走行ストリップにガスを吹き付ける方法および装置
本発明は、ガスまたは水−ガス混合物を吹き付けることによって走行ストリップ(4)の温度に影響を及ぼす方法に関し、前記方法は、ストリップの表面に向かって延在し、ストリップの各表面上の前記ガスまたは水−ガス混合物のジェットの衝突(24、34)が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置される前記ガスまたは水−ガス混合物の複数のジェットを、ストリップの各表面上に噴出することを含む。表面(A)上のジェットの衝突(24)は、他の表面(B)上のジェットの衝突(34)に正対せず、前記ガスまたは水−ガス混合物のジェットは、少なくとも1つの分配ケーシング(21、31)で供給され、またストリップの長手方向に平行にかつストリップの長手方向に直角に、戻りガスまたは水−ガス混合物の流れに遊隙を残しておくように分配ケーシングからある距離をおいて延在する管状ノズル(23、33)によって、発生される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ストリップを冷却または加熱するようにその温度に影響を及ぼすために、走行ストリップの上にガスまたは水/ガス混合物を吹き付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却チャンバは、走行する金属ストリップを処理するために、いくつかの設備の出口に配置され、ストリップは、ストリップを冷却するための2つのガス吹き付けモジュールの間のチャンバの中を垂直に走行し、ガスは、空気、不活性ガス、または不活性ガスの混合物であることができる。
【0003】
一般に、吹き付けモジュールは、加圧ガスが供給される吹き付けチャンバからなり、各チャンバは、ノズルを構成する開口が設けられた面を備え、走行ストリップが通過する吹き付け区域の両側に互いに対向して配置される。
【0004】
開口は、ストリップの全長にまたがるスロットと、ストリップの走行区域の幅およびある特定の長さにまたがる表面にわたって、ガスジェットを分布する2次元ネットワークに配置される点状の開口のいずれかであってもよい。互いに対向して配置される吹き付けモジュールのそれぞれにより発生されるジェットの効果を釣り合わせるために、吹き付けモジュールは、一方のモジュールからのジェットが他方のモジュールのジェットに対向するように設定される。
【0005】
ガスを吹き付けると、走行ストリップの振動を引き起こし、一方の吹き付けモジュールから他方の対向する吹き付けモジュールまで、ストリップの歪みおよび横方向変位をもたらすことが分かっている。歪みは、ストリップの走行の方向に概ね平行な軸線を中心として、ストリップが捩られるので発生される。横方向変位は、ストリップの走行区域の中央平面に直角な方向のストリップの変位によって引き起こされ、これはストリップの表面に概ね平行である。これらの振動は、吹き付けの強さが増大するにつれて一層重要な意味をもつようになる。このことは、ストリップに損傷を引き起こすことがある過度の振動を避けるために、吹き付けの強さ、したがって冷却の強さが制限されなければならないことを意味している。
【0006】
この欠点を克服するために、吹き付けチャンバは、ローラなどのストリップを保持する手段またはエアローリック(aeraulic)安定化手段によって分離される複数のチャンバが設けられるように、短くされることが提案されている。しかし、これらの装置は、安定化装置にストリップと接触していることを要求し、このことは溶融亜鉛めっきの出口における冷却などのいくつかの用途に不適当であり、または管理が不十分なエアローリック安定化領域において特別な冷却を必要とするという欠点を有している。
【0007】
また、ストリップに加えられる張力に影響を及ぼすことによって、特に張力を増大させることによって、ストリップを安定化することも提案されている。しかしながら、この方法は、ストリップにかなりの応力を発生させという欠点を有し、このことは、その特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0008】
また、吹き付け速度、またはノズルの上端部とストリップとの間の距離、または吹き付けレートに影響を及ぼすことによって、ストリップの振動を低減する試みも行われてきた。しかしながら、すべてのこれらの方法では、冷却の有効性、したがって設備の性能が低下することになる。
【0009】
最後に、複数のノズルが分配チャンバで供給され、ノズルが、冷却されるべきストリップの表面に向かって延在する管であり、管が、ストリップの表面に対して直角に傾斜されており、管の傾斜がより大きい、これらがストリップの走行区域の中心線からさらに遠くにある装置が、提案されている。この装置では、ノズルは、ストリップの各面上のガスジェットの衝突点が互いに対向するように2次元ネットワークに配置される。この装置は、特にストリップの振動を引き起こすという欠点を有し、それにより、吹き付け圧力、したがって冷却の有効性を限定することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ガスを吹き付けることによって走行ストリップの温度に影響を及ぼす手段を提案することによってこれらの欠点を克服することであり、これは、高い吹き付け圧力においてさえ、冷却または加熱領域を通してストリップが走行する際に冷却または加熱領域を通る通路において、限られたストリップの振動を引き起こすものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、ガスを吹き付けることによって走行ストリップの温度に影響を及ぼす方法に関するものであり、そのために、ストリップの表面の方向に延在し、ストリップの各表面上のガスのジェットの衝突が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置されるガスの複数のジェットが、ストリップの各面の上に吹き付けられる。ストリップの一方の面上のジェットの衝突は、他方の面上のジェットの衝突に対向せず、ガスのジェットは、少なくとも1つの分配チャンバで供給される管状ノズルによって生じ、管状ノズルの上端部は、ストリップの長手方向に平行にかつストリップの長手方向に直角に、戻りガスの流れに自由空間を残しておくように、分配チャンバからある距離をおいて延在する。
【0012】
ガスのジェットは、ストリップの表面に対して直角であることができる。
【0013】
ガスの少なくとも1つのジェットの軸線は、ストリップの表面の法線に対してある角度を形成することができる。
【0014】
ストリップの面のそれぞれの上のジェットの衝突の2次元分布ネットワークは、周期的であり、同じタイプであり、同じピッチを有することが好ましい。
【0015】
例えば、ネットワークは、六角形型である。
【0016】
より好ましくは、ストリップの単一の面上におけるジェットの衝突は、ストリップの1つの面についてのブロージェットの隣接する衝突痕が前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20の間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布される。ブロージェットの痕跡の近接している性質は、痕跡がまた重なり合い得ることを意味することに気づかれよう。
【0017】
一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークは、互いにオフセットされ、オフセットは、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であることが好ましい。
【0018】
ガスは、冷却ガス、水/ガス混合物、または高温ガス、特にバーナからの燃焼ガスでさえあることができる。
【0019】
ノズルの長さは、20mmと200mmとの間であることが有利である。
【0020】
本発明はまた、ストリップの走行区域の両側に互いに対向して配置される少なくとも2つの吹き付けモジュールを備える装置に関し、各吹き付けモジュールは、ストリップの走行区域の方向に少なくとも1つの分配チャンバから延在する複数の管状ノズルからなり、ノズルは、ストリップの各面上のジェットの衝突が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置され、吹き付けモジュールは、一方の面上のジェットの衝突が他方の面上のジェットの衝突に対向しないように設定される。
【0021】
ジェットの衝突が分布される2次元ネットワークは、同じタイプでありかつ同じピッチを有する周期的なネットワークであることが好ましい。
【0022】
ネットワークは、六角形型であることができる。
【0023】
より好ましくは、ストリップの単一の面上のジェットの衝突は、隣接するブロージェットの衝突痕がストリップの1つの面上で前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20との間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布される。
【0024】
吹き付けモジュールは、一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークが互いにオフセットされ、オフセットは、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であるように設定されることが好ましい。
【0025】
ノズルの吹き付け軸線は、ストリップの走行平面に対して直角であることができる。
【0026】
少なくとも1つのノズルの吹き付け軸線は、前記ストリップの走行平面の法線に対してある角度を形成する。
【0027】
ノズルの吹き付け口は、円形、多角形、横長形またはスロット状の断面を有することができる。
【0028】
吹き付けモジュールは、ガスアプテークパイプを有しまたはガスアプテークパイプを有さないタイプである。
【0029】
各吹き付けモジュールは、吹き付けノズルが配置される分配チャンバからなることが好ましい。
【0030】
本発明は、鋼ストリップやアルミニウムストリップなどの薄い金属ストリップの連続処理用の設備に特に適用できる。これらの処理とは、例えば連続焼鈍処理、または亜鉛めっきやすずめっきなどの浸漬塗付処理である。本発明は、ストリップの容認できない振動を引き起こすことなく、ストリップについて高い熱交換の強さを実現することができる。
【0031】
ここで、本発明を、添付の図面を参照して一層正確に、しかしながら非限定的な方法で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ガス吹き付けによる冷却用モジュール内を走行するストリップの概略透視図である。
【図2】ストリップの第1の面および第2の面の吹き付け領域でのガスジェットの衝突の分布図である。
【図3】単一のストリップの2つの面上の冷却ジェットの衝突の分布の重ね合わせを示す図である。
【図4】冷却装置におけるストリップの横方向変位の測定についての概略説明図である。
【図5】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のジェットが互いに対向している場合の両方について、吹き付けによる冷却用装置におけるストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図6】2つの面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、吹き付け圧力に応じて、吹き付けによる冷却用装置で走行するストリップの平均捩りを示す図である。
【図7】ストリップが本発明による吹き付け装置によって冷却される場合と、ストリップが先行技術によるスロットを通して吹き付ける装置によって冷却される場合の両方について、吹き付けによる冷却用装置におけるストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図8】冷却装置を備える浸漬塗付設備の出口の概略説明図である。
【図9】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、乾燥モジュールで測定された、図8の浸漬塗付設備の吹き付けによる冷却用装置において冷却されたストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図10】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、冷却モジュールで測定された、図8の浸漬塗付設備の吹き付けによる冷却用装置において冷却されたストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図11】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている本発明による場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している先行技術による冷却装置の場合の両方について、図8のような吹き付けによる冷却用装置において、吹き付けモジュールの吹き付け力に応じて熱交換係数の変化を示す図である。
【図12】ストリップの表面に一様な吹き付けを与える、走行ストリップの1つの面上のガスジェットの衝突の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1において全体として1で示される、ガスを吹き付けることによる冷却用設備は、走行ストリップ4の両側に配置された2つの吹き付けモジュール2および3からなる。各吹き付けモジュールは、どちらも加圧ガスが供給される一方の側の分配チャンバ21と他方の側の分配チャンバ31からなる。
【0034】
分配チャンバのそれぞれは、概ね横長形の形状の面22を有する一方と面32を有する他方とのほぼ直方体状の形状であり、それらの面は互いに対向して配置され、それらの面上に、一方の場合には複数の円筒形の吹き付けノズル23、また他方の場合には複数の円筒形の吹き付けノズル33が設けられる。これらの円筒形ノズルは、約100mmであり、また20mmと200mmとの間、好ましくは50mmと150mmとの間であり得る長さを有する管であり、かつ例えば9.5mmであるが、4mmと60mmとの間であることができる内径を有する。これらの管は、ストリップの1つの面のブロージェットによる衝突が、好ましくは周期的ネットワークである2次元ネットワーク上に分布されるように分配チャンバの面22および32の上に分布され、周期的ネットワークのメッシュは、六角形型の分布を構成するように正方形、またはダイアモンド形状であることができる。2つの隣接する管の間の距離は、例えば50mmであり、かつ40mmと100mmとの間であることができる。冷却モジュールの分配チャンバの各面上のノズルの数は、数百個ほどであってもよい。ノズルの上端部とストリップとの間の距離は、50mmと250mmとの間であってもよい。ストリップ上のジェットの衝突のこのような分布を実現するために、ノズルが相互に平行なジェットを発生する場合、各チャンバ上のノズルは、ストリップのジェットの衝突の2次元分布ネットワークと全く同じ2次元ネットワークに分布される。しかしながら、ジェットが相互に平行でない場合、チャンバ上のノズルの分布は、ストリップの表面上のジェットの衝突の分布と相違する。
【0035】
図2に示される実施形態では、管は、ストリップの面A上の吹き付けモジュール2によって放出されるジェットの衝突24が2次元ネットワークのノードに分布されるように分布され、示された例において、これはピッチpが示される六角形型の周期的ネットワークである。第2の吹き付けモジュール3の吹き付けノズルは、ストリップの面B上のガスジェットの衝突34が六角形型であり、かつpにも等しいメッシュを有する周期的な2次元ネットワークのノードに一様に分布されるように、分配チャンバ31に分布される。面Aの一方の場合、および面Bの他方の場合に対応する2つの2次元ネットワークは、これらの衝突が互い違いに配置されるように、面Bのガスジェットの衝突34が面Aのガスジェットの衝突24に対向しないように互いにオフセットされる。
【0036】
オフセットは、一方の面のジェットの衝突が他方の面のジェットの衝突間で自由なままにしておかれる対向空間であるように設定される。
【0037】
この理由のために、図3で示されるように、面A上のジェットおよび面B上のジェットの衝突が、重ね合わされるようにして示され、ブロージェットの衝突点の組の稠密な分布が両方の面上に実現される。
【0038】
ストリップの面のそれぞれに対するブロージェットの衝突点のこのような分布は、ブロージェットとストリップの表面との間の接触をさらに広げ、したがってジェットが互いに対向している場合よりも一層均一な冷却を可能にするという利点を有する。結果として、ストリップとガスとの間の熱交換係数が改善される。ジェットのこの分布はまた、ストリップの表面に加えられる応力を低減するという利点も有する。さらに、ジェットのこの分布は、ストリップの振動、したがってストリップの横方向変位および捩りを実質的に低減する。
【0039】
本発明者らは、ストリップの振動の実質的な低減を達成するためには、ストリップの表面上の衝突点の分布が、必ずしも六角形型の2次元ネットワークである必要はなく、2つのネットワーク間のオフセットが、半ピッチに等しい必要はないことを発見している。
【0040】
実際に、最も重要なことは、一方では、戻りガスすなわちストリップに吹き付けられかつ除去される必要があるガスが、ストリップの走行の方向に直角なノズルと平行なノズルの両方の間を流すことによって漏出できることであり、他方では、衝突点が互いに対向せず、2つのネットワーク間のオフセットが、例えば1/4ピッチと3/4ピッチとの間であり得ることである。このオフセットは、ストリップの走行の方向にまたはストリップの走行に対して直角な方向に行われ得る。
【0041】
本発明者らはまた、吹き付けガスのノズルが、さまざまな形状の断面を有することができることも発見している。例えば、これらは、円形断面、または例えば正方形や三角形などの多角形断面、またはそのほか横長形の形状、またさらには短いスロットの形の吹き付け開口であることができる。
【0042】
しかしながら、吹き付けが管状のノズルを介して起こり、ノズルの上端部が、分配チャンバの側面から十分に大きな距離のところに延在して、戻りガスを、ストリップの走行の方向に平行でもありストリップの走行の方向に直角でもある流れによって除去できるようにすることが重要である。実際に、これは、ガスの除去による良好な分布とストリップの表面上のガスジェットの衝突点の分布とを組み合せることであり、それにより、ストリップの高い安定性が獲得されるようになっている。
【0043】
例示として、50mmのピッチを有する六角形型のネットワークに配置される100mmの長さおよび9.5mmの直径を有する円筒形の管が設けられる、2200mmの長さを有する横長形形状の2つの吹き付けモジュールの間を走行するストリップの振動挙動について、ノズルの上端部とストリップとの間の距離が67mmであるように互いに対向して配置された2つの吹き付けモジュールが比較された。幅950mmおよび厚さ0.25mmの鋼ストリップが、これらの2つの吹き付けモジュール間に一定の張力の下で配置された。分配チャンバの供給圧力は、大気圧の上方に0kPaと10kPaとの間で変化され、ストリップの横方向変位は、図4に示されるように、ストリップの幅の方向に配置された3つのレーザで測定され、レーザ40Aは、距離daを測定するためにストリップの軸線上に配置され、レーザ40Gは、ストリップの縁部から約50mmの距離Dのところで距離dgを測定するためにストリップの左側に配置され、また、第3のレーザ40Dは、ストリップの縁部から約50mmの距離Dのところでストリップの右側に配置され、距離ddを測定した。
【0044】
距離da、dg、およびddとは、ストリップの走行区域の中央平面に平行な線からの距離である。
【0045】
これらの測定によって、1/3(dg+da+dd)に等しいストリップの平均変位、および、|dg−dd|(横方向変位の間の差異の絶対値)に等しい捩りを測定することができる。
【0046】
これらの2つの値を測定するために、吹き付け中に測定が行われる。横方向変位については、横方向変位間の平均のピークトゥピーク距離が決定される。捩りについては、捩りの平均振幅が測定される。
【0047】
図5および6は、ガスジェットが互いにオフセットされている(一方の面上のガスジェットが他方の面上のガスジェットからオフセットされている)本発明による冷却モジュールについて、ならびに、上記のモジュールと全く同じであるが1つの面のブロージェットが向かい合わせの面のブロージェットに対向している、吹き付けによる冷却用モジュールの場合の、一方では横方向変位および他方では平均捩りを示している。
【0048】
図5から分かるように、本発明による吹き付けモジュールに関連する曲線50は、ストリップのピークトゥピーク変位振幅の緩慢な変化を示しており、これは、1kPaの吹き付け超過圧力の場合の約15mmから10kPaの吹き付け超過圧力の場合の約30mmまで変化している。この同じ図において、一方の面のブロージェットが他方の面のブロージェットに対向している吹き付けモジュールのピークトゥピーク変位振幅の変化を示す曲線51は、約1kPaの吹き付け超過圧力の場合のストリップの変位振幅が依然として15mmであるが、この振幅が、前述の場合よりも実質的に一層増大し、9kPaの吹き付け圧力の場合には約55mmに達し、次いで10kPaの吹き付け圧力の場合には100mmを超えることを示している。
【0049】
これらの曲線は、本発明による装置の場合、最大10kPaまでであり得る吹き付け圧力については、ノズルの上端部とストリップとの間の距離が67mmであるような距離で間隔配置される2つの吹き付けモジュールの間で、ストリップが走行できるが、これに反して、一方の面のブロージェットが他方の面のブロージェットに対向している吹き付けモジュールの場合には、これらの装置は、実質的に9kPaよりも低い吹き付け超過圧力の場合にしか使用できないことを示している。
【0050】
同様に、吹き付け圧力に応じてねじり(twisting)すなわち捩りの変化を表わす図6の曲線52は、本発明による装置の場合、最大10kPaまでの吹き付け超過圧力の場合でさえ、ねじりが4mmよりも小さいままであることを示している。これと対照してみると、ジェットが互いにオフセットされていないチャンバの場合、ねじりは、9kPaの吹き付け超過圧力について24mmほどであってもよい。
【0051】
本発明による吹き付けモジュールと、分配チャンバが横方向に延在するスロットを通して空気を吹き付ける先行技術による吹き付けモジュールとを用いてストリップが冷却される場合のストリップの挙動を比較するために、本発明による吹き付けモジュールと先行技術による吹き付けモジュールの両方の場合に、67mm、85mm、および100mmという吹き付けノズルの上端部とストリップの表面との間の距離について、ストリップの変位振幅が、吹き付け超過圧力に応じて測定された。
【0052】
これらの結果は図7に示されており、図7では67mm、85mm、および100mmの距離について、本発明による吹き付けモジュールによって冷却されるストリップに関連する曲線54、55、56が、実質的にそれぞれ重ね合わされ、10kPaほどであり得る吹き付け超過圧力の場合、変位振幅は30mmよりも小さいままであることを示している。
【0053】
ストリップの幅にまたがるスロットを通してガスを吹き付ける、先行技術による装置を用いて冷却されるストリップに関連する曲線57、58、59は、吹き付けノズルとストリップとの間のそれぞれ67mm、85mm、および100mmという距離に対応する。これらの曲線は、最大4kPaまでの吹き付け圧力の場合、ストリップの変位が100mmを超え、150mmほどであり得ることを示している。
【0054】
また、図8において全体として200で示される溶融金属浴の産業用浸漬塗付設備の中を走行するストリップの振動挙動の特徴が記述されており、浸漬塗付設備は、浴201の出口にある乾燥モジュール202と、冷却モジュールより下流の全体として203で示される冷却モジュールを備える。この冷却モジュールは、約6500mmの長さおよび1600mmの幅を有する横長形の形状の4つの吹き付けモジュール203A、203B、203Cおよび203Dを備える。各吹き付けモジュールには、60mmのピッチを有する六角形型のネットワークに配置される100mmの長さおよび9.5mmの直径を有する円筒形ノズルが設けられる。4つの吹き付けモジュールは、ストリップ206の走行区域の両側に互いに対向して配置される、それぞれ2つのモジュール203A、203B、および203C、203Dについて2つのブロック204および205を形成するように配置される。ノズルの上端部とストリップとの間の距離は100mmである。さらに、下で説明される試験を行うために、一方では、吹き付けモジュールの2つのブロック204と205との間のストリップ207の横方向変位を測定する第1の手段が、吹き付けモジュールより下流の約13メートルに配置され、また他方では、ストリップ208の横方向変位を測定する第2の手段が、乾燥モジュール202の出口に配置された。2つの測定手段は、図4に示されるものと同じタイプである。しかしながら、吹き付けモジュールに配置される第1の測定手段207はレーザを備えるのに対して、乾燥モジュールの出口に配置される第2の測定手段208は誘導型センサを備えている。
【0055】
試験を行うために、浴の出口で約400℃の高温を有し、冷却モジュールの出口で250℃よりも低い温度を有さなければならない厚さ0.27mmの鋼ストリップが通過した。ストリップは、一定の速度で通過し、吹き付け圧力が変化した。さらに、一方では、本発明による吹き付けモジュールの場合、すなわちストリップの一方の面上のジェットの衝突がストリップの他方の面上のジェットの衝突に対向しないように配置されたノズルの場合について、また他方では、先行技術によるチャンバの場合、すなわち一方の面上のジェットの衝突が他方の面上のジェットの衝突に対向する場合について試験が行われた。
【0056】
ストリップの変位についての第1の一連の測定は、吹き付けモジュールの2つのブロック間に配置された第1の測定手段207を用いて行われた。この目的のために、吹き付けモジュールの供給圧力が変化し、ストリップの変位は走行ストリップの幅の方向に配置された3つのレーザを用いて測定された。
【0057】
また、ストリップの変位についての第2の一連の測定は、乾燥モジュールから数センチメートルの距離をおいて、ストリップの走行の方向に冷却モジュールより上流で、かつ前記乾燥モジュールより下流で行われた。この第2の一連の測定は、第2の測定手段208を用いて行われた。
【0058】
これらの2つの一連の測定を得るために、先行技術および本発明に関連する試験について、同一の製造条件で乾燥中に結果が採られる。ストリップの横方向変位を測定するために、ストリップの横方向変位の平均のピークトゥピーク振幅が決定された。
【0059】
図9は、第1の一連の測定の結果、すなわち吹き付けモジュールのところで採られた、吹き付け力に応じてストリップの横方向変位(ピークトゥピーク距離)を示している。本発明による冷却モジュール203に関連する曲線91は、ストリップのピークトゥピーク変位振幅がほぼ一定であることを示す。変位振幅は、0.7kPaから4kPaまで変化する吹き付け超過圧力についておよそ2mmから3mmで発振する。
【0060】
曲線92は、先行技術による冷却モジュールについてのピークトゥピーク変位振幅の変化を示している。この曲線92は、1.5kPaから2.7kPaまで変化する吹き付け超過圧力について、ストリップの変位振幅が指数関数的に増大することを示す。これらの変形は、装置の冷却能力、したがって製造プロセスの生産性を制限する。実際に、変形が余りにも大きい場合、変形は製品の品質の低下を招き、このことは、多くて約2.5kPaまでの吹き付け圧力という制限をもたらすことが分かってきた。
【0061】
吹き付けモジュールでのストリップの変形があまりにも大きい場合、製品の劣化がまた、冷却モジュールより上流の乾燥モジュールのところで観測される。実際に、振動は、吹き付けモジュールから乾燥モジュールまでストリップに沿って伝播され、製品の品質欠陥をもたらすことがある。乾燥モジュールのところで採られた第2の一連の測定により、吹き付けモジュールのところで引き起こされるストリップの振動の、乾燥モジュールのところでの影響を評価することができる。
【0062】
図10は、第2の一連の測定の結果を示している。曲線102は、先行技術による装置の場合のピークトゥピーク変位振幅を示す。1.2kPaから3.0kPaまで変化する吹き付け圧力の場合、乾燥モジュールのところの変位振幅は、これらが製品の劣化をもたらすまでに約2.5mmから約9mmまで指数関数的に増大する。ストリップの変形の振幅による高い吹き付け圧力のこの影響により、吹き付け力を実質的に2.8kPaより低くまで制限することが必要になる。
【0063】
この同じ図において、本発明による冷却装置に関連する曲線101は、0.5kPaから3.5kPaまで変化する吹き付け圧力について1.8mmより小さく、実質的に水平のままである。
【0064】
これらの結果は、本発明による吹き付けモジュールの場合にはストリップの横方向変位振幅がかなり減少され、この減少が非常に大きくなり得るので、これらは5分の1ずつに分割されることを示している。
【0065】
さらに、本発明者らは、ストリップが、冷却ジェットの力にかかわりなく冷却モジュールにおいても乾燥モジュールにおいても、本発明による装置によりもはや捩り状態に置かれないことに留意した。
【0066】
また、図11は、本発明による冷却装置の冷却性能が先行技術による冷却装置の冷却性能と比較され得るように、吹き付けモジュールの吹き付け圧力に応じて熱交換係数の変化を示している。この図では、曲線111が本発明に対応し、曲線112が先行技術に対応する。2つの曲線は、徐々に大きくなり、吹き付け圧力と共に冷却力が増大することを示している。しかしながら、先行技術による曲線は、2.0kPaの吹き付け圧力で停止しており、なぜならこれよりも上では、振動が製品を劣化させるからである。したがって、最大の冷却力は、160W/m2.℃である。他方では、本発明による曲線は、最大3.5kPaまでの吹き付け圧力に向けて延在し、200W/m2.℃の冷却力が実現されるようになっている。したがって、本発明により、走行ストリップの熱除去力を非常に実質的に増大できるようにしている。
【0067】
これらの結果は、本発明による装置を用いることによって、ストリップの振動を非常に制限しながら比較的高い吹き付け圧力でストリップを冷却できることを示している。
【0068】
読者は、冷却モジュールの使用範囲について上記で与えられた数値が、特定の試験条件、ならびに特にストリップの厚さ、幅および走行速度に該当することを理解されよう。
【0069】
たった今説明した例では、吹き付けジェットは、ストリップの表面に直角に向けられるが、ブロージェットのすべてまたは一部をストリップの法線に対して傾斜させることが有利であり得る。特に、ストリップの縁部にあるガスジェットを、ストリップの外部に向かって方向付けることが有益であり得る。また、ストリップに衝突した後の吹き付けられたガスまたは水/ガス混合物の除去を強いるように、したがって熱交換を促進するようにジェットのすべてもしくは一部を、ストリップの走行の方向に、または他方ではストリップの走行の方向に対向して方向付けることも有益である。
【0070】
また、純ガスまたはガスの混合物である吹き付けガスが、空気、または窒素と水素からなる混合物、または任意の他のガスの混合物であり得ることに留意されよう。このガスは、ストリップの温度よりも低い温度であってもよい。したがって、吹き付けは、ストリップを冷却するのに使用される。これが、例えば、ストリップが溶融亜鉛めっき処理や焼鈍処理から流出する時の実情である。
【0071】
しかしながら、吹き付けられたガスは、高温ガスであることができ、特にバーナからの燃焼ガスであることができ、ストリップが熱処理設備に導入される前にストリップを予熱することが意図され得る。
【0072】
ノズルはすべて、1つの、かつ同一の概ね平面の分配チャンバに配置されることができ、または複数の分配チャンバにわたって分布されることができ、これらの分配チャンバは、例えば、ストリップの幅にまたがる管である。
【0073】
分配チャンバが管である場合、これらもまた、ストリップの走行の方向に平行に方向付けられ得る。
【0074】
したがって、本発明の場合、分配チャンバの領域に引き起こされるストリップの振動を非常に実質的に低減し、乾燥モジュールの領域においてストリップの振動を非常に実質的に低減し、分配チャンバの冷却力を実質的に増大し、製品の非常に高い品質を保証し、したがって、生産方法の生産性を実質的に増大することが可能である。
【0075】
本発明の好適な実施形態では、吹き付けノズルは、吹き付けジェットの衝突が前記ストリップの横方向にストリップの1つの面で重なり合うように、分配チャンバに配置される。
【0076】
ストリップの一方の面上の吹き付けジェットの衝突が、ストリップの他方の面上のジェットの衝突に対向しないが、ストリップの面のそれぞれの上のジェットの衝突が重なり合うこの配置は、ストリップの走行の方向にかつストリップの横方向に互いに平行に、ジェットラインと呼ばれるストリップの欠陥の形成を妨げるという利点を有する。
【0077】
ガスジェットの衝突がジェットのラインを形成するように配置される場合、これらのジェットのラインは、ストリップが高温空気などの高温ガスを吹き付けることによって加熱される場合に酸化痕跡によって明らかにされる。溶融金属浴内の溶融めっきによって被覆されるストリップを冷却する場合、これらは、異なる表面外観を有する一連の被覆ラインによってストリップ上に明らかにされる。例えば、ストリップの亜鉛めっきに関しては、ストリップの単一の面上に衝突ジェットの重複を含まない冷却装置の冷却処理から流出するストリップは、光沢のある表面外観を有する一連のライン、および光らない表面外観を有する一連のラインを示す。
【0078】
これらのジェットラインの形成を防ぐために、ノズルは、ストリップの面上のジェットの衝突がストリップの幅にわたってそれぞれ延在する複数のラインを覆って分布されるように配置されることができ、各ラインは、所与の直径dの複数の衝突を含み、かつピッチpによって一様に分布され、2つの連続するライン、またはラインの2つの連続するグループの衝突は、異なるラインから生じるジェットのラインがストリップの全幅を覆うジェットのラインをもたらすように、横方向へオフセットされる。
【0079】
図12は、ストリップの全表面を覆ってジェットの作用の良好な一様性が得られる、衝突の分布の例を示している。
【0080】
この図は、ストリップ300の面を覆ってジェットの衝突によって形成されるネットワークの一部を示している。このネットワークは、2つのグループ、すなわち2つの衝突のライン301Aおよび301Bからなる第1のグループと、衝突のライン304Aおよび304Bの第2のグループとに分割され得る、4つの衝突のラインからなるパターンによって形成される。各ライン301A、301B、304Aおよび304Bは、それぞれ衝突302A、302B、305Aおよび305Bからなり、これらは、ピッチpで一様に分布される。グループのそれぞれにおいて、第2のライン301Bまたは304Bは、一方では半ピッチすなわちp/2ずつの横方向並進運動によって、他方では長さlずつの長手方向並進運動によって、それぞれ第1のライン301Aまたは301Bから推論される。さらに、ライン305Aおよび305Bからなるラインの第2のグループは、衝突の直径dに等しい距離dずつの横方向並進運動によって、ライン301Aおよび301Bの第1のグループから推論される。この配置の場合、衝突302Aおよび302Bの場合のストリップ303A、303B、ならびに衝突305Aおよび305Bの場合のストリップ306A、306B上の衝突によって残された痕跡は、いったん衝突の直径が、単一のライン上で2つの隣接する衝突を分離するピッチpの1/4に少なくとも等しければ、結合されるストリップを形成する。衝突の数が増加されることになる場合、ネットワークは、2つの連続するラインを分離する距離lの4倍に等しい長さずつの並進運動によってたった今説明した衝突の分布を再現することにより延在され得る。このように、メッシュが複雑な多角形である周期的ネットワークが得られる。
【0081】
たった今説明した例では、衝突の痕跡を有するストリップについて良好なカバレッジを実現するために、4つの衝突のラインが使用される。しかしながら、当業者は、他の配置が可能であることを理解されよう。特に、ストリップについての良好な表面カバレッジは、ストリップの単一の面上の吹き付けノズルからのジェットの衝突が、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20との間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように、2次元ネットワークのノードに分布される場合に実現され得る。この分布は、特に、吹き付けノズルからのジェットの衝突の幅を考慮に入れながら設定されなければならない。当業者は、この種の適応を行う方法を知っている。
【0082】
このタイプの衝突の分布により、本発明者らは、本発明による冷却モジュールの場合はジェットラインという欠陥がなくなることを発見している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ストリップを冷却または加熱するようにその温度に影響を及ぼすために、走行ストリップの上にガスまたは水/ガス混合物を吹き付けることに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却チャンバは、走行する金属ストリップを処理するために、いくつかの設備の出口に配置され、ストリップは、ストリップを冷却するための2つのガス吹き付けモジュールの間のチャンバの中を垂直に走行し、ガスは、空気、不活性ガス、または不活性ガスの混合物であることができる。
【0003】
一般に、吹き付けモジュールは、加圧ガスが供給される吹き付けチャンバからなり、各チャンバは、ノズルを構成する開口が設けられた面を備え、走行ストリップが通過する吹き付け区域の両側に互いに対向して配置される。
【0004】
開口は、ストリップの全長にまたがるスロットと、ストリップの走行区域の幅およびある特定の長さにまたがる表面にわたって、ガスジェットを分布する2次元ネットワークに配置される点状の開口のいずれかであってもよい。互いに対向して配置される吹き付けモジュールのそれぞれにより発生されるジェットの効果を釣り合わせるために、吹き付けモジュールは、一方のモジュールからのジェットが他方のモジュールのジェットに対向するように設定される。
【0005】
ガスを吹き付けると、走行ストリップの振動を引き起こし、一方の吹き付けモジュールから他方の対向する吹き付けモジュールまで、ストリップの歪みおよび横方向変位をもたらすことが分かっている。歪みは、ストリップの走行の方向に概ね平行な軸線を中心として、ストリップが捩られるので発生される。横方向変位は、ストリップの走行区域の中央平面に直角な方向のストリップの変位によって引き起こされ、これはストリップの表面に概ね平行である。これらの振動は、吹き付けの強さが増大するにつれて一層重要な意味をもつようになる。このことは、ストリップに損傷を引き起こすことがある過度の振動を避けるために、吹き付けの強さ、したがって冷却の強さが制限されなければならないことを意味している。
【0006】
この欠点を克服するために、吹き付けチャンバは、ローラなどのストリップを保持する手段またはエアローリック(aeraulic)安定化手段によって分離される複数のチャンバが設けられるように、短くされることが提案されている。しかし、これらの装置は、安定化装置にストリップと接触していることを要求し、このことは溶融亜鉛めっきの出口における冷却などのいくつかの用途に不適当であり、または管理が不十分なエアローリック安定化領域において特別な冷却を必要とするという欠点を有している。
【0007】
また、ストリップに加えられる張力に影響を及ぼすことによって、特に張力を増大させることによって、ストリップを安定化することも提案されている。しかしながら、この方法は、ストリップにかなりの応力を発生させという欠点を有し、このことは、その特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0008】
また、吹き付け速度、またはノズルの上端部とストリップとの間の距離、または吹き付けレートに影響を及ぼすことによって、ストリップの振動を低減する試みも行われてきた。しかしながら、すべてのこれらの方法では、冷却の有効性、したがって設備の性能が低下することになる。
【0009】
最後に、複数のノズルが分配チャンバで供給され、ノズルが、冷却されるべきストリップの表面に向かって延在する管であり、管が、ストリップの表面に対して直角に傾斜されており、管の傾斜がより大きい、これらがストリップの走行区域の中心線からさらに遠くにある装置が、提案されている。この装置では、ノズルは、ストリップの各面上のガスジェットの衝突点が互いに対向するように2次元ネットワークに配置される。この装置は、特にストリップの振動を引き起こすという欠点を有し、それにより、吹き付け圧力、したがって冷却の有効性を限定することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ガスを吹き付けることによって走行ストリップの温度に影響を及ぼす手段を提案することによってこれらの欠点を克服することであり、これは、高い吹き付け圧力においてさえ、冷却または加熱領域を通してストリップが走行する際に冷却または加熱領域を通る通路において、限られたストリップの振動を引き起こすものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、ガスを吹き付けることによって走行ストリップの温度に影響を及ぼす方法に関するものであり、そのために、ストリップの表面の方向に延在し、ストリップの各表面上のガスのジェットの衝突が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置されるガスの複数のジェットが、ストリップの各面の上に吹き付けられる。ストリップの一方の面上のジェットの衝突は、他方の面上のジェットの衝突に対向せず、ガスのジェットは、少なくとも1つの分配チャンバで供給される管状ノズルによって生じ、管状ノズルの上端部は、ストリップの長手方向に平行にかつストリップの長手方向に直角に、戻りガスの流れに自由空間を残しておくように、分配チャンバからある距離をおいて延在する。
【0012】
ガスのジェットは、ストリップの表面に対して直角であることができる。
【0013】
ガスの少なくとも1つのジェットの軸線は、ストリップの表面の法線に対してある角度を形成することができる。
【0014】
ストリップの面のそれぞれの上のジェットの衝突の2次元分布ネットワークは、周期的であり、同じタイプであり、同じピッチを有することが好ましい。
【0015】
例えば、ネットワークは、六角形型である。
【0016】
より好ましくは、ストリップの単一の面上におけるジェットの衝突は、ストリップの1つの面についてのブロージェットの隣接する衝突痕が前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20の間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布される。ブロージェットの痕跡の近接している性質は、痕跡がまた重なり合い得ることを意味することに気づかれよう。
【0017】
一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークは、互いにオフセットされ、オフセットは、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であることが好ましい。
【0018】
ガスは、冷却ガス、水/ガス混合物、または高温ガス、特にバーナからの燃焼ガスでさえあることができる。
【0019】
ノズルの長さは、20mmと200mmとの間であることが有利である。
【0020】
本発明はまた、ストリップの走行区域の両側に互いに対向して配置される少なくとも2つの吹き付けモジュールを備える装置に関し、各吹き付けモジュールは、ストリップの走行区域の方向に少なくとも1つの分配チャンバから延在する複数の管状ノズルからなり、ノズルは、ストリップの各面上のジェットの衝突が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置され、吹き付けモジュールは、一方の面上のジェットの衝突が他方の面上のジェットの衝突に対向しないように設定される。
【0021】
ジェットの衝突が分布される2次元ネットワークは、同じタイプでありかつ同じピッチを有する周期的なネットワークであることが好ましい。
【0022】
ネットワークは、六角形型であることができる。
【0023】
より好ましくは、ストリップの単一の面上のジェットの衝突は、隣接するブロージェットの衝突痕がストリップの1つの面上で前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20との間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布される。
【0024】
吹き付けモジュールは、一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークが互いにオフセットされ、オフセットは、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であるように設定されることが好ましい。
【0025】
ノズルの吹き付け軸線は、ストリップの走行平面に対して直角であることができる。
【0026】
少なくとも1つのノズルの吹き付け軸線は、前記ストリップの走行平面の法線に対してある角度を形成する。
【0027】
ノズルの吹き付け口は、円形、多角形、横長形またはスロット状の断面を有することができる。
【0028】
吹き付けモジュールは、ガスアプテークパイプを有しまたはガスアプテークパイプを有さないタイプである。
【0029】
各吹き付けモジュールは、吹き付けノズルが配置される分配チャンバからなることが好ましい。
【0030】
本発明は、鋼ストリップやアルミニウムストリップなどの薄い金属ストリップの連続処理用の設備に特に適用できる。これらの処理とは、例えば連続焼鈍処理、または亜鉛めっきやすずめっきなどの浸漬塗付処理である。本発明は、ストリップの容認できない振動を引き起こすことなく、ストリップについて高い熱交換の強さを実現することができる。
【0031】
ここで、本発明を、添付の図面を参照して一層正確に、しかしながら非限定的な方法で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ガス吹き付けによる冷却用モジュール内を走行するストリップの概略透視図である。
【図2】ストリップの第1の面および第2の面の吹き付け領域でのガスジェットの衝突の分布図である。
【図3】単一のストリップの2つの面上の冷却ジェットの衝突の分布の重ね合わせを示す図である。
【図4】冷却装置におけるストリップの横方向変位の測定についての概略説明図である。
【図5】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のジェットが互いに対向している場合の両方について、吹き付けによる冷却用装置におけるストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図6】2つの面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、吹き付け圧力に応じて、吹き付けによる冷却用装置で走行するストリップの平均捩りを示す図である。
【図7】ストリップが本発明による吹き付け装置によって冷却される場合と、ストリップが先行技術によるスロットを通して吹き付ける装置によって冷却される場合の両方について、吹き付けによる冷却用装置におけるストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図8】冷却装置を備える浸漬塗付設備の出口の概略説明図である。
【図9】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、乾燥モジュールで測定された、図8の浸漬塗付設備の吹き付けによる冷却用装置において冷却されたストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図10】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している場合の両方について、冷却モジュールで測定された、図8の浸漬塗付設備の吹き付けによる冷却用装置において冷却されたストリップの横方向変位の変化を示す図である。
【図11】ある面と、別の面のブロージェットが互いにオフセットされている本発明による場合と、2つの面のブロージェットが互いに対向している先行技術による冷却装置の場合の両方について、図8のような吹き付けによる冷却用装置において、吹き付けモジュールの吹き付け力に応じて熱交換係数の変化を示す図である。
【図12】ストリップの表面に一様な吹き付けを与える、走行ストリップの1つの面上のガスジェットの衝突の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1において全体として1で示される、ガスを吹き付けることによる冷却用設備は、走行ストリップ4の両側に配置された2つの吹き付けモジュール2および3からなる。各吹き付けモジュールは、どちらも加圧ガスが供給される一方の側の分配チャンバ21と他方の側の分配チャンバ31からなる。
【0034】
分配チャンバのそれぞれは、概ね横長形の形状の面22を有する一方と面32を有する他方とのほぼ直方体状の形状であり、それらの面は互いに対向して配置され、それらの面上に、一方の場合には複数の円筒形の吹き付けノズル23、また他方の場合には複数の円筒形の吹き付けノズル33が設けられる。これらの円筒形ノズルは、約100mmであり、また20mmと200mmとの間、好ましくは50mmと150mmとの間であり得る長さを有する管であり、かつ例えば9.5mmであるが、4mmと60mmとの間であることができる内径を有する。これらの管は、ストリップの1つの面のブロージェットによる衝突が、好ましくは周期的ネットワークである2次元ネットワーク上に分布されるように分配チャンバの面22および32の上に分布され、周期的ネットワークのメッシュは、六角形型の分布を構成するように正方形、またはダイアモンド形状であることができる。2つの隣接する管の間の距離は、例えば50mmであり、かつ40mmと100mmとの間であることができる。冷却モジュールの分配チャンバの各面上のノズルの数は、数百個ほどであってもよい。ノズルの上端部とストリップとの間の距離は、50mmと250mmとの間であってもよい。ストリップ上のジェットの衝突のこのような分布を実現するために、ノズルが相互に平行なジェットを発生する場合、各チャンバ上のノズルは、ストリップのジェットの衝突の2次元分布ネットワークと全く同じ2次元ネットワークに分布される。しかしながら、ジェットが相互に平行でない場合、チャンバ上のノズルの分布は、ストリップの表面上のジェットの衝突の分布と相違する。
【0035】
図2に示される実施形態では、管は、ストリップの面A上の吹き付けモジュール2によって放出されるジェットの衝突24が2次元ネットワークのノードに分布されるように分布され、示された例において、これはピッチpが示される六角形型の周期的ネットワークである。第2の吹き付けモジュール3の吹き付けノズルは、ストリップの面B上のガスジェットの衝突34が六角形型であり、かつpにも等しいメッシュを有する周期的な2次元ネットワークのノードに一様に分布されるように、分配チャンバ31に分布される。面Aの一方の場合、および面Bの他方の場合に対応する2つの2次元ネットワークは、これらの衝突が互い違いに配置されるように、面Bのガスジェットの衝突34が面Aのガスジェットの衝突24に対向しないように互いにオフセットされる。
【0036】
オフセットは、一方の面のジェットの衝突が他方の面のジェットの衝突間で自由なままにしておかれる対向空間であるように設定される。
【0037】
この理由のために、図3で示されるように、面A上のジェットおよび面B上のジェットの衝突が、重ね合わされるようにして示され、ブロージェットの衝突点の組の稠密な分布が両方の面上に実現される。
【0038】
ストリップの面のそれぞれに対するブロージェットの衝突点のこのような分布は、ブロージェットとストリップの表面との間の接触をさらに広げ、したがってジェットが互いに対向している場合よりも一層均一な冷却を可能にするという利点を有する。結果として、ストリップとガスとの間の熱交換係数が改善される。ジェットのこの分布はまた、ストリップの表面に加えられる応力を低減するという利点も有する。さらに、ジェットのこの分布は、ストリップの振動、したがってストリップの横方向変位および捩りを実質的に低減する。
【0039】
本発明者らは、ストリップの振動の実質的な低減を達成するためには、ストリップの表面上の衝突点の分布が、必ずしも六角形型の2次元ネットワークである必要はなく、2つのネットワーク間のオフセットが、半ピッチに等しい必要はないことを発見している。
【0040】
実際に、最も重要なことは、一方では、戻りガスすなわちストリップに吹き付けられかつ除去される必要があるガスが、ストリップの走行の方向に直角なノズルと平行なノズルの両方の間を流すことによって漏出できることであり、他方では、衝突点が互いに対向せず、2つのネットワーク間のオフセットが、例えば1/4ピッチと3/4ピッチとの間であり得ることである。このオフセットは、ストリップの走行の方向にまたはストリップの走行に対して直角な方向に行われ得る。
【0041】
本発明者らはまた、吹き付けガスのノズルが、さまざまな形状の断面を有することができることも発見している。例えば、これらは、円形断面、または例えば正方形や三角形などの多角形断面、またはそのほか横長形の形状、またさらには短いスロットの形の吹き付け開口であることができる。
【0042】
しかしながら、吹き付けが管状のノズルを介して起こり、ノズルの上端部が、分配チャンバの側面から十分に大きな距離のところに延在して、戻りガスを、ストリップの走行の方向に平行でもありストリップの走行の方向に直角でもある流れによって除去できるようにすることが重要である。実際に、これは、ガスの除去による良好な分布とストリップの表面上のガスジェットの衝突点の分布とを組み合せることであり、それにより、ストリップの高い安定性が獲得されるようになっている。
【0043】
例示として、50mmのピッチを有する六角形型のネットワークに配置される100mmの長さおよび9.5mmの直径を有する円筒形の管が設けられる、2200mmの長さを有する横長形形状の2つの吹き付けモジュールの間を走行するストリップの振動挙動について、ノズルの上端部とストリップとの間の距離が67mmであるように互いに対向して配置された2つの吹き付けモジュールが比較された。幅950mmおよび厚さ0.25mmの鋼ストリップが、これらの2つの吹き付けモジュール間に一定の張力の下で配置された。分配チャンバの供給圧力は、大気圧の上方に0kPaと10kPaとの間で変化され、ストリップの横方向変位は、図4に示されるように、ストリップの幅の方向に配置された3つのレーザで測定され、レーザ40Aは、距離daを測定するためにストリップの軸線上に配置され、レーザ40Gは、ストリップの縁部から約50mmの距離Dのところで距離dgを測定するためにストリップの左側に配置され、また、第3のレーザ40Dは、ストリップの縁部から約50mmの距離Dのところでストリップの右側に配置され、距離ddを測定した。
【0044】
距離da、dg、およびddとは、ストリップの走行区域の中央平面に平行な線からの距離である。
【0045】
これらの測定によって、1/3(dg+da+dd)に等しいストリップの平均変位、および、|dg−dd|(横方向変位の間の差異の絶対値)に等しい捩りを測定することができる。
【0046】
これらの2つの値を測定するために、吹き付け中に測定が行われる。横方向変位については、横方向変位間の平均のピークトゥピーク距離が決定される。捩りについては、捩りの平均振幅が測定される。
【0047】
図5および6は、ガスジェットが互いにオフセットされている(一方の面上のガスジェットが他方の面上のガスジェットからオフセットされている)本発明による冷却モジュールについて、ならびに、上記のモジュールと全く同じであるが1つの面のブロージェットが向かい合わせの面のブロージェットに対向している、吹き付けによる冷却用モジュールの場合の、一方では横方向変位および他方では平均捩りを示している。
【0048】
図5から分かるように、本発明による吹き付けモジュールに関連する曲線50は、ストリップのピークトゥピーク変位振幅の緩慢な変化を示しており、これは、1kPaの吹き付け超過圧力の場合の約15mmから10kPaの吹き付け超過圧力の場合の約30mmまで変化している。この同じ図において、一方の面のブロージェットが他方の面のブロージェットに対向している吹き付けモジュールのピークトゥピーク変位振幅の変化を示す曲線51は、約1kPaの吹き付け超過圧力の場合のストリップの変位振幅が依然として15mmであるが、この振幅が、前述の場合よりも実質的に一層増大し、9kPaの吹き付け圧力の場合には約55mmに達し、次いで10kPaの吹き付け圧力の場合には100mmを超えることを示している。
【0049】
これらの曲線は、本発明による装置の場合、最大10kPaまでであり得る吹き付け圧力については、ノズルの上端部とストリップとの間の距離が67mmであるような距離で間隔配置される2つの吹き付けモジュールの間で、ストリップが走行できるが、これに反して、一方の面のブロージェットが他方の面のブロージェットに対向している吹き付けモジュールの場合には、これらの装置は、実質的に9kPaよりも低い吹き付け超過圧力の場合にしか使用できないことを示している。
【0050】
同様に、吹き付け圧力に応じてねじり(twisting)すなわち捩りの変化を表わす図6の曲線52は、本発明による装置の場合、最大10kPaまでの吹き付け超過圧力の場合でさえ、ねじりが4mmよりも小さいままであることを示している。これと対照してみると、ジェットが互いにオフセットされていないチャンバの場合、ねじりは、9kPaの吹き付け超過圧力について24mmほどであってもよい。
【0051】
本発明による吹き付けモジュールと、分配チャンバが横方向に延在するスロットを通して空気を吹き付ける先行技術による吹き付けモジュールとを用いてストリップが冷却される場合のストリップの挙動を比較するために、本発明による吹き付けモジュールと先行技術による吹き付けモジュールの両方の場合に、67mm、85mm、および100mmという吹き付けノズルの上端部とストリップの表面との間の距離について、ストリップの変位振幅が、吹き付け超過圧力に応じて測定された。
【0052】
これらの結果は図7に示されており、図7では67mm、85mm、および100mmの距離について、本発明による吹き付けモジュールによって冷却されるストリップに関連する曲線54、55、56が、実質的にそれぞれ重ね合わされ、10kPaほどであり得る吹き付け超過圧力の場合、変位振幅は30mmよりも小さいままであることを示している。
【0053】
ストリップの幅にまたがるスロットを通してガスを吹き付ける、先行技術による装置を用いて冷却されるストリップに関連する曲線57、58、59は、吹き付けノズルとストリップとの間のそれぞれ67mm、85mm、および100mmという距離に対応する。これらの曲線は、最大4kPaまでの吹き付け圧力の場合、ストリップの変位が100mmを超え、150mmほどであり得ることを示している。
【0054】
また、図8において全体として200で示される溶融金属浴の産業用浸漬塗付設備の中を走行するストリップの振動挙動の特徴が記述されており、浸漬塗付設備は、浴201の出口にある乾燥モジュール202と、冷却モジュールより下流の全体として203で示される冷却モジュールを備える。この冷却モジュールは、約6500mmの長さおよび1600mmの幅を有する横長形の形状の4つの吹き付けモジュール203A、203B、203Cおよび203Dを備える。各吹き付けモジュールには、60mmのピッチを有する六角形型のネットワークに配置される100mmの長さおよび9.5mmの直径を有する円筒形ノズルが設けられる。4つの吹き付けモジュールは、ストリップ206の走行区域の両側に互いに対向して配置される、それぞれ2つのモジュール203A、203B、および203C、203Dについて2つのブロック204および205を形成するように配置される。ノズルの上端部とストリップとの間の距離は100mmである。さらに、下で説明される試験を行うために、一方では、吹き付けモジュールの2つのブロック204と205との間のストリップ207の横方向変位を測定する第1の手段が、吹き付けモジュールより下流の約13メートルに配置され、また他方では、ストリップ208の横方向変位を測定する第2の手段が、乾燥モジュール202の出口に配置された。2つの測定手段は、図4に示されるものと同じタイプである。しかしながら、吹き付けモジュールに配置される第1の測定手段207はレーザを備えるのに対して、乾燥モジュールの出口に配置される第2の測定手段208は誘導型センサを備えている。
【0055】
試験を行うために、浴の出口で約400℃の高温を有し、冷却モジュールの出口で250℃よりも低い温度を有さなければならない厚さ0.27mmの鋼ストリップが通過した。ストリップは、一定の速度で通過し、吹き付け圧力が変化した。さらに、一方では、本発明による吹き付けモジュールの場合、すなわちストリップの一方の面上のジェットの衝突がストリップの他方の面上のジェットの衝突に対向しないように配置されたノズルの場合について、また他方では、先行技術によるチャンバの場合、すなわち一方の面上のジェットの衝突が他方の面上のジェットの衝突に対向する場合について試験が行われた。
【0056】
ストリップの変位についての第1の一連の測定は、吹き付けモジュールの2つのブロック間に配置された第1の測定手段207を用いて行われた。この目的のために、吹き付けモジュールの供給圧力が変化し、ストリップの変位は走行ストリップの幅の方向に配置された3つのレーザを用いて測定された。
【0057】
また、ストリップの変位についての第2の一連の測定は、乾燥モジュールから数センチメートルの距離をおいて、ストリップの走行の方向に冷却モジュールより上流で、かつ前記乾燥モジュールより下流で行われた。この第2の一連の測定は、第2の測定手段208を用いて行われた。
【0058】
これらの2つの一連の測定を得るために、先行技術および本発明に関連する試験について、同一の製造条件で乾燥中に結果が採られる。ストリップの横方向変位を測定するために、ストリップの横方向変位の平均のピークトゥピーク振幅が決定された。
【0059】
図9は、第1の一連の測定の結果、すなわち吹き付けモジュールのところで採られた、吹き付け力に応じてストリップの横方向変位(ピークトゥピーク距離)を示している。本発明による冷却モジュール203に関連する曲線91は、ストリップのピークトゥピーク変位振幅がほぼ一定であることを示す。変位振幅は、0.7kPaから4kPaまで変化する吹き付け超過圧力についておよそ2mmから3mmで発振する。
【0060】
曲線92は、先行技術による冷却モジュールについてのピークトゥピーク変位振幅の変化を示している。この曲線92は、1.5kPaから2.7kPaまで変化する吹き付け超過圧力について、ストリップの変位振幅が指数関数的に増大することを示す。これらの変形は、装置の冷却能力、したがって製造プロセスの生産性を制限する。実際に、変形が余りにも大きい場合、変形は製品の品質の低下を招き、このことは、多くて約2.5kPaまでの吹き付け圧力という制限をもたらすことが分かってきた。
【0061】
吹き付けモジュールでのストリップの変形があまりにも大きい場合、製品の劣化がまた、冷却モジュールより上流の乾燥モジュールのところで観測される。実際に、振動は、吹き付けモジュールから乾燥モジュールまでストリップに沿って伝播され、製品の品質欠陥をもたらすことがある。乾燥モジュールのところで採られた第2の一連の測定により、吹き付けモジュールのところで引き起こされるストリップの振動の、乾燥モジュールのところでの影響を評価することができる。
【0062】
図10は、第2の一連の測定の結果を示している。曲線102は、先行技術による装置の場合のピークトゥピーク変位振幅を示す。1.2kPaから3.0kPaまで変化する吹き付け圧力の場合、乾燥モジュールのところの変位振幅は、これらが製品の劣化をもたらすまでに約2.5mmから約9mmまで指数関数的に増大する。ストリップの変形の振幅による高い吹き付け圧力のこの影響により、吹き付け力を実質的に2.8kPaより低くまで制限することが必要になる。
【0063】
この同じ図において、本発明による冷却装置に関連する曲線101は、0.5kPaから3.5kPaまで変化する吹き付け圧力について1.8mmより小さく、実質的に水平のままである。
【0064】
これらの結果は、本発明による吹き付けモジュールの場合にはストリップの横方向変位振幅がかなり減少され、この減少が非常に大きくなり得るので、これらは5分の1ずつに分割されることを示している。
【0065】
さらに、本発明者らは、ストリップが、冷却ジェットの力にかかわりなく冷却モジュールにおいても乾燥モジュールにおいても、本発明による装置によりもはや捩り状態に置かれないことに留意した。
【0066】
また、図11は、本発明による冷却装置の冷却性能が先行技術による冷却装置の冷却性能と比較され得るように、吹き付けモジュールの吹き付け圧力に応じて熱交換係数の変化を示している。この図では、曲線111が本発明に対応し、曲線112が先行技術に対応する。2つの曲線は、徐々に大きくなり、吹き付け圧力と共に冷却力が増大することを示している。しかしながら、先行技術による曲線は、2.0kPaの吹き付け圧力で停止しており、なぜならこれよりも上では、振動が製品を劣化させるからである。したがって、最大の冷却力は、160W/m2.℃である。他方では、本発明による曲線は、最大3.5kPaまでの吹き付け圧力に向けて延在し、200W/m2.℃の冷却力が実現されるようになっている。したがって、本発明により、走行ストリップの熱除去力を非常に実質的に増大できるようにしている。
【0067】
これらの結果は、本発明による装置を用いることによって、ストリップの振動を非常に制限しながら比較的高い吹き付け圧力でストリップを冷却できることを示している。
【0068】
読者は、冷却モジュールの使用範囲について上記で与えられた数値が、特定の試験条件、ならびに特にストリップの厚さ、幅および走行速度に該当することを理解されよう。
【0069】
たった今説明した例では、吹き付けジェットは、ストリップの表面に直角に向けられるが、ブロージェットのすべてまたは一部をストリップの法線に対して傾斜させることが有利であり得る。特に、ストリップの縁部にあるガスジェットを、ストリップの外部に向かって方向付けることが有益であり得る。また、ストリップに衝突した後の吹き付けられたガスまたは水/ガス混合物の除去を強いるように、したがって熱交換を促進するようにジェットのすべてもしくは一部を、ストリップの走行の方向に、または他方ではストリップの走行の方向に対向して方向付けることも有益である。
【0070】
また、純ガスまたはガスの混合物である吹き付けガスが、空気、または窒素と水素からなる混合物、または任意の他のガスの混合物であり得ることに留意されよう。このガスは、ストリップの温度よりも低い温度であってもよい。したがって、吹き付けは、ストリップを冷却するのに使用される。これが、例えば、ストリップが溶融亜鉛めっき処理や焼鈍処理から流出する時の実情である。
【0071】
しかしながら、吹き付けられたガスは、高温ガスであることができ、特にバーナからの燃焼ガスであることができ、ストリップが熱処理設備に導入される前にストリップを予熱することが意図され得る。
【0072】
ノズルはすべて、1つの、かつ同一の概ね平面の分配チャンバに配置されることができ、または複数の分配チャンバにわたって分布されることができ、これらの分配チャンバは、例えば、ストリップの幅にまたがる管である。
【0073】
分配チャンバが管である場合、これらもまた、ストリップの走行の方向に平行に方向付けられ得る。
【0074】
したがって、本発明の場合、分配チャンバの領域に引き起こされるストリップの振動を非常に実質的に低減し、乾燥モジュールの領域においてストリップの振動を非常に実質的に低減し、分配チャンバの冷却力を実質的に増大し、製品の非常に高い品質を保証し、したがって、生産方法の生産性を実質的に増大することが可能である。
【0075】
本発明の好適な実施形態では、吹き付けノズルは、吹き付けジェットの衝突が前記ストリップの横方向にストリップの1つの面で重なり合うように、分配チャンバに配置される。
【0076】
ストリップの一方の面上の吹き付けジェットの衝突が、ストリップの他方の面上のジェットの衝突に対向しないが、ストリップの面のそれぞれの上のジェットの衝突が重なり合うこの配置は、ストリップの走行の方向にかつストリップの横方向に互いに平行に、ジェットラインと呼ばれるストリップの欠陥の形成を妨げるという利点を有する。
【0077】
ガスジェットの衝突がジェットのラインを形成するように配置される場合、これらのジェットのラインは、ストリップが高温空気などの高温ガスを吹き付けることによって加熱される場合に酸化痕跡によって明らかにされる。溶融金属浴内の溶融めっきによって被覆されるストリップを冷却する場合、これらは、異なる表面外観を有する一連の被覆ラインによってストリップ上に明らかにされる。例えば、ストリップの亜鉛めっきに関しては、ストリップの単一の面上に衝突ジェットの重複を含まない冷却装置の冷却処理から流出するストリップは、光沢のある表面外観を有する一連のライン、および光らない表面外観を有する一連のラインを示す。
【0078】
これらのジェットラインの形成を防ぐために、ノズルは、ストリップの面上のジェットの衝突がストリップの幅にわたってそれぞれ延在する複数のラインを覆って分布されるように配置されることができ、各ラインは、所与の直径dの複数の衝突を含み、かつピッチpによって一様に分布され、2つの連続するライン、またはラインの2つの連続するグループの衝突は、異なるラインから生じるジェットのラインがストリップの全幅を覆うジェットのラインをもたらすように、横方向へオフセットされる。
【0079】
図12は、ストリップの全表面を覆ってジェットの作用の良好な一様性が得られる、衝突の分布の例を示している。
【0080】
この図は、ストリップ300の面を覆ってジェットの衝突によって形成されるネットワークの一部を示している。このネットワークは、2つのグループ、すなわち2つの衝突のライン301Aおよび301Bからなる第1のグループと、衝突のライン304Aおよび304Bの第2のグループとに分割され得る、4つの衝突のラインからなるパターンによって形成される。各ライン301A、301B、304Aおよび304Bは、それぞれ衝突302A、302B、305Aおよび305Bからなり、これらは、ピッチpで一様に分布される。グループのそれぞれにおいて、第2のライン301Bまたは304Bは、一方では半ピッチすなわちp/2ずつの横方向並進運動によって、他方では長さlずつの長手方向並進運動によって、それぞれ第1のライン301Aまたは301Bから推論される。さらに、ライン305Aおよび305Bからなるラインの第2のグループは、衝突の直径dに等しい距離dずつの横方向並進運動によって、ライン301Aおよび301Bの第1のグループから推論される。この配置の場合、衝突302Aおよび302Bの場合のストリップ303A、303B、ならびに衝突305Aおよび305Bの場合のストリップ306A、306B上の衝突によって残された痕跡は、いったん衝突の直径が、単一のライン上で2つの隣接する衝突を分離するピッチpの1/4に少なくとも等しければ、結合されるストリップを形成する。衝突の数が増加されることになる場合、ネットワークは、2つの連続するラインを分離する距離lの4倍に等しい長さずつの並進運動によってたった今説明した衝突の分布を再現することにより延在され得る。このように、メッシュが複雑な多角形である周期的ネットワークが得られる。
【0081】
たった今説明した例では、衝突の痕跡を有するストリップについて良好なカバレッジを実現するために、4つの衝突のラインが使用される。しかしながら、当業者は、他の配置が可能であることを理解されよう。特に、ストリップについての良好な表面カバレッジは、ストリップの単一の面上の吹き付けノズルからのジェットの衝突が、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3と20との間のいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように、2次元ネットワークのノードに分布される場合に実現され得る。この分布は、特に、吹き付けノズルからのジェットの衝突の幅を考慮に入れながら設定されなければならない。当業者は、この種の適応を行う方法を知っている。
【0082】
このタイプの衝突の分布により、本発明者らは、本発明による冷却モジュールの場合はジェットラインという欠陥がなくなることを発見している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスまたは水/ガス混合物を吹き付けることによって走行ストリップ(4)の温度に影響を及ぼす方法であり、そのために、ストリップの表面にわたって延在し、ストリップの各表面上のガスまたは水/ガス混合物のジェットの衝突(24、34)が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置されるガスまたは水/ガス混合物の複数のジェットが、ストリップの各面の上に吹き付けられる方法であって、ストリップの一方の面(A)上のジェットの衝突(24)が、ストリップの他方の面(B)上のジェットの衝突(34)に対向せず、ガスまたは水/ガス混合物のジェットが、少なくとも1つの分配チャンバ(21、31)で供給される管状ノズル(23、33)によって生じ、管状ノズル(23、33)の上端部が、ストリップの長手方向に平行にかつストリップの長手方向に直角に、戻りガスまたは水/ガス混合物の流れに自由空間を残しておくように、分配チャンバからある距離をおいて延在することを特徴とする、方法。
【請求項2】
ガスまたは水/ガス混合物のジェットが、ストリップの表面に直角であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスまたは水/ガス混合物の少なくとも1つのジェットの軸線が、ストリップの表面の法線に対してある角度を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ストリップのそれぞれの面上のジェットの衝突の2次元分布ネットワークが、周期的であり、同じタイプであり、同じピッチを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ネットワークが、六角形型であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ストリップの単一の面上のジェットの衝突が、ストリップの1つの面についてのブロージェットの2つの隣接する衝突痕が前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3から20まで変化するいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークが、互いにオフセットされ、オフセットが、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ガスが、冷却ガスであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ガスが、高温ガスであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ノズルの長さが、20mmと200mmとの間であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ストリップ(4)の走行区域の両側に互いに対向して配置される少なくとも2つの吹き付けモジュール(2、3)を備え、各吹き付けモジュール(2、3)が、ストリップの走行区域の方向に少なくとも1つの分配チャンバ(21、31)から延在する複数の管状ノズル(23、33)からなり、ノズルが、ストリップの各面(A、B)上のジェットの衝突(24、34)が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、吹き付けモジュール(2、3)が、一方の面(A)上のジェットの衝突(24)が他方の面(B)上のジェットの衝突(34)に対向しないように設定されることを特徴とする、装置。
【請求項12】
ジェットの衝突が分布される2次元ネットワークが、同じタイプでありかつ同じピッチを有する周期的なネットワークであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ネットワークが、六角形型であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ストリップの単一の面上のジェットの衝突が、隣接するブロージェットの衝突痕が、ストリップの1つの面上で前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3から20まで変化するいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
吹き付けモジュール(2、3)が、一方の面(A)に対応するネットワークと他方の面(B)に対応するネットワークが互いにオフセットされ、オフセットが、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であるように設定されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
ノズルの吹き付け軸線が、前記ストリップ(4)の走行平面に対して直角であることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つのノズルの吹き付け軸線が、前記ストリップ(4)の走行平面の法線に対してある角度を形成することを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
ノズルの吹き出し口が、円形、多角形、横長形またはスロット状の断面を有することを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
吹き付けモジュールが、ガスアプテークパイプを有しまたはガスアプテークパイプを有さないタイプであることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
各吹き付けモジュール(23)が、吹き付けノズル(23、33)が配置される分配チャンバ(21、31)からなることを特徴とする、請求項11から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
ガスまたは水/ガス混合物を吹き付けることによって走行ストリップ(4)の温度に影響を及ぼす方法であり、そのために、ストリップの表面にわたって延在し、ストリップの各表面上のガスまたは水/ガス混合物のジェットの衝突(24、34)が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置されるガスまたは水/ガス混合物の複数のジェットが、ストリップの各面の上に吹き付けられる方法であって、ストリップの一方の面(A)上のジェットの衝突(24)が、ストリップの他方の面(B)上のジェットの衝突(34)に対向せず、ガスまたは水/ガス混合物のジェットが、少なくとも1つの分配チャンバ(21、31)で供給される管状ノズル(23、33)によって生じ、管状ノズル(23、33)の上端部が、ストリップの長手方向に平行にかつストリップの長手方向に直角に、戻りガスまたは水/ガス混合物の流れに自由空間を残しておくように、分配チャンバからある距離をおいて延在することを特徴とする、方法。
【請求項2】
ガスまたは水/ガス混合物のジェットが、ストリップの表面に直角であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスまたは水/ガス混合物の少なくとも1つのジェットの軸線が、ストリップの表面の法線に対してある角度を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ストリップのそれぞれの面上のジェットの衝突の2次元分布ネットワークが、周期的であり、同じタイプであり、同じピッチを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ネットワークが、六角形型であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ストリップの単一の面上のジェットの衝突が、ストリップの1つの面についてのブロージェットの2つの隣接する衝突痕が前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3から20まで変化するいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
一方の面に対応するネットワークと他方の面に対応するネットワークが、互いにオフセットされ、オフセットが、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ガスが、冷却ガスであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ガスが、高温ガスであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ノズルの長さが、20mmと200mmとの間であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ストリップ(4)の走行区域の両側に互いに対向して配置される少なくとも2つの吹き付けモジュール(2、3)を備え、各吹き付けモジュール(2、3)が、ストリップの走行区域の方向に少なくとも1つの分配チャンバ(21、31)から延在する複数の管状ノズル(23、33)からなり、ノズルが、ストリップの各面(A、B)上のジェットの衝突(24、34)が2次元ネットワークのノードに分布されるように配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置であって、吹き付けモジュール(2、3)が、一方の面(A)上のジェットの衝突(24)が他方の面(B)上のジェットの衝突(34)に対向しないように設定されることを特徴とする、装置。
【請求項12】
ジェットの衝突が分布される2次元ネットワークが、同じタイプでありかつ同じピッチを有する周期的なネットワークであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ネットワークが、六角形型であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ストリップの単一の面上のジェットの衝突が、隣接するブロージェットの衝突痕が、ストリップの1つの面上で前記ストリップの横方向に近接するように、ストリップの横方向には1ピッチに等しくストリップの長手方向には3ピッチと20ピッチとの間の周期性を有する、3から20まで変化するいくつかの側面を有する複雑な多角形メッシュを形成するように2次元ネットワークのノードに分布されることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
吹き付けモジュール(2、3)が、一方の面(A)に対応するネットワークと他方の面(B)に対応するネットワークが互いにオフセットされ、オフセットが、1/4ピッチと3/4ピッチとの間であるように設定されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
ノズルの吹き付け軸線が、前記ストリップ(4)の走行平面に対して直角であることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つのノズルの吹き付け軸線が、前記ストリップ(4)の走行平面の法線に対してある角度を形成することを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
ノズルの吹き出し口が、円形、多角形、横長形またはスロット状の断面を有することを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
吹き付けモジュールが、ガスアプテークパイプを有しまたはガスアプテークパイプを有さないタイプであることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
各吹き付けモジュール(23)が、吹き付けノズル(23、33)が配置される分配チャンバ(21、31)からなることを特徴とする、請求項11から19のいずれか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−516723(P2011−516723A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550229(P2010−550229)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051895
【国際公開番号】WO2009/112654
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(506166491)アルセロールミタル・フランス (43)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051895
【国際公開番号】WO2009/112654
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(506166491)アルセロールミタル・フランス (43)
【Fターム(参考)】
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