説明

超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置

【課題】超伝導フィルタデバイスにおいて、伝送特性を劣化させることなく、超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体とを良好にはんだ接合できるようにする。
【解決手段】超伝導フィルタデバイス1を、基板3上に形成された超伝導配線4と、超伝導配線4の入出力線4Aの端部に形成された電極6Aと、超伝導配線4の入出力線4Aの端部近傍の表面及び側面が覆われるように形成された保護膜9とを備えるものとし、超伝導配線4を、インピーダンス整合を取るために保護膜9に覆われた部分に幅が異なる部分4Xを有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線基地局などに使用される、超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の急速な発展に伴い、高速および大容量の伝送技術が不可欠となってきており、高温超伝導体を用いた超伝導フィルタに対する期待が増している。
超伝導体は、マイクロ波などの高周波領域においても、通常の電気的良導体に比べて表面抵抗が非常に小さい。このため、複数の共振器を並べて多段化しても伝送損失を小さく抑えることができ、優れた周波数遮断特性を得ることができ、周波数資源を有効活用することができる。
【0003】
ところで、超伝導フィルタを機能させるためには約70K程度の極低温にまで冷却する必要があり、この温度環境を実現するための様々な技術が必要になる。
極低温の環境を得るためには、液体窒素に直接浸漬したり、冷凍機を用いて冷却したりする方法が考えられるが、近年、急速に開発が進んだ小型の冷凍機を使用することによって、容易に極低温環境を得ることが可能になってきている。
【0004】
一方、超伝導フィルタの実装技術においても、室温から極低温までの環境温度の変化に耐えられる構成が必要不可欠になっており、このような環境下でも十分な信頼性が確保できれば超伝導フィルタを用いた基地局システムなどが発展し、品質の良い通信環境が広がると考えられている。
に示すように、誘電体基板上に超伝導配線を有する超伝導フィルタデバイスと、これを収める高周波シールド用の金属パッケージとを備える超伝導フィルタパッケージ[例えば図7(A)参照]では、室温と約70K程度の極低温との間を行き来するような温度環境において、超伝導フィルタデバイスとこれを収める金属パッケージとの間の熱収縮率差によって、主に信号の入出力を行なう電極部、即ち、超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体との接合部に力がかかったとしても、例えば電極と超伝導配線を構成する超伝導薄膜とが剥離したりして接触不良などを起こさないようにする必要がある。
【0005】
室温と極低温との間の行き来するような温度環境においても良好な接合が得られる方法として、ワイヤボンディングによる接合方法(特許文献1参照)やはんだによる接合方法(特許文献2参照)などが提案されている。
【特許文献1】特許第2954562号公報
【特許文献2】特開2005−333357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7(A)に示すように、誘電体基板100上に超伝導配線101を有する超伝導フィルタデバイス102と、これを収める高周波シールド用の金属パッケージ103とを備える超伝導フィルタパッケージ104において、超伝導フィルタデバイス102の電極105と金属パッケージ103の同軸コネクタ106の中心導体106Aとをはんだ付けして接合する場合、はんだ107及び電極105の表面にフラックス108を塗布するが、このはんだ接合時に使用するフラックス108が超伝導配線101が形成されている領域まで流れ出し、加熱されてフラックス108中の有機酸などの活性剤成分が活性化し、超伝導配線101を溶かしてしまい、フラックス洗浄後、図7(B)に示すように、超伝導配線101が断裂してしまう場合がある。なお、図7(A),(B)中、符号109はグランドとしての超伝導薄膜を示している。
【0007】
ところで、図8に示すように、超伝導フィルタデバイス102の電極105近傍の超伝導配線101上に保護膜110を形成することが考えられるが、この場合、保護膜110の誘電率によって超伝導配線101自体のインピーダンス(50Ω)が変化してしまい(即ち、インピーダンスミスマッチが生じてしまい)、反射特性に悪影響がでてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、伝送特性を劣化させることなく、超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体とを良好にはんだ接合できるようにした、超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の超伝導フィルタデバイスは、基板上に形成された超伝導配線と、超伝導配線の入出力線の端部に形成された電極と、超伝導配線の入出力線の端部近傍の表面及び側面が覆われるように形成された保護膜とを備え、超伝導配線が、インピーダンス整合を取るために保護膜に覆われた部分に幅が異なる部分を有することを特徴としている。
本発明の超伝導フィルタパッケージは、上記の超伝導フィルタデバイスと、同軸コネクタを有する金属パッケージとを備え、超伝導フィルタデバイスに設けられた電極と金属パッケージが有する同軸コネクタの中心導体とが、はんだ接合されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の超伝導フィルタ装置は、筐体と、筐体内に備えられた真空容器と、真空容器内に備えられた上記の超伝導フィルタパッケージと、筐体内に備えられた、超伝導フィルタを冷却するための冷凍機とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明の超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置によれば、伝送特性を劣化させることなく、超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体とを良好にはんだ接合できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる超伝導フィルタ装置は、マイクロストリップライン型の超伝導フィルタデバイスを用いた超伝導フィルタ装置であって、例えば図2に示すように、筐体20と、筐体20内に備えられた真空容器21と、真空容器21内に備えられた超伝導フィルタパッケージ23と、筐体20内に備えられ、超伝導フィルタパッケージ23を冷却するための冷凍機24とを備える。
【0013】
本実施形態では、超伝導フィルタパッケージ23として、超伝導受信フィルタパッケージ23Aと、超伝導送信フィルタパッケージ23Bとを備える。このうち、超伝導受信フィルタパッケージ23Aは、一端が同軸ケーブル25Aを介してアンテナ(図示せず)に接続されており、他端が同軸ケーブル25Bを介して低雑音増幅器26に接続され、さらに、低雑音増幅器26は同軸ケーブル25Cを介して変復調系に接続されている。一方、超伝導送信フィルタパッケージ23Bは、一端が同軸ケーブル25Dを介してアンテナ(図示せず)に接続されており、他端が同軸ケーブル25Eを介して変復調系に接続されている。
【0014】
また、冷凍機24にはコールドプレート27が接続されており、このコールドプレート27に超伝導受信フィルタパッケージ23A及び超伝導送信フィルタパッケージ23Bが接するように構成されている。これにより、コールドプレート27を介して、冷凍機24によって、超伝導受信フィルタパッケージ23A及び超伝導送信フィルタパッケージ23Bを約70K程度の極低温まで冷却できるようにしている。ここでは、コールドプレート27を介して、冷凍機24によって、低雑音増幅器26も冷却されるようになっている。
【0015】
ここでは、超伝導フィルタパッケージ23は、図4に示すように、超伝導フィルタデバイス1と、これを収める高周波シールド用の金属パッケージ2とを備える。
ここで、超伝導フィルタデバイス1は、図3に示すように、基板3上に超伝導薄膜によって形成された超伝導配線4を備える。
本実施形態では、基板3は誘電体基板である。具体的には、基板3は、LaAlO3,MgO,サファイア,CeO2,TiO2,Al23からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなる。特に、伝送損失が小さいという点で、MgO,LaAlO3,サファイアを用いるのが好ましい。
【0016】
また、超伝導配線4は、図3に示すように、一端側と他端側とに設けられた入出力線(信号入出力線)4A,4B、及び、複数の共振器4Cを構成するフィルタパターンを備える。ここでは、誘電体基板3の表面上に、超伝導薄膜を例えばフォトリソグラフィなどの手法でパターニングしてフィルタパターンを形成している。一方、誘電体基板3の裏面には全面に超伝導薄膜が形成されており、この裏面側の超伝導薄膜を金属パッケージ2の表面に密着させてグランド5としている。
【0017】
ここで、超伝導配線4は、R−Ba−Cu−O(Rは、Y、Nd、Yb、Sm及びHoからなる群から選択されるいずれか1種の元素である)系超伝導体材料、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、及びCuBapCaqCurx(1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)系超伝導体材料からなる群から選択されるいずれか1種の超伝導体材料からなる。
【0018】
また、図3に示すように、超伝導配線4の入出力線4A,4Bの端部には電極6A,6Bが形成されている。つまり、入出力線4A,4Bの端部を構成する超伝導配線上に例えばクロム/パラジウム/銀からなる電極6A,6Bが形成されている。
一方、金属パッケージ2は、図4に示すように、その両端に同軸コネクタ7A,7Bを備える。同軸コネクタ7A(7B)の中心導体7aは、超伝導フィルタデバイス1を装着する領域に突出している。
【0019】
具体的には、金属パッケージ2は、42アロイ,コバール,インバー,Cu又はCu合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなる。
そして、図1に示すように、超伝導フィルタデバイス1に設けられた電極6A(6B)と金属パッケージ2に取り付けられた同軸コネクタ7A(7B)の中心導体7aとが、はんだ8によって接合(はんだ接合)されている。
【0020】
ここで、はんだ8は、In又はInをベースとした合金からなるものを用いるのが応力吸収の点で好ましい。
特に、本実施形態では、超伝導配線4の入出力線4A(4B)の端部近傍[電極近傍;入出力線4A(4B)の共振器と結合しない部分の一部又は全部]の表面及び側面[電極6A(6B)の下側の超伝導配線4の側面を含む]が覆われるように保護膜9が形成されている。保護膜9は、例えばスパッタ,蒸着などの成膜方法によって形成すれば良い。
【0021】
ここで、保護膜9は、はんだ接合時に用いるフラックスの浸透を防ぐためのものであり、誘電体基板3の熱収縮率に近い誘電体材料(誘電体基板3の熱収縮率と同程度の熱収縮率を有する誘電体材料)からなる誘電体保護膜である。具体的には、保護膜9は、MgO,LaAlO3,サファイア,CeO2,TiO2,Al23からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなる。特に、伝送損失が小さいという点で、MgO,LaAlO3,サファイアが好ましい。
【0022】
また、超伝導配線4は、インピーダンス整合(インピーダンスマッチング)を取るために、保護膜9に覆われた部分に、幅が異なる部分(インピーダンス調整部)4Xを有する。ここで、保護膜9を構成する誘電体材料(即ち、誘電体材料の誘電率)及び保護膜9の厚さによってインピーダンス整合を取るためのインピーダンス調整量は変わるため、保護膜9の材料及び厚さに応じて、超伝導配線4の保護膜9に覆われた部分の一部の幅をどの程度変えるかを設定すれば良い。これにより、はんだ接合する際の超伝導配線4の断裂やインピーダンスのミスマッチの改善を図ることができる。
【0023】
実際には、保護膜9として用いる誘電体材料及び保護膜9の膜厚によってインピーダンス調整量の最適値を求める必要がある。
この場合、電磁界シミュレーションを用いて、種々のモデルを作成して、それぞれについて伝送特性の計算を行なうことになる。
例えば図5(A)に示すように、厚さ0.508mm、10×10mmのLaAlO3基板(誘電体基板)15上に超伝導配線[ここではY−Ba−Cu−O系超伝導体材料からなる(YBCO)]16を基板15の左右の端から端まで幅0.2mmのスルーラインとして形成したものをシミュレーション基本モデル17とする。なお、左側の端をポート1とし、右側をポート2とする。
【0024】
そして、このシミュレーション基本モデル17における5〜5.5GHzの範囲での伝送特性(反射特性)を計算する。
ここで、図5(B)は、ポート1から入り、ポート1に戻ってくる信号の反射特性の計算結果を示している。
図5(B)に示すように、この基本モデル17では、5GHzにおける反射特性は約−30dBとなっている。
【0025】
次に、図6(A)に示すように、上記基本モデル17の超伝導配線(ここではYBCO)16の中央部に、誘電体保護膜として、厚さ0.5mm、1mm×2mmのMgOブロック18を置き、MgOブロック18の下の超伝導配線16の幅を様々な幅に変更してインピーダンスを調整して、伝送特性を計算する。
それぞれの条件で計算した伝送特性から5GHzにおける反射特性の値をプロットしたシミュレーション結果は、図6(B)に示すようになる。
【0026】
上述のように、上記基本モデル17では、5GHzにおける反射特性は約−30dBであったのに対し、誘電体保護膜としてMgOブロック18が積層されると、図6(B)に示すように、反射特性(パターン幅0.2mmの反射特性)は−20dBになり、悪くなることがわかる。
一方、図6(B)に示すように、MgOブロック18の下の超伝導配線16の幅を変化させていくと反射特性が小さくなり、その幅が0.14mmの場合にもっとも反射特性が小さくなることがわかる。上述のように、保護膜の誘電体材料としてMgOを用い、その厚さを0.5mmとした場合、保護膜に覆われた部分の超伝導配線の一部の幅を約0.12〜約0.15の範囲内に設定し、所望の超伝導配線の幅(ここでは0.2mm)に対して、異なる幅の部分(幅の狭い部分)を有するものとすることで、反射特性を約−30dB以下に小さくすることができることがわかる。
【0027】
このように、図1に示すように、はんだ接合時に使用するフラックスが流れ出て超伝導配線4(4A)と接触しないようにするために保護膜9を形成する場合、保護膜9の下の超伝導配線4(4A)の幅を変化させることで反射特性を小さくすることができる。これにより、保護膜9の下の超伝導配線4(4A)の幅を変化させることで超伝導配線4(4A)のインピーダンスを調整することができ、インピーダンスのミスマッチを改善できることになる。
【0028】
したがって、本実施形態にかかる超伝導フィルタデバイス、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタ装置によれば、伝送特性を劣化させることなく、超伝導フィルタデバイス1の電極6A,6Bと金属パッケージ2の同軸コネクタ7A,7Bの中心導体7aとを良好にはんだ接合できるという利点がある。
なお、上述の実施形態では、保護膜として誘電体材料からなる誘電体膜を用いているが、これに限られるものではなく、保護膜として誘電率の小さい樹脂材料などを用いても良い。例えばポリイミドやレジストなどを用いることもできる。
【0029】
但し、保護膜として樹脂材料などを用いる場合、一般に誘電体基板に比較して熱収縮率が大きいため、室温から極低温環境まで冷却した場合に保護膜が剥離するなどのおそれがある。また、超伝導フィルタデバイスを冷却するための真空容器内の真空状態を真空ポンプから封じきった状態で高品質に保つためにはアウトガスの出やすい樹脂材料などの使用は長期的な真空保持のためには使用するのが難しい。このため、上述の実施形態のように、保護膜として誘電体材料からなる誘電体膜を用いるのが好ましい。
【0030】
また、上述の実施形態における超伝導フィルタ装置、超伝導フィルタパッケージ及び超伝導フィルタデバイスの構成は、上述のものに限られるものではない。少なくとも、基板上に形成された超伝導配線の入出力線の端部近傍の表面及び側面が覆われるように保護膜が形成され、超伝導配線が、インピーダンス整合を取るために保護膜に覆われた部分に幅が異なる部分を有するように、超伝導フィルタデバイスが構成されていれば良い。
【0031】
例えば、上述の実施形態では、超伝導フィルタパッケージを、超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体とがはんだ接合されたものとして構成し、また、はんだ接合の際に用いるフラックスが流れ出して超伝導配線が断裂してしまうのを防止するために保護膜を設けているが、少なくとも超伝導フィルタデバイスの電極と金属パッケージの同軸コネクタの中心導体との接合部近傍で熱伝導配線が断裂してしまうおそれがあるものであれば本発明を適用することができる。
【0032】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
以下、上述の実施形態に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
基板上に形成された超伝導配線と、
前記超伝導配線の入出力線の端部に形成された電極と、
前記超伝導配線の入出力線の端部近傍の表面及び側面が覆われるように形成された保護膜とを備え、
前記超伝導配線が、インピーダンス整合を取るために前記保護膜に覆われた部分に幅が異なる部分を有することを特徴とする超伝導フィルタデバイス。
【0033】
(付記2)
前記超伝導配線の幅が異なる部分は、前記保護膜の材料及び厚さに応じて幅が設定されていることを特徴とする、付記1記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記3)
前記基板は、誘電体基板であり、
前記保護膜は、前記誘電体基板の熱収縮率に近い誘電体材料からなることを特徴とする、付記1又は2記載の超伝導フィルタデバイス。
【0034】
(付記4)
前記保護膜は、MgO,LaAlO3,サファイア,CeO2,TiO2,Al23からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記5)
前記基板は、LaAlO3,MgO,サファイア,CeO2,TiO2,Al23からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイス。
【0035】
(付記6)
前記超伝導配線は、R−Ba−Cu−O(Rは、Y、Nd、Yb、Sm及びHoからなる群から選択されるいずれか1種の元素である)系超伝導体材料、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、及びCuBapCaqCurx(1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)系超伝導体材料からなる群から選択されるいずれか1種の超伝導体材料からなることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイス。
【0036】
(付記7)
前記超伝導配線は、共振器を構成するフィルタパターンを備えることを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記8)
付記1〜7のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイスと、
同軸コネクタを有する金属パッケージとを備え、
前記超伝導フィルタデバイスに設けられた前記電極と前記金属パッケージが有する前記同軸コネクタの中心導体とが、はんだ接合されていることを特徴とする超伝導フィルタパッケージ。
【0037】
(付記9)
前記金属パッケージは、42アロイ,コバール,インバー,Cu又はCu合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする、付記8記載の超伝導フィルタパッケージ。
(付記10)
前記はんだは、In又はInをベースとした合金からなることを特徴とする、付記8又は9記載の超伝導フィルタパッケージ。
【0038】
(付記11)
筐体と、
前記筐体内に備えられた真空容器と、
前記真空容器内に備えられた、付記8〜10のいずれか1項に記載の超伝導フィルタパッケージと、
前記筐体内に備えられた、前記超伝導フィルタを冷却するための冷凍機とを備えることを特徴とする超伝導フィルタ装置。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタパッケージの一部を示す模式的斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタ装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタデバイスの構成を示す模式的斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタパッケージの構成を示す模式的斜視図である。
【図5】(A)は、本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタデバイスのシミュレーション基本モデルを示す模式図であり、(B)は、シミュレーション基本モデルにおける信号の反射特性を示す図である。
【図6】(A)は、本発明の一実施形態にかかる超伝導フィルタデバイスのシミュレーションモデルを示す模式図であり、(B)は、シミュレーションモデルにおける信号の反射特性を示す図である。
【図7】(A),(B)は、本発明の課題を説明するための模式的斜視図である。
【図8】本発明の課題を説明するための模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 超伝導フィルタデバイス
2 金属パッケージ
3 基板(誘電体基板)
4 超伝導配線
4A,4B 入出力線
4C 共振器
5 グランド(超伝導薄膜)
6A,6B 電極
7A,7B 同軸コネクタ
7a 同軸コネクタの中心導体
8 はんだ
9 保護膜
15 LaAlO3基板(誘電体基板)
16 超伝導配線[Y−Ba−Cu−O系超伝導体材料(YBCO)からなる超伝導配線]
17 シミュレーション基本モデル
18 MgOブロック
20 筐体
21 真空容器
23 超伝導フィルタパッケージ
23A 超伝導受信フィルタパッケージ
23B 超伝導送信フィルタパッケージ
24 冷凍機
25A〜25E 同軸ケーブル
26 低雑音増幅器
27 コールドプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された超伝導配線と、
前記超伝導配線の入出力線の端部に形成された電極と、
前記超伝導配線の入出力線の端部近傍の表面及び側面が覆われるように形成された保護膜とを備え、
前記超伝導配線が、インピーダンス整合を取るために前記保護膜に覆われた部分に幅が異なる部分を有することを特徴とする超伝導フィルタデバイス。
【請求項2】
前記保護膜は、MgO,LaAlO3,サファイア,CeO2,TiO2,Al23からなる群から選択されるいずれか1種の材料からなることを特徴とする、請求項1記載の超伝導フィルタデバイス。
【請求項3】
前記超伝導配線は、R−Ba−Cu−O(Rは、Y、Nd、Yb、Sm及びHoからなる群から選択されるいずれか1種の元素である)系超伝導体材料、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料、及びCuBapCaqCurx(1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)系超伝導体材料からなる群から選択されるいずれか1種の超伝導体材料からなることを特徴とする、請求項1又は2記載の超伝導フィルタデバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の超伝導フィルタデバイスと、
同軸コネクタを有する金属パッケージとを備え、
前記超伝導フィルタデバイスに設けられた前記電極と前記金属パッケージが有する前記同軸コネクタの中心導体とが、はんだ接合されていることを特徴とする超伝導フィルタパッケージ。
【請求項5】
筐体と、
前記筐体内に備えられた真空容器と、
前記真空容器内に備えられた、請求項4記載の超伝導フィルタパッケージと、
前記筐体内に備えられた、前記超伝導フィルタを冷却するための冷凍機とを備えることを特徴とする超伝導フィルタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−38567(P2009−38567A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200764(P2007−200764)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、「電波資源拡大のための研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】