説明

車両ドアのスライドドア制御装置

【課題】非接触式センサを働かせるためのエネルギーに関する無駄をなくすことができ、さらにスライドドアの閉方向スライド時の誤作動を無くすことが可能な車両ドアのスライドドア制御装置を提供する。
【解決手段】スライドドア12の開方向端面に設けた障害物の存在を感知するための感度を調整可能な非接触式センサS1と、スライドドアのスライド方向を検知するスライド方向検知手段Cと、スライド方向検知手段が開方向スライドを検知したとき閉方向スライドを検知した場合に比べて非接触式センサの感知感度を高くするセンサ感度調整手段Cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドアが開閉時に障害物と接触するのを防止するための車両ドアのスライドドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のスライドドアにセンサを設けることにより、スライドドア開閉時にスライドドアが障害物と接触しないようにしたものは従来から提案されている(例えば、特許文献1)。
出願人は従来のセンサ付きスライドドアを発展させ、スライドドアの開方向側端面に非接触式センサ(例えば、静電容量式非接触センサ)を取り付ける発明を考案した。
【0003】
この非接触式センサ付きのスライドドアは、例えば、全閉位置にあるスライドドアの開方向側にフューエルリッドを設け、さらにスライドドアをモータの駆動力によってスライドさせる車両に適用可能である。このような構成とすることにより、フューエルリッドが開いている状態でスライドドアを開方向にスライドさせると、非接触式センサがフューエルリッドに接触する前にフューエルリッドを感知するので、スライドドアがフューエルリッドに接触するのを未然に防ぐことができる。また、スライドドアを全閉位置側にスライドさせたときにスライドドアとドア開口との間に衣服等が挟み込まれた場合には、非接触式センサが衣服等を感知することによりモータの回転を停止させることが可能になる。
【特許文献1】特開平7−76220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、スライドドアの開方向側端面に非接触式センサを取り付けることにより有用な効果が得られる。
しかし、スライドドアの開方向側端面が障害物(フューエルリッドや衣服等)と接触する確率は、スライドドアの開方向時に比べて閉方向時は低いことが知られている。従って、非接触式センサの感知感度を常に一定となるように設定すると非接触式センサを働かせるためのエネルギーを無駄に消費してしまい、しかもスライドドアの閉方向スライド時に誤作動を起こすおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、非接触式センサを働かせるためのエネルギーに関する無駄をなくすことができ、さらにスライドドアの閉方向スライド時の誤作動を無くすことが可能な車両ドアのスライドドア制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両ドアのスライドドア制御装置は、車両ボディにスライド可能に支持したスライドドアの開方向端面に設けた、障害物の存在を感知するための感度を調整可能な非接触式センサと、上記スライドドアが開方向と閉方向のいずれにスライドしているかを検知するスライド方向検知手段と、該スライド方向検知手段が開方向スライドを検知したとき、該スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知した場合に比べて上記非接触式センサの感知感度を高くするセンサ感度調整手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知したとき、上記センサ感度調整手段が、スライドドアが全閉位置に位置したときに上記非接触式センサが車両ボディ側の対向部を感知しないレベルまで該非接触式センサの感知感度を下げるようにすれば、スライドドアが全閉位置に達したときに非接触式センサが誤検知を起こすのを防止できる。
【0008】
上記スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知したとき、上記センサ感度調整手段が、上記非接触式センサを障害物が直接接触したときのみ反応する接触モードに切り換えるようにしてもよい。
【0009】
上記車両ボディに設けた、上記スライドドアが全閉位置に位置するときに該スライドドアから見て開方向側に位置し、かつ開放状態において上記非接触式センサが所定距離まで近づいたときに該非接触式センサが感知可能である開閉自在なフューエルリッドと、該フューエルリッドが開いている状態で上記スライドドアが開方向スライドすることにより上記非接触式センサが該フューエルリッドを感知したときに、上記スライドドアを停止させる強制停止手段と、を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、スライドドアが開方向にスライドしているときは非接触センサの感知感度を高くし、スライドドアが閉方向にスライドしているときは非接触センサの感知感度を開方向スライド時より低くする。従って、閉方向スライド時に比べて障害物が接触するおそれが高いスライドドアの開方向スライド時にはスライドドアが障害物に接触するのを確実に防止できる。また、開方向スライド時に比べて障害物が接触するおそれが低いスライドドアの閉方向スライド時には、非接触センサを機能させるためのエネルギー(電力)を開方向スライド時に比べて抑制できるので、省エネルギー化を図ることができる。さらに、閉方向スライド時には、非接触センサの感知感度を下げるので、ドア開口とスライドドアの間に障害物(衣服等)が挟まれていないにも拘わらず、非接触式センサが車両ボディ側の対向部(例えばドア開口の周縁部)を障害物として誤検知することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図5を利用して本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の説明中の前後の方向は、図1に記載した矢印の方向を基準としている。
自動車10の車両ボディ側面にはドア開口11が形成してあり、ドア開口11の周縁部全体にはウェザーストリップWSが貼着してある(図3及び図4参照)。このドア開口11の上下両縁部と車両ボディの車外側面のドア開口11の後方部分とには前後方向に延びる3本のスライドレール13、14が設けてあり、各スライドレール13、14がドア開口11と略同形状のスライドドア12を前後方向にスライド可能に支持している。スライドドア12はドア開口11を塞ぐ全閉位置(図1及び図3の位置)から後方に移動することによりドア開口11を全開にする全開位置までスライド可能である。
車両ボディ側面には、ドア開口11の後方に位置する開口15が穿設してあり、この開口15には該開口15と略同形状のフューエルリッド16が開閉自在に設けてある。このフューエルリッド16を開放することにより開口15の内部に配設した燃料タンク(図示略)に燃料を供給することができる。車内の運転席近傍にはオープンスイッチが設けてあり、このオープンスイッチを操作すると全閉位置にあるフューエルリッド16が全開位置まで自動的に回転する。
自動車10は、スライドドア12が全閉位置に位置していることを検知する全閉検知センサと、スライドドア12が全開位置に達したことを検知する全開検知センサとを備えており(共に図示は省略)、全閉検知センサ及び全開検知センサは共に車両ボディに設けたCPU等によって構成される制御手段C(図1参照)に電気的に接続している。
【0012】
自動車10にはスライドドア12を開方向(後方)及び閉方向(前方)にスライドさせるための駆動機構が設けてある。この駆動機構は正逆両方向に回転可能なモータMを具備しており、スライドドア12はこのモータMの駆動力によってスライドする。さらに、スライドドア12の車内側面または(及び)車両ボディの車内側面にはモータMを操作するためのインナスイッチ17が設けてあり、ドア開口11の車外側面にはモータMを操作するためのアウタスイッチ18が設けてある。これらインナスイッチ17とアウタスイッチ18は制御手段Cを介してモータMと電気的に接続している。さらにモータMは、この制御手段Cを無線操作可能なワイヤレスリモコン19(図1参照)によっても回転操作可能である。
このようにスライドドア12はモータMの駆動力を利用して開閉操作可能であるが、手動操作によって開閉方向にスライドさせることも可能である。
【0013】
図2に示すように、スライドドア12の後端面(開方向端面)全体には制御手段Cと電気的に接続された静電容量式非接触センサS1が固着してある(後面全体が感知面S1a)。静電容量式非接触センサS1は制御手段Cから供給される電力を利用した非接触式センサであり、静電容量式非接触センサS1から離れたもの(静電容量式非接触センサS1に接触していないもの)も感知可能であるが、制御手段Cの制御によりその感知感度を落とすことにより、静電容量式非接触センサS1の感知面S1aに直接接触したもののみを感知する接触モードに切り換えて使用することも可能である。
【0014】
次に図5のフローチャートを利用しながら本実施形態の動作について説明する。
スライドドア12が全閉位置に位置するときにインナスイッチ17、アウタスイッチ18、ワイヤレスリモコン19のいずれかを操作してモータMを正転させると、スライドドア12が全閉位置から後方にスライドし、ドア開口11が徐々に開放される(ステップ1)。すると制御手段(スライド方向検知手段)Cが、モータMの回転方向に基づいてスライドドア12が開方向にスライドしているか否かを判断する(ステップ2)。このステップ2で制御手段Cが、スライドドア12が開方向にスライドしていると判定すると、制御手段(センサ感度調整手段)Cが静電容量式非接触センサS1の感知感度(障害物の存在を感知するための感度)を上げ高感度非接触モードにする(静電容量式非接触センサS1に供給する電力量を上げる)(ステップ3)。
次いでステップ4において、静電容量式非接触センサS1の検出結果が所定のしきい値を超えたか(静電容量式非接触センサS1が障害物を感知したか)否かを制御手段Cが判定する。例えば、フューエルリッド16がスライドドア12の後方において開放状態にあったり、あるいは人がスライドドア12の直後に立っている場合に、静電容量式非接触センサS1の感知面S1aとこれら障害物(フューエルリッド16、人等)の距離が所定距離まで近づくと、制御手段Cは静電容量式非接触センサS1の検出結果がしきい値を超えたと判定する。しきい値を超えたと判定すると、制御手段Cがモータ(強制停止手段)Mの回転を停止し、スライドドア12を停止させる(ステップ5)。
一方、ステップ4において制御手段Cがしきい値を超えていないと判定すると、制御手段Cが上記全開検知センサの検出結果を利用してスライドドア12が全開位置に達したか否かを判定する(ステップ6)。スライドドア12が全開位置(スライドドア12の後端部がフューエルリッド16の後方に達する位置)に位置していると判定すると、制御手段CはモータMの回転を停止する(ステップ5)。一方ステップ6において、スライドドア12が全開位置に達していないと判定すると、ステップ4に戻って静電容量式非接触センサS1の検出結果がしきい値を超えたか否かを判定する。
【0015】
一方、ステップ1においてスライドドア12が開放状態にあるときにインナスイッチ17、アウタスイッチ18、ワイヤレスリモコン19のいずれかによってモータMを逆転させてスライドドア12を閉方向にスライドさせると、ステップ2において制御手段Cがスライドドア12が閉方向にスライドしていると判定する。すると、制御手段(センサ感度調整手段)Cが静電容量式非接触センサS1の感知感度を下げて(静電容量式非接触センサS1に供給する電力量を下げて)、静電容量式非接触センサS1を接触モードに切替える(ステップ7)。
次いでステップ8において、静電容量式非接触センサS1の検出結果が所定のしきい値を超えたか(静電容量式非接触センサS1に人やその他の障害物が接触しているか)否かを制御手段Cが判定する。このステップで、例えば図4に示すようにドア開口11の開口縁部とスライドドア12の後端部の間に人の衣服(障害物)が挟まれこの衣服が静電容量式非接触センサS1に接触していると、制御手段Cは静電容量式非接触センサS1の検出結果がしきい値を超えたと判定する。しきい値を超えたと判定すると、制御手段Cがモータ(強制開放手段)Mを逆方向に回転(正転)させ(ステップ9)、スライドドア12が所定位置まで開方向スライドしたらモータMを停止させる(ステップ5)。なお、このステップ9におけるモータMの正転方向への回転量は常に一定であってもよいし、静電容量式非接触センサS1が障害物を感知したときのスライドドア12の位置によって変えても良い。
【0016】
ステップ8において、静電容量式非接触センサS1の検出結果が所定のしきい値を超えていない(静電容量式非接触センサS1に人やその他の障害物が接触していない)と制御手段Cが判定すると、制御手段Cが上記全閉検知センサの検出結果を利用してスライドドア12が全閉位置に達したか否かを判定する(ステップ10)。ここで制御手段Cがスライドドア12が全閉位置に達したと判定すると、制御手段CはモータMの回転を停止する(ステップ5)。一方、ステップ10において制御手段Cが全閉位置に達していないと判定すると、ステップ8に戻って静電容量式非接触センサS1の検出結果がしきい値を超えたか否かを判定する。
【0017】
このように本実施形態では、スライドドア12が開方向にスライドしているときは静電容量式非接触センサS1の感知感度を高くし、スライドドア12が閉方向にスライドしているときは静電容量式非接触センサS1の感知感度を開方向スライド時より低くしている(接触モードにしている)。そのため、閉方向スライド時に比べて障害物が接触するおそれが高いスライドドア12の開方向スライド時にはスライドドア12が障害物に接触するのを確実に防止できる。また、開方向スライド時に比べて障害物が接触するおそれが低いスライドドア12の閉方向スライド時には、静電容量式非接触センサS1を働かせるためのエネルギー(電力)を開方向スライド時に比べて抑制できるので、省エネルギー化を図ることができる。
さらに、閉方向スライド時には、静電容量式非接触センサS1の感知感度を下げるので、ドア開口11の開口縁部とスライドドア12の間に障害物(衣服等)が挟まれていないにも拘わらず、静電容量式非接触センサS1が例えばドア開口11の周縁部(対向部)を障害物として誤検知することがない。従って、全閉位置までスライドしたスライドドア12が、モータMにより誤って開方向にスライドさせられてしまうことはない。
【0018】
なお、上記実施形態においてはスライドドア12をモータMの駆動力によってスライドさせているが、上述のようにスライドドア12は手動によって開閉操作可能である。手動によってスライドドア12を開閉する場合は、モータMはステップ9においてのみ利用する。
また、この実施形態ではスライドドア12が閉方向スライドするときに静電容量式非接触センサS1を接触式センサとなるまで感知感度を下げている。しかし、図3に示す全閉状態において静電容量式非接触センサS1が車両ボディ側の対向部(例えば、ドア開口11の後端縁部)を感知しない程度まで感知感度を下げれば、静電容量式非接触センサS1を非接触式センサのまま利用してもよい。
さらに、本実施形態ではスライドドア12の開方向が後方なのでスライドドア12の後端面に静電容量式非接触センサS1を設けたが、スライドドア12の開方向が前方の場合は、スライドドア12の前端面に静電容量式非接触センサS1を設けて実施する。
また、本実施形態ではスライドドア12の後端面(開方向側端面)全体に静電容量式非接触センサS1を設けたが、スライドドア12の後端面の一部のみ(例えば、フューエルリッド16と同じ高さの部分(フューエルリッド16を検知可能な位置)や下端部など)に静電容量式非接触センサS1を設けて実施してもよい。
【0019】
また、駆動機構(モータM)とは別に、スライドドア12が所定の全閉位置近傍に達したときに駆動してスライドドア12を全閉位置まで強制的に移動させる、上記制御手段Cによって制御されるクローザ機構(図示略)を設けて実施してもよい。この場合は、スライドドア12が全閉位置近傍に達したときに、制御手段CがモータMを停止させると共にクローザ機構のクローザモータを回転させ、このクローザモータの回転力によりスライドドア12を全閉位置まで移動させる。
そしてこの場合は、スライドドア12が全閉位置近傍に位置するときに、ステップ9において静電容量式非接触センサS1の検出結果がしきい値を超えたと制御手段Cが判定(ステップ9)した場合には、制御手段Cはクローザ機構(クローザモータ)を動作させずにモータMを正転させ、スライドドア12を開方向にスライドさせる。
【0020】
次に本発明の第2の実施形態について図6及び図7を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
スライドドア12の上部に形成した窓孔20に設けたスライド窓21は、窓孔20を全閉する全閉位置と、窓孔20を全開にする全開位置との間を昇降可能である。さらに、窓孔20の下縁部を除く周縁部には静電容量式非接触センサS2が固着してあり、スライドドア12の前縁部には静電容量式非接触センサS3が固着してある。これら静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3は共に制御手段Cと電気的に接続している。
【0021】
本実施形態では、スライドドア12とスライド窓21が全閉位置に位置しているか否かによって、静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3の感知感度を調整して静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3を感知有効状態と感知無効状態とに切り換える。さらに、感知有効状態に切り換える場合は、非接触式センサとして利用してもよいし、静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3の感知感度を極力低くして接触式センサとして利用してもよい。スライド窓21が全閉位置に位置しているか否かは、図示を省略したスライド窓位置検出センサの検知結果に基づいて制御手段Cが判定する(スライドドア12が全閉位置に位置しているか否かは、上記全閉検知センサの検知結果に基づいて制御手段Cが判定する)。
【0022】
静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3の感知有効状態と感知無効状態との切り換えは、図7に示す表の態様で行う。
即ち、スライド窓21が全閉位置にある状態でスライドドア12を開方向にスライドさせるときは(状態1)、ドア開口11の前縁部とスライドドア12の前縁部の間、及び窓孔20とスライド窓21の間で人の衣服等(以下、障害物と呼ぶ)が挟みこまれることはないので、静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3には制御手段Cから電力を供給せず共に感知無効状態にする。
スライド窓21が全閉位置にある状態でスライドドア12を閉方向にスライドさせるときは(状態2)、ドア開口11の前縁部とスライドドア12の前縁部の間で障害物を挟み込むおそれがあるので、この場合は静電容量式非接触センサS3のみを感知有効状態にする。
スライド窓21が開放位置に位置する状態でスライドドア12を開方向にスライドさせるときは(状態3)、窓孔20とドア開口11の後縁部の間で障害物を挟み込むおそれがあるので、この場合は静電容量式非接触センサS2のみを感知有効状態にする。
スライド窓21が開放位置に位置する状態でスライドドア12を閉方向にスライドさせるときは(状態4)、ドア開口11の前縁部とスライドドア12の前縁部の間で障害物を挟みむおそれがあるので、この場合は静電容量式非接触センサS3のみを感知有効状態にする。
スライドドア12が全閉位置にある状態でスライド窓21を開方向に移動させるときは(状態5)、ドア開口11の前縁部とスライドドア12の前縁部の間、及び窓孔20とスライド窓21の間で障害物が挟みこまれることはないので、静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3は共に感知無効状態にする。
スライドドア12が全閉位置にある状態でスライド窓21を閉方向に移動させるときは(状態6)、窓孔20とスライド窓21の間で障害物を挟みこむおそれがあるので、静電容量式非接触センサS2のみを感知有効状態にする。
スライドドア12が開放位置にある状態でスライド窓21を開方向に移動させるときは(状態7)、ドア開口11の前縁部とスライドドア12の前縁部の間、及び窓孔20とスライド窓21の間で障害物が挟みこまれることはないので、静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3は共に感知無効状態にする。
スライドドア12が開放位置にある状態でスライド窓21を閉方向に移動させるときは(状態8)、窓孔20とスライド窓21の間で障害物が挟みこまれるおそれがあるので静電容量式非接触センサS2のみを感知有効状態にする。
このような態様で静電容量式非接触センサS2と静電容量式非接触センサS3の感知状態を切り換えれば、無駄な電力を使わずに済むので、省エネルギー化を図ることができる。
【0023】
第1及び第2の実施形態では非接触式センサとして静電容量式非接触センサを利用したが、その他の種類の非接触式センサを利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態である自動車全体の側面図である。
【図2】フューエルリッドが開いたときの自動車の後方から見た斜視図である。
【図3】スライドドアが全閉位置に位置するときの図1のIII−III矢線に沿う横断平面図である。
【図4】スライドドアが全閉位置近傍に位置するときの図3と同様の横断平面図である。
【図5】スライドドアの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態の自動車の前部を省略した側面図である。
【図7】2つの静電容量式非接触センサの感知状態の切替態様を示す表である。
【符号の説明】
【0025】
10 自動車
11 ドア開口
12 スライドドア
13 14 スライドレール
15 開口
16 フューエルリッド
17 インナスイッチ
18 アウタスイッチ
19 ワイヤレスリモコン
20 窓孔
21 スライド窓
C 制御手段(スライド方向検知手段、センサ感度調整手段)
M モータ(強制停止手段、強制開放手段)
S1 静電容量式非接触センサ(非接触式センサ)
S1a 感知面
S2 S3 静電容量式非接触センサ(非接触式センサ)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディにスライド可能に支持したスライドドアの開方向端面に設けた、障害物の存在を感知するための感度を調整可能な非接触式センサと、
上記スライドドアが開方向と閉方向のいずれにスライドしているかを検知するスライド方向検知手段と、
該スライド方向検知手段が開方向スライドを検知したとき、該スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知した場合に比べて上記非接触式センサの感知感度を高くするセンサ感度調整手段と、
を備えることを特徴とする車両ドアのスライドドア制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両ドアのスライドドア制御装置において、
上記スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知したとき、上記センサ感度調整手段が、スライドドアが全閉位置に位置したときに上記非接触式センサが車両ボディ側の対向部を感知しないレベルまで該非接触式センサの感知感度を下げる車両ドアのスライドドア制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両ドアのスライドドア制御装置において、
上記スライド方向検知手段が閉方向スライドを検知したとき、上記センサ感度調整手段が、上記非接触式センサを障害物が直接接触したときのみ反応する接触モードに切り換える車両ドアのスライドドア制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の車両ドアのスライドドア制御装置において、
上記車両ボディに設けた、上記スライドドアが全閉位置に位置するときに該スライドドアから見て開方向側に位置し、かつ開放状態において上記非接触式センサが所定距離まで近づいたときに該非接触式センサが感知可能である開閉自在なフューエルリッドと、
該フューエルリッドが開いている状態で上記スライドドアが開方向スライドすることにより上記非接触式センサが該フューエルリッドを感知したときに、上記スライドドアを停止させる強制停止手段と、を備える車両ドアのスライドドア制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−308008(P2007−308008A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138862(P2006−138862)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】