説明

車両セキュリティ等制御装置

【課題】従来の車両盗難に関するセキュリティはキーによる物体認証によるものが主流であり、その信頼性を確保するためには、キーの管理が重要となる。しかし、セキュリティの確保のためには、キーの紛失、キー付車両の盗難やキーのコピー等課題も多く残されている。
【解決手段】本発明では、車両に最初から設置されている原動機の始動停止に用いる装置とは独立し、原動機稼動時のコントロールや変速シフトや駆動力伝達経路の作動、非作動等を行い、車両の移動が出来なくなる機能の制御を生体認証で行う装置である。また、この機能を実現するための個別の機能モジュールを共用するアイドリングストップまたは車両制動・停止に関する操作ペダルの安全装置を組合せることも出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車の盗難防止のシステム、装置に関する分野であり、自動車、特に原動機の作動機能の許可・停止に関する個人認証の事項、その判定に用いる生体認証のための検知装置及び認証に係るシステムを制御する電子システムが含まれる。自動車のセキュリティへの信頼性の向上と操作容易化の両立が必要な分野である。
【0002】
更に、以上の一連の装置に含まれる機能や小装置の併用が可能である燃費低減に係るアイドリングストップに関する装置または運転の安全・安心に係るブレーキペタル誤作動、踏み間違え防止のシステムに関する装置との連携、併用も含まれる。
【背景技術】
【0003】
世界的に見ると、自動車の盗難に見舞われる確率は、外国の方が国内よりは大きい。したがって、多くの自動車のセキュリティとしてのシステムや装置は外国の方が発達し、普及している。しかし、近年日本でもこれらの犯罪の増加が問題となっている。特に日本の中古車が海外で人気が高く、それらの売買がビジネスとなるため、盗難車がその供給源のひとつとなりつつあり、セキュリティシステムを熟知している人間がそのシステムの弱点を見いだして防止技術を破ってしまう傾向が強い。
【0004】
世界的には、IC技術を用いるイモビライザー(電子式移動ロック装置)が普及しつつある。しかし、この方式はキーに対する複製防止としては効果あるが、破られてしまう場合も増加している。それ以上のセキュリティ向上策として、指紋、虹彩、静脈パターン等の生体認証の技術が数多く提案されている。その背景としては、これらの生体測定センサーやデータ処理での信頼性向上が大きく寄与している。(図4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2009−187871(本出願特許と同様な個人認証セキュリティ装置であり、基本コンセプトは同じであるが、車両の駆動伝達系の動作の操作に関する制御を用いている方式である)
【特許文献2】特開2003−182528(静脈センサー認証によるエンジン始動許可)
【特許文献3】特開2000−311220(生体認証を免許証ICカードメモリーと照合、両者の情報で自動車操作を許可)
【特許文献4】特開2001−342760(指紋による認証であるが、ICカードと指紋読み取りと従来のキーの組み合わせで使用許可を出すシステム)
【特許文献5】特開2005−36523(生体認証をサーバ、携帯端末等の通信を介して行うシステム)
【特許文献6】特開2006−514348(自動車等の盗難防止の対象としてシフトレバーが記載、しかし、システムはレバー等の破壊に対するリモートコントロールによるシステム)
【特許文献7】特開2000−85536(自動車の車外からの生体認証システムであるが,リモートユニットを介するもの)
【特許文献8】特開2002−47840(生体認証によるエンジン始動許可のシステム)
【特許文献9】特開2003−214241(エンジン始動許可と生体認証の組合せ及び格納情報の保護)
【特許文献10】特開2002−145019(ステアリングとエンジン始動を許可する指紋認識システム)
【特許文献11】特開2001−273498(暗号化する生体認証データで個人認証)
【特許文献12】特開2003−250181(車両移動情報による認知で、盗難車のセキュリティデータをリモートで消去)
【特許文献13】特開2009−12585(携帯機による盗難防止装置)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】警視庁ホームページより「自動車盗、車上ねらいの被害にあわないために」被害の推移と防犯対策について、まとめられている。(2009年7月1日現在)
【非特許文献2】(社)日本自動車工業会ホームページより「No.86盗難車対策について」ここでは、盗難の実態や業界の技術的対応状況をレポートしている。(2009年7月1日現在)
【非特許文献3】マツダ(株)ホームページより「アイドリングストップシステム「i−STOP」の開発と実用化」アイドリングストップ機構による燃費低減のシステム(2010年4月10日現在)
【非特許文献4】(株)サン自動車ホームページより「S−DRIVE誤発進防止システム」アクセルペタルの急速な操作や底付きする踏み込みに対しアクセルペタルをアイドリング状態に戻す装置(2010年4月10日現在)
【非特許文献5】(株)ダイイチホームページより「安全運転補助装置・セフティ ドライビング・アシスト システム」アクセルペタルの底付きする踏み込みに対しエンジンを停止する装置(2010年4月10日現在)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ドアの開閉及びエンジン等原動機の始動・停止の操作のために従来からあるキー(以下、キーと称する)のシステムを採用している自動車のセイフティシステムを大幅にその水準を向上させることを目指している。その候補の一つとして存在するイモビライザーのシステムは、特に日本ではキー付盗難があるため、必ずしも有効ではなく、家族等複数で使う場合は、キーの複製が作りにくい点が逆に不便となってしまう。イモビライザーと同等以上の信頼性があり、取扱に関する簡便さを両立させる自動車のセキュリティ装置が待望されている。
【0008】
キー無し盗難でイモビライザーシステムの車両での盗難も無視できない件数が発生しており、盗む側も技術的にレベルアップしている。この課題に対して、既存の同様なセイフティシステム装置ではシステム装置の多重化が進んでおり、セキュリティは多少向上するが、その分操作のわずらわしさを伴うのが現状である。従って、さらなるセキュリティをめざし、信頼性と共に操作容易性も合わせて両立することをめざす。また、特に、日本国内特有な「キー付」車両盗難を防止するための課題もしっかりと解決する方策が求められる。
【0009】
個別の装置やシステムは、できるだけ単純で、コストと信頼性の両立を目指し、トータルとして、セイフティの高水準と自動車運転操作性の向上との両立技術を取り入れることが課題である。更に、本発明の付加価値を高めるため、車両のセイフティだけでなく、ここで追加される幾つかの小装置やシステムを共用することで、燃料消費量の節減や運転操作(制動等)の誤作動に関する安全・安心面を取り入れる統合システムとしての装置を目指している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(ドアの開閉及びエンジン等原動機の始動・停止の操作のために)従来からあるキーのシステムを持つ既存の自動車のセイフティシステムの装置において、更に、内燃機関、化学反応から直接電力を得る燃料電池または電動モーター等の単独又は組合せによって構成されて走行のための動力を供給する原動機(以下、原動機と称する)の加速を行う装置、キー操作以外で原動機を停止・減速・制動する装置(燃料・電力供給の減少制御、スロットル全閉制御、排気ブレーキ等)、アイドリング状態を保つ装置等が持つ機能の作動または非作動を運転者に許可するために、指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証を利用する手段を追加することで、自動車盗難防止のためのセイフティ向上を図るシステムを構築する。
【0011】
ここで、車両に最初から装着されているキーのシステム(通常のキー、イモビライザー方式のキー、ワイヤレスで操作できるキー等を含む)は、そのまま利用できる状態で、本発明の装置が追加されるものとする。すなわち、従来のキーのシステムと共存できる環境とする。(図2参照)
【0012】
これにより、たとえキー付アイドリング状態で離車しても、自動車の運転へのセキュリティを保つことができる。ここでは、原動機の作動、非作動への生体認証許可システムを適用し本人確認により、キーへの認証と合わせて、信頼性の高いセキュリティを実現している。
【0013】
また、アイドリングストップのシステム(図6参照)との連携により、省エネルギー効果と相まって、キー付離車時の盗難にも大きな効果をもたらす。同時に、アイドリングストップシステムと連成することで、原動機の作動・解除へのセキュリティ操作を連携させ、操作の容易化を達成することができる。ここで、アイドリングストップのシステムとは、車両停車時のアイドリングストップを自動的に行う機構で燃料消費量節約が目的である。
【0014】
すなわち、図6に示すように、停車と停車のための車両制御手段の条件が整えば(例えば、オートマチック車では、フットブレーキが確実に作動する条件、または変速シフトポジションがP(パーキング状態)である条件、または同ポジションがN(ニュートラル状態)で駆動力がつながっておらず同時にフットまたは補助のブレーキが作動する条件、マニュアル車では、ブレーキ作動とクラッチ断またはギア段がN(ニュートラル状態)である条件等)を検知して原動機を停止し、ブレーキ力の作動減少・解除、変速シフトのポジション変更、クラッチON(接続)等の原動機稼動開始を許容する操作条件が満たされると、その発進動作を検知して原動機を再始動するシステムである。マニュアル車、アートマチック車、ハイブリット車等によって具体的な操作手順が若干違う場合がある。
【0015】
周知の発明として、ドア4の開閉への生体認証が多く提案されているが、本発明ではキーレスや煩わしさからの開放の観点からキー3での開閉に関する生体認証の追加は、原則として考慮していない。使用者の希望により、オプションとしての装着のみを用意している。
【0016】
また、生体認証を原動機の始動停止に用いる装置も多く提案されているが、本発明では、車両に最初から設置されている原動機の始動停止に用いるキーの装置からは独立し、原動機稼動時のコントロールの作動、非作動等を行い、車両9の移動が出来なくなる機能の制御を行う装置である。エンジン等の原動機5の作動又は解除を許可する小装置等で構成されるサブシステム装置とエンジン始動・停止に関する同様なサブシステム装置が多重となっているため、個別でのサブシステム装置でのセキュリティ向上のための複雑化は必ずしも必要ではない。本発明の装置の車両への追加装着を極力簡素化することが配慮される。
【0017】
また、生体認証の登録情報は、車両に搭載する装置を嫌う考え方の発明が多く見られる。今までの事例では、登録情報を定置のサーバ上においたり、携帯通信機器(専用リモコン、携帯電話等)上においたり、ICカードを別途作りその上においたりする事例である。これらでは、セキュリティのため、サーバの保全が必要で、キー以外にも携帯保管する機器が追加になり、それらの装置の管理が大変である。これらのキーや携帯装置を置き忘れたり、盗まれると、致命的なリスクを負うことになり、常に細心の注意をしながら保持する必要がある。
【0018】
車両9上に生体認証の情報を載せておくと盗まれる可能性があることは、大いなるリスクとなるが、本発明では、生体認証の登録データを保管し、認証を司り、外部からの生体認証のテータは受理し登録データ13と照合し、その結果を示す暗号化されているデータのみ出力し、登録データは外部には出力しない電子システム装置を持ち、この電子システム装置を頑丈なケースに内蔵させ、生体認証なしにケースを開けたり、解体する又は電子システムの回路からデータを抜き取ろうとする異常な操作を行うとそのような登録されていない異常な操作を感知して、自動的に登録データ13に関連の無いデータを上書きして、生体認証の登録データを消滅する耐ダンバー性の高い機能を持つ装置としている。
【0019】
更に、通常の場合は、電子システムは生体認証の登録データがまだ登録されていない状態への初期化が可能であり、すべての制御システムをインストールする必要は無いようにすることができる。同時に、自動車の原動機の稼動に関する操作機能の初期化は通常ロックされており、緊急事態用にパスワードやUBS等を用意する方式とすることが出来る。また、盗難で持ち去られた車両に対して、その状態に対応して、本装置とは完全に独立している車両位置追跡システムで車両の位置を特定し、車両9を回収後、再度リセットして使用することができる。
【0020】
また、認証システムの基盤12を車両上に搭載すれば、自動車の運転の現場での運転許可を与える人への生体認証の登録が可能である。しかし、認証登録レベルとして、本人、家族、友人等による複数の管理区分を定め、特に友人等のもっとも低い認証登録レベルについては、限定期間での認可とすることが出来る。もちろん、車両整備のためのロック全面開放モードも用意できる。この際、整備時は認証データ13は消滅させ誰からも読み取られないことが可能である。
【0021】
本発明では、生体認証の特徴を生かして、従来のキーのみ保持すれば良く、万が一キーを紛失しても、自分の生体での認証だけでも自動車を運転することが可能である。また、紛失したキーを他人が使おうとしても、生体認証が無いと車は運転ができない方式である。
【0022】
車室内での指紋認証センサー2、手の平または静脈パターン等による生体認証に関して、運転席の運転者がシフトレバー7又はハンドル部等の操作器具の特定のくぼみ(又は突起部)や運転席周りの手の届く箇所に設置される指の位置を指定する表面形状等に設置される指紋、手の平または静脈パターン等による生体認証を行うに指、手等を置き、検出装置2による測定が可能となるように手で操作器具を握り、または添えることで生体計測が可能となり、その操作感が本自然体で来の操作に対して違和感なく行える方式で、指紋、手の平または静脈パターン等を測定し、又は視線をセンサー方向に向けるだけで認証を完了する虹彩等の方式で、生体認証のための特別な操作なしに認証が完了する装置とすることが出来る。
【発明の効果】
【0023】
自動車のセキュリティのシステム装置として、ドア4の開閉と原動機5の始動・停止に用いられるキー3のシステムを適用している従来からの方策に対して、原動機(以下、原動機と称する)の加速を行う装置、キー操作以外で原動機を停止・減速・制動する装置(燃料・電力供給の減少制御、スロットル全閉制御、排気ブレーキ等)やアイドリング状態を保つ装置等が持つ機能の作動または非作動を運転者に許可する生体認証を採用し、指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証を利用する手段を設定し、運転手の個人認証をキーエントリー方式の鍵認証に加えることで、高いセキュリティと共にキー付車両の盗難への防犯効果を獲得している。
【0024】
原動機5のアイドリング状態での離車はキー付車両盗難の典型的パターンであるが、本発明により対応が可能となる。
【0025】
また、駐、停車時のアイドリング状態が3秒以上では原動機を停止する方が省エネルギーになるとされており、アイドリングストップシステムとの併用または車両運転時の制動機能に対する誤作動や操作ミスに対する安全・安心面の確保を実現するシステムとの併用等により、盗難へのセキュリティに自動的に連成させることで、統合システムとしての相乗効果を期待することが出来る。(図2、図5参照)
【0026】
ドアの開閉への生体認証も用意されており、これは主として、車の乗り降りでのキー操作への煩わしさへの対応をめざしたものである。更に、原動機の始動・停止に関する生体認証を併用するとキーレスで生体認証(1、2等)だけで車両の運転が可能となる。
【0027】
生体認証の登録データは車載とし、車両の上で、バックアップ、追加認証等がすべて簡単に行うことができる。登録装置自身が開錠、解体されると自動的に登録データが消去され、初期設定状態に戻る方式で車載のリスクに対応している。更に、盗難車両に対して、その盗難車両の位置を特定し、車両を回収後、再度リセットして使用することができる。認証レベルとして、本人、家族、友人と3ランクを定め、特に友人については、限定期間での認可となる。もちろん、車両整備のためのロック全面開放モードも用意できる。この際、整備時には認証データを消滅させ誰からも読み取られないことが可能である。
【0028】
本発明では、生体認証の特徴を生かして、従来のキーのみ保持すれば良く、万が一キーを紛失しても、自分の生体での認証だけでも自動車を運転することが可能である。また、紛失したキーを他人が使おうとしても、生体認証が無いと車は運転ができない方式である。
【0029】
車室内での指紋、手の平または静脈パターン等による生体認証に関して、運転席の運転者がシフトレバー7又はハンドル部等の操作器具の特定のくぼみ(又は突起部)や運転席周りの手の届く箇所に設置される指の位置を指定する表面形状等に設置される指紋、手の平または静脈パターン等による生体認証を行うに指、手等を置き、検出装置による測定が可能となるように手で操作器具を握り、または添えることで生体計測が可能となり、その操作感が本自然体で来の操作に対して違和感なく行える方式で、指紋、手の平または静脈パターン等を測定し、又は視線を検出装置の方向に向けるだけで認証を完了する虹彩等の方式で、生体認証のための特別な操作なしに認証が完了する。特に、検出装置による生体認証を意識することなく、従来の自動車の運転操作の中で自然に認証が完了するよう、人間工学的検討がされ、認証のエラー率の減少に寄与している。
【0030】
また、本発明でのセキュリティ向上の各種手段や小装置は、同時に、燃料消費量の節減につながるアイドリングストップや運転の安全安心のためのブレーキペタル踏みちがい等の誤動作防止策に関する装置と併用することで、共通部品化等のシステムの簡素化、信頼性向上、多機能化、コスト低減、操作性の合理化や相乗効果等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は,本発明の主要部位が車両に組み込まれる構成図を示している。生体認証としては、指紋認証と虹彩認証の事例を示し、承認後の運転者認知のためのシートセンサー部がある。また生体認証センサーの位置は運転席周り及びハンドルやシフトレバーにも設置することが出来ることを示している。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の装置の各機能部品からの信号を繋ぐ回路図を示している。メーカーの既存の装置が設置してある回路と独立している本発明の装置の回路があり、既存の装置と信号を交換している事例である。
【図3】図3は、シートセンサー部の事例の詳細図である。ここでは、シート面を押し付ける運転者の荷重を検知するセンサーと運転者の動きを感知する接近センサーを複数設置している事例である。
【図4】図4は、各種生体認証の認証に関する性能を比較する検査データと目標点等を図解している。
【図5】図5は、運転者が車両に乗り込み、エンジンを始動し、車両を発進させ、運転するプロセスとそれらの操作に対するセキュリティシステムの関係図の一例を示している。
【図6】図6は、アイドリングストップに関する装置の機能について、世の中に普及している代表的な事例を複数例示している。車両の挙動である車両停止、原動機停止、始動、走行開始に対する操作や作動について比較提示されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示す通り、ドアの開閉や原動機の始動・停止に関するキー等による認証システムとは別に、アクセルペタルおよびアクセルペタルと連携して操作するクラッチペタル等のペタル類または変速機の機能を切り替えるシフトレジー等の装置、ブレーキペダル等の制動機能の解除等の操作への許諾の認証システムを生体認証で行う装置を追加することで高い認証の信頼性を確保するものである。また同時に認証済みの運転者への認証持続や停止を制御する運転席シート部へのセンサー類を設けて認証の繰り返しへのわずらわしさを回避すると同時にキー付車両の盗難防止の機能を確保する。
【0033】
更に、本発明には、これらの装置の各機能モジュールの併用利用が可能である原動機のアイドリングストップ装置やペタル類の操作ミス等に対処し車両の制動機能の信頼性を確保する安全装置を組合せることで、車両への付加価値を高める発明も含めてある。
【実施例1】
【0034】
実施例1を図1に示す。車両に最初から取り付けられている原動機5の始動・停止等のキー(鍵)3認証を行う既存の装置とは別に設置し、キー(鍵)3による既存の物体認証と協調して作動する生体認証の装置を追加する発明である。この装置は、既存の装置とは独立して設置され、両者間の信号の交換により総合的な認証システムを形成するものである。
【0035】
本発明での装置が認証制御する対象は、アクセルペタル16の機能の作動、非作動であり、更にこのアクセルペタルと連携して、クラッチペタル、ブレーキペダル15等の操作機能や変速機8のシフト機能、停車固定機能の解除等の作動、非作動を行うものである。その対象はこれらの中の単一でも、複数の連動によるものでも良い。図1での認証方式は、運転席での虹彩認証や指紋認証によるものであり、認証箇所は運転席周りとし、ダッシュボード、フロントパネル上1または2、変速機のシフトレバー2、ハンドル、日よけ1、バックミラー等設置される。
【0036】
指紋認証センサーでは、センサー部が凸または凹部に沿って設け、レバーやハンドルを握ることにより、その握る箇所の形状に沿って意識せずに指先等の指紋採取する箇所がセンサー部に一致するようにすることも出来る。
【0037】
また同時に認証済みの運転者への認証持続や停止を制御する運転席シート部へのセンサー類を設けて認証の繰り返しへのわずらわしさを回避する。運転中での認証の停止を避けるため、運転者の存在を認知する複数のセンサーを設けても良い。図1では、運転席のシート面の荷重反応センサー18や接近センサー19の事例を示す。シートセンサー類としては、従来車両に装着されているシート荷重センサーの流用も可能である。また、追加のセンサー類の信号は、静的な値の信号ではなく、動的な変動を検知するものとすることで、単なるものが置かれている場合と人間が座っているのを検知する場合を判別することが出来る。
【0038】
このシートセンサーのシステムでは、離席時に時間遅れ機構を設けて、一定時間内であれば、離席後すぐに着座すれば、生体認証は持続する装置も設けることができる。更に、着席時に原動機を停止し、キーを抜く以外は、車両にキー付のまま離席時してもキーを抜けない機能を付与することができる。
【0039】
また、図2に示すように、各種センサー類等の各機能モジュール間の信号はそのデータを処理する演算部と認証のための情報登録部を持ち、生体認証または生体認証とシートセンサー部による認証の組合せで、本発明の対象とする装置の機能の作動、非作動を制御するものである。これらの回路は、追加することが出来るように、原則として本来の車両制御回路から独立しており、既存の装置(図2)の回路とは、単一または複数の回路で接続することで、お互いに連携、協調が可能となるものである。
【実施例2】
【0040】
実施例2は、実施例1に対して、更に、車両停止のためのブレーキペタルを作動させ車両を制動または停止を維持する目的で誤って原動機のアクセルペタルを単独またはブレーキペタルと同時に作動させる場合に、アクセルペタルの操作速さが設定する閾値より大きい時または最大作動点まで作動させる時等を検知してアクセルペタルの機能を非作動とし、原動機の停止・制動(スロットル全閉制御や排気ブレーキ等)またはアイドリング状態維持等の作動を起動させる装置と併用するシステムを有する装置を加える装置である。
【0041】
これらの車両の制動または停止に対する装置は、周知のものがいくつか存在するが、実施例1の装置では、車両の駐車、停止、走行やペダル類、レバー類等の操作系装置の作動、非作動状態の認知や切り替えを制御する機能が付与されているため、容易にそれらの機能を組合せることが出来る。更に既存の周知の装置に更に詳細な機能を追加することも容易に可能となる。
【実施例3】
【0042】
実施例3は、実施例1に対して、アイドリングストップの装置と連携させ、アイドリングストップの装置における「車両駐停車時のアイドリングストップを自動的に行う(マニュアル車、オートマチック車、ハイブリット車等によって具体的な操作手順が若干違う)機構を付与する装置である。
【0043】
すなわち、図6に示すような操作手順により、マニュアル車では「変速段を中立・ニュートラルにしてクラッチ接合時」、オートマチック車では、「停車維持操作以外何もしない状態」、「ブレーキ作動時」、又は「専用ボタン押下」又は「変速等切り替え段をニュートラル」等の状態で、駐停車を検知して原動機を停止し、次に、発進する時は、運転者の離車の検知後に必要となる生体認証の確認または認証及びアイドリングストップの装置の発進動作(マニュアル車ではクラッチ切断、オートマチック車では、ブレーキペタルを緩めること、変速等切り替え段を中立とすること、アクセルペタルを踏むこと又は専用ボタン押下等)を検知して原動機を再始動し、車両の走行開始を行う機能を持つ装置を付与し、実施例1と連携する装置である。
【実施例4】
【0044】
実施例3は、実施例1、実施例2、実施例3に示すような車両盗難に対するセキュリティを保障する装置に、これらの装置と独立している車上荒らし対策となる装置を組合せるものである。すなわち、車両振動レベルセンサー又は車両周辺の接近センサー等に反応する警報システム又はドアの開閉やエンジン始動・停止に関するキーシステムで異常なキー操作が生じる時に反応する警報システム等の装置を併用する実施例である。ここで車両自身での以上発生警告装置で、同時に離れている車両の所有者や運転者に遠隔で警報を伝える装置を組合せることも出来る。
【0045】
更に、これらの装置と独立している車両位置通報のための信号を発する装置を併用する装置ことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
世界的に見ると、自動車の盗難防止に見舞われる確率は、外国の方が国内よりは大きい。したがって、多くの自動車のセキュリティシステムや装置は外国の方が発達し、普及し、多くの企業がこの分野で自動車のセキュリティ製品を販売している。これらの犯罪の増加に対応するため、日本の市場でも自動車のセキュリティ製品が普及するようになってきた。海外で定番となっている装置も日本の代理店を通じ、シェアを伸ばしており、最近では、それらの先行していた海外の製品を超えるような日本製のセキュリティ装置が発売されている。
【0047】
しかし、近年日本でも盗難事件が増加し、且つ組織的な犯罪も増加して、セキュリティシステムを熟知している人間がそのシステムや装置の弱点を見いだして防止技術を破ってしまう傾向が強い。また、世界的に定着しつつあるIC技術を用いるイモビライザー(電子式移動ロック装置)でも破られてしまう場合も増加している。更に、車両盗難へのリスク感覚の低い日本国内では、キー付盗難が多く、これに対する十分なセキュリティ装置は無かった。これらのいくつかのニーズにより、現行の上位モデルでも不満要素が増加しつつあり、更なるセキュリティへの信頼性の要求強くなるものと考える。と同時に、現行の複雑な扱い方に対して、操作容易化も商品力として、重要な要素になりつつある。
【0048】
それ以上のセキュリティ向上策として、特許等の動向として、指紋、虹彩、静脈パターン等の生体認証の技術が数多く提案されている。その背景としては、これらの生体測定センサーやデータ処理での信頼性向上が大きく寄与しており、現在は実際に市場に出現する時期に到達している。(図3参照)
【0049】
これらのセキュリティ信頼性、日本国特有なキー付盗難への対応、操作性の簡易化等を満たす装置として本発明は強力なポテンシャルを持っている。
【符号の説明】
【0050】
1 虹彩認証センサー類
2 紋等認証センサー類
3 キー(鍵)
4 ドア
5 原動機(エンジン、電動モーター等)
6 原動機のスターター
7 シフトレバー等
8 接合機能部位、変速機
9 車両、自動車
10 駆動伝達部
11 タイヤ
12 電子制御装置、基板
13 生体認証登録データ
14 眼球
15 制動機能部位、ブレーキ
16 アクセルペダル
17 ハンドル
18 荷重反応センサー類
19 接近センサー類
20 コントロール基盤類
21 シフトレバーパーキング位置
22 シフトレバーニュートラル位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの開閉及びエンジン等原動機の始動・停止の操作のために従来からあるキー(以下、キーと称する)のシステムを持つ自動車のセイフティシステムの装置において、更に、内燃機関、化学反応から直接電力を得る燃料電池または電動モーター等の単独又は組合せによって構成されて走行のための動力を供給する原動機(以下、原動機と称する)の加速を行う装置、上述のキーの操作以外で原動機を停止・減速・制動する装置(燃料・電力供給の減少制御、スロットル全閉制御、排気ブレーキ等)またはアイドリング状態を保つ装置等が持つ機能の作動または非作動を運転者に許可するために指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証を利用するシステムを持つ装置
【請求項2】
請求項1の装置において、運転者が運転席を離着席することを検知する毎に、原動機の加速、停止・減速・制動(燃料・電力供給の減少制御、スロットル全閉制御、排気ブレーキ等)、アイドリング状態維持等の機能に関する作動・非作動を運転者に許可するために指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証を必要とするシステムを持つ装置
【請求項3】
請求項2の装置において、原動機がアイドリング状態で運転者が車両を離席すると、一定時間後に自動的に原動機を停止させる装置
【請求項4】
請求項3の装置において、原動機がアイドリング状態で運転者が車両を離席し、一定時間後に本人が再びまたは他の人が交代して運転席に着席すると、指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証が認証された後でないとエンジンの再始動が出来ないシステムを持つ装置
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の装置において、自動車のドアを施錠、解錠する手段として、指紋、虹彩、静脈パターン等の生体認証を追加して利用できる装置
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5の装置において、自動車の変速シフトの機能(作動、非作動、シフト切り替え)を、運転者が運転席を離席し、車両を離れることを検知する時に自動的に切り替える機能を有し、本人が再びまたは他の人が交代して運転席に着席し生体認証を獲得する時に、自動的に切り替えるまたは切り替え操作可能とする機能を有する装置
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6の装置において、指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証を許可する人物に対して、ランク別に、その認証有効期間及び新規認証の許可機能を設定できる装置を、自動車に内蔵する方式又はリモートコントロール装置を用いる方式等により実現する装置
【請求項8】
請求項7の装置において、指紋、虹彩、静脈パターン、手の平、顔、声紋等の生体認証のレベルを運転を許容する人によって管理区分する登録を設定し、本人及び家族等は登録後継続して生体認証が許可される管理区分Aに登録され、運転を一時的に許可する知人・友人の登録は別の管理区分B下に置き、管理区分ごとに一定の条件で登録が無効となる等の生体認証獲得の有効性の制御を可能とすることができる装置
【請求項9】
請求項7の装置において、本人の登録はシステム初期設定時に設定し、新規の登録と管理区分の設定は「本人又は登録済みの家族等」を対象とする管理区分Aのみが新規認証の許可をおこなうことができる装置
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9の装置において、車室内での指紋、手の平または静脈パターン等による生体認証に関して、運転席の運転者がシフトレバー又はハンドル部等の操作器具の特定のくぼみ(又は突起部)や運転席周りの手の届く箇所に設置される指の位置を指定する表面形状等に設置される指紋、手の平または静脈パターン等による生体認証を行うに指、手等を置き、検出装置による測定が可能となるように手で操作器具を握り、または添えることで生体計測が可能となり、その操作感が自然体で本来の操作に対して違和感なく行える方式で、指紋、手の平または静脈パターン等を測定し、又は視線をセンサー方向に向けるだけで認証を完了する虹彩等の方式で、生体認証のための特別な操作なしに認証が完了する装置
【請求項11】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9の装置において、車室内での虹彩による生体認証に関して、ダッシュボード、バックミラー又は天井部からの折りたたみ機構にセンサーを設け、運転席のドライバーの認証をセンサーの方向に視線を向くことで完了する装置
【請求項12】
請求項5、請求項6、請求項10、請求項11の装置において、自動車のドアを施錠、解錠する手段として生体認証を用いる方式の場合で、車外からの生体認証に虹彩による方式、車室内の運転席周りでの生体認証に指紋、手の平または静脈パターン等による方式を適用する装置
【請求項13】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12の装置において、これらの装置と独立している車両位置通報のための信号を発する装置を併用する装置
【請求項14】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9の装置、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13の装置において、生体認証の登録データを保管し、認証を司り、外部からの生体認証のテータは受理し登録データと照合し、その結果を示す暗号化されているデータのみ出力し、登録データは外部には出力しない電子システム装置を持ち、この電子システム装置を頑丈なケースに内蔵させ、生体認証なしに開けたり解体する又は電子システムの回路からデータを抜き取ろうとする異常な操作することを感知して、自動的に登録データに関連の無いデータを上書きして、生体認証の登録データを消滅する機能を持つ装置
【請求項15】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14の装置において、車両停止のためのブレーキペタルを作動させ車両を制動または停止を維持する目的で誤って原動機のアクセルペタルを単独またはブレーキペタルと同時に作動させる場合に、アクセルペタルの操作速さが設定する閾値より大きい時または最大作動点まで作動させる時等を検知してアクセルペタルの機能を非作動とし、原動機の停止・制動(スロットル全閉制御、排気ブレーキ等)またはアイドリング状態維持等の作動を起動させる装置と併用するシステムを有する装置
【請求項16】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15の装置において、アイドリングストップの装置と連携させ、アイドリングストップの装置における「車両駐停車時のアイドリングストップを自動的に行う機構(マニュアル車、オートマチック車、ハイブリット車等によって具体的な操作手順が若干違うが)で、(マニュアル車では「変速段を中立・ニュートラルにしてクラッチ接合時」、オートマチック車では、「停車維持操作以外何もしない状態」、「ブレーキ作動時」、又は「専用ボタン押下」又は「変速等切り替え段をニュートラル」等の状態で、「ブレーキ作動」及び「車速ゼロ状態」を組合せる一連の操作により)駐停車を検知して原動機を停止し、発進する時は、運転者の離車の検知後の必要となる生体認証の確認または認証及びアイドリングストップの装置の発進動作(マニュアル車ではクラッチ切断、オートマチック車では、ブレーキペタルを緩めること、変速等切り替え段を中立とすること、アクセルペタルを踏むこと又は専用ボタン押下等)を検知して原動機を再始動する機能を連携するシステムを持つ装置
【請求項17】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16の装置において、これらの装置と独立している車両振動レベルセンサー又は車両周辺の接近センサー等に反応する警報システム又はドアの開閉やエンジン始動・停止に関するキーシステムで異常なキー操作が生じる時に反応する警報システム等の装置を併用する装置
【請求項18】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14、請求項15、請求項16、請求項17の装置において、本発明を適用する車両の従来からある鍵システムで鍵を車両に装入・装着する方式の場合、離席し車両から運転手が離れても、従来からの鍵システムで抜くことの出来ない条件に保持することで(例えば、鍵が抜けない変速シフトのポジションと見なされる設定条件等)、他人が鍵を持ち去ること防止する装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225066(P2011−225066A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95571(P2010−95571)
【出願日】平成22年4月18日(2010.4.18)
【出願人】(300004278)
【Fターム(参考)】