説明

車両用サブフレーム

【課題】燃料電池や補器類の配置を考慮し、最適なメンバの強度を確保するとともに、構成されるメンバ間の接合強度を適正にすることを可能にする。
【解決手段】複数のクロスメンバ41,43,44,49と、これらのクロスメンバ41,43,44,49に離間して配設する複数のサイドメンバ42,42,46,46とにより略格子状に形成され、電池12及びその補器類13を搭載して車体に支持される車両用サブフレーム40において、電池を搭載するクロスメンバ41とサイドメンバ42との交差部55は、電池を搭載するクロスメンバ41とサイドメンバと42に互いに嵌め込む第1のジョイント51aを用いて結合し、補器類13を搭載するクロスメンバ49とサイドメンバ46の交差部75は、補器類13を搭載するクロスメンバ49の側面に第2のジョイント52を当接させて結合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池車両における燃料電池を搭載して車体に支持される車両用サブフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用サブフレームとして、エンジンや燃料電池を搭載し、車体側に支持されるものが知られている。
この種の車両用サブフレームは、搭載されるエンジンや燃料電池の重量を勘案し、適宜設計されるものであった。
【0003】
このような車両用サブフレームとして、平面視格子状に構成され、燃料電池を支持するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−15588公報
【0004】
特許文献1の車両用サブフレームは、燃料電池の前端を支持して車幅方向に延びる前側クロスメンバと、燃料電池の後端を支持して車幅方向に延びる後側クロスメンバと、これらの前側クロスメンバ及び後側クロスメンバを連結して燃料電池の側面に沿って延びる左右のサイドメンバとから構成された平面視格子状のフレームである。
【0005】
しかし、車両用サブフレームでは、前側クロスメンバと後側クロスメンバとは同一の強度を有するメンバ(フレーム)であり、前側クロスメンバ・左右のサイドメンバ間の接合と、後側クロスメンバ・左右のサイドメンバ間の接合とも同一の強度で接合されている。
すなわち、車両用サブフレームに搭載される燃料電池のレイアウト等によっては、各メンバ間に必要以上の強度が確保され、各メンバ間の接合が必要以上の強度に設定されている場合がある。
【0006】
一般的に、燃料電池が搭載される場合には、燃料電池の補器類も同時に搭載する。
燃料電池は重く、燃料電池に比べ補器類は軽い。そこで、これらの燃料電池や補器類の配置を考慮して最適の強度を有するメンバ(フレーム)を用い、最適の強度で接合をしたいものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、燃料電池や補器類の配置を考慮し、最適なメンバの強度を確保するとともに、構成されるメンバ間の接合強度を適正にすることができる車両用サブフレームを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、複数のクロスメンバと、これらのクロスメンバに離間して配設する複数のサイドメンバとにより略格子状に形成され、電池及びその補器類を搭載して車体に支持される車両用サブフレームにおいて、電池を搭載するクロスメンバとサイドメンバとの交差部は、電池を搭載するクロスメンバとサイドメンバとに互いに嵌め込む第1のジョイントを用いて結合し、この第1のジョイントに車体に取付ける第1の車体取付部を形成し、補器類を搭載するクロスメンバとサイドメンバの交差部は、補器類を搭載するクロスメンバの側面に第2のジョイントを当接させて結合し、補器類を搭載するクロスメンバに車体側に取付ける第2の車体取付部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、第2の車体取付部が、第2のジョイントで補器類を搭載するクロスメンバに接続されるサイドメンバの長手方向の延長上に有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、第2のジョイントが、側面視断面T型の輪郭を呈し、サイドメンバに嵌め込む中実の嵌め込み部を有し、この嵌め込み部とクロスメンバとを摩擦攪拌接合にて結合したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、第2のジョイントが、第2のジョイントが当接するクロスメンバに対して傾斜させた嵌め込み部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、車両用サブフレームは、複数のクロスメンバと、これらのクロスメンバに離間して配設する複数のサイドメンバとにより略格子状に形成される。
車両用サブフレームには、電池及びその補器類が搭載される。
電池を搭載するクロスメンバとサイドメンバとの交差部は、電池を搭載するクロスメンバとサイドメンバとに互いに嵌め込む第1のジョイントを用いて結合され、この第1のジョイントに車体に取付ける第1の車体取付部が形成される。
補器類を搭載するクロスメンバとサイドメンバの交差部は、補器類を搭載するクロスメンバの側面に第2のジョイントを当接させて結合し、補器類を搭載するクロスメンバに車体側に取付ける第2の車体取付部が形成される。
すなわち、重い電池が搭載される側のクロスメンバとサイドメンバとの交差部は、互いに第1のジョイントに嵌め込まれ結合される。電池に比べ軽い補器類が搭載されるクロスメンバとサイドメンバの交差部は、クロスメンバの側面に第2のジョイントを当接させて結合される。これにより、最適な強度を有する車両用サブフレームを実現することができ、車両用サブフレームの軽量化を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、第2の車体取付部が、第2のジョイントで補器類を搭載するクロスメンバに接続されるサイドメンバの長手方向の延長上に有するので、第2の車体取付部が、サイドメンバの長手方向の延長上からずれた場合に大きく発生する曲げモーメントの影響を回避することができる。これにより、クロスメンバとサイドメンバの上下を接合するだけでよく、左右の接合が不要となる。この結果、接合の工数の低減を図ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、第2のジョイントが、側面視断面T型の輪郭を呈し、サイドメンバに嵌め込む中実の嵌め込み部を有する。すなわち、構造体のねじれ時にもっとも応力が発生する嵌め込み部(継手部)を中実にすることにより嵌め込み部(継手部)の剛性を向上できる。
また、嵌め込み部とクロスメンバとを摩擦攪拌接合にて結合したので、低歪化及び異種材接合が可能となる。
ここで、摩擦攪拌接合とは、先端に突起部のある円筒状の工具を回転させながら強い力で押し付けることで突起部を接合させる部材(母材)の接合部に貫入させ、これによって摩擦熱を発生させて母材を軟化させるとともに、工具の回転力によって接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜることで複数の部材を一体化させる接合法であり、英語ではFSW(Friction Stir Welding)と呼ばれる。
【0015】
請求項4に係る発明では、第2のジョイントが、第2のジョイントが当接するクロスメンバに対して傾斜させた嵌め込み部を有するので、直交だけでなくあらゆる角度の接合構造が可能となる。この結果、車体側取付部の位置に応じて、サイドフレームを傾斜することができ、サイドフレームに搭載される燃料電池や補器類のレイアウト性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用サブフレームを採用した車体構造の分解斜視図であり、図2
は図1に示された車体構造の底面図である。
図1及び図2に示されたように、車両用サブフレーム40は、電池(燃料電池若しくは燃料電池素スタック)12及び電池12の補器類13を搭載し、車体フレーム(車体)11に下方から取付けられる部材である。
【0017】
車体フレーム11は、車体の前後方向に延ばされた左右のフロントサイドフレーム21,21と、これらの左右のフロントサイドフレーム21,21の後端に接続され、車幅方向に延ばされたダッシュボードロア22と、このダッシュボードロア22の中央から前後方向に延ばされたトンネルフレーム23と、このトンネルフレーム23の左右に設けられ、ダッシュボードロア22から前後方向に延ばされた左右のフロアフレーム24,24と、左右のフロアフレーム24,24の両側外方に設けられるとともにダッシュボードロア22から前後方向に延ばされた左右のサイドシル25,25と、これらのトンネルフレーム23及び左右のフロアフレーム24,24の前部に接続され、車幅方向に延ばされたフロントクロスメンバ26と、車幅方向に関してダッシュボードロア22位置にて左のフロアフレーム24と左のサイドシル25をそれぞれ繋ぐ左の第1アウトリガー27と、車幅方向に関してダッシュボードロア22位置にて右のフロアフレーム24と右のサイドシル25をそれぞれ繋ぐ右の第1アウトリガー28と、車幅方向に関してフロントクロスメンバ26位置にて左のフロアフレーム24と左のサイドシル25をそれぞれ繋ぐ左の第2アウトリガー31と、車幅方向に関してフロントクロスメンバ26位置にて右のフロアフレーム24と右のサイドシル25をそれぞれ繋ぐ右の第2アウトリガー32と、トンネルフレーム23及び左右のフロアフレーム24,24の後端に接続され、車幅方向に延ばされたミドルクロスメンバ33と、左右のサイドシル25,25の後端に接続され、車幅方向に延ばされたリヤクロスメンバ34と、リヤクロスメンバ34から前後方向に延ばされた左右のリヤフレーム35,35とを主要構成としたフレームである。
【0018】
図3は本発明に係る車両用サブフレームの斜視図であり、図4は図3に示された車両用サブフレームの第1のジョイント廻りの分解斜視図であり、図5は図3に示された車両用サブフレームの第2のジョイント廻りの分解斜視図であり、図6は図5に示された第2のジョイント廻りの側面断面図である。
【0019】
図3に示されたように、車両用サブフレーム40は、車体前後方向に関して車体フレーム11のフロントクロスメンバ26位置に設けられるとともに車幅方向に延ばされる前側サブクロスメンバ41と、この前側サブクロスメンバ41から車体後方に延ばされた左右サブサイドメンバ42,42と、これらの左右サブサイドメンバ42,42の中間後部に設けられ、左右サブサイドメンバ42,42を繋ぐ中間サブクロスメンバ43と、左右サブサイドメンバ42,42の後端に接続される後側サブクロスメンバ44と、この後側サブクロスメンバ44からエクステンションジョイント45,45(一方不図示)を介して車体後方に延ばされた左右エクステンションメンバ46,46と、これらの左右エクステンションメンバ46,46の後端に第2のジョイント52,52を介して接続され、車幅方向に延ばされたエンドメンバ49とからなる。
【0020】
前側サブクロスメンバ41は、複数のクロスメンバの一つであり、車体中心から車幅方向に延ばされた前センタビーム53と、この前センタビーム53の両端が接続される左右の第1のジョイント51a,51bとからなる。
【0021】
図4に、電池(燃料電池)12を搭載するクロスメンバである前側サブクロスメンバ41と、電池12を搭載するサイドメンバであるサブサイドメンバ42との交差部55が示され、左の第1のジョイント51aは、前センタビーム53に嵌合される第1嵌め込み部56と、サブサイドメンバ42の前部ビーム66に嵌合される第2嵌め込み部58と、車体フレーム11に取付られる第1の車体取付部61,61とが形成される。
【0022】
第1・第2嵌め込み部56,58は、前センタビーム53及びサブサイドメンバ42にそれぞれ摩擦攪拌接合される。
右の第1のジョイント51bは、車体中心に対して左の第1のジョイント51aに対称の部材である。
【0023】
左サブサイドメンバ42は、複数のサイドメンバの一つであり、左の第1のジョイント51aに接続され、車体前後方向に延ばされる前部ビーム66と、この前部ビーム66の後端に接続される中間ジョイント67と、この中間ジョイント67の後部に接続され、車体前後方向に延ばされる後部ビーム68とからなる。
【0024】
なお、中間ジョイント67は、前部ビーム66、後部ビーム68にそれぞれ摩擦攪拌接合される。右サブサイドメンバ42は、複数のサイドメンバの一つであり、左サブサイドメンバ42に略同一構成の部材である。
【0025】
中間サブクロスメンバ43は、複数のクロスメンバの一つであり、左右サブサイドメンバ42,42の間に設けられ、サブサイドメンバ42,42と共用した中間ジョイント67,67と、この中間ジョイント67,67に接続される中間センタ部材71とからなる。
なお、中間ジョイント67は、中間センタ部材71に摩擦攪拌接合される。
【0026】
後側サブクロスメンバ44は、複数のクロスメンバの一つであり、左右サブサイドメンバ42,42の後端に接続され、車体前後方向に延ばされた左・右ビーム76,77と、これらの左・右ビーム76,77を車幅方向に接続する接続ビーム78とからなる。
【0027】
左右エクステンションメンバ46,46は、複数のサイドメンバの一つであって、閉断面のビームである。
エンドメンバ49は、補器類13を搭載するクロスメンバであるとともに、第2のジョイント52,52が当接するクロスメンバであり、車体フレーム11に取付ける第2の車体取付部62,62が形成される。
【0028】
図5に、補器類13を搭載するクロスメンバであるエンドメンバ49と、補器類13を搭載するサイドメンバであるエクステンションメンバ46との交差部75が示され、第2のジョイント52は、側面視断面T型の輪郭を呈し、エクステンションメンバ(サイドメンバ)46に嵌め込む中実の嵌め込み部81と、エンドメンバ(クロスメンバ)に当接させる当接部82とを有する。
【0029】
図6に示されたように、第2の車体取付部62は、エンドメンバ49に貫通され溶接される基部83と、車体フレーム11に固定するためにボルト85が貫通する筒部84とからなる。また、第2のジョイント52の嵌め込み部81は、エクステンションメンバ46に嵌め込まれ、エクステンションメンバ46に摩擦攪拌接合され、第2のジョイント52,52の当接部82は、エンドメンバ49に当接させ、エンドメンバ49に摩擦攪拌接合される。
【0030】
なお、摩擦攪拌接合(FSW接合)では、先端に突起部のある円筒状の工具を回転させながら強い力で押し付けることで突起部を接合させる部材(母材)の接合部に貫入させ、これによって摩擦熱を発生させて母材を軟化させるとともに、工具の回転力によって接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜることで複数の部材を一体化させて接合するものである。
【0031】
また、図3に示されたように、左右エクステンションメンバ46,46の前端も、後端と同様に、第2のジョイント52,52と略同一の部材であるエクステンションジョイント45,45を介して後側サブクロスメンバ44に接合されている。
【0032】
車両用サブフレーム40は、図4に示されたように、複数のクロスメンバ41,43,44,49と、これらのクロスメンバ41,43,44,49に離間して配設する複数のサイドメンバ42,42,46,46とにより略格子状に形成される。車両用サブフレーム40には、図1に示されたように、電池12及びその補器類13が搭載される。
【0033】
電池を搭載するクロスメンバ(前側サブクロスメンバ)41とサイドメンバ(サブサイドメンバ)42との交差部55は、電池12を搭載するクロスメンバ41とサイドメンバ42とに互いに嵌め込む第1のジョイント51aを用いて結合され、この第1のジョイント51aに車体に取付ける第1の車体取付部61,61が形成される。
【0034】
図6に示されるように、補器類13を搭載するクロスメンバ(エンドメンバ)49とサイドメンバ(エクステンションメンバ)46の交差部75は、補器類13を搭載するクロスメンバ49の側面に第2のジョイント52を当接させて結合し、補器類13を搭載するクロスメンバ49に車体側に取付ける第2の車体取付部62が形成される。なお、図中、89はFSW接合部を示す。
【0035】
すなわち、重い電池12が搭載される側のクロスメンバ41とサイドメンバ42との交差部55は、互いに第1のジョイント51aに嵌め込まれ結合される。電池12に比べ軽い補器類13が搭載されるクロスメンバ49とサイドメンバ46の交差部75は、クロスメンバ49の側面に第2のジョイント52を当接させて結合される。これにより、最適な強度を有する車両用サブフレーム40を実現することができ、車両用サブフレーム40の軽量化を図ることができる。
【0036】
第2のジョイント52は、図5に示されたように、側面視断面T型の輪郭を呈し、サイドメンバ(エクステンションメンバ)46に嵌め込む中実の嵌め込み部81を有する。すなわち、クロスメンバ49とサイドメンバ46などの構造体のねじれ時にもっとも応力が発生する嵌め込み部(継手部81)を中実にすることにより嵌め込み部(継手部)81の剛性を向上できる。
また、嵌め込み部81とクロスメンバ49とを摩擦攪拌接合にて結合したので、低歪化及び異種材接合が可能となる。
【0037】
図7(a),(b)は図5に示された第2のジョイントの接合手順を示す作用説明図である。
(a)において、エクステンションメンバ46に第2のジョイント52の嵌め込み部81を矢印a1の如く挿入し、エクステンションメンバ46に第2のジョイント52を摩擦攪拌接合し、第2のジョイント52の当接部82にエンドメンバ49を当て、エンドメンバ49に第2のジョイント52を摩擦攪拌接合(FSW接合)する。
【0038】
(b)において、片面を摩擦攪拌接合したエクステンションメンバ46及びエンドメンバ49の天地を逆にし、エクステンションメンバ46及びエンドメンバ49の下面を摩擦攪拌接合する。このように、逆側の面も同様にFSW接合することにより、2つの直交する押出材を低歪に接合する構造を実現できる。
【0039】
図8(a),(b)は図3に示された車両用サブフレームの比較検討図である。(a)は比較例の車両用サブフレーム110の要部が示され、(b)は実施例の車両用サブフレーム40の要部が示される。
【0040】
(a)において、比較例の車両用サブフレーム110は、クロスメンバ(エンドメンバ)112にジョイント114を介してサイドメンバ(エクステンションメンバ)111が接合され、エクステンションメンバ111の延長外に且つエンドメンバ112に車体取付部113が形成される。すなわち、車体取付部113が、エクステンションメンバ111の延長外に且つエンドメンバ112に形成されるので、矢印M1の如く回転モーメントが作用する場合があり、二点鎖線で示されるように、補強のための補助メンバ115が必要となる場合がある。
【0041】
(b)において、実施例の車両用サブフレーム40は、第2の車体取付部62が、クロスメンバ(エンドメンバ)49に接続されるサイドメンバ(エクステンションメンバ)46の長手方向の延長上に有するので、例えば、第2の車体取付部62が、サイドメンバ46の長手方向の延長上からずれた場合に大きく発生する曲げモーメントの影響を回避することができる。
なお、クロスメンバ(エンドメンバ)49は、第2のジョイント52で補器類13(図1参照)を搭載する部材である。
【0042】
これにより、図7(a),(b)に示されるように、クロスメンバ(エンドメンバ)49とサイドメンバ(エクステンションメンバ)46の上下を接合するだけでよく、左右の接合が不要となる。この結果、接合の工数の低減を図ることができる。
【0043】
図9は本発明に係る別実施例の車両用サブフレームの第2のジョイントの説明図である。
別実施例の車両用サブフレーム90は、エクステンションメンバ(サイドメンバ)96に第2のジョイント92を介してエンドメンバ(クロスメンバ)99が接合される。第2のジョイント92は、エンドメンバ(クロスメンバ)99に対して傾斜させた嵌め込み部91を有する。
【0044】
すなわち、第2のジョイント92は、第2のジョイント92が当接するクロスメンバ99に対して傾斜させた嵌め込み部91を有するので、直交だけでなくあらゆる角度の接合構造が可能となる。この結果、車体側取付部102の位置に応じて、サイドメンバ96を傾斜することができ、サイドメンバ96に搭載される燃料電池12や補器類13のレイアウト性の向上を図ることができる。
【0045】
図10は本発明に係る車両用サブフレームの摩擦攪拌接合の原理図である。
摩擦攪拌接合とは、先端に突起部131のある円筒状の工具132を矢印b1の如く回転させながら矢印b2の如く強い力で押し付け、矢印b3の如く移動することで、突起部131を接合させる二つの部材(母材)133,134の接合部135に貫入させ、これによって摩擦熱を発生させて複数の部材133,134を軟化させるとともに、工具132の回転力によって接合部135周辺を塑性流動させて練り混ぜることで複数の部材133,134を一体化させる接合法である。英語ではFSW(Friction Stir Welding)と呼ばれる。
【0046】
尚、本発明に係る車両用サブフレーム40は、図4に示すように、第1のジョイント51aは摩擦攪拌接合されたが、これに限るものではなく、溶接で接合したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る車両用サブフレームは、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る車両用サブフレームを採用した車体構造の分解斜視図である。
【図2】図1に示された車体構造の底面図である。
【図3】本発明に係る車両用サブフレームの斜視図である。
【図4】図3に示された車両用サブフレームの第1のジョイント廻りの分解斜視図である。
【図5】図3に示された車両用サブフレームの第2のジョイント廻りの分解斜視図である。
【図6】図5に示された第2のジョイント廻りの側面断面図である。
【図7】図5に示された第2のジョイントの接合手順を示す作用説明図である。
【図8】図3に示された車両用サブフレームの比較検討図である。
【図9】本発明に係る車両用サブフレームの別実施例の第2のジョイントの説明図である。
【図10】本発明に係る車両用サブフレームの摩擦攪拌接合の原理図である。
【符号の説明】
【0049】
12…電池(燃料電池若しくは燃料電池素スタック)、13…補器類、40,90…車両用サブフレーム、41…クロスメンバ(前側サブクロスメンバ)、42…サイドメンバ(サブサイドメンバ)、43…クロスメンバ(中間サブクロスメンバ)、44…クロスメンバ(後側サブクロスメンバ)、46,96…サイドメンバ(エクステンションメンバ)、49,99…クロスメンバ(エンドメンバ)、51a,51b…第1のジョイント、52,92…第2のジョイント、55,75…交差部、61,62…第1・第2の車体取付部、81,91…嵌め込み部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクロスメンバと、これらのクロスメンバに離間して配設する複数のサイドメンバとにより略格子状に形成され、電池及びその補器類を搭載して車体に支持される車両用サブフレームにおいて、
前記電池を搭載するクロスメンバと前記サイドメンバとの交差部は、前記電池を搭載するクロスメンバと前記サイドメンバとに互いに嵌め込む第1のジョイントを用いて結合し、この第1のジョイントに前記車体に取付ける第1の車体取付部を形成し、
前記補器類を搭載するクロスメンバと前記サイドメンバの交差部は、前記補器類を搭載するクロスメンバの側面に第2のジョイントを当接させて結合し、前記補器類を搭載するクロスメンバに前記車体側に取付ける第2の車体取付部を形成したことを特徴とする車両用サブフレーム。
【請求項2】
前記第2の車体取付部は、前記第2のジョイントで前記補器類を搭載するクロスメンバに接続される前記サイドメンバの長手方向の延長上に有することを特徴とする請求項1記載の車両用サブフレーム。
【請求項3】
前記第2のジョイントは、側面視断面T型の輪郭を呈し、前記サイドメンバに嵌め込む中実の嵌め込み部を有し、この嵌め込み部と前記サイドメンバとを摩擦攪拌接合にて結合したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用サブフレーム。
【請求項4】
前記第2のジョイントは、前記第2のジョイントが当接する前記クロスメンバに対して傾斜させた嵌め込み部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用サブフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−262585(P2009−262585A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110617(P2008−110617)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】