説明

車両の前部構造

【課題】外観性に優れると共に、走行時の泥跳ねによる泥や水などの進入を抑え、且つ把持しやすいキャリーパイプを備える車両の前部構造を提供する。
【解決手段】車両10の前部構造は、車体フレーム11と、車体フレーム11の前部を覆うフロントカバー52と、フロントカバー52に支持される左右一対のライトユニット81と、車体フレーム11の前端に支持され、上下方向及び左右方向にそれぞれ延出する上下方向延出部85及び左右方向延出部86,87を有するキャリーパイプ82と、キャリーパイプ82の前方に配置されるグリル83と、を備える。グリル83は、キャリーパイプ82の上下方向延出部85を前方から覆い、左右方向延出部86,87の少なくとも一部を露出させ、且つ、ライトユニット81は、グリル83の張り出し部93aとオーバーラップする前方延出壁部105bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整地走行用車両などの車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の不整地走行用車両として、車体前方にライトユニット、キャリーパイプ、フロントグリルなどを備える車両前部構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の前部構造は、キャリーパイプの前面上下方向をフロントグリルで覆い、また、キャリーパイプから側方に延設する把持部を、ライトユニットの縁部を囲んで配置されるカバーにより覆っている。
【特許文献1】特開2005−104282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載の前部構造によると、キャリーパイプがカバーで覆われているので、外観性が向上すると共に、走行時の泥跳ねによる泥や水などをカバーで受けるようにしている。この場合、移動する時に使用する把持部を車体の下方位置に設けることに制限がある。
【0004】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観性に優れると共に、走行時の泥跳ねによる泥や水などの進入を抑え、且つ把持しやすいキャリーパイプを備える車両の前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車体フレームと、車体フレームの前部を覆うフロントカバーと、フロントカバーに支持される左右一対のライトユニットと、車体フレームの前端に支持され、上下方向及び左右方向にそれぞれ延出する延出部を有するキャリーパイプと、キャリーパイプの前方に配置されるグリルと、を備える車両の前部構造において、グリルは、キャリーパイプの上下方向延出部を前方から覆い、左右方向延出部の少なくとも一部を露出させ、且つ、ライトユニットは、グリルとオーバーラップする延出壁部を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、グリルの後方に配置されるラジエータと、ラジエータの側方で、前後方向に延出するシェラウドと、をさらに備え、グリルとライトユニットの延出壁部がオーバーラップするラップ部分は、シェラウドの前方に位置することを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成に加えて、グリルは、キャリーパイプの左右方向延出部を囲うように形成される張り出し部を有し、張り出し部は、ライトユニットの延出壁部とオーバーラップすることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1の構成に加えて、ライトユニットの延出壁部は、キャリーパイプの前記左右方向延出部に沿って延出することを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1の構成に加えて、キャリーパイプは、左右方向に複数の左右方向延出部を有し、少なくとも一対の左右方向延出部の先端部は互いに接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、グリルはキャリーパイプの上下方向延出部を前方から覆い、左右方向延出部の少なくとも一部を露出させ、且つ、ライトユニットの延出壁部はグリルとオーバーラップして配置されているので、外観性の良い車両の前部構造であると共に、グリルと車体側との間の隙間をなくすことができ、これにより、走行時に跳ねられた泥や水などが車体側に進入し難くなる。更に、キャリーパイプの左右方向延出部は、他の部材で覆われていないので容易にキャリーパイプを把持することができ、操作性に優れる。
【0011】
請求項2の発明によれば、グリルの後方に配置されたラジエータと、ラジエータの側方で、前後方向に延出するシェラウドと、をさらに備え、グリルとライトユニットの延出壁部がオーバーラップするラップ部分は、シェラウドの前方に位置するので、グリルとライトユニットの延出壁部により導風通路が形成される。これにより、外部空気はシェラウドに効率的に導かれて、空気の取り込みが容易となる。更に、走行時の泥や水などが車体側へ進入し難くなる。
【0012】
請求項3の発明によれば、グリルは、キャリーパイプの左右方向延出部を囲うように形成される張り出し部を有し、張り出し部は、ライトユニットの延出壁部とオーバーラップするので、グリルと車体側との間の隙間をなくすことができ、泥や水などが車体側に進入し難くなり、また、外観性が向上する。
【0013】
請求項4の発明によれば、ライトユニットの延出壁部は、キャリーパイプの左右方向延出部に沿って延出するので、キャリーパイプの左右方向延出部の後方を覆うことができる。これにより、泥跳ねによる泥や水を延出壁部で受けて車体側に進入させ難くなり、且つ外観性を向上させることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、キャリーパイプは、左右方向に複数の左右方向延出部を有し、少なくとも一対の左右方向延出部の先端部は互いに接続されるので、状況に応じてキャリーパイプの把持し易い部分を把持することができ、操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。図1は本発明に係る車両の前部構造を採用した車両の側面図、図2は本発明に係る車両の平面図である。
【0016】
先ず、図1および図2に基づいて車両10の全体構成について説明する。図1および図2に示すように、車両10は、車体フレーム11のほぼ中央に縦置きのエンジン12及び変速機13からなるパワーユニット14を配置し、このパワーユニット14の前方に配置したフロントファイナルアセンブリ16と変速機13とをフロントプロペラシャフト17で連結し、パワーユニット14の後方に配置したリヤファイナルアセンブリ18と変速機13とをリヤプロペラシャフト21で連結した四輪駆動方式の不整地走行車(ATV)である。
【0017】
車体フレーム11は、パワーユニット14の下部を支持する左右一対のロアフレーム22,23(手前側のロアフレーム22のみ示す。)と、これらのロアフレーム22,23の上部に側面視でパワーユニット14を囲むように取付けたほぼコ字形状の左右一対のアッパフレーム24,25(手前側のアッパフレーム24のみ示す。)と、これらのアッパフレーム24,25の前部上部及びロアフレーム22,23の前端部のそれぞれを連結する左右一対のフロントフレーム26,27(手前側のフロントフレーム26のみ示す。)と、これらのフロントフレーム26,27及びアッパフレーム24,25のそれぞれを連結する左右一対のフロント連結フレーム28,29(手前側のフロント連結フレーム28のみ示す。)と、アッパフレーム24,25の後部上部から後方へ延ばすとともに中間部をロアフレーム22,23の後端に連結した左右一対のリヤアッパフレーム30,31(手前側のリヤアッパフレーム30のみ示す。)と、を備える。
【0018】
エンジン12は、そのシリンダ部32に吸気装置33及び排気装置34を接続したものであり、吸気装置33は、エアクリーナ35、スロットルボディ36、及び吸気ダクト37(図2参照。)を備え、排気装置34は、排気管38とマフラ39とからなる。
【0019】
フロントファイナルアセンブリ16は、左右一対のドライブシャフト40,41(手前側のドライブシャフト40のみ示す。)を介して、左右の前輪42,43側に連結した装置である。
【0020】
リヤファイナルアセンブリ18は、スイングアーム44によって揺動自在に支持されており、左右一対のドライブシャフト45,46(手前側のドライブシャフト45のみ示す)を介して左右の後輪47,48側に連結した装置である。
【0021】
前輪42,43を操舵するバーハンドル49は、ステアリングシャフト50で支持したものであり、ステアリングシャフト50は、左右のアッパフレーム24,25の前部に渡したクロスパイプ(不図示)に上部を回転自在に取付け、左右のフロント連結フレーム28,29に渡したクロスプレート51に下部を回転自在に取付けたものである。
【0022】
また、車体フレーム11は、その前部を覆うと共に、前輪42,43の上方及び後方を覆うフロントカバー52と、フロントカバー52の後方で、車体フレーム11の中間部を覆うボディカバー53と、車体フレーム11の後部を覆うと共に、後輪47,48の前方及び上方を覆うリヤカバー54とによって概ね覆われている。
【0023】
ここで、図1中、61はラジエータ、62,63は左右一対のフロントクッションユニツト(手前側のフロントクッションユニツト62のみ示す。)、64は燃料タンク、65は燃料ポンプ、66はフロントキャリア、67はシート、68はリヤキャリア、69はリヤアッパフレーム30,31側とリヤファイナルアセンブリ18側とに渡したリヤクッションユニットである。また、図2中、71,71は乗員用ステップ、72はギヤチェンジペダル、73はブレーキペダル、74はクラッチレバー、75はブレーキレバーである。
【0024】
ボディカバー53の上面左側には、開口部53aが形成されており、該開口部53aには、四輪駆動方式と二輪駆動方式とを手動により切り換える駆動方式切換レバ−76が配設されている。尚、車両10は、二駆四駆切換仕様と二輪駆動仕様の2仕様の車種があり、ボディカバー53は、これら2つの仕様の車種に共通に使用可能である。二駆四駆切換仕様の場合には、図9(a)及び(b)に示すような切換え用溝77aを有する蓋部材77が開口部53aに臨む。二輪駆動仕様の場合には、図9(c)及び(d)に示すような蓋部材78が開口部53aに取り付けられる。
【0025】
また、フロントカバー52には、左右一対のライトユニット81が支持されると共に、フロントカバー52の前方には、車体フレーム11の前端に支持されるキャリーパイプ82と、キャリーパイプ82の前方に配置されるグリル83が設けられている。
【0026】
次に、本発明に係る車両の前部構造について、図3から図8に基づいて詳細に説明する。図3は理解を容易にするため、前輪、フロントファイナルアセンブリなどを削除して示す図1におけるIII矢視正面図、図4は図3におけるIV矢視側面図、図5は図3におけるV矢視下面図、図6はライトユニットのカバー部材とグリルの配置関係を示す要部拡大図、図7はライトユニットの側面図、図8(a)はライトユニットの灯体部の上面図、図8(b)は(a)のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【0027】
フロントカバー52は、車体の前部を覆う合成樹脂製のカバーであり、前輪42,43の上方および後方を覆うフェンダ部52aが一体に形成されている。フロントカバー52の前方には、ライトユニット81が前方に臨むように左右に一対の取付部52bが形成されている。また、フロントカバー52の上面中央には、リッド84によって覆われる略逆台形のメンテナンス用開口部52cが形成されており、ラジエータ61に給水するなどのメンテナンスを容易に行えるようになっている。尚、フェンダ部52aは、フロントカバー52と別体として形成し、交換可能としてもよい。
【0028】
キャリーパイプ82は、金属製のパイプを溶接して形成された部材であり、上下方向に延設される一対の上下方向延出部85と、上下方向延出部85の略中央で溶接固着されて左右方向に延設する一対の左右方向延出部86,87とを備える。また、一対の上下方向延出部85間には、これらの上部および下部に、連結部材88,89が固着されて連結されている。
【0029】
図3及び図4に示すように、上下方向延出部85の下端および上端には、それぞれ、ボルト孔85a、85bが形成され、更にボルト孔85aのやや上方には、取付けボス85cが配設されている。また、上方に配置される左右方向延出部86は、上下方向延出部85から車幅方向外方にそれぞれ延出しており、下方に配置された左右方向延出部87は、一対の上下方向延出部85間に亘って延びる単一部材によって構成される。さらに、左右方向延出部87の先端部87aは、上方に曲げられて左右方向延出部86の先端部86aに接続されている。
【0030】
さらに、左右方向延出部87には、後方斜め下方に延びる一対の第1ステー90が固着され、それぞれの第1ステー90の後方には、更に、前方斜め上方に延びる一対の第2ステー91が設けられている(図4参照。)。
【0031】
そして、一対の上下方向延出部85の下端部は、ボルト孔85aに挿通されたボルト(図示せず)によりロアフレーム22,23の前端部にそれぞれ締結固定され、一対の第1ステー90の後端部は、フロントフレーム26,27の中間部同士を連結するクロスメンバー92のフランジ部92aにそれぞれボルト(図示せず)により締結固定される。これにより、キャリーパイプ82は、車体フレーム11に強固に固定される。また、キャリーパイプ82の一対の上下方向延出部85の上端部は、ボルト孔85bに挿通されたボルト(図示せず)によりフロントキャリア66の前端部と固定される。
【0032】
グリル83は、キャリーパイプ82の前方に配置される合成樹脂製部材であり、略平行に上下方向に延びる一対のカバー部93と、一対のカバー部93を連結するように車幅方向に延びる複数の連結部94(本実施形態では、5本)とを有して一体形成される。カバー部93は、キャリーパイプ82の上下方向延出部85を囲うように断面略コの字形に形成される。複数の連結部94は、前方から見て、キャリーパイプ82の左右方向延出部87の中間部分及び連結部材88,89を概ね覆う位置に設けられる。これにより、キャリーパイプ82の左右方向延出部86と左右方向延出部87の両端部分はグリル83から露出する。また、グリル83は、カバー部93と連結部94とで複数の空気取り入れ窓部95を画成する。
【0033】
カバー部93の左右方向外側の壁は、上下方向略中間部から下端に亘って、更に後方に延設される張り出し部93aが形成されている(図6参照。)。カバー部93の張り出し部93aには、その中間部分に略U字形のU字溝93bが2箇所形成されると共に、カバー部93の上部及び下部に、取付け孔93c、93dが形成されている。グリル83は、カバー部93にキャリーパイプ82の上下方向延出部85を入り込ませ、且つU字溝93bにキャリーパイプ82の左右方向延出部86,87を入り込ませて、取付け孔93cに挿通したボルト(図示せず)をキャリーパイプ82の取付けボス85cに螺合し、更に、取付け孔93dに樹脂クリップ(図示せず)を車幅方向から挿通させてフロントキャリア66の前端部に形成された側面視略三角形状のブラケット66aと固定する(図4参照。)。
【0034】
左右一対のライトユニット81は、図7に示すように、フロントカバー52に取り付けられるカバー部材101と、エーミングを行うようにカバー部材101に対して揺動自在に取り付けられる灯体部120とを備える。
【0035】
灯体部120は、図8に示すように、車幅方向側方に延出する一対の枢軸121aを有する灯体部本体121と、ソケット部を介して灯体部本体121に取り付けられるバルブ122と、周縁部に形成された複数の係合部123aによって灯体部本体121に係合固定され、バルブ122の前方を覆うレンズ部123とを備える。
【0036】
また、カバー部材101は、図6及び図7に示すように、灯体部本体121の一対の枢軸121aが挿通される一対の取付け孔104aを有し、灯体部120をエーミング可能に配置するカバー本体部104と、キャリーパイプ82の左右方向延出部86,87に沿って延出する下方延出壁部105a及び下方延出壁部105aと略直角に前方に延出する前方延出壁部105bとを備えてカバー本体部104から延びる延出壁部105とを備える。
【0037】
図5に示すように、カバー部材101は、カバー本体部104の前方に形成されたフランジ部104aとフロントカバー52の裏面に形成されたフランジ部52dとを樹脂ピン106によって固定すると共に、カバー本体部104の後方に形成された2箇所の取付部をタッピングスクリュー107,108によりフロントカバー52に締結固定する。さらに、カバー本体部104の下方に設けられた取付けボス104bには、キャリーパイプ82の第2ステー91がボルト109により締結固定されている。
【0038】
このようにしてフロントカバー52及びキャリーパイプ82に支持されたライトユニット81では、その前方延出壁部105bが、グリル83の張り出し部93aの内側に挿入される(図6参照。)。即ち、前方延出壁部105bと張り出し部93aとはオーバーラップして、グリル83と車体側であるライトユニット81との間に隙間を無くし、且つ、これらの間に配置されるキャリーパイプ82の左右方向延出部86,87を囲う。
【0039】
また、図4に示すように、グリル83の後方に配置されたラジエータ61の両側方には、前後方向に延出するシェラウド111が配設されている。ラジエータ61は、フロントフレーム26,27の上部に設けられたステー26a,27a(手前側のステー26aのみ示す)に固定されるラジエータ支持部112と、フロントフレーム26,27間のクロスメンバー92とで支持されており、シェラウド111は、ラジエータ61及びラジエータ支持部112の側方に車体前後方向に延びるように設けられる。
【0040】
このシェラウド111は、グリル83の張り出し部93aと、ライトユニット81の前方延出壁部105bとがオーバーラップするラップ部分の後方に位置する。これにより、グリル83の空気取り入れ窓部95から取り入れられた外部空気は、シェラウド65に効率よく導かれてラジエータ61に取り込まれる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る車両の前部構造によれば、車体フレーム11と、車体フレーム11の前部を覆うフロントカバー52と、フロントカバー52に支持される左右一対のライトユニット81と、車体フレーム11の前端に支持され、上下方向及び左右方向にそれぞれ延出する上下方向延出部85及び左右方向延出部86,87を有するキャリーパイプ82と、キャリーパイプ82の前方に配置されるグリル83と、を備え、グリル83はキャリーパイプ82の上下方向延出部85を前方から覆い、左右方向延出部86,87の少なくとも一部を露出させ、且つ、ライトユニット81のカバー部材101の前方延出壁部105bは、グリル83の張り出し部93aとオーバーラップして配置されているので、外観性の良い車両の前部構造であると共に、グリル83と車体側との間の隙間をなくすことができ、これにより、走行時に跳ねられた泥や水などが車体側に進入し難くなる。更に、キャリーパイプ82の左右方向延出部86,87は、他の部材で覆われていないので容易にキャリーパイプ82を把持することができ、操作性に優れる。
【0042】
また、グリル83の後方に配置されるラジエータ61と、ラジエータ61の側方で、前後方向に延出するシェラウド111と、をさらに備え、グリル83の張り出し部93aとライトユニット81のカバー部材101の前方延出壁部105bがオーバーラップするラップ部分は、シェラウド111の前方に位置するので、グリル83とライトユニット81のカバー部材101の前方延出壁部105bにより導風通路が形成される。これにより、外部空気はシェラウド111に効率的に導かれ、空気の取り込みが容易となる。更に、走行時に泥や水などが車体側へ進入し難くなる。
【0043】
更に、グリル83は、キャリーパイプ82の左右方向延出部86,87を囲うように形成される張り出し部93aを有し、張り出し部93aは、ライトユニット81のカバー部材101の前方延出壁部105bとオーバーラップするので、グリル83と車体側との間の隙間をなくすことができ、泥や水などが進入し難くなり、また、外観性が向上する。
【0044】
また、ライトユニット81のカバー部材101の下方延出壁部105aは、キャリーパイプ82の左右方向延出部86,87に沿って延出するので、キャリーパイプ82の左右方向延出部86,87の後方を覆うことができる。これにより、泥跳ねによる泥や水を下方延出壁部105aで受けて車体側に進入させ難くなり、且つ外観性を向上させることができる。
【0045】
更にまた、キャリーパイプ82は、左右方向に複数の左右方向延出部86,87を有し、少なくとも一対の左右方向延出部86,87の先端部86a,87aは互いに接続されるので、状況に応じてキャリーパイプ82の把持し易い部分を把持することができ、操作性が大幅に向上する。
【0046】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
本実施形態では、ライトユニット81に形成される前方延出壁部105bと、グリル83に形成される張り出し部93aをオーバーラップさせることで、グリル83と車体側との間の隙間をなくしているが、グリル83に張り出し部93aを形成せずに、ライトユニット81の前方延出壁部105bがキャリーパイプ82の左右方向延出部86,87を囲うように形成してグリル83のカバー部93内に進出するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、キャリーパイプ82は、左右に一対の左右方向延出部をそれぞれ有するが、一本ずつ左右方向延出部を有するものであってもよく、3本以上の左右方向延出部を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る車両の前部構造を採用した車両の側面図である。
【図2】本発明に係る車両の平面図である。
【図3】前輪、フロントファイナルアセンブリなどを削除して示す図1におけるIII矢視正面図である。
【図4】図3におけるIV矢視側面図である。
【図5】図3におけるV矢視下面図である。
【図6】ライトユニットのカバー部材とグリルの配置関係を示す要部拡大図である。
【図7】ライトユニットの側面図である。
【図8】(a)はライトユニットの灯体部の上面図であり、b)は(a)のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】(a)及び(b)は二駆四駆切換仕様の場合のボディカバーの蓋部材を示す図で、(c)及び(d)は、二輪駆動仕様の場合のボディカバーの蓋部材を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
11 車体フレーム
52 フロントカバー
61 ラジエータ
81 ライトユニット
82 キャリーパイプ
83 グリル
85 上下方向延出部(延出部)
86,87 左右方向延出部(延出部)
86a,87a 先端部
93a 張り出し部
105 延出壁部
105a 下方延出壁部
105b 前方延出壁部
111 シェラウド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
該車体フレームの前部を覆うフロントカバーと、
該フロントカバーに支持される左右一対のライトユニットと、
前記車体フレームの前端に支持され、上下方向及び左右方向にそれぞれ延出する延出部を有するキャリーパイプと、
該キャリーパイプの前方に配置されるグリルと、
を備える車両の前部構造において、
前記グリルは、前記キャリーパイプの前記上下方向延出部を前方から覆い、前記左右方向延出部の少なくとも一部を露出させ、且つ、前記ライトユニットは、前記グリルとオーバーラップする延出壁部を有することを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記グリルの後方に配置されるラジエータと、
該ラジエータの側方で、前後方向に延出するシェラウドと、
をさらに備え、
前記グリルと前記ライトユニットの延出壁部がオーバーラップするラップ部分は、前記シェラウドの前方に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記グリルは、前記キャリーパイプの前記左右方向延出部を囲うように形成される張り出し部を有し、前記張り出し部は、前記ライトユニットの延出壁部とオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記ライトユニットの延出壁部は、前記キャリーパイプの前記左右方向延出部に沿って延出することを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記キャリーパイプは、左右方向に複数の左右方向延出部を有し、少なくとも一対の左右方向延出部の先端部は互いに接続されることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−137277(P2007−137277A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334432(P2005−334432)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】