説明

車両用の操作パネル

【課題】簡便な構成で、操作性がよく水入りを抑制することができる操作パネルを提供する。
【解決手段】ハウジング11と、電気回路基板24と、孔23と、孔23の周縁少なくとも一部のハウジング表面に取り付けられ、ハウジング11の表面と交差する方向に圧縮、反発する弾性体25と、弾性体25の表面に取り付けられ、弾性体25の表面と孔23とを覆うシート26と、シート26の電気回路基板24側の面に取り付けられ、ハウジング11表面と交差する方向に沿って孔の中を移動自在の移動部材27と、を備える。弾性体25は、押圧力が移動部材27に加わった際には圧縮され、押圧力が解放されたされた際には移動部材27を元の位置に戻すように反発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の操作パネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される空調装置等の操作パネルには押しボタン式のスイッチが多く用いられている。このような押しボタン式のスイッチは、樹脂製のパネルに孔を設け、その孔に沿って樹脂性パネルの表面と概ね垂直方向にスライドするスイッチノブと、スイッチノブによってオンオフされる接点とを備え、スイッチノブは樹脂性のパネルとは別体として構成されているものがある(例えば、特許文献1、図4参照)。また、樹脂製のパネルにスイッチノブをパネル表面の回転軸の周りに回転自在に支持するヒンジを設け、スイッチノブが押されるとスイッチノブがヒンジの周りに回転してスイッチノブの背面が樹脂性のパネル表面に対して垂直方向に移動することによって接点のオンオフを行うものが用いられている。この場合もスイッチノブは樹脂製のパネルと別体として構成されている(例えば、特許文献1、図1参照)。この様にスイッチノブが樹脂製のパネルと別体して構成されている場合には、スイッチノブの形状、表面の表示、照明などを車両の内装や樹脂製パネルの意匠と合わせるよう構成することができるというメリットはがあるものの、部品点数が多くなってしまうことと、スイッチノブの動作のためにスイッチノブの外面と樹脂製パネルの孔との間に設けられる隙間から水が操作パネルの内部に侵入してしまい、作動不良や誤動作を起こす場合があるという問題があった。
【0003】
そこで、表面に固定電極が設けられた平面状の固定シートと、凸状に成型され、凸状部分の内面に可動電極が設けられた表面シートとを固定電極と可動電極が対向する様に張り合わせたメンブレンスイッチが用いられている(例えば、特許文献2の図2参照)。この様なメンブレンスイッチは表面シートの凸状部分を押し下げることによって固定電極と可動電極とを接触させてオンオフ動作を行うものであり、表面シートに隙間を設ける必要がないことから水が内部に侵入することを防止することができる。また、炊飯器などのように水がかかるような電気製品のスイッチにはスイッチノブの表面を防水シートで覆ったものが用いられている(例えば、特許文献3の図2参照)。
【0004】
しかし、特許文献2あるいは特許文献3に記載されたスイッチは、いずれもスイッチのオンオフ動作の際にシートの凸状に成型された部分を指で押し下げてシートの凸状の部分を変形させるので、スイッチの操作感が悪いという問題があった。特に、車室の内装に高級感が求められた場合には、特許文献2あるいは特許文献3に記載されたようなスイッチを採用することが困難であるという問題があった。また、特許文献2に記載されたスイッチでは、固定電極と可動電極の配置されている領域を避けてシンボルマークの表示部分を形成し、その部分を照明することが必要となるため、各電極を透明にするなどの必要があるうえ、視認性、操作性が悪くなる場合があるという問題があった。更に、特許文献2あるいは特許文献3に記載されたようなスイッチは、シートの表面を凸状に成型することが必要となることから、その形状が制限され、車内の内装に合わせた意匠デザインとすることが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−278549号公報
【特許文献2】特開2007−157384号公報
【特許文献3】特開2002−358851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便な構成で、操作性がよく、水入りを抑制することができる操作パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用の操作パネルは、ハウジングと、ハウジングの内部に設けられた電気回路基板と、ハウジングの表面に設けられた孔と、孔の周縁の少なくとも一部のハウジング表面に取り付けられ、ハウジング表面と交差する方向に圧縮、反発する弾性体と、弾性体の表面に取り付けられ、弾性体の表面と孔とを覆うシートと、シートの電気回路基板側の面に取り付けられ、ハウジング表面と交差する方向に沿って孔の中を移動自在の移動部材と、を備え、弾性体は、ハウジング表面側からの押圧力が移動部材に加わった際には移動部材が電気回路基板の方向に移動できるよう圧縮され、押圧力が解放されたされた際には移動部材を元の位置に戻すように反発すること、を特徴とする。
【0008】
本発明の車両用の操作パネルにおいて、ハウジングは孔の周縁の少なくとも一部にハウジング表面から凹むように設けられた段部を備え、弾性体は、段部のハウジング表面側にその表面がハウジング表面と略同一面となるように取り付けられ、シートは、ハウジング表面と弾性体表面とに取り付けられていること、としても好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、簡便な構成で、操作性がよく水入りを抑制することができる操作パネルを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における車両用の操作パネルの説明図である。
【図2】本発明の実施形態における車両用の操作パネルにおけるプッシュボタン周りの平面と断面とを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態における車両用の操作パネルのプッシュボタンの動作を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態における車両用の操作パネルにおけるプッシュボタン周りの平面と断面とを示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態における車両用の操作パネルにおけるプッシュボタン周りの平面と断面とを示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態における車両用の操作パネルにおけるプッシュボタン周りの平面と断面とを示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態における車両用の操作パネルにおけるプッシュボタン周りの平面と断面とを示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態における車両用の操作パネルのプッシュボタンの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態は、車両に搭載される車室内の空調装置の操作パネル10は、ハウジング11の表面に時間、温度などを表示する表示窓12と、各種の機器を操作するためのプッシュボタン13と、各プッシュボタン13によって操作される機器の状態を示すインジケータ14とをそなえている。また、各プッシュボタン13の表面には、各プッシュボタン13の機能を示すシンボルマーク15が設けられている。夜間、シンボルマーク15はプッシュボタン13の内部に配置された光源によって照明され、搭乗者がそのシンボルマーク15を認識できるよう構成されている。
【0012】
搭乗者は、表示窓12あるいはインジケータ14の表示によって空調装置の動作状態を認識し、必要な機能のプッシュボタン13を押すことによって空調装置を動作させることができる。例えば、A/Cのシンボルマーク15があるプッシュボタン13を押し下げるとエアコンがオンとなり、TEMPの表示の上側にある上方向に山形のシンボルマーク15を持つプッシュボタン13を押すと車室内の設定温度が上昇し、その下側の下向きの山形のシンボルマーク15を持つプッシュボタン13を押すと逆に車室内の設定温度が低下する。
【0013】
図2(a)、図2(b)に示すように、操作パネル10は、樹脂製のハウジング11の表面板21と、ハウジング11の内部に設けられた電気回路基板24と、表面板21に設けられた孔23と、孔23の周縁に表面板21の表面から凹むように設けられた段部22と、段部22の表面板21の表面側に取り付けられ、ハウジング11の表面と交差する方向である上下方向に圧縮、反発する弾性体25と、表面板21の表面に取り付けられ、弾性体25の表面と孔23とを覆うシート26と、シート26の電気回路基板24の側の面に取り付けられ、ハウジング11の表面と交差する上下方向に沿って図中の矢印で示すように、孔23の中を移動自在の移動部材27と、を備えている。そして、弾性体25は、ハウジング11の表面側からの押圧力が移動部材27に加わった際には移動部材27が電気回路基板24の方向に移動できるよう圧縮され、押圧力が解放されたされた際には移動部材27を元の位置に戻すように反発する。シート26と移動部材27とはプッシュボタン13を構成する。
【0014】
電気回路基板24の表面板21に設けられた孔23に対応する位置には接点をオンオフするクリックスイッチ28とプッシュボタン13のシンボルマーク15を照明するLED29が取り付けられている。また、表面板21に設けられた孔23の電気回路基板24側には、表面板21から電気回路基板24の向って延びるスカート32が設けられている。スカート32の先端は電気回路基板24の表面に接して表面板21と電気回路基板24との間隔を保持することができるよう構成されている。
【0015】
弾性体25は樹脂製のハウジング11の表面板21よりも軟らかいもので、例えば、表面板21がエンジニアリングプラスチックなどで構成されている場合には、ゴムなどエンジニアリングプラスチックよりも軟らかく、剛性の低い材料で構成されている。弾性体25は表面板21よりも軟らかければよく、多孔質の樹脂材料でも良いし、多孔質のゴムなどでもよい。弾性体25は表面板21の孔23の周囲に設けられた段部22にシート26と表面板21との間の挟みこまれるように取り付けられており、その表面は表面板21の表面と略同一面で、その内周側の端面は表面板21に設けられた孔23の内周面と略同一面となっている。このように、弾性体25の表面と表面板21の表面とが略同一平面となるように構成されているので、操作パネル10の表面形状を保持することができ、意匠性も向上する。
【0016】
シート26は表面板21の表面に接着されているPCやPET等の樹脂製透光性の薄板で、印刷によってシンボルマーク15以外の部分をたとえば黒色などの遮光性に印刷し、シンボルマーク15以外の部分から電気回路基板24に取り付けられたLED29の光が漏れないように構成されている。そして、LED29が点灯した際にはシンボルマーク15が照明によって浮き出て搭乗者がプッシュボタン13の機能を認識することができるよう構成されている。
【0017】
移動部材27は、孔23の内径寸法よりも少し小さい寸法で、孔23との間に若干の隙間ができるような大きさとなっている。そして、移動部材27は、シート26のハウジング11内面側に接着され、その表面が表面板21の表面から少し突出するように取り付けられた透光性の樹脂製部材で、指で押した際にその形状を保ち、ほとんど変形しない程度の硬さを備えるもので、LED29からの光りを散乱させることができるものである。移動部材27のシート26側の面は平面で、移動部材27が電気回路基板24の側に移動した際にその先端が電気回路基板24に取り付けられているクリックスイッチ28に接するような厚みを備えている。本実施形態では、図2(c)に示すように先端をテーパ状に成形して移動部材27の体積を小さくしている。
【0018】
以上のように構成された操作パネル10のプッシュボタン13を押した際の動作について図3を参照しながら説明する。プッシュボタン13が押されていない状態では、図3の一点鎖線で示すようにシート26と移動部材27の表面は表面板21の面よりも少し突出している。車両の搭乗者が、図3に示す矢印のようにシート26の表面を押し下げると、その押圧力はシート26から移動部材27に伝達される。移動部材27は、エンジニアリングプラスチックやABS樹脂などの材料で構成され、その押圧力ではほとんど変形しないので、そのままの形状を保ち、押圧力によって電気回路基板24の方向に移動し始める。
【0019】
移動部材27が電気回路基板24の方向に移動すると、移動部材27が接着されているシート26も一緒に電気回路基板24の方向に移動する。シート26が移動部材と共に電気回路基板24の方向に移動すると、シート26は孔23の周囲に設けられた弾性体25を電気回路基板24に向って押し下げる。弾性体25は、表面板21の段部22とシート26との間に挟みこまれているので、シート26が電気回路基板24の方向に移動すると段部22とシート26とによって圧縮され、その厚さが薄くなる。このため、移動部材27は孔23の深さ方向に沿って電気回路基板24の方向に移動する。そして、移動部材27の先端がクリックスイッチ28を所定の深さだけ押し下げるとクリックスイッチ28の接点が導通し、接点がオンとなる。
【0020】
そして、搭乗者がプッシュボタン13から指を離し、シート26の表面に加えた押圧力を開放すると、圧縮されていた弾性体25は反発して移動部材27とシート26とを図中の一点鎖線で示す当初の位置まで戻す。
【0021】
以上説明した本実施形態の操作パネル10は簡便な構成であると共に、シンボルマーク15を含む操作パネル10の意匠を印刷したシート26を貼り付けることによって操作パネル10の意匠デザインを自由に変更することができるという効果を奏する。また、移動部材27とハウジング11の表面板21の孔23との隙間はシート26によって覆われているため、ハウジング11の内部への水入りを抑制することができるという効果を奏する。更に、プッシュボタン13を押込んだ際に移動部材27が変形することなく移動するので、搭乗者が操作した際の操作感が向上するという効果を奏する。
【0022】
図4から図7を参照して他の実施形態について説明する。図1から図3を参照して説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0023】
図4に示す実施形態は、ハウジング11の表面板21に設けられた孔23の外側にプッシュボタン13によってオンオフされる空調装置の動作状態を示すインジケータ14が設けられているものである。本実施形態では、インジケータ14は印刷によってシート26に透光性を残した部分として設けられ、ハウジング11の表面板21に設けられた導光レンズ33によって電気回路基板24に取り付けられたLED29の光が導かれるよう構成されている。インジケータ14を照明するLED29は表面板21の孔23の周囲に設けられたスカート32の外側となっているので、プッシュボタン13のシンボルマーク15の照明とインジケータ14の照明とが互いに干渉せず、それぞれが明瞭に照明することができるよう構成されている。
【0024】
図5に示す実施形態は、図1から図3を参照して説明した実施形態の移動部材27とシート26の表面が表面板21の表面と同一となっているものである。本実施形態は、プッシュボタン13の表面の段差をなくすことができるので、操作パネル10の表面の意匠デザインを平面デザインとすることができる。
【0025】
図6に示す実施形態は、図3を参照して説明した実施形態の移動部材27とシート26の表面が表面板21の表面と同一となっているとともに、段部22と弾性体25とが孔23の一部に配置されているものである。本実施形態は、プッシュボタン13の表面の段差をなくして操作パネル10の表面の意匠デザインを平面デザインとすることができると共に、幅方向の弾性体25の張り出しを少なくすることができることから、操作パネルをコンパクトにすることができる。また、本実施形態では、図6の右側の端のように弾性体25が設けられていない側は図6の左側の端のように弾性体25が設けられている側よりも移動部材27の沈み込みが小さくなるので、搭乗者がプッシュボタン13を押込んだ際にあたかも図6に示す右側の弾性体25が設けられていない側にヒンジが設けられたヒンジノブのような動作をさせることができる。このため、本実施形態は、ブッシュボタン13のシンボルマーク15の形状によってヒンジノブのような操作感が好まれる部位に好適である。更に、本実施形態では、表面板21の孔の周囲に弾性体25が配置されていない部分はシート26を表面板21の形状に付形することができる。
【0026】
図7に示す実施形態は、図3を参照して説明した実施形態の移動部材27とシート26の表面が表面板21の表面と同一となっているとともに、図7(b)に示すようにハウジング11に設けたピン30に移動部材27に設けた凹部31を係合させ、シーソースイッチとしたものである。図7(c)に示すように、移動部材27が押込まれていない状態では、移動部材27の凹部31とピン30との間には微小な隙間dが開くように配置されている。
【0027】
本実施形態では、図7に示すように、移動部材27は横方向に長く、縦方向に短い形状となっており、移動部材27の横方向中央に凹部31が設けられ、凹部31の位置に対応する位置にハウジング11のピン30が設けられ、ピン30に凹部31が係合するよう構成されている。そして、図7(a)に示すHiのシンボルマーク15の側のシート26、移動部材27を押し下げると、移動部材27全体が沈み込む。この際、Hiと表示されている側のシート26、移動部材27は、Loと表示されている側のシート26,移動部材27よりも大きく沈み込む。そして、移動部材27の凹部31がピン30に当たるまで移動部材27が沈み込むと、移動部材27はピン30の周りに回転を開始する。そして搭乗者によって押込まれている図7に示すHi側は更に電気回路基板24に向って沈み込んでHi側のタッチスイッチ28に接し、タッチスイッチ28を動作させる。一方、Loと表示された側のシート26と移動部材27は、凹部31がピン30に係合しているため、それ以上沈みこまず、逆に、移動部材27がピン30の周りに回転動作を開始すると少しだけ持ち上がるのでLo側のタッチスイッチ28は動作しない。しかし、この持ち上がり量は、移動部材27の凹部31とピン30との隙間dよりも小さいので、プッシュスイッチ13が操作された際にLoと表示された側のシート26と移動部材27は表面板21の表面よりも突出しない。搭乗者によってLoと表示された側が押込まれた場合には、上記と逆に動き、Lo側のタッチスイッチ28が動作し、Hiと表示された側のタッチスイッチ28は動作しない。本実施形態では、このようにしてファンのスピードを高速側と低速側とに切り替えることができるよう構成されている。
【0028】
本実施形態は、プッシュボタン13の表面の段差をなくして操作パネル10の表面の意匠デザインを平面デザインとすることができると共に、簡便な構造で平面デザインのシーソースイッチを提供することができる。
【0029】
図8を参照して、他の実施形態について説明する。図1から図3を参照して説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。図8に示した実施形態は、弾性体25をハウジング11の表面板21の全面に配置したものである。本実施形態は、図1から3を参照して説明した実施形態と同様の効果を奏すると共に、表面板21に段部を設けることなく、ハウジング11の表面板21に設けられた孔23と同様の位置に同様の形状の開口35を有するシート状の弾性体25を準備し、そのシート状の弾性体25を表面板21の上に孔23と開口35の位置とが合うように接着し、その上にシート26を接着することによって形成することができる。このため、各孔23の周囲に弾性体25を装着することなく製造できるので、容易に製造することができる。
【0030】
以上のように構成された操作パネル10のプッシュボタン13を押した際の動作について図8を参照しながら説明する。プッシュボタン13が押されていない状態は、図3を参照して説明した実施形態と同様である。
【0031】
移動部材27が電気回路基板24の方向に移動すると、移動部材27が接着されているシート26も一緒に電気回路基板24の方向に移動する。シート26が移動部材と共に電気回路基板24の方向に移動すると、シート26は孔23の周囲に設けられた弾性体25を電気回路基板24に向って押し下げる。弾性体25は、表面板21とシート26との間に挟みこまれているので、シート26が電気回路基板24の方向に表面板21とシート26とによって圧縮され、その厚さが薄くなる。弾性体25は表面板21の全面に接着されているが、孔23の周辺の弾性体25には孔23から離れた部位にある弾性体25よりも大きな力がかかるため、孔23の周辺の弾性体25は大きく圧縮される。このため、移動部材27は孔23の深さ方向に沿って電気回路基板24の方向に移動するが、孔23から離れた部分は移動部材27が移動してもほとんど変形せず、当初の形状を保っている。そして、移動部材27の先端がクリックスイッチ28を所定の深さだけ押し下げるとクリックスイッチ28の接点が導通し、接点がオンとなる。
【0032】
そして、搭乗者がプッシュボタン13から指を離し、シート26の表面に加えた押圧力を開放すると、圧縮されていた弾性体25は反発して移動部材27とシート26とを図中の一点鎖線で示す当初の位置まで戻す。
【0033】
以上説明した各実施形態は、本発明を車両の空調装置の操作パネル10に適用したものであるが、本発明は、空調装置の操作パネル10に限らず、車両のセンタークラスターやコンソールの操作パネルや天井に設けられる照明の操作パネルにも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 操作パネル、11 ハウジング、12 表示窓、13 プッシュボタン、14 インジケータ、15 シンボルマーク、21 表面板、22 段部、23 孔、24 電気回路基板、25 弾性体、26 シート、27 移動部材、28 クリックスイッチ、29 LED、30 ピン、31 凹部、32 スカート、33 導光レンズ、35 開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の操作パネルであって、
ハウジングと、
ハウジングの内部に設けられた電気回路基板と、
ハウジングの表面に設けられた孔と、
孔の周縁の少なくとも一部のハウジング表面に取り付けられ、ハウジング表面と交差する方向に圧縮、反発する弾性体と、
弾性体の表面に取り付けられ、弾性体の表面と孔とを覆うシートと、
シートの電気回路基板側の面に取り付けられ、ハウジング表面と交差する方向に沿って孔の中を移動自在の移動部材と、を備え、
弾性体は、ハウジング表面側からの押圧力が移動部材に加わった際には移動部材が電気回路基板の方向に移動できるよう圧縮され、押圧力が解放されたされた際には移動部材を元の位置に戻すように反発すること、
を特徴とする車両用の操作パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の操作パネルであって、
ハウジングは孔の周縁の少なくとも一部にハウジング表面から凹むように設けられた段部を備え、
弾性体は、段部のハウジング表面側にその表面がハウジング表面と略同一面となるように取り付けられ、
シートは、ハウジング表面と弾性体表面とに取り付けられていること、
を特徴とする車両用の操作パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218720(P2010−218720A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60795(P2009−60795)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】