説明

車両のフロントフェンダー部構造

【課題】 車両前面衝突時にフロントフェンダーの先端縁部が突出した状態に残ることを防止することができる車両のフロントフェンダー部構造の提供。
【解決手段】 フロントフェンダー1の車両先端縁部にヘッドランプアッセンブリ2の側縁部が連なる状態で該ヘッドランプアッセンブリ2とフロントフェンダー1が合成樹脂により一体に成形された構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントフェンダー部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両にあっては、金属製フロントフェンダーの車両先端縁部に、車両前面部構成部材を構成する合成樹脂製ヘッドランプアッセンブリの側縁部が連なる状態で設けられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−264858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来例の車両のフロントフェンダー部構造にあっては、フロントフェンダーとヘッドランプアッセンブリとが別体で、しかも、フロントフェンダーが金属製であるのに対し、ヘッドランプアッセンブリが合成樹脂製であったため、車両の前面衝突により、金属に比べて剛性の低い合成樹脂製のヘッドランプアッセンブリが破損して金属製のフロントフェンダーが残り、該フロントフェンダーの先端縁部が車両前面に突出した状態になるため、被衝突体の被害を大きくするという問題があった。
【0004】
また、車両が壁やガードレール等に側面衝突した際には、フロントフェンダーの先端縁部がガードレール等の継ぎ目に刺さってフロントフェンダーの一部が切り裂かれる可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、車両前面衝突時にフロントフェンダーの先端縁部が突出した状態に残ることを防止することができる車両のフロントフェンダー部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の車両のフロントフェンダー部構造は、フロントフェンダーの車両先端縁部に車両前面部構成部材の側縁部が連なる状態で該車両前面部構成部材と前記フロントフェンダーが合成樹脂により一体に成形されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両のフロントフェンダー部構造では、上述のように、フロントフェンダーの車両先端縁部に車両前面部構成部材の側縁部が連なる状態で該車両前面部構成部材と前記フロントフェンダーが合成樹脂により一体に成形されている構成としたことで、車両前面衝突時には車両前面部構成部材と一体のフロントフェンダーにも破損が及ぶため、フロントフェンダーの先端縁部が突出した状態に残ることを防止することができるようになるという効果が得られる。
【0008】
また、合成樹脂で構成されるフロントフェンダーの強度を車両前面部構成部材と一体に成形することによって補強することができるようになる。
【0009】
また、フロントフェンダーと車両前面部構成部材の車体への組み付けを別々に行う従来例に比べて、車体への組み付け工数を少なくすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
この実施例の車両のフロントフェンダー部構造は、請求項1、2に記載の発明に対応する。
【0012】
まず、この実施例の車両のフロントフェンダー部構造を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1はこの実施例の車両のフロントフェンダー部構造を示す斜視図である。
【0014】
この実施例の車両のフロントフェンダー部構造は、フロントフェンダー1と、ヘッドランプアッセンブリ(車両前面部構成部材)2とを備えている。
【0015】
さらに詳述すると、この実施例では、フロントフェンダー1の車両先端縁部にヘッドランプアッセンブリ2の側縁部が連なる状態で該ヘッドランプアッセンブリ2とフロントフェンダー1が合成樹脂により一体に成形された構造になっていて、車体3に対し一体に組み付けられるようになっている。
【0016】
上記ヘッドランプアッセンブリ2は、前面が開口するボックス状のヘッドランプハウジング21と、該ヘッドランプハウジング21の前面開口部を塞ぐ状態に組み付け固定されるランプレンズ22と、ヘッドランプハウジング21の基板部21aに組み付けられる2個のリフレクター23と、該リフレクター23にそれぞれ取り付けられる電球24とで構成されている。
【0017】
また、上記車体3は、フロントサイドメンバー31と、ラジエータコアサポート32と、フードレッジ33と、フロントストラットハウジング34とを備えている。
【0018】
そして、上記フロントフェンダー1の上縁部内側に形成された取付フランジ部11には固定用ボルト孔11aが形成されると共に、ヘッドランプハウジング21における基板部21aの裏面側には固定用ボルト孔25aを備えたブラケット25が取り付け固定されている。
【0019】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0020】
この実施例の車両のフロントフェンダー部構造では上述のように構成されるため、固定用ボルト孔11a、25aに差し込んだボルト4を、車体3におけるラジエータコアサポート32のアッパー部32aと、フードレッジ33のアッパー部分33aに形成されたねじ孔32b、33bにそれぞれねじ込むことにより、ヘッドランプアッセンブリ2が一体化されたフロントフェンダー1が車体3に対し同時に組み付け固定することができる。
【0021】
次に、この実施例の効果を説明する。
【0022】
この実施例の車両のフロントフェンダー部構造では、上述のように、フロントフェンダー1の車両先端縁部にヘッドランプアッセンブリ2の側縁部が連なる状態で該ヘッドランプアッセンブリ2とフロントフェンダー1が合成樹脂により一体に成形された構造としたことで、車両前面衝突時にはヘッドランプアッセンブリ2と一体のフロントフェンダー1にも破損が及ぶため、フロントフェンダー1の先端縁部が突出した状態に残ることを防止することができるようになるという効果が得られる。
【0023】
また、合成樹脂で構成されるフロントフェンダー1の強度をヘッドランプアッセンブリ2と一体に成形することによって補強することができるようになる。
【0024】
また、フロントフェンダー1とヘッドランプアッセンブリ2の車体3への組み付けを別々に行う従来例に比べて、車体3への組み付け工数を少なくすることができるようになる。
【0025】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0026】
例えば、実施例では、車両前面部構成部材としてヘッドランプアッセンブリ2を示したが、その他にフロントグリルやカバー等フロントフェンダーを一体成形する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例の車両のフロントフェンダー部構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 フロントフェンダー
11 取付フランジ部
11a 固定用ボルト孔
2 ヘッドランプアッセンブリ(車両前面部構成部材)
21 ヘッドランプハウジング
21a 基板部
22 ランプレンズ
23 リフレクター
24 電球
25 ブラケット
25a 固定用ボルト孔
3 車体
31 フロントサイドメンバー
32 ラジエータコアサポート
32a アッパー部
32b ねじ孔
33 フードレッジ
33a アッパー部分
33b ねじ孔
34 フロントストラットハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフェンダーの車両先端縁部に車両前面部構成部材の側縁部が連なる状態で該車両前面部構成部材と前記フロントフェンダーが合成樹脂により一体に成形されていることを特徴とする車両のフロントフェンダー部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のフロントフェンダー部構造において、前記車両前面部構成部材がヘッドランプアッセンブリで構成されていることを特徴とする車両のフロントフェンダー部構造。

【図1】
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【公開番号】特開2008−12941(P2008−12941A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182881(P2006−182881)
【出願日】平成18年7月1日(2006.7.1)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】