説明

車両用スマートキーシステムの携帯機

【課題】 紛失や盗難のおそれが少なく、かつ電池切れの生じにくいスマートキーシステムの携帯機を提供することである。
【解決手段】 スマートキーシステム100を構成する携帯機2を、携帯電話機3に接続し、携帯電話機3のバッテリから電源が供給されるようにする。同時に、携帯機2のメモリ19に記録されている携帯電話機3のID情報と、接続した携帯電話機3のID情報とが一致したときにのみ、携帯機2によるスマートキー処理が実行できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が所持する電子キー(以下、携帯機という。)と車両に搭載された制御装置との間で電波の送受信を行い、両者のコードが一致したときにドアのロック/アンロック(エントリー制御)及びエンジンの始動(スタート制御)の少なくとも一方を行うスマートキーシステム(登録商標)の携帯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の車両(例えば、自動車)では、運転者が所持する電子キー(携帯機)と車両に搭載された制御装置との間で電波の送受信を行い、両者のコードが一致したときにドアのロック/アンロックを行う装置が普及している。この種の装置のうち、携帯機を所持する運転者がドアに触れたり、近づいたり遠ざかったりするだけでドアのロック/アンロックが自動で行われ、エンジンを始動するときにも、携帯機を所持してエンジンスイッチを操作するだけで済む(換言すれば、イグニッションキー穴にキーを差し込んで回すことが不要である。)形態のものは「スマートキーシステム」と称されている。
【0003】
スマートキーシステムの場合、ドアのロック/アンロックをしたり、エンジンを始動したりするときに携帯機を取り出さなくても済むため、運転者はこの携帯機を衣服のポケットや鞄に入れたままの状態にすることが多い。すると、運転者は、携帯機を所持していることを忘れがちになり、携帯機の紛失・盗難に気付きにくくなる。携帯機(又は携帯機を入れた衣服や鞄)を紛失すると、ドアのロック/アンロックやエンジンの始動ができなくなってしまう。また、携帯機が盗難にあうと、それが車両の盗難につながってしまうおそれがある。
【0004】
上記の不具合を解消するため、図7に示されるように、携帯電話機51にスマートキーシステムの携帯機の機能を持たせ、携帯電話機51を使用して車両52のドアのロック/アンロックやエンジンの始動を行うシステムが公知である(例えば、特許文献1を参照)。しかし、携帯電話機のネットワーク(携帯電話機網)を使用してドアのロック/アンロックやエンジンの始動を行うようにするためには、車両52に「DCM(Data Communication Module)」と称される車載型無線通信装置53を搭載する必要がある。また、使用するたびにネットワークの使用料が課金されたり、携帯電話機51を買い替えるときに制限が課せられたりするおそれがある。
【0005】
また、従来のスマートキーシステムの携帯機は、内蔵電池によって作動する。しかし、スマートキーシステムの携帯機には常に電流が流れているため、電池の寿命が短いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−241229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した不具合に鑑み、紛失や盗難のおそれが少なく、かつ電池切れの生じにくいスマートキーシステムの携帯機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明は、
使用者が所持する携帯機と車両との間で送受信される電波によって、前記車両のドアのロック/アンロックを行うエントリー制御と、前記車両のエンジンの始動を行うスタート制御との少なくとも一方を実行する車両用スマートキーシステムの携帯機であって、
前記車両との間で電波を送受信する電波送受信部と、
所定の情報を有する情報機器を直接的又は間接的に、かつ着脱可能に接続する接続部と、
前記接続部が前記情報機器を接続した状態で、該情報機器が有する所定の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、接続した情報機器が予め登録されたものであるかの登録の有無を判断する判断部と、
前記情報機器が前記接続部に接続され、かつ前記判断部がその情報機器が登録されていると判断することによって、前記電波送受信部が前記車両との間で電波を送受信することを許容し、それ以外では許容しない送受信規制部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用スマートキーシステムの携帯機は、上記したように構成され、情報機器が予め登録されたものであれば、電波送受信部が車両との間で電波を送受信することを許容する。このため、携帯機は、常に情報機器と接続された状態で使用される。この結果、使用者は、情報機器の紛失・盗難に注意を払うだけで済み、携帯機に対しては注意を払わなくても済む。換言すれば、携帯機のみの紛失・盗難が起こりにくいということを意味する。また、情報機器(例えば、携帯電話機)が有する通信機能等を使用することはないため、課金が生じない。
【0010】
携帯機は、前記情報機器を接続した状態で、該情報機器から供給される電源を取得する電源取得部を備えることが望ましい。
【0011】
これにより、携帯機を作動するための電源は情報機器から供給され、使用者は携帯機の電池切れに注意を払うことが不要となる。
【0012】
そして、予め登録された複数の情報機器が存するとき、それらのいずれか1の情報機器と接続されるようにしてもよい。
【0013】
もし、情報機器のバッテリ切れ等が生じた場合であっても、他の情報機器を使用することができる。
【0014】
そして、前記情報機器は文字及び/又は図形によって情報を表示する表示部を備え、
前記情報機器を接続した状態で、該情報機器に前記車両の状態を示す車両状態情報を送信し、前記表示部に前記車両状態情報を表示させる情報送信部を備えることが望ましい。
【0015】
これにより、情報機器に車両状態が表示され、車両から離れた場所であっても車両の状態(例えば、ドアがロックされているか否か)を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例のスマートキーシステム100を示す図である。
【図2】携帯機2と携帯電話機3の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯機2を携帯電話機3に接続したときの接続時処理を示すフローチャートである。
【図4】携帯機2によるスマートキー処理を示すフローチャートである。
【図5】携帯機2を、別の携帯電話機3に接続するための登録処理を示すフローチャートである。
【図6】携帯機2に、新規の携帯電話機3を登録するときの登録処理を示すフローチャートである。
【図7】従来のスマートキーシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本実施例のスマートキーシステム100を示す図、図2は携帯機2と携帯電話機3の構成を示すブロック図である。
【実施例1】
【0018】
図1に示されるように、本実施例のスマートキーシステム100は、車両1に搭載されている車両側機器(図示せず)と、前記車両側機器との間で電波の送受信が可能なように紐付けられている携帯機2とを備える。そして、この携帯機2は、例えば携帯電話機3のような情報機器と、着脱可能に接続される。
【0019】
最初に、本実施例のスマートキーシステム100で使用される携帯電話機3の構成について説明する。図2に示されるように、この携帯電話機3は、通信モジュール4、ディスプレイ5(表示部)、ID情報保有部6及び電源7を備える。通信モジュール4は、ネットワーク(携帯電話機網)を使用して、他の携帯電話機3をはじめとする通信端末との間で通信を行うためのものである。ディスプレイ5は、例えば液晶よりなり、使用者が入力した数字、文字、図形等を表示したり、相手側からの通信を受けたときにその旨を表示したりするためのものである。ID情報保有部6は、その携帯電話機3が有する固有の情報(ID情報)が記憶された部位であり、例えばSIMカード(Subscriber Identity Module Card)の形態となっている。電源7は、携帯電話機3を動作させるための電力を供給する部位であり、例えば充電可能な二次電池の形態となっている。携帯電話機3の外側面部には、携帯機2を接続するための端子部8が設けられている。この端子部8は、例えば電源7を充電するための充電端子と兼用することができる。この携帯電話機3は、汎用のものを使用することができる。
【0020】
次に、本実施例のスマートキーシステム100の携帯機2について説明する。図2に示されるように、この携帯機1は、車両1に搭載された車両側機器との間で電波の送受信を行う電波送受信部9と、携帯電話機3を接続したときに携帯電話機3のID情報を取得するID情報取得部11と、携帯電話機3から供給される電源を取得する電源取得部12と、携帯電話機3に携帯機2が有している車両情報(例えば、ドアがロックされているか否かの情報)を携帯電話機3に送信する情報送信部13と、それらと接続する制御部14(ECU)とを備える。また、携帯機1の外側面には、携帯電話機3を接続するためのコネクタ15(接続部)が設けられている。
【0021】
電波送受信部9は、車両1に搭載された車両側機器から送信される電波(送信要求信号)を受信したときに、その車両1が有する固有の情報(IDコード)を返信する。このIDコードを受信した車両側機器は、当該車両側機器が記憶しているIDコードと照合し、認証を行う。この認証が成立すると、ドアがアンロック待機状態となる。この状態で、携帯機2を所持する運転者が所定の動作を行う(例えば、ドアハンドルに触れる)と、ドアがアンロックされる。携帯機2を所持する運転者が、車両1に近づくだけでドアがアンロックされるものもある。なお、本明細書では、携帯機2が車両1(車両側機器)との認証を行うためのIDを「IDコード」と記載し、携帯機2が携帯電話機3との認証を行うためのIDを「ID情報」と記載して、両者を区別する。また、携帯機2と車両1との間で電波を送受信することによって、ドアのロック/アンロックを行う処理を「スマートキー処理」と記載する。
【0022】
制御部14は、電波を送受信したり、携帯電話機3の固有の情報(ID情報)を照合したりするためのもので、CPU16、ROM17、RAM18、メモリ19(例えば不揮発メモリ)及び入出力部21(I/O)を有するマイクロコンピュータの形態で構成されている。ROM17には、CPU16を作動するための制御プログラムが記録されている。RAM18には、ワークメモリの作業エリアが設けられている。メモリ19には、車両1のIDコードや、携帯電話機3のID情報や認証フラグ(後述)を登録するための登録エリアが形成されている。
【0023】
情報送信部13は、車両1と携帯機2との間で行われた通信結果(車両状態情報)を、携帯電話機3に送信し、そのディスプレイ5に表示するという機能を有する。使用者は、車両状態情報を携帯電話機3のディスプレイ5に表示することにより、車両1の状態(例えば、ドアがロックされているか否か)を当該車両1から離れた場所で確認することができる。
【0024】
携帯機2は、コネクタ15を携帯電話機3の端子部8に直接的に接続すること、及び両者を分離することができる。なお、携帯電話機2の持ち運び及び使用の観点から、携帯機3を直接的に接続することが望ましいが、ケーブル等を介して間接的に接続してもよい。
【0025】
また、携帯機2を作動するための電力は、携帯機2を携帯電話機3に接続した状態で、携帯電話機3の電源7から供給される。このため、携帯機2が電源を備えることが不要となり、携帯機2の軽量化、コンパクト化を図ることができる。
【0026】
本実施例の携帯機2の作用を説明する。携帯機2には、予めその携帯機2を接続する携帯電話機3のID情報がメモリ19に記録されている。そして、携帯機2が、メモリ19に記録されたID情報を有する携帯電話機3と接続されたときにのみ、制御部14は、携帯機2が車両1の車両側機器との間で電波の送受信を行うことができるように制御する。そのときの作用(携帯機2と携帯電話機3との接続時処理)を、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0027】
携帯機2に携帯電話機3が接続されると、制御部14は、携帯機2のメモリ19に記録されているおそれのある携帯電話機3のID情報の認証フラグをいったんクリアする(ステップS11)。この処理は、携帯機2のメモリ19に認証フラグ(後述)が残っていた場合であっても、それによって悪影響が生じないようにするためであり、携帯機2のメモリ19に認証フラグがセットされていない場合であっても実行される。続いて、携帯機2のID情報取得部11が、携帯電話機3のID情報を読み込む(ステップS12)。なお、携帯機2の制御部14を作動するための電源は、電源取得部12によって携帯電話機3から供給される。
【0028】
次に、携帯機2のメモリ19に携帯電話機3のID情報が記録されているか否かを確認する(ステップS13)。もし、携帯機2のメモリ19にID情報が記録されていれば、読み込まれた携帯電話機3のID情報を、メモリ19に記録されている携帯機2のID情報と照合する(ステップS14)。両者が一致すればID情報の認証の成功を意味し、認証フラグをセットし(ステップS15)、携帯機2の携帯電話機3との接続時処理を終了する。携帯機2のメモリ19に携帯電話機3のID情報が記録されていなかったり(ステップS13における「No」)、携帯機2のID情報と読み込まれた携帯電話機3のID情報とが一致しなかったりすれば(ステップS14における「No」)、ID情報の認証の失敗を意味し、そのまま終了する。
【0029】
以降、携帯機2のメモリ19に、接続された携帯電話機3の認証フラグがセットされることを「携帯機における携帯電話機の登録」と記載し、その状態の携帯電話機3を「登録済みの携帯電話機」と記載する場合がある。
【0030】
携帯機2に携帯電話機3のID情報が登録されていれば(即ち、携帯機2のメモリ19に携帯電話機3の認証フラグがセットされていれば)、携帯機2を携帯電話機3に接続した状態でスマートキー処理の実行が可能であり、認証フラグがセットされていなければ不可能であることを意味する。
【0031】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、携帯機2によるスマートキー処理について説明する。携帯機2に携帯電話機3を接続すると、携帯電話機3から電源が供給され、携帯機2の制御部14が作動可能な状態となる。そうすると、図3の処理が作動し、認証フラグの更新が行われる。そして、制御部14は、携帯機2に、接続された携帯電話機3が登録されているか否か(即ち、携帯機2のメモリ19に、接続された携帯電話機3のID情報の認証フラグがセットされているか否か)を確認する(ステップS21)。認証フラグがセットされていれば、スマートキー処理を実行する(ステップS22)。このフローチャートにおいて、携帯機2のメモリ19に認証フラグがセットされていなければスマートキー処理を実行しない(ステップS22における「No」)ことを除けば、従来のスマートキー処理と同一である。
【0032】
本実施例の携帯機2では、電源を有していない(換言すれば、携帯電話機2から電源が供給される)ため、携帯機2のみでスマートキー処理を実行することはできない。そして、もし、携帯機2のメモリ19に携帯電話機3のID情報が記録されていなかったり、携帯機2のメモリ19に記録されているID情報と携帯電話機3から読み込んだID情報とが一致しなかったりすれば、携帯機2を不登録の携帯電話機3に接続したものと推定し、携帯機2が車両1に対して行う処理(スマートキー処理)を実行できなくする。これにより、携帯機2が不登録の携帯電話機3と接続されて、不正にスマートキー処理が実行されてしまうことを防止する。これは、例えば紛失・盗難によって携帯機2を入手した第三者が、携帯機2を自身の携帯電話機3と接続させた場合であっても、当該車両1にスマートキー処理をする(車両1のドアをアンロックさせて車内に侵入したり、エンジンを始動させたりする)ことが困難であり、車両1の盗難防止が図られることを意味している。
【0033】
本実施例の携帯機2を、1の携帯電話機3だけでなく、複数の携帯電話機3のいずれかに接続できるようにすることができる。これにより、携帯電話機3のバッテリが消耗し、その携帯電話機3からの電源供給が困難になったときに、別の携帯電話機3に接続して使用することができるという効果が奏される。次に、図5のフローチャートを参照しながら、1の携帯機2を、別の携帯電話機3に接続するための登録処理を説明する。携帯機2を携帯電話機3に接続すると、前述した接続時処理(図3参照)がなされる(ステップS31)。このとき接続された携帯電話機3が登録済みのものであれば、携帯機2のメモリ19に認証フラグがセットされる(図3のステップS15)。そして、その携帯電話機3にインストールされている、携帯機2を登録するためのアプリケーションプログラムを起動する(ステップS32)。このアプリケーションプログラムは、接続した携帯機2に認証フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS33)。携帯機2に認証フラグがセットされていれば、携帯機2のメモリ19に、携帯電話機3を登録する登録許可フラグをセットする(ステップS34)。もし、接続した携帯機2に認証フラグがセットされていなければ(ステップS33における「No」)、接続された携帯電話機3が不登録のものであると推定し、登録許可フラグをセットしない。この場合、携帯機2によるスマートキー処理を実行することはできない。そして、携帯機2のメモリ19にセットされている認証フラグをクリアする(ステップS35)。このクリア処理は、前述したように、もし認証フラグが残っていると不具合が発生するおそれがあるので、それを防止するために認証フラグの有無に拘らずに行われる。
【0034】
そして、本実施例の携帯機2を、新規の携帯電話機3に接続できるようにすることができる。これにより、携帯電話機3を買い替えたときであっても、新規の携帯電話機3に接続して使用することができるという効果が奏される。次に、図6のフローチャートを参照しながら、携帯機2に、新規の携帯電話機3を登録するときの登録処理を説明する。携帯機2を新規の携帯電話機3に接続すると、前述した接続時処理(図3参照)がなされる(ステップS41)。制御部14は、携帯機2のメモリ19に、認証フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS42)。認証フラグがセットされていれば(ステップS42における「Yes」)、接続された携帯電話機3が既に登録済みのものであるため、登録作業を終了する。このとき、前述した理由と同様な理由により、携帯機2のメモリ19にセットされている登録許可フラグをクリアする(ステップS47)。
【0035】
認証フラグがセットされていなければ、次に登録許可フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS43)。登録許可フラグがセットされていれば(ステップS43における「Yes」)、接続された携帯電話機3のID情報を読み込み(ステップS44)、携帯機2のメモリ19にID情報を登録する登録処理を実行する(ステップS45)。登録許可フラグがセットされていなければ(ステップS43における「No」)、接続された携帯電話機3が正規なものではないと判断し、登録作業を中止させるために登録許可フラグをクリアする(ステップS47)。なお、このとき、念のために認証フラグもクリアする(ステップS46)。この場合、携帯機2によるスマートキー処理を実行することはできない。
【0036】
新規の携帯電話機3を登録するときの登録処理は、セキュリティを確保するために、車両1のディーラー等の限られたものによって実施したり、特殊な操作をすることで不正に書き換えられることがないようにしたりすることが望ましい。また、ディーラーのようにセキュリティの確保されたものであれば、携帯電話機3のメモリ19に登録許可フラグをいきなりセットできるようにしてもよい。
【0037】
本実施例の携帯機2は電源を内装しておらず、携帯電話機3から電源が供給される形態であり、常に携帯電話機3と一体となった状態で使用される。このため、携帯機2の軽量化、コンパクト化が図られるとともに、使用者は携帯電話機3の紛失・盗難及びバッテリの消耗に注意を払えば済み、携帯機2に対しては注意を払わなくても済む。換言すれば、携帯機2を単独で使用することができないため、携帯機2のみの紛失・盗難が生じにくくなる。また、携帯機2が電源を有していないため、従来のスマートキーシステムの携帯機で生じる電池寿命の問題に対しても、注意を払わなくても済む。
【0038】
なお、携帯機2に電源(例えば、充電可能なバッテリ)を搭載し、この電源(バッテリ)が携帯電話機3からの電源供給によって常に充電された状態となるようにして、携帯電話機3のバッテリが消耗したときであっても携帯機2を使用できるようにしてもよい。
【0039】
本明細書では、情報機器の一例として携帯電話機3について説明した。しかし、ID情報を保有していることと、そのID情報を出力可能な接続部(携帯電話機3の場合、端子部8)が設けられているものであれば携帯電話機3以外の情報機器、例えばポータブルゲーム機、ポータブル音楽プレーヤー等であってもよい。
【0040】
本明細書の実施例で説明した携帯機2は、車両1のドアのロック/アンロックを行うエントリー制御と、車両1のエンジンの始動を行うスタート制御との少なくとも一方を実行するものである。しかし、これらに加えて、窓の開閉や、トランク、フューエルリッド等の開操作をも行うものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車両におけるスマートキーシステムの携帯機として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
100 スマートキーシステム
1 車両
2 携帯機
3 携帯電話機(情報機器)
9 電波送受信部
11 ID情報取得部
12 電源取得部
13 情報送信部
14 制御部
15 コネクタ(接続部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が所持する携帯機と車両との間で送受信される電波によって、前記車両のドアのロック/アンロックを行うエントリー制御と、前記車両のエンジンの始動を行うスタート制御との少なくとも一方を実行する車両用スマートキーシステムの携帯機であって、
前記車両との間で電波を送受信する電波送受信部と、
所定の情報を有する情報機器を直接的又は間接的に、かつ着脱可能に接続する接続部と、
前記接続部が前記情報機器を接続した状態で、該情報機器が有する所定の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、接続した情報機器が予め登録されたものであるかの登録の有無を判断する判断部と、
前記情報機器が前記接続部に接続され、かつ前記判断部がその情報機器が登録されていると判断することによって、前記電波送受信部が前記車両との間で電波を送受信することを許容し、それ以外では許容しない送受信規制部と、
を備えることを特徴とする車両用スマートキーシステムの携帯機。
【請求項2】
前記情報機器を接続した状態で、該情報機器から供給される電源を取得する電源取得部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用スマートキーシステムの携帯機。
【請求項3】
予め登録された複数の情報機器が存するとき、それらのいずれか1の情報機器と接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用スマートキーシステムの携帯機。
【請求項4】
前記情報機器は文字及び/又は図形によって情報を表示する表示部を備え、
前記情報機器を接続した状態で、該情報機器に前記車両の状態を示す車両状態情報を送信し、前記表示部に前記車両状態情報を表示させる情報送信部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用スマートキーシステムの携帯機。
【請求項5】
前記車両状態情報は、前記車両のドアがロックされているか否かの情報であることを特徴とする請求項4に記載の車両用スマートキーシステムの携帯機。
【請求項6】
前記情報機器は、携帯電話機であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用スマートキーシステムの携帯機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−87511(P2012−87511A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234219(P2010−234219)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】