走行ルート決定システム及び走行ルート決定方法
【課題】
渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の移動体間における公平化を図る。
【解決手段】
着目移動体を含め、着目移動体の走行予定時間帯に予定走行ルートを走行予定の移動体である特定移動体のうち、渋滞を発生させずに予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段721と;導出手段721による導出結果と、それまでの渋滞回避のための迂回によって発生した特定移動体のそれぞれについての累積損失時間とに基づいて、累積損失時間が長い順に、特定移動体の中から予定走行ルートを走行すべき移動体を選択した場合に、着目移動体が、予定走行ルートを走行すべき移動体に含まれるか否かを判定する判定手段712と;当該判定の結果が肯定的であった場合に、予定走行ルートを、着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段713と;を備える構成を採用する。
渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の移動体間における公平化を図る。
【解決手段】
着目移動体を含め、着目移動体の走行予定時間帯に予定走行ルートを走行予定の移動体である特定移動体のうち、渋滞を発生させずに予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段721と;導出手段721による導出結果と、それまでの渋滞回避のための迂回によって発生した特定移動体のそれぞれについての累積損失時間とに基づいて、累積損失時間が長い順に、特定移動体の中から予定走行ルートを走行すべき移動体を選択した場合に、着目移動体が、予定走行ルートを走行すべき移動体に含まれるか否かを判定する判定手段712と;当該判定の結果が肯定的であった場合に、予定走行ルートを、着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段713と;を備える構成を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ルート決定システム、走行ルート決定方法及び走行ルート決定プログラム、並びに、当該走行ルート決定プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、運転者に対して走行ルートの誘導及び案内を行うナビゲーション装置が広く普及している。こうしたナビゲーション装置を利用する技術の進展は目覚しく、利用者の利便性を向上させるための様々な技術が提案されている。
【0003】
かかる提案技術の一つとして、各車両において独自に走行ルートを決定するのではなく、各車両の現在位置、目的地等の情報を集中管理するサーバが、交通渋滞を効率的に解決するために、各車両のナビゲーション装置による誘導及び案内を行う走行ルートを決定する技術がある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、各車両に搭載されたナビゲーション装置から、移動通信網を介して、各車両の現在位置、目的地等の情報を収集する。こうして各車両から収集された情報、及び、VICS(Vehicle Information and Communication System)等を利用して得られる交通情報に基づいて、各車両の走行ルートが分散するように、各車両の目的地への走行ルートを算出する。そして、サーバは、各車両に対応して算出された走行ルートを各車両に配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−301667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術によれば、交通状況全体をみれば、渋滞の発生を効率良く未然に防ぐことは可能である。しかし、個々の車両についてみると、最速のルートばかりが割り当てられる車両もあれば、最速のルートよりも時間を要する迂回ルートばかりが割り当てられる車両もあり得る。このため、最速のルートを走行した場合の最短走行時間からの損失時間が、車両ごとで大きく異なり、車両間において、大きな不公平が生じる可能性があった。
【0006】
このため、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、車両間における大きな不公平の発生を防止する技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる走行ルート決定システム及び走行ルート決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段と;前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定手段と;前記判定手段による判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段と;を備えることを特徴とする走行ルート決定システムである。
【0009】
請求項8に記載の発明は、着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出工程と;前記導出工程における導出結果と、過去の前記導出工程における導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定工程と;前記判定工程における判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定工程と;を備えることを特徴とする走行ルート決定方法である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の走行ルート決定方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする走行ルート決定プログラムである。
【0011】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の走行ルート決定プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走行ルート決定システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る走行ルート決定システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る走行ルート決定システムの構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図4】図3のナビゲーション装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図3のサーバ装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】第1実施例における走行ルート決定の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】図6の判定用情報の導出処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】迂回ルートの例、及び、走行可能性情報の例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例に係る走行ルート決定システムの構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図10】図9のナビゲーション装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】図9のサーバ装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図12】第2実施例における走行ルート決定の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図13】特定移動体のそれぞれの累積損失時間の例を示す図である。
【図14】ルート決定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態の走行ルート決定システム700Aについて、図1を参照して説明する。
【0015】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る走行ルート決定システム700Aの概略的な構成が示されている。この図1に示されるように、走行ルート決定システム700Aは、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710A1,710A2,…と、サーバ装置720Aとを備えている。ここで、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれは、搭載された移動体とともに移動するようになっている。また、サーバ装置720Aは、固定的な位置に配置されている。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0016】
そして、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれと、サーバ装置720Aとは、ネットワークシステムNWSを介して、データ通信を行うことができるようになっている。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれと、サーバ装置720Aとの間の詳細な情報のやり取りについては後述する。
【0017】
《移動端末装置710A1,710A2,…の構成》
上記の移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれの構成について、移動端末装置710A1を例示して説明する。移動端末装置710A1は、測位手段711と、判定手段712と、決定手段713と、算出手段714と、報告手段715とを備えている。
【0018】
上記の測位手段711は、移動端末装置710A1が搭載された移動体MV1の現在位置の測位を定期的に行う。かかる測位の手法としては、GPS(Global Positioning System)を利用する手法、若しくは、移動体MV1に搭載された速度センサ等を利用する手法、又は、これらの手法を併用する手法等がある。測位手段711による測位結果は、報告手段715へ送られる。
【0019】
上記の判定手段712は、サーバ装置720Aから送信された判定用情報、及び、算出手段714から送られた移動体MV1にとっての累積損失時間を受ける。そして、判定手段712は、当該判定用情報及び当該累積損失時間に基づいて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。判定手段712による判定処理については、後述する。
【0020】
なお、サーバ装置720Aから送信され判定用情報は、現時点における移動体MV1の予定走行ルート及びその迂回ルートのそれぞれについて、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数の情報である走行可能性情報、並びに、移動体MV1の走行予定時間帯と同様の時間帯に移動体MV1の予定走行ルートを走行予定の移動体MV1以外の移動体にとっての累積損失時間を含んでいる。そして、走行可能性情報は、当該迂回ルートのそれぞれを走行したときに予測される目的地までの走行時間から、予定走行ルートを走行したときに予測される目的地までの走行時間を差し引いた損失時間を更に含んでいる。
【0021】
以下、移動体MV1、及び、移動体MV1の走行予定時間帯と同様の時間帯に移動体MV1の予定走行ルートを走行予定の移動体MV1以外の移動体を総称して、「特定移動体」と呼ぶものとする。また、移動体MV1にとっての累積損失時間を「自累積損失時間」と呼ぶものとする。また、特定移動体のうちにおける移動体MV1以外の移動体を「他特定移動体」と呼ぶとともに、他特定移動体にとっての累積損失時間を「他累積損失時間」と呼ぶものとする。
【0022】
上記の決定手段713は、判定手段712から送られた判定結果を受ける。そして、決定手段713は、当該判定結果に基づいて、その後の予定走行ルートを決定する。そして、決定手段713は、それまでの予定走行ルートとは異なる走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した場合には、決定された予定走行ルートを報告手段715へ送る。また、決定手段713は、決定された予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段714へ送る。
【0023】
なお、決定手段713による予定走行ルートの決定処理については、後述する。また、以下の説明においては、決定手段713により決定された予定走行ルートを、「決定予定走行ルート」と呼ぶ。
【0024】
上記の算出手段714は、決定手段713から送られた損失時間を受ける。そして、算出手段714は、当該損失時間と、内部に保持している自累積損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0025】
上記の報告手段715は、測位手段711から送られた測位結果、決定手段713から送られた新たな予定走行ルート、及び、算出手段714から送られた新たな自累積損失時間を受ける。そして、報告手段715は、これらの受信結果を、サーバ装置720Aへ送信する。また、報告手段715は、不図示のルート設定手段により、上述した決定手段713によるルートの決定とは別途に設定された移動体MV1の予定走行ルート(以下、「設定予定走行ルート」という)も、サーバ装置720Aへ送信する。
【0026】
なお、本第1実施形態では、移動体MV1が目的地に到達すると、その旨が算出手段714に報告されるようになっている。この報告を受けると、算出手段714は、自累積損失時間を「0」にリセットする。
【0027】
《サーバ装置720Aの構成》
上記のサーバ装置720Aは、導出手段721と、送信手段722とを備えている。
【0028】
上記の導出手段721は、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれから送られた現在位置の測位結果、決定予定走行ルート、設定予定走行ルート及び累積損失時間を受信する。また、導出手段721は、VICS等の交通情報システムから、ネットワークシステムNWSを介して、交通情報を受信する。そして、導出手段721は、これらの決定予定走行ルート又は設定予定走行ルートにおいて今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、判定用情報を導出する。導出された判定用情報は、送信手段722へ送られる。なお、導出手段721による判定用情報の導出処理については、後述する。
【0029】
上記の送信手段722は、導出手段721による導出結果を受ける。そして、送信手段722は、導出手段721による導出結果と、特定移動体のそれぞれの累積損失時間を、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置へ送信する。なお、送信手段722は、累積損失時間の送信に際しては、送信先の特定移動体以外の特定移動体の累積損失時間を送信するようになっている。
【0030】
<動作>
次に、上記のように構成された走行ルート決定システム700Aの動作について、説明する。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける測位手段711によって測定された移動体MV1,MV2,…の現在位置は、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける報告手段715により、定期的にサーバ装置720Aへ送信されているものとする。
【0031】
移動体MV1,MV2,…のそれぞれにおいて今後に走行予定の予定走行ルートが新たに定まると、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける報告手段715が、当該新たな予定走行ルートをサーバ装置720Aへ送信する。こうして送信された新たな予定走行ルートは、導出手段721により受信される。
【0032】
ここで、新たに定まった予定走行ルートとしては、利用者の目的地の指定に伴って探索されて設定された設定予定走行ルート、それまでの予定走行ルートを外れたことに伴って探索されて設定された設定予定走行ルート、及び、後述するルート決定処理により、それまでの予定走行ルートから変更された決定予定走行ルートがある。
【0033】
以上の移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれからの情報データを受けるたびに、導出手段721は、その時点における移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現在位置及び予定走行ルートを認識する。
【0034】
また、導出手段721は、ネットワークシステムNWSを介して、各所の交通情報を受信する。そして、導出手段721は、現時点における各所の交通状況を認識する。
【0035】
なお、移動体MV1,MV2,…に搭載される移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける算出手段714が、後述のようにして自累積損失時間を新たに算出するたびに、報告手段715が、当該新たな自累積損失時間をサーバ装置720Aへ送信する。こうして送信された自累積損失時間は、サーバ装置720Aにおける不図示の記憶手段内に保持される。
【0036】
上述した交通状況の認識結果に基づいて、導出手段721は、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。引き続き、導出手段721が、移動端末装置710A1,710A2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0037】
なお、抽出された特定移動体には、移動体MV1が含まれているものとして、以下の説明を行う。
【0038】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、走行可能性情報として、送信手段722へ送られる。
【0039】
送信手段722は、導出手段721から送られた走行可能性情報を受けると、当該走行可能性情報と、送信先の移動体にとっての他累積損失時間とを、特定移動体に搭載された移動端末装置へ送信する。かかる送信処理に際して、送信手段722は、走行可能性情報を受けると、送信先ごとに、記憶手段内における送信先の移動体以外の移動体それぞれの現時点における自累積損失時間である送信先の移動体にとっての他累積損失時間を読み取る。そして、送信手段722は、当該他損失累積時間と当該走行可能性情報とを送信先の移動端末装置へ送信する。
【0040】
こうしてサーバ装置720Aから送信された走行可能性情報及び他累積損失時間を受信すると、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置において、予定走行ルートの決定処理が行われる。以下、特定移動体の1つである移動体MV1に搭載された移動端末装置710A1における予定走行ルートの決定処理を例示して説明する。
【0041】
移動端末装置710A1では、判定手段712が、サーバ装置720Aから送信された走行可能性情報及び他累積損失時間を受信する。これらの情報データを受信すると、判定手段712は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、算出手段714から報告されている最新の自累積損失時間に基づいて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。かかる判定に際して、判定手段712は、まず、自累積損失時間及び他累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中において、時間が長い方から数えた場合の自累積損失時間の順番(例えば、5番目)の特定を行う。
【0042】
そして、判定手段712は、特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段713へ送られる。なお、当該判定の結果が肯定的であった場合には、判定手段712は、その旨のみを判定結果として決定手段713へ送る。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、判定手段712は、その旨とともに、上述した特定された順番、走行可能性情報及び自累積損失時間を、判定結果として決定手段713へ送る。
【0043】
判定手段712から送られた判定結果を受けた決定手段713は、当該判定結果に基づいて、その後の予定走行ルートを決定する。その後の予定走行ルートの決定に際して、決定手段713は、当該判定結果が肯定的であった場合には、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0044】
一方、当該判定結果が否定的であった場合には、決定手段713は、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段713は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。こうして決定された予定走行ルートが、上述した「決定予定走行ルート」である。
【0045】
こうして、決定予定走行ルートが決定されると、決定手段713は、当該決定予定走行ルートを報告手段715へ送る。また、決定手段713は、決定予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段714へ送る。
【0046】
決定手段713から送られた損失時間を受けると、算出手段714は、その時点で保持している自累積損失時間と当該損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0047】
なお、移動体MV1が目的地に到達し、その旨が算出手段714に報告されると、算出手段714は、自累積損失時間を「0」にリセットする。そして、算出手段714は、リセット結果である「0」を、新たな自累積損失時間として内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0048】
決定手段713から送られた決定予定走行ルート、及び、算出手段714から送られた自累積損失時間を受けた報告手段715は、当該決定予定走行ルート及び当該自累積損失時間をサーバ装置720Aへ送信する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0049】
なお、移動体MV1以外の特定移動体に搭載された移動端末装置においても、サーバ装置720Aから送られた走行可能性情報及び他累積損失時間を受信すると、上述の移動端末装置710A1の場合と同様の予定走行ルートの決定処理が実行される。
【0050】
以上説明したように、本第1実施形態では、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710A1,710A2,…と通信可能なサーバ装置720Aにおける導出手段721が、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、移動端末装置710A1,710A2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0051】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、送信先の自累積損失時間を除いた他自累積損失時間とともに、判定用情報として、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置の判定手段712へ送信される。
【0052】
判定用情報を受信した判定手段712は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、算出手段714から報告されている最新の自累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中において、時間が長い方から数えた場合の自累積損失時間の順番を特定する。そして、判定手段712は、特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0053】
判定手段712による判定の結果が肯定的であった場合には、決定手段713が、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、決定手段713が、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段713は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。
【0054】
そして、新たな決定予定走行ルートが決定されると、算出手段714は、その時点における自累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0055】
したがって、本第1実施形態によれば、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における損失時間の移動体間における公平化を図ることができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の走行ルート決定システム700Bについて、図2を参照して説明する。
【0057】
<構成>
図2には、第2実施形態に係る走行ルート決定システム700Bの概略的な構成が示されている。この図2に示されるように、走行ルート決定システム700Bは、上述した第1実施形態の走行ルート決定システム700Aと比べて、移動端末装置710A1,710A2,…に代えて移動端末装置710B1,710B2,…を備える点、及び、サーバ装置720Aに代えてサーバ装置720Bを備える点が異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。なお、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0058】
《移動端末装置710B1,710B2,…の構成》
上記の移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれの構成について、移動端末装置710B1を例示して説明する。移動端末装置710B1は、測位手段711と、報告手段716とを備えている。すなわち、移動端末装置710B1は、上述した移動端末装置710A1と比べて、判定手段712、決定手段713及び算出手段714を備えていない点、並びに、報告手段715に代えて報告手段716を備えている点が異なっている。
【0059】
上記の報告手段716は、測位手段711から送られた測位結果を受ける。そして、報告手段716は、受信した測位結果を、サーバ装置720Bへ送信する。また、報告手段716は、上述した報告手段715と同様に、不図示のルート設定手段により設定された移動体MV1の予定走行ルート(「設定予定走行ルート」)も、サーバ装置720Bへ送信する。
【0060】
《サーバ装置720B構成》
上記のサーバ装置720Bは、導出手段721と、判定手段723と、決定手段724と、算出手段725とを備えている。すなわち、サーバ装置720Bは、上述したサーバ装置720Aと比べて、判定手段723、決定手段724及び算出手段725を備えている点、並びに、送信手段722を備えていない点が異なっている。また、サーバ装置720Bは、移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現時点における予定走行ルートと、渋滞発生の回避のためにサーバ装置720Bから指定された迂回ルートへのルート変更により生じた移動体MV1,MV2,…のそれぞれにとっての現時点における累積損失時間とを記憶する不図示の記憶手段を更に備えている。
【0061】
上記の判定手段723は、導出手段721により第1実施形態の場合と同様にして導出された走行可能性情報を受ける。当該走行可能性情報を受けた判定手段723は、特定移動体のそれぞれにとっての累積損失時間を記憶手段から読み取る。そして、判定手段723は、当該走行可能性情報と当該読み取られた累積損失時間に基づいて、上述した判定手段712の場合と同様にして、特定移動体のそれぞれについて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段724へ送られる。なお、判定手段723による判定処理については、後述する。
【0062】
ここで、判定手段723は、肯定的な判定がなされた移動体については、その旨のみを、判定結果として決定手段724へ送る。また、判定手段723は、否定的な判定がなされた移動体については、その旨に加えて、上述した特定された順番及び走行可能性情報を、判定結果として決定手段724へ送る。
【0063】
上記の決定手段724は、判定手段723から送られた判定結果を受ける。そして、決定手段724は、移動体ごとの判定結果に基づいて、移動体ごとに、その後の予定走行ルートを決定する。そして、決定手段724は、それまでの予定走行ルートとは異なる走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した移動体については、記憶手段内における当該移動体の予定走行ルートを新たに決定された予定走行ルートへ更新するとともに、当該移動体へ当該新たに決定された予定走行ルートを送信する。この結果、当該移動体における予定走行ルートが更新されることになる。また、決定手段724は、新たな予定走行ルートが決定された移動体については、当該新たな予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段725へ送る。
【0064】
一方、決定手段724は、それまでの予定走行ルートと同一の走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した移動体については、当該移動体及び算出手段725への報告を行わない。
【0065】
なお、決定手段724による予定走行ルートの決定処理については、後述する。
【0066】
上記の算出手段725は、決定手段724から送られた損失時間を受ける。当該損失時間を受けた算出手段725は、当該損失時間に対応する移動体の累積損失時間を記憶手段から読み取る。引き続き、算出手段725は、当該損失時間と当該読み出された累積損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、新たな累積損失時間が算出された移動体について、記憶手段内における累積損失時間を新たな累積損失時間へ更新する。
【0067】
なお、本第2実施形態では、予定走行ルートに沿って走行している移動体MV1,MV2,…の現在位置の送信結果に基づいて、移動体MV1,MV2,…のいずれかが目的地に到達したことが検出されると、その旨が算出手段725に報告されるようになっている。この報告を受けると、算出手段725は、記憶手段内の目的地に到着した移動体に対応する累積損失時間を「0」にリセットする。
【0068】
<動作>
次に、上記のように構成された走行ルート決定システム700Bの動作について、説明する。
【0069】
なお、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれにおける測位手段711によって測定された移動体MV1,MV2,…の現在位置は、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれにおける報告手段716により、定期的にサーバ装置720Bへ送信されているものとする。また、予定走行ルートが設定されている移動体のそれぞれの現時点における予定走行ルート及び累積損失時間は、サーバ装置720B内の記憶手段に記憶されているものとする。
【0070】
導出手段721は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、ネットワークシステムNWSを介して、各所の交通情報を受信し、現時点における各所の交通状況を認識する。この交通状況の認識結果に基づいて、導出手段721は、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。引き続き、導出手段721は、移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現在位置、及び、記憶手段に記憶されている予定走行ルートに基づいて、移動端末装置710B1,710B2,…をそれぞれ搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。この後、導出手段721は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、走行可能性情報を導出し、判定手段723へ送る。
【0071】
導出手段721から送られた走行可能性情報を受けると、判定手段723は、特定移動体のそれぞれにとっての累積損失時間を記憶手段から読み取る。引き続き、判定手段723は、当該読み取られた累積損失時間に基づいて、累積損失時間が長い方から数えた場合に、特定移動体のそれぞれの特定移動体の中における順番を特定する。
【0072】
次に、判定手段723は、特定移動体のそれぞれについて特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、特定移動体のそれぞれが、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段724へ送られる。なお、当該判定の結果が肯定的であった移動体については、判定手段723は、その旨のみを判定結果として決定手段724へ送る。一方、当該判定の結果が否定的であった移動体については、判定手段723は、その旨とともに、上述した特定された順番及び走行可能性情報を判定結果として送る。
【0073】
判定手段723から送られた判定結果を受けた決定手段724は、当該判定結果に基づいて、特定移動体のそれぞれの今後の予定走行ルートを決定する。かかる決定に際して、
決定手段724は、判定手段723による判定結果が肯定的であった移動体については、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0074】
一方、判定手段723による判定結果が否定的な移動体については、決定手段724は、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段724は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0075】
こうして、特定移動体のそれぞれについての今後の予定走行ルートが決定されると、決定手段724は、ルート変更をすべき移動体に対して、新たに決定された予定走行ルートを送る。また、決定手段724は、新たな予定走行ルートが決定された移動体については、当該新たな予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段725へ送る。
【0076】
決定手段724から送られた移動体の損失時間を受けると、算出手段725は、記憶手段から当該移動体の累積損失時間を読み取る。引き続き、算出手段725は、当該損失時間と当該読み取られた累積損失時間とを加算して、当該移動体についての新たな累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、記憶手段内の当該移動体に関する累積損失時間を、当該新たな累積損失時間に更新する。
【0077】
なお、移動体MV1,MV2,…の現在位置の送信結果から、移動体MV1,MV2,…のいずれかが目的地に到達したと認定された旨が算出手段725に報告されると、算出手段725は、記憶手段内における目的地に到達した移動体についての自累積損失時間を「0」にリセットする。そして、予測された渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0078】
以上説明したように、本第2実施形態では、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710B1,710B2,…と通信可能なサーバ装置720Bにおける導出手段721が、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、移動端末装置710B1,710B2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0079】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、走行可能性情報として、判定手段723へ送られる。
【0080】
走行可能性情報を受けた判定手段723は、特定移動体のそれぞれの現時点における累積損失時間に基づいて、累積損失時間が長い方から数えた場合の特定移動体の中における順番を特定する。そして、判定手段723は、特定移動体のそれぞれについて特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体のそれぞれが、現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0081】
判定手段723による判定の結果が肯定的であった移動体については、決定手段724が、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった移動体については、決定手段724は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、決定手段724は、それまでの予定走行ルートと異なる走行ルートが今後の予定走行ルートに決定された移動体に搭載された移動端末装置へ、当該移動体について新たに決定された予定走行ルートを送信する。
【0082】
また、それまでとは異なる予定走行ルートが新たに決定された移動体については、算出手段725が、その時点における累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、記憶手段内の累積損失時間を、こうして算出された新たな累積損失時間に更新する。
【0083】
したがって、本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の場合と同様に、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における損失時間の移動体間における公平化を図ることができる。
【0084】
なお、上記の第1及び第2実施形態では、移動体が目的地に到達すると、当該移動体の累積損失時間をリセットするようにしたが、渋滞発生の回避ためのルート変更による損失時間の発生から一定期間が経過すると、当該損失時間を累積損失時間から差し引くようにしてもよい。
【0085】
また、上記の第1及び第2実施形態では、渋滞発生が予測された時点で、導出手段が迂回ルート、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間、並びに、特定移動体のうちで現時点の予定走行ルート及び迂回ルートのそれぞれを走行可能な台数を導出し、判定手段及び決定手段により、その時点で、特定移動体のそれぞれの今後の予定走行ルートを決定できるようにした。これに対し、迂回ルートを探索可能であるとともに、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間を導出可能な探索手段を、移動端末装置のそれぞれ又はサーバ装置が備えるようにし、導出手段は、特定移動体のうちで現時点の予定走行ルートを走行可能な台数のみを導出するとともに、判定手段が、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかのみを判定するようにすることができる。
【0086】
この場合には、判定手段による判定の結果が否定的であった移動体については、探索手段が迂回ルートを探索し、探索された迂回ルートを新たな予定走行ルートとして暫定的に決定する。こうして暫定的に決定された予定走行ルートを導出手段へ報告するようにして、判定手段による判定の結果が肯定的となるまで、導出手段による導出、判定手段による判定、探索手段による探索及び導出を繰り返すようにすればよい。
【0087】
また、上記の第1及び第2実施形態の移動端末装置及びサーバ装置のそれぞれを、演算手段としてのコンピュータを備えたコンピュータ装置として構成し、上述した各手段の機能を、プログラムを実行することにより実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM,DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにすることができる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明の情報収集装置の実施例を、図3〜図14を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0089】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例を、図3〜図8を主に参照して説明する。
【0090】
図3には、第1実施例に係る走行ルート決定システム100Aの概略的な構成が示されている。なお、走行ルート決定システム100Aは、上述した第1実施形態の走行ルート決定システム700A(図1参照)の一態様となっている。
【0091】
<構成>
図3に示されるように、走行ルート決定システム100Aは、移動端末装置710A1,710A2,…としてのナビゲーション装置200A1,200A2,…と、サーバ装置720Aとしてのサーバ装置400Aとを備えている。
【0092】
ここで、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、移動体MV1,MV2,…としての車両CR1,CR2,…に搭載されており、搭載された車両とともに走行するようになっている。また、サーバ装置400Aは、例えば、所定の建物内の固定的な位置に配置されている。なお、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0093】
上記のナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれには、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載された車速センサ2901,2902,…が接続されている。また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、ネットワークシステム500を介して、サーバ装置400Aとデータ通信を行うようになっている。ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれが、車速センサ2901,2902,…及びサーバ装置400Aとの間で授受するデータの内容については、後述する。
【0094】
上記のサーバ装置400Aは、ネットワークシステム500を介して、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれと通信可能となっている。サーバ装置400Aが、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれとの間で授受するデータの内容については、後述する。
【0095】
《ナビゲーション装置200A1,200A2,…の構成》
上記のナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれの構成について、ナビゲーション装置200A1を例示して説明する。
【0096】
ナビゲーション装置200A1は、車両CR1の現在位置の検出機能、当該現在位置の報告機能、走行ルートの探索機能、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能、予定走行ルートの報告機能、走行ルート情報の提示機能を有している。これらの機能を有するナビゲーション装置200A1は、図4に示されるように、測位手段711の一部、判定手段712、決定手段713、算出手段714及び報告手段715としての制御ユニット210Aと、記憶ユニット220Aと、無線通信ユニット230とを備えている。また、ナビゲーション装置200A1は、音出力ユニット240と、表示ユニット250と、操作入力ユニット260とを備えている。さらに、ナビゲーション装置200A1は、測位手段711の一部としての走行情報取得ユニット270と、測位手段711の一部としてのGPS(Global Positioning System)受信ユニット280とを備えている。
【0097】
制御ユニット210Aは、ナビゲーション装置200A1の全体を統括制御する。この制御ユニット210Aについては、後述する。
【0098】
上記の記憶ユニット220Aは、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶ユニット220Aは、ナビゲーション用情報(NVI)、自累積損失時間ALT1等の様々なデータを記憶する。この記憶ユニット220Aには、制御ユニット210Aがアクセスできるようになっている。
【0099】
上記のナビゲーション用情報(NVI)には、地図データ、POI(Point Of Interests)データ、背景データ等のナビゲーションのために利用される様々なデータが記憶されている。これらのデータは、制御ユニット210Aによって読み取られるようになっている。
【0100】
上記の無線通信ユニット230は、不図示のアンテナ等を備えて構成されている。この無線通信ユニット230は、当該アンテナにより受信したネットワークシステム500において用意された基地局からの受信信号を処理して、制御ユニット210Aで処理可能なデジタルデータ信号に変換する。また、無線通信ユニット230は、制御ユニット210Aからの送信信号を処理し、当該アンテナを介して、無線信号の態様でネットワークシステム500(より詳しくは、基地局)へ送る。
【0101】
この無線通信ユニット230を利用することにより、ナビゲーション装置200A1(より詳しくは、制御ユニット210A)が、サーバ装置400Aとの間で通信を行うことができるようになっている。
【0102】
また、この無線通信ユニット230を利用し、渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を提供する不図示の道路交通情報サーバから、当該交通情報を受信することができる。こうして受信された交通情報は、制御ユニット210Aへ送られる。
【0103】
上記の音出力ユニット240は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット210Aから受信した音声データに対応する音声を出力する。この音出力ユニット240は、制御ユニット210Aによる制御のもとで、車両CR1の進行方向、走行状況、交通状況、予定走行ルートの変更等の案内音声を出力する。
【0104】
上記の表示ユニット250は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット210Aから受信した表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット250は、制御ユニット210Aによる制御のもとで、地図情報、ルート情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。
【0105】
上記の操作入力ユニット260は、ナビゲーション装置200A1の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット250の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0106】
この操作入力ユニット260を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置200A1の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、走行情報の収集の開始位置及び終了位置の指定等の設定を、利用者が操作入力ユニット260を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データとして、操作入力ユニット260から制御ユニット210Aへ向けて送られる。
【0107】
上記の走行情報取得ユニット270は、加速度センサ、角速度センサ等を備えて構成されており、車両CR1に作用している加速度、角速度を検出する。また、走行情報取得ユニット270は、ナビゲーション装置200A1と、車両CR1に搭載されている車速センサ2901との間におけるデータ授受に関して利用され、車速センサ2901による検出結果である速度データを取得する。こうして得られた各データは、走行データとして制御ユニット210Aへ送られる。
【0108】
上記のGPS受信ユニット280は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CR1の現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット280は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置および現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット210Aへ送られる。
【0109】
次に、上記の制御ユニット210Aについて説明する。この制御ユニット210Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット210Aが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。
【0110】
制御ユニット210Aは、無線通信ユニット230を介して、定期的に、道路交通情報サーバからの渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を受信する。
【0111】
また、制御ユニット210Aは、走行情報取得ユニット270からの走行データ、及び、GPS受信ユニット280からのGPSデータに基づいて、記憶ユニット220A中のナビゲーション用情報(NVI)を適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット250の表示デバイスに表示するための地図表示、(b)車両CR1が地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出し、表示ユニット250の表示デバイスに表示して利用者に提示するマップマッチング、(c)道路交通情報サーバから受信した交通情報に関する表示ユニット250の表示デバイスへの表示、(d)進行すべき方向等を的確にアドバイスするために行われる、表示ユニット250の表示デバイスへの案内誘導の表示のための制御、及び、音出力ユニット240のスピーカから案内誘導を行う音声を出力するための制御等の処理が含まれる。
【0112】
また、制御ユニット210Aは、上述したマップマッチング結果、すなわち、車両CR1の現在位置をサーバ装置400Aへ報告するための制御を行う。また、制御ユニット210Aは、予定走行ルートをサーバ装置400Aへ報告するための制御を行う。さらに、制御ユニット210Aは、累積損失時間ALT1の算出処理、及び、算出された累積損失時間ALT1をサーバ装置400Aへ送信するための制御を行う。累積損失時間ALT1の算出処理については、後述する。
【0113】
また、制御ユニット210Aは、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aから後述する判定用情報を取得し、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行う。この予定走行ルートの決定処理については、後述する。
【0114】
《サーバ装置400Aの構成》
上記のサーバ装置400Aは、車両CR1,CR2,…のそれぞれから送信された予定走行ルート、現在位置及び累積損失時間の受信機能及び記憶機能、並びに、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれにおける渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定のための走行可能性情報の導出機能及び送信機能を有している。これらの機能を有するサーバ装置400Aは、図5に示されるように、記憶装置410と、送信手段722の一部としての送受信部420と、送信手段722の一部及び導出手段721としての処理制御部430Aとを備えている。
【0115】
上記の記憶装置410は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶装置410は、ルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)、累積損失情報(ALI)等の様々なデータを記憶する。この記憶装置410には、処理制御部430Aがアクセスできるようになっている。
【0116】
上記のルート抽出用情報(RSI)は、地図データ、POIデータ等の迂回ルート抽出のために利用される様々なデータである。また、上記の予定走行ルート情報(RTI)は、車両CR1,CR2,…のそれぞれの現時点における予定走行ルートの情報である。また、上記の累積損失情報(ALI)は、車両CR1,CR2,…のそれぞれの現時点における累積損失時間の情報である。
【0117】
上記の送受信部420は、ネットワークシステム500との通信制御を行う。この送受信部420は、ネットワークシステム500から受信したデータを処理制御部430Aへ送る。また、送受信部420は、処理制御部430Aから受信したデータをネットワークシステム500へ送信する。送受信部420を利用することにより、サーバ装置400A(より詳しくは、処理制御部430A)は、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれとの間で通信を行うことができるようになっている。
【0118】
また、この送受信部420を利用し、渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を提供する不図示の道路交通情報サーバから、当該交通情報を受信することができる。こうして受信された交通情報は、処理制御部430Aへ送られる。
【0119】
上記の処理制御部430Aは、サーバ装置400Aの全体を統括制御する。この処理制御部430Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御部430Aが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。
【0120】
この処理制御部430Aは、送受信部420を介して、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれから送信された現在位置、予定走行ルート及び累積損失時間を受信する。そして、処理制御部430Aは、これらの受信結果に基づいて、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)、累積損失情報(ALI)を更新する。
【0121】
また、処理制御部430Aは、送受信部420を介して、道路交通情報サーバから、交通情報を受信する。そして、処理制御部430Aは、当該交通情報、並びに、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)及び予定走行ルート情報(RTI)基づいて、走行可能性情報を導出する。
【0122】
また、処理制御部430Aは、走行可能性情報を導出すると、後述する特定車両のうちにおける送信先以外の車両の累積損失時間を記憶装置410から読み取って、送信先の特定車両についての他累積損失時間を導出する。そして、処理制御部430Aは、走行可能性情報及び他累積損失時間を判定用情報として、送受信部420を介して、特定車両のそれぞれへ送信する。
【0123】
なお、処理制御部430Aによる判定用情報の導出処理については、後述する。
【0124】
<動作>
以上のようにして構成された走行ルート決定システム100Aの動作について、渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に主に着目して説明する。なお、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、搭載された車両の現在位置の計測結果を、定期的に、サーバ装置400Aに送信しているものとする。
【0125】
また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、搭載された車両CRの予定走行ルートが定まっている場合には、当該予定走行ルートを、サーバ装置400Aに報告しているものとする。そして、サーバ装置400Aでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの予定走行ルートが、記憶装置410内に予定走行ルート情報(RTI)として記憶されているものとする。
【0126】
また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、サーバ装置400Aからの渋滞発生の回避の示唆に従った搭載車両の予定走行ルートの変更に伴う累積損失時間を、サーバ装置400Aに送信しているものとする。そして、サーバ装置400Aでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの累積損失時間ALT1,ALT2,…が、記憶装置410内に累積時間情報(ALI)として記憶されているものとする。
【0127】
渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に際しては、図6に示されるように、ステップS11において、サーバ装置400Aの処理制御部430Aが、判定用情報の導出処理を実行する。かかる導出処理に際して、処理制御部430Aは、ネットワークシステム500を介して、各所の交通情報を受信する。引き続き、処理制御部430Aは、現時点における各所の交通状況を把握した上で、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)を考慮しつつ、渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。次に、処理制御部430Aは、予測された区間及び時間帯、並びに、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)及び累積損失情報(ALI)に基づいて、走行可能性情報及び他累積損失時間からなる判定用情報を導出する。そして、処理制御部430Aは、導出された判定用情報を、予測された渋滞に関連する車両に搭載されたナビゲーション装置へ送信する。処理制御部430Aによる導出処理の詳細については、後述する。
【0128】
なお、後述するように、走行可能性情報には、ルート設定が行われているCR1,CR2,…の中おける渋滞発生が予測された区間及び時間帯で走行予定の車両である特定車両の内で、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両の数が含まれている。また、走行可能性情報には、当該区間を迂回する迂回ルート、迂回ルートへの迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数が含まれている。また、他累積損失時間は、送信先の車両以外の特定車両ごとの累積損失時間が含まれている。
【0129】
以下、上述した特定車両には、車両CR1が含まれているものとして説明する。
【0130】
ナビゲーション装置200A1では、こうしてサーバ装置400Aから送信された判定用情報(すなわち、走行可能性情報及び他累積損失時間)を、制御ユニット210Aが、無線通信ユニット230を介して受信する。そして、ステップS12において、車両CR1が現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かの判定を、制御ユニット210Aが行う。
【0131】
かかる判定に際して、制御ユニット210Aは、まず、記憶ユニット220Aから累積損失時間ALT1を読み取る。引き続き、制御ユニット210Aは、累積損失時間ALT1及び他累積損失時間に基づいて、累積損失時間ALT1及び他累積損失時間の中で、累積損失時間ALT1が何番目(例えば、5番目)に長いか、すなわち、車両CR1の振分優先順位の特定を行う。そして、制御ユニット210Aは、走行可能性情報を参照して、特定された振分優先順位が、現時点の予定走行ルートを走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、車両CR1が現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0132】
次に、ステップS13において、制御ユニット210Aが、上述の判定結果に基づいて、車両CR1の今後の予定走行ルートの決定処理を行う。かかる決定処理に際して、制御ユニット210Aは、当該判定結果が肯定的であった場合には、現時点における予定走行ルートを、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。
【0133】
一方、当該判定結果が否定的であった場合には、制御ユニット210Aは、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、上述した走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、制御ユニット210Aは、上述した振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間における累積損失時間の公平化の観点から、当該振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。
【0134】
こうして新たな予定走行ルートが決定されると、制御ユニット210Aは、新たな予定走行ルートを、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。そして、送受信部420を介して新たな予定走行ルートを受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)における車両CR1の予定走行ルートを、当該受信した予定走行ルートに更新する。
【0135】
また、新たな予定走行ルートが決定されると、ステップS14において、制御ユニット210Aが、車両CR1にとっての新たな累積損失時間の算出処理を行う。かかる算出処理に際して、制御ユニット210Aは、新たに決定された予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間と、現時点における累積損失時間ALT1とを加算し、車両CR1にとっての新たな累積損失時間を算出する。そして、制御ユニット210Aは、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を新たに算出された新たな累積損失時間に置き換えることにより、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を更新する。
【0136】
また、制御ユニット210Aは、当該新たに算出された新たな累積損失時間を、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。そして、送受信部420を介して新たな予定走行ルートを受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における車両CR1の累積損失時間を、当該受信した累積損失時間に置き換えることにより、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)を更新する。
【0137】
なお、車両CR1が目的地に到達すると、制御ユニット210Aは、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を「0」にリセットする。そして、制御ユニット210Aは、新たな損失時間として「0」を、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。この場合には、送受信部420を介して新たな累積損失時間「0」を受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における車両CR1の累積損失時間を、「0」にリセットする。
【0138】
なお、車両CR1以外の特定車両に搭載されたナビゲーション装置においても、サーバ装置400Aから送られた判定用情報を受信すると、上述のナビゲーション装置200A1の場合と同様の処理が実行される。
【0139】
次に、上述したステップS11における導出処理について説明する。この導出処理では、図7に示されるように、まず、ステップS21において、処理制御部430Aが、新たに判定用情報の導出が必要となったか否かを判定する。かかる判定に際して、処理制御部430Aは、まず、ネットワークシステム500を介して取得した各所の交通情報に基づいて把握した現時点における各所の交通状況を把握した上で、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)を考慮しつつ、渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。そして、渋滞発生が予測されると、処理制御部430Aは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)に基づいて、予測された区間及び時間帯を走行予定の車両があるか否かを判定することにより、新たに判定用情報の導出が必要となったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0140】
一方、ステップS21における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、処理制御部430Aが、予定走行ルート情報(RTI)に基づいて、当該予測された区間及び時間帯を走行予定の車両を特定車両として抽出する。
【0141】
次に、ステップS23において、処理制御部430Aが、走行可能性情報を導出する。かかる走行可能性情報の導出に際して、処理制御部430Aは、まず、特定車両の内で、渋滞発生を回避しつつ、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両数を求める。次に、処理制御部430Aは、ルート抽出用情報(RSI)に基づいて、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、迂回ルートごとに、予定走行ルートを走行した場合からの損失時間を求める。そして、処理制御部430Aは、迂回ルートごとに、特定車両の内で、渋滞発生を回避しつつ、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両数を求める。こうして、走行可能性情報が導出される。
【0142】
なお、抽出される迂回ルートの数は、渋滞発生を回避しつつ、予定走行ルート又は迂回ルートを走行可能な特定車両の台数の和が、特定車両の台数以上となる最小数を限度として行われるようになっている。
【0143】
次いで、ステップS24において、処理制御部430Aが、他累積損失時間を導出する。かかる他累積損失時間の導出に際しては、処理制御部430Aが、走行可能性情報を含む判定用情報を送信しようとしている車両以外の特定車両の累積損失時間を、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)の中から読み取る。そして、処理制御部430Aは、読み取られた累積損失時間の集合を他累積損失時間とする。
【0144】
次に、ステップS25において、処理制御部430Aが、走行可能性情報及び他累積損失時間とからなる判定用情報を、送受信部420を介して、特定車両のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置へ送信する。この後、ステップS11の導出処理が終了する。
【0145】
なお、上述のステップS23において抽出された迂回ルートの例が、図8(A)に示されている。この図8(A)には、2つの迂回ルート#1,#2が抽出された例が示されている。また、上述のステップS23において導出された走行可能性情報の例が、図8(B)に示されている。
【0146】
以上説明したように、本第1実施例では、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置200A1,200A2,…と通信可能なサーバ装置400Aが、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、車両CR1,CR2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている車両を特定車両として抽出する。
【0147】
次に、サーバ装置400Aは、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定車両の数を導出する。また、サーバ装置400Aは、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数を導出する。かかる導出結果は、送信先の車両にとっての自累積損失時間を除いた他自累積損失時間とともに、判定用情報として、特定車両のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置へ送信される。
【0148】
判定用情報を受信したナビゲーション装置は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、現時点における自累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中における自累積損失時間が何番目であるか、すなわち、振分優先順位を特定する。そして、ナビゲーション装置は、特定された振分優先順位が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0149】
当該判定の結果が肯定的であった場合には、ナビゲーション装置が、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、ナビゲーション装置が、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、ナビゲーション装置は、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間の累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、ナビゲーション装置は、新たに決定された予定走行ルートを、サーバ装置400Aへ送信する。
【0150】
また、新たな決定予定走行ルートが決定されると、ナビゲーション装置は、それまでの自累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、ナビゲーション装置は、こうして算出された新たな累積損失時間を、当該ナビゲーション装置の記憶ユニットに記憶させるとともに、サーバ装置400Aへ送信する。
【0151】
したがって、本第1実施例によれば、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる。
【0152】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例を、図9〜図14を主に参照して説明する。
【0153】
図9には、第2実施例に係る走行ルート決定システム100Bの概略的な構成が示されている。なお、走行ルート決定システム100Bは、上述した第2実施形態の走行ルート決定システム700B(図2参照)の一態様となっている。
【0154】
<構成>
図9に示されるように、走行ルート決定システム100Bは、移動端末装置710B1,710B2,…としてのナビゲーション装置200B1,200B2,…と、サーバ装置720Bとしてのサーバ装置400Bとを備えている。すなわち、走行ルート決定システム100Bは、上述した第1実施例の走行ルート決定システム100Aと比べて、ナビゲーション装置200A1,200A2,…に代えてナビゲーション装置200B1,200B2,…を備えるとともに、サーバ装置400Aに代えてサーバ装置400Bを備えている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明を行う。なお、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0155】
《ナビゲーション装置200B1,200B2,…の構成》
上記のナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれの構成について、ナビゲーション装置200B1を例示して説明する。
【0156】
ナビゲーション装置200B1は、上述したナビゲーション装置200A1と比べて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能を有していない点が異なっている。ナビゲーション装置200B1は、図10に示されるように、ナビゲーション装置200A1と比べて、制御ユニット210Aに代えて、測位手段の一部及び報告手段としての制御ユニット210Bを備える点、及び、記憶ユニット220Aに代えて記憶ユニット220Bを備える点が異なっている。
【0157】
上記の制御ユニット210Bは、ナビゲーション装置200B1の全体を統括制御する。この制御ユニット210Bは、上述した制御ユニット210Aと同様に、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、様々なプログラムを実行するようになっている。なお、制御ユニット210Bは、制御ユニット210Aと比べて、累積損失時間ALT1の算出処理、算出された累積損失時間ALT1をサーバ装置400Bへ報告するための制御処理、及び、判定用情報に基づく渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行わない点が異なっている。
【0158】
上記の記憶ユニット220Bは、上述した記憶ユニット220Aと同様に、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。この記憶ユニット220Bは、記憶ユニット220Aと比べて、上述した累積損失時間ALT1を記憶していない点が異なっている。
【0159】
《サーバ装置400Bの構成》
上記のサーバ装置400Bは、上述したサーバ装置400Aと比べて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能を有している。こうした機能を有するサーバ装置400Bは、図11に示されるように、サーバ装置400Aと比べて、処理制御部430Aに代えて処理制御部430Bを備える点が異なっている。
【0160】
上記の処理制御部430Bは、サーバ装置400Bの全体を統括制御する。この処理制御部430Bは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御部430Bが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、第1実施例における処理制御部430Aの機能に加えて、上述した第2実施形態における判定手段723、決定手段724及び算出手段725としての機能も含まれている。
【0161】
すなわち、処理制御部430Bは、処理制御部430Aの場合と同様にして導出された走行可能性情報に基づいて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定に関連する処理を行う。そして、処理制御部430Bは、渋滞発生の回避のための予定走行ルートを決定する。そして、新たに予定走行ルートが決定された車両が搭載するナビゲーション装置へ、送受信部420を介して、当該新たに決定された予定走行ルートを送る。渋滞発生の回避のために行われる予定走行ルートの決定に関連する処理については、後述する。
【0162】
<動作>
以上のようにして構成された走行ルート決定システム100Bの動作について、渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に主に着目して説明する。なお、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、上述のナビゲーション装置200A1,200A2,…の場合と同様に、搭載された車両の現在位置の計測結果を、定期的に、サーバ装置400Bに送信しているものとする。
【0163】
また、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、後述するようにしてサーバ装置400Bによって決定された予定走行ルート以外の予定走行ルートが設定された場合には、当該設定された予定走行ルートを、サーバ装置400Bに送信しているものとする。そして、サーバ装置400Bでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの予定走行ルートが、記憶装置410内に予定走行ルート情報(RTI)として記憶されているものとする。さらに、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)には、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの累積時間情報が記憶されているものとする。
【0164】
渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に際しては、図12に示されるように、ステップS31において、サーバ装置400Bの処理制御部430Bが、走行可能性情報の導出処理を実行する。かかる導出処理は、上述した図7におけるステップS21〜S23と同様の処理を、処理制御部430Bが実行することにより行われる。
【0165】
次に、ステップS32において、処理制御部430Bが、特定車両のそれぞれが、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かの判定を行う。かかる判定に際して、処理制御部430Bは、まず、記憶装置410から特定車両のそれぞれの累積損失時間を読み取る。引き続き、処理制御部430Bは、当該読み取られた累積損失時間に基づいて、特定車両のそれぞれが、特定移動体全体の中で、何番目に累積損失時間が長いか、すなわち、特定車両ごとの振分優先順位の特定を行う。そして、処理制御部430Bは、走行可能性情報を参照して、特定された振分優先順位が、現時点の予定走行ルートを走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、特定車両のそれぞれが、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0166】
次いで、ステップS33において、処理制御部430Bが、上述の判定結果に基づいて、特定車両のそれぞれの今後の予定走行ルートの決定処理を行う。かかる決定処理に際して、処理制御部430Bは、当該判定結果が肯定的であった特定車両については、現時点における予定走行ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0167】
一方、当該判定結果が否定的であった特定車両については、処理制御部430Bは、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、今後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、処理制御部430Bは、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0168】
こうして特定車両のそれぞれについての今後の予定走行ルートが新たに決定されると、処理制御部430Bは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)における当該ルート変更が決定された車両の予定走行ルートを、新たに決定された予定走行ルートに置き換えることにより、予定走行ルート情報(RTI)を更新する。そして、処理制御部430Bは、ルート変更をすべき特定車両に対して、新たに決定された予定走行ルートを送信する。こうして送られた予定走行ルートが、当該予定走行ルートを受けた特定車両の今後の予定走行ルートとして、取り扱われることになる。なお、図12においては、新たな予定走行ルートが決定された車両が車両CR1であった場合が例示されている。
【0169】
また、新たな予定走行ルートが決定されると、ステップS34において、処理制御部430Bが、新たな予定走行ルートが決定された車両のそれぞれにとっての新たな累積損失時間の算出処理を行う。かかる算出処理に際して、処理制御部430Bは、ルート変更が決定された車両の現時点における累積損失時間と、ルート変更に伴う損失時間とを加算し、新たな累積損失時間を算出する。そして、処理制御部430Bは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における当該ルート変更が決定された車両の累積損失時間を、新たな累積損失時間に置き換えることにより、累積損失時間情報(ALI)を更新する。
【0170】
なお、ルート設定が行われている車両が目的地に到達したことが、当該車両に搭載されているナビゲーション装置から送信された現在位置に基づいて判断されると、処理制御部430Bは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における当該車両の累積損失時間を、「0」にリセットする。
【0171】
なお、図13には、特定車両(車両A〜F)の渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理前の累積損失時間及び振分優先順位の例が示されている。また、図14には、導出された走行可能性情報が、図8(B)の場合と同様である場合における渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定結果の例が示されている。
【0172】
以上説明したように、本第2実施例では、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置200B1,200B2,…と通信可能なサーバ装置400Bの処理制御部430Bが、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、車両CR1,CR2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている車両を特定車両として抽出する。
【0173】
次に、処理制御部430Bは、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定車両の数を導出する。また、処理制御部430Bは、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数を導出する。
【0174】
次いで、処理制御部430Bは、特定車両のそれぞれの現時点における累積損失時間に基づいて、特定車両のそれぞれが、特定移動体の中で、何番目に累積損失時間が長いか、すなわち、振分優先順位を特定する。そして、処理制御部430Bは、特定車両のそれぞれについて特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両のそれぞれが、現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0175】
当該判定の結果が肯定的であった車両については、処理制御部430Bが、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった車両については、処理制御部430Bが、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、処理制御部430Bは、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間の累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定し、新たに決定された予定走行ルートを、特定車両のそれぞれへ送信する。
【0176】
そして、新たな決定予定走行ルートが決定されると、処理制御部430Bは、ルート変更が決定された車両のその時点における累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、処理制御部430Bは、算出された新たな累積損失時間に基づいて、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)の内容を更新する。
【0177】
したがって、本第2実施例によれば、上述した第1実施例の場合と同様に、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる。
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0178】
例えば、上記の第1及び第2実施例では、車両が目的地に到達すると、当該車両の累積損失時間をリセットするようにしたが、渋滞発生の回避ためのルート変更による損失時間の発生から一定期間が経過すると、当該損失時間を累積損失時間から差し引くようにしてもよい。
【0179】
また、上記の第1及び第2実施例では、渋滞発生が予測された時点で、迂回ルート、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間、並びに、特定車両のうちで現時点の予定走行ルート及び迂回ルートのそれぞれを走行可能な台数を導出し、特定車両のそれぞれの今後の予定走行ルートを一挙に決定できるようにした。これに対し、走行可能性情報として、特定車両のうちで現時点の予定走行ルートを走行可能な台数のみを導出するとともに、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかのみを判定するようにすることができる。この場合には、当該判定の結果が否定的であった車両については、迂回ルートを探索し、探索された迂回ルートを新たな予定走行ルートとして暫定的に決定する。こうして暫定的に決定された予定走行ルートに基づく走行可能性情報の導出、及び、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかの判定を、当該判定の結果が肯定的となるまで繰り返すようにすればよい。
【0180】
また、上記の第1及び第2実施例では、コンピュータによるプログラムの実行により、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行うようにしたが、当該決定処理の全部又は一部を、専用のLSI(Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェアにより行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0181】
100A,100B … 走行ルート決定システム
200A1,200A2 … ナビゲーション装置(移動端末装置)
200B1,200B2 … ナビゲーション装置(移動端末装置)
210A … 制御ユニット(測位手段の一部、判定手段、決定手段、
算出手段及び報告手段)
210B … 制御ユニット(測位手段の一部及び報告手段)
270 … 走行情報取得ユニット(測位手段の一部)
280 … GPS受信ユニット(測位手段の一部)
400A,400B … サーバ装置
420 … 送受信部(送信手段の一部)
430A … 処理制御部(導出手段、及び、送信手段の一部)
430B … 処理制御部(導出手段、判定手段、決定手段及び算出手段)
700A,700B … 走行ルート決定システム
710A1,710A2 … 移動端末装置
710B1,710B2 … 移動端末装置
711 … 測位手段
712 … 判定手段
713 … 決定手段
714 … 算出手段
715 … 報告手段
716 … 報告手段
720A,720B … サーバ装置
721 … 導出手段
722 … 送信手段
723 … 判定手段
724 … 決定手段
725 … 算出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行ルート決定システム、走行ルート決定方法及び走行ルート決定プログラム、並びに、当該走行ルート決定プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載され、運転者に対して走行ルートの誘導及び案内を行うナビゲーション装置が広く普及している。こうしたナビゲーション装置を利用する技術の進展は目覚しく、利用者の利便性を向上させるための様々な技術が提案されている。
【0003】
かかる提案技術の一つとして、各車両において独自に走行ルートを決定するのではなく、各車両の現在位置、目的地等の情報を集中管理するサーバが、交通渋滞を効率的に解決するために、各車両のナビゲーション装置による誘導及び案内を行う走行ルートを決定する技術がある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、各車両に搭載されたナビゲーション装置から、移動通信網を介して、各車両の現在位置、目的地等の情報を収集する。こうして各車両から収集された情報、及び、VICS(Vehicle Information and Communication System)等を利用して得られる交通情報に基づいて、各車両の走行ルートが分散するように、各車両の目的地への走行ルートを算出する。そして、サーバは、各車両に対応して算出された走行ルートを各車両に配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−301667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術によれば、交通状況全体をみれば、渋滞の発生を効率良く未然に防ぐことは可能である。しかし、個々の車両についてみると、最速のルートばかりが割り当てられる車両もあれば、最速のルートよりも時間を要する迂回ルートばかりが割り当てられる車両もあり得る。このため、最速のルートを走行した場合の最短走行時間からの損失時間が、車両ごとで大きく異なり、車両間において、大きな不公平が生じる可能性があった。
【0006】
このため、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、車両間における大きな不公平の発生を防止する技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる走行ルート決定システム及び走行ルート決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段と;前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定手段と;前記判定手段による判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段と;を備えることを特徴とする走行ルート決定システムである。
【0009】
請求項8に記載の発明は、着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出工程と;前記導出工程における導出結果と、過去の前記導出工程における導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定工程と;前記判定工程における判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定工程と;を備えることを特徴とする走行ルート決定方法である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の走行ルート決定方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする走行ルート決定プログラムである。
【0011】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の走行ルート決定プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走行ルート決定システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る走行ルート決定システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る走行ルート決定システムの構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図4】図3のナビゲーション装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図3のサーバ装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】第1実施例における走行ルート決定の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】図6の判定用情報の導出処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】迂回ルートの例、及び、走行可能性情報の例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例に係る走行ルート決定システムの構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図10】図9のナビゲーション装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】図9のサーバ装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図12】第2実施例における走行ルート決定の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図13】特定移動体のそれぞれの累積損失時間の例を示す図である。
【図14】ルート決定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態の走行ルート決定システム700Aについて、図1を参照して説明する。
【0015】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る走行ルート決定システム700Aの概略的な構成が示されている。この図1に示されるように、走行ルート決定システム700Aは、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710A1,710A2,…と、サーバ装置720Aとを備えている。ここで、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれは、搭載された移動体とともに移動するようになっている。また、サーバ装置720Aは、固定的な位置に配置されている。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0016】
そして、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれと、サーバ装置720Aとは、ネットワークシステムNWSを介して、データ通信を行うことができるようになっている。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれと、サーバ装置720Aとの間の詳細な情報のやり取りについては後述する。
【0017】
《移動端末装置710A1,710A2,…の構成》
上記の移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれの構成について、移動端末装置710A1を例示して説明する。移動端末装置710A1は、測位手段711と、判定手段712と、決定手段713と、算出手段714と、報告手段715とを備えている。
【0018】
上記の測位手段711は、移動端末装置710A1が搭載された移動体MV1の現在位置の測位を定期的に行う。かかる測位の手法としては、GPS(Global Positioning System)を利用する手法、若しくは、移動体MV1に搭載された速度センサ等を利用する手法、又は、これらの手法を併用する手法等がある。測位手段711による測位結果は、報告手段715へ送られる。
【0019】
上記の判定手段712は、サーバ装置720Aから送信された判定用情報、及び、算出手段714から送られた移動体MV1にとっての累積損失時間を受ける。そして、判定手段712は、当該判定用情報及び当該累積損失時間に基づいて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。判定手段712による判定処理については、後述する。
【0020】
なお、サーバ装置720Aから送信され判定用情報は、現時点における移動体MV1の予定走行ルート及びその迂回ルートのそれぞれについて、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数の情報である走行可能性情報、並びに、移動体MV1の走行予定時間帯と同様の時間帯に移動体MV1の予定走行ルートを走行予定の移動体MV1以外の移動体にとっての累積損失時間を含んでいる。そして、走行可能性情報は、当該迂回ルートのそれぞれを走行したときに予測される目的地までの走行時間から、予定走行ルートを走行したときに予測される目的地までの走行時間を差し引いた損失時間を更に含んでいる。
【0021】
以下、移動体MV1、及び、移動体MV1の走行予定時間帯と同様の時間帯に移動体MV1の予定走行ルートを走行予定の移動体MV1以外の移動体を総称して、「特定移動体」と呼ぶものとする。また、移動体MV1にとっての累積損失時間を「自累積損失時間」と呼ぶものとする。また、特定移動体のうちにおける移動体MV1以外の移動体を「他特定移動体」と呼ぶとともに、他特定移動体にとっての累積損失時間を「他累積損失時間」と呼ぶものとする。
【0022】
上記の決定手段713は、判定手段712から送られた判定結果を受ける。そして、決定手段713は、当該判定結果に基づいて、その後の予定走行ルートを決定する。そして、決定手段713は、それまでの予定走行ルートとは異なる走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した場合には、決定された予定走行ルートを報告手段715へ送る。また、決定手段713は、決定された予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段714へ送る。
【0023】
なお、決定手段713による予定走行ルートの決定処理については、後述する。また、以下の説明においては、決定手段713により決定された予定走行ルートを、「決定予定走行ルート」と呼ぶ。
【0024】
上記の算出手段714は、決定手段713から送られた損失時間を受ける。そして、算出手段714は、当該損失時間と、内部に保持している自累積損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0025】
上記の報告手段715は、測位手段711から送られた測位結果、決定手段713から送られた新たな予定走行ルート、及び、算出手段714から送られた新たな自累積損失時間を受ける。そして、報告手段715は、これらの受信結果を、サーバ装置720Aへ送信する。また、報告手段715は、不図示のルート設定手段により、上述した決定手段713によるルートの決定とは別途に設定された移動体MV1の予定走行ルート(以下、「設定予定走行ルート」という)も、サーバ装置720Aへ送信する。
【0026】
なお、本第1実施形態では、移動体MV1が目的地に到達すると、その旨が算出手段714に報告されるようになっている。この報告を受けると、算出手段714は、自累積損失時間を「0」にリセットする。
【0027】
《サーバ装置720Aの構成》
上記のサーバ装置720Aは、導出手段721と、送信手段722とを備えている。
【0028】
上記の導出手段721は、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれから送られた現在位置の測位結果、決定予定走行ルート、設定予定走行ルート及び累積損失時間を受信する。また、導出手段721は、VICS等の交通情報システムから、ネットワークシステムNWSを介して、交通情報を受信する。そして、導出手段721は、これらの決定予定走行ルート又は設定予定走行ルートにおいて今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、判定用情報を導出する。導出された判定用情報は、送信手段722へ送られる。なお、導出手段721による判定用情報の導出処理については、後述する。
【0029】
上記の送信手段722は、導出手段721による導出結果を受ける。そして、送信手段722は、導出手段721による導出結果と、特定移動体のそれぞれの累積損失時間を、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置へ送信する。なお、送信手段722は、累積損失時間の送信に際しては、送信先の特定移動体以外の特定移動体の累積損失時間を送信するようになっている。
【0030】
<動作>
次に、上記のように構成された走行ルート決定システム700Aの動作について、説明する。なお、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける測位手段711によって測定された移動体MV1,MV2,…の現在位置は、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける報告手段715により、定期的にサーバ装置720Aへ送信されているものとする。
【0031】
移動体MV1,MV2,…のそれぞれにおいて今後に走行予定の予定走行ルートが新たに定まると、移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける報告手段715が、当該新たな予定走行ルートをサーバ装置720Aへ送信する。こうして送信された新たな予定走行ルートは、導出手段721により受信される。
【0032】
ここで、新たに定まった予定走行ルートとしては、利用者の目的地の指定に伴って探索されて設定された設定予定走行ルート、それまでの予定走行ルートを外れたことに伴って探索されて設定された設定予定走行ルート、及び、後述するルート決定処理により、それまでの予定走行ルートから変更された決定予定走行ルートがある。
【0033】
以上の移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれからの情報データを受けるたびに、導出手段721は、その時点における移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現在位置及び予定走行ルートを認識する。
【0034】
また、導出手段721は、ネットワークシステムNWSを介して、各所の交通情報を受信する。そして、導出手段721は、現時点における各所の交通状況を認識する。
【0035】
なお、移動体MV1,MV2,…に搭載される移動端末装置710A1,710A2,…のそれぞれにおける算出手段714が、後述のようにして自累積損失時間を新たに算出するたびに、報告手段715が、当該新たな自累積損失時間をサーバ装置720Aへ送信する。こうして送信された自累積損失時間は、サーバ装置720Aにおける不図示の記憶手段内に保持される。
【0036】
上述した交通状況の認識結果に基づいて、導出手段721は、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。引き続き、導出手段721が、移動端末装置710A1,710A2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0037】
なお、抽出された特定移動体には、移動体MV1が含まれているものとして、以下の説明を行う。
【0038】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、走行可能性情報として、送信手段722へ送られる。
【0039】
送信手段722は、導出手段721から送られた走行可能性情報を受けると、当該走行可能性情報と、送信先の移動体にとっての他累積損失時間とを、特定移動体に搭載された移動端末装置へ送信する。かかる送信処理に際して、送信手段722は、走行可能性情報を受けると、送信先ごとに、記憶手段内における送信先の移動体以外の移動体それぞれの現時点における自累積損失時間である送信先の移動体にとっての他累積損失時間を読み取る。そして、送信手段722は、当該他損失累積時間と当該走行可能性情報とを送信先の移動端末装置へ送信する。
【0040】
こうしてサーバ装置720Aから送信された走行可能性情報及び他累積損失時間を受信すると、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置において、予定走行ルートの決定処理が行われる。以下、特定移動体の1つである移動体MV1に搭載された移動端末装置710A1における予定走行ルートの決定処理を例示して説明する。
【0041】
移動端末装置710A1では、判定手段712が、サーバ装置720Aから送信された走行可能性情報及び他累積損失時間を受信する。これらの情報データを受信すると、判定手段712は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、算出手段714から報告されている最新の自累積損失時間に基づいて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。かかる判定に際して、判定手段712は、まず、自累積損失時間及び他累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中において、時間が長い方から数えた場合の自累積損失時間の順番(例えば、5番目)の特定を行う。
【0042】
そして、判定手段712は、特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段713へ送られる。なお、当該判定の結果が肯定的であった場合には、判定手段712は、その旨のみを判定結果として決定手段713へ送る。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、判定手段712は、その旨とともに、上述した特定された順番、走行可能性情報及び自累積損失時間を、判定結果として決定手段713へ送る。
【0043】
判定手段712から送られた判定結果を受けた決定手段713は、当該判定結果に基づいて、その後の予定走行ルートを決定する。その後の予定走行ルートの決定に際して、決定手段713は、当該判定結果が肯定的であった場合には、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0044】
一方、当該判定結果が否定的であった場合には、決定手段713は、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段713は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。こうして決定された予定走行ルートが、上述した「決定予定走行ルート」である。
【0045】
こうして、決定予定走行ルートが決定されると、決定手段713は、当該決定予定走行ルートを報告手段715へ送る。また、決定手段713は、決定予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段714へ送る。
【0046】
決定手段713から送られた損失時間を受けると、算出手段714は、その時点で保持している自累積損失時間と当該損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0047】
なお、移動体MV1が目的地に到達し、その旨が算出手段714に報告されると、算出手段714は、自累積損失時間を「0」にリセットする。そして、算出手段714は、リセット結果である「0」を、新たな自累積損失時間として内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0048】
決定手段713から送られた決定予定走行ルート、及び、算出手段714から送られた自累積損失時間を受けた報告手段715は、当該決定予定走行ルート及び当該自累積損失時間をサーバ装置720Aへ送信する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0049】
なお、移動体MV1以外の特定移動体に搭載された移動端末装置においても、サーバ装置720Aから送られた走行可能性情報及び他累積損失時間を受信すると、上述の移動端末装置710A1の場合と同様の予定走行ルートの決定処理が実行される。
【0050】
以上説明したように、本第1実施形態では、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710A1,710A2,…と通信可能なサーバ装置720Aにおける導出手段721が、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、移動端末装置710A1,710A2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0051】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、送信先の自累積損失時間を除いた他自累積損失時間とともに、判定用情報として、特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置の判定手段712へ送信される。
【0052】
判定用情報を受信した判定手段712は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、算出手段714から報告されている最新の自累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中において、時間が長い方から数えた場合の自累積損失時間の順番を特定する。そして、判定手段712は、特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0053】
判定手段712による判定の結果が肯定的であった場合には、決定手段713が、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、決定手段713が、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段713は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。
【0054】
そして、新たな決定予定走行ルートが決定されると、算出手段714は、その時点における自累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段714は、こうして算出された新たな自累積損失時間を内部に保持するとともに、現時点における自累積損失時間として、判定手段712及び報告手段715へ送る。
【0055】
したがって、本第1実施形態によれば、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における損失時間の移動体間における公平化を図ることができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の走行ルート決定システム700Bについて、図2を参照して説明する。
【0057】
<構成>
図2には、第2実施形態に係る走行ルート決定システム700Bの概略的な構成が示されている。この図2に示されるように、走行ルート決定システム700Bは、上述した第1実施形態の走行ルート決定システム700Aと比べて、移動端末装置710A1,710A2,…に代えて移動端末装置710B1,710B2,…を備える点、及び、サーバ装置720Aに代えてサーバ装置720Bを備える点が異なっている。以下、この相違点に主に着目して説明する。なお、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0058】
《移動端末装置710B1,710B2,…の構成》
上記の移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれの構成について、移動端末装置710B1を例示して説明する。移動端末装置710B1は、測位手段711と、報告手段716とを備えている。すなわち、移動端末装置710B1は、上述した移動端末装置710A1と比べて、判定手段712、決定手段713及び算出手段714を備えていない点、並びに、報告手段715に代えて報告手段716を備えている点が異なっている。
【0059】
上記の報告手段716は、測位手段711から送られた測位結果を受ける。そして、報告手段716は、受信した測位結果を、サーバ装置720Bへ送信する。また、報告手段716は、上述した報告手段715と同様に、不図示のルート設定手段により設定された移動体MV1の予定走行ルート(「設定予定走行ルート」)も、サーバ装置720Bへ送信する。
【0060】
《サーバ装置720B構成》
上記のサーバ装置720Bは、導出手段721と、判定手段723と、決定手段724と、算出手段725とを備えている。すなわち、サーバ装置720Bは、上述したサーバ装置720Aと比べて、判定手段723、決定手段724及び算出手段725を備えている点、並びに、送信手段722を備えていない点が異なっている。また、サーバ装置720Bは、移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現時点における予定走行ルートと、渋滞発生の回避のためにサーバ装置720Bから指定された迂回ルートへのルート変更により生じた移動体MV1,MV2,…のそれぞれにとっての現時点における累積損失時間とを記憶する不図示の記憶手段を更に備えている。
【0061】
上記の判定手段723は、導出手段721により第1実施形態の場合と同様にして導出された走行可能性情報を受ける。当該走行可能性情報を受けた判定手段723は、特定移動体のそれぞれにとっての累積損失時間を記憶手段から読み取る。そして、判定手段723は、当該走行可能性情報と当該読み取られた累積損失時間に基づいて、上述した判定手段712の場合と同様にして、特定移動体のそれぞれについて、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段724へ送られる。なお、判定手段723による判定処理については、後述する。
【0062】
ここで、判定手段723は、肯定的な判定がなされた移動体については、その旨のみを、判定結果として決定手段724へ送る。また、判定手段723は、否定的な判定がなされた移動体については、その旨に加えて、上述した特定された順番及び走行可能性情報を、判定結果として決定手段724へ送る。
【0063】
上記の決定手段724は、判定手段723から送られた判定結果を受ける。そして、決定手段724は、移動体ごとの判定結果に基づいて、移動体ごとに、その後の予定走行ルートを決定する。そして、決定手段724は、それまでの予定走行ルートとは異なる走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した移動体については、記憶手段内における当該移動体の予定走行ルートを新たに決定された予定走行ルートへ更新するとともに、当該移動体へ当該新たに決定された予定走行ルートを送信する。この結果、当該移動体における予定走行ルートが更新されることになる。また、決定手段724は、新たな予定走行ルートが決定された移動体については、当該新たな予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段725へ送る。
【0064】
一方、決定手段724は、それまでの予定走行ルートと同一の走行ルートを、その後の予定走行ルートとして決定した移動体については、当該移動体及び算出手段725への報告を行わない。
【0065】
なお、決定手段724による予定走行ルートの決定処理については、後述する。
【0066】
上記の算出手段725は、決定手段724から送られた損失時間を受ける。当該損失時間を受けた算出手段725は、当該損失時間に対応する移動体の累積損失時間を記憶手段から読み取る。引き続き、算出手段725は、当該損失時間と当該読み出された累積損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、新たな累積損失時間が算出された移動体について、記憶手段内における累積損失時間を新たな累積損失時間へ更新する。
【0067】
なお、本第2実施形態では、予定走行ルートに沿って走行している移動体MV1,MV2,…の現在位置の送信結果に基づいて、移動体MV1,MV2,…のいずれかが目的地に到達したことが検出されると、その旨が算出手段725に報告されるようになっている。この報告を受けると、算出手段725は、記憶手段内の目的地に到着した移動体に対応する累積損失時間を「0」にリセットする。
【0068】
<動作>
次に、上記のように構成された走行ルート決定システム700Bの動作について、説明する。
【0069】
なお、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれにおける測位手段711によって測定された移動体MV1,MV2,…の現在位置は、移動端末装置710B1,710B2,…のそれぞれにおける報告手段716により、定期的にサーバ装置720Bへ送信されているものとする。また、予定走行ルートが設定されている移動体のそれぞれの現時点における予定走行ルート及び累積損失時間は、サーバ装置720B内の記憶手段に記憶されているものとする。
【0070】
導出手段721は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、ネットワークシステムNWSを介して、各所の交通情報を受信し、現時点における各所の交通状況を認識する。この交通状況の認識結果に基づいて、導出手段721は、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。引き続き、導出手段721は、移動体MV1,MV2,…のそれぞれの現在位置、及び、記憶手段に記憶されている予定走行ルートに基づいて、移動端末装置710B1,710B2,…をそれぞれ搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。この後、導出手段721は、上述した第1実施形態の場合と同様にして、走行可能性情報を導出し、判定手段723へ送る。
【0071】
導出手段721から送られた走行可能性情報を受けると、判定手段723は、特定移動体のそれぞれにとっての累積損失時間を記憶手段から読み取る。引き続き、判定手段723は、当該読み取られた累積損失時間に基づいて、累積損失時間が長い方から数えた場合に、特定移動体のそれぞれの特定移動体の中における順番を特定する。
【0072】
次に、判定手段723は、特定移動体のそれぞれについて特定された順番が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、特定移動体のそれぞれが、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。この判定の結果は、決定手段724へ送られる。なお、当該判定の結果が肯定的であった移動体については、判定手段723は、その旨のみを判定結果として決定手段724へ送る。一方、当該判定の結果が否定的であった移動体については、判定手段723は、その旨とともに、上述した特定された順番及び走行可能性情報を判定結果として送る。
【0073】
判定手段723から送られた判定結果を受けた決定手段724は、当該判定結果に基づいて、特定移動体のそれぞれの今後の予定走行ルートを決定する。かかる決定に際して、
決定手段724は、判定手段723による判定結果が肯定的であった移動体については、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0074】
一方、判定手段723による判定結果が否定的な移動体については、決定手段724は、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、決定手段724は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0075】
こうして、特定移動体のそれぞれについての今後の予定走行ルートが決定されると、決定手段724は、ルート変更をすべき移動体に対して、新たに決定された予定走行ルートを送る。また、決定手段724は、新たな予定走行ルートが決定された移動体については、当該新たな予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間を算出手段725へ送る。
【0076】
決定手段724から送られた移動体の損失時間を受けると、算出手段725は、記憶手段から当該移動体の累積損失時間を読み取る。引き続き、算出手段725は、当該損失時間と当該読み取られた累積損失時間とを加算して、当該移動体についての新たな累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、記憶手段内の当該移動体に関する累積損失時間を、当該新たな累積損失時間に更新する。
【0077】
なお、移動体MV1,MV2,…の現在位置の送信結果から、移動体MV1,MV2,…のいずれかが目的地に到達したと認定された旨が算出手段725に報告されると、算出手段725は、記憶手段内における目的地に到達した移動体についての自累積損失時間を「0」にリセットする。そして、予測された渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定処理が終了する。
【0078】
以上説明したように、本第2実施形態では、移動体MV1,MV2,…のそれぞれに搭載された移動端末装置710B1,710B2,…と通信可能なサーバ装置720Bにおける導出手段721が、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、移動端末装置710B1,710B2,…を搭載している移動体MV1,MV2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている移動体を特定移動体として抽出する。
【0079】
次に、導出手段721は、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定移動体の数を導出する。また、導出手段721は、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定移動体の数を導出する。かかる導出結果は、走行可能性情報として、判定手段723へ送られる。
【0080】
走行可能性情報を受けた判定手段723は、特定移動体のそれぞれの現時点における累積損失時間に基づいて、累積損失時間が長い方から数えた場合の特定移動体の中における順番を特定する。そして、判定手段723は、特定移動体のそれぞれについて特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体のそれぞれが、現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0081】
判定手段723による判定の結果が肯定的であった移動体については、決定手段724が、現時点における予定走行ルートを、その後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった移動体については、決定手段724は、上述した特定された順番及び走行可能性情報に基づいて、特定移動体間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された順番に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、決定手段724は、それまでの予定走行ルートと異なる走行ルートが今後の予定走行ルートに決定された移動体に搭載された移動端末装置へ、当該移動体について新たに決定された予定走行ルートを送信する。
【0082】
また、それまでとは異なる予定走行ルートが新たに決定された移動体については、算出手段725が、その時点における累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな自累積損失時間を算出する。そして、算出手段725は、記憶手段内の累積損失時間を、こうして算出された新たな累積損失時間に更新する。
【0083】
したがって、本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の場合と同様に、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における損失時間の移動体間における公平化を図ることができる。
【0084】
なお、上記の第1及び第2実施形態では、移動体が目的地に到達すると、当該移動体の累積損失時間をリセットするようにしたが、渋滞発生の回避ためのルート変更による損失時間の発生から一定期間が経過すると、当該損失時間を累積損失時間から差し引くようにしてもよい。
【0085】
また、上記の第1及び第2実施形態では、渋滞発生が予測された時点で、導出手段が迂回ルート、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間、並びに、特定移動体のうちで現時点の予定走行ルート及び迂回ルートのそれぞれを走行可能な台数を導出し、判定手段及び決定手段により、その時点で、特定移動体のそれぞれの今後の予定走行ルートを決定できるようにした。これに対し、迂回ルートを探索可能であるとともに、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間を導出可能な探索手段を、移動端末装置のそれぞれ又はサーバ装置が備えるようにし、導出手段は、特定移動体のうちで現時点の予定走行ルートを走行可能な台数のみを導出するとともに、判定手段が、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかのみを判定するようにすることができる。
【0086】
この場合には、判定手段による判定の結果が否定的であった移動体については、探索手段が迂回ルートを探索し、探索された迂回ルートを新たな予定走行ルートとして暫定的に決定する。こうして暫定的に決定された予定走行ルートを導出手段へ報告するようにして、判定手段による判定の結果が肯定的となるまで、導出手段による導出、判定手段による判定、探索手段による探索及び導出を繰り返すようにすればよい。
【0087】
また、上記の第1及び第2実施形態の移動端末装置及びサーバ装置のそれぞれを、演算手段としてのコンピュータを備えたコンピュータ装置として構成し、上述した各手段の機能を、プログラムを実行することにより実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM,DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにすることができる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明の情報収集装置の実施例を、図3〜図14を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0089】
[第1実施例]
まず、本発明の第1実施例を、図3〜図8を主に参照して説明する。
【0090】
図3には、第1実施例に係る走行ルート決定システム100Aの概略的な構成が示されている。なお、走行ルート決定システム100Aは、上述した第1実施形態の走行ルート決定システム700A(図1参照)の一態様となっている。
【0091】
<構成>
図3に示されるように、走行ルート決定システム100Aは、移動端末装置710A1,710A2,…としてのナビゲーション装置200A1,200A2,…と、サーバ装置720Aとしてのサーバ装置400Aとを備えている。
【0092】
ここで、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、移動体MV1,MV2,…としての車両CR1,CR2,…に搭載されており、搭載された車両とともに走行するようになっている。また、サーバ装置400Aは、例えば、所定の建物内の固定的な位置に配置されている。なお、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0093】
上記のナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれには、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載された車速センサ2901,2902,…が接続されている。また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、ネットワークシステム500を介して、サーバ装置400Aとデータ通信を行うようになっている。ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれが、車速センサ2901,2902,…及びサーバ装置400Aとの間で授受するデータの内容については、後述する。
【0094】
上記のサーバ装置400Aは、ネットワークシステム500を介して、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれと通信可能となっている。サーバ装置400Aが、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれとの間で授受するデータの内容については、後述する。
【0095】
《ナビゲーション装置200A1,200A2,…の構成》
上記のナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれの構成について、ナビゲーション装置200A1を例示して説明する。
【0096】
ナビゲーション装置200A1は、車両CR1の現在位置の検出機能、当該現在位置の報告機能、走行ルートの探索機能、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能、予定走行ルートの報告機能、走行ルート情報の提示機能を有している。これらの機能を有するナビゲーション装置200A1は、図4に示されるように、測位手段711の一部、判定手段712、決定手段713、算出手段714及び報告手段715としての制御ユニット210Aと、記憶ユニット220Aと、無線通信ユニット230とを備えている。また、ナビゲーション装置200A1は、音出力ユニット240と、表示ユニット250と、操作入力ユニット260とを備えている。さらに、ナビゲーション装置200A1は、測位手段711の一部としての走行情報取得ユニット270と、測位手段711の一部としてのGPS(Global Positioning System)受信ユニット280とを備えている。
【0097】
制御ユニット210Aは、ナビゲーション装置200A1の全体を統括制御する。この制御ユニット210Aについては、後述する。
【0098】
上記の記憶ユニット220Aは、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶ユニット220Aは、ナビゲーション用情報(NVI)、自累積損失時間ALT1等の様々なデータを記憶する。この記憶ユニット220Aには、制御ユニット210Aがアクセスできるようになっている。
【0099】
上記のナビゲーション用情報(NVI)には、地図データ、POI(Point Of Interests)データ、背景データ等のナビゲーションのために利用される様々なデータが記憶されている。これらのデータは、制御ユニット210Aによって読み取られるようになっている。
【0100】
上記の無線通信ユニット230は、不図示のアンテナ等を備えて構成されている。この無線通信ユニット230は、当該アンテナにより受信したネットワークシステム500において用意された基地局からの受信信号を処理して、制御ユニット210Aで処理可能なデジタルデータ信号に変換する。また、無線通信ユニット230は、制御ユニット210Aからの送信信号を処理し、当該アンテナを介して、無線信号の態様でネットワークシステム500(より詳しくは、基地局)へ送る。
【0101】
この無線通信ユニット230を利用することにより、ナビゲーション装置200A1(より詳しくは、制御ユニット210A)が、サーバ装置400Aとの間で通信を行うことができるようになっている。
【0102】
また、この無線通信ユニット230を利用し、渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を提供する不図示の道路交通情報サーバから、当該交通情報を受信することができる。こうして受信された交通情報は、制御ユニット210Aへ送られる。
【0103】
上記の音出力ユニット240は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット210Aから受信した音声データに対応する音声を出力する。この音出力ユニット240は、制御ユニット210Aによる制御のもとで、車両CR1の進行方向、走行状況、交通状況、予定走行ルートの変更等の案内音声を出力する。
【0104】
上記の表示ユニット250は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット210Aから受信した表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット250は、制御ユニット210Aによる制御のもとで、地図情報、ルート情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。
【0105】
上記の操作入力ユニット260は、ナビゲーション装置200A1の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット250の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0106】
この操作入力ユニット260を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置200A1の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、走行情報の収集の開始位置及び終了位置の指定等の設定を、利用者が操作入力ユニット260を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データとして、操作入力ユニット260から制御ユニット210Aへ向けて送られる。
【0107】
上記の走行情報取得ユニット270は、加速度センサ、角速度センサ等を備えて構成されており、車両CR1に作用している加速度、角速度を検出する。また、走行情報取得ユニット270は、ナビゲーション装置200A1と、車両CR1に搭載されている車速センサ2901との間におけるデータ授受に関して利用され、車速センサ2901による検出結果である速度データを取得する。こうして得られた各データは、走行データとして制御ユニット210Aへ送られる。
【0108】
上記のGPS受信ユニット280は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CR1の現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット280は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置および現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット210Aへ送られる。
【0109】
次に、上記の制御ユニット210Aについて説明する。この制御ユニット210Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット210Aが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。
【0110】
制御ユニット210Aは、無線通信ユニット230を介して、定期的に、道路交通情報サーバからの渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を受信する。
【0111】
また、制御ユニット210Aは、走行情報取得ユニット270からの走行データ、及び、GPS受信ユニット280からのGPSデータに基づいて、記憶ユニット220A中のナビゲーション用情報(NVI)を適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット250の表示デバイスに表示するための地図表示、(b)車両CR1が地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出し、表示ユニット250の表示デバイスに表示して利用者に提示するマップマッチング、(c)道路交通情報サーバから受信した交通情報に関する表示ユニット250の表示デバイスへの表示、(d)進行すべき方向等を的確にアドバイスするために行われる、表示ユニット250の表示デバイスへの案内誘導の表示のための制御、及び、音出力ユニット240のスピーカから案内誘導を行う音声を出力するための制御等の処理が含まれる。
【0112】
また、制御ユニット210Aは、上述したマップマッチング結果、すなわち、車両CR1の現在位置をサーバ装置400Aへ報告するための制御を行う。また、制御ユニット210Aは、予定走行ルートをサーバ装置400Aへ報告するための制御を行う。さらに、制御ユニット210Aは、累積損失時間ALT1の算出処理、及び、算出された累積損失時間ALT1をサーバ装置400Aへ送信するための制御を行う。累積損失時間ALT1の算出処理については、後述する。
【0113】
また、制御ユニット210Aは、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aから後述する判定用情報を取得し、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行う。この予定走行ルートの決定処理については、後述する。
【0114】
《サーバ装置400Aの構成》
上記のサーバ装置400Aは、車両CR1,CR2,…のそれぞれから送信された予定走行ルート、現在位置及び累積損失時間の受信機能及び記憶機能、並びに、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれにおける渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定のための走行可能性情報の導出機能及び送信機能を有している。これらの機能を有するサーバ装置400Aは、図5に示されるように、記憶装置410と、送信手段722の一部としての送受信部420と、送信手段722の一部及び導出手段721としての処理制御部430Aとを備えている。
【0115】
上記の記憶装置410は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶装置410は、ルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)、累積損失情報(ALI)等の様々なデータを記憶する。この記憶装置410には、処理制御部430Aがアクセスできるようになっている。
【0116】
上記のルート抽出用情報(RSI)は、地図データ、POIデータ等の迂回ルート抽出のために利用される様々なデータである。また、上記の予定走行ルート情報(RTI)は、車両CR1,CR2,…のそれぞれの現時点における予定走行ルートの情報である。また、上記の累積損失情報(ALI)は、車両CR1,CR2,…のそれぞれの現時点における累積損失時間の情報である。
【0117】
上記の送受信部420は、ネットワークシステム500との通信制御を行う。この送受信部420は、ネットワークシステム500から受信したデータを処理制御部430Aへ送る。また、送受信部420は、処理制御部430Aから受信したデータをネットワークシステム500へ送信する。送受信部420を利用することにより、サーバ装置400A(より詳しくは、処理制御部430A)は、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれとの間で通信を行うことができるようになっている。
【0118】
また、この送受信部420を利用し、渋滞情報、速度規制・車線規制情報等を含む交通情報を提供する不図示の道路交通情報サーバから、当該交通情報を受信することができる。こうして受信された交通情報は、処理制御部430Aへ送られる。
【0119】
上記の処理制御部430Aは、サーバ装置400Aの全体を統括制御する。この処理制御部430Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御部430Aが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。
【0120】
この処理制御部430Aは、送受信部420を介して、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれから送信された現在位置、予定走行ルート及び累積損失時間を受信する。そして、処理制御部430Aは、これらの受信結果に基づいて、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)、累積損失情報(ALI)を更新する。
【0121】
また、処理制御部430Aは、送受信部420を介して、道路交通情報サーバから、交通情報を受信する。そして、処理制御部430Aは、当該交通情報、並びに、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)及び予定走行ルート情報(RTI)基づいて、走行可能性情報を導出する。
【0122】
また、処理制御部430Aは、走行可能性情報を導出すると、後述する特定車両のうちにおける送信先以外の車両の累積損失時間を記憶装置410から読み取って、送信先の特定車両についての他累積損失時間を導出する。そして、処理制御部430Aは、走行可能性情報及び他累積損失時間を判定用情報として、送受信部420を介して、特定車両のそれぞれへ送信する。
【0123】
なお、処理制御部430Aによる判定用情報の導出処理については、後述する。
【0124】
<動作>
以上のようにして構成された走行ルート決定システム100Aの動作について、渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に主に着目して説明する。なお、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、搭載された車両の現在位置の計測結果を、定期的に、サーバ装置400Aに送信しているものとする。
【0125】
また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、搭載された車両CRの予定走行ルートが定まっている場合には、当該予定走行ルートを、サーバ装置400Aに報告しているものとする。そして、サーバ装置400Aでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの予定走行ルートが、記憶装置410内に予定走行ルート情報(RTI)として記憶されているものとする。
【0126】
また、ナビゲーション装置200A1,200A2,…のそれぞれは、サーバ装置400Aからの渋滞発生の回避の示唆に従った搭載車両の予定走行ルートの変更に伴う累積損失時間を、サーバ装置400Aに送信しているものとする。そして、サーバ装置400Aでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの累積損失時間ALT1,ALT2,…が、記憶装置410内に累積時間情報(ALI)として記憶されているものとする。
【0127】
渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に際しては、図6に示されるように、ステップS11において、サーバ装置400Aの処理制御部430Aが、判定用情報の導出処理を実行する。かかる導出処理に際して、処理制御部430Aは、ネットワークシステム500を介して、各所の交通情報を受信する。引き続き、処理制御部430Aは、現時点における各所の交通状況を把握した上で、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)を考慮しつつ、渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。次に、処理制御部430Aは、予測された区間及び時間帯、並びに、記憶装置410内のルート抽出用情報(RSI)、予定走行ルート情報(RTI)及び累積損失情報(ALI)に基づいて、走行可能性情報及び他累積損失時間からなる判定用情報を導出する。そして、処理制御部430Aは、導出された判定用情報を、予測された渋滞に関連する車両に搭載されたナビゲーション装置へ送信する。処理制御部430Aによる導出処理の詳細については、後述する。
【0128】
なお、後述するように、走行可能性情報には、ルート設定が行われているCR1,CR2,…の中おける渋滞発生が予測された区間及び時間帯で走行予定の車両である特定車両の内で、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両の数が含まれている。また、走行可能性情報には、当該区間を迂回する迂回ルート、迂回ルートへの迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数が含まれている。また、他累積損失時間は、送信先の車両以外の特定車両ごとの累積損失時間が含まれている。
【0129】
以下、上述した特定車両には、車両CR1が含まれているものとして説明する。
【0130】
ナビゲーション装置200A1では、こうしてサーバ装置400Aから送信された判定用情報(すなわち、走行可能性情報及び他累積損失時間)を、制御ユニット210Aが、無線通信ユニット230を介して受信する。そして、ステップS12において、車両CR1が現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かの判定を、制御ユニット210Aが行う。
【0131】
かかる判定に際して、制御ユニット210Aは、まず、記憶ユニット220Aから累積損失時間ALT1を読み取る。引き続き、制御ユニット210Aは、累積損失時間ALT1及び他累積損失時間に基づいて、累積損失時間ALT1及び他累積損失時間の中で、累積損失時間ALT1が何番目(例えば、5番目)に長いか、すなわち、車両CR1の振分優先順位の特定を行う。そして、制御ユニット210Aは、走行可能性情報を参照して、特定された振分優先順位が、現時点の予定走行ルートを走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、車両CR1が現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0132】
次に、ステップS13において、制御ユニット210Aが、上述の判定結果に基づいて、車両CR1の今後の予定走行ルートの決定処理を行う。かかる決定処理に際して、制御ユニット210Aは、当該判定結果が肯定的であった場合には、現時点における予定走行ルートを、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。
【0133】
一方、当該判定結果が否定的であった場合には、制御ユニット210Aは、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、上述した走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、制御ユニット210Aは、上述した振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間における累積損失時間の公平化の観点から、当該振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、車両CR1の今後の予定走行ルートに決定する。
【0134】
こうして新たな予定走行ルートが決定されると、制御ユニット210Aは、新たな予定走行ルートを、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。そして、送受信部420を介して新たな予定走行ルートを受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)における車両CR1の予定走行ルートを、当該受信した予定走行ルートに更新する。
【0135】
また、新たな予定走行ルートが決定されると、ステップS14において、制御ユニット210Aが、車両CR1にとっての新たな累積損失時間の算出処理を行う。かかる算出処理に際して、制御ユニット210Aは、新たに決定された予定走行ルートへのルート変更に伴う損失時間と、現時点における累積損失時間ALT1とを加算し、車両CR1にとっての新たな累積損失時間を算出する。そして、制御ユニット210Aは、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を新たに算出された新たな累積損失時間に置き換えることにより、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を更新する。
【0136】
また、制御ユニット210Aは、当該新たに算出された新たな累積損失時間を、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。そして、送受信部420を介して新たな予定走行ルートを受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における車両CR1の累積損失時間を、当該受信した累積損失時間に置き換えることにより、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)を更新する。
【0137】
なお、車両CR1が目的地に到達すると、制御ユニット210Aは、記憶ユニット220A内の累積損失時間ALT1を「0」にリセットする。そして、制御ユニット210Aは、新たな損失時間として「0」を、無線通信ユニット230を介して、サーバ装置400Aへ送信する。この場合には、送受信部420を介して新たな累積損失時間「0」を受けた処理制御部430Aは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における車両CR1の累積損失時間を、「0」にリセットする。
【0138】
なお、車両CR1以外の特定車両に搭載されたナビゲーション装置においても、サーバ装置400Aから送られた判定用情報を受信すると、上述のナビゲーション装置200A1の場合と同様の処理が実行される。
【0139】
次に、上述したステップS11における導出処理について説明する。この導出処理では、図7に示されるように、まず、ステップS21において、処理制御部430Aが、新たに判定用情報の導出が必要となったか否かを判定する。かかる判定に際して、処理制御部430Aは、まず、ネットワークシステム500を介して取得した各所の交通情報に基づいて把握した現時点における各所の交通状況を把握した上で、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)を考慮しつつ、渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測する。そして、渋滞発生が予測されると、処理制御部430Aは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)に基づいて、予測された区間及び時間帯を走行予定の車両があるか否かを判定することにより、新たに判定用情報の導出が必要となったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0140】
一方、ステップS21における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、処理制御部430Aが、予定走行ルート情報(RTI)に基づいて、当該予測された区間及び時間帯を走行予定の車両を特定車両として抽出する。
【0141】
次に、ステップS23において、処理制御部430Aが、走行可能性情報を導出する。かかる走行可能性情報の導出に際して、処理制御部430Aは、まず、特定車両の内で、渋滞発生を回避しつつ、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両数を求める。次に、処理制御部430Aは、ルート抽出用情報(RSI)に基づいて、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、迂回ルートごとに、予定走行ルートを走行した場合からの損失時間を求める。そして、処理制御部430Aは、迂回ルートごとに、特定車両の内で、渋滞発生を回避しつつ、当該区間を当該時間帯に走行可能な車両数を求める。こうして、走行可能性情報が導出される。
【0142】
なお、抽出される迂回ルートの数は、渋滞発生を回避しつつ、予定走行ルート又は迂回ルートを走行可能な特定車両の台数の和が、特定車両の台数以上となる最小数を限度として行われるようになっている。
【0143】
次いで、ステップS24において、処理制御部430Aが、他累積損失時間を導出する。かかる他累積損失時間の導出に際しては、処理制御部430Aが、走行可能性情報を含む判定用情報を送信しようとしている車両以外の特定車両の累積損失時間を、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)の中から読み取る。そして、処理制御部430Aは、読み取られた累積損失時間の集合を他累積損失時間とする。
【0144】
次に、ステップS25において、処理制御部430Aが、走行可能性情報及び他累積損失時間とからなる判定用情報を、送受信部420を介して、特定車両のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置へ送信する。この後、ステップS11の導出処理が終了する。
【0145】
なお、上述のステップS23において抽出された迂回ルートの例が、図8(A)に示されている。この図8(A)には、2つの迂回ルート#1,#2が抽出された例が示されている。また、上述のステップS23において導出された走行可能性情報の例が、図8(B)に示されている。
【0146】
以上説明したように、本第1実施例では、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置200A1,200A2,…と通信可能なサーバ装置400Aが、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、車両CR1,CR2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている車両を特定車両として抽出する。
【0147】
次に、サーバ装置400Aは、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定車両の数を導出する。また、サーバ装置400Aは、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数を導出する。かかる導出結果は、送信先の車両にとっての自累積損失時間を除いた他自累積損失時間とともに、判定用情報として、特定車両のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置へ送信される。
【0148】
判定用情報を受信したナビゲーション装置は、走行可能性情報及び他累積損失時間、並びに、現時点における自累積損失時間に基づいて、自累積損失時間及び他累積損失時間の中における自累積損失時間が何番目であるか、すなわち、振分優先順位を特定する。そして、ナビゲーション装置は、特定された振分優先順位が、走行可能性情報における現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0149】
当該判定の結果が肯定的であった場合には、ナビゲーション装置が、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった場合には、ナビゲーション装置が、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、ナビゲーション装置は、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間の累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。そして、ナビゲーション装置は、新たに決定された予定走行ルートを、サーバ装置400Aへ送信する。
【0150】
また、新たな決定予定走行ルートが決定されると、ナビゲーション装置は、それまでの自累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、ナビゲーション装置は、こうして算出された新たな累積損失時間を、当該ナビゲーション装置の記憶ユニットに記憶させるとともに、サーバ装置400Aへ送信する。
【0151】
したがって、本第1実施例によれば、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる。
【0152】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例を、図9〜図14を主に参照して説明する。
【0153】
図9には、第2実施例に係る走行ルート決定システム100Bの概略的な構成が示されている。なお、走行ルート決定システム100Bは、上述した第2実施形態の走行ルート決定システム700B(図2参照)の一態様となっている。
【0154】
<構成>
図9に示されるように、走行ルート決定システム100Bは、移動端末装置710B1,710B2,…としてのナビゲーション装置200B1,200B2,…と、サーバ装置720Bとしてのサーバ装置400Bとを備えている。すなわち、走行ルート決定システム100Bは、上述した第1実施例の走行ルート決定システム100Aと比べて、ナビゲーション装置200A1,200A2,…に代えてナビゲーション装置200B1,200B2,…を備えるとともに、サーバ装置400Aに代えてサーバ装置400Bを備えている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明を行う。なお、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、同様に構成されている。
【0155】
《ナビゲーション装置200B1,200B2,…の構成》
上記のナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれの構成について、ナビゲーション装置200B1を例示して説明する。
【0156】
ナビゲーション装置200B1は、上述したナビゲーション装置200A1と比べて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能を有していない点が異なっている。ナビゲーション装置200B1は、図10に示されるように、ナビゲーション装置200A1と比べて、制御ユニット210Aに代えて、測位手段の一部及び報告手段としての制御ユニット210Bを備える点、及び、記憶ユニット220Aに代えて記憶ユニット220Bを備える点が異なっている。
【0157】
上記の制御ユニット210Bは、ナビゲーション装置200B1の全体を統括制御する。この制御ユニット210Bは、上述した制御ユニット210Aと同様に、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成され、様々なプログラムを実行するようになっている。なお、制御ユニット210Bは、制御ユニット210Aと比べて、累積損失時間ALT1の算出処理、算出された累積損失時間ALT1をサーバ装置400Bへ報告するための制御処理、及び、判定用情報に基づく渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行わない点が異なっている。
【0158】
上記の記憶ユニット220Bは、上述した記憶ユニット220Aと同様に、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。この記憶ユニット220Bは、記憶ユニット220Aと比べて、上述した累積損失時間ALT1を記憶していない点が異なっている。
【0159】
《サーバ装置400Bの構成》
上記のサーバ装置400Bは、上述したサーバ装置400Aと比べて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定機能を有している。こうした機能を有するサーバ装置400Bは、図11に示されるように、サーバ装置400Aと比べて、処理制御部430Aに代えて処理制御部430Bを備える点が異なっている。
【0160】
上記の処理制御部430Bは、サーバ装置400Bの全体を統括制御する。この処理制御部430Bは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御部430Bが様々なプログラムを実行することにより、上記の各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、第1実施例における処理制御部430Aの機能に加えて、上述した第2実施形態における判定手段723、決定手段724及び算出手段725としての機能も含まれている。
【0161】
すなわち、処理制御部430Bは、処理制御部430Aの場合と同様にして導出された走行可能性情報に基づいて、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定に関連する処理を行う。そして、処理制御部430Bは、渋滞発生の回避のための予定走行ルートを決定する。そして、新たに予定走行ルートが決定された車両が搭載するナビゲーション装置へ、送受信部420を介して、当該新たに決定された予定走行ルートを送る。渋滞発生の回避のために行われる予定走行ルートの決定に関連する処理については、後述する。
【0162】
<動作>
以上のようにして構成された走行ルート決定システム100Bの動作について、渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に主に着目して説明する。なお、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、上述のナビゲーション装置200A1,200A2,…の場合と同様に、搭載された車両の現在位置の計測結果を、定期的に、サーバ装置400Bに送信しているものとする。
【0163】
また、ナビゲーション装置200B1,200B2,…のそれぞれは、後述するようにしてサーバ装置400Bによって決定された予定走行ルート以外の予定走行ルートが設定された場合には、当該設定された予定走行ルートを、サーバ装置400Bに送信しているものとする。そして、サーバ装置400Bでは、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの予定走行ルートが、記憶装置410内に予定走行ルート情報(RTI)として記憶されているものとする。さらに、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)には、現時点における車両CR1,CR2,…のそれぞれの累積時間情報が記憶されているものとする。
【0164】
渋滞発生回避のための予定走行ルートの決定の処理に際しては、図12に示されるように、ステップS31において、サーバ装置400Bの処理制御部430Bが、走行可能性情報の導出処理を実行する。かかる導出処理は、上述した図7におけるステップS21〜S23と同様の処理を、処理制御部430Bが実行することにより行われる。
【0165】
次に、ステップS32において、処理制御部430Bが、特定車両のそれぞれが、現時点における予定走行ルートを走行すべきか否かの判定を行う。かかる判定に際して、処理制御部430Bは、まず、記憶装置410から特定車両のそれぞれの累積損失時間を読み取る。引き続き、処理制御部430Bは、当該読み取られた累積損失時間に基づいて、特定車両のそれぞれが、特定移動体全体の中で、何番目に累積損失時間が長いか、すなわち、特定車両ごとの振分優先順位の特定を行う。そして、処理制御部430Bは、走行可能性情報を参照して、特定された振分優先順位が、現時点の予定走行ルートを走行可能な車両の数以内であるか否かを判定することにより、特定車両のそれぞれが、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0166】
次いで、ステップS33において、処理制御部430Bが、上述の判定結果に基づいて、特定車両のそれぞれの今後の予定走行ルートの決定処理を行う。かかる決定処理に際して、処理制御部430Bは、当該判定結果が肯定的であった特定車両については、現時点における予定走行ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0167】
一方、当該判定結果が否定的であった特定車両については、処理制御部430Bは、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、今後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、処理制御部430Bは、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間における累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを今後の予定走行ルートに決定する。
【0168】
こうして特定車両のそれぞれについての今後の予定走行ルートが新たに決定されると、処理制御部430Bは、記憶装置410内の予定走行ルート情報(RTI)における当該ルート変更が決定された車両の予定走行ルートを、新たに決定された予定走行ルートに置き換えることにより、予定走行ルート情報(RTI)を更新する。そして、処理制御部430Bは、ルート変更をすべき特定車両に対して、新たに決定された予定走行ルートを送信する。こうして送られた予定走行ルートが、当該予定走行ルートを受けた特定車両の今後の予定走行ルートとして、取り扱われることになる。なお、図12においては、新たな予定走行ルートが決定された車両が車両CR1であった場合が例示されている。
【0169】
また、新たな予定走行ルートが決定されると、ステップS34において、処理制御部430Bが、新たな予定走行ルートが決定された車両のそれぞれにとっての新たな累積損失時間の算出処理を行う。かかる算出処理に際して、処理制御部430Bは、ルート変更が決定された車両の現時点における累積損失時間と、ルート変更に伴う損失時間とを加算し、新たな累積損失時間を算出する。そして、処理制御部430Bは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における当該ルート変更が決定された車両の累積損失時間を、新たな累積損失時間に置き換えることにより、累積損失時間情報(ALI)を更新する。
【0170】
なお、ルート設定が行われている車両が目的地に到達したことが、当該車両に搭載されているナビゲーション装置から送信された現在位置に基づいて判断されると、処理制御部430Bは、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)における当該車両の累積損失時間を、「0」にリセットする。
【0171】
なお、図13には、特定車両(車両A〜F)の渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理前の累積損失時間及び振分優先順位の例が示されている。また、図14には、導出された走行可能性情報が、図8(B)の場合と同様である場合における渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定結果の例が示されている。
【0172】
以上説明したように、本第2実施例では、車両CR1,CR2,…のそれぞれに搭載されたナビゲーション装置200B1,200B2,…と通信可能なサーバ装置400Bの処理制御部430Bが、交通情報に基づいて、今後に渋滞が発生しそうな区間及び時間帯を予測し、車両CR1,CR2,…のうちから、予測された渋滞が発生しそうな区間及び時間帯ごとに、当該区間及び時間帯を予定走行ルート及び走行予定時間としている車両を特定車両として抽出する。
【0173】
次に、処理制御部430Bは、渋滞を発生させずに、当該区間を当該時間帯に走行可能な特定車両の数を導出する。また、処理制御部430Bは、当該区間を迂回する迂回ルートを抽出し、抽出された迂回ルートごとに、迂回によって生じる損失時間、及び、迂回ルートにおいて渋滞を発生させずに走行可能な特定車両の数を導出する。
【0174】
次いで、処理制御部430Bは、特定車両のそれぞれの現時点における累積損失時間に基づいて、特定車両のそれぞれが、特定移動体の中で、何番目に累積損失時間が長いか、すなわち、振分優先順位を特定する。そして、処理制御部430Bは、特定車両のそれぞれについて特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両のそれぞれが、現時点の予定走行ルートを、渋滞を発生させずに走行可能な移動体の数以内であるか否かを判定することにより、現時点の予定走行ルートをそのまま走行すべきか否かを判定する。
【0175】
当該判定の結果が肯定的であった車両については、処理制御部430Bが、現時点における予定走行ルートを、今後の予定走行ルートに決定する。一方、当該判定の結果が否定的であった車両については、処理制御部430Bが、現時点における予定走行ルートとは異なるルートを、当該判定結果に含まれる走行可能性情報における迂回ルートの中から選択することにより、その後の予定走行ルートに決定する。かかる選択に際して、処理制御部430Bは、上述した特定された振分優先順位及び走行可能性情報に基づいて、特定車両間の累積損失時間の公平化の観点から、当該特定された振分優先順位に対して振り分けられるべき迂回ルートを求め、その迂回ルートを、今後の予定走行ルートに決定し、新たに決定された予定走行ルートを、特定車両のそれぞれへ送信する。
【0176】
そして、新たな決定予定走行ルートが決定されると、処理制御部430Bは、ルート変更が決定された車両のその時点における累積損失時間と、渋滞発生の回避のための損失時間とを加算して、新たな累積損失時間を算出する。そして、処理制御部430Bは、算出された新たな累積損失時間に基づいて、記憶装置410内の累積損失時間情報(ALI)の内容を更新する。
【0177】
したがって、本第2実施例によれば、上述した第1実施例の場合と同様に、渋滞の発生を効率良く未然に防止しつつ、走行における累積損失時間の車両間における公平化を図ることができる。
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0178】
例えば、上記の第1及び第2実施例では、車両が目的地に到達すると、当該車両の累積損失時間をリセットするようにしたが、渋滞発生の回避ためのルート変更による損失時間の発生から一定期間が経過すると、当該損失時間を累積損失時間から差し引くようにしてもよい。
【0179】
また、上記の第1及び第2実施例では、渋滞発生が予測された時点で、迂回ルート、迂回ルートへルート変更した場合の損失時間、並びに、特定車両のうちで現時点の予定走行ルート及び迂回ルートのそれぞれを走行可能な台数を導出し、特定車両のそれぞれの今後の予定走行ルートを一挙に決定できるようにした。これに対し、走行可能性情報として、特定車両のうちで現時点の予定走行ルートを走行可能な台数のみを導出するとともに、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかのみを判定するようにすることができる。この場合には、当該判定の結果が否定的であった車両については、迂回ルートを探索し、探索された迂回ルートを新たな予定走行ルートとして暫定的に決定する。こうして暫定的に決定された予定走行ルートに基づく走行可能性情報の導出、及び、今後の予定走行ルートを現時点の予定走行ルートとできるかの判定を、当該判定の結果が肯定的となるまで繰り返すようにすればよい。
【0180】
また、上記の第1及び第2実施例では、コンピュータによるプログラムの実行により、渋滞発生の回避のための予定走行ルートの決定処理を行うようにしたが、当該決定処理の全部又は一部を、専用のLSI(Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェアにより行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0181】
100A,100B … 走行ルート決定システム
200A1,200A2 … ナビゲーション装置(移動端末装置)
200B1,200B2 … ナビゲーション装置(移動端末装置)
210A … 制御ユニット(測位手段の一部、判定手段、決定手段、
算出手段及び報告手段)
210B … 制御ユニット(測位手段の一部及び報告手段)
270 … 走行情報取得ユニット(測位手段の一部)
280 … GPS受信ユニット(測位手段の一部)
400A,400B … サーバ装置
420 … 送受信部(送信手段の一部)
430A … 処理制御部(導出手段、及び、送信手段の一部)
430B … 処理制御部(導出手段、判定手段、決定手段及び算出手段)
700A,700B … 走行ルート決定システム
710A1,710A2 … 移動端末装置
710B1,710B2 … 移動端末装置
711 … 測位手段
712 … 判定手段
713 … 決定手段
714 … 算出手段
715 … 報告手段
716 … 報告手段
720A,720B … サーバ装置
721 … 導出手段
722 … 送信手段
723 … 判定手段
724 … 決定手段
725 … 算出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段と;
前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定手段と;
前記判定手段による判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段と;
を備えることを特徴とする走行ルート決定システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記累積損失時間が長い順に前記特定移動体の中から前記予定走行ルートを走行可能な移動体を選択した場合に、前記選択された移動体に前記着目移動体が含まれるか否かを判定することにより、前記着目移動体が前記予定走行ルートを走行可能であるか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の走行ルート決定システム。
【請求項3】
前記判定手段による判定の結果が否定的であったことに起因するルート変更により生じた前記着目移動体についての損失時間を、それまでの前記着目移動体についての累積損失時間に累積加算する算出手段を更に備え、
前記導出手段は、
前記予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、
前記特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記迂回ルートのそれぞれを走行可能な移動体の数の導出と、を更に行い、
前記決定手段は、前記判定手段による判定の結果が否定的であった場合に、前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記累積損失時間が長い順に前記目的地までの所要時間が短くなるように、前記特定移動体のそれぞれが今後に走行すべきルートを振り分けた場合に、前記着目移動体が振り分けられるルートを、前記着目移動体が今後に走行すべきルートとして決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の走行ルート決定システム。
【請求項4】
複数の移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置と;
前記移動端末装置のそれぞれと通信可能なサーバ装置と;を備え、
前記移動端末装置のそれぞれは、搭載された移動体を前記着目移動体とする処理を行い、前記判定手段、前記決定手段及び前記算出手段に加えて、
前記搭載された移動体の現在位置を計測する測位手段と;
前記測位手段による測位結果、前記予定走行ルート、前記今後に走行すべきルート、及び前記算出手段による算出結果を、前記サーバ装置に報告する報告手段と;を更に備え、
前記サーバ装置は、前記予定走行ルートを報告した移動端末装置を搭載した移動体を前記着目移動体として認定し、前記導出手段に加えて、前記導出手段による導出結果、及び、前記特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置から報告された累積損失時間の分布を示す分布情報を、前記特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置に送信する送信手段を更に備え、
前記導出手段は、前記移動端末装置のそれぞれからの報告結果に基づいて前記特定移動体を抽出し、前記認定された着目移動体についての予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、前記抽出された特定移動体のうちで、渋滞を発生させずに前記迂回ルートそれぞれを走行可能な移動体の数の導出とを行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行ルート決定システム。
【請求項5】
複数の移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置と;
前記移動端末装置のそれぞれと通信可能なサーバ装置と;を備え、
前記移動端末装置のそれぞれは、
前記搭載された移動体の現在位置を計測する測位手段と;
前記測位手段による測位結果及び前記予定走行ルートを、前記サーバ装置に報告する報告手段と;を備え、
前記サーバ装置は、前記予定走行ルートを報告した移動端末装置を搭載した移動体を前記着目移動体として認定し、前記導出手段、前記判定手段、前記決定手段及び前記算出手段を備え、
前記導出手段は、前記移動端末装置のそれぞれからの報告結果に基づいて前記特定移動体を抽出し、前記認定された着目移動体についての予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、前記抽出された特定移動体のうちで、渋滞を発生させずに前記迂回ルートそれぞれを走行可能な移動体の数の導出とを行い、
前記決定手段は、決定結果を、前記着目移動体と認定された移動体に搭載される移動端末装置に送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行ルート決定システム。
【請求項6】
前記判定手段による判定の結果が否定的であった場合に、前記判定手段による判定の結果が否定的となったルート以外の前記目的地までの新たな予定走行ルートを探索し、前記新たな予定走行ルートを前記導出手段へ報告する探索手段と;
前記新たな予定走行ルートへの変更により生じた前記着目移動体についての損失時間を、それまでの前記着目移動体についての累積損失時間に累積加算する算出手段と;
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行ルート決定システム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記着目移動体が前記目的地に到達したときに、前記着目移動体についての累積損失時間の累積加算結果をリセットする、ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のルート決定システム。
【請求項8】
着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出工程と;
前記導出工程における導出結果と、過去の前記導出工程における導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定工程と;
前記判定工程における判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定工程と;
を備えることを特徴とする走行ルート決定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の走行ルート決定方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする走行ルート決定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の走行ルート決定プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出手段と;
前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定手段と;
前記判定手段による判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定手段と;
を備えることを特徴とする走行ルート決定システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記累積損失時間が長い順に前記特定移動体の中から前記予定走行ルートを走行可能な移動体を選択した場合に、前記選択された移動体に前記着目移動体が含まれるか否かを判定することにより、前記着目移動体が前記予定走行ルートを走行可能であるか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の走行ルート決定システム。
【請求項3】
前記判定手段による判定の結果が否定的であったことに起因するルート変更により生じた前記着目移動体についての損失時間を、それまでの前記着目移動体についての累積損失時間に累積加算する算出手段を更に備え、
前記導出手段は、
前記予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、
前記特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記迂回ルートのそれぞれを走行可能な移動体の数の導出と、を更に行い、
前記決定手段は、前記判定手段による判定の結果が否定的であった場合に、前記導出手段による導出結果と、過去の前記導出手段による導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記累積損失時間が長い順に前記目的地までの所要時間が短くなるように、前記特定移動体のそれぞれが今後に走行すべきルートを振り分けた場合に、前記着目移動体が振り分けられるルートを、前記着目移動体が今後に走行すべきルートとして決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の走行ルート決定システム。
【請求項4】
複数の移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置と;
前記移動端末装置のそれぞれと通信可能なサーバ装置と;を備え、
前記移動端末装置のそれぞれは、搭載された移動体を前記着目移動体とする処理を行い、前記判定手段、前記決定手段及び前記算出手段に加えて、
前記搭載された移動体の現在位置を計測する測位手段と;
前記測位手段による測位結果、前記予定走行ルート、前記今後に走行すべきルート、及び前記算出手段による算出結果を、前記サーバ装置に報告する報告手段と;を更に備え、
前記サーバ装置は、前記予定走行ルートを報告した移動端末装置を搭載した移動体を前記着目移動体として認定し、前記導出手段に加えて、前記導出手段による導出結果、及び、前記特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置から報告された累積損失時間の分布を示す分布情報を、前記特定移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置に送信する送信手段を更に備え、
前記導出手段は、前記移動端末装置のそれぞれからの報告結果に基づいて前記特定移動体を抽出し、前記認定された着目移動体についての予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、前記抽出された特定移動体のうちで、渋滞を発生させずに前記迂回ルートそれぞれを走行可能な移動体の数の導出とを行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行ルート決定システム。
【請求項5】
複数の移動体のそれぞれに搭載された移動端末装置と;
前記移動端末装置のそれぞれと通信可能なサーバ装置と;を備え、
前記移動端末装置のそれぞれは、
前記搭載された移動体の現在位置を計測する測位手段と;
前記測位手段による測位結果及び前記予定走行ルートを、前記サーバ装置に報告する報告手段と;を備え、
前記サーバ装置は、前記予定走行ルートを報告した移動端末装置を搭載した移動体を前記着目移動体として認定し、前記導出手段、前記判定手段、前記決定手段及び前記算出手段を備え、
前記導出手段は、前記移動端末装置のそれぞれからの報告結果に基づいて前記特定移動体を抽出し、前記認定された着目移動体についての予定走行ルートの迂回ルートの少なくとも1つの抽出、及び、前記迂回ルートごとの前記目的地までの所要時間の抽出と、前記抽出された特定移動体のうちで、渋滞を発生させずに前記迂回ルートそれぞれを走行可能な移動体の数の導出とを行い、
前記決定手段は、決定結果を、前記着目移動体と認定された移動体に搭載される移動端末装置に送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の走行ルート決定システム。
【請求項6】
前記判定手段による判定の結果が否定的であった場合に、前記判定手段による判定の結果が否定的となったルート以外の前記目的地までの新たな予定走行ルートを探索し、前記新たな予定走行ルートを前記導出手段へ報告する探索手段と;
前記新たな予定走行ルートへの変更により生じた前記着目移動体についての損失時間を、それまでの前記着目移動体についての累積損失時間に累積加算する算出手段と;
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行ルート決定システム。
【請求項7】
前記算出手段は、前記着目移動体が前記目的地に到達したときに、前記着目移動体についての累積損失時間の累積加算結果をリセットする、ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のルート決定システム。
【請求項8】
着目移動体の現在位置から目的地までの予定走行ルートにおいて、前記着目移動体と、前記着目移動体の走行予定時間帯に前記予定走行ルートを走行予定の前記着目移動体以外の他の移動体と、からなる特定移動体のうち、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体の数を導出する導出工程と;
前記導出工程における導出結果と、過去の前記導出工程における導出結果に基づく迂回によって発生した前記特定移動体のそれぞれについての累積損失時間と、に基づいて、前記着目移動体が、渋滞を発生させずに前記予定走行ルートを走行可能な移動体に含まれるか否かを判定する判定工程と;
前記判定工程における判定の結果が肯定的であった場合に、前記予定走行ルートを、前記着目移動体の今後の予定走行ルートに決定する決定工程と;
を備えることを特徴とする走行ルート決定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の走行ルート決定方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする走行ルート決定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の走行ルート決定プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−141192(P2011−141192A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1889(P2010−1889)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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