説明

車両の情報表示装置

【課題】運転者の前方に多くの情報を表示でき、かつ大型化を抑えることができる車両の情報表示装置を提供する。
【解決手段】車両の情報表示装置30は、運転席の前方に設けられて運転席に対峙する上下の表示面を有する表示部33と、上下の表示面35,34に情報を照射可能な表示手段31と、情報を表示可能な携帯端末38を運転席28に対峙させて支持可能な支持凹部37とを備えている。支持凹部37は、携帯端末38を支持した状態において、運転者50の視点51および下表示面34の下辺34bを結ぶ境界視線74より下方に携帯端末38を配置可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席に対峙する表示面に情報を照射する表示手段を備え、表示手段から照射された情報を表示面に表示する車両の情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、運転中に必要な情報を運転者の前方に表示するために情報表示装置を備えている。この情報表示装置として、運転者の前方に表示面を備え、表示面に液晶プロジェクタなどの表示手段を用いて情報を照射するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−111123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、運転者の前方の表示面には、運転者が必要とする多くの情報を表示することが好ましい。しかし、表示面の形状が同じ大きさの場合、表示面に多くの情報を表示しようとすると、一つ一つの情報が表示面に小さく表示され、各々の情報が目視し難くなることが考えられる。
【0005】
この対策として、例えば、特許文献1の表示手段を表示面から離して、表示面で照射する表示面を大きくすることが考えられる。表示面を大きくすることで、表示面に一つ一つの情報を大きく表示することが可能である。
しかし、表示面を大きくするためには表示手段を表示面から離す必要があり、車両の情報表示装置が大型化してしまう。
【0006】
本発明は、運転者の前方に多くの情報を表示でき、かつ大型化を抑えることができる車両の情報表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、運転席の前方に設けられ、該運転席に対峙する表示面を有する表示部と、前記表示面に情報を照射可能な表示手段と、前記表示部の後方で、かつ前記運転席の前方に設けられ、情報を表示可能な携帯端末を前記運転席に対峙させて支持可能な支持部と、を備え、前記支持部は、前記携帯端末を支持した状態において、運転者の視点および前記表示面の下辺を結ぶ境界視線より下方に前記携帯端末を配置可能に形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記表示部は、車体部と、該車体部から上方に向けて張り出されたフロント窓ガラスとの境界に跨って形成され、前記車体部側の下表示部、前記フロント窓ガラス側の上表示部に、認識の度合いが異なる情報が表示されることを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記表示部の車両後方側に、車両前後方向に延出するインストルメントパネルが設けられ、前記インストルメントパネルの上部に前記支持部が設けられ、前記支持部を用いて、前記携帯端末を車両前方に向けて上り勾配に傾斜させた状態で着脱可能に支持することを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記インストルメントパネルの両側に操行用のハンドルがそれぞれ設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、携帯端末を支持部に支持した状態において、運転者の視点および表示面の下辺を結ぶ境界視線より下方に携帯端末を配置可能とした。
よって、表示面に携帯端末を重ならないように配置して、表示面の情報を携帯端末で遮らないようにできる。
これにより、表示面および携帯端末の多くの情報を運転者の前方に表示できる。
さらに、携帯端末を支持部に支持するだけの簡単な構成で運転者の前方に多くの情報を表示できるので、車両の情報表示装置の大型化を抑えることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、車体部およびフロント窓ガラスの境界に跨って表示部を形成した。よって、車体部とフロント窓ガラスとの境界を利用して下表示部および上表示部を仕切る(区分けする)ことができる。
これにより、下表示部および上表示部を仕切るための仕切部材を専用に用意する必要がないので、下表示部および上表示部を簡単な構成で仕切ることができる。
【0013】
また、下表示部および上表示部を境界で仕切ることで、下表示部および上表示部に認識の度合いが異なる情報を区分けして表示できる。
よって、例えば、認識の度合いが高い情報をまとめて表示し、かつ、認識の度合いが比較的低い情報をまとめて表示することができる。
これにより、認識の度合いが高い情報や認識の度合いが比較的低い情報の確認が容易になり、簡単な構成で情報の視認性を高めることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、インストルメントパネルの上部に支持部を設けた。
ここで、インストルメントパネルの上部は運転者の手が比較的容易にとどきやすい部位である。これにより、インストルメントパネルの上部に支持部を設けることにより、支持部に着脱自在に支持した携帯端末を容易に着脱することができる。
【0015】
ここで、運転者の視点は、携帯端末より車両後方で、かつ上方に位置する。
そこで、携帯端末を支持部で支持した状態において、携帯端末を車両前方に向けて上り勾配に傾斜させるようにした。
よって、携帯端末を運転者の視点に向けて上向きに配置できるので、携帯端末を目視するときの視線を、表示面を目視するときの視線に近づけることができる。
【0016】
これにより、表示面および携帯端末間で情報を交互に目視する際に視線の移動を少なく抑えることができる。
したがって、表示面および携帯端末の情報を容易に目視できるので、情報の視認性を高めることができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、インストルメントパネルの両側に操行用のハンドルを設けることで、両側のハンドルをインストルメントパネルの上部から車幅方向外側に離して配置できる。
これにより、両側のハンドルで表示部や携帯端末を遮らないようにできるので、表示部や携帯端末の情報を容易に目視でき、情報の視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る車両の情報表示装置を備えた車両を示す斜視図である。
【図2】図1の車両の情報表示装置を示す断面図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図3の左右のステアリングハンドルを左右の手で握った状態を示す正面図である。
【図5】図2の携帯端末を支持凹部から外した状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る車両の情報表示装置の変形例1を示す正面図である。
【図7】本発明に係る車両の情報表示装置の変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0020】
実施例に係る車両の情報表示装置30について説明する。
図1に示すように、車両10は、車室11の床部を形成するフロアパネル12と、フロアパネル12の前端部12aに立設されたダッシュボード13と、ダッシュボード13の左右の側部に設けられた左右のフロントピラー14と、左右のフロントピラー14間に設けられたフロント窓ガラス16と、フロント窓ガラス16の下部前方に設けられた前仕切壁(車体部)18とを備えている。
【0021】
さらに、車両10は、前仕切壁18から車両後方に向けて延出されたインストルメントパネル(以下、「インパネ」と略記する)20と、インパネ20の左右側(両側)に設けられた左右のステアリングハンドル(ハンドル、レバー)23,26と、左右のステアリングハンドル23,26の車両後方に設けられた運転席28と、運転席28の車両前方に設けられた車両の情報表示装置30(図2も参照)とを備えている。
【0022】
左フロントピラー14は、ダッシュボード13の左側部から左ルーフ15に向けて上り勾配に延出されている。
右フロントピラー14は、ダッシュボード13の右側部から右ルーフ15に向けて上り勾配に延出されている。
【0023】
フロント窓ガラス16は、左右のフロントピラー14に設けられるとともに、ダッシュボード13の上端部に設けられている。
このフロント窓ガラス16は、前仕切壁18から上方に向けて張り出されている。
【0024】
図2、図3に示すように、前仕切壁18は、車室11およびフロント窓ガラス16の下部16aを仕切るための壁部である。
この前仕切壁18は、左右のフロントピラー14間において、インパネ20の前端部20aおよびフロント窓ガラス16に沿って帯状に形成され、車体の一部を構成する部材である。
【0025】
この前仕切壁18は、フロント窓ガラス16の下部16aに上辺18aが接触され、かつ、インパネ20の前端部20aに下辺18bが接触されている。
このように、フロント窓ガラス16の下部16aに前仕切壁18を設けることで、フロント窓ガラス16に情報を表示するヘッドアップディスプレイと、前仕切壁18に情報を表示する室内表示とに表示内容をエリア分けすることが可能になる。
【0026】
インパネ20は、情報表示装置30の表示部33より車両後方側に設けられ、車両前後方向に延出する(張り出す)ように構成されている。
このインパネ20は、左右のフロントピラー14間に前端部20aが配置され、前端部20aから車両後方に向けて幅寸法が徐々に小さくなるように延出され、後部(以下、「インパネ後部」という)20bが車両後方に向けて下り勾配に形成されている。
【0027】
すなわち、インパネ20は、平面視で略富士山状に形成されている。
インパネ20を略富士山状に形成することで、インパネ20の左側部20cおよび左サイドドア間に左空間41が形成され、インパネ20の右側部20dおよび右サイドドア42(図1参照)間に右空間43が形成されている。
よって、左空間41に左ステアリングハンドル23を配置でき、右空間43に右ステアリングハンドル26を配置できる。
【0028】
インパネ後部20bの表面にインパネ表示部45が設けられている。
インパネ表示部45は、インパネ表示部45aと操作部45bとを備え、例えば、音楽などを出力するためのオーディオ機能を備えている。
【0029】
ここで、インパネ後部20bが車両後方に向けて下り勾配に形成され、インパネ後部20bの表面にインパネ表示部45が設けられている。
よって、インパネ表示部45は、運転者50(図1も参照)の視点51に向けて配置されている。すなわち、インパネ表示部45が運転者50から目視しやすく、かつ操作しやすい部位に設けられている。
これにより、運転者50が無理のない姿勢でインパネ表示部45aを目視でき、かつ、無理のない姿勢で操作部45bを操作できる。
【0030】
インパネ20の前端部20a近傍で、かつ左側部20c近傍の裏面に左アーム22の前端部22aが支持されることにより、左アーム22が車両後方に向けて延出するように設けられている。
左アーム22の後端部22bに、左ステアリングハンドル23が車幅方向(左右方向)に揺動自在に立設されている。
【0031】
左ステアリングハンドル23は、左空間41の後部41aで、かつインパネ後部20bの左側に設けられることにより、運転者50(図1も参照)の左前側に設けられた操行用のハンドルである。
よって、運転者50が無理のない姿勢を保ちながら、図4に示すように、左ステアリングハンドル23を左手52で握ることができ、さらに、左ステアリングハンドル23を左手52で矢印A−B方向(車幅方向)に操作できる。
【0032】
図3に戻って、インパネ20の前端部20a近傍で、かつ右側部20d近傍の裏面に右アーム25の前端部25aが支持されることにより、右アーム25が車両後方に向けて延出するように設けられている。
右アーム25の後端部25bに、右ステアリングハンドル26が車幅方向(左右方向)に揺動自在に立設されている。
【0033】
右ステアリングハンドル26は、右空間43の後部43aで、かつインパネ後部20bの右側に設けられることにより、運転者50(図1も参照)の右前側に設けられた操行用のハンドルである。
よって、運転者50が無理のない姿勢を保ちながら、図4に示すように、右ステアリングハンドル26を右手53で握ることができ、さらに、右ステアリングハンドル26を右手53で矢印A−B方向(車幅方向)に操作できる。
【0034】
左右のステアリングハンドル23,26を左右の手52,53で握った状態で左側(矢印A方向)に傾斜(揺動)させることにより車両10が左方向に操舵される。
一方、左右のステアリングハンドル23,26を左右の手で握った状態で右側(矢印B方向)に傾斜(揺動)させることにより車両10が右方向に操舵される。
【0035】
図2、図3に示すように、情報表示装置30は、運転者50に必要な情報を照射可能な表示手段31と、表示手段31から照射された情報を表示する表示部33と、表示部33の後方に携帯端末38を着脱自在に支持可能な支持部37とを備えている。
【0036】
表示手段31は、表示部33の車両後方で、かつインパネ20の裏面に設けられている。
この表示手段31は、表示部33(下表示部34および上表示部35)に情報を照射可能な手段であり、例えば一般に知られている透過液晶プロジェクタが用いられる。
すなわち、表示手段31は、ケーシング32の内部に光源、赤、緑、青光用の液晶パネル(映像表示部)、プリズムおよび投射レンズなどが収納されている。
【0037】
表示手段31の光源から光を投光することにより、投光された光が赤、緑、青の3色に分離され、分離された赤、緑、青の光が各光用の液晶パネル(映像表示部)を透過する。各光用の液晶パネル(映像表示部)に赤、緑、青の3色を透過させることにより、赤、緑、青の映像(すなわち、情報)が得られる。
【0038】
得られた赤、緑、青の映像(情報)がプリズムで合成され、プリズムで合成された映像が投射レンズを通して表示手段31から投光される。
表示手段31から投光された情報は、インパネ20の開口部21を経て表示部33に照射される。合成された映像が表示部33に照射されることで表示部33に情報が表示される。
【0039】
ここで、表示手段31は、上表示部35の上表示面(表示面)35aおよび下表示部34の下表示面(表示面)34aに情報を分けて照射可能に構成されている。
具体的には、表示手段31は、運転者50が運転中に確実に認識する必要のある車速表示61、バッテリ残量表示62、各種の警報表示63や左右の方向指示表示64,65などの情報(以下、「必須情報」という)を上表示面35aに照射可能である。
さらに、表示手段31は、運転者50が間隔をおいて認識することが許容されるナビゲータ用の地図67などの情報(以下、「任意情報」という)を下表示面34aに照射可能である。
【0040】
表示部33は、運転席28(図1参照)の前方に設けられ、表示手段31から情報が照射される表示面を有する。
表示部33の表示面は、運転席28の正面に対峙する位置に配置され、表示手段31から情報が照射されることにより照射された情報を表示可能な面である。
【0041】
具体的には、表示部33は、前仕切壁18の中央部(以下、「下表示部」という)34と、フロント窓ガラス16の下部中央部(以下、「上表示部」という)35とを有する。
すなわち、表示部33は、下表示部34および上表示部35の境界(以下、「表示面境界」という)36に跨って形成されている。
表示面境界36は、前仕切壁18の上辺18aに相当する部位である。
【0042】
よって、下表示部34の下表示面34aおよび上表示部35の上表示面35aを表示面境界36で仕切る(区分けする)ことができる。
これにより、下表示面34aおよび上表示面35aを仕切るために専用の仕切部材を用意する必要がないので、下表示面34aおよび上表示面35aを簡単な構成で区分けできる。
【0043】
下表示部34は、車幅方向の中央部に設けられ、さらに、下表示部34の下表示面34aが運転席28(すなわち、運転者50(図1参照))の正面に対峙するように設けられている。
この下表示部34は、例えば、横長の状態で略矩形状に形成されている。
【0044】
上表示部35は、下表示部34から上方に向けて張り出され、さらに、上表示部35の上表示面35aが運転席28(すなわち、運転者50(図1参照))の正面に対峙するように設けられている。
この上表示部35は、例えば、下表示部34と同様に、横長の状態で略矩形状に形成されている。
【0045】
下表示面34aおよび上表示面35aを表示面境界36で区分けすることで、下表示面34aおよび上表示面35aに認識の度合いが異なる情報を分けて表示することができる。
認識の度合いが異なる情報として必須情報や任意情報が挙げられる。
以下、必須情報を上表示部35に表示し、任意情報を下表示部34に表示する例を詳しく説明する。
【0046】
すなわち、上表示部35は、フロント窓ガラス16の下部16aを利用した部位であり、フロント窓ガラス16中に形成されている。
よって、フロント窓ガラス16を通して車両前方を目視した状態から、上表示部35に表示された情報を目視する状態に視線を移動する際に、運転者50の視線の移動を少なく抑えることができる。
【0047】
これにより、上表示部35の情報の視認性を、特に高めることができるので上表示部35に必須情報をまとめて表示することが好ましい。
必須情報とは、前述したように、運転者50が運転中に確実に認識する必要のある車速表示61、バッテリ残量表示62、各種の警報表示63や左右の方向指示表示64,65などの情報をいう。
【0048】
一方、下表示部34は、フロント窓ガラス16の下方に形成されている。
これにより、下表示部34に任意情報をまとめて表示することが好ましい。
任意情報とは、前述したように、運転者50が間隔をおいて認識することが許容されるナビゲータ用の地図67などの情報をいう。
【0049】
このように、下表示面34aおよび上表示面35aを表示面境界36で区分けすることで、必須情報を上表示部35にまとめて表示し、かつ、任意情報を下表示部34にまとめて表示することができる。
ここで、前述したように、下表示面34aおよび上表示面35aを表示面境界36を利用して仕切ることで、下表示面34aおよび上表示面35aを簡単な構成で区分けできる。
これにより、必須情報や任意情報の確認が容易になり、簡単な構成で情報の視認性を高めることができる。
【0050】
支持部37は、表示部33の後方に位置するインパネ20の上部20eにおいて、車幅方向中央で、かつインパネ表示部45aの前辺45cに隣接して設けられている。
この支持部37は、インパネ表示部45aの前辺45cに沿って上端部37aがスリット状に開口された凹状の部位である。
以下、支持部37を支持凹部37として説明する。
【0051】
図2、図5に示すように、支持凹部37は、上端部37aがスリット状に開口されることで、上端部37aの開口から携帯端末38の下部38aを差込み可能に形成されている。
支持凹部37に携帯端末38の下部38aを差し込むことにより、情報を表示可能な携帯端末38の表示部(以下、「端末表示部」という)38bを支持凹部37で運転席28(図1参照)に対峙させた状態で支持できる。
さらに、支持凹部37に携帯端末38の下部38aを差し込んだ状態において、携帯端末38の端末表示部38bがインパネ20の上方に配置(露出)されている。
【0052】
また、携帯端末38を支持凹部37から引き抜くことにより、支持凹部37から携帯端末38を外すことができる。
すなわち、支持凹部37は、表示部33の後方で、かつ運転席28に対峙させた状態で携帯端末38を着脱自在に支持可能な凹部である。
【0053】
ところで、インパネ20の上部20eで、かつインパネ表示部45aの前辺45cに隣接する部位は、運転者50の左右の手52,53(図4参照)が比較的容易にとどきやすい部位である。
これにより、インパネ表示部45aの前辺45cに隣接させて支持凹部37を設けることで、支持凹部37で支持した携帯端末38を運転者50が容易に着脱できる。
【0054】
さらに、支持凹部37は、表示部33の車両後方で、かつ運転席28の車両前方に設けられ、車両前方に向けて傾斜角θの上り勾配で形成されている。
よって、支持凹部37に携帯端末38が支持されることで、携帯端末38は車両前方に向けて傾斜角θの上り勾配に傾斜させた状態で着脱可能に支持される。
【0055】
傾斜角θは、インパネ20の上部20eのうち部位20fに対する傾斜角である。
部位20fは、インパネ20の上部20eのうち、支持凹部37の車両前方の部位であり、略水平に形成されている。
また、支持凹部37の底部は、インパネ20の上部20e(支持凹部37の車両前方の部位20f)に対してH寸法だけ下方に配置されている。
【0056】
ここで、運転者50の視点51は、携帯端末38より車両後方で、かつ上方に位置する。
よって、携帯端末38を車両前方に向けて上り勾配に傾斜させることで、携帯端末38を運転者50の視点51に向けて上向きに配置できる。
【0057】
これにより、端末表示部38bを目視するときの視線71を、上下の表示面35a,34aを目視するときの視線72に近づけることができるので、上下の表示面35a,34aおよび端末表示部38b間で情報を交互に目視する際に視線の移動を少なく抑えることができる。
したがって、上下の表示面35a,34aおよび端末表示部38bの情報を容易に目視できるので、情報の視認性を高めることができる。
【0058】
また、支持凹部37は、携帯端末38を支持した状態において、携帯端末38を境界視線74より下方に配置可能に形成されている。
境界視線74は、運転者50の視点51および下表示面34aの下辺34b(すなわち、前仕切壁18の下辺18bに相当する辺)を結ぶ視線である。
【0059】
具体的には、支持凹部37に携帯端末38を支持した状態において、携帯端末38の上辺38cが境界視線74に接するように携帯端末38が配置されている。
換言すれば、支持凹部37に携帯端末38を支持した状態において、下表示面34a(下辺34b)の下方側に上辺38cが連続するように携帯端末38が配置されている。
よって、上下の表示面35a,34aに携帯端末38を重ならないように配置して、上下の表示面35a,34aの情報を携帯端末38で遮らないようにできる。
【0060】
また、図3に示すように、支持凹部37は、インパネ20の上部20eにおいて車幅方向中央に設けられている。
よって、支持凹部37に支持された携帯端末38は、上下の表示面35a,34aの車幅方向の幅内で、かつ上下の表示面35a,34aの車幅方向の中央に配置されている。
これにより、図2、図4に示すように、上下の表示面35a,34aや端末表示部38bに表示された多くの情報を運転者50の前方(正面)に表示できる。
【0061】
さらに、支持凹部37に携帯端末38を支持するだけの簡単な構成で運転者50の前方に多くの情報を表示できるので、情報表示装置30の大型化を抑えることができる。
【0062】
ここで、図4に示すように、前述したように、インパネ後部20b(すなわち、インパネ20)の左側に左ステアリングハンドル23が設けられている。
さらに、インパネ後部20b(すなわち、インパネ20)の右側に右ステアリングハンドル26が設けられている。
【0063】
よって、左右のステアリングハンドル23,26をインパネ20の上部20eから車幅方向外側に離して配置できる。
これにより、左右のステアリングハンドル23,26で上下の表示面35a,34aや端末表示部38bを遮らないようにできる。
したがって、上下の表示面35a,34aや端末表示部38bの情報を容易に目視でき、情報の視認性を一層高めることができる。
【0064】
図3、図5に示すように、携帯端末38は、一例として、一般に知られている端末(片手で携帯可能な端末)が用いられている。
この携帯端末38は、表面に端末表示部38bが設けられ、通信機能などを備えている。通信機能を操作することにより情報が得られ、得られた情報が端末表示部38bに表示される。
よって、携帯端末38を支持凹部37で支持することにより、運転者50は車室11内において車両10の外部の情報を認識することができる。
【0065】
つぎに、変形例1の情報表示装置80および変形例2の情報表示装置90を図6、図7に基づいて説明する。
なお、変形例1、2において実施例の情報表示装置30と同一類似の構成部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0066】
(変形例1)
図6に示すように、変形例1の情報表示装置80は、実施例の支持凹部37に代えて支持凹部(支持部)82を備えたもので、その他の構成は実施例の情報表示装置30と同様である。
支持凹部82は、支持凹部82に携帯端末38を支持した状態において、下表示面34a(下辺34b)の下方側に携帯端末38の上辺38cが隣接するように携帯端末38を配置可能に形成されている。
【0067】
すなわち、支持凹部82に携帯端末38を支持した状態において、携帯端末38の上辺38cが境界視線74(図2参照)の下方側に隣接するように携帯端末38が配置されている。
よって、携帯端末38の上辺38cは、境界視線74(下表示面34aの下辺34b)から下方側に僅かに離れるように配置されている。
【0068】
変形例1の情報表示装置80においても、上下の表示面35a,34aに携帯端末38を重ならないように配置できるので、上下の表示面35a,34aの情報を携帯端末38で遮らないようにできる。
【0069】
(変形例2)
図7に示すように、変形例2の情報表示装置90は、携帯端末38および表示手段31を制御部92を介して接続したもので、その他の構成は実施例の情報表示装置30と同様である。
すなわち、情報表示装置90は、支持凹部37の底部に接続端子93が設けられ、接続端子93が制御部92に接続され、制御部92が表示手段31(具体的には、赤、緑、青光用の液晶パネルに接続されている。
【0070】
接続端子93は、携帯端末38の端子95に接続可能に形成されている。
携帯端末38の端子95は、携帯端末38の底部に設けられている。
携帯端末38の下部38aを支持凹部37に差し込むことにより、携帯端末38の端子95が接続端子93に接続される。
【0071】
この状態で、操作部45bを操作して、携帯端末38の情報を制御部92を経て表示手段31の赤、緑、青光用の液晶パネルに表示できる。
よって、表示手段31の光源から光を投光することにより、携帯端末38の情報を上下の表示面35a,34aに表示できる。
これにより、例えば、車両停止状態において、携帯端末38の情報を上下の表示面35a,34aに大きく表示することが可能である。
【0072】
なお、本発明に係る車両の情報表示装置30は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、前仕切壁18およびインパネ20をそれぞれ別部材で形成した例について説明したが、これに限らないで、前仕切壁18およびインパネ20を一部材で一体に形成することも可能である。
【0073】
また、前記実施例では、携帯端末38として片手で携帯可能な比較的小さい端末を適用する例について説明したが、これに限らないで、本発明を大きなサイズの端末に適用させることも可能である。
【0074】
さらに、前記実施例では、携帯端末38を傾斜角θ傾かせて配置した例について説明したが、これに限らないで、携帯端末38を鉛直に配置することも可能である。
【0075】
また、前記実施例では、支持凹部37に支持した携帯端末38を、上下の表示面35a,34aの車幅方向の幅内で、かつ上下の表示面35a,34aの車幅方向の中央に配置した例について説明したがこれに限定するものではない。
例えば、上下の表示面35a,34aの車幅方向の幅内で、かつ上下の表示面35a,34aの車幅方向の中央から左右側にオフセットさせて配置することも可能である。
【0076】
さらに、前記実施例では、インパネ20の上部20eのうち部位20fを略水平に形成した例について説明したが、これに限らないで、部位20fを傾斜させることも可能である。
【0077】
また、前記実施例で示した車両10、フロント窓ガラス16、前仕切壁18、インパネ20、左右のステアリングハンドル23,26、運転席28、車両の情報表示装置30,80,90、表示手段31、表示部33、下表示部34、下表示面34a、上表示部35、上表示面35a、支持凹部37,82および携帯端末38などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、運転席に対峙する表示面に表示手段から情報を照射し、照射された情報を表示面に表示する車両の情報表示装置を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0079】
10…車両、16…フロント窓ガラス、18…前仕切壁(車体部)、20…インパネ(インストルメントパネル)、20e…インパネの上部、23,26…左右のステアリングハンドル(ハンドル)、28…運転席、30…車両の情報表示装置、31…表示手段、33…表示部、34…下表示部、34a…下表示面(表示面)、34b…下表示面の下辺(表示面の下辺)、35…上表示部、35a…上表示面(表示面)、36…表示面境界(境界)、37,82…支持凹部(支持部)、38…携帯端末、51…視点、61〜65,67…情報、74…境界視線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の前方に設けられ、該運転席に対峙する表示面を有する表示部と、
前記表示面に情報を照射可能な表示手段と、
前記表示部の後方で、かつ前記運転席の前方に設けられ、情報を表示可能な携帯端末を前記運転席に対峙させて支持可能な支持部と、を備え、
前記支持部は、
前記携帯端末を支持した状態において、運転者の視点および前記表示面の下辺を結ぶ境界視線より下方に前記携帯端末を配置可能に形成されたことを特徴とする車両の情報表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、
車体部と、該車体部から上方に向けて張り出されたフロント窓ガラスとの境界に跨って形成され、
前記車体部側の下表示部、前記フロント窓ガラス側の上表示部に、認識の度合いが異なる情報が表示されることを特徴とする請求項1記載の車両の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示部の車両後方側に、車両前後方向に延出するインストルメントパネルが設けられ、
前記インストルメントパネルの上部に前記支持部が設けられ、
前記支持部を用いて、前記携帯端末を車両前方に向けて上り勾配に傾斜させた状態で着脱可能に支持することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の情報表示装置。
【請求項4】
前記インストルメントパネルの両側に操行用のハンドルがそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項3記載の車両の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100032(P2013−100032A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244949(P2011−244949)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】