説明

赤外線通信機能付き玩具自動車

【課題】搭載した携帯型ゲーム装置で車両を制御して遊ぶ。
【解決手段】
車台11に設けた搭載台12上に携帯型ゲーム装置13を配置し、携帯型ゲーム装置13に設けられたゲーム機側赤外線通信装置31と、車両11の車両側赤外線通信装置32とが対面する状態にして、携帯型ゲーム装置13と車両11との間の信号を赤外線信号により送受信する。携帯型ゲーム装置13によって制御されながら、駆動輪21L、21R、22L、22Rが回転し、車両1が走行するが、赤外線通信によって接続されているため、結線の手間が不要となって容易に取り付けができ、移動の際の振動による接続不良は発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型ゲーム装置に搭載されるカートリッジと、そのカートリッジとの間で通信を行う車両とから成る玩具自動車に係り、特に、赤外線通信を行う玩具車両に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型ゲーム装置は、小型ROMが内蔵されたカートリッジを装着するスロットが設けられており、このスロットに、内蔵したROM中にゲームプログラムが記録されたカートリッジを装着して、ゲームプログラムを動作させると、携帯型ゲーム装置を使用して、カートリッジに記憶されたゲームを実行できる。
【0003】
携帯型ゲーム装置には、タッチパネルの他、カメラ、マイクロフォン、スピーカ等の装置が内蔵されており、ゲームプログラムはそれら装置を活用して、ゲームを実行する。
このような携帯型ゲーム装置は広く使用されており、例えば、家庭内の団欒のとき、電車や自動車での移動のとき等にゲームが行われる他、タッチパネルを用いた入力が便利なことから、学習にも使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/145980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら携帯型ゲーム装置に内蔵されたカメラやスピーカ等の装置は、対人間用の入出力装置であり、それらを活用しつつ、更に、携帯型ゲーム装置に斬新な機能を与える装置の開発が求められている。
また、携帯型ゲーム装置が広く普及したことから、複数人がそれぞれ携帯型ゲーム装置を持ち寄って遊ぶことができる遊び方が求められており、また、携帯型ゲーム装置を一人で複数台所有する場合に、それら複数の携帯型ゲーム装置を使用する遊びも求められている。
【0006】
本発明は携帯型ゲーム装置の機能を有効に使用しながら、斬新な機能を付与して遊ぼうとする発想に基づいて創作されたものであり、その目的は、携帯型ゲーム装置を玩具自動車に搭載して、携帯型ゲーム装置の機能を玩具自動車の走行に活用しようとするものであり、本発明の玩具自動車では、カートリッジに玩具自動車を制御する制御プログラムを記憶させておき、そのカートリッジを装着された携帯型ゲーム装置を玩具自動車に搭載して遊ぶようにされており、携帯型ゲーム装置に設けられた演算装置、カメラ、液晶画面等を使用して玩具自動車を制御しながら遊ぶようになっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、制御プログラムが記憶されたカートリッジと、前記カートリッジがカートリッジスロットに挿入され、前記制御プログラムを実行する演算装置が設けられた携帯型ゲーム装置を搭載する搭載台が設けられ、前記制御プログラムによって制御される車両とを有する玩具自動車であって、前記車両は、前記搭載台が取り付けられた車台と、前記車台に取り付けられ、床上に置かれる駆動輪と、前記駆動輪を回転させ、前記車台を前記床上で走行させる駆動モータと、走行方向を変更させる方向変更装置と、前記駆動モータと前記方向変更装置とを制御する車台制御装置と、を有し、前記携帯型ゲーム装置にはゲーム機側赤外線通信装置が設けられ、前記車両には車両側赤外線通信装置が設けられ、前記車両側赤外線通信装置は前記車台制御装置に電気的に接続され、前記車台制御装置と前記演算装置との間で入出力される電気信号が、前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置との間では赤外線信号で送受信される玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記車両側赤外線通信装置は前記搭載台に設けられ、前記車両側赤外線通信装置と前記車台制御装置とは、柔軟な配線によって電気的に接続され、前記電気信号の送受信がされる玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記車両側赤外線通信装置は前記車台に設けられた玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記携帯型ゲーム装置を前記搭載台に配置すると、前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置との間で前記赤外線信号の送受信ができるように構成された玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置とは、対面する玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記車台には、床の有無を検出する床センサと、接触の有無を検出する接触センサと、駆動輪の回転速度を検出する回転速度検出センサと、物体の接近を検出する近接センサとのうち、少なくともいずれか一種類のセンサが設けられ、前記センサの検出結果を示す電気信号は、前記赤外線信号にされて前記車両側赤外線通信装置から前記ゲーム機側赤外線通信装置に送信されるように構成された玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記制御プログラムによって、自動的に走行する玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記制御プログラムにより、前記搭載台上に配置された前記携帯型ゲーム装置と無線通信する操作用携帯型ゲーム装置の操作ボタンを操作することにより、前記車両の移動が制御されるように構成された玩具自動車である。
本発明は、玩具自動車であって、前記搭載台上の前記携帯型ゲーム装置はカメラを有し、前記制御プログラムにより、前記カメラの撮影結果は、前記操作用携帯型ゲーム装置の液晶画面に表示されるように構成された玩具自動車である。
【発明の効果】
【0008】
カメラ、スピーカ、液晶画面、操作ボタン等の高価な装置は携帯型ゲーム装置に設けられたものを使用するので、玩具自動車の車両に設ける必要はなく、車両を安価にすることができる。
制御プログラムが記憶されているカートリッジは、車台とは有線で接続されず、赤外線で接続されているから、結線の手間が不要となり児童でも容易に取り付けることができ、振動による接続不良は生じず、振動による故障や誤動作は生じない。
【0009】
本発明は携帯型ゲーム装置自体を移動させるので、自立走行型制御プログラムで遊ぶ場合、液晶表示画面に動物や人物を表示しておくと、玩具自動車はペットとしての性格が付与され、携帯型ゲーム装置と車両に対しての愛着が増す。
遠隔操作型制御プログラムで遊ぶ場合、複数個の携帯型ゲーム装置を所有する家庭にとって、複数の携帯型ゲーム装置の豊富な機能を有効に使用して、小コストでおもしろく遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a),(b)本発明の第一例の玩具自動車を説明するための図
【図2】本発明の第一例の玩具自動車の内部構造を説明するための図
【図3】本発明の第二例の玩具自動車を説明するための図
【図4】本発明の第二例の玩具自動車の内部構造を説明するための図
【図5】本発明の第三例の車両の赤外線通信装置を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<玩具自動車>
図1(a)は本発明の玩具自動車に用いる車両1の斜視図であり、図2は、この車両の内部説明図である。
この車両1は、車台11と、搭載台12とを有している。
【0012】
車台11には、駆動モータ16と、駆動モータ16によって回転される駆動輪と、駆動モータ16を制御する車台制御装置18と、それらを動作させる電源17とを有している。四輪駆動の場合、四輪全部が駆動輪となり、他方、二輪駆動の場合は、後輪又は前輪のうち、一方が駆動輪となり、駆動輪の回転によって移動するときに回転する従動輪が設けられる。
【0013】
本例は、四輪駆動であり、駆動輪は、後輪として左駆動後輪21Lと右駆動後輪21Rの二個と、前輪として左駆動前輪22Lと右駆動前輪22Rの二個の、合計4個が設けられている。なお、更に、5輪目以降の従動輪を設けてもよい。
【0014】
駆動モータ16や車台制御装置18等、車台11に設けられた装置は、電源17に接続され、電源17から供給される電力で動作するように構成されている。電源17は、ここでは充電池、又は充電できない電池であっても交換可能であればよく、交換可能の場合は、それら電池を搭載する電池ボックスを設ければよい。
【0015】
駆動モータ16は、車台制御装置18に接続されており、車台制御装置18が駆動モータ16と電源17とを制御して、左、右駆動後輪21L、21Rと左、右駆動前輪22L、22Rとを回転方向を制御して回転させ、車台11を前方又は後方に移動させるように構成されている。
【0016】
車台11には、台可動装置27が設けられており、台可動装置27には、第一の支持部材38aの一端が取り付けられている。
車台11の上部には、第二の支持部材38bが取り付けられており、携帯型ゲーム装置13が載置される搭載台12は、第一の支持部材38aの他端と、第二の支持部材38bの上端とに取り付けられている。
【0017】
携帯型ゲーム装置13は、その一例として、本体13aと開閉可能な蓋13bとを有している。図1、2は、蓋13bを開けた状態である。
この携帯型ゲーム装置13は、本体13aの表面と、蓋13bを閉じたときに本体13aの表面に対向する蓋13bの内側表面とに液晶画面24a、24bがそれぞれ設けられており、携帯型ゲーム装置13は、蓋13bを開けた状態では、蓋13bの液晶画面が、車両1の移動の前方に向くようにして、搭載台12上に載置される。
【0018】
図1(b)は、携帯型ゲーム装置13の背面図である。携帯型ゲーム装置13の本体13aは、四辺形の厚板形状であり、左右側面と前面、背面は細長の四角形状である。本体13aの背面には、背面の長手方向に沿って細長い溝であるカードスロット28が配置されている。
【0019】
カードスロット28の内部には、データや制御プログラムが記憶されたカートリッジが挿入され、カードスロット28内の本体側の端子と、カートリッジに設けられた端子とが接続されると、カートリッジ内部に設けられた電気回路と本体13a内部に設けられた電気回路とが電気的に接続されるようになっている。
【0020】
図1(b)の符号47L、47Rは、携帯型ゲーム装置13の操作ボタンである。
図2の符号29は、後述する制御プログラムが記憶されたカートリッジであり、携帯型ゲーム装置13は、カードスロット28内にカートリッジ29が挿入された状態で、搭載台12上に乗せられ、車両1と共に移動するようにされている。
【0021】
携帯型ゲーム装置13の内部には、このカートリッジ29に記憶された制御プログラムや、他のカートリッジに記憶されたゲームプログラム等を実行する演算装置が設けられている。
携帯型ゲーム装置13の背面には、カードスロット28の横の位置に、ゲーム機側赤外線通信装置31が設けられている。
【0022】
カートリッジ29がカードスロット28内に挿入され、カートリッジ29内部の電気回路と、携帯型ゲーム装置13の内部電気回路とが電気的に接続された状態では、ゲーム機側赤外線通信装置31は、カードスロット28に装着されたカートリッジ29内のプログラムによって制御される。
【0023】
車両1は、車両側赤外線通信装置32を有している。
この例では、車両側赤外線通信装置32は、車台11に設けられ、車台制御装置18に有線接続されている。
ゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32とは、それぞれ赤外線送光機と赤外線受光機の両方を有しており、カートリッジ29がカードスロット28の内部に挿入され、その状態の携帯型ゲーム装置13が搭載台12上に乗せられると、携帯型ゲーム装置13に設けられたゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32との送受光部分が対面し、ゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32との間で、赤外線の送光と受光ができるようにされている。
【0024】
図1、2の符号34は、車両側赤外線通信装置32に設けられたレンズであり、赤外線はこのレンズ34を透過して送受光される。
少なくとも、ゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32とが対面する間の部分の上方と、車両側赤外線通信装置32の背面を覆うように、折れ曲がった板形状の遮光部材33aが配置され、車両1の周囲から入射する外光がゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32とに入射せず、外光が赤外線信号として誤認識しないようになっている。
【0025】
携帯型ゲーム装置13には、カメラ36、スピーカ35、マイクロフォン37や上述の液晶画面24a、24b等の、携帯型ゲーム装置13と本玩具自動車を使用する者との情報交換に使用できる装置が設けられており、他方、車両1には、後述する床センサ41、接触センサ42、回転速度センサ44、近接センサ43等の、車両1の周囲の状況を検出する装置が設けられている。
【0026】
カードスロット28に装着されたカートリッジ29内には、これら情報交換用装置の制御やセンサによる検出を行い、車両1を走行させるためのデータを含む制御プログラムが記憶されており、カートリッジ29内の制御プログラムは、携帯型ゲーム装置13内の演算装置によって実行される。
【0027】
実行の結果により、携帯型ゲーム装置13側では、携帯型ゲーム装置13に設けられた装置が制御され、例えば、カメラ36によって車両1の周囲の状況が撮影されたり、携帯型ゲーム装置13の液晶画面24a、24bに画像が表示されたりする。
【0028】
携帯型ゲーム装置13では、制御プログラムの実行結果により、得られた演算結果が電気信号としてゲーム機側赤外線通信装置31に出力され、ゲーム機側赤外線通信装置31で赤外線信号に変換されて送信される。
【0029】
送信された赤外線信号は、車両側赤外線通信装置32によって受信され、電気信号に変換されて車台制御装置18に出力される。車台制御装置18は、入力された電気信号が示す演算結果から、駆動モータ16を制御し、左、右駆動後輪21L、21Rと、左、右駆動前輪22L、22Rとを回転させ、車両1を前進、又は後進させる。
【0030】
車両1には、前進と後進時の左右方向を制御する方向変更装置19が設けられている。ここでは、方向変更装置19は左、右駆動前輪22L、22Rの向きを制御するように構成されている。車台制御装置18が方向変更装置19に電気信号を出力し、方向変更装置19が入力された電気信号に従って左、右駆動前輪22L、22Rの車台11に対する向きを変更することで、車両1が直進し、又は、旋回移動をすることができる。旋回移動の際の旋回半径も制御することができる。
【0031】
方向変更装置19は、左右駆動前輪22L、22Rを異なる回転速度にして旋回移動するようにもできる。また、左右駆動後輪21L、21Rが向く方向を変更して直進と旋回移動を行うようにすることもできる。
【0032】
車台11に設けられた各センサの検出結果は電気信号として車台制御装置18に出力される。車台制御装置18は入力された検出結果を電気信号として車両側赤外線通信装置32に出力し、車両側赤外線通信装置32は赤外線信号に変換して送信する。
送信された赤外線信号はゲーム機側赤外線通信装置31によって受信され、電気信号に変換されて携帯型ゲーム装置13の演算装置に出力される。
【0033】
演算装置は、入力された検出結果と、カートリッジ29に予め記憶されている基本的なデータと、カメラ36が撮影した画像とに基づいて、移動速度、移動方向、床の有無など検出し、車両1の移動方向や移動速度を決定し、結果を、ゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32とを介して、車台制御装置18に出力すると、車台制御装置18は、駆動モータ16、方向変更装置19を制御して決定結果を実現する。
【0034】
<自立走行型>
この車両1の遊び方は自立走行型と遠隔操作型の二種類あり、先ず、自立走行型について説明すると、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13を起動し、カードスロット28内のカートリッジ29に記憶された自立走行型制御プログラムを動作させる。
【0035】
床センサ41は、床センサ41の真下位置の床面の有無を検出しており、移動に伴って、床面無しが検出されると、車両1の落下を防止するために、演算装置は車両1の走行を停止させる。自立走行型制御プログラムの場合は、一旦停止させた後、反対方向に移動するように、各駆動輪21L、21R、22L、22Rを回転させる。
【0036】
自立走行型制御プログラムで遊ぶ場合 、同一の競技場所に複数の車両1が走行するようにされており、携帯型ゲーム装置13のカメラ36が撮影する画像を、演算装置が解析し、画像中に他の車両1を発見すると、演算装置は、車台制御装置18を制御し、発見した車両1が位置する方向に車両1を移動させる。
【0037】
接触センサ42は、車両1の前面と背面の両方に配置されており、前面に配置された接触センサ42が何かに接触したことを検出し、検出結果が車台制御装置18に出力され、車両側赤外線通信装置32とゲーム機側赤外線通信装置31とを介して携帯型ゲーム装置13の演算装置に入力されると、演算装置は、他の車両1に対する攻撃を行ったと判断し、携帯型ゲーム装置13内の記憶装置又はカートリッジ29内の記憶装置に記憶する。
【0038】
他方、背面に配置された接触センサ42が接触を検出すると、演算装置は、攻撃を受けたとして携帯型ゲーム装置13内の記憶装置又はカートリッジ29内の記憶装置に記憶する。
ここで、前面の接触センサ42を他の車両1の背面の接触センサ42に接触させたときを攻撃成功とするルールがあり、攻撃側の携帯型ゲーム装置13が攻撃を記憶し、攻撃対象の携帯型ゲーム装置13が攻撃されたことを記憶していることが照合されたときに、攻撃成功と判断する。
【0039】
なお、近接センサ43は、近接センサ43の近くに物体があるか無いかを検出するセンサであり、例えば、近接センサ43に手を近づけて、走行中の車両1を停止させたり、停止させると共に、携帯型ゲーム装置13の画面が入力モードに変更されるように設定しておくことができる。
【0040】
また、移動する際には回転速度センサ44によって前後の駆動輪21L、21R、22L、22Rの回転速度を検出して検出結果から演算装置が車両1の移動速度を求め、車両1が所望速度で移動するように、車台制御装置18を制御して、各駆動輪21L、21R、22L、22Rの回転速度を設定することもできる。
【0041】
自立走行型制御プログラムの動作により、携帯型ゲーム装置13の蓋13bの液晶画面24bにゲームを行う者のポートレートを表示させたり、攻撃の際にスピーカ35から音を発音させるなど、携帯型ゲーム装置13の機能を使用することができる。
【0042】
また、他の車両1を発見するときの移動方法や、他の車両1を発見したときの近づき方を設定し、カートリッジ29や携帯型ゲーム装置13に記憶させておくと、設定内容によって車両1の動き方が異なり、車両1が個性を有するようになる。
このように、自立走行型制御プログラムでは、複数の車両1に携帯型ゲーム装置13がそれぞれ搭載され、走行が個性化された複数の車両1を一緒に走行させることで遊ぶことができる。
【0043】
なお、第一の支持部材38aは折り曲げ可能であり、第二の支持部材38bは回動可能であり、第一の支持部材38aを折り曲げること又は折り曲げを伸ばすことにより、搭載台12の底面である携帯型ゲーム装置13の座面を水平にしたり傾けたりすることができる。
【0044】
また、第一の支持部材38aは、台可動装置27に取り付けられた部分を中心に回動可能に構成されており、台可動装置27の動作によって、上方又は下方に回動するように構成されている。
その回動量は搭載台12上の携帯型ゲーム装置13、又は、それに装着されるカートリッジ29内に記憶させておくことができ、自立走行型制御プログラムが動作するときに、第一の支持部材38aを記憶された値回動させ、座面の傾きを制御することができる。
【0045】
<遠隔制御型>
カートリッジ29には、自立走行型制御プログラムが記憶されたものと、遠隔操作型制御プログラムが記憶されたもの、または、その両方のプログラムが記憶されたものがあり、いずれを用いても車両1を用いて遊ぶことができる。
【0046】
例えば、両方のプログラムが記憶されたカートリッジ29を用いる場合は、車両1を用いて遊びを開始する際に、液晶画面24a又は24bに選択画面が表示されるようになっており、タッチパネル機能を有する液晶画面24a等の入力手段により、いずれかのプログラムを選択する。
【0047】
ここでは遠隔操作型制御プログラムが選択された場合、又は、遠隔操作型制御プログラムが記憶されたカートリッジ29が用いられた場合を説明すると、搭載台12上に配置された携帯型ゲーム装置13とは別に、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13と無線通信可能な操作用の携帯型ゲーム装置を用意する。
【0048】
図2の符号14は、その操作用の携帯型ゲーム装置を示している。
操作用の携帯型ゲーム装置14と搭載台12上の携帯型ゲーム装置13とは、同種類の装置であり、同じ部材には同じ符号を付して、操作用の携帯型ゲーム装置14の構造の説明は省略する。
【0049】
操作用の携帯型ゲーム装置14のカードスロット28には、遠隔操作型制御プログラムが記憶されたカートリッジ29が挿入されている。
操作用の携帯型ゲーム装置14と搭載台12上の携帯型ゲーム装置13とには、無線通信装置が内蔵されており、相互に無線通信することができる。
【0050】
携帯型ゲーム装置13、14の本体13a上には、十字形状の操作ボタン25や、丸い形状の操作ボタン26が設けられており、これらの操作ボタン25、26の操作により、車両1の移動を入力すると、入力された移動内容は、操作用の携帯型ゲーム装置14から電波で発信され、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13によって受信される。
【0051】
受信された信号は、一旦赤外線信号に変換され、ゲーム機側赤外線通信装置31と車両側赤外線通信装置32との間で送受信され、電気信号に変換されて、車台制御装置18に入力される。車台制御装置18は、操作用の携帯型ゲーム装置14から入力された信号に従って、車台11の移動方向や移動速度を制御する。
【0052】
このとき、操作者は、操作用の携帯型ゲーム装置14に設けられたカメラ36とマイクロフォン37に向けて表情の撮影と発音をし、カメラ36とマイクロフォン37に入力された画像と音声を搭載台12上の携帯型ゲーム装置13に送信し、その液晶画面24a、24bとスピーカ35から表情と音声とを出力することができる。
【0053】
逆に、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13のカメラ36で撮影した画像や、車両1の各センサ41〜44の検出結果を、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13から無線電波で出力し、操作用の携帯型ゲーム装置14で受信して、画像や検出結果を、操作用の携帯型ゲーム装置14の液晶画面24a、24bに表示しても良い。
【0054】
なお、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13と、それと無線交信する操作用の携帯型ゲーム装置14とは、一対一に対応付けることが可能であり、遊戯の場所内に携帯型ゲーム装置13を搭載した車両1が複数台走行する場合でも、搭載台12上の携帯型ゲーム装置13と操作用の携帯型ゲーム装置14との間では一対一に交信することができる。
なお、台可動装置27による第一の支持部材38aの回動も、操作用の携帯型ゲーム装置14によって操作することができる。
【0055】
<他の例>
以上説明した車両1は、四輪駆動であったが、図3、4に示す車両2のように、前輪は、駆動モータ16によって回転されず、車台11の移動に伴って回転する左右従動前輪23L、23Rに変更しても良い。
また、上記車両1、2では、車両側赤外線通信装置32は、車両1の車台11に固定されていたが、車台11に固定するのではなく、図5に示す車両3のように、搭載台12上に固定してゲーム機側赤外線通信装置31と互いに対面するようにした場合も含まれる。
【0056】
この車両3では、車両側赤外線通信装置32は遮光部材33bに取り付けられ、遮光部材33bが搭載台12に固定されている。
従って、車両側赤外線通信装置32は、車台11から離間されており、車両側赤外線通信装置32の周囲の部分は、柔軟で屈伸可能な配線39によって車台制御装置18に有線接続された状態で、遮光部材33bで覆われている。
【0057】
車両側赤外線通信装置32は、遮光部材33bによって、搭載台12に固定され、搭載台12の移動により、搭載台12と一緒に移動するようにされている。搭載台12上に携帯型ゲーム装置13が配置されると、車両側赤外線通信装置32とゲーム機側赤外線通信装置31とは対面し、対面した周囲が遮光部材33bで覆われる。携帯型ゲーム装置13が搭載台12と共に移動する際には、車両側赤外線通信装置32は携帯型ゲーム装置13と一緒に移動する。
【0058】
車両側赤外線通信装置32はゲーム機側赤外線通信装置31と対面する位置に配置されており、車両側赤外線通信装置32とゲーム機側赤外線通信装置31との間で赤外線を送受信することができる。
搭載台12が車台11に対して上下移動や傾き移動しても、柔軟で屈伸可能な配線39によって、車両側赤外線通信装置32と車台制御装置18との間の電気的接続は維持される。
【0059】
この車両3では、遮光部材33bは、車両側赤外線通信装置32とゲーム機側赤外線通信装置31とが対面する部分を覆うように、対面する部分の周囲に設けられているから、遮光部材33bによって外光が車両側赤外線通信装置32とゲーム機側赤外線通信装置31とには入射しないようにされている。
【0060】
なお、車両側赤外線通信装置32を搭載台12に固定し、遮光部材33bを車両側赤外線通信装置32や搭載台12に取り付けて、遮光部材33bで外光が入射しないようにすることもできる。
図5に示した車両3は、四輪駆動であったが、二輪駆動であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1〜3……車両
11……車台
12……搭載台
13、14……携帯型ゲーム装置
16……駆動モータ
17……電源
18……車台制御装置
19……方向変更装置
21L、21R、22L、22R……駆動輪
23L、23R……従動前輪
24a、24b……液晶画面
25、26……操作ボタン
28……カードスロット
29……カートリッジ
31……ゲーム機側赤外線通信装置
32……車両側赤外線通信装置
33a、33b……遮光部材
36……カメラ
41……床センサ
42……接触センサ
43……近接センサ
44……回転速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御プログラムが記憶されたカートリッジと、
前記カートリッジがカートリッジスロットに挿入され、前記制御プログラムを実行する演算装置が設けられた携帯型ゲーム装置を搭載する搭載台が設けられ、前記制御プログラムによって制御される車両とを有する玩具自動車であって、
前記車両は、
前記搭載台が取り付けられた車台と、
前記車台に取り付けられ、床上に置かれる駆動輪と、
前記駆動輪を回転させ、前記車台を前記床上で走行させる駆動モータと、
走行方向を変更させる方向変更装置と、
前記駆動モータと前記方向変更装置とを制御する車台制御装置と、を有し、
前記携帯型ゲーム装置にはゲーム機側赤外線通信装置が設けられ、
前記車両には車両側赤外線通信装置が設けられ、
前記車両側赤外線通信装置は前記車台制御装置に電気的に接続され、
前記車台制御装置と前記演算装置との間で入出力される電気信号が、前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置との間では赤外線信号で送受信される玩具自動車。
【請求項2】
前記車両側赤外線通信装置は前記搭載台に設けられ、
前記車両側赤外線通信装置と前記車台制御装置とは、柔軟な配線によって電気的に接続され、前記電気信号の送受信がされる請求項1記載の玩具自動車。
【請求項3】
前記車両側赤外線通信装置は前記車台に設けられた請求項1記載の玩具自動車。
【請求項4】
前記携帯型ゲーム装置を前記搭載台に配置すると、前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置との間で前記赤外線信号の送受信ができるように構成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の玩具自動車。
【請求項5】
前記車両側赤外線通信装置と前記ゲーム機側赤外線通信装置とは、対面する請求項4記載の玩具自動車。
【請求項6】
前記車台には、床の有無を検出する床センサと、接触の有無を検出する接触センサと、駆動輪の回転速度を検出する回転速度検出センサと、物体の接近を検出する近接センサとのうち、少なくともいずれか一種類のセンサが設けられ、
前記センサの検出結果を示す電気信号は、前記赤外線信号にされて前記車両側赤外線通信装置から前記ゲーム機側赤外線通信装置に送信されるように構成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の玩具自動車。
【請求項7】
前記制御プログラムによって、自動的に走行する請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の玩具自動車。
【請求項8】
前記制御プログラムにより、前記搭載台上に配置された前記携帯型ゲーム装置と無線通信する操作用携帯型ゲーム装置の操作ボタンを操作することにより、前記車両の移動が制御されるように構成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の玩具自動車。
【請求項9】
前記搭載台上の前記携帯型ゲーム装置はカメラを有し、
前記制御プログラムにより、前記カメラの撮影結果は、前記操作用携帯型ゲーム装置の液晶画面に表示されるように構成された請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の玩具自動車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−139314(P2012−139314A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293221(P2010−293221)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(391041718)株式会社ハル研究所 (38)
【Fターム(参考)】