説明

車両の制御装置

【課題】何れかのスロットルセンサに異常が有った場合でも、従来と比較して適切に車両を制御することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ECUは、第1および第2のスロットルセンサに異常が有るか否かを判定する(ステップS101)。そして、ECUは、スロットルセンサに異常が有る場合には、目標エンジントルクと実エンジントルクとの差が所定値より小さいか否かを判定する(ステップS103)。ECUは、当該差が所定値より大きい場合には、第1のスロットルセンサを異常と判定し(ステップS106)、第2のスロットルセンサを用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された内燃機関を制御する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された内燃機関を制御するため、電子スロットルシステムが採用されている。この電子スロットルシステムでは、アクセルペダルの踏込量をアクセルセンサによって検出し、その検出値に応じて目標スロットル開度を設定し、スロットルセンサによって検出したスロットル開度を目標スロットル開度に一致させるように、スロットルバルブを駆動するモータをフィードバック制御するようになっている。
【0003】
このような、電子スロットルを採用した車両の制御装置においては、スロットルセンサが異常を検出した時に、モータとスロットルバルブとの間をつなぐ電磁クラッチをオフにしてスロットル制御を停止し、異常を警告表示するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に開示された車両の制御装置にあっては、スロットル駆動手段に与える制御量を所定値に設定し、判定ディレー期間が経過しても異常検出手段がセンサ異常を検出し続けているときにスロットル制御を制御停止手段により停止して、退避走行に移行する。
【0005】
これにより、センサ異常を検出してからスロットル制御を停止するまでに判定ディレー期間を持たせているので、ノイズや断線等によるセンサ異常の誤検出を排除することができる。さらに、センサ異常検出後の判定ディレー期間中は、スロットル駆動手段に与える制御量を所定値に固定するため、スロットルセンサの異常出力に基づく誤ったフィードバック制御を回避でき、電子スロットルバルブの信頼性を向上できる。
【0006】
また、この特許文献1に開示された車両の制御装置は、2つのスロットルセンサから出力された出力値に基づいて正常なスロットルセンサを特定して、判定ディレー期間中に正常なスロットルセンサの出力に基づくフィードバック制御を実行するようになっている。
【0007】
具体的には、2つのスロットルセンサから出力された出力電圧の偏差の絶対値を予め設定された所定の異常判定値と比較し、出力電圧の偏差の絶対値が予め設定された所定の異常判定値より大きい場合には、何れかのスロットルセンサが接続不良等の異常が発生していることを判定する。さらに、各スロットルセンサの出力電圧が、正常な電圧の範囲内か否かが判定され、正常な電圧範囲内にある出力電圧を有するスロットルセンサを正常と特定するようになっている。したがって、このように特定された正常なスロットルセンサの出力電圧に基づいてフィードバック制御を実行し、判定ディレー期間中に正常なスロットルセンサが無いか判別できない時に制御量を所定値に設定するようになっている。
【0008】
このような構成により、判定ディレー期間中でも、正常なスロットルセンサの出力に基づくフィードバック制御を実行することができ、判定ディレー期間中のスロットル制御性を向上することができる。
【0009】
ここで、近年ハイブリッド車両が増加してきており、このハイブリッド車両に搭載されるハイブリッドシステムとして、シリーズ型やシリーズ・パラレル型のものがよく知られている。例えば、シリーズ・パラレル型のハイブリッドシステムは、エンジンの出力軸に連結され、エンジンの動力に基づいて発電する第1の回転電機と、エンジンの動力を車輪軸に伝達する動力分割機構と、を含み、動力分割機構は、入力されたエンジンの動力を車輪軸への駆動力または第1の回転電機への動力に分割し、動力分割機構と車輪軸との間には、車輪軸に駆動力を付与する第2の回転電機が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−238389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の車両の制御装置は、ハイブリッド車両に対して何ら考慮されていないという問題があった。すなわち、従来のハイブリッド車両においては、例えば、エンジンを停止させて回転電機で車輪軸を駆動する電気走行モードへ移行することが考えられるが、電気走行モードでは充電することができず航続距離が限られているため、ディーラや修理工場まで走行することができないという可能性があった。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、何れかのスロットルセンサに異常が有った場合でも、従来と比較して適切に車両を制御することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る燃料供給装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に連結され、前記内燃機関の動力に基づいて発電する回転電機と、を備えたハイブリット車両において、前記内燃機関のスロットル開度を検出する第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサを有する車両の制御装置であって、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサの異常を検出する異常検出手段と、前記異常検出手段によって前記第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち何れかに異常が検出された場合に、前記内燃機関の目標トルクと出力トルクとに基づいて前記第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち正常なスロットルセンサを特定し、前記正常なスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成により、第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち何れかに異常が発生した場合に、目標トルクと出力トルクとに基づいて故障が発生したスロットルセンサを特定することができる。この結果、スロットルセンサに異常が有った場合でも、何れのスロットルセンサに異常が有るかを特定して、異常が発生していないスロットルセンサの検出結果に基づいて継続して内燃機関を制御することができるので、電気走行モードの移行を抑制することができ、従来と比較して適切に車両を制御することができる。
【0015】
上記(1)に記載の車両の制御装置においては、(2)前記制御手段は、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差と、予め定められた値と、を比較することにより、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサのうち正常なスロットルセンサを特定することを特徴とする。
【0016】
この構成により、異常検出手段によって第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサの何れかに異常が有ると検出された場合に、目標トルクおよび出力トルクの差と、予め定められた値とに基づいて正常なスロットルセンサを特定することができる。
【0017】
上記(2)に記載の車両の制御装置においては、(3)前記制御手段は、前記第1のスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御している場合に、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差が、予め定められた値より大きい場合には、前記第2のスロットルセンサを正常なスロットルセンサであると特定することを特徴とする。
【0018】
この構成により、異常検出手段によって第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサの何れかに異常が有ると検出された場合に、目標トルクおよび出力トルクの差と、予め定められた値と、に基づいて正常なスロットルセンサと異常なスロットルセンサとを特定することができる。
【0019】
上記(2)に記載の車両の制御装置においては、(4)前記制御手段は、前記第1のスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御している場合に、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差が、予め定められた値より小さい場合には、前記第1のスロットルセンサを正常なスロットルセンサであると特定することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【0020】
この構成により、異常検出手段によって第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサの何れかに異常が有ると検出された場合に、目標トルクおよび出力トルクの差と、予め定められた値と、に基づいて正常なスロットルセンサと異常なスロットルセンサとを特定することができる。
【0021】
上記(1)から(4)の何れかに記載の車両の制御装置においては、(5)前記異常検出手段は、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサによってそれぞれ検出されたスロットル開度の差が、予め定められた値より大きいことを条件に、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサのうち何れかのスロットルセンサに異常が有るかを判定することを特徴とする。
【0022】
この構成により、第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち何れかに異常が有るかを判定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、何れかのスロットルセンサに異常が有った場合でも、何れのスロットルセンサに異常が有るかを特定して、電気走行モードの移行を抑制することができ、従来と比較して適切に車両を制御することができる車両の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両の制御装置が適用されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンの概略構成を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る2つのスロットルセンサの出力特性を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る動力分割機構を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る動力分割機構における各回転要素の回転速度の相対関係を直線で表す共線図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るアクセル開度をパラメータとして車速とユーザ要求パワーとの関係を予め実験的に求められて記憶されたユーザ要求パワーマップの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るエンジン要求回転速度をパラメータとしてエンジン要求トルクと要求スロットルバルブ開度との関係を予め実験的に求められて記憶された要求スロットルバルブ開度マップの一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンECUによって実行される電子スロットル制御のフロー図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る予め実験的に求められて記憶されたスロットルバルブ開度推定マップの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るエンジンECUによって実行される電子スロットル制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置が適用されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【0027】
ハイブリッド車両10は、駆動源としての内燃機関(以下、単にエンジンともいう)12と、動力分割機構200を介してエンジン12の出力軸と連結される回転電機であるモータジェネレータ(MG)140と、を備えている。ここで、内燃機関は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が適用可能である。
【0028】
モータジェネレータ140は、第1モータジェネレータ140Aと、第2モータジェネレータ140Bとを備えている。第1モータジェネレータ140Aは、反力を発生させるジェネレータ(発電)機能を少なくとも備えており、第2モータジェネレータ140Bは、走行用の駆動源として駆動力を出力するモータ(電動機)機能を少なくとも備えている。したがって、モータジェネレータ140は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、第1モータジェネレータ140Aが発電機として機能したり、第2モータジェネレータ140Bが電動機として機能したりするようになっている。
【0029】
ハイブリッド車両は、この他に、エンジン12やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン12やモータジェネレータ140に伝達する減速機180と、エンジン12の発生する動力を駆動輪160と第2モータジェネレータ140Bとの2経路に分配する例えば遊星歯車機構によって構成された動力分割機構200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流と第1モータジェネレータ140Aおよび第2モータジェネレータ140Bの交流とを変換しながら電流制御を行うインバータ240と、走行用バッテリ220の充放電状態を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECUという)260と、エンジン12の動作状態を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140およびバッテリECU260、インバータ240等を制御するMG_ECU300と、バッテリECU260、エンジンECU280およびMG_ECU300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するHV_ECU320等と、を備えている。なお、走行用バッテリではなくキャパシタ等の蓄電機構であってもよい。
【0030】
走行用バッテリ220とインバータ240との間にはコンバータ242が設けられている。コンバータ242は、走行用バッテリ220から第1モータジェネレータ140Aや第2モータジェネレータ140Bに電力を供給するときには、コンバータ242で電力を昇圧する。これは、走行用バッテリ220の定格電圧が、第1モータジェネレータ140Aや第2モータジェネレータ140Bの定格電圧よりも低いためである。また、コンバータ242には、平滑コンデンサが内蔵されており、コンバータ242が昇圧動作を行う際には、この平滑コンデンサに電荷が蓄えられる。
【0031】
なお、図1においては、各ECUを別構成しているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい。エンジンECU280とHV_ECU320とを統合したECUとすることができる。
【0032】
運転席には、図示しないアクセルペダルが設けられており、アクセルポジションセンサ34は、アクセルペダルの踏込み量を検知する。アクセルポジションセンサ34は、アクセルペダルの踏込み量を示す信号をHV_ECU320に出力する。
【0033】
さらに、車速センサ33は、ハイブリッド車両10の速度を検出するセンサである。車両の速度とは、例えば、車輪軸の回転速度であってもよいし、トランスミッションの出力軸の回転速度であってもよい。車速センサ33は、検出した車速を示す信号をHV_ECU320に出力する。
【0034】
インバータ240には、MG1のV相とW相に配置された図示しないインバータ電流センサが設けられており、このインバータ電流センサは、MG1の三相交流の入出力電流値を検出するようになっており、MG_ECU300に出力する。MG_ECU300はこの検出値をHV_ECU320に出力するようになっている。
【0035】
動力分割機構200は、エンジン12の動力を、駆動輪160と第2モータジェネレータ140Bとの両方に振り分けるために、遊星歯車機構が用いられている。第2モータジェネレータ140Bの回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。
【0036】
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両10においては、発進時や低速走行時等であってエンジン12の効率が悪い場合には、モータジェネレータ140の第1モータジェネレータ140Aのみによりハイブリッド車両の走行を行う。また、通常走行時には、例えば動力分割機構200によりエンジン12の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行い、他方で第2モータジェネレータ140Bを駆動して発電を行う。この時、発生する電力で第1モータジェネレータ140Aを駆動して駆動輪160の駆動補助を行う。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力を第1モータジェネレータ140Aに供給して第1モータジェネレータ140Aの出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行う。
【0037】
一方、減速時には、駆動輪160により従動する第1モータジェネレータ140Aがジェネレータとして機能して回生発電を行い、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン12の出力を増加して第2モータジェネレータ140Bによる発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。もちろん、低速走行時でも必要に応じてエンジン12の駆動力を増加する制御を行う場合もある。例えば、上述のように走行用バッテリ220の充電が必要な場合や、エアコン等の補機を駆動する場合や、エンジン12の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合等である。
【0038】
さらに、図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両10においては、車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態によっては、燃費を向上させるために、エンジン12を停止させる。そして、その後も車両の運転状態や走行用バッテリ220の状態を検知して、エンジン12を再始動させる。このように、このエンジン12は間欠運転され、エンジンしか搭載していない従来の車両とは異なる。
【0039】
図2は、エンジンの概略構成を説明する図である。
図2に示すように、エンジン12は、公知の自動車用ガソリンエンジンであり、シリンダヘッドとピストン42との間に設けられた燃焼室44と、燃焼室44の吸気ポートに接続された吸気管46と、燃焼室44の排気ポートに接続された排気管48と、シリンダヘッドに設けられ燃焼室44に吸入される吸気(吸入空気)に燃料を噴射供給する燃料噴射装置50と、燃料噴射装置50により噴射供給された燃料と吸入された空気とから構成される燃焼室44内の混合気に点火する点火装置52とを備えている。また、吸気管46内には、その上流部分に電子スロットルバルブ(以下、スロットルバルブともいう)54が設けられており、その電子スロットルバルブ54はスロットルアクチュエータ56により開閉作動させられる。
【0040】
図2に示すようにスロットルセンサ84は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bの2つのセンサから構成され、2トラック式のセンサである。図3に示すように、各スロットルセンサの出力電圧VTA1、VTA2は、それぞれのスロットルバルブ開度(スロットル開度)θ1、θ2に応じてリニアに変化するようになっており、各スロットルセンサの出力電圧VTA1、VTA2により実際のスロットルバルブ54の開度を検出できるようになっている。第1のスロットルセンサ84aは、主に制御用に用いられており、第2のスロットルセンサ84bは主に故障検出用に用いられている。さらに、2つの出力電圧VTA1,VTA2の差分値は、各スロットルセンサの出力電圧が正常な場合に所定範囲内になるように設定されている。したがって、2つの出力電圧VTA1,VTA2の差分値が、所定値以内であれば後述するエンジンECU280によって正常と判定される。
【0041】
このエンジン12では、吸気管46から燃焼室44に吸入される吸入空気に燃料噴射装置50から燃料が噴射供給されて混合気が形成され、燃焼室44内でその混合気が点火装置52により点火されて燃焼する。これにより、エンジン12は駆動され、燃焼後の上記混合気は排気ガスEXとして排気管48内へと送り出される。上記燃焼室44に吸入される混合気の空燃比は、例えば、一定の範囲内でハイブリッド車両10の運転状態等に応じて制御される。
【0042】
エンジンECU280は、例えばエンジン12の出力制御を行うようになっており、HV_ECU320やその他のECUとの間でそれぞれ各センサ等から取得した検出結果を相互に送受信を行うようになっている。また、各ECUは、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりハイブリッド車両10の各種制御を実行する。
【0043】
エンジンECU280には、例えば吸気管46のスロットルバルブ54よりも上流側に設けられたエアフローメータ82により検出された吸入空気量Qを表す信号、第1のスロットルポジションセンサ(以下、スロットルセンサともいう)84aおよび第2のスロットルポジションセンサ84bにより検出された電子スロットルバルブ54の開度すなわちスロットルバルブ開度θTA1およびスロットルバルブ開度θTA2を表す信号、排気管48に設けられた空燃比センサ87により検出された排気ガスEXに対応する空燃比A/Fの状態を表す信号、水温センサ88により検出されたエンジン12の冷却水温TEMPwを表す信号、エンジン回転速度センサ89により検出されたエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Neを表す信号が供給される。
【0044】
また、エンジンECU280には、アクセルポジションセンサ34(図1参照)により検出されたハイブリッド車両10に対する運転者(ユーザ)の加速要求量としての図示しない公知のアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、車速センサ33(図1参照)により検出された車輪軸の回転速度(以下、出力回転速度)Noutに対応する車速Vを表す信号などが、それぞれHV_ECU320(図1参照)を介して供給される。
【0045】
また、エンジンECU280からは、例えばスロットルバルブ開度θTAを操作するためのスロットルアクチュエータ56への駆動信号や燃料噴射装置50による吸気管46或いはエンジン12の各気筒内への燃料供給量を制御する燃料供給量信号や点火装置52によるエンジン12の点火時期を指令する点火信号などが、それぞれ出力される。
【0046】
図4に示すように、動力分割機構200は、サンギヤ202と、リングギヤ206と、サンギヤ202とリングギヤ206との間の複数のピニオンギヤ208の回転軸を連結して設けられるプラネタリキャリア204とを含む遊星歯車機構である。サンギヤ202は、第2モータジェネレータ140Bの回転軸に接続される。リングギヤ206は、第1モータジェネレータ140Aの回転軸に接続される。そして、プラネタリキャリア204は、エンジン12の出力軸に接続される。
【0047】
第1モータジェネレータ140Aおよびリングギヤ206が一体的に回転する回転軸にはさらにチェーンドライブスプロケット(1)216が接続される。チェーンドライブスプロケット(1)216における動力は、チェーン210を介してチェーンドライブスプロケット(2)212に伝達され、チェーンドライブスプロケット(2)212は、カウンタドライブギヤ214から減速機180(図1参照)に動力を伝達する。
【0048】
すなわち、エンジン12の回転力はプラネタリキャリア204に入力され、それがサンギヤ202によって第2モータジェネレータ140Bに、リングギヤ206によって第1モータジェネレータ140Aおよび出力軸、すなわち車輪軸を介して駆動輪160に伝えられる。
【0049】
図5は、動力分割機構200において各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表す共線図を示している。この図5に示す共線図は、遊星歯車機構のギヤ比ρの関係を示す横軸と、相対的回転速度を示す縦軸とから成る二次元座標であり、横線X1が回転速度零を示し、横線X2が回転速度「1.0」すなわちエンジン12の出力軸に連結されたエンジン12の回転数Neを示している。
【0050】
また、動力分割機構200を構成する遊星歯車機構の3つの要素に対応する3本の縦線Y1、Y2、Y3は、左側から順に第2回転要素に対応するサンギヤS、第1回転要素に対応するプラネットキャリヤCA、第3回転要素に対応するリングギヤRの相対回転速度を示すものであり、それらの間隔は遊星歯車機構のギヤ比ρに応じて定められている。
【0051】
具体的には、共線図の縦軸間の関係においてサンギヤとプラネットキャリヤとの間が「1」に対応する間隔となると、プラネットキャリヤとリングギヤとの間が遊星歯車機構のギヤ比ρに対応する間隔とされる。すなわち、動力分割機構200では縦線Y1とY2との縦線間が「1」に対応する間隔に設定され、縦線Y2とY3との間隔はギヤ比ρに対応する間隔に設定される。
【0052】
再び図1に戻り、HV_ECU320は、エンジン12を効率のよい作動域で作動させる一方で、エンジン12と第1モータジェネレータ140Aとの駆動力の配分や第2モータジェネレータ140Bの発電による反力を最適になるように変化させて動力分割機構200の電気的な無段変速機としての変速比を制御する。
【0053】
より詳細には、HV_ECU320は、アクセル開度Accをパラメータとして車速Vとハイブリッド車両10に対する運転者の要求出力(運転者要求パワー)Puserとの予め実験的に求められて記憶された例えば図6に示すようなユーザ要求出力マップから実際のアクセル開度Acc及び車速Vに基づいて運転者の要求パワーPuserを算出する。
【0054】
次に、HV_ECU320は、その要求パワーPuserと例えば走行用バッテリ220の充電状態SOCに基づく充電要求値(充電要求パワー)Pchgとから必要なトータル要求出力Pall(=Puser+Pchg)を算出する。
【0055】
さらに、HV_ECU320は、そのトータル要求出力Pallが得られるように、伝達損失、補機負荷、第1モータジェネレータ140Aのアシストトルク等を考慮してエンジン12に対する要求出力(目標エンジン出力)Pe*を算出する。
【0056】
そして、HV_ECU320は、そのエンジン要求パワーPeが得られるエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとなるようにエンジンECU280を介してエンジン12を制御するとともにモータジェネレータ140の出力または発電を制御するようになっている。
【0057】
つまり、HV_ECU320は、動力性能や燃費向上などのためにエンジン12及びモータジェネレータ140の制御を実行する。このようなハイブリッド制御では、エンジン12を効率のよい作動域で作動させるために定まるエンジン回転速度Neと、車速V等で定まる出力回転速度Noutと、を整合させるために、動力分割機構200が電気的な無段変速機として機能する。すなわち、HV_ECU320は、例えばエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで構成される二次元座標内において無段変速走行の時に運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められたエンジン12の動作曲線の一種である最適燃費率曲線(燃費マップ)を予め記憶している。
【0058】
そして、HV_ECU320は、その最適燃費率曲線にエンジン12の動作点を沿わせるようにエンジン12を制御する。HV_ECU320は、例えば上記トータル要求出力Pallを充足するために必要なエンジン要求パワーPeを発生するためのエンジントルクTeとエンジン回転速度Neとの各目標値(要求値)である目標エンジントルクTe(目標トルク)*と目標エンジン回転速度Ne*とを定める。そして、HV_ECU320は、その目標値が得られるようにエンジン12の出力制御を実行するとともに動力分割機構200の変速比をその変速可能な変化範囲内で無段階に制御する。
【0059】
HV_ECU320は、エンジン要求回転速度Neをパラメータとしてエンジン要求トルクTeとスロットルバルブ開度θTAの目標値(要求値)である目標スロットルバルブ開度(要求スロットルバルブ開度)θTA*との予め実験的に求められて記憶された例えば図7に示すような関係(要求スロットルバルブ開度マップ)から、エンジン要求パワーPeを得るためのエンジン要求トルクTe(目標エンジントルクTe*)及びエンジン要求回転速度Ne(目標エンジン回転速度Ne*)に基づいて要求スロットルバルブ開度θTAを設定する。
【0060】
このため、HV_ECU320は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータ56によりスロットバルブバルブ54を開閉制御させる他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置50による燃料噴射量や噴射時期を制御させ、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置52による点火時期を制御させる指令を単独で或いは組み合わせてエンジンECU280に出力して、必要なエンジン要求パワーPeを発生するためのエンジン要求トルクTeが得られるようにエンジン12の出力制御を実行する。
【0061】
また、HV_ECU320は、第2モータジェネレータ140Bによる発電を制御させる指令をインバータ240に出力して、必要なエンジン要求パワーPeを発生するためのエンジン要求回転速度Neが得られるように第2モータジェネレータ140Bを制御する。
【0062】
また、HV_ECU320は、インバータ240に設けられたインバータ電流センサの検出値に基づいてMG1の実際の出力トルク(実出力トルク)を算出するようになっている。ここで、ROMには、ハイブリッド車両10に搭載されるMG1の出力トルクと電流値とが対応付られたマップを予め記憶している。したがって、HV_ECU320は、インバータ電流センサによって検出された値とマップとに基づいて、MG1の実出力トルクを算出する。
【0063】
さらに、HV_ECU320は、このMG1の実出力トルクTmと動力分割機構200に与えられるギヤ比ρとを用いた以下の式(1)からエンジン12の実エンジントルク(出力トルク)Teを算出することができる。
Te=−(1+ρ)/ρ×Tm (1)
【0064】
エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bの異常を検出するようになっており、本発明に係る異常検出手段を構成している。具体的には、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bによってそれぞれ検出されたスロットルバルブ開度に相当する値の差分値が、予め実験的に定められた値(第1の所定値)より大きいことを条件に、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち少なくとも何れかのスロットルセンサに異常が有るかを判定するようになっている。
【0065】
また、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち何れかに異常が検出された場合に、エンジンの目標エンジントルクTe*と実エンジントルクTeとに基づいて第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち正常なスロットルセンサを特定し、正常なスロットルセンサに基づいてエンジン12を制御するようになっており、本発明の制御手段を構成している。なお、目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeは、前述したようにHV_ECU320によって算出されるので、エンジンECU280は、これらの算出結果をHV_ECU320から取得する。
【0066】
また、エンジンECU280は、この目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeの差分値と、予め定められた値(第2の所定値)と、を比較することにより、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち正常なスロットルセンサを特定するようになっている。すなわち、エンジンECU280は、目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeの差の絶対値が、予め定められた値より大きい場合には、第2のスロットルセンサ84bを正常なスロットルセンサであると特定し、一方、エンジンECU280は、目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeの差の絶対値が、予め定められた値より小さい場合には、第1のスロットルセンサ84aを正常なスロットルセンサであると特定するようになっている。ここで、予め定められた値(第2の所定値)は、予め実験的に定められた値であって、故障したスロットルセンサを特定可能な値に設定される。
【0067】
このように、エンジンECU280は、正常なスロットルセンサによって検出したスロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度に一致させるように、スロットルバルブ54を駆動するスロットルアクチュエータ56をフィードバック制御する。
【0068】
図8は、本実施の形態に係るエンジンECUによって実行される電子スロットル制御のフロー図である。なお、以下の処理は、例えばプッシュスタートスイッチがオンからオフに操作されるまでの間で実行されるとともに、予め定められた時間間隔で実行される。
図8に示すように、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bの出力電圧差が予め定められた第1の所定値以内かを判定する(ステップS101)。次に、ステップS101にて、出力電圧差が第1の所定値以内の場合には、スロットルセンサ84が正常であると判定し(ステップS108)、第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブの開度を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS109)。
【0069】
一方、エンジンECU280は、出力電圧差が第1の所定値以内でない場合には、スロットルセンサ84が異常であると判定する(ステップS102)。
さらに、エンジンECU280は、エンジン12の目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeの差の絶対値と第2の所定値とを比較し(ステップS103)、当該絶対値が第2の所定値よりも小さい場合には、第2のスロットルセンサ84bが異常であると判定し(ステップS104)、第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブ開度を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS105)。
【0070】
一方、エンジンECU280は、エンジン12の目標エンジントルクTe*および実エンジントルクTeの差の絶対値と第2の所定値とを比較し(ステップS103)、当該絶対値が第2の所定値よりも大きい場合には、第1のスロットルセンサ84aが異常であると判定し(ステップS106)、第2のスロットルセンサ84bによって検出されたスロットルバルブ開度を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS107)。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち何れかに異常が発生した場合に、目標エンジントルクTe*と実エンジントルクTeとに基づいて故障が発生したスロットルセンサを特定することができる。この結果、スロットルセンサに異常が有った場合でも、何れのスロットルセンサに異常が有るかを特定して、エンジン12を用いた走行を継続できるので電気走行モードの移行を抑制することができ、従来と比較して適切に車両を制御することができる。
【0072】
以上説明した第1の実施の形態における車両の制御装置は、エンジン12の目標トルクおよび実際の出力トルクに基づいてスロットルセンサの異常を特定したが、以下に説明する第2の実施の形態で示すように、推定したスロットルバルブの開度とスロットルセンサによって検出されたスロットルバルブの開度に基づいてスロットルセンサの異常を特定するようにしてもよい。
【0073】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。したがって、同一の構成については、図1〜8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0074】
エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bの異常を検出するようになっている。具体的には、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bによってそれぞれ検出されたスロットルバルブ開度に相当する値の差が、予め実験的に定められた値(第1の所定値)より大きいことを条件に、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち少なくとも何れかのスロットルセンサに異常が有るかを判定するようになっている。
【0075】
また、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち何れかに異常が検出された場合に、スロットルバルブの開度を推定し、推定したスロットルバルブ推定開度θTAと第1のスロットルセンサ84aによって検出された開度θTA1とに基づいて第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち正常なスロットルセンサを特定し、正常なスロットルセンサに基づいてエンジン12を制御するようになっている。ここで、エンジンECU280は、後述するエンジン12の実エンジントルクTeとエンジン回転速度Neからスロットルバルブ開度θTAを推定するようになっている。エンジン12の実エンジントルクは、HV_ECU320によって算出されるので、エンジンECU280は、算出結果をHV_ECU320から取得するようになっている。また、エンジン12の回転速度(回転数)Neは、実エンジントルクを算出した時のエンジン回転速度Neをエンジン回転速度センサ89から取得する。
【0076】
また、エンジンECU280は、この推定したスロットルバルブ推定開度θTAと第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブ開度θTA1の差分値と、予め定められた値(第3の所定値)と、を比較することにより、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち正常なスロットルセンサを特定するようになっている。すなわち、エンジンECU280は、スロットルバルブ推定開度θTAと検出されたスロットルバルブ開度θTA1の差分値が、予め定められた値より大きい場合には、第2のスロットルセンサ84bを正常なスロットルセンサであると特定し、一方、エンジンECU280は、スロットルバルブ推定開度θTAと検出されたスロットルバルブ開度θTA1の差分値が、予め定められた値より小さい場合には、第1のスロットルセンサ84aを正常なスロットルセンサであると特定し、特定した正常なスロットルセンサに基づいてエンジン12を制御する。ここで、予め定められた値(第3の所定値)は、予め実験的に定められた値であって、故障したスロットルセンサを特定可能な値に設定される。
【0077】
前述したエンジンECU280によるスロットルバルブ開度を推定する機能について説明する。図9に示すように、エンジンECU280は、予めROMにスロットルバルブの開度を推定するスロットルバルブ開度推定マップを記憶している。このスロットルバルブ開度推定マップは、スロットルバルブ開度θTAがエンジン回転速度(回転数)Neと実エンジントルクTeとに対応付けられており、取得された実エンジントルクTeとエンジン回転速度Neに基づいてスロットルバルブ開度θTAがエンジンECU280によって算出されるようになっている。
【0078】
図10は、本実施の形態に係るエンジンECU280によって実行される電子スロットル制御のフロー図である。なお、以下の処理は、例えばプッシュスタートスイッチがオンからオフに操作されるまでの間で実行されるとともに、予め定められた時間間隔で実行される。
図10に示すように、エンジンECU280は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bの出力電圧差が予め定められた第1の所定値以内かを判定する(ステップS201)。次に、ステップS201にて、出力電圧差が第1の所定値以内の場合には、スロットルセンサ84が正常であると判定し(ステップS209)、第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブの開度を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS210)。
【0079】
一方、エンジンECU280は、出力電圧差が第1の所定値以内でない場合には、スロットルセンサ84が異常であると判定する(ステップS202)。
さらに、エンジンECU280は、実エンジントルクTeとその時のエンジン回転速度Neからスロットルバルブ開度を推定する(ステップS203)。そして、エンジンECU280は、推定したスロットルバルブ推定開度θTAと第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブ開度θTA1の差の絶対値と第3の所定値とを比較し(ステップS204)、当該絶対値が第3の所定値よりも小さい場合には、第2のスロットルセンサ84bが異常であると判定し(ステップS205)、第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブの開度θTA1を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS206)。
【0080】
一方、エンジンECU280は、推定したスロットルバルブ推定開度θTAと第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブ開度θTA1の差の絶対値と第3の所定値とを比較し(ステップS204)、当該絶対値が第3の所定値よりも大きい場合には、第1のスロットルセンサ84aが異常であると判定し(ステップS207)、第2のスロットルセンサ84bによって検出されたスロットルバルブの開度θTA2を用いて目標スロットルバルブ開度となるようフィードバック制御を行う(ステップS208)。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、第1のスロットルセンサ84aおよび第2のスロットルセンサ84bのうち何れかに異常が発生した場合に、推定したスロットルバルブ推定開度θTAと第1のスロットルセンサ84aによって検出されたスロットルバルブ開度θTA1とに基づいて故障が発生したスロットルセンサを特定することができる。この結果、スロットルセンサに異常が有った場合でも、何れのスロットルセンサに異常が有るかを特定して、エンジン12を用いた走行を継続できるので電気走行モードの移行を抑制することができ、従来と比較して適切に車両を制御することができる。
【0082】
以上説明した各実施の形態においては実エンジントルクTeをインバータ電流センサの検出した電流値から算出したが、これに限定されず、例えばトルクセンサを設けて求めるようにしてもよい。
【0083】
以上のように、本発明に係る燃料供給装置は、第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち何れのスロットルセンサに異常が有るかを特定して、電気走行モードの移行を抑制することができ、従来と比較して適切に車両を制御することができるという効果を奏するものであり、車両に搭載された内燃機関を制御する車両の制御装置に有用である。
【0084】
10 ハイブリッド車両
12 エンジン
33 車速センサ
34 アクセルポジションセンサ
54 スロットルバルブ
84 スロットルセンサ
200 動力分割機構
280 エンジンECU(異常検出手段、制御手段 車両の制御装置)
300 MG_ECU
320 HV_ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に連結され、前記内燃機関の動力に基づいて発電する回転電機と、を備えたハイブリット車両において、前記内燃機関のスロットル開度を検出する第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサを有する車両の制御装置であって、
前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサの異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって前記第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち何れかに異常が検出された場合に、前記内燃機関の目標トルクと出力トルクとに基づいて前記第1のスロットルセンサおよび第2のスロットルセンサのうち正常なスロットルセンサを特定し、前記正常なスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差と、予め定められた値と、を比較することにより、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサのうち正常なスロットルセンサを特定することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1のスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御している場合に、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差が、予め定められた値より大きい場合には、前記第2のスロットルセンサを正常なスロットルセンサであると特定することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1のスロットルセンサに基づいて前記内燃機関を制御している場合に、前記目標トルクおよび前記出力トルクの差が、予め定められた値より小さい場合には、前記第1のスロットルセンサを正常なスロットルセンサであると特定することを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記異常検出手段は、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサによってそれぞれ検出されたスロットル開度の差が、予め定められた値より大きいことを条件に、前記第1のスロットルセンサおよび前記第2のスロットルセンサのうち何れかのスロットルセンサに異常が有るかを判定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−108437(P2013−108437A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254117(P2011−254117)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】