説明

車両用アームレスト

【課題】車両の側壁パネルに装着する内装部品に装備される車両用アームレストであって、側突性能を高める。
【解決手段】車両用アームレスト30は、アームレスト芯材40、アームレストパッド50、アームレスト表皮60とから構成され、アームレスト芯材40において、車幅方向に二分割する分割ラインに沿って段差45を設けることで、クラッシャブル構造を採用し、側突時におけるアームレスト芯材40の座屈変形を誘発し、衝撃吸収性能を高める。また、アームレストパッド50の構成として、スラブウレタンの分割パッド51,52をそれぞれ併置し、段差45の位置規制作用により、両端のみをスポット接着することで、側突時におけるアームレストパッド50からの拘束を解除して、アームレスト芯材40の座屈変形を円滑に行なわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等、車両の側壁パネルの室内面側に装着する自動車用内装部品に装備される車両用アームレストに係り、特に、側突時における衝撃吸収機能を高めた車両用アームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両の側壁パネルの室内面側には、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム等の自動車用内装部品が装着されており、車室内の美観を高めるとともに、側突時等、車両に側方からの衝撃荷重が加わった際、内装部品自体が撓み変形することで衝撃荷重の一部を吸収し、乗員に加わる負荷を軽減する構成が採用されている。図11は従来のドアトリム1を示すもので、ドアトリム1は、ドアトリム本体2と、ドアトリム本体2の中央部に室内側に膨出状に形成されるアームレスト支持部3上に載置固定されるアームレスト4とから構成されている。
【0003】
そして、このアームレスト4は、図12,図13に示すように、ドアトリム本体2のアームレスト支持部3に対する取付手段を備えるように合成樹脂を射出成形して所要形状に成形してなるアームレスト芯材5と、アームレスト芯材5の上面に載置され、両面接着テープ等により固定されるクッション性を有するアームレストパッド6と、それらの外表面を被覆する軟質樹脂の射出成形体からなるアームレスト表皮7とから構成されている。この種アームレスト4の構成については、特許文献1に詳細に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−345566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来のアームレスト4の構成は、合成樹脂の射出成形体からなるアームレスト芯材5にアームレストパッド6を載置して、外表面をアームレスト表皮7により被包して構成されており、アームレスト芯材5の剛性が高く、側突時の初期反力が高くなるという欠点がある。
【0006】
更に、アームレスト芯材5の上面にアームレストパッド6を両面接着テープにて全面接着しているため、側突時にアームレスト芯材5が撓み変形するのをアームレストパッド6が阻害することも初期反力を高くする要因となっている。それに加えて、アームレストパッド6を全面接着している場合には、側突時における衝撃荷重の広範域で潰れ残りがあり、アームレスト芯材5の変形ストロークが伸びないという欠点も同時に指摘されている。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、側突時における初期反力を抑えることができ、かつ広範域での変形ストローク量を確保でき、優れた衝撃吸収性能が得られる車両用アームレストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者等は、鋭意研究の結果、アームレスト芯材にクラッシャブル構造を採用するとともに、それに加えてアームレスト芯材に載置固定するアームレストパッドをスポット固定することで、良好な衝撃吸収性能が得られることに着目して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、車両の側壁パネルの室内面側に取り付けられる自動車用内装部品の表面略中央に装備され、側突時における衝撃吸収機能を有する車両用アームレストにおいて、前記アームレストは、内装トリム本体と一体、あるいは別体に設けられるアームレスト芯材と、上記アームレスト芯材の上面に積層され、クッション性を付与するアームレストパッドと、上記アームレストパッドの外表面を被覆するアームレスト表皮とから構成され、上記アームレスト芯材におけるパッド支持板部は、パネル側支持部と室内側支持部とに分割され、かつ分割ラインに段差が設けられ、側突時、この段差を基点としてアームレスト芯材の座屈変形を誘発するクラッシャブル構造が採用されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、自動車用内装部品としては、車両の側壁パネルの室内面側に取り付けられるドアトリム、リヤサイドトリム、又はワゴン車等のラゲージサイドトリムに適用できる。更に、自動車用内装部品における内装トリム本体は、合成樹脂のモールドプレス成形体、あるいは射出成形体等の樹脂単体品を使用するか、又はモールドプレス成形、射出成形等により所要形状に成形してなる樹脂芯材の表面に表皮を貼着してなる積層成形品を使用することもできる。
【0011】
次いで、側突時、優れた衝撃吸収機能を発揮する車両用アームレストは、内装トリム本体と一体、あるいは別体に設けられ、アームレストの形状を保持する強度を有するアームレスト芯材と、クッション性を付与するアームレストパッド、及びそれらの外表面を被包する手触り感、外観性能に優れたアームレスト表皮とから構成されている。尚、内装トリム本体とアームレスト芯材とが別体の場合には、アームレスト芯材はクリップ等の慣用の取付手段を介して内装トリム本体に取り付けられる。
【0012】
そして、アームレスト芯材の材質としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。そして、上記合成樹脂を射出成形することにより、所要形状に成形されている。更に、本発明においては、このアームレスト芯材にクラッシャブル構造を採用することが特徴である。そのために、アームレスト芯材におけるパッド支持板部は、車幅方向に二分割してパネル側支持部と室内側支持部に区画し、分割ラインに沿って段差が設置されている。従って、側突時、この段差に応力が集中して、アームレスト芯材が二つ折り状に座屈変形し易く、初期反力が高くなることを抑えるとともに、変形ストローク量を多く確保することができる。
【0013】
次いで、アームレストパッドは、ウレタンフォーム等のモールド成形体、スラブウレタン等が使用できる。コストを考慮すれば、スラブウレタン等のプレート状のアームレストパッドを使用するのが良く、プレート状のアームレストパッドを使用した場合、アームレスト芯材におけるパッド支持板部のパネル側支持部と室内側支持部との間で段差があり、上下位置に差異があるため、アームレストパッドの厚みを相違させることで、アームレストパッドの表面位置を面一にできる。また、プレート状のアームレストパッドを使用した場合、段差部分で位置規制が行なわれるため、アームレストパッドを全面接着ではなく部分的な接着、例えば両端のみの接着というようにスポット接着でアームレストパッドを位置ズレすることなく確実に接着固定することができる。従って、アームレストパッドを全面接着ではなく部分接着した場合に、側突時、アームレスト芯材の撓み変形をアームレストパッドが妨害することがないため、側突性能に優れる。
【0014】
次に、アームレスト表皮は製品表面を被包するものであれば、布地シート、合成樹脂シート等を適用することもできるが、端末処理を考慮した場合、軟質樹脂、例えば、軟質塩ビ樹脂、サーモプラスチックエラストマー樹脂、ゴム系材料等の軟質材料を射出成形により所要形状に成形したアームレスト表皮が好ましい。そして、軟質樹脂によりアームレスト表皮を成形する場合、周縁部分に沿ってアームレスト芯材の周縁部分に係着する係止用フックを周縁端末に一体成形しておけば、この係止用フックをアームレスト芯材に嵌め込むことで、簡単にアームレスト表皮の端末処理が行なえ、表面感触、成形性を高めるとともに、端末処理も簡単に行なえる。
【0015】
特に、アームレスト表皮として、軟質樹脂の射出成形体を使用するとともに、プレート状のアームレストパッドを使用した際、アームレストの製品表面は、感触上、あるいは意匠上、丸みをもたせているが、そうした場合、アームレストパッドの周縁と製品周縁との間にスペースが形成されてしまうが、このスペースに合致するように、アームレスト表皮の周縁内面に多数枚スペーサリブを一体成形すれば、周縁部分がべコつくことがなく、外周縁部の保形性を高めることができる。
【0016】
従って、本発明に係る車両用アームレストは、アームレスト芯材に段差を設けたクラッシャブル構造を採用することで、側突時における初期反力を低く抑え、かつこの段差部分を基点として簡単に座屈変形を誘発することができ、変形ストローク量を充分確保することができ、良好な衝撃吸収性能が得られる。更に、アームレスト芯材の段差を有効に利用して、プレート状のアームレストパッドを使用した際、段差で位置規制することにより部分接着で足りるため、アームレストパッドの取付作業を簡素化できるとともに、側突時、アームレストパッドがアームレスト芯材の撓み変形を妨害することがなく、側突時における変形ストローク量を充分確保できる。
【0017】
また、アームレスト表皮として、軟質樹脂の射出成形体を使用し、アームレストパッドとしてスラブウレタンを使用した場合、アームレスト表皮の周縁内面に多数枚のスペーサリブを設けることで周縁部分の保形性を高め、かつアームレストパッドの形状を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した通り、本発明に係る車両用アームレストは、側壁パネルの室内面側に取り付けられる自動車用内装部品の表面略中央に装備される側突吸収性能を備えた車両用アームレストであって、アームレスト芯材の構成として、パッド支持板部を車幅方向に二分割し、パネル側支持部と室内側支持部との間に段差を設けて、この段差により、側突時における座屈変形を誘発できるクラッシャブル構造を採用したため、側突時における衝撃吸収性能を高めることができるという効果を有する。
【0019】
更に、本発明に係る車両用アームレストにおいて、プレート状のアームレストパッドをそれぞれアームレスト芯材のパネル側支持部、室内側支持部に分割設置すれば、段差が位置規制作用を呈するため、アームレストパッドをアームレスト芯材に対して長手方向両端末部分等、スポット接着することで充分足りることから、側突時、アームレストパッドはアームレスト芯材を拘束することがなく、アームレスト芯材は自由に座屈変形を行ない、良好な衝撃吸収性能が得られるという効果を有する。
【0020】
更に、本発明に係る車両用アームレストにおいて、アームレスト表皮として、軟質樹脂の射出成形体から構成するとともに、アームレスト内面周縁部分に多数のスペーサリブを一体成形すれば、アームレストの周縁部分の保形性を高め、かつ触れた際の感触も良好であり、しかもアームレストパッドの形状を簡素化できる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る車両用アームレストの好適な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例1】
【0022】
図1乃至図7は本発明の第1実施例を示すもので、図1は本発明に係る車両用アームレストを装備した自動車用ドアトリムを示す外観図、図2は本発明に係る車両用アームレストの構成を示す分解斜視図、図3は同車両用アームレストの正面図、図4は同車両用アームレストの構成を示す断面図、図5は同車両用アームレストにおけるアームレストパッドのスポット接着と全面接着との側突性能を対比して示すグラフ、図6,図7は本発明に係る車両用アームレストの変形例を示す各断面図である。
【0023】
図1において、自動車用ドアトリム10は、ドアトリム本体20の表面略中央に車両用アームレスト30が装着されている。更に詳しくは、ドアトリム本体20の表面略中央に室内側に膨出するアームレスト支持部21が形成されており、このアームレスト支持部21の上面にアームレスト30が載置固定されている。上記ドアトリム本体20は、合成樹脂のモールドプレス成形体、射出成形体等から構成されており、使用できる樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。また、所望ならば、ドアトリム本体20は、樹脂芯材の表面に表皮を一体化した積層構造体を使用することもできる。尚、ドアトリム本体20の下側には、スピーカグリルを一体化したポケットユニット22が装着されている。ここで、本発明は、衝撃吸収性能に優れた車両用アームレスト30の構成に特徴があり、ドアトリム本体20は要部構成ではないので、ドアトリム本体20の使用材料や成形方法、あるいはポケットユニット22の有無等は適宜変更が可能である。
【0024】
次いで、車両用アームレスト30の構成について、図2乃至図4を基に説明する。尚、本実施例においては、プルハンドルやパワーウインドウスイッチユニットを収容した多機能型のアームレストの使用形態について説明したが、アームレスト単体に適用することもできる。このアームレスト30は、アームレスト芯材40と、アームレストパッド50及びアームレスト表皮60とから大略構成されている。
【0025】
更に詳しくは、アームレスト芯材40は、上述した通り、多機能型のアームレスト30であるため、アームレストパッド50を支持するパッド支持板部41とプルハンドル部42、図示しないスイッチユニットを収容するスイッチユニット収容部43とを装備しており、このアームレスト芯材40には、下側に適宜ピッチ間隔でアームレスト支持部21の図示しない係止孔に係着する係止爪44が設けられているとともに、特に、本発明においては、パッド支持板部41は、車幅方向に沿って二分割され、その境界部分に段差45を形成することで、パネル側支持部41aと室内側支持部41bとに区画されている。そして、この段差45で剛性が低下しており、側突時にはこの段差45が基点となり、パッド支持板部41の座屈変形を誘発し、初期反力を抑え、変形ストローク量を多く確保できる等のクラッシャブル構造が採用されている。尚、この実施例では、アームレスト芯材40とドアトリム本体20とは別体構成が採用されているが、アームレスト芯材40とドアトリム本体20との一体化構造を採用することも可能である。
【0026】
そして、アームレスト芯材40におけるパッド支持板部41の上面には、クッション性を付与するために本実施例においては、スラブウレタンを材料としたプレート状のアームレストパッド50が使用され、特に、アームレスト芯材40の段差45によりパネル側支持部41aと室内側支持部41bに区画されている関係で、アームレストパッド50においても、パネル側パッド51と室内側パッド52に分割パッドを使用し、更に、図4で示すように、パネル側パッド51と室内側パッド52との上面が面一となるように段差45の寸法分だけ厚みに差異がもたらされている。すなわち、室内側パッド52の厚みは、パネル側パッド51の厚みに段差45の寸法分だけ寸法を上積みした厚みに設定されている。そして、このアームレストパッド50は、アームレスト芯材40におけるパネル側支持部41a、室内側支持部41bに全面接着されるのではなく、部分的にスポット接着で固定されている。例えば、パネル側パッド51及び室内側パッド52の長手方向両端末のみ、あるいは所望ならば、更に中央部1箇所を加えた合計3箇所のスポットで固定することができる。このことは、アームレスト芯材40に設けた段差45がこの実施例では室内側パッド52の側縁部を支持して位置ズレを防ぐことができる等の位置規制機能を有することから、スポット的な接着手段で足りることになる。
【0027】
次いで、アームレスト30の製品面を形成するアームレスト表皮60は、軟質塩化ビニル樹脂、サーモプラスチックエラストマー樹脂、EPDM等の合成ゴム系材料等が使用され、射出成形により所要形状に成形されている。この実施例では、多機能型のアームレスト30に対応させるため、アームレスト芯材40に設けたプルハンドル部42やスイッチユニット収容部43を包囲するような開口61が形成されているとともに、アームレスト表皮60の周縁部には、係止用フック62が周縁端末に形成され、アームレスト芯材40の周縁端末に図4に示すようにこの係止用フック62を係着することでアームレスト表皮60の端末処理が行なわれている。
【0028】
このように、本発明に係る車両用アームレスト30は、アームレスト芯材40に車幅方向に沿って二分割する分割ライン及び段差45が設けられ、側突時、この段差45を基点として、座屈変形を誘発するというクラッシャブル構造が採用されているため、初期反力を抑え、かつ変形ストローク量を多く確保できる等、側突時における衝撃吸収性能に優れるという効果を有する。
【0029】
また、アームレストパッド50の構成としては、アームレスト芯材40におけるパネル側支持部41aと室内側支持部41bにそれぞれ別物のプレート状のスラブウレタンからなるパネル側パッド51と、室内側パッド52をそれぞれ載置して、かつ段差45の位置規制機能を考慮してスポット接着したため、図5に示すように、例えば、アームレストパッド50を全面接着した場合と、両端を接着した場合の衝撃吸収機能の作用を比較して示すと、両端接着した場合には、初期反力を抑えることができるとともに、変形ストローク量も多く確保することができる。このことは、アームレストパッド50がアームレスト芯材40の側突時における座屈変形を妨害しないためと考えられる。
【0030】
このように、クラッシャブル構造をアームレスト芯材40に採用したことと、アームレストパッド50としてスラブウレタンの分割体を採用することでコストダウンを図るとともに、パネル側パッド51と室内側パッド52のそれぞれ長手方向両端を接着固定する構成を採用したため、側突時におけるアームレスト芯材40の座屈変形をアームレストパッド50が妨害することなく、側突時における優れた衝撃吸収性能が得られる。また、アームレスト表皮60として、軟質樹脂の射出成形体を利用することで簡単に端末処理が行なえる等の利点がある。
【0031】
次いで、図6,図7は本発明の変形例を示すもので、図6に示すように、アームレスト芯材40におけるパッド支持板部41に係止用リブ46を形成すれば、この係止用リブ46がパネル側パッド51及び室内側パッド52に食い込むことで、位置ズレを確実に防止することができる。また、図7に示すように、アームレストパッド50として、モールド成形パッド53を使用することもできる。モールド成形パッド53を使用した場合に、スラブウレタン製の分割パッド51,52を使用する場合に比べ、コスト高で、また、側突性能に劣るものの、感触や形状保持性においては優れるという利点がある。
【実施例2】
【0032】
図8乃至図10は、本発明の第2実施例を示すもので、ユニットを装備した多機能型のアームレストに本発明を適用した点は第1実施例と同一である。従って、図8に示すように、第2実施例における車両用アームレスト30Aにおけるアームレスト芯材40、及びアームレストパッド50(パネル側パッド51と室内側パッド52のプレート状の分割パッドを使用している)は第1実施例と同一であるため、アームレスト芯材40及びアームレストパッド50の構成はここでは省略する。
【0033】
そして、第2実施例は、アームレスト表皮60の構成に改良を加えたことが特徴である。すなわち、車両用アームレスト30Aにおけるアームレスト表皮60Aは、軟質材料の射出成形体から構成され、開口61及び周縁に係止用フック62が形成されているとともに、特に、アームレスト表皮60の周縁内面にスペーサリブ63が図9拡大図、図10に示すように、適宜ピッチ間隔で多数枚形成されている。このスペーサリブ63は、アームレストパッド50の後部側縁部及び室内側縁部に形成されており、廉価構成であるプレート状の分割パッド51,52を使用した場合、製品面はコーナー部で丸みを持たせる必要があることから、アームレスト30Aの後部側縁部及び室内側縁部でアームレストパッド50とアームレスト表皮60Aの内面との間にスキが生じるが、スペーサリブ63がこのスキを填めるため、周縁部分の保形性を高め、外観形状を良好に維持することができる。そして、スペーサリブ63を有効に活用することで、アームレストパッド50の寸法、形状を簡素化することができ、コストダウンに役立つ。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明した実施例1、実施例2は、共に多機能型のアームレスト30,30Aの構成に適用したが、アームレスト単体型の構成に適用することもできる。更に、アームレストパッド50としては、廉価なスラブウレタン製のパネル側パッド51と室内側パッド52を並列に載置する構成の他に、モールド成形パッド53を使用することもできる。また、ドアトリム10以外にも、リヤサイドトリム、あるいはワゴン車等のラゲージサイドトリムに本発明に係るアームレスト構造を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る車両用アームレストを装備した自動車用ドアトリムを示す外観図である。
【図2】本発明に係る車両用アームレストの第1実施例の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示す車両用アームレストの正面図である。
【図4】図2に示す車両用アームレストの構成を示す断面図である。
【図5】図2に示す車両用アームレストにおけるアームレストの両端接着と全面接着とにおける側突性能を比較して示すグラフである。
【図6】図2に示す車両用アームレストの変形例を示す断面図である。
【図7】図2に示す車両用アームレストの更に変形例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る車両用アームレストの第2実施例の構成を示す分解斜視図である。
【図9】図8に示す車両用アームレストにおけるアームレスト表皮を内面側から見た斜視図である。
【図10】図8に示す車両用アームレストの構成を示す断面図である。
【図11】従来の車両用アームレストを装備したドアトリムを示す外観図である。
【図12】従来の車両用アームレストの構成を示す分解斜視図である。
【図13】従来の車両用アームレストの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリム本体
21 アームレスト支持部
22 ポケットユニット
30,30A 車両用アームレスト
40 アームレスト芯材
41 パッド支持板部
41a パネル側支持部
41b 室内側支持部
42 プルハンドル部
43 スイッチユニット収容部
44 係止爪
45 段差
46 係止用リブ
50 アームレストパッド
51 パネル側パッド
52 室内側パッド
60,60A アームレスト表皮
61 開口
62 係止用フック
63 スペーサリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側壁パネルの室内面側に取り付けられる自動車用内装部品(10)の表面略中央に装備され、側突時における衝撃吸収機能を有する車両用アームレスト(30)において、
前記アームレスト(30)は、内装トリム本体(20)と一体、あるいは別体に設けられるアームレスト芯材(40)と、上記アームレスト芯材(40)の上面に積層され、クッション性を付与するアームレストパッド(50)と、上記アームレストパッド(50)の外表面を被覆するアームレスト表皮(60)とから構成され、上記アームレスト芯材(40)におけるパッド支持板部(41)は、パネル側支持部(41a)と室内側支持部(41b)とに分割され、かつ分割ラインに段差(45)が設けられ、側突時、この段差(45)を基点としてアームレスト芯材(40)の座屈変形を誘発するクラッシャブル構造が採用されていることを特徴とする車両用アームレスト。
【請求項2】
前記アームレストパッド(50)は、アームレスト芯材(40)におけるパッド支持板部(41)のパネル側支持部(41a)と、室内側支持部(41b)に対応するようにパネル側パッド(51)と室内側パッド(52)の分割パッドから構成され、アームレスト芯材(40)における段差(45)の寸法差を吸収するように、各パッド(51,52)の厚みに差異を設け、パネル側パッド(51)と、室内側パッド(52)の表面が面一となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用アームレスト。
【請求項3】
前記アームレストパッド(50)におけるパネル側パッド(51)、並びに室内側パッド(52)は、アームレスト芯材(40)のパネル側支持部(41a)、室内側支持部(41b)の上面にそれぞれ長手方向端末部分をスポット的に接着固定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用アームレスト。
【請求項4】
前記アームレスト表皮(60)の周縁内面には、多数のスペーサリブ(63)が形成されていることで、アームレストパッド(50)の周縁部分の形状出しを簡素化するとともに、製品周縁部分の形状保持機能を付与したことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用アームレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−201193(P2008−201193A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37492(P2007−37492)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】