説明

超音波トランスデューサ及びその製造方法、並びに、超音波探触子

【課題】高感度及び広帯域を達成すると共に、人体との音響整合性が良く超音波の伝播特性に優れた超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】超音波トランスデューサは、第1の表面に凹部及び凸部が形成された第1の圧電体と、第1の表面に凹部及び凸部が形成された第2の圧電体と、第1の圧電体の凹部及び凸部に沿って形成された第1の内部電極と、第2の圧電体の凹部及び凸部に沿って形成された第2の内部電極と、第1及び第2の圧電体の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材とを具備し、第1及び第2の圧電体の凹部の長さが凸部の長さよりも大きく、第1の内部電極と第2の内部電極との間に充填材が充填されるように第1の圧電体の凹部及び凸部と第2の圧電体の凸部及び凹部とが所定の間隔を伴って嵌合されて、積層圧電複合体が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置において超音波を送受信するために用いられる超音波トランスデューサ(圧電振動子)、及び、その製造方法に関する。さらに、本発明は、そのような超音波トランスデューサを用いる超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子においては、超音波を送信及び/又は受信するための超音波トランスデューサとして、一般的に、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinyliden difluoride)に代表される高分子圧電材料等の圧電体の両端に電極を形成した振動子(圧電振動子)が用いられている。
【0003】
そのような振動子の電極に電圧を印加すると、圧電効果により圧電体が伸縮して弾性波が発生する。特に、広帯域な信号電圧を振動子の電極に印加することにより、圧電体の厚さに応じた波長を有する共振弾性波が生成される。特に、セラミック圧電体の厚さが数mm以下の場合には、圧電体から超音波が発生する。さらに、複数の振動子を1次元又は2次元状に配列し、所定の遅延を与えた複数の駆動信号によって駆動することにより、超音波ビームを所望の方向に向けて形成することができる。一方、振動子は、伝播する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。この電気信号は、超音波の検出信号として用いられる。
【0004】
超音波診断装置は、超音波探触子を用いて、人体等の被検体に超音波を送信し、被検体から反射される超音波エコーを受信することにより、超音波の検出信号に基づいて画像を表示する。これにより、体内の臓器や血管の検査が行われる。しかしながら、振動子において圧電セラミックを用いる場合には、振動子の音響インピーダンスと人体等の音響インピーダンスとの間に大きな差があり、そのような音響インピーダンスの差がある境界面においては、超音波の反射が生じて伝播損失となってしまう。
【0005】
ここで、音響インピーダンスとは、音響媒質密度と音速との積で表される物質固有の定数であり、その単位としては、一般に、MRayl(メガ・レイル)が用いられ、1MRayl=1×10kg・m−2・s−1である。一般的な圧電セラミックの音響インピーダンスは、約25MRayl〜約35MRaylであり、人体の音響インピーダンスは、約1.5MRaylである。
【0006】
振動子の音響インピーダンスをZとし、人体の音響インピーダンスをZとすると、接触界面における超音波の反射率Rは、次式(1)で与えられる。
R=|Z−Z|/(Z+Z) ・・・(1)
式(1)において、Z=35MRayl、Z=1.5MRaylとすると、R=0.92となるので、ほとんどの超音波は接触界面で反射してしまい、超音波は1割も伝播しないことが分る。
【0007】
この問題を解決するために、振動子と被検体との間に音響整合層を挿入して、音響インピーダンスの整合を図ることが行われている。さらに、音響整合層を多層構造とすれば超音波の伝播効率が改善されるが、製造上の都合により、音響整合層を2層〜3層とするのが限界である。
【0008】
そこで、超音波の伝播効率をさらに改善するために、振動子自体の音響インピーダンスを低減することが考えられる。例えば、圧電体に格子状の溝を形成してアレイ化し、溝の内部に音響インピーダンスが2MRayl〜4MRayl程度の素材を充填することが有効である。その際に、溝の間隔は、溝によって分離される各々の振動子内を伝播する超音波の波長と比較して十分小さくする。一般的には、溝の間隔を、超音波の波長の1/8〜1/10以下とすることが望ましい。そのようなアレイ振動子としては、例えば、1つの方向に長い棒状のPZTを樹脂中に配置した複合圧電体が用いられており、この複合圧電体は、1−3コンポジットと呼ばれている。
【0009】
1−3コンポジットの場合には、各々の振動子が棒状となることから、その振動モードは、33振動モードとなる。33振動モードとは、第3の方向(Z軸方向)に分極処理(ポーリング処理)が施された圧電体を、同じ第3の方向に電界を印加して振動させた場合の振動モードをいう。一般に、振動子においては、33振動モードにおける電気機械結合係数k33が、板状における電気機械結合係数ktや、バー状における電気機械結合係数k33'よりも大きいので、各々の振動子を棒状とすることにより、高い変換効率が期待できる。
【0010】
また、電気機械結合係数k33が大きいことは、振動子の帯域拡大にも寄与する。さらに、1−3コンポジットを採用することにより、音響インピーダンスの高い圧電体の一部が、音響インピーダンスの低い樹脂に置き換わるので、振動子の音響インピーダンスが低下して、超音波の伝播効率が改善される。ただし、誘電率が大きい圧電体の有効面積が減少することから、電気的には、振動子の静電容量が低下して、電気インピーダンスが上昇してしまう。
【0011】
一方、近年においては、超音波探触子が、口から体内に挿入される内視鏡(経口内視鏡)や、鼻から体内に挿入される内視鏡(経鼻内視鏡)や、血管カテーテル等において用いられていることから、超音波探触子の微細化が求められている。経口内視鏡の直径は8mm〜11mm程度であり、経鼻内視鏡の直径は4mm〜5mm程度であるから、振動子のサイズも小さくする必要がある。
【0012】
しかしながら、振動子の微細化に伴って、振動子の電気インピーダンスが上昇してしまう。送受信される超音波の周波数帯域における振動子の電気インピーダンスが、超音波診断装置本体の受信回路の電気インピーダンス又は接続ケーブルの特性インピーダンスと比較して大きくなると、検出信号の伝送特性が低下する。また、振動子のサイズが小さくなることとも相乗して、感度が低下する。
【0013】
そのような感度の低下を補うために、振動子(圧電体及び電極)を積層構造として、各層の振動子を並列に接続することにより、振動子の静電容量を増加させて電気インピーダンスを低下させることが行われている。しかしながら、振動子の1−3コンポジット化と振動子の積層化とを両立させる試みは行われていないようである。その理由は、積層化において必要となる超音波放射方向と直交する内部電極構造と、1−3コンポジット化において必要となる超音波放射方向と平行な溝の形成とは、構造上及び加工上矛盾するので、両立し難いからである。
【0014】
また、33振動モードで振動する四角柱の振動子を積層化し、これをアレイ状に並べて1つの振動子として動作するように電極を形成し、さらに、このような振動子を複数並べて1次元振動子アレイとすることもできるが、これを製造するプロセスは、積層型の2次元振動子アレイを製造するプロセスと似たものとなり、大変な労力を必要とする。
【0015】
関連する技術として、下記の特許文献1及び特許文献2には、複合圧電体の製造方法が開示されている。この複合圧電体の製造方法においては、表面に複数の凹部及び複数の凸部を有する2つの圧電体を、樹脂を挟んで嵌合させて貼り合わせ、貼り合わされた圧電体を直線に沿って切り出すことにより、複数の圧電体と複数の樹脂とが交互に並んだ複合圧電体が形成される。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、振動子の1−3コンポジット化と振動子の積層化とを両立させることは開示されていない。
【特許文献1】米国特許第5239736号明細書
【特許文献2】米国特許第6984284号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、高感度及び広帯域を達成すると共に、人体との音響整合性が良く超音波の伝播特性に優れた超音波トランスデューサ、及び、そのような超音波トランスデューサを用いる超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波トランスデューサは、第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部が形成された第1の圧電体と、第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部が形成された第2の圧電体と、第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された第1の内部電極と、第2の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された第2の内部電極と、第1の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に形成された第1の電極と、第2の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に形成された第2の電極と、第1及び第2の圧電体の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材とを具備し、第1及び第2の圧電体の凹部の長さが凸部の長さよりも大きく、第1の内部電極と第2の内部電極との間に充填材が充填されるように、第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部と第2の圧電体の複数の凸部及び複数の凹部とが所定の間隔を伴って嵌合されて、積層圧電複合体が形成されている。
【0018】
また、本発明の1つの観点に係る超音波トランスデューサの製造方法は、超音波を送信及び/又は受信するための超音波トランスデューサを製造する方法であって、第1の圧電体の第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を形成すると共に、第2の圧電体の第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を形成して、第1及び第2の圧電体の凹部の長さを凸部の長さよりも大きくする工程(a)と、第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って第1の内部電極を形成すると共に、第2の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って第2の内部電極を形成する工程(b)と、第1の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に第1の電極を形成すると共に、第2の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に第2の電極を形成する工程(c)と、第1及び第2の圧電体の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材が第1の内部電極と第2の内部電極との間に充填されるように、第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部と第2の圧電体の複数の凸部及び複数の凹部とを所定の間隔を伴って嵌合して、積層圧電複合体を形成する工程(d)とを具備する。
【0019】
さらに、本発明の1つの観点に係る超音波探触子は、本発明に係る超音波トランスデューサが複数配列されて形成されたトランスデューサアレイと、トランスデューサアレイの背面に設けられたバッキング材と、トランスデューサアレイの前面に設けられた少なくとも1層の音響整合層とを具備する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1−3コンポジット化と積層化とを両立させることにより、電気機械結合係数を向上させて電気インピーダンスを低下させ、高感度及び広帯域を達成すると共に、音響インピーダンスを低下させて、人体との音響整合性が良く超音波の伝播特性に優れた超音波トランスデューサを提供することができる。さらに、そのような超音波トランスデューサを用いる超音波探触子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波探触子の内部構造を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示す超音波探触子において用いられる超音波トランスデューサアレイ(振動子アレイ)をXY平面と平行な面で切断したときの断面図である。この振動子アレイは、駆動信号が供給されることにより伸縮して超音波を被検体に向けて送信すると共に、被検体によって反射された超音波を受信することにより電気信号(検出信号)を出力する複数の超音波トランスデューサ(振動子)1を有している。
【0022】
各々の振動子1は、第1の表面(下面)に複数の凹部及び複数の凸部が形成された圧電体2aと、第1の表面(上面)に複数の凹部及び複数の凸部が形成された圧電体2bと、圧電体2aの複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された内部電極3aと、圧電体2bの複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された内部電極3bと、圧電体2aの第1の表面に対向する第2の表面上に形成された上部電極5と、圧電体2bの第1の表面に対向する第2の表面上に形成された下部電極6と、圧電体2a及び2bの音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材4とによって構成された積層圧電複合体を有している。
【0023】
ここで、圧電体2a及び2bの凹部の長さが凸部の長さよりも大きく、内部電極3aと内部電極3bとの間に充填材4が充填されるように、圧電体2aの複数の凹部及び複数の凸部と圧電体2bの複数の凸部及び複数の凹部とが所定の間隔を伴って嵌合されている。さらに、複数の振動子1が、振動子アレイ8を構成している。
【0024】
図1に示すように、超音波探触子は、バッキング材11を有しており、振動子アレイ8は、このバッキング材11上に設けられている。振動子アレイ8上には、1つ又は複数の音響整合層(図1においては、2つの音響整合層12a及び12bを示す)と、必要に応じて音響整合層上に音響レンズ13とが設けられる。音響整合層12a及び12bは、例えば、超音波を伝播し易いパイレックス(登録商標)ガラスや金属粉入りエポキシ樹脂等によって形成されており、生体等の被検体と振動子1との間の音響インピーダンスのマッチングを改善する。それにより、振動子1から送信される超音波が、効率良く被検体中に伝播する。音響レンズ13は、例えば、シリコーンゴムによって形成されており、複数の振動子1から送信され、音響整合層12a及び12bを伝播した超音波を、被検体内の所定の深度において集束させる。これらの部分は、筐体に収納され、複数の振動子1から引き出された配線が、ケーブルを介して、超音波診断装置本体内の電子回路に接続される。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサが1−3コンポジットを構成することを概念的に説明するための断面図である。図3(a)に示されるように、2個の圧電体2a及び2bの各々は、互いに向き合っている第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を有している。それらの凹部及び凸部に沿って、内部電極3a及び3bが形成されている。また、圧電体2aの第2の表面上には、上部電極5が形成され、圧電体2bの第2の表面上には、下部電極6が形成されている。図3(b)に示されるように、電極が形成された圧電体2aと圧電体2bとを積層することにより、積層圧電複合体が形成される。
【0026】
ここで、圧電体2a及び2bの複数の凸部が、1つの方向(図1に示すX軸方向)に並べられて同時に動作する1列の振動子群を形成していると見ることができる。これにより、1列の振動子群が、1−3コンポジットの特徴を有することになり、1列の振動子群を構成する個々の振動子(凸部)が、33振動モードで振動する。一般に、圧電振動子においては、33モードにおける電気機械結合定数k33が、板状における電気機械結合定数ktやバー状における電気機械結合定数k33'よりも大きいので、高い変換効率を実現することができる。また、電気機械結合定数k33が大きいことは、振動子の帯域拡大にもつながる。従って、1−3コンポジット化を採用することは、圧電振動子の高感度及び広帯域をもたらす。さらに、圧電体及び電極を積層化することによって、静電容量が増加して電気インピーダンスが低下するので、検出信号の伝送効率が改善される。
【0027】
図4A及び4Bは、本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサを示す図である。図4Aに示されるように、2個の圧電体2a及び2bの各々は、互いに向き合っている第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を有している。図4Aに示されるように、圧電体2a及び2bの凸部の長さをL1、凹部の長さをL2とし、内部電極3a及び3bの厚さが十分に小さいとすると、凹部及び凸部は、L1<L2の関係が成立するように、かつ、圧電体2aと圧電体2bとにおいて同一のピッチで形成される。L1及びL2の具体的な値としては、例えば、L1=150μm、L2=300μmである。
【0028】
圧電体2aの凹部及び凸部に沿って、内部電極3aが形成され、圧電体2bの凹部及び凸部に沿って、内部電極3bが形成されている。また、圧電体2aの第2の表面上には、上部電極5が形成され、圧電体2bの第2の表面上には、下部電極6が形成されている。各々の電極は、例えば、下地接着層をクロム(Cr)とし表面導電層を金(Au)とするクロム/金(Cr/Au)電極として形成され、電極の厚さは、例えば、300nmである。
【0029】
図4Bに示されるように、圧電体2aの複数の凹部及び複数の凸部と圧電体2bの複数の凸部及び複数の凹部とを、圧電体2a及び2bの音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材4を挟んで嵌合することにより、積層圧電複合体が形成される。ここで、圧電体2a及び2bの凸部の長さL1と凹部の長さL2との間には、L1<L2の関係が成立しているので、積層圧電複合体の長手方向において、内部電極3aと内部電極3bとの間には隙間が形成され、この隙間にも充填材4が充填される。
【0030】
圧電体2a及び2bは、例えば、リラクサ系圧電体である富士セラミックスのC−91Hにより形成される。充填材4の材料は、音響インピーダンスが圧電セラミックスの音響インピーダンス25Mrayl〜35Mraylよりも低く、かつ、接着能力を有する材料の中から選択される。
【0031】
そのような材料としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等の音響インピーダンス2.0Mrayl〜3.5Mrayl程度の樹脂系材料、音響インピーダンス11.7Mraylの銀ペースト(銀30%、エポキシ樹脂70%)、音響インピーダンス2.61Mraylのポリイミド、音響インピーダンス18Mrayl程度の半田、音響インピーダンス2.38Mraylのグリセリン、音響インピーダンス13.0Mrayl〜15.0Mrayl程度のガラス、音響インピーダンス3.21Mraylの有機ガラス、音響インピーダンス2.5Mraylのポリスチロール、音響インピーダンス2.80Mraylの硬質ゴム、音響インピーダンス1.46Mraylの軟質ゴム等が挙げられる。
【0032】
例えば、樹脂として、エポキシテクノロジー社のエポテック301−2FLが使用される。また、樹脂に放熱効果を持たせる場合には、ケミテック(株)製のケシミールS−8586、又は、出光興産製のXE11−C2148が使用される。
【0033】
図4Bにおいて、上部電極5及び下部電極6を接地電位に接続し、内部電極3a及び3bに駆動電圧を印加することにより、振動子1を駆動しても良い。あるいは、内部電極3a及び3bを接地電位に接続し、上部電極5及び下部電極6に駆動電圧を印加することにより、振動子1を駆動しても良い。このようにして形成された振動子1を1つの方向(図1に示すY方向)に並べることにより、1次元振動子アレイが形成される。振動子アレイの全体の大きさは、例えば、長さ5mm、幅5mm、厚さ600μmである。
【0034】
本実施形態においては、圧電体2aと圧電体2bとの間に、圧電体よりも音響インピーダンスの小さい樹脂が充填されるので、振動子1の音響インピーダンスが低くなり、界面における超音波の反射を低減することができる。これにより、被検体に効率的に超音波を伝播することができる。また、振動子1の間に、樹脂を充填することにより、静電容量が減少し、電気インピーダンスが増加するが、圧電体及び電極を積層することにより静電容量の増加を実現し、電気インピーダンスを低減している。さらに、振動子の厚さt1(電極を除く)、及び、圧電体2a及び2bの凹部における圧電体の厚さt2及びt3の値を適切に決めることによって、所望の複数の共振周波数を得ることができ、また、それらの領域の面積比を適切に決めることによって、周波数感度特性のバランスを取ることができる。従って、振動子の広帯域化を実現することが可能であり、特に、ハーモニックイメージングやコントラストドップラーイメージングを行う際に有利である。
【0035】
本実施形態において、積層圧電複合体の厚さt1と、圧電体2a及び2bの凹部における圧電体の厚さt2及びt3を、それぞれt1=600μm、t2=t3=150μmとした場合の、電気インピーダンスと位相の実測値について説明する。図5(a)は、電気インピーダンスの実測値の周波数依存性を示す図であり、図5(b)は、位相の実測値の周波数依存性を示す図である。電気インピーダンス及び位相の実測値から、t1=600μmに対応するピーク値が2.5MHz付近に存在し、t2=t3=150μmに対応するピーク値が10.5MHz付近に存在することが読み取れる。
【0036】
図6は、本実施形態の振動子において、積層圧電複合体の厚さt1と、圧電体2aの凹部の厚さt2と、圧電体2bの凹部の厚さt3を、それぞれt1=200μm、t2=t3=135μmとし、平均音響インピーダンスZaveを、Zave=15Mraylとした場合に実測した送受信利得の周波数依存性を示す図である。
【0037】
積層圧電複合体の厚さt1=200μmに対応する送受信利得は、中心周波数8.0MHzをピークとして、比較的低い周波数帯域において大きな送受信利得値を示す。一方、圧電体2a及び2bの凹部の厚さt2=t3=135μmに対応する送受信利得は、中心周波数11.0MHzをピークとして、比較的高い周波数帯域において大きな送受信利得値を示す。圧電体2aと圧電体2bとを積層して形成された積層圧電複合体の送受信利得は、厚さt1に対応する送受信利得と厚さt2に対応する送受信利得とが重畳されることにより、広い周波数帯域において平坦な送受信利得値を示す。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7及び図8は、本発明の第2の実施形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波探触子、及び、それらの製造工程を示す図である。図8(d)に示されるように、本実施形態に係る超音波トランスデューサは、積層圧電複合体の左右の側面に、内部電極3a及び3bに接続される側面電極10aと、上部電極5及び下部電極6に接続される側面電極10bとを有する。
【0039】
本実施形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波探触子の製造工程を説明する。まず、図7(a)に示されるように、振動子形成のための素材となる圧電体2a及び2bを準備する。圧電体2a及び2bとしては、例えば、PZTが使用される。次に、図7(b)に示されるように、圧電体2a及び2bの第1の表面に、ダイサー等により複数の溝を形成することにより、複数の凹部及び複数の凸部を形成する。
【0040】
図7(c)に示されるように、メッキ、スパッタリング、又は、蒸着等の方法により、圧電体2aの表面に内部電極3a及び上部電極5を一体的に形成し、圧電体2bの表面に内部電極3b及び下部電極6を一体的に形成する。これらの電極としては、下地接着層をクロム(Cr)とし表面導電層を金(Au)とするクロム/金(Cr/Au)電極を形成することが好ましい。クロム/金電極の厚さは、例えば、300nmとする。なお、上部電極5及び下部電極6は、後の工程において形成するようにしても良い。
【0041】
図7(d)に示されるように、圧電体2a及び2bの第1の表面に充填材4を充填する。充填材4としては、例えば、エポキシテクノロジー社のエポテック301−2FLが使用される。次に、図7(e)に示されるように、充填材4を挟んで圧電体2aと圧電体2bとを貼り合わせて、圧電体2a及び2bを加圧しながら充填材4を硬化させる。これにより、積層圧電複合体が形成される。接着樹脂が硬化した後に、図7(f)に示されるように、切断等の方法を用いて、積層圧電複合体の側面の不要部分を除去する。このとき、内部電極3aと上部電極5とが分離され、内部電極3bと下部電極6とが分離される。
【0042】
図8(a)に示されるように、積層圧電複合体の右側面の内部電極3a及び3bが露出する箇所に絶縁膜9を形成する。この絶縁膜9は、後の工程で、内部電極3a及び3bを側面電極10bから絶縁するために使用される。次に、図8(b)に示されるように、メッキ、スパッタリング、又は、蒸着等の方法により、積層圧電複合体の左側面に側面電極10aを形成し、積層圧電複合体の右側面に側面電極10bを形成する。側面電極10aは、内部電極3a及び3bに接続される。側面電極10bは、絶縁膜9の上を橋絡するように形成されて、上部電極5及び下部電極6に接続されると共に、絶縁膜9によって内部電極3a及び3bから分離される。これらの側面電極としては、下地接着層をクロム(Cr)とし、表面導電層を金(Au)とするクロム/金(Cr/Au)電極を形成することが好ましい。クロム/金電極の厚さは、例えば、300nmとする。
【0043】
次に、図8(c)に示されるように、積層圧電複合体の左上コーナー部と左下コーナー部とにおいて電極が除去される。これにより、上部電極5及び下部電極6が、側面電極10aから絶縁される。内部電極3a及び3bは、側面電極10aに接続されて、側面電極10aを介して外部に接続される。また、上部電極5及び下部電極6は、側面電極10bに接続されて、側面電極10bを介して外部に接続される。この工程で、圧電振動子1が完成する。
【0044】
次に、図8(d)に示されるように、バッキング材11上に、圧電振動子1が配置される。圧電振動子1上には、音響整合層12a及び12bと、音響レンズ13とが設けられる。超音波探触子の左側面には、グランド引出しペースト14とグランド線15とが設けられ、振動子1の内部電極3a及び3bは、側面電極10a、グランド引出しペースト14、グランド線15を介して接地電位に接続される。
【0045】
超音波探触子の右側面には、引出しペースト16、アドレス引出し線17、半田18、及び、アドレス引出しFPC(可撓性回路基板)19が設けられ、上部電極5及び下部電極6は、引出しペースト16、アドレス引出し線17、及び、半田18を介してアドレス引出しFPC19に接続される。グランド引出しペースト14と引出しペースト16は、例えば、銀(Ag)を主な成分とする。アドレス引出し線17は、例えば、銅(Cu)によって形成される。この工程で、超音波探触子の組み立てが完成する。
【0046】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る超音波トランスデューサにおける積層圧電複合体を示す断面図である。第3の実施形態においては、充填材4を挟んで、台形の側面形状を有する複数の凹部及び複数の凸部が形成された圧電体2a及び2bを嵌合することにより、積層圧電複合体が形成される。圧電体2a及び2bの側面形状を台形とすることにより、複数の凹部及び複数の凸部のコーナー部において発生する不要振動が抑制される。このように、圧電体の第1の表面に形成される複数の凹部及び複数の凸部の側面形状は、矩形に限定されるものではない。
【0047】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態においては、圧電体2a及び2bの互いに向き合う第1の表面の形状を、互いに異なるようにしている。例えば、図10(a)は、格子形状に形成された凹部と、そのような凹部に囲まれた凸部とによって構成される第1の表面を有する圧電体を示しており、図10(b)は、1つの方向に長い溝形状に形成された複数の凹部と、そのような凹部に挟まれた山形状に形成された複数の凸部とによって構成される第1の表面を有する圧電体を示している。図10(a)に示される圧電体の凹部及び凸部と、図10(b)に示される圧電体の凸部及び凹部とを互いに嵌合することにより、積層圧電複合体が形成される。
【0048】
圧電体2a及び2bの第1の表面に形成される複数の凹部及び/又は複数の凸部は、直方体に限らず、少なくともコーナー部において丸みを持たせるようにしても良い。図11(a)は、格子形状に配置された円柱形状の複数の凸部が第1の表面に形成された圧電体を示しており、図11(b)は、溝形状に配置されコーナー部に丸みを有する複数の凹部が第1の表面に形成された圧電体を示している。凹部及び/又は凸部のコーナー部に丸みを持たせることにより、横方向の不要共振を低減することができる。
【0049】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図12(a)は、本発明の第5の実施形態に係る超音波トランスデューサのアポタイゼーション構造の一例をXY平面(図1参照)に平行な断面で示す断面図である。図12(b)は、本発明の第5の実施形態に係る超音波トランスデューサのアポタイゼーション構造の一例をXZ平面(図1参照)に平行な断面で示す断面図である。図12においては、説明を簡単にするために、電極が省略されている。
【0050】
振動子の端部においては、不要振動が発生する。本実施形態においては、この不要振動を低減するために、アポタイゼーション構造を採用することにより、振動子の端部に近付くに従って徐々に音響インピーダンス及び音圧出力が小さくなるように振動子が構成されている。即ち、振動子の端部に近付くに従って、圧電体の凸部の長さを小さくすると共に、充填材の長さを大きくすることにより、アポタイゼーション構造が実現されている。この他に、電極を小さくしたり、圧電体の分極量を減らしたり、ピッチの長さを変えることにより、アポタイゼーション構造を実現しても良い。
【0051】
次に、本発明の第5の実施形態の変形例について説明する。図13(a)は、本発明の第5の実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサのアポタイゼーション構造の一例をXY平面(図1参照)に平行な断面で示す断面図である。図13(b)は、本発明の第5の実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサの長手方向における位置と、樹脂に対する圧電体の体積比率との関係を示す図である。図13(a)においては、説明を簡単にするために、電極が省略されている。
【0052】
本実施形態の振動子においては、振動子の長手方向(図1におけるX軸方向)について、振動子の中心において圧電体の体積比率が最大となるようにし、振動子の端部に近付くに従って圧電体の体積比率をガウス分布に従って減少させることによって、アポタイゼーション構造を実現している。ガウス分布f(x)は、平均をm、標準偏差をσとすると、次式で表される。
f(x)=1/sqrt(2π)σ×exp(−(x−m)/2σ
本実施形態においては、このガウス分布f(x)を離散化することによって、圧電体の体積比率が定められている。
【0053】
図13(b)は、振動子の長手方向における長さを11等分して複数のセクションに分け、各セクションにおける樹脂に対する圧電体の体積比率の分布を示している。圧電体としては、PZTが用いられる。図13(b)に示す分布は、標準正規分布となっている。この場合に、振動子のエレベーション方向の長さを5.00mmとすると、1セクションの長さは0.45mm程度となる。本実施形態に係る超音波トランスデューサは、均一な駆動信号が印加された場合に、振動子の長手方向の中心において最大となり、端部に近付くに従って減少するガウス分布(正規分布)に近い音圧分布を有する。これにより、虚像を少なくすることが可能となる。また、サイドローブによるアーチファクトを減少し、コントラスト分解能を向上させることができる。
【0054】
以上述べたように、本発明の実施形態によれば、1−3コンポジット化を採用することによって、圧電振動子の高感度及び広帯域が実現されると共に、振動子を積層化することによって、電気インピーダンスが低下して検出信号の伝送効率が改善される。また、圧電体の間に充填した充填材を利用して筐体に放熱することができるので、振動子の積層化による発熱の増大に伴う振動子の温度上昇を低減することが可能となる。
【0055】
グリーンシート法等による同時焼成によれば積層圧電体を作ることが困難な素材もあるが、本発明の実施形態によれば、個々の圧電体を積層することにより、積層圧電体を形成することができる。また、本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波探触子においては、従来の側面絶縁方式と比較して、初期信頼性及び経時信頼性が向上する。さらに、本発明の実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法は、電着法、印刷法、及び、ディスペンス法を用いる場合と比較して、簡易で再現性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、超音波診断装置において超音波を送受信するために用いられる超音波トランスデューサアレイ及び超音波探触子において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波探触子を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る超音波探触子の内部構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサが1−3コンポジットを構成することを概念的に説明するための断面図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサを示す断面図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサを示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る超音波トランスデューサのインピーダンスを示す図である。
【図6】積層圧電体の各部の厚さによる送受信利得の周波数依存性の変化を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波探触子の製造工程を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波探触子の製造工程を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る超音波トランスデューサにおける積層圧電複合体を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る超音波トランスデューサにおける圧電体を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る超音波トランスデューサにおける圧電体の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る超音波トランスデューサにおける積層複合圧電体を示す断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサにおける積層圧電複合体とその構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 振動子
2a、2b 圧電体
3a、3b 内部電極
4 充填材
5 上部電極
6 下部電極
8 振動子アレイ
9 絶縁膜
10a、10b 側面電極
11 バッキング材
12a、12b 音響整合層
13 音響レンズ
14 グランド引出しペースト
15 グランド線
16 引出しペースト
17 アドレス引出し線
18 半田
19 アドレス引出しFPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部が形成された第1の圧電体と、
第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部が形成された第2の圧電体と、
前記第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された第1の内部電極と、
前記第2の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って形成された第2の内部電極と、
前記第1の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に形成された第1の電極と、
前記第2の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に形成された第2の電極と、
前記第1及び第2の圧電体の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材と、
を具備し、前記第1及び第2の圧電体の凹部の長さが凸部の長さよりも大きく、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との間に前記充填材が充填されるように、前記第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部と前記第2の圧電体の複数の凸部及び複数の凹部とが所定の間隔を伴って嵌合されて、積層圧電複合体が形成されている、超音波トランスデューサ。
【請求項2】
前記第1及び第2の内部電極が露出する前記積層圧電複合体の第1の側面に形成され、前記第1及び第2の内部電極を被覆する絶縁膜と、
前記積層圧電複合体の第1の側面に形成され、前記絶縁膜上を橋絡して前記第1の電極と前記第2の電極とに接続された第1の側面電極と、
前記積層圧電複合体の第2の側面に形成され、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とに接続された第2の側面電極と、
をさらに具備する、請求項1記載の超音波トランスデューサ。
【請求項3】
前記充填材が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂の内の少なくとも1つを含む樹脂系材料と、銀ペーストと、ポリイミドと、半田と、グリセリンと、ガラスと、有機ガラスと、ポリスチロールと、硬質ゴムと、軟質ゴムとの内の少なくとも1つを含む、請求項1又は2記載の超音波トランスデューサ。
【請求項4】
前記充填材に対する前記圧電体の体積比率が、前記積層圧電複合体の長手方向において中心部から端部に行くに従って減少する、請求項1〜3のいずれか1項記載の超音波トランスデューサ。
【請求項5】
前記第1の圧電体及び/又は前記第2の圧電体に形成された複数の凹部及び/又は複数の凸部が、少なくともコーナー部において曲面を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の超音波トランスデューサ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の超音波トランスデューサが複数配列されて形成されたトランスデューサアレイと、
前記トランスデューサアレイの背面に設けられたバッキング材と、
前記トランスデューサアレイの前面に設けられた少なくとも1層の音響整合層と、
を具備する超音波探触子。
【請求項7】
超音波を送信及び/又は受信するための超音波トランスデューサを製造する方法であって、
第1の圧電体の第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を形成すると共に、第2の圧電体の第1の表面に複数の凹部及び複数の凸部を形成して、前記第1及び第2の圧電体の凹部の長さを凸部の長さよりも大きくする工程(a)と、
前記第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って第1の内部電極を形成すると共に、前記第2の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部に沿って第2の内部電極を形成する工程(b)と、
前記第1の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に第1の電極を形成すると共に、前記第2の圧電体の第1の表面に対向する第2の表面上に第2の電極を形成する工程(c)と、
前記第1及び第2の圧電体の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する充填材が前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との間に充填されるように、前記第1の圧電体の複数の凹部及び複数の凸部と前記第2の圧電体の複数の凸部及び複数の凹部とを所定の間隔を伴って嵌合して、積層圧電複合体を形成する工程(d)と、
を具備する超音波トランスデューサの製造方法。
【請求項8】
前記積層圧電複合体の両端を除去する工程(e)をさらに具備する、請求項7記載の超音波トランスデューサの製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の内部電極が露出する前記積層圧電複合体の第1の側面に、前記第1及び第2の内部電極を被覆する絶縁膜を形成する工程(f)と、
前記積層圧電複合体の第1の側面に、前記絶縁膜上を橋絡して前記第1の電極と前記第2の電極とに接続される第1の側面電極を形成すると共に、前記積層圧電複合体の第2の側面に、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極とに接続される第2の側面電極を形成する工程(g)と、
をさらに具備する、請求項8記載の超音波トランスデューサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−72349(P2009−72349A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243601(P2007−243601)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】