、16384点の積算では、分解能は約6Hz、100Hz離れた入力に対する分離は約―74dBである。以上のことから、本システムにおいて約100Hz離れた異なる周波数で複数の素子を駆動した場合、8196点以上の積算を行なえば信号を分離する能力は十分であるといえる。
(擬似センサの駆動)
図9は、約100pFのセラミックコンデンサを4つ用いて擬似センサを2セット作り、試作システムを用いて駆動と信号計測を行なった結果を示す。図9(a)に、コンデンサの1セットのみを振幅3Vpp、周波数6.1538kHzで駆動した場合の出力波形を示す。2つのコンデンサの容量差(オフセット分)を駆動正弦波の電圧と位相を調整して6.1538kHz成分を最小にしてある。この波形がそのままADコンバータ150に入力されていることになる。出力波形から、基本波成分である、6.1538kHzとともに、2次高調波(12.3076kHz)が存在していることがわかる。このとき、試作システムによる計測値は基本波成分が約10mV、2次高調波成分が約48mVである。
【0088】
次にもう一つのコンデンサのセットにも、6.25kHzの正弦波を印加し2つの擬似センサのセットから同時に信号を取り出した場合の出力波形を図9(b)に示す。約100Hz離れた2つの正弦波の重なりのため、ビート(うなり)を生じている。このとき、試作システムの出力では、6.1538kHzの振幅成分は1つのみを駆動した場合と変わらず約10mV、6.25kHzの振幅成分は約9mVであった。
【0089】
2セットの擬似センサを駆動した場合、例えば、6.25kHzの正弦波の振幅と位相を変化させても、6.1538kHz側の出力値には全く変化は見られない。従って、1つの信号線で周波数の異なる2つ以上のセンサ出力を計測するという、本システムの基本的な原理が十分実証された。
【0090】
したがって、以上説明したような構成により、高感度であって、しかも画素毎にスイッチング素子を設ける必要がなく、集積化が容易で、検出感度の向上と高分解能とを両立可能な構成の赤外線2次元センサアレイシステムを実動作させることが可能となる。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る2次元センサアレイ中の、1つのセンサおよびそれを駆動する回路を等価的に示す図である。
【図2】信号源VG1およびVG2により、赤外線センサIRSに与えられる信号波形を示す図である。
【図3】素子駆動正弦波信号により駆動される赤外線センサアレイおよびその駆動回路の構成を説明する概略ブロック図である。
【図4】容量変化型赤外線検出センサIRS11〜IRS22が配置される構成とした場合の例を示すブロック図である。
【図5】図4において説明したFPGA110の構成を説明するための概略ブロック図である。
【図6】パーソナルコンピュータ100の構成の一部を抜き出して示す概略ブロック図である。
【図7】フーリエ係数を係数Xと係数Yの2次元ベクトルで表現した場合において、赤外線非照射時と赤外線照射時のベクトルを表す概念図である。
【図8】ADコンバータ150の特性の測定結果を示す図である。
【図9】セラミックコンデンサを4つ用いて擬似センサを2セット作り、試作システムを用いて駆動と信号計測を行なった結果を示す図である。
【図10】従来の赤外線センサアレイの1画素分の構成の等価回路を示す概念図である。
【符号の説明】
【0093】
10 赤外線センサアレイ、100 パーソナルコンピュータ、110 FPGA、120.11〜120.22 D/Aコンバータ、Cd 受光部キャパシタ、Cref 参照キャパシタ、122.11〜122.22 バッファ、130 電流電圧変換回路、140 ローパスフィルタ(バンドパスフィルタ)およびアンプ回路、150 A/Dコンバータ、1102 RAM、1104 D/A制御部、1106 駆動波形計算部、1108 A/D制御部、1110 フーリエ係数計算部、1112 インターフェース部、3000 キーボード、3002 マンマシンインターフェイス部、3004 画像表示用パラメータ設定部、3006 画素駆動パラメータ記憶部、3008 画像データ計算部、3010 画像表示部、3014 I/Oカード部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の赤外線検出センサが配列された赤外線センサアレイを備え、
各前記赤外線検出センサは、
一方端が実質的に接地された参照キャパシタと、
一方端が、前記参照キャパシタの前記一方端と直列に結合され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタとを含み、
前記参照キャパシタの他方端に前記赤外線検出センサごとに異なる周波数の参照信号を印加するための第1の信号源と、
前記赤外線検出キャパシタの他方端に前記周波数の駆動信号を前記参照信号と少なくとも位相差をもって印加するための第2の信号源と、
前記参照キャパシタおよび前記赤外線検出キャパシタの結合点に流れる電流の各周波数成分を抽出して、各前記赤外線検出キャパシタの前記容量値の変化量を検出する検出手段とを備える、赤外線センサアレイシステム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記結合点である前記参照キャパシタの前記一方端を仮想接地させるオペアンプ手段を含む、請求項1記載の赤外線センサアレイシステム。
【請求項3】
前記第2の信号源は、前記信号レベルの読出し対象となる前記赤外線検出センサに応じて、前記駆動信号の振幅および位相を予め定められた値に変化させる、請求項1記載の赤外線センサアレイシステム。
【請求項4】
前記第1の信号源は、前記複数の赤外線検出センサごとに設けられる複数の参照信号発生源を含み、
前記第2の信号源は、前記赤外線センサごとに設けられる複数の駆動信号発生源を含み、
前記検出手段は、前記複数の赤外線検出センサに共通に設けられる、請求項1記載の赤外線センサアレイシステム。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記複数の信号読出手段の出力から所定の周波数成分の信号を抽出するための信号抽出手段を含み、
前記信号抽出手段は、
前記赤外線センサアレイからの出力に対してフーリエ変換を行ない、前記所定の周波数に対応する第1の実数成分と第1の虚数成分を算出するフーリエ変換手段と、
前記第1の実数成分と第1の虚数成分とからなる第1のベクトルと、前記赤外線センサアレイへの赤外線非照射時において、前記複数の信号読出手段の出力の各々に対してフーリエ変換を行なった際の第2の実数成分と第2の虚数成分からなる第2のベクトルとの差ベクトルに基づいて、赤外線検出レベルを導出する赤外線レベル算出手段とを含む、請求項4記載の赤外線センサアレイシステム。
【請求項6】
前記第1の信号源から出力される前記参照信号と、前記第2の信号源から出力される前記駆動信号とは、ともに正弦波であり、
前記赤外線検出センサごとに前記駆動信号として印加するべき信号の位相および振幅を記憶する駆動信号パラメータ記憶手段をさらに備える、請求項3記載の赤外線センサアレイシステム。
【請求項7】
複数の赤外線検出センサが配列された赤外線センサアレイを用いて、赤外線強度の空間分布を測定するための測定方法であって、
各前記赤外線検出センサは、一方端が実質的に接地された参照キャパシタと、一方端が前記参照キャパシタの前記一方端と直列に結合され、入射する赤外線に応じて容量値が変化する赤外線検出キャパシタとを含んでおり、
前記参照キャパシタの他方端に前記赤外線検出センサごとに異なる周波数の参照信号を印加するとともに、前記赤外線検出キャパシタの他方端に前記周波数の駆動信号を前記参照信号と少なくとも位相差をもって印加するステップと、
前記参照キャパシタおよび前記赤外線検出キャパシタの結合点に流れる電流の各周波数成分を抽出するステップと、
各前記赤外線検出キャパシタの前記容量値の変化量を検出するステップとを備える、測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−82836(P2008−82836A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262251(P2006−262251)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(899000046)関西ティー・エル・オー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】